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津山高専の情報通信基盤の総合整備

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(1)

岡田正*

Total Construction of the Computing and Communicating Infrastructure of Tsuyama National College of Technology

Tadashi OKADA 

In March of 1996, we totally constructed the computing and communicating infrastructure of our college. The constructed systems include three computer rooms for an educational use and a campus LAN built by ATM−switch, optical fiber and various server−computers. The procedure arrangements, introducing aim and final specifications of each system are reported with relation among the systems.

1.はじめに

 教育機関においては、最新の教育機器を準備し利用でき るようにしておくことが重要である。とりわけ、進歩の激 しいコンピュータ関連機器を最新のものにすることは、教 育の質を高め学生の意欲を引き出すために必要である。本 校でも情報教育関連の担当者によって、最新機器の使える 環境を整備すべく日夜腐心しているところである。このよ うななかで、平成7年度に津山高専は、情報教育・情報通 信環境を大幅に強化できる機会を得た。すなわち、教育用 電子計算機システムを更新できる年にあたるのに加えて、

補正予算による学内LANの整備と、高専教育先端設備費 によるマルチメディアネットワークの構築とが認められた。

 筆者は、上記3つのシステムの仕様策定のすべてに関与 する機会を得た。大型予算の認められたのを好機に、利用 可能な教育環境を最新のものに更新するとともに、将来へ の拡張性や学生教育以外への利用を視野に入れながら、導 入システムの仕様を決定してきた。特に、3つのシステム すべてに関与したので、これらのシステム相互の有効な連

*電気工学科 (E−mai1:0kada@tsuyama−ct.ac.jp)

 平成8年8月30日受理

携を図ることで、単独システムでは得られない効果を一しげ られるよう努力してきた。

 本報告は、本校の情報教育・情報通信環境を総合的に検 討してきた経緯と結果を、統一した視点から述べている。

教育用電.子計算機システム・キャンパス情報ネットワーク システム・教育用マルチメディアネットワークシステムの 3つについて、導入の経緯・システム構築の目標・導入さ れたシステムの仕様概要のそれぞれを、資料整理の意味を 含めて報告するものである。

2.環境整備の全体像.

 現在のコンピュータは、GUI化・ネットワーク化・マ ルチメディア化が急速に進んでおり、これに合わせた環境 を整備し、教育に取り入れていくことが急務になっている。

さらに、これからのコンピュータ利用を考えると、整備に あたっては、情報関係の専門教育はもとより、専門教育以 外の教育利用・教官研究・事務処理・地域協力などの多様 な利用をも考慮すべきである。また、利用者の拡大にとも ない、種々のサービスを提供でき、誰でも簡単に使えるシ ステムとする必要がある。

 津山高専においては、これまでからネットワーク分散処

(2)

理に対応した教育用電子計算機システムの更新1)や、学内 LANの構築z)・「情報総合サービス部会」の議論31など、

多方面の環境整備の努力がなされていた。このような状況 の中で、平成7年度に本校の情報教育・情報通信環境が一 気に整備できることになった。すなわち、教育用電子計算 機システムの5年ごとの更新の年にあた.るとともに、補正 予算によるキャンパス情報ネットワーク整備と、高専教育 先端設備費による教育用マルチメディアネットワーク構築 の3つのシステムが導入できることになった。

 それぞれのシステムは、従来から予算要求の機会などを 通して機能等の議論がなされていた。しかし、今回は3.つ のシステムを同時に整備でき、予算規模もこれまで考えて いたものより大きかったので、改めて総合的な整備方針を たてる必要がある。幸い筆者は3つのシステムの仕様策定 のすべてに関与する機会を得たので、システム間の連携や 機能分担などに留意して参加した。すなわち、すべてのシ ステムに共通した総合的な方針として、

 ・可能な限り最新の機能を導入する。

 ・標準規格を採用し将来に渡っての拡張性を確保する。

 ・多様な利用に対応できる柔軟性をもつ。

 ・3つのシステムの連携をとり効率化を図る。

 ・これまでの利用方法との整合性を保つ。

といったことを共通に考慮しながら仕様策定にあたった。

具体的な経緯と仕様は次章以降で述べるが、システム全体 として多方面に利用できる最新環境を整備できたと考えて

いる。

3.教育用電子計算機システム

3.1 更新までの経緯

 平成7年度が教育上電子計算機システムの更新の年にあ たるので、前年度から準備を行ってきた。更新完了までの 経緯は次のようであった。

(1)仕様策定

 平成6年6月14日頃、電子計算機システム運営委員会

(旧)においてレンタル更新のための議論があり、同委員 会の中に「教育用電子計算機検討小委員会(後に、教育用 電子計算機システム仕様策定委員会)」を設置することに なった。小委員会は委員7名(委員長:高本洋祐教授)か らなり、9月14日に1回目の委員会を開き、その後10 回の委員会を開き仕様策定にあたった。

