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(1)

修士学位論文

炭素繊維強化プラスチックスの 繰り返し熱応力負荷下における損傷

メカニズムの解明

指導教授 小林 訓史 教授

平成

29

2

14

日 提出

首都大学東京大学院

理工学研究科 機械工学 専攻

学修番号

15883309

氏 名 眞保 友彰

(2)

1緒言

1.1 背景 1

1.2 炭素繊維強化プラスチックス 1

1.3 電波天文衛星におけるCFRPの使用 2

1.4先行研究 2

1.5 研究目的 5

2理論

2.1 積層板理論を用いた理論弾性率算出 8 2.2積層板理論を用いた各層における応力算出 10 2.3 クラック発生時のエネルギー解放率算出 11

3実験方法

3.1 試験片 21

3.2 熱サイクル試験 23

3.3 表面観察 25

3.4 熱膨張率測定 26

3.5 三点曲げ試験 27

3.6 低温下における暴露試験 28

3.7 曲げクリープ試験 28

3.8有限要素解析 29

3.8.1 有限要素解析法を用いた伝熱解析 29

3.8.2有限要素解析法を用いたクラック発生模擬モデルによる弾性率低下率予測 32

4結果と考察

4.1 表面観察 33

4.1.1 トランスバースクラック密度結果 54

4.1.2 クラック開口変位 56

4.1.3 樹脂部表面の劣化について 58

4.2熱膨張率測定結果 59

4.3曲げ剛性測定結果 62

4.4 暴露試験結果 64

4.5 クリープ試験結果 69

4.6 有限要素解析法を用いた解析結果 69

4.6.1 温度分布解析結果 69

4.6.2 熱応力分布解析結果 72

(3)

4.6.3 クラック発生模擬モデルによる弾性率低下率予測結果 77

5結言 79

(4)

1

1

緒言

1.1

背景

近年,高解像度での宇宙観測技術開発が求められており,従来の地球から行 う天体観測に加え,宇宙空間においてより詳細な天体観測を行うことができる 衛星用アンテナの開発が重要となっている.しかしながら一般にミッションの 高度化に伴い,宇宙構造物は大型化が求められる傾向にあり,それによる重量 増加および寸法精度の低下が考えられる上に,打ち上げ時の寸法の制約から高 度な展開機構が要求されるため,展開構造の複雑化が不可避であり,結果とし て剛性低下を招く可能性がある.また真空中での運用となるため,宇宙空間に おけるアウトガスの寸法精度に与える影響も無視できない.つまりこれらの影 響による最終的なアンテナ観測精度の低下が考えられるため,部材には,高剛 性であり軽量であること,低吸湿性であることが求められる.これらの課題の 解決法として,人工衛星アンテナの放射リブ部分に対する比較的軽量である炭 素繊維強化プラスチックス

(CFRP)

の使用が挙げられる.

人口衛星を用いた宇宙観測計画の一例

[1]

として

JAXA

などにより打ち上げら れた電波天文衛星「はるか」や,その後計画された

ASTRO-G

計画などがあげら れる.

1.2

炭素繊維強化プラスチックス

炭素繊維は有機繊維を焼成して得られる炭素含有率が

90%

以上の繊維であり その特性は,製造方法、製造条件の違いで大きく変わる。原料,製造方法での 分類としてレーヨン系,ポリアクリロニトリル系,ピッチ系などに分けること ができる.炭素繊維は比重,比強度,比剛性に優れ高い力学的特性を示す他,

ほぼ炭素原子から構成されるため高い耐食性も示す.また一般に炭素繊維は繊 維のままの状態で使用するより樹脂などの母材に埋め込まれた複合材料として 使用され,炭素繊維強化プラスチックスと呼ばれる.

炭素繊維プラスチックスは,合金などと異なり,機械的に繊維と母材が分離 可能であるという特徴を持ち,母材樹脂,炭素繊維の選択また,積層構成の変 更によりその化学的特性,力学的特性を変化させ使用環境に応じて所望の特性 を得ることができ,それゆえ炭素繊維強化プラスチックスは設計できる材料と いわれる.そのため優れた製品を開発するためには,人工衛星などの最終的な 製品の設計者と部材である炭素繊維強化プラスチックスの設計者の連携が非常 に重要であるといえる.

