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中国華中地域における大規模水田作経営の展開過程と収益構造

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019年28

中国華中地域における大規模水田作経営の展開過程と収益構造

―浙江省平湖市・家庭農場を事例として―

共生基盤学専攻 共生農業資源経済学講座 農業経営学 姚 暁雅

1.課題と方法

中国では,家庭農場の規模拡大が推進されており,数は少ないが大規模経営が出現し ている(1,000 ムー(67ha)以上層が

2.2%)

。水田作経営を扱った既存研究では,10ha 未満の事例を対象に,生産効率,政策支援の影響などに関する分析が行われてきたが,

それ以上の規模の経営を扱った研究は少ない。また,家族経営が米の直接販売を行って いる事例を扱う研究はほとんどみられない。そこで,本稿では家庭農場の最上層に位置 する大規模水田作経営を対象に,販売部門も含めた経営展開と収益性を分析し,収益構 造の特徴を明らかにすることを課題とする。

2.華中地域の農業の特徴と大規模経営の育成

華中地域は,中国水稲の発祥地として,歴史の上では「魚米の郷」と称されている。

しかし,農業労働力の農外流出,病虫害の発生などによる生産の不安定性,良食味品種 の生産振興の遅れなどにより,水稲作付面積が減少傾向にある。本稿では,水稲作付面 積の減少が

33%と最も大きい浙江省の中で,農地流動化を推進している平湖市・新埭

鎮を事例対象地とする。平湖市・新埭鎮で政策支援が重点化されている「新型農業経営 主体」は,野菜や果樹を基幹作物とする経営が多く,

30ha

未満の経営が多数を占めてい る。そのような中で,数は少ないものの,大規模水田作経営が出現している。本稿では,

経営面積が最も大きい水田作経営である建豊家庭農場を事例分析の対象とする。

3.大規模水田作経営の展開過程と収益構造

事例経営は,水田作を長期間(10 年以上)中止する農家から農地を集積し,2010 年 の就農時の

20ha

から

2018

年現在の

335ha

まで急激な規模拡大を実現していた。水田に おいては,水稲と裏作として小麦を作付けしている。

その経営展開を,米の販売形態により籾販売期(~2013 年)と精米販売期(2014 年

~)に区分し,展開過程を明らかにした。精米販売期への移行による直接的な変化は① 精米施設設置で,それに加えて同時期に,②さらなる規模拡大,③収量増加のための肥 料転換,④防除機の導入による作業効率化を行い,生産体制を強化していた。また,有 利販売を行うために,⑤有限会社化,⑥個人ブランド名の取得,⑦飲食店への契約販売 を行っていた。

事例経営の収益構造を,画期区分別に豊作年を基準に比較した結果,籾販売期に対す る精米販売期の変化は以下のとおりであった。販売金額は,精米有利販売(①⑤⑥⑦)

による販売単価の上昇により,面積あたりで増加した。一方,物財費は,新たな設備投 資(①④)により減価償却費が増大したものの,さらなる規模拡大(②)により面積あ たりの費用増加は微増に抑えられていた。面積あたりの所得は増加していた。

事例経営の収益構造の特徴をまとめると,設備投資・規模拡大・販売力強化を同時並 行で進めることで,面積あたりの農業所得は増加していた。ただし,生産量の年次変動 により農業所得は大きく変動しており,不作年では,農業所得に占める生産補助金の割

合が

100%を超え,政策支援が生産の不安定性を支えていることが明らかになった。

参照

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