 この間、各学科等からの要望事項をとりまとめて基本方 針を議論し、親委員会の電子計算機システム運営委員会に これを答申し、11月24日に承認を受けた。これに基づ き、12月26貯を締め切りとして、27業者に対して資 料等の提供招請を行った。この作業にあたって、電話・

FAX以外に電子メールによる質問の受付も採用した(他の

2つのシステムに関する意見等の招請においても、同様の 方法をとった)。この資料等の提供招請に対して、14業 者から資料提供があり、これをもとにして「教育用電子計 算機システム技術仕様書」を作成した。

(2)仕様書案に対する意見招請と説明会

 平成7年2月24日に、案の段階の技術仕様書をもとに 説明会を開き、意見招請を行った。14業者の出席があり、

3月17日の締め切りに対して、8業者から意見書やシス テム構成等の提出があった。これをもとに、4月12日に 最終仕様を確定した。

(3)官報公告

 平成7年6月1日の官報に「教育用電子計算機システム ー式」として公告された。

(4)入札説明会

 平成7年6月23日に入札説明会があり、12業者の出

席があった。

(5)入札書受領期限

 平成7年7月24日の受領期限に対して、4業者が応札

した。

(6)技術審査

 平成7年8月4日目でに、6名の審査委員によって技術 審…査が行われ、2業者のシステムが合格した。

(7)開札

 平成7年8月17日に開札があり、 (株)日立製作所の システムが決定した。

(8)最終仕様確定

 本システムの決定に前後して、パソコンの主要OSが Windows3.1からWindows95へ変わった。今後の教育を考え たとき、この最新環境を使えるパソコンをぜひ導入したい と考え、残った予算をOSのバージョンアップとこれに見 合うハードウェアの整備にあてることになった。すなわち、

パソコンOSをWindows95とWindowsNT Ver,3.51という最新 バージョンにして、これに見合うようハードウェアを増強 した。特に、Windows95で快適な操作を行うには、 i 分な 本体メモリを搭載する必要があるので、すべてのパソコン に16Mバイトのメモリを増設し、24Mバイトまたは32M バイトにした。また、OSがネットワーク対応になったの で、ネットワーク接続を考えていなかったパソコンについ てもネットワークカードを準備した。これによって、教育 用のすべてのパソコンがネットワーク接続できることにな

った。

 さらに、OSのバージョンに.合うよう、言語処理系

(  Visual C++/BASIC)についても、巖新のVer.4.0にバージ

ョンアップを行った。これによってWindows95のもとで、

新しいビジュアルプログラミング教育はもとより、これま

での行われてきた教育と連続性のあるコマンドペースの言

語教育(Visual C++Ver.1.51)も可能となった。また、タ

(3)

イピングソフトウェアも追加した。

 なお、旧システムについて寄付の申し出があり、これを 引き受けた。図書館・専門学科・総合情報センターで利用 できるよう設置し、これまでの利用形態でも支障のない用

途で使える.よう整備して.いる。

3.2 システム更新の目標

 更新前の教育用電子計算機システム )は、

  ・身近なパソコンを使う入門教育・言語教育

  ・UnixワークステーションとX端末によるネットワ    ーク教育

という基本で作られていた。この基本方針を踏襲しつつ、

その後の情勢の変化への対応を考慮してシステムの更新を 行った。すなわち、電子制御工学科が新設されるとともに 従来学科の利用の多様化が進み、量的にも質的にも機能不 足になっている。とりわけ、パソコン室の利用率が90%

近くにも達しており、1クラス全員の授業のできる部屋を 新たに追加設置しなければ、時間割作成に支障をきたす状 況になっていた。

 従って、今回の更新では利用の増大と多様化に対応する ため、導入教育から高度な応用までに耐えるシステムとし ながら、予算の許す範囲で可能な限り多くのパソコンを導 入することが必要であった。幸い、別途予算措置がなされ、