(5)

2

1.3

電波天文衛星における

CFRP

の使用

電波天文衛星の放射リブ部の材料候補として比剛性の高い炭素繊維強化プラ スチックスを挙げることができる.

Figure 1.1

に放射リブ部の概略図を示す.放 射リブ部の運用中の化学的,力学的特性の低下は,構造上アンテナの曲率精度 に大きく影響し,結果として観測精度低下を招く.宇宙空間において運用され る電波天文衛星は,真空状態におかれ,また放射線に直接曝される.そのため 地球上で吸収した水分などが揮発するアウトガスと呼ばれる現象や放射線によ る材料の劣化が考えられる.その上,太陽光を直接吸収する日照時と,地球の 影に隠れる日陰時で熱サイクルを受けるため材料の内部で熱応力が繰り返し負 荷され,クラックが発生することが想定される.

本研究では,材料候補の炭素繊維強化プラスチックスの試験片に対して特に 熱サイクルが及ぼす損傷に焦点を当て研究を行った.

1.4

先行研究

炭素繊維強化プラスチックス積層板の熱特性に関する研究や,熱サイクルに よる積層板の損傷発生に関する研究例などを

Table 1.1

にまとめる.

[2]

では複合材料の熱膨張係数について,

[3]

では熱伝導率について検討している.

Yasir Nawebetal[2]

らは,使用部材である複合材料の熱膨張係数は,最終製品の性

能に大きく影響すると主張し,炭素繊維とエポキシ樹脂の積層構成

[0], [0/90], [

±

45]

の積層板の熱膨張係数を有限要素解析を行い算出し,実験値との良好な一 致を示した.また

M. W. Pilling[3]

らは,炭素繊維とエポキシ樹脂の積層構成

[0]

[90]

の単層板の熱伝導率を測定し,この実験値が既知である繊維の特性や理論モ デルに基づいて予測した理論値と一致することを示した.

Davide. Bowles[4]

らは,

大型の宇宙構造物への炭素繊維強化プラスチックスの使用のため,複合積層板 の熱膨張係数への微視クラックの影響を評価した.また解析的結果と実験的結 果を併用して,クラックが積層板の剛性に与える影響についても評価した.ま ずクラックのないモデルでの有限要素解析を用いた熱膨張係数予測結果が,積 層板理論から計算される熱膨張係数と一致することを示し解析の妥当性を示し た.その後,層にクラックを想定したモデルを作成し,クラックを有する積層 板での熱膨張係数変化の予測や,クラックによる各層の剛性低下を考慮した理 論計算を行った.その結果

90º層の剛性低下とそれによる熱膨張係数への影響予

測が難しいことや,0º層の損傷は積層板軸方向の熱膨張係数に影響すること,

90º層の損傷が熱膨張係数にあたえる影響が大きいことを示した.これらの研究

から,使用する炭素繊維強化プラスチックス積層板の熱膨張係数,熱伝導率を 正確に評価し,所望の熱特性を有する炭素繊維強化プラスチックス積層板を設 計すること,および使用環境下において熱特性がどのように変化していくのか

(6)

3

を正しく評価することは,最終製品の性能および長期耐久性を決定する上で重 要であると言える.特に本研究で対象とする,高温,低温下に繰り返しさらさ れるような,熱サイクル環境下で使用される炭素繊維強化プラスチックス積層 板においてこれらの因子を知ることは,運用中の損傷発生の主な原因と予想さ れる部材内部での熱応力値のより正確な予測を可能とするため,本研究におい ても重要な因子であると言える.

Stephen S Tompkins[5]

らは熱サイクルを負荷さ れた試験片における,クラック密度変化および熱膨張係数に対して積層板の層 厚さがあたえる影響を研究している.層が薄い試験片では,クラック発生層に 対する隣接層からの拘束が強く.これにより層の引張が制限されるためサイク ル初期のクラック増加が妨げられる.しかしながらサイクル後期での応力緩和 が発生しないため,サイクル後期にクラックが急増するとしている.また,熱 サイクルを繰り返すことにより,熱膨張係数が減少することも示しており特に 厚い試験片では低下が急激に発生するとしている.

