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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:佐藤 佳奈美

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:添加物配合飼料が骨粗鬆症モデルラットの大腿骨骨梁構造に与える影響 審査委員:(主 査) 教授 岡田 裕之

(副 査) 教授 河相 安彦 教授 川良 美佐雄 教授 久山 佳代

世界の高齢化は今後も急速に進展すると言われているなかで,日本は超高齢社会を迎えた。この急速 な高齢化に伴い高齢者に特徴的な疾病の増加が予想される。アジアでは,大腿骨頸部骨折がこの20年間で 3倍に増加しているのは,骨粗鬆症に起因すると推察されている。骨粗鬆症は,高齢者における骨折の増加,

ひいては要介護者の増加へ結びつく要因となっている。そして,転倒の回避から行動が制限され,運動量 の減少により,筋の減衰すなわちサルコペニアが誘発されることで,生活動作の低下を引き起こす。

骨粗鬆症の予防には,カルシウムの積極的な摂取が閉経後の女性における骨密度低下に予防的に寄与 するという報告がされている。カルシウム摂取量が摂取基準より少ない我が国において,カルシウムの摂 取による骨折や転倒を防止し,要介護高齢者の生活の質の低下を防ぐことは重要な課題である。また,高 齢者はカルシウムの腸管におけるミネラル群の吸収率低下を引き起こしているとともに,閉経または加齢 を原因とした骨の吸収量が形成量を大きく上回る結果,骨量の減少と骨質の低下が起こるとされている。

したがって,骨密度の低下を予防し,骨折や転倒を予防し高齢者のQOL低下を防ぐために,カルシウムの 摂取および体内吸収の改善が求められる。これらを背景に Nakada らは標準飼料にエストロゲン様作用を 有するイソフラボン,ミネラル吸収促進作用を有するフラクトオリゴ糖,および飼料のカルシウム含有 量の上昇を目的にしたリン酸カルシウム(3.0 % カルシウム含有)を配合した 3 種添加物配合飼料を新 たに製作し,骨粗鬆症の予防および大腿骨骨幹部の破断強度の向上による骨質の改善に有効であると報 告をしている。しかしながら,この 3 種添加物配合飼料に含まれるカルシウム含有量 3.0 %は生体にとっ て栄養摂取の均衡に影響を及ぼす可能性があるとも報告している。

そこで本論文の著者は,イソフラボンおよびフラクトオリゴ糖の含有量を過去の報告に基づき同じ 濃度に維持しながら,腸管における吸収能を高める目的でリン酸カルシウムとクエン酸カルシウムの配 合率を変更し,カルシウムの含有量を市販飼料と同等の 1.0 % となるように配合した Additive Formula Diet(以下 AFD)製作している。そして AFD を低栄養骨粗鬆症モデルラットおよび卵巣摘出骨粗鬆症ラ ット(以下 OVX)に経口摂取させ,骨粗鬆症モデルラットにおける AFD の摂取が大腿骨骨幹端部の骨形成 および骨梁構造に与える影響を明らかにすることを目的に検討を行っている。まず,低栄養骨粗鬆症ラ ットに対する AFD の効果の検討を行い,血液生化学検査にて AFD の安全性を確認した後,低栄養骨粗鬆 症ラットの大腿骨骨幹端部の骨質に及ぼす効果について骨密度(BMD),骨塩量(BMC)および骨梁構造計 測で評価を行っている。また,偏光顕微鏡にて視覚的に骨梁の変化および偏光特性の観察を行っている。

続いて OVX に対する AFD の効果について,OVX の大腿骨骨幹端部の BMD,BMC 及び骨梁構造計測から骨量 および骨形成に関する検討を行っている。また偏光顕微鏡による骨梁の変化について偏光特性を用いた 観察を行っている。その結果, AFD の摂取は NMD の摂取と比較して有意に BMD,BMC の値が高く,骨梁構 造計測の結果より骨梁が緻密となり,骨量および骨質を回復させることを示している。また,3D-map は AFD 摂取群において高い BMD が観察され,偏光顕微鏡の観察から NMD 摂取群と比較して密度の高い海綿骨 が観察されたとしている。OVX においても AFD 摂取群は NMD 摂取群と比較して有意に高い BMD および BMC が観察され,骨梁構造計測の結果は骨梁の密度が高いという結果が得られた。また,偏光顕微鏡観察か

(2)

ら,AFD 摂取群は NMD 摂取群と比較して海綿骨の密度の高い網目状構造が観察されたとしている。以上の 結果は,AFD が低栄養骨粗鬆症モデルラットおよび OVX においてカルシウムの吸収および骨形成促進の効 果による,骨量および骨質の回復に有効であることを示唆している。

以上の結果から,本研究は AFD が骨粗鬆症の改善および予防に対する効果の可能性を示したもので あり高齢者の QOL の回復または維持に寄与する事が大と考えられる。

よって,本論文の著者は,博士 (歯学) の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上 2 9 年 2 月 2 3 日

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