別紙様式1(修 士 申請者用)
修 士 学 位 論 文
回復 期 リハ ビリテ ー ション病 棟 にお ける 認 知 症 お よび 認 知 症 疑 い の ある患 者 の
転 帰 先 に関 わ る影 響 因 子
(西 暦)2019年12月25日 提 出
首都 大学東京 大学院
人 間健康 科学研究科 博 士前期課 程 人 間健康科学 専攻 イ}勅 鰍 針 学域
学 修 番 号:18896710
氏 名:横 山 雄 一
(指 導 教 員名:小 林 隆 司 教 授)
要 旨
本 研 究 の 目的 は,脳 血 管 疾 患 等 を 除 い た 整 形 疾 患 や 廃 用 症 候 群 に よ り回 復 期 リハ 病 棟 に 入 棟 され た 患 者 に つ い て,認 知 症 お よ び 認 知 症 疑 い の あ る 患 者 の 転 帰 先 へ の 影 響 因 子 を 明 らか に す る こ と で あ る.回 復 期 リハ 病 棟 入 棟 か ら退 院 ま で の 間 に 実 施 さ れ たMMSEの ス コ ア が23点 以 下 の 患 者 を研 究 対 象 者 と した.基 本 属 性,認 知 機 能 関 連 項 目,FIM関 連 項 目 を 対 象 者 の 電 子 カ ル テ や 紙 カル テ,セ ラ ピ ス トの 報 告 書 に よ る デ ー タ か ら抽 出 し,転 帰 先 を 「自 宅 群 」「 施 設 群 」の2群 に 分 け,統 計 解 析 を行 った.退 院 後 の 転 帰 先 が 「自 宅 群 」130名(69.1%),
「 施 設 群 」58名(30.9%)と な り,2群 間 比 較 に お い て 統 計 学 的 に 有 意 差 が 認 め られ た 項 目 を 説 明 変 数 と して ス テ ッ プ ワ イ ズ 多 重 ロ ジス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 を行 っ た.そ の 結 果,移 動 手 段 と記 憶 障 害 が 特 に 重 要 な 因 子 と して 抽 出 され た 、作 業 療 法 士 と して,対 象 者 の 認 知 症 状 を 評 価 し,チ ー ム や 家 族 と共 に 支 援 環 境 を 整 え て い く重 要 性 が 示 唆 さ れ た.
キ ー ワ ー ド:回 復 期,認 知 症,転 帰 先
1.は じめ に
近 年,人 口 の 高 齢 化 に 伴 い 身 体 障 害 領 域 の 回 復 期 リハ ビ リテ ー シ ョン 病 棟(以 下,回 復 期 リハ 病 棟)'で は 認 知 症 を 合 併 した 患 者 が 増 加 して い る.厚 生 労働 省 に よ る 平 成28年 度 入 院 医 療 等 に お け る 実 態 調 査1)で は,回 復 期 リハ 病 棟 に お い て 認 知 症 患 者 の 割 合 は28%で あ っ た.ま た,未 回 答2%,未 受 診20%,認 知 症 と診 断 され て い な い軽 度 認 知 障 害(mildcognitive
impairment=以 下,MCI)を 呈 す る 患 者 も考 慮 す る と,認 知 機 能 低 下 の あ る 患 者 の 割 合 の 多 さ が 浮 き彫 り とな り,支 援 の 重 要 性 が 伺 え る.