R. C. Givler[6]

らはエポキシ を母材とした炭素繊維積層板において,熱サイクルを負荷するとクラック密度 が増加することを示した上に熱膨張係数の違いから,繊維と母材の界面でのは く離が予測されるとしている.また,各環境温度において積層板の

90º

層内,

45º

層内において発生する熱応力の算出を,熱膨張係数が温度とともに線形的に変 化することを仮定したモデルと一定であるモデルの双方に対し行った.その結 果,温度による熱膨張変化を考慮したモデルでの熱応力算出値が高いことを示 したがその差はわずかであった.

C. Henaff Gardin[7]

らは機械疲労と熱疲労を負 荷した際に発生する炭素繊維強化プラスチックスにおける母材クラック進展の 特徴を比較し,

90º

層内においてどちらの条件でも最終的なクラック密度はほぼ 一致するが,熱疲労により発生するクラックはサイクル初期において多くみら れる事を示した.

Ceelia H.Park[8]

らは,複合積層板の熱による損傷の予測方法の 検討及び実験的検討を行った.

shear-lag

モデルを用いてクラック発生により解 放されるひずみエネルギーについて議論し材料の破壊臨界エネルギーをエネル ギー解放率が上回った際に新たなクラックが形成されるとしクラック発生基準 となることを示した.また端部付近において

45 º

層のように角度を持つ層は,

自由縁付近の低い横方向応力のためクラック発生が少ないことも示した. M.

C.Lafarie-Frenot[9]らは八角形に切り出した試験片を用いて,熱サイクル下での炭

素繊維強化プラスチックス積層板の損傷への自由縁層内応力の影響を研究し,

八角形の試験片において,端面の角度と繊維配向角の相間関係及び層の位置に よるクラック発生数への影響が大きいことを示した.D. S. Forsyth[10]らは,熱 疲労させた炭素繊維強化プラスチックスに対して超音波測定や

SEM

観察を行い,

疲労後の試験片での,超音波減衰や,樹脂と繊維のはく離の発生を示した.K.

Biernacki[11]らは,繊維と樹脂のモデルを作成し,熱疲労化における繊維と樹脂

(7)

4

の相互作用を検討した.

John F. Timmerman[12]

らは,強化剤として母材のエポキ シにジシアンジアミド,ジウロンを加えた際に構造の柔軟化が発生し,これに よるガラス転移温度低下,熱疲労により発生するクラックの増加が起こること や,高弾性率繊維の使用が発生するクラック密度増加につながることも示して

いる.

H.Zrida[13]

らは熱疲労により発生する複合積層板のクラックと,高温下だ

けに曝される熱エイジングにより発生するクラック発生をそれぞれ分析し,熱 サイクルにおいて発生するクラックの一部は,熱エイジングによるものである としている.また観察結果を,有限要素解析や線形破壊力学を用いて考察して いる.これらの研究から熱サイクルによる複合積層板内部での損傷発生の原因 には,積層構成,母材樹脂と繊維の組み合わせなどが大きく影響しているとい え,またそれに伴う剛性低下や熱膨張係数変化を予測,測定,考察することが 重要であるといえる.

熱サイクルを原因としたクラックに限定せず,積層板内に発生するクラック やはく離についてその発生メカニズムの考察も行われている.

T. Kevin O’Brien[14]

は多くの複合積層板において剛性低下が,層間はく離を原

因とする可能性を示している.

Jhon A. Nairn[15]

らは,炭素繊維強化プラスチッ クスのクラックを積層板内における応力分布の計算を

shear-lag

モデルを使用せ ずに予測する方法の提案をしており,より厳密なひずみエネルギー解放率の解 析のため,残留熱応力の考慮がなされており,また,クラックが生じた複合材 における熱膨張係数変化も考慮している.しかしながら検証には更なる実験デ ータが必要としている.

Janis Varna[16]

は,線形破壊力学解析を用いてクラック の発生と進展について考察し,厚い層に対しては強度に基づいた解析を行い,

薄い層に関しては破壊力学を用いて考察した.

