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システムの周波数特性

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Academic year: 2021

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(1)

ディジタル信号処理 第 7

システムの周波数特性

(2)

システムの周波数応答とは ? 離散時間では・ ・ ・

• 1

入力

1

出力の線形時不変で

BIBO

安定な離

散時間システムに対し, そのインパルス応答

の離散時間フーリエ変換, あるいはその伝達

関数の変数

z

e

を代入したものを, システ

ムの周波数応答あるいは周波数特性と呼ぶ.

(3)

連続時間では・ ・ ・

• 1

入力

1

出力の線形時不変で

BIBO

安定な連

続時間システムに対し, そのインパルス応答

のフーリエ変換, あるいはその伝達関数の変

s

を代入したものを, システムの周波

数応答あるいは周波数特性と呼ぶ.

(4)

教科書の記述と話の順序が逆になっているの で, 対応を見ておく.

以下では, システムのインパルス応答を

h

と し,

h ∈l1 (すなわちP

n∈Z|h(n)|< ∞)

と仮 定する.

システムに印加される入力

x

を次のように 取る.

x[n] =ejωn.

(5)

システムの出力を

y

とすると・ ・ ・

y[n] = X

m∈Z

h[m]ejω(n−m)

= X

m∈Z

h[m]e−jωm

! ejωn

= X

m∈Z

h[m]e−jωm

! x[n]

(6)

以上で見たように, 入力に次の複素数が乗じ られている.

X

m∈Z

h[m]e−jωm

これは, システムのインパルス応答を離散時

間フーリエ変換したものの角周波数

ω

におけ

る値になっている. これで教科書の記述との

対応が取れた.

(7)

システムの周波数応答は, システムが

BIBO

安定であれば定義できるが,

BIBO

安定でな い場合には定義できるとは限らない.

独立変数が周波数の場合も, 角周波数の場合 も, 「周波数応答」という言葉が用いられる.

周波数応答と周波数特性という言葉も意味は

同一で, 周波数応答の方が一般的. 以下では周

波数応答を用いる.

(8)

• H(ω)

の絶対値を

A(ω)

と書き, システムの振 幅周波数特性あるいは振幅特性という.

• H(ω)

の偏角を

θ(ω)

と書き, システムの位相

周波数特性あるいは位相特性という. 偏角の

取り方には色々な流儀があるので注意.

(9)

この講義では離散時間フーリエ変換における 変換後の関数の独立変数を

ω

と書いてきた が,

z

変換との対応関係を取る際には独立変 数を

e

とした方が都合が良い

(伝達関数の

変数

z

e

を代入するとシステムの周波数

応答

(すなわちシステムのインパルス応答を

離散時間フーリエ変換したもの) が得られる

ため). 教科書ではそのようになっているの

だが・ ・ ・

(10)

上述の振幅特性や位相特性の議論でわかるよ

うに, 最終的には

ω

を独立変数として扱う形

に落ち付く. これを踏まえて, 今後も講義資料

では

H(ω)

という記法を続けるが, 多くの教科

書で

H(e)

と書かれているということを覚

えておくこと. 関数

[0,2π)∋ω7→e ∈Z

全単射なので, 上記は単なる変数変換である.

(11)

周波数応答はシステムが因果的であるか否か

にかかわらず定義できるが, 因果的でない場

合には, 「入力を印加するより前の時刻です

でに応答波形が出ている」ことになるので注

意を要する. 非リアルタイム信号処理では,

このようなことも可能.

(12)

周波数応答の別の定義(連続/離散時間で共通)

野波,水野(編集代表),制御の事典,朝倉書店, 2015によると,周

波数応答の定義は・・・

安定なシステムに一定の周波数の正弦波を入力し続 けると,十分時間が経過した状態(定常状態)では,出 力も同じ周波数の正弦波となる. このような正弦波入 力に対する定常状態での応答を周波数応答という. 通 常は周波数を変化させた場合の応答をまとめてこの ようによんでいる.

これに類する形で定義が述べられることもしばしばあるので, 敢えて述べたのだが・・・

(13)

実は問題にするのは

出力の最大振幅が入力の最大振幅の何倍になっているか

入力と出力の位相のずれがどの程度か

であり,応答波形そのものを問題にするわけではない.

先の定義は,伝統的な周波数応答の測り方(入力を正弦波とし, 正弦波の周波数を変えながら,システムが定常状態になるのを 待ってから入力に対する最大振幅および位相の変化を記録する) に引きずられた定義であると思われる.