増 加 す る 認 知 症 患 者 に 対 して,対 象 者 が 住 み 慣 れ た 地 域 で 生活 を継 続 す る 為 に は,医 療 や 介 護 及 び 生 活 環 境 を 整 え る支 援 が 必 要 で あ る.そ の 為 に は,入 院 中 か ら対 象 者 個 々 の 認 知 状 況 に 合 わ せ た 支 援 を チ ー ム で 検 討 し,家 族 の 協 働 を 得 な が ら生 活 支 援 を行 う こ とが 重 要 で あ る 、 しか し,認 知 症 を 抱 え る 対 象 者 は,中 核 症 状 な どの 症 状 や 生 活 歴,性 格 な ど の 様 々 な 要 素 を 背 景 に,周 辺 症 状(BehavioralandPsychologi.eaISymptomsofDementia:以 下 BPSD)が 見 られ る場 合 も あ る.特 にBPSDは 対 象 者 の 背 景 因 子 に よ り出 現 す る 症 状 が 異 な り,
介 護 者 だ け で な く リハ ビ リテ ー シ ョ ン に お いて も対 応 に 苦 慮 す る こ とが 多 く,在 宅 復 帰 支 援 の 難 し さ を 実 感 して い る.一 方,回 復 期 リハ 病 棟 で は2016年 度 の 診 療 報 酬 改 定2)に お い て.FunctionalIndependenceMeasure(以 下,FIM)を 指 標 と した ア ウ トカ ム 評 価 が 導 入 さ れ て お り,FIMの 向 上 や在 宅 復 帰 率 を 重 要 課 題 と しな が ら,患 者 の 在 宅 復 帰 に 向 けた 日常 生 活(AGtivltiesofDailyLiving=以 下,ADL>支 援 が な され て い る.し か し,FIMの 点 数 向 上 に 固 執 し た 取 り 組 み が 増 加 す る 懸 念 も あ り,退 院 後 の 手 段 的 日 常 生 活 活 動 (InstrumentaIActivitiesofDaiiyLiving:以 下,iADL)支 援 や 余 暇 活 動 な どの 作 業 活 動 生 活 支 援,並 び に 対 象 者 個 々 に 対 す る環 境 支 援 が 疎 か に な る危 険 性 を秘 め て い る.そ の 為, 回 復 期 リハ 病 棟 に お い て 増 加 す る認 知 症 患 者 に 対 し,重 要 と な る 支 援 方 法 に つ い て 改 め て 検 討 す る必 要 が あ る と思 わ れ る.
そ こ で,回 復 期 リハ 病 棟 に お け る 認 知 症 合 併 患 者 の 転 帰 先 に 関 わ る 影 響 因 子 に つ い て,
FIMと の 関 連 性 や 重 要 な 因 子 を 調 査 した.先 行 研 究 で は,脳 卒 中 患 者 を 中 心 に,整 形 疾 患 や
廃 用 症 候 群 の 患 者 に 対 し,転 帰 先 に 影 響 す る因 子 に 関 す る文 献 が 多 数 存 在 して い た が,認 知
症 の み に 焦 点 を 当 て た 文 献 は 殆 ど 見 当 た らな か っ た.そ の為 認 知 機 能 に 関 連 す る評 価 を 含 め て 分 析 を 行 っ て い る 文 献 を 調 査 した 結 果,重 要 因 子 と して 年 齢4)・1。)やFIMの 運 動 項 目5)・6), F1Mの トイ レ移 乗7)・8),移動 手 段 が 歩 行 で あ る こ と10),FIMの 認 知 項 目4)・14),入院 前 の 日 常 生 活 自立 度1'1)・14),栄 養 障 害13),同 居 家 族 人 数4)・9),認 知 症 の 重 症 度9)・1t)な どが 挙 げ られ て い る1そ の 一 方 で,同 居 家 族 人 数14)・15),移動 手 段14)・15)な ど,転 帰 先 に 影 響 が な い と報 告 さ れ て い る 文 献 も 散 見 され て い る.
先 行 研 究 に お け る 問 題 点 に つ い て,認 知 症 ま た は 認 知 症 疑 い の 患 者 と高 次 脳 機 能 障 害 患 者 の 混 在 化 が 挙 げ られ る.脳 卒 中 後 の 高 次 脳 機 能 障 害 に お け る症 状 は 多 岐 にわ た り,症 状 は 進 行 せ ず 程 度 に よ って は 回 復 す る 場 合 も あ る 為 認 知 症 と は 区 別 を して考 え る必 要 が あ 惹 そ の 為,そ れ ら を 一 括 りに 調 査 す る と,ど の よ うな 認 知 症 状 が よ り影 響 を 与 え るの か 判 別 し に くい 危 険 性 を 秘 め て い る.そ し て 認 知 症 の 中 核 症 状 や 周 辺 症 状 を 考 慮 され た 文 献 も 見 当 た らず,具 体 的 な 認 知 症 状 が 転 帰 先 に どの よ う な 影 響 を 与 え て い る の か は 定 か で は な い.身 体 機 能 面 に 関 して も,脳 卒 中 患 者 は そ の 重 症 度 に よ り意 識 障 害 や 運 動 麻 痺,感 覚 障 害 な ど の 差 が 大 き く,同 一 疾 患 で 括 る 場 合 も障 害 の 度 合 い に 差 が 大 き い可 能 性 が あ る.こ れ らの 影 響 に よ り,文 献 に よ っ て転 帰 先 に 関 す る 影響 因 子 に 差 異 が 生 じて い た と考 え られ る.