S. C. Tan[17]

らは,

2

次元モデル を用いて,エネルギーバランスの考慮に基づいた破壊基準を用いた応力解析を おこない,実験から決定されるパラメータを導入し積層板内のクラック発生に ついて考察した.

Z. Hashin[18,19]

らは層の厚さにわたって負荷方向に垂直な応 力は一定であるという仮定にたった上で,クラックが発生する積層板に対して,

つり合い条件や境界条件を満たす応力場を構成し,最小コンプリメンタルエネ ルギーの原理に基づいて剛性低下や応力の決定を行う,多様なアプローチを示 した. 以上から複合積層板のクラック発生メカニズムの解明には,各複合積層 板に対して実験と解析を組み合わせて用いた様々な検証が必要であるといえる.

本研究では,ポリシアネートエステルを用いた

CFRP

においても先行研究で 示された熱サイクルによる損傷挙動が示されるかを実験的に検証した.特に

90º

層に着目し,熱サイクルがクラックなどの微視的損傷挙動,またそれに伴う曲 げ剛性,熱膨張係数といった運用時のアンテナの精度に影響をもたらす因子を 評価することを目的とする.また,クラック発生メカニズムの解明のため,有

(8)

5

限要素解析を用いた伝熱解析も行った.

1.5

研究目的

本研究の目的は,電波天文衛星の放射リブ部の部材の候補として低吸湿性,

低アウトガス性で知られるポリシアネートエステルを用いた炭素繊維強化プラ スチックスを挙げ,この試験片に対し熱サイクル試験を行い,各サイクルでの 弾性率測定,クラック密度測定,軸方向熱膨張係数測定を行うことにより,試 験片の長期耐久性評価を行うことである.具体的には,トランスバースクラッ クや層間はく離などの応力伝達を妨げる損傷に着目しこれらの発生を評価した.

また運用時に長期曲げ負荷を受けるためクリープ試験を行いクリープ特性評価 を行った.また熱サイクル中に発生する部材内部での温度分布や,部材端部で のエッジ効果がクラック発生に与える影響を考察し熱サイクルによって発生す る損傷メカニズムの解明のために,有限要素解析法を用いた伝熱解析ならびに 伝熱解析の結果出力される温度分布を入力とした熱応力解析を行い,冷却過程 で発生する熱応力を評価した.

(9)

6

Figure 1.1 Schematic of ASTRO-G.

Radial Ribs

Peripheral Cable

Peripheral Stand-Off Deployable Truss

Tie Cables Hoop Cables

Center Stand-Off

Main reflector

(10)

7

Table 1.1 Previous Works for Thermal Fatigue or Thermal Property of Composites.

Fiber

Orientation Matrix/Fiber Temperature Number of Cycles

Reference Number

[0], [0/90], [±45] Epoxy/Carbon 20~220 - [2]

[0], [90] Epoxy/Carbon 80~270 K - [3]

[0

m

/90

n

]

s

, [0/

±

45/90]

s

, [0/90/

±

45]

s

Epoxy/Carbon 25~150 - [4]

[0/90/0/90]

s

, [(0/90)

10

]

s

Epoxy/Carbon -156~121 1500 [5]

[0

GL5

/0/45/-45/0/45/90/

-45/0/45/-45/0]

s

Epoxy/Carbon -54~177 1000 [6]

[0

3

/90

3

]

s

, [90

3

/0

3

]

s

Epoxy/Carbon -50~150 500 [7]

[0

2

/90

2

]

s

, [0/90/0/90]

s

,

[0

2

/

±

30]

s

, [0/45/90/-45]

s

,

[0/90/

±

45]

s

[0

2

/45

2

/90

2

/-45

2

]

s

Epoxy/Carbon -157~RT 1 [8]

[0

3

/90

3

]

s

, [+45

3

/-45

3

]

s

[90

3

/0

3

]

s

Epoxy Amine

/Carbon -50~150 1000 [9]

unidirectional

Vinylester /Carbon Vinylester

/Aramid Polyphenylenesul

phide /Aramid

about

-35~80 Over1800 [10]

unidirectional Polyester

/Stainless -25~50 1500 [11]

[0

3

/90

3

]

s

Epoxy/Carbon -150~60 5 [12]

[(+45/-45)(90/0)]

2s

Polyimide/Carbon -60~RT

-60~288 150 [13]

(11)

8

2

章 理論

2.1

積層板理論を用いた理論弾性率算出

複合積層板は,積層構成を選択することにより所望の特性を得ることができ る材料である.積層板の各層に注目するとそれぞれが異なった配向角を持つた め,各層は試験片軸方向の曲げや引張に対して異なった応答を示し,標準座標 系に対する各層の剛性は異なる.まず,試験片軸方向に対し平行に繊維が配向 する層

(0º

)

の剛性行列を考える.剛性行列

Q

(1)

式で定義することができる.