(14)

インパルス応答が実数の場合

• H(ω)

の絶対値を振幅周波数特性と呼んで

A(ω)

と書き, 偏角を位相周波数特性と呼んで

θ(ω)

と書いたのだが・ ・ ・

インパルス応答が実数の場合

(物理的なシス

テムでは大抵こうなる) では, 振幅周波数特

性と位相周波数特性は特別な性質を持つ.

(15)

• H(ω) = P

n=−∞h[n]e−jωn

より,

H(−ω) =

X

n=−∞

h[n]ejωn

だが, インパルス応 答が実数であると仮定したから,

h[n] =h[n],

よって

h[n]ejωn =h[n]ejωn

しがたって,

H(−ω) = H(ω).

(16)

振幅周波数特性

A(ω)

H(ω)

の絶対値, 位相 周波数特性

θ(ω)

H(ω)

の偏角で,

H(−ω) = H(ω)

だから・ ・ ・

• A(−ω) = A(ω), θ(−ω) = −θ(ω).

これはイ

ンパルス応答が実数の場合に成り立つ特別な

性質であることを改めて注意しておく.

(17)

システムの周波数応答の求め方

システムの入力

x

と出力

y

が既知でともに

l1

に属するものと仮定する. また, システムの

インパルス応答

(未知)

l1

に属するものと

仮定する.

x,y, h

を離散時間フーリエ変換し

たものを

X,Y,H

と書くまた, このシステム

の伝達関数を

HZ

とする.

(18)

1.

システムのインパルス応答が既知であれば,

P

m∈Zh[m]e−jωm

により周波数応答を求める ことができる.

2.

システムの伝達関数が既知であれば,

HZ(z)

z

e

を代入することにより周波数応答

を求めることができる.

(19)

3. y = x∗h

を離散時間フーリエ変換すること で

Y =HX

となる.

H

が求めるべき周波数 応答だから,

H = Y X.

伝統的な周波数応答の測定法は,入力を正弦波とし,正弦波の周波数 を変えながら,システムが定常状態になるのを待ってから入力に対す る最大振幅および位相の変化を記録する,というものであるが,この 手順が入力と出力のスペクトルを記録することに相当するため,上記 の方法に近い.

(20)

正弦波の線形結合に対する応答

周波数応答が既知のシステムへの入力

x

x[n] =

L

X

l=1

Alej(ωln+φl)

とする.

この入力に対するシステムの応答を見る.

(21)

我々は線形時不変で

BIBO

安定な離散時間シ ステムを対象にしていたから, 過渡特性を無 視すれば, この入力に対するシステムの応答 は,

Alej(ωln+φl) (1 ≤ l ≤ L)

に対する応答を 足し合わせたものになる.

• Alej(ωln+φl) = Alelnel = Aleleln

だか

ら,

Alej(ωln+φl)

は,

eln

が定数倍

(Alel

倍)

されたものである.

(22)

したがって, この入力に対するシステムの出 力を

y

とすると,

y[n] =

L

X

l=1

AlelH(ωl)eln

となる.

(23)

インパルス応答が実数のとき

システムのインパルス応答が実数のときには, 入力

x

x[n] = PL

l=1Alcos(ωln +φl)

のと きの応答を簡潔に書き表すことができる.

• cos(ωln+φl) = ej(ωln+φl)+e−j(ωln+φl)

2

だか

ら,

H(ω) =A(ω)ejθ(ω),H(−ω) = A(ω)e−jθ(ω)

を使うと・ ・ ・

(24)

y[n] =

L

X

l=1

Al

2 elH(ωl)eln+e−jφlH(−ωl)e−jωln

=

L

X

l=1

Al

2 A(ωl)ej(ωln+φl+θ(ω))+elA(ωl)ej(ωln+φl+θ(ω))

=

L

X

l=1

AlA(ωl) cos(ωln+φl+θ(ω)).

(25)

よって, システムのインパルス応答が実数の ときの, 入力

x[n] =PL

l=1Alcos(ωln+φl)

に 対するシステムの応答は

y[n] =

L

X

l=1

AlA(ωl) cos(ωln+φl+θ(ω)).

(26)

伝達関数の分母と分子の影響

システムの伝達関数の分母と分子がそれぞれ 多項式の積に分解されている状況を考える:

H(z) =b0

QM

l=1Bl(z) QN

k=1Ak(z).

ただし,

b0

は定数

(複素数)

である.

(27)

システムの周波数応答は伝達関数の変数

z

z =e

を代入することで得られたから・ ・ ・

H |z=e=b0

QM

l=1Bl(e) QN

k=1Ak(e).

