氏 名
NGUYENク ゙ エ ン NGOCク ゙ ォ ク MINHミ ン所 属 理工学研究科 機械工学専攻 学 位 の 種 類 博士(工学)
学 位 記 番 号 理工博 第
341号 学位授与の日付 令和
2年
9月
30日
課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当
学 位 論 文 題 名
Rheological properties of bile for assessment of biliary diseases胆道疾患評価のための胆汁レオロジー特性に関する研究(英文)
論 文 審 査 委 員 主査 准教授 小原 弘道 委員 准教授 小方 聡 委員 准教授 角田 直人
委員教授 藤江 裕道
【論文の内容の要旨】
胆汁はわずかに黄緑色を特徴とする消化液の一つであり,肝臓から分泌され,胆のうに 貯蔵され,食物の消化中に胆管を通って十二指腸に供給される.胆汁の組成は,ムチン,
リン脂質,ビリルビン,胆汁酸塩,などを含む水溶液であり,特徴的なレオロジー特性を 示す.胆のう,胆管などからなる胆道系の恒常性の喪失によって胆汁成分が過飽和になり,
胆石と呼ばれる固体の結晶が形成されることが知られている.こうした状況は胆道閉塞な どさまざまな胆道系疾患とも関係しており,これらは,生化学的な要因のみならず,胆道・
胆のう内の胆汁の流れが重要な原因の一つとして考えられている.胆石形成機構や胆道疾 患の原因を理解することは,より良い診断と治療のために重要である.
一方で,胆汁は糸を引く特性(えい糸性)を有し,非ニュートン性を強く示す特徴的な レオロジー特性を有している.こうした胆汁の有するレオロジー特性が,胆道系の胆汁の 流れに直接影響しており,胆汁のレオロジー特性と胆道系の流れの関係を明らかにするこ とは診断のみならず新しい治療法,治療技術の確立にも重要である.しかしながら,医学 的な観点からのいくつかの研究はあるものの,レオロジー特性に着目した研究はおこなわ れておらず,胆汁の詳細なレオロジー特性の解明は,胆汁の流動の異常とそれに続く胆石 の形成機構の解明をはじめ様々な胆道系疾患の予測,診断に重要である.
本論文は,胆汁のレオロジー特性を明らかにし,胆道系疾患の予測,診断に重要な胆汁
の流れおよび胆石の形成に対するレオロジー特性の影響を評価した.特に,胆汁のえい糸
性と伸張粘度の特性,粘度と密度との関係,粘弾性特性,粘度と
pHとの関連性を明らかに
し,これらをふまえた胆汁の流動評価モデルを提案し,モデルを適用した数値流体解析に
よる評価をおこない,胆道系疾患の予測・診断に重要な知見を整理した.本論文は,以下 の
6章で構成されている.
第
1章では,生体材料のレオロジーとその応用の概要を説明し,特に胆道系における胆 汁の役割,胆道系の基本構造,胆石症についても紹介した.本論文の目的である,胆汁の レオロジー特性を明らかにし,胆道系疾患の予測・診断に重要な胆汁の流れおよび胆石の 形成に対するレオロジー評価の重要性について詳述した.
第
2章では,胆汁のえい糸性と伸張粘度に着目し,その詳細特性を明らかにした.ブタ の胆のうから抽出された胆汁を溶液相と堆積相に分離することでそれぞれの詳細な流動特 性を評価した.はじめに,コーンプレート型レオメーターによりずり粘度計測をおこない,
胆汁の溶液相と堆積相のそれぞれのずり粘度と粘弾性特性を詳細に明らかにした.続いて,
胆汁の特性の一つである伸張粘度特性を,液糸伸張装置を使用し,試料伸張時の直径変化 を測定することにより計測した.胆汁は特徴的な伸張挙動を示し,溶液相と堆積相の胆汁 の伸張特性を整理した.