そ こで,本 研 究 の 目的 と し て 「回復 期 リハ 病 棟 の 入 院 患者 に つ い て,脳 血 管 疾 患 等 を 除 い た 整 形 疾 患 や 廃 用 症 候 群 に よ る 入 院 患 者 に つ い て,認 知 症 お よ び 認 知 症 疑 い の あ る 患 者 の 転 帰 先 へ の 影 響 因 子 を 明 らか に す る こ と」と した.本 研 究 を実 施 す る こ と で 認 知 症 お よ び 認 知 症 疑 いの あ る 患 者 に 対 し,自 宅 退 院 に向 け て 必 要 な 支 援 方 法 や 問 題 点 の 明 確 化,作 業 療 法 士 と して 対 象 者 が 住 み 慣 れ た 地 域 で 自 分 ら し く暮 ら し続 け る 為 の 一 助 と な る と考 え られ る.
皿、 研 究 方 法 1.対 象 者 の 基 準
対 象 者 は,研 究 代 表 者 の 所 属 す る 回 復 期 リハ 病 棟 に 整 形 疾 患 ま た は 廃 用 症 候 群 の 診 断 名 で 入 棟 した 患 者 の う ち,2014年4月1日 か ら2018年3月31日 ま で に 退 院 され た 患 者 と し た.そ の う ち 回 復 期 リ.ハ病 棟 入 棟 か ら退 院 ま で の 間 に 実 施 さ れ たMini‑MentalState Examination(以 下,MMSE)の ス コ ア が23点 以 下 の 患 者 を研 究 対 象 者 と した.
2.対 象 者 の 除 外 基 準
本 研 究 で は,以 下 に該 当 す る 対 象 者 を除 外 対 象 と した.
(1)既 往 歴 に 脳 卒 中 や頭 部 外 傷,脳 腫 瘍,正 常 圧 水 頭 症,低 酸 素 脳 症 を 含 む 者
(2)入 院 前 の 生 活 拠 点 が 特 別 養 護 老 人 ホー ム,・介 護 老 人 保 健 施 設,介 護 療 養 型医 療 施 設,有 料 老 人 ホ ー ム に 該 当 す る 者
(3)入 棟 〜 退 院 の 間 で病 状 の 急 変 な ど に よ り転 棟 や 転 院 され た 者
④ 電 子 カ ル テ や 紙 カ ル テ の 入 力 デ ー タ に 欠 損 が あ る者
3.本 研 究 に お け る 対 象 者 の 定 義
本 研 究 で は 戸 建 て や マ ン シ ョ ン 等 の 集 合 住 宅,サ ー ビス 付 き 高 齢 者 住 宅 に退 院 さ れ た 対
象者 を 自 宅 群 と して 扱 い,特 別 養 護 老 人 ホ ー ム や 介 護 老 人 保 健 施 設,介 護 療 養 型 医 療 施 設,
有 料 老 人 ホ ー ム に退 院 され た 対 象 者 を 施 設 群 と して 扱 っ た.
4.研 究 デ ザ イ ン
研 究 デ ザ イ ン は 後 ろ 向 き コ ホ ー ト研 究 で あ る.研 究 代 表 者 の 所 属 す る 回復 期 病 棟 に 入 棟 され た 患 者 に つ い て,本 研 究 の 対 象 基 準 を 満 た した 患 者 に つ い て 電 子 カ ル テ や 紙 カ ル テ,担 当 セ ラ ピス トの 報 告 書 か らの 情 報 を収 集 し,不 足 情 報 は 担 当 セ ラ ピ ス トか ら直 接 聴 取 した.