このシステムの振幅周波数特性を

A(ω),

位相

周波数特性を

θ(ω)

とすると, 絶対値および偏

角の定義から・ ・ ・

(28)

A(ω) = |b0| QM

l=1|Bl(e)|

QN

k=1|Ak(e)|

θ(ω) = argb0+

M

X

l=1

argBl(e)−

N

X

k=1

argAk(e)

(29)

絶対値について, 20 log

10

を取ると・ ・ ・

20 log10A(ω) = 20 log10|b0|

+

M

X

l=1

20 log10|Bl(e)|

N

X

k=1

20 log10|Ak(e)|

(30)

離散時間フーリエ変換の性質

積み残しになっていた離散時間フーリエ変換 の性質について示しておく.

離散時間フーリエ変換は,

l1

に属する信号

x

に対して定義されるもので,

X(ω) = P

n=−∞x[n]e−jωn, x[n] = 1 Rπ

−πX(ω)ejωn

という対になったものであった.

(31)

離散時間フーリエ変換は,

l1

に属する信号と 周期

の連続関数とのあいだの全単射を与 えるものであり, 本質的に周期

の関数の フーリエ級数展開と同じ

(説明済み).

• x, x1, x2 ∈ l1

と仮定する. また, 時間軸ある

いは周波数軸に関して

m

シフトする作用素

τm

と書く.

(32)

離散時間フーリエ変換の性質の多くは, フー リエ級数の性質から直ちに導かれるのだが・ ・ ・

離散時間フーリエ変換は

z

変換において

z = e

とした特別な場合.

離散時間フーリエ変換の収束領域は複素平面

における単位円周上の点で, そこでは

z

変換

に関して成立する事実はすべて成立するので,

これを利用して説明を簡略化する.

(33)

以下では, 信号を離散時間フーリエ変換する 作用素を

FDTFT[·], z

変換する作用素を

Z[·]

と書く.

教科書

33

ページの表

3.2

62

ページの表

6.1

と比較しながら説明する.

(34)

1. Z[a1x1 +a2x2] =a1Z[x1] +a2Z[x2]

だから

FDTFT[a1x1+a2x2]

=a1FDTFT[x1] +a2FDTFT[x2].

2. Z[τmx] =z−mZ[x]

だから,

z =e

として,

FDTFTmx] =e−jωmFDTFT[x].

3.

周波数シフトについては後述.

4. Z[x1∗x2] =Z[x1]Z[x2]

だから

FDTFT[x1∗x2] =FDTFT[x1]FDTFT[x2].

(35)

5.

周波数領域における畳み込みについては後述.

6.

信号

x

を離散時間フーリエ変換したものが周 期

の周期関数となることはフーリエ級数 の性質のひとつ.

7.

スペクトルの対称性については後述.

8.

パーセバルの等式

(公式)

はフーリエ級数の

性質のひとつ.

(36)

周波数シフト

yy[n] =e0nx[n]によって定義される信号とすると, (FDTFT) [y](ω) =X

n∈Z

x[n]e0nejωn==

=X

n∈Z

x[n]e−j(ω−ω0)n

= (FDTFT) [x](ωω0)

(37)

周波数領域の畳み込み

(FDTFT)−1[X1X2](n)

=1 Rπ

−π

Rπ

−πX1ν)X2(ν)dν ejnω

=1 Rπ

−π

Rπ

−πX1ν)ej(ω−ν)X2(ν)dνejnνdωdν

=1 Rπ

πX2(ν)ejnν Rπ

πX1ν)ej(ω−ν) ν=θと変数変換してX1の周期性を使う)

=1 Rπ

−πX2(ν)ejnν Rπ−ν

−π−νX1(θ)e

=1 Rπ

−πX2(ν)ejnν Rπ

−πX1(θ)e

(38)

スペクトルの対称性

xが実数値のとき,

X(−ω) =X

n∈Z

x[n]ejωn=X

n∈Z

x[n]ejωn=X(ω).

ただし,xが実数値だからx[n] =x[n]であることを用いた.

(39)

高速フーリエ変換

高速フーリエ変換は, 離散フーリエ変換をコ ンピュータで効率良く計算するためのアルゴ リズム.

離散フーリエ変換はディジタル信号処理にお

ける基本的な道具なので, これを効率良く計

算できることには実用上の価値が高く, よっ

て高速フーリエ変換は広く利用されている.