学内LANやマルチメディアネットワークと一体化するこ とで、台数を増やしながらも実用に耐えるものとなるよう、

パソコンの機能を補強できた。

 今回の教育用電子計算機システム更新の基本方針をまと めると、次のようになる。

(1)1クラスの授業ができる部屋を2つと、1クラスの  約半数が使える部屋1つを整備する。

(2)現行の学内ネットワークと同程度以しの情報交換基  盤を整備する。

(3)ハードウェア/ソフトウェアともに、将来に渡って  の拡張性を有するものとする。

(4)管理がしゃすく安定な動作をするシステムとする。

 この方針をもとに、以下のような利用目的と構成を持っ た3つの主要なシステムを導入することになった。なお、

ここに示した部屋の名称は、その後の議論で決まったもの で、仕様書記載の名称とは異なっている。

(1)基礎情報演習室

 現在実施しているリテラシー教育と言語教育に、引き続 いて利用できる部屋とする。このため、GUIのパソコン 49台(学生用48台+教官用1台)を設置する。ソフト ウェアとしては、これまで行ってきた授業と同等のことが できるよう、ダイビングや言語処理の授業で使えるものと する。また、旧システムと同様、2台のパソコンにつき1 台のプリンタを設置する。

(2)応用情報演習室

 ネットワークの利用や高度な応用プログラムを使用する 部屋とし、パソコン環境とUnix環境のどちらも利用でき る機能を備えたパソコン16台を設置する。パソコン本体 は、次のマルチメディア室と同等であり、これにマルチユ ーザOSやXサーバソフトウェア等を搭載する。さ.らに、

Xウィンドウシステムのホスト用およびUnixネットワー クを利用した教育などのために、2台の教育専用ワークス テーションを導入する。これによって、WindowsとUnix

(Xウィンドウによるグラフィックス処理を含む)を連 携させた教育環境が実現できる。これまでのXウィンドウ 専用端末だけだったのに比べて、より多様で使いやすい利 用が見込まれる。

(3)マルチメディア室

 情報処理教育での使用はもとより、英語のLL授業のよ うなコンピュータ関連でない科目でも使えるよう、多目的 なマルチメディア対応のパソコン室とする。ただし、更新 予算ではマルチメディアネットワーク部分まではまかなえ ず、5.で述べる予算を待って完成する。このことを前提 に、GUIのパソコン49台(学生用48台+教官用1台)

を整備する。ただし、パソコンの機能は基本のみとし、本 格的な利用のためのソフトウェア等は、5.の予算で手当

する。

3.3 導入システムの概要

 3.2の目標に基づいて決定したシステム仕様を以下に 示す。なお、更新した部屋ごとにまとめてあり、マルチメ ディア室については5.で述べる。

(1)基礎情報演習室

 基本的にスタンドアローンでの利用を前提に、言語教育 やリテラシー教育を行う部屋である。最新のWindows95に よりGUIベースの処理やプログラミング教育(Visual

C++/BASIC Ver.4.0)ができるとともに、これまでの行わ れてきた教育との連続性も考慮して、コマンドベースの言

語処理系(Visual C++Vgr.1.51とWATFO R一 77)も使える。

●ハードウェア構成

 FLORAlOIODJ(CPU:lntel DX4(100MHz),24MBメモリ,528MB  HDD,ネットワークカードなど)×49台

 17インチディスプレイ×49台  プリンタMJ−500C×24台

●ソフトウェア構成  OS : Windows95

 言語処理系:Visua1 C++Ver.4.0&1.51, Visual BASIC Ven 4.

 O, WATFOR一 77

 ユーティリティ:MIFES for Windows Ver.2.0,チャレンジ  ザタッチタイプなど

(2)応用情報演習室

(4)

 本格的なネットワーク利用を前提とした部屋で、

Windows NT Workstationによりユーザ管理を行う。教育専用 のUnixワークステーション2台が設置され、これをパソ コンから利用するためのXサーバや、インターネット教 育のためのWWWブラウザなども準備されている。また、

ネットワークプリンタが設置され、どのパソコンからも利

用できる。

●ハードウェア構成

 FLORA1010DM(CPU:Pentium(100MHz),32MBメモリ,1.5GB  HDD,ネットワークカードなど)×16台

 3050RX/345(CPU:PA−RISC7100LC(100MHz),64MBメモリ,1  0r 5GB HDDなど)×.2台

 17インチディスプレイX18台  ネットワークプリンタ(QMS1660)

●ソフトウェア構成

 O S : Windows NT Workstation Ver.3.51 & Windows95, HI−

 UX/WE2

 言語処理系:Visual C++Ver.4.0&1.51, WATFOR一 77、最

 適化C

 ユーティリティ:XVision5.6, Netscape Navigator, FSED for  Windows,チャレンジザタッチタイプ、 X Window System,