 

 

 

 

 

 

 

 

T L T L

LT T L

Q

γ

ε ε

τ σ σ

(1)

ここでは,試験片長さ方向に

x

軸,幅方向に

y

軸とし,繊維方向

L

軸,繊維 方向に直角方向を

T

軸と定義した.

σ

L

σ

T

τ

LTはそれぞれ

L

方向にかけた応力,

T

方向にかけた応力,せん断応力であり,

ε

L

ε

T

γ

LTはそれぞれ

L

方向ひずみ,

T

方向ひずみ,せん断ひずみである.

次に各層が任意の配向角で積層されている際には応力の座標変換等を用いる

(2)

式で剛性行列を表現できる.

ただし,

(2)

式は,

(3)

(13)

式の関係を用いた.

 

 

 

 

66 26 16

26 22 12

16 12 11

Q Q Q

Q Q Q

Q Q Q

Q

(2)

4 22 2 2 66 12 4 11

11 Q l 2(Q 2Q )l m Q m

Q (3)

2 2 66 22 11 4 4 4 12

12 Q l (l m ) (Q Q Q )l m

Q (4)

4 22 2 2 66 12 4

11

22 Q m 2(Q 2Q )l m Q l

Q (5)

3 66 12 22 3

66 12 11

16 (Q Q 2Q )l m (Q Q 2Q )lm

Q (6)

) (

) 2 2

( 11 22 12 66 2 2 66 4 4

66 Q Q Q Q l m Q l m

Q (7)

cos

l

(8)

sin

m

(9)

) 1

11 EL/( LT TL

Q    (10) ) 1

22 ET/( LT TL

Q    (11) ) 1

12 LTET /( LT TL

Q    (12)

(12)

9 GLT

Q66 (13)

ここで

:配向角, E

L

:0º層の繊維方向弾性率, E

T

:0º層の繊維方向と垂直方向の

弾性率,

LT

:ポアソン比(L

方向に引張ったときの

T

方向の収縮の割合),

TL

:ポアソン比(T

方向に引張ったときの

L

方向の収縮の割合),

G

LT

:せん断弾性係数である.

以上から任意の配向角の剛性係数を計算できることが示された.次に積層板 の剛性係数を考える.積層板の積層方向に

z

軸を定義し

z

軸原点を板厚の中心に とるとする.ここで

z

軸原点から

k

番目の層までの距離を

z

kと定義すると応力 を板厚にわたって積分した合応力

N

(14)

式で定義できる.上付き

(k)

k

番目の 層を示す.

 

 

 

 

 

 

 

 

n

k k

xy k y

k x k k xy

y x

z z N

N N

1 ( )

) (

) (

1) (

τ σ σ

(14)

n:

層数 よって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

n

k

xy y x

k k

k xy

y x

Q Q Q

Q Q Q

Q Q Q z z N

N N

1

66 26 16

26 22 12

16 12 11 1) (

γ ε ε

(15)

となり

(13)

10

 

 

 

 

n

k

k k

k

Q Q Q

Q Q Q

Q Q Q z z A

1

66 26 16

26 22 12

16 12 11 1)

( (16)

とおくと

(17)

A

を積層板の面内剛性係数とよぶ

また

A

を積層板の板厚

t

totalで除すと積層板の剛性係数となる

A/t

total

=Q

LAM (18)

と定義すると

Q

LAMは積層板の剛性係数である.

積層板の剛性は

Q

LAMの逆行列をとり,

(1,1)

成分の逆数で算出される.

2.2

積層板理論を用いた各層における応力算出 各層の熱膨張係数を算出すると式

(19)

となる.