(40)

• Cooley

Tukey

によって

1965

年に提案さ れたが, そこに含まれるもっとも重要なアイ

デアは

1805

年に

Gauss

によって議論されて

いたという指摘もある.

http://mathworld.wolfram.com/FastFourierTransform.html

最も基本的なのは信号の長さが2 のべきであ

る場合の計算法であるが, 今日は様々な方向

で拡張がなされている.

(41)

高速フーリエ変換をおこなうプログラムはラ

イブラリなどの形で提供されていることが多

い. この種のプログラムでは, 効率と精度の

良い計算のために様々な工夫がなされている

ことが普通であり, 初心者が教科書等を見て

打ち込んだコードとは品質がまったく異なる

ことが一般的.

(42)

高速フーリエ変換が必要になった場合には, 可能な限り利用可能なライブラリ関数等を探 すべきであり, 基本的なアルゴリズムに対応 するコードを自分で打ち込んで動かすことは, 特殊な事情がある場合以外は避けるべき. 工 学の鉄則は, 車輪を再発明するなということ.

これを踏まえた上で, 以下では, 高速フーリ

エ変換の考え方を説明する.

(43)

コンピュータで数値計算をする際には, 乗算 の所要時間は, 加算の所要時間よりもずっと 長いことが普通.

以下の議論では, 簡単のため, 加算の回数は 無視して, 信号を離散フーリエ変換に必要と なる乗算の回数を減らすことを考える.

乗算の回数を減らすための工夫が, 高速フー

リエ変換の本質.

(44)

長さ

N = 2ν (ν ∈N)

の信号

x

を考える.

• WN =e−jΩ =e−j2π/N

とおく.

信号

x

の離散フーリエ変換は,

X[m] = X

0≤k<2ν

x[k]WNmk (0≤m < N)

によって求められるのであった

(N = 2ν

に注

意).

(45)

離散フーリエ変換は,

N

N

列の行列を

N

次のベクトルに乗ずる演算になっており, 必 要な乗算の回数は

N2

回である.

離散フーリエ変換の式を,

k

が偶数の場合

(k = 2p,1 ≤ p < 2ν−1)

k

が奇数の場合

(k = 2p+ 1,1≤p <2ν1)

に分ける.

• WN2 =WN

2

であることに注意すると・ ・ ・

(46)

X[m] = X

0≤p<2ν−1

x[2p]WNm(2p)

+ X

0≤p<2ν−1

x[2p+ 1]WNm(2p+1)

= X

0≤p<2ν−1

x[2p]WNmp 2

+WNm X

0≤p<2ν−1

x[2p+ 1]WmpN 2

(47)

先の式を見ると, 長さ

N

の信号の離散フーリ

エ変換が, 2 個の長さ

N/2

の信号

(偶数およ

び奇数時刻に対応) の散時間フーリエ変換か

ら,

N

回の乗算によって得られることになる

(加算を無視していることに注意).

(48)

同様に, 長さ

N/2

の信号の離散フーリエ変換

は, 2 個の長さ

N/4

の信号の離散フーリエ変

換から

N/2

回の乗算によって得られる. よっ

て, 2 個の長さ

N/2

の信号の離散フーリエ変

換は, 4 個の長さ

N/4

の信号の離散フーリエ

変換から, 2

×N/2 =N

回の乗算によって得

られる.

(49)

1個の長さNの信号の離散時間フーリエ変換 2個の長さN/2の信号の離散時間フーリエ変換 4個の長さN/4の信号の離散時間フーリエ変換 8個の長さN/8の信号の離散時間フーリエ変換

乗算N回 乗算N回 乗算N回 乗算N回

(50)

上記の工程を

1

段階下に進むごとに信号長が 半分になるから, 長さ

2ν

の信号では, 上記の 工程を

ν

回繰り返せば信号長は

1

となり, そ れ以上の計算は不要となる. このような手順 で離散フーリエ変換を求めるのが高速フーリ エ変換である.

• N = 2ν

だから

ν= log2N,

よって乗算回数が

N2

から

Nlog2N

にまで減ったことになる.

(51)

たとえば, 音楽

CD

のサンプリング周波数は

44.1kHz

であるから, 1 秒分のデータ

(N =

44100

を離散フーリエ変換するのに必要な乗

算の回数は約

1.9×109

回. これに対し,

Nlog2N ≃ 6.8×105

なので, 大雑把に言うと, 高速フー リエ変換によって乗算回数が離散フーリエ変

換の約

1/3000

になる

(長さが2

のべきでない

信号の高速フーリエ変換は上記より若干効率

が落ちるが).

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