5.調 査 項 目
対 象 者 の 電 子 カ ル テ や 紙 カ ル テ,セ ラ ピ ス トの 報 告 書 に よ る デ ー タ か ら後 方 視 的 に 調 査 した.調 査 項 目は,先 行 研 究 に て 転 帰 先 に影 響 す る 因 子 で あ る と報 告 され て い た 項 目 を 中 心 に,認 知 症 状 の 影 響 を調 査 す る 目的 と して 新 た に 認 知 症 治 療 薬 の 有 無 や 認 知 症 の 中核 症 状, BPSD.'を 追 加 、 対象 者 の 基 本 属 性 と して 年 齢,性 別,診 断 名,同 居 家 族 人数,住 宅 改 修 の 可 否,退 院 時 の 介 護 認 定 状 況,退 院 時 の ア ル ブ ミ ン(以 下,"Alb)値,退 院 後 の 移 動 手 段 を調 査 した.対 象 者 の 認 知 機 能 に 関 連 す る 項 目 と してMMSE,認 知 症 治 療 薬 使 用 の 有 無,認 知 症 の 中 核 症 状(記 憶 障 害,見 当 識 障 害,実 行 機 能 障 害,理 解 ・判 断 力 の 障 害),BPSD(失 語, 失 行,失 認 睡 眠 障 害,暴 言 暴 力,俳 徊,拒 絶,過 食 ・異 食,不 潔 行 為,不 安 ・焦 燥,抑 う つ ・ア パ シ ー,幻 覚,妄 想)を 調 査 した.そFIMに 関 連 す る項 目 と して 入 棟 時 と退 院 時 そ れ ぞ れ のFIM各 運 動 項 目 や 認 知 項 目,合 計 点 数,利 得(退 院 時FIM‑一 入 棟 時FiM>を 抽 出 した.
6.分 析 方 法
本 研 究 で は 転 帰 先 を 「自宅 群 」 「 施 設 群 」の2群 間 で 基 本 情 報,認 知 機 能 関 連 項 目,FIM関 連 項 目 を 比 較 した.此 較 の 際 に は,Shapiro‑wilk検 定 の 結 果 に応 じてt検 定,襯ann‑Whitney のU;'検定 を 選 択 し,カ テ ゴ リ カ ル デ ー タ比 較 に1まX2検 定(Fisherの 直 接 確 率 法 〉 を使 用 し た.そ して 転 帰 先 を 目 的 変数 と して,ス テ ッ プ ワ イ ズ 多 重 ロ ジス テ ィ ック 回 帰 分 析 を行 い, 説 明 変 数 に は2群 間 比 較 で 有 意 差 が 認 め られ た も の を選 択.ま た,転 帰 先 を定 量 的 に 予 測 す る 為,ス テ ッ プ ワイ ズ 多 重 ロ ジ ス テ ィ ック 回 帰 分 析 で抽 出 され た 項 目 の 感 度 と特 異 度 を 算 出 し,カ ッ トオ フ値 を 検 討 した.統 計 分 析 に はR‑co㎜anderver.2.8.1を 使 用 した.
7.倫 理 的 配 慮
本 研 究 は,多 摩 丘 陵 病 院 倫 理 委 員 会 の 承 認(多 丘 倫30‑3番),首 都 大 学 東 京 荒 川 キ ャ ン パ ス 研 究 安 全 倫 理 委 員 会 の 承 認(承 認 番 号:19016)を 受 け て 実 施 した.ま た,本 研 究 内 容 に つ い て 病 院 内 ポ ス タ ー 掲 示 に て 通 知 し,研 究 対 象 者 等 が 拒 否 で き る 機 会 を保 障 した 、
皿,結 果
2014年4月1日 か ら2018年3月31日 の 間 に 多摩 丘 陵 病 院 の 回 復 期 リハ 病 棟 を 退 院 され た 患 者1239名 を対 象 に選 別 を 行 っ た.そ の結 果,整 形 疾 患 や 廃 用 症 候 群 の診 断 名 に よ り 入 棟 した 対 象 者 が583名 と な り,そ の う ち,本 研 究 に お け る 除 外 基 準 に 該 当 す る対 象 者 を 除 外 す る と,最 終 的 に 分 析 対 象 者 が188名 と な った.そ の 中 で転 帰 先 が 自 宅 群 に該 当 した 対 象 者 が130名(69.1%),施 設 群 に 該 当 した 対 象 者 が58名(30.9%)で あ った.