 Motif, Wnnなど

4.キャンパス情報ネットワーク

4.1 システム整備の経緯

 津山高専では平成4年度末に全校ネットワークを敷設し、

教育用電子計算機システムと連携させて学生教育や教職員 の情報交換に使ってきた2レ。 しかし、このネットワーク は10BASE5をブリッジで拡張したものであり、利用の広 がりにつれて機能不足になっていた。また、UUCP接続か らIP接続へ変更し、本.格的なインターネット接続が切望 されていた。そこで、通常の予算要求により、高機能な高 速ネットワークの導入を図るよう検討を進めていた。そこ に、平成7年度第一次補正予算により学内LANを整備す るとの内示が、平成7年5月11日付であったので、これ までの検討内容をもとにしながら、次のような経緯で整備

を進めた。

(1)仕様策定

 平成7年5月30日に、1回目の「キャンパス情報ネッ トワーク仕様策定委員会」 (委員5名、委員長は筆者)が 開かれ、その後5回の議論を経て仕様策定にあたった。ネ ットワーク構成・提供するサービス内容・必要機器と台数 などの検討を行い、 「キャンパス情報ネットワークシステ ム技術仕様書」・を作成した。

 なお、仕様策定とは直接関係ないが、予算の性格から仕 様に盛り込むことができなかったものや、今後の問題点と

して、

  ・IP接続費用や情報端末費用の措置   ・利用管理体制の整備

についても提言し、別の場所で議論された。

 (2)仕様書案に対する意見招請

 平成7年7月14日を締め切りとして、案の段階の技術 仕様書をもとに11業者に対して意見招請を行い、7業者

.から意見書やシステム構成等の提出があった。これをもと に、7月27日に最終仕様を確定した。

 (3)官報公告

 平成7年8月4日の官報に「キャンパス情報ネットワー クシステムー式」として公告された。

 (4)入札説明会

 平成7年8月25日に入札説明会があり、13業者の出

席があった。

 (5)入札書受領期限

 平成7年9月25日の受領期限に対して、8業者が応札

した。

 (6)技術審査

 平成7年10月6日までに、3名の審査委員によって技 術審査が行われ、4業者のシステムが合格した。

 (7)開札

 平成7年10月20日に開札があり、日商エレクトロニ クス(株)のシステムが決定した。

 (8)最終仕様確定

 納入業者が決定した後、さらに機能強化を図るため残余 の予算を使って、ファイルサーバ等のディスク追加や CD一 ROMチェンジャ(CD一 Rへの書き込み機能付き)の 導入を行った。また、情報ネットワーク利用の広がりを考 えると、全教職員がネットワークを利用できるよう端末パ ソコンを追加することが不可欠との判断から、別途予算措 置をしていただき、端末パソコンを20台購入した。

 (9)情報ネットワークシステム工事

 ネットワーク機器の仕様策定と平行して、ネットワーク 工事の検討が施設係を中心に行われた。導入機器の最終仕 様が確定しない段階で設計しなければならず、困難な事項 もあったが、後述のような方針で工:事が行われた。

 なお、IP接続が承認されたので、専用線サービス業者 との打合せを行い、導入されるシステム機器との整合性と ネットワーク工事との接続についても検討した。

4.2 システム整備の目標

 整備にあたっては、将来にわたって本校の情報通信の中 核システムとなるよう、

 ・長期にわたって利用できる先進性と拡張性  ・現行の規格と機器との親和性

 ・安全で効率的なサービスの提供機能

(5)

 ・管理の容易さ

などを考慮した。進歩が激しい分野であり、採用する規格 についての紆余曲折はあったが、最終的には次のような基 本方針のもとに具体的な仕様を制定することになった。

 ・スイッチング技術とスタート形トポロジーによる帯域   の効率的な利用

 ・光ファイバと非同期転送モード(ATM)によるマル   チメディア対応の高速伝送路の採用

 ・ビッグパイプや階層化管理によるトラフィックの最適   化

 ・将来への拡張性を有する規格と機器の採用  ・IPによるインターネット接続の実現  ・現在使用中の機器と接続可能な規格

 ・高速ネットワークの運用に必要なネットワーク管理機   能や各種サーバコンピュータの整備

 ・将来に渡っての拡張性を確保しながら、セキュリティ   も保証できる管理システムの導入

 ・全校のすべてをカバーするネットワークの実現  ・次のような多様な利用への配慮

  学生教育、教官研究、教職員間の情報交換、情報検索、

  情報発信、ネットワーク管理と資源の共用

 結果として、次のような情報ネットワークシステムを整 備することにした。なお、すべてのネットワーク機器は SNMP対応とし、ネットワーク監視と管理ができるように

する。

(1)幹線

 ATMスイッチング機能を有する幹線集線装置から建物 ごとの支線ノード装置を、ATM 155Mbps OC3マルチモード 光ファイバで接続する。また、一部のサーバコンピュータ をビッグパイプで接続する。接続すべき建物ごとの支線ノ ードおよびサーバは、合計9つである。

