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ダイズにおけるレトロトランスポゾンの発現変動に関する研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020 年 2 月 7 日

ダイズにおけるレトロトランスポゾン

SORE-1

の発現変動に関する研究

生物資源科学専攻 植物育種科学講座 細胞工学 福島 彩瑛

1.はじめに

トランスポゾンは染色体上を移動する因子であり,宿主のゲノム構造に変化をもたらす変 異原として機能することが知られている。ダイズにおいては,日長感受性に影響を及ぼす遺 伝子座として同定されたE4の本体である,フィトクローム A タンパク質をコードするGmphyA2 遺伝子にレトロトランスポゾンSORE-1が挿入している系統が見出されている(Liu et al., 2008)E4遺伝子座へのSORE-1の挿入は,日長不感受性を誘導し,ダイズの栽培地域として は高緯度にあたる北海道における適応に寄与したものと考えられている(Kanazawa et al., 2009)SORE-1の発現に関しては,ダイズおよびSORE-1を導入したシロイヌナズナの両者に おいて,開花直前に生殖器官で発現量が増加することが確認されている(Nakashima et al., 2018)。本研究では,レトロトランスポゾンの転移が起こる前段階である転写に着目し,SORE- 1の発現様式がダイズ系統間において保存されているか否か,また,環境に応答してどのよう に変動するか,解析した。

2.材料と方法

主として北海道のダイズ在来系統群を対象として,E4 遺伝子座における SORE-1 の挿入を 解析した。これらの系統の植物体を温室および人工気象器において育成し,発生過程の複数 のステージの花組織より RNA を抽出し,SORE-1 の発現量の変動を qRT-PCR により解析した。

3.結果と考察

E4遺伝子座におけるSORE-1の挿入は北海道の在来系統に広く見られた。SORE-1の発現量 は,北海道の在来系統において,植物体を人工気象器で育成した場合と温室で育成した場合 で異なっていた。また,系統間でのSORE-1の発現量の差異が検出された。さらに,花の発生 過程におけるSORE-1の発現量の変動が検出され,この発現変動の様式についても系統間での 違いが見られた。これらのことから,異なる環境に対応したSORE-1の発現応答の違いが系統 間に存在するものと推察された。本研究では,これらに加え,E4遺伝子座以外のゲノム領域 に存在するSORE-1の発現,ならびに,ストレスに応答したSORE-1の発現を検出した。

4.まとめ

本研究を通して,SORE-1の発現様式が環境の違いに対応して変化することを新たに見出す と共に,系統間にこの応答の違いが存在することを明らかにした。多くのレトロトランスポ ゾンはエピジェネティックな機構を介して発現抑制されている。そのため,レトロトランス ポゾンの転写量の増加を引き起こす環境要因および遺伝背景を明らかにすることは,育種素 材として利用可能な変異体を効率よく創出することに役立つと期待できる。

参照

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