1.対 象 者 の 基 本 属 性 に 関 す る2群 間 比 較
対 象 者 の 基 本 属 性 を群 別 に 解 析 した 結 果 を表1に 示 したt平 均 年 齢 は 自宅 群84.5±7.9歳,
施 設 群85.2±5.9歳 で,性 別 は 自 宅群 で 女 性 が82.4%,施 設 群 で 女 性 が77。6%と 両 群 と も に
高 齢 で,女 性 の 割 合 が 多 い こ とが 伺 え る.退 院 時 の 介 護 認 定 状 況,退 院 時Alb値 移 動 手 段 に お い て 有 意 差 を 認 め,年 齢,性 別,診 断 名,同 居 家 族 人 数 住 宅 改 修 の 可 否,在 院 日数 に は 有 意 差 を 認 め な か っ た.・先 行 研 究 で は 年 齢 や 同 居 家 族 人 数 は 転 帰 先 に 関 わ る 影 響 因 子 で あ る との 報 告 も あ り,差 異 の あ る 結 果 と な っ た.ま た,在 院 日数 も先 行 研 究 で は 有 意 差 が あ る と の 報 告 が 多 くみ られ て い た が,本 研 究 に お い て は 有 意 差 を認 め な か った.
2.認 知 機 能 関 連 項 目 に 関 す る2群 間 比 較
対 象 者 の 認 知 機 能 関 連 項 目に つ い て 表2に 示 した.MMS巳 認 知 症 の症 状 で あ る 中 核 症 状 で は す べ て の 項 目,周 辺 症 状 で は睡 眠 障 害 や 拒 絶,不 安 ・焦 燥 に お い て有 意 差 を 認 め た(p<
O.OOI).ま た,そ の 他 の 周 辺 症 状 の 妄 想(p<0.Ol)や 失 語 ・失 行 ・失 認 ・暴 言 暴 力 ・俳 徊(p
<O.05)に お い て も 有 意 差 を 認 め た.一 方 で 認 知 症 治 療 薬 使 用 の 有 無 や 周 辺 症 状 の 過 食 ・異 食 ・抑 うつ ア パ シ ー ・幻 覚 に お い て は 有 意 差 を認 め な か っ た.
3.FIM関 連 項 目 に 関 す る2群 間 比 較
対 象 者 のFIM関 連 項 目に つ い て 表3に 入 棟 時 のFIM関 連 項 目,表4に 退 院 時 のFI・M関 連 項 目を 示 した.入 棟 時 ・退 院 時 と も にFIM全 般 自宅 群 の 方 が 有 意 に 高 い 結 果 と な った.一 方
で,入 棟 時 のFIM移 動 項 目,FIM認 知 項 目 の 利 得 に お い て は 有 意 差 を認 め な か っ た.
4.ス テ ッ プ ワ イ ズ 多 重 ロ ジ ス デ ィ ッ ク 回 帰 分 析 に よ る 解 析 結 果
転 帰 先 を 目 的 変 数2群 間 比 較 に お い て 有 意 差 が 認 め ら れ た 項 目 を 説 明 変 数 と し て ス テ ッ プ ワ イ ズ 多 重 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 に よ り解 析 した(表4ウ.・ そ の 結 果,FIM利 得 β 移 動 手 段 運 動FIM利 得,実 行 機 能 障 害,記 憶 障 害,入 棟 時 のFIM浴 槽 シ ャ ワ ー 移 乗 ・ トイ レ動 作 ・ベ ッ ド移 乗 ・階 段 ・記 憶 ・排 便 管 理 』表 出,退 院 時 のFIMベ ッ.ド移 乗 ・食 事 ・清 拭n一表 出 ・総 合FIM・ 運 動FIM合 計 が 抽 出 さ れ た,そ の 中 で 移 動 手 跳 記 憶 障 害,入 棟 時FIM浴 槽 シ ャ ワ ー 移 乗 ・ トイ レ動 作 ・・ 階 段 ・記 憶,退 院 時FIM食 事 ・清 拭 ・表 出,FIM利 得,運 動FIM 利 得,退 院 時FIM合 計,退 院 時 運 動FIM合 計 が 有 意 な 因 子 で あ る(p<0.05)こ と が 明 ら か と な っ た.そ の 中 で も 移 動 手 段(オ ッ ズ 比:12.778,95%CL2.569‑63.556),記 憶 障 害(オ ッ ズ 比=16.「29,95%CI:1.183‑5.418)の 影 響 が 強 い こ と が 伺 え た.