(2)支線

 建物ごとの支線ノード装置から、 10BASE−Tまたは 10BASE−Fしによって、合計35個のHUBまたはサーバコ ンピュータなどに接続する。主要なHUBは、フィルタリ ング機能を有するものとし、バックボーン側に不要なトラ フィックを流さないように考慮する。

(3)IP接続

 岡山大学のSINETノードでインターネットにIP接続す る。このために必要なルータやターミナルアダプ.タなどを 導入する。

(4)サーバコンピュータ

 ネットワークを効果的に利用するためには、それを支え るサーバコンピュータが不可欠である。今回は、次のよう な目的に7つのサーバシステムを導入する。

●ファイルサーバ

 本サーバは、本校情報ネットワークの共用データを集中

的に蓄え、効率的に提供するために設置する。また、完全 自動でバックアップをとる機能を備えることで、安全性の 高いデータ蓄積機能を最小限の管理で実現する。

●管理サーバ

 本サーバは、本校情報ネットワークシステムの稼働状況 を監視し、異常の発見やトラフィックの統計解析を行うこ とで、システムの安定な運用を支えるために設置する。

●コミュニケーションサーバ

 本サーバは、本校情報ネットワークのユーザに対して電 子メール・電子ニュースなどの、情報交換のための共通基 盤を提供するために設置する。また、本校情報ネットワー クを学外からも利用できるよう、一般公衆電話回線を通し てアクセスするための窓口となる。

●Windowsサーバ

 本サーバは、本校情報ネットワークをWindowsパソコン から利用するユーザに対して、共用プログラムやデータを 提供することで、より円滑な利用を図るための機能を実現 するために設置する。

●セキュリティサーバ

 本サーバは、本校情報ネットワークのセキュリティを高 めるために、外部からの不当なアクセスを防止しながら、

エンドユーザやアプリケーションに対する透過性を保障す るために設置する。このサーバにはfirewall機能とProxy Sever機能を実装し、学内はプライベートアドレスを使っ て学外と分離する。

●ネームサーバ

 本サーバは、本校情報ネットワークをインターネットに 接続する際のプライマリネームサーバの機能を提供するた めに設置する。

●WWWサーバ

 本サーバは、本校の情報発信の中核として、WWWのホ ームページを作成し保持するために設置する。また、上記 のネームサーバを補完するためのセカンダリネームサーバ としての機能も果たす。

(5)情報ネットワーク工事

 おおむね次のような基本方針で、ネットワーク工事の機 能を決定した。

・故障への対応や将来への拡張性を考慮したケーブル敷設  を行う。

・全校のどこからでもアクセスできるよう、すべての場所  にケーブルと情報コンセントを敷設する。

・敷設後の保守がやりやすいように、機器接続部分を容易  に点検できる構造とする。

 これを受けて、光ファイバとUTP(カテゴリ5)を中

心に一部同軸ケーブルを使って、全校にくまなくケーブル

を敷設する。光ファイバについては、将来の増設に耐える

に十分な余裕を持った本数と、ATMの622Mbpsに対応可

(6)

能な光ファイバも採用している。また、すべての研究室・

主要な実験室・すべての事務室などに、情報コンセントを 設置する。

4.3 導入システムの概要

(1)幹線

 伝送路に光ファイバを使った155Mbps−ATMネットワー クである。総合情報センターに設置された中央のATMス イッチ(CELLplex7000)から5つの棟などに12芯層形 光ファイバケーブル(GI×8芯+SM×4芯、総延長約

1,200m)を張り、支線ノード装置(LinkSwitch2700)につ なぐ。 総合情報センター内では、一部の機器をビッグパイ プでATMスイッチに接続している。機器構成や能力に十 分な余裕があり、622Mbps−ATMへの拡張や接続機器の増 大へ容易に対応できるものとなっている。なお、主要なノ ード装置には無停電電源装置を付属させ、短時闇の停電で は停止しないようになっている。

(2)支線

 支線ノード装置から各階ごとに設置されたスイッチング HUB(CenterCOM3124TRなど)に、原則としてカテゴリ 5のUTPケーブル(総延長約5,000m)で接続する。さら に、スイッチングHUBから研究室・実験室・事務室まで、