 

 

 

 

 

 

 

 

) (

2

2 2

2 2

T L

T L

T L

xy y x i

lm

l m

m l

(19)

x

:試験片 x

方向の熱膨張係数,

y

:試験片 y

方向の熱膨張係数,

xy

:試験片 xy

方向の熱膨張係数,

L

:

繊維の繊維方向の熱膨張係数,

T

:

繊維の繊維方向と垂 直方向の熱膨張係数

各層の厚さを

t

とおき,(16),(18)より

 

 

 

 

 

 

 

 

xy y x

xy y x

A N

N N

γ ε ε

(14)

11

積層板全体の剛性係数は.

n total

LAM

t Q t

Q

1

/

(20)

とかける.

各層の熱膨張係数と各層の剛性係数をそれぞれ内積して足し合わせたものと 積層板全体の熱膨張係数と積層板全体の剛性を内積したものは等しいため 積層板全体の熱膨張係数を算出すると

(21)

となる.

 

 

 

LAM

n k total

LAM

Q t Q t

1

1

 /

(21)

各層の熱応力の値を算出すると

(22)

となる.

T Q

LAM

k

 (   )

(22)

T :応力フリー温度と実験温度との温度差

n:

層数

2.3

クラック発生時のエネルギー解放率算出

[8]

試験片の各層においてクラックが発生した際にひずみエネルギーが解放され る.シアラグモデルを使って,発生するクラック表面の単位面積当たりのエネ ルギー減少率を算出しクラックが発生した際に解放されるエネルギーを定量的 に評価することができる.シアラグモデルを

Figure 2.1

に示す.

(15)

12

Figure 2.1 Schematic View of Shear-lag Stress Model.

Figure 2.1

における灰色部はクラック発生層を表し,白部は隣接層であり全て

の層は完全接着していると仮定される.また,本モデルにおいて,層間の接着 部では

x

方向のせん断応力のみ伝えるものと仮定する.下付きの

c

はクラック 層,

r

は隣接接着層を示す.

有効せん断剛性 結合している層間での

: K

:

変位

u

せん断応力

:

q

:

引張応力

熱膨張係数

 :

:

剛性係数

E

度差 応力フリー温度との温

:

T

q

q

r

c

' dx ' dx d

c

c

  

r

a

c

2

r

/ a

2

r

/ a

' dx ' dx d

r

r

  

' dx ' dx d

r

r

  

'

dx

(16)

13

力のつり合いから

(23)

(24)

(25)

また応力と変位の関係からひずみは

(26)

(27)

(28)

よって

(23)

(28)

から

(29)

両辺

dx`

で微分して

(30)

(30)式に(26)式,(27)式を代入して

(31)

よって

' 2 dx

d q a

c

c

' 2 dx

d q a

r

r

2 2

' ) 2

' ( '

dx d a dx du dx

K du

c r c

c

 0

c c

r

r

aa

dx T du

E

c

c c

c

   

' dx T du

E

r

r r

r

   

'

u

c

u

r

K

q  

' ) 2

( dx

d u a

u

K

c r c

c

2 2

' ) 2

( )

( dx

d T a

K E E T

K

r c c

r r c

c

c

   

      

(17)

14

(32)

(25)

式を用いて

(33)

(34)

となる

ここで以下

(35)

(36)

を定義する.

(35)

(36)

(35)

(36)

式から

(34)

式は

(37)

式となる

(37)

(37)式をσ

cについて解くと一般解は

(38)

  T

a K E

E a

K dx

d

r c c r

r c c c

c

    

 

 

    

 2 2

'

2

2

  T

a K E

E a

K dx

d

r c c c r r c c r r

c

    

 

 

     

 2 2

'

2

2

  T

a K E

E a a

E a E K a dx

d

r c c c c r c r

c c r r

c

    

 

 

   

 2

'

2

2

2

 

c r r

c c r r c

E E a

E a E a Ka

2

 

  T

a K

r c c

  

2

 

c c c

a dx d

2 2 2

2

4

'

2 2

4 ' cosh 2 '

sinh 2

 

 

c

c c

c

a a

B x a

A x  

 

 

 

 

 

(18)

15

となる

(38)