5.カ ッ トオ フ 値 と転 帰 先 予 測
転 帰 先 を 予 測 す る カ ッ トオ フ値 を 算 出 す る 為 入 棟 時FIM浴 槽 シ ャ ワ ー 移 乗 ・ トイ レ動 作 ・階 段 ・記 憶,退 院 時FIM食 事 ・清 拭 ・表 出 ・FIM利 得 ・運 動F1M利 得 ・FIM合 計 ㌔運 動 FIM合 計 の 感 度 と 特 異 度 を 算 出 してROG曲 線 を描 き㌔ カ ッ トオ フ値 ・AUC値 を 表;6に 算 出 し
た.す る と退 院 時FIM合 計 が カ ッ 下オ フ値79点;AUC値 が0.7842で 最 も 良 値 を 示 した.
表1各 群に お ける対 象者 の基本属 性 の 比較
項 目
脚
自 宅(n=130)'施 設(n=58) P値 Judge'
年 齢(歳) 84.5±7.985.2±5.9 0.9618 n.S 'b)
性 別
'男 性
'23(17.6)13(22.4) ・0 .4473'
卸n.s 6)
女性 107(82.4) 45(77.6)
診 断名 大腿 骨頸部 骨折 50(38.5) 26(44.8) 0,939 n.S 'd) 大腿骨転子部骨折 54(41.5) 23(39.7)
変形性膝 関節症 1(0.8) 0(O,0) 変形性股 関節症 1(0、8) 0(0.0)
脊推骨折 9(6.9) 2(3.4)
(圧 迫,椎 体) '脊 柱 管 狭 窄症
1(0.8) 2(3.4)
廃用症候群 2(1.5) 1(1.7)
その他の骨折 12(9.2) 4(6.9)
同居家族人数 0人 22(16.9) れ(19.0) 0.6332 n,S b)
1人 51(39.2) 24(41.4)
2人 25(19.2) 8(13.8)
3人 15(11.5) 8(13.8)
4人 9(6.9) 7(12.1)
1
5人 6(4.6) 0(0.0)
6人 2(1.5) 0(0.0)
退院時介護認定 な し 9(6.9) 0(0.0) 0.0003 *** b)
要 支 援1 3(2.3) 1(1.7)
要支援2 14(10.8) 2(3,4) 要 介 護1 31(23.8) 10(17.2) 要介護2 35(26.9) 15(25.9)
要介護3 22(16.9) 14(24.1)
要介護4 15(11.5) 13(22.4)
要介護5 1(0.8) 3(5.2)
住宅改修可否 可能 101(77.7) 46(79.3) 0,804 n.S G)
不可 29(22.3) 12(20.7)
在院 日数 68.3±18.3 68.1±18.9 0.9653 n.S b)
退 院 時Alb値 3.46±0.44 3.17±0.47 2,2e‑16 *** a)
移動手段 歩行 87(66.9) 8(13.8) 1.699e‑11 *** c)
車椅子 43(33.1) 50(86.2)
数 値:mean±S.D.,人 数(%)n,s=p>.05*p<.05**p<.Ol***pく.OOI
a):student'st‑testb):Mann‑・WhitneyU‑・testc):Ghi‑squaretestd):Fisheビsexactprobabilitytest
表2対 象 者 の 認 知 機 能 関 連 項 目 の 比 較
項 目 自 宅(n=130) 施 設(n=58) P値 judge
MMSE 17.4±5.7 12.9±7.2 3.154e‑05 *** b)
認 知 症治 療薬 あ り 31(23.8) 20(34.5) 0.1298 n.S c)
使 用 な し 99(76.2) 38(65.5) 認 知症状
く中核症状〉
〈周辺症状〉
記 憶 障 害104(80.0) 見 当 識 障 害89(68.5) 実 行 機 能 障 害60(46.2) 理 解 ・判 断 力 の 障 害69(53.1) 失 語4(3.1)