カテゴリ5のUTPケーブルを引き、10BASE−T用の138個 の情報コンセントを設置した(その後、追加工事で増設さ れた)。なお、屋外を通る部分について10BASE一 Fしによ る光ファイバ接続(総延長約700m)として、落雷等の被 害を防ぐようにしている。また、学生寮に関しては、寮三 間を10BASE5用の同軸ケーブル(総延長約350m>でつな ぎ、各回にHUBを敷設した。 HUB以降のケーブル敷設と 運営とについては、寮の担当者にお任せしている。

 なお、これまで使っていた10BASE5による古いネット ワークは、新しいネットワークが完成してから総合情報セ ンターで接続し、これまで通り使えるよう残している。キ ャラクタベースの利用やAUIインタフェースしか持たない 機器が接続され、新ネットワークを補完する形で現在でも 使われている。

(3)IP接続

 192Kbps専用線(中国通信ネットワーク(株))により、

岡山大学のSINETノードにインターネット接続した。こ のためのルータ(Cisco2505C)などの機器を導入した。

(4)サーバコンピュータ

 7種類(8台)のサーバコンピュータが導入された。す べてのサーバコンピュータに無停電電源装置を付属させ、

短時聞の停電では停止しないようにした。さらに、一部の サーバコンピュータは、自動シャットダウン機能を持って

いる。

●ファイルサーバ

 Auspex NetServer NS7000〆200(HyperSPARC×3,128MBメモ  リ,拡張キャビネット付38.6GB HDD)

 OS:SunOS(BSD UNIX)コンパチブル  完全自動バックアップ用8mmテープ装置  ビッグパイプで中央のATMスイッチに直結

●管理サーバ

 DigitalPC Venturis 5100(cllent)と575(server)とにNetWare  Management System 2.()Jを搭載

 SNMPマネージメント&エージェント機能  17インチディスプレイ

●コミュニケーションサーバ

 SuperCOMPstation20/71(SPECint92:125.8,128MBメモリ,2GB  HDD)

 OS:日本語Solaris 1.1.2  17インチディスプレイ  付属機器

  モデム(Microcom V.34 EII)×2台

  CD−ROMチェンジャ(CD−Rへの書き込み機能付き)

  (PIONEER DRM5004XR)など

●Windowsサーバ

 Digita1PC Prioris HX 590DP(Pentium(90MHz)×2, 128MBメ  モリ,5GB RAID ARRAY−HDD)

 OS:WindowsNT Ver.3.51 Server (100クライアント)

 17インチディスプレイ

 ネットワークプリンタ (LaserWind3160PS)

●セキュリティサーバ

 microCOMPstation5/110(SPECint92:76.0,64MBメモリ,2GB  HDD)

 OS:日本語Solaris 1.1.2

 fireWall一 1.1.0 BASEPack & lnternetGatewaySecurityCenter

 15インチディスプレイ

●ネームサーバ

 microCOMPstation5/110(SPECint92:76.0,32MBメモリ,1GB  HDD)

 OS:日本語Solaris 1.1.2

 15インチディスプレイ

●WWWサーバ

 microCOMPstation5/110(SPECint92;76.O,64MBメモリ,2GB  HDD)

 OS:日本語Solaris 1.1.2  20インチディスプレイ

(5)端宋ノ{ソコン

 事務部の各係ごとに1台と、端末を持たれていない教官 用に合計20台のWindows95パソコン(仕様は下記の通り)

を導入し、総合情報センターから必要なところに貸し出し

ている。

 FMV−575D5G5(CPU:Pentium(75MHz),16MBメモリ,635

(7)

MB HDD,ネットワークカード,CD一 ROM X置,サウンド 機能など)

17インチディスプレイ

OS:Windows95プレインストール

ソフトウェア:一太郎Ver.7 for Windows, Winbiffなど

5.教育用マルチメディアネットワーク

5.1 システム導入の経緯

 今回の先端設備費で実現したマルチメディアネットワー クは、昭和63年頃から計画されていた。当時、情報化に よる図書館の活用の議論がなされており、 コンピュータ に支援された視聴覚教育やCAI等をおこなう室 を図書 館に設置するような答申がなされていたll )。これに基づき 具体的な機器等を検討するため、多目的室整備ワーキング グループ(キャップ:杉山琢也教授)が設置され、平成6 年3月!7日にf多目的室と関連設備に導入すべき設備に ついて」という答申がなされた。これに基づく予算要求が、