式に代入し

(39)

(35)

(36)

から

(40)

よって

(41)

(25),(41)式から

(42)

より

境界条件

c

0,x'

 

h

2 0 sinh

2   

 

a

c

Ah

0 A

 

 

 

c c

a h B a

 

cosh 2 1 4

2

2

2 2 2

2

4 ' cosh 2 cosh 2

1

4 

 

 

c

c c

c c

a a

x a

h

a   

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

  

 

 

 

 

 

   

T

E a E a

E E a E

a E a Ka

E E a T a

a a K

r c c c r r

c r r c

c r r c

c r r c

r c c

c

   

 2

4 2

4

2 2

2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

c c r

c c c r r

c r r c

a h a

x E T

a E a

E E a

 2

cosh ' cosh 2 1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

c c r

c c c r r

c r c c

r c r

a h a

x E T

a E a

E E a a

a

cosh 2

'

cosh 2

1

(19)

16

(23)

(24)

(41)

式から

(43)

また単位面積当たりのエネルギー減少率は

(44)

式で表される

(44)

とすると

(45)

(46)

となる

新しいクラックは,すでに存在するクラックの中央に発生すると仮定し その際の応力は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

c c r

c c c r r

c r r

a h a

x E T

a E a

E E q a

cosh 2 ' sinh 2 1

ルギー減少率 単位面積当たりのエネ

1

: G

a

c

U G

1

  W  

) 0 (

:

クラック形成時の外部仕事 機械的荷重負荷による仕事がない場合

W

ひずみエネルギー変化

:

U

ルギー 応力によるひずみエネ

クラック発生前の引張

: U

ネルギー 断応力によるひずみエ

クラック発生前のせん

q

: U

h

h c

c c h

h r

r r h

h c c c h

h r r

r

dx

E dx a

E dx a

dx a

U a '

' 2 ' 2

' 2 2

2

2

 

h

h

q

dx

K

U q '

2

が外れ つの界面を考慮し係数

1 2

2

(20)

17

(47)

(48)

(49)

h:

すでに存在するクラックと新しく発生するクラック間距離

エネルギーは

(50)

(51)

(52)式で G

1を表すことができ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

c c r

c c c r r

c r r c

a h a

x E T

a E a

E E a

cosh '' cosh 2

*

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

c c r

c c c r r

c r c r

a h a

x E T

a E a

E E a

cosh '' cosh 2

*

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

c c r

c c c r r

c r r

a h a

x E T

a E a

E E q a

cosh '' sinh 2

*

1

断応力 クラック発生後のせん

: q

応力 クラック発生後の引張

:

/2

2 /

2

* 2

/

2 /

2

*

*

'' ''

h

h c

c c h

h r

r

r

dx

a E E dx

a

U  

''

2 /

2 /

2

*

*

h

h

q

dx

K U q

ネルギー 断応力によるひずみエ

クラック発生後のせん

: U

q

ルギー 応力によるひずみエネ

クラック発生後の引張

*

:

U

(21)

18

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

h

h

c c

c c h

h

c c

c c

r c c c r r

c r r

dx a

h a

x

a h a

x

dx a

h a

x

a h a

x E T a E a

E E G a

' cosh 2

' sinh 2 cosh 2

' cosh 2 1

'' cosh

'' sinh 2

cosh '' cosh 2 1 2

2

2 2

2 /

2 /

2 2

2 2 1

(52)

(41)(42)(43)

(45)(46)

(47)(48)(49)

(50)(51)

に代入し

(52)

式を書き直すと

(53)

となる

(53)

ここで

とおき

各項を計算し

q q

c

U U U a U

G

1

  1

*

 

*

 

 

 

2 2

2

8

sinh 4 2 2

sinh 16

1 2 8 ' cosh 2

' cosh 2

1 m

a h a

m h h m

dx a

h a

x

c c

c h c

h

c

c



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

a

c

m 2  h cosh

 

 

 

a

c

Mh

cosh

Figure 2.1 Schematic View of Shear-lag Stress Model.
Figure 3.3 Schematic View of TMA .
Figure 3.4 Schematic of 3-point bending test.
Figure 3.5 Schematic of Creep test jig.
+7

参照

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