失 行1(0.8) 失 認1(0.8) 睡 眠 障 害26(20.0) 暴 言 暴 力1(O.8) 俳 徊6(4.6)
拒 絶 」7(13.1)
過 食 ・異 食1(0.8) 不 潔 行 為1(0.8) 不 安 ・焦 燥25(192) 抑 う つ ・ア パ シ ー11(8.5) 和 覚o(o・o)
妄 想2(1.5)
57(98.3) 55(94.8) 44(75.9) 47(81.0) 7(12.1) 5(8.6) 4(6.9) 28(48.3) 4(6.9) 8(13.8) 23(39.7) O(0,0) 1G.7) 29(50.0)
9,(ls.s)
2(3.4) 7(12.1)
0.0009、
8.024e‑05 0.0001 4.472e‑{)5 0.0217 0.Ol12
0.0322
7.571e‑05 .
0.0322 0.0315 3.91e‑05 0.6915 0.523 1.658e‑05 0.1473 0.0940 0.0041
***c)
***c)
***c)
***c)
*d)
*d)
*d)
***G)
*d)
*d)
***G) n.sd) ,n・sd)
***c) n.sc) n.sd)
**d) 数 値:mean±S.D.,人 数(%)n.s=p>.05*p〈.05**p〈.Ol***p〈.OOl
a):student'st‑testb):Mann‑WhitneyU・‑testc):chi‑squaretestd):Fisher'sexactprobabilitytest
表3対 象 者 のFIM関 連 項 目 に よ る 比 較(入 棟 時 のFIM関 連)
入棟 時FIM 自 宅(n=130)施 設(n=58) P値 judge
運 動 項 目 食 事 整 容 清 拭 更 衣 上 更 衣 下
トイ レ動 作 排 尿 管理 排 便 管 理
ベ ッ ド移 乗 トイ レ移 乗
浴 槽 ・シ ャ ワー 移 乗 移 動
階段
6(5‑7) 5(4‑6) 1(1‑2) 2q‑4) 1(1‑2) 3(1‑5) 4(1‑6) 4、5(2‑6) 4(2‑5) 4(2‑5) 1(1‑3.75) 1(1‑4) 霊(1'L1)
5(4‑5) 4(2‑5) 1(1‑1) 1(1‑2.75) 1(1‑1) 1(1‑3) 2(1‑4) 2(1‑4,5)f
3(ゴ ー4)
3(1‑4) 1(1‑1) 1(1‑3) 1(1‑1)
8、324e‑05 0.0087 0.0278 0.0022 0.0035 0、0003 0.0019 0.0003 0.0023 0.0017
α096a O.657 0.0017
***b) .**b) .*b)
**b)
*b)
***b)
**b5
***b)
**b)
**虚*b)
**b) h、̀sb)
**b)
認知項 目 理解 問題解決
5(4‑6) 4(2‑5)
4(3‑5) 2(1‑3)'
1.623e‑05***b)
1.636e‑06***b)
表 出 社 会 的 交 流 記 憶、
5(4‑7) 6(4‑7) 3(2‑5)
4(3ワ5) 4(2.25‑5) 2(1‑2.75)
α0012F 4.007e‑06 4.906erO6
,*'.*
**
**
「
*
*
b)・ ・ b) b)●
F湘 運 動 項 目(計91ヴ13点) 41.0±16、1 31.1±13、5 7,03e‑05 ** * り) FIM認 知 項 目(計35〜5点) 、22.2‡7.〜 16.4±7.2 6.317e‑07 率* * b) 、
F田 合 計 点 数(計126〜18点) 63.2±21.6 47.6±17.6
'
2.418e‑06 *室 * b)
数 値:中 央 値(四 分 位 範 囲),mean±S.D.n.s=p>.05*p〈.05**p〈.Ol***p〈.OOI