形を変えて先端設備費で認められたことになる。本システ ムは上述の答申の内容を、教育用電子計算機システムの更 新によるパソコンの整備と、先端設備費によるネットワー ク構築に分けて実現するものである。導入までの経緯は、

次の通りである。

(1)仕様策定

 平成7年7月5日に、1.回目の「教育用マルチメディア ネットワーク仕様策定委員会」 (委員6名、委員長:杉IJ」

琢也教授)が開かれ、その後5回の議論を経て仕様策定に あたった。前述の答申をもとにしながら、教育用電子計算 機システムと情報ネットワークシステムとの連携に注意し て「教育用マルチメディアネットワークシステム技術仕様 書」を作成した。

(2)仕様書案に対する意見招請

 平成7年9月18日を締め切りとして、案の段階の技術 仕様書をもとに2業者に対して意見招請を行い、2業者か

ら意見書やシステム構成等の提出があった。これをもとに、

9月14日に最終仕様を確定した。

(3)官報公告

 平成7年9月21日置官報に「教育用マルチメディアネ

ットワークシステムー一式」として公告された。

(4)入札説明会

 平成7年10月13日に入札説明会があり、3業者の出

席があった。

(5)入札書受領期限

 平成7年11月13日の受領期限に対して、3業者が応

札した。

(6)技術審査

 平成7年11月21日までに、3名の審査委員によって 技術審査が行われ、2業者のシステムが合格した。

(7)開札

 平成7年12月6日に開札があり、両備システム機器販 売(株)のシステムが決定した。

(8)最終仕様確定

 教育用電子計算機システムで導入されるパソコンは、基 本機能のみを持つだけである。従って、マルチメディア機 能や授業用のソフトウェアが不足している。そこで残余の

予算で、

 ・パソコン周辺機器(サウンドカード・CD−ROM装置)

 ・オーディオアンプやテレビ受像器などのAV機器  ・パソコン用ソフトウェア

 ・英語教材ソフトウェア

といった整備を行い、授業等のために機能強化を図って巖 終の機器構成を確定した。

5.2 システム整備の意図

 すでに述べたように本システムは、パソコンをマルチメ ディアネットワークで接続した環境を準備し、

 ・動画像も利用できるLL教育  ・コンピュータを利用した視聴覚教育  ・マルチメディアCAI教育

 ・コンピュータリテラシー教育

などの教育に、1クラスー斉授業で利用できる部屋として 整備するよう構想されていた。こうした幅広い教育の多様 な利用者に対応できるよう、次のような基本方針のもとに システムを整備する。

・教育用電子計算機システムで導入されるパソコンの持つ  機能を、全面的に活かしてシステムを構築する。

・すべての操作をグラフィックベースで行え、コンビュー  タの専門家でなくても簡単に利用できる操作性を持つ。

・ビデオやオーディオテープなどの過去の資産が利用でき、

 現在実施中の授業との連続性のある利用が可能である。

・教官側から、学生の個別・グループ・全員のいずれの単  位に対しても、データ・映像・音声を双方向にやりとり

 できる。

・教材の配布や解答の回収など、授業支援機能を有する。

・データ共有やプリンタ共有など、コンピュータネットワ  ークとしての基本機能を有する。

・オープンなシステムであって、市販の多様なソフトウェ  アが利用できる。

・4.で述べた情報ネットワークシステムと接続して情報  交換できる。

 このような環境を実現することで、学生が一一一対一で教育

機器と常に向き合うような、新しい形態の授業を行える部

屋とするよう計画した。

(8)

 実際の仕様決定にあたっては、教育用パソコンの仕様と 情報ネットワークの機能を考慮しながら、マルチメディア ネットワークとしての仕様を絞り込んでいった。このシス テムは、コンピュータを専門とされない先生方も使われる ものなので、使いやすさが最優先される。このため、最終 的な技術仕様書としては、機器の性能を記載したものでな く、必要な機能を並べた機能仕様書になった。

5.3 導入システムの概要

 コンピュータ教育から一般科目までの幅広い利用へ対応 できるよう、テレビやビデオのような一般的なマルチメデ ィア機器から、コンピュータを使ったマルチメディア機能 まで、多機能性を持つ部屋となった。また、これまでの資 産を継承しながら、新しい. Xタイルの教育へ適合できるよ う配慮されている。Windows95とNetWare4.1Jの管理のもと に、CAIなどにも使える管理ソフトウェアを含んでいる。