a):student'st‑testb>:Mann‑WhitneyU‑testc):chi‑squaretest・d) .:Fisheゼsexactpr〜 ≧b旦b口itytest
表4対 象 者 のFIM関 連 項 目 者 背 景 の 比 較(退 院 時 のFIM関 連)
退院 時 円M 自 宅(n=130) 施 設(n=58) P値
ンjudge
運動項 目 食 事 層 7(6‑7). 5(5‑7) 1.079e‑05 *.**」7 .わ)
整 容 一・ 7(5‑7) 5(4‑6) 3.15e‑07 *** b)
清拭 4(2‑6) 2.5(1‑3.75) 0.0001 ***』 ・b)・
更 衣上 5(4‑7) 4(2‑5) 4.773e‑08 **L* b)
更 衣下 5(3‑7)' 2.5(1‑4) 7.15e‑08 *** b)
トイ レ動 作 6(5‑7)』 3.5(2‑5) 5.734e‑11 *** b)
排 尿管理 6(425‑7) 4(2‑6) 2.891e‑05 *** b)
排便 管理 6缶 一7)' 4.5(3‑6) 3.358e‑08 *** b)
L
ベ ッ ド移 乗 4(2‑5) 3(1‑4) 4.958e‑07 *** b)『
トイ レ 移 乗' 7て5‑7) 4(2‑5) ' 2.492e一 判 *** b)
浴 槽 ・シ ャ ワ ー 移 乗 5(1‑6) 3(1‑4)
L
4.984e‑05 *** b)
「,
移 動 615‑6) 4(2‑5) 1.214e‑07 *** b)
F‑
階段 3(1‑5) 1(1‑1)' 5.474e‑08 *** b)』
認 知 項 目 理解 6(5‑7) 4.5(3‑6) 6.4726‑05 *** b)
問題解決 5(3‑6) 2.5(2‑5) 5.357e‑06 *** b)
表出 6(5‑7) 5(4‑6) 0:0bo29 **求 b)
社会 的交流 7(6‑7) 5(3‑6.二75)
、 1.079e‑05 *r** b)
記憶 4(3‑6) 2(2‑3) 1.838e‑OeL = *** b)
FIM運 動 項 目 41.0±16.1 31.1±{3.5 7.812e‑10 *** b)'
FIM認 知 項 目 22.2圭7.2 16.4±7.2 1.111e‑06 ***1 b)
FIM合 計 点 数 63.2±21.6 47.6±17.6 5.08e‑10 *** b)
FIM利 得(運 動 項 目) 25.3±13.0 15.5±10.9 2.2e一 准6 *** b)
FlM利 得(認 知 項 目) 3.7±1S.0 3.6±10.9 0.9147 n.S b)
F描 利 得(FIM全 体) 29.ゴ ±14.9 19.1±12.7 2,682e‑05 *** b)
数 値:中 央 値(四 分 位 範 囲),mean±S.D.n.s=p>rO5*p〈.05**p〈.Ol***p〈.OO1
・)・st・dg・V・t‑testb!・Mann‑WhitneyU‑t・ ・t・)・chi‑・q・a・et・ ・td)・Fi・h・ ・'・exactp・ ・b・bilitytest
表5ス テ ッ プ ワ イ ズ 多重 ロ ジ ス テ ィ ック 回 帰 分 析 の 結 果
要因 オ ッズ 比 95%Cl P値
浴槽 ・シ ャ ワー 移 乗(入 棟時FIM) トイ レ動 作(入 棟 時FIM) ベ ッ ド移 乗(入 棟 蒔 円M) 階 段(入 棟 時FIM) 記 憶(入 棟 時FIM) 排便 管 理(入 棟 時FIM) 表 出(入 棟 時FIM) ベ ッ ド移 乗(退 院 時FIM) 食事(退 院 時FIM) 清拭(退 院 時FIM) 表 出(退 院 時FIM) 退 院 時FIM合 計 退 院時 運 動FIM合 計 運 動FIM利 得 FIM利 得 実 行機 能 障 害 記憶 障 害 移 動手 段
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