なお、導入機器の設置される部屋の位置などから、盗難防 止のため警報装置が必要との判断から、別途予算措置をし ていただいて設置した。

(1)マルチメディアネット.ワーク

 アナログ系(CAI−ACEV3)とディジタル系(100BASE−

TX)の2系統があり、ディジタル系は4.のネットワー クに155Mbps−ATMで接続されている。2つ系統で伝送さ れている信号と、これらのネットワークを使って実現でき る機能とは、次のようになっている。

●ディジタル系

 スイッチングHUB(LANplex2500, LinkSwitch3000と追加モ  ジュール)

 100BASE−TX HUB(LinkBuilder FMSIOO)

 10/100BASE−TXアダプタ(Fast EtherLink)×49個 など  このネットワークの上でNetWareを動作させ、

  ・個別授業用教室構成機能

  ・教材ファイルの配布・回収・返却機能   ・グループ学習支援機能

  ・利用統計機能   ・モニタリング機能 などを実現している。

●アナログ系

 映像信号:アナログRGB信号+分離同期信号(帯域10

 Hz  一 50MHz)

 音声信号:ステレオ音声(帯域20Hz〜20KHz)

 制御用データ信号:RS−232C

 この伝送系は音声・画像の双方通信が可能であり、

  ・学生機の電源監視

  ・学生機の音声・画像の受信   ・教師機の音声・画像の送信   ・学生モデル機の音声・画像の送信

  ・ビデオ送信

  ・呼び出しと応答機能

  ・リモートキーとマウス共有およびマーキング機能 など、多彩な授業支援機能を実現している。

(2)パソコン

●ハードウェア構成

 FLORA1010DM(CPU:Pentium(100MHz),32MBメモリ,1GB H  DD,サウンドカード,CD一 ROM装置など)×49台  17インチディスプレイ×49台

 ネットワークプリンタ(XL−2000W)×3台

●ソフトウェア構成

 OSと管理ソフトウェア:Windows95, Netware 4.IJ, JOYNET  for Windows

 英語教材ソフトウェア:Micro−English(3タイトル)

 言語処理系:Visual C++Ver.4.0&1.51, WATFOR−77  ユーティリティ:ソフトPEG, MIFES for Windows Ver.2.0,

 Internet in a.box,チャレンジザタッチタイプなど

(3)マルチメディア関連機器

 衛星放送受信機能付きワイドテレビ(KV−24WT33)

 ビデオデッキ(SLV−RSI)

 ディジタルカメラ(GR−DV1)

 ステレオアンプ(AX一 603)とワイヤレスマイク  カセットデッキ(RS−TR4750)

 など

6. あとがき

 平成7年度に導入された教育用電子計算機更新システム

・キャンパス情報ネットワークシステム・教育用マルチメ ディアネットワークシステムの3つのシステムについて、

その概要について報告した。最新機能と現行の利用形態と の整合性を考慮しながら、3つのシステムの連携をとるよ う配慮して仕様策定にあたった。一方、システム整備にあ わせて運用管理体制の見直しが行われa)、 「電子計算機シ ステム運営委員会」と「電子計算機室」が「情報化委員会」

と「総合情報センター」とに改編された。

 平成8年4月から機器も組織も新たになり、学生教育に、

WWWによる情報公開に、地域協力のための公開講座に、

事務処理への利用にと、多方面の利用が始まったところで

ある。このように利用分野が従来に比べて大きく増え、機

器構成や利用方法も複雑になっている。このための環境設

定を検討したり5}、情報化委員会を含めて運用方針の議論

が進んでいる。しかし、ネットワーク設定における技術的

な問題や、情報公開における運用上の問題など、まだまだ

多くの課題が残されている。より安定で使いやすいシステ

ムとなるよう、これからも努力していきたい。

(9)

謝 辞

 本報告は、3つのシステムすべてに関与した筆者がまと めたが、当然多くの方々がシステム作りに関与しておられ ます。いちいち名前は挙げませんが、3つの仕様策定委員 会の委員と技術審査委員の皆様、用度係と施設係を中心と した事務部の皆様、貴重な情報を提供していただいた多く の業者の皆様に対し、この場を借りて厚くお礼申し上げま

す。

文 献

1)岡田・矢野:情報処理教育研究発表会論文集,11 (1991

−8) 4L

2)岡田・寺元・矢野:情報処理教育研究発表会論文集,13

(1993一 8) 31.

3)岡田:津山高専紀要,34(1994)7,         、 4)岡田・本元:情報処理教育研究発表会論文集,16(1996−

8) 62.

5) 寺元・日下・長井・岡田:情報処理教育研究発表会論文

集,16(1996−8)35.

参照

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