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(1)

ヘルスケア分野における

ソーシャルインパクトボンドの導入可能性について

経済産業省 商務情報政策局ヘルスケア産業課

(2)

1

社会保障給付費は年々増加しており、2014年度は115兆円を上回る水準である。

政府は、「日本再興戦略」に基づいて、「健康・医療戦略推進本部」の下に「次世代ヘルスケア産業協

議会」を設置し、国民の健康寿命延伸、医療介護費の適正化、新事業の創出を目指し、需給両面

での取組を展開しており、国内においても優れたヘルスケアサービスを提供する民間事業者が現れてきて

いる。

このような状況の中、地方自治体においても医療介護費の増大は大きな課題の一つであり、効果的な

予防事業を実施することにより、住民の健康寿命の延伸、医療介護費の適正化を図ることが重要であ

るが、財政が逼迫している現状を踏まえると、官民連携の下、民間事業者のノウハウや資金を活用した

手法が必要になる。

官民連携手法の一つであるソーシャルインパクトボンド(以下「SIB」)は、民間資金を活用して革新

的な社会課題解決型の事業を実施し、その事業成果(社会的コストの効率化部分)を支払の原資

とするものである。

本資料では、地方自治体が効果的な予防事業を実施していく際の有効な手法の一つとしてSIBの概

要を記載し、地方自治体において導入する意義や留意点の概要をまとめている。

地方自治体や、効果的なプログラムを有する優れた事業者等が本資料を活用することにより、ヘル

スケア産業領域における課題解決に向けて、SIB導入の検討、およびその組成の一助となることを目

指している。

本資料の目的

(3)

1.官民連携による地域課題解決の可能性

2.民間資金を活用した財政手法SIBと

自治体にとっての意義・位置付け

3.SIB導入の際の主な留意点

(4)

3

6-2.

A県要介護(要支援)認定者数(千人) 43.5 45.9 47.4 52.6 平成22 平成23 平成24 平成25 49.9 平成21 要介護(要支援)認定者数は増加の一途 A県要介護支援(要支援)認定者の 認知症日常生活自立度(平成25年) 認定者の多くが認知症の症状あり 認知症の症状あり 87.4% 認知症による本人や家族などの QOL低下や介護費増加等を抑制するため 参照:A県「A県高齢者保健福祉計画(平成27年度~平成29年度)」(平成27年3月)

認知症予防及び

認知症重症化予防が重要

認知症予防等の サービスは多様だが サービス品質が不透明 • 少子高齢化が進む中で、認知症を含む介護に関する社会課題は増大する一方である。早期介入による効果的な 予防により、対象者・関係者のQOL向上や社会的コストの削減が期待される。

官民連携による地域課題解決の可能性 ①(認知症・介護予防)

(5)

4

6-2.

想定される 成果(案) サービス 実績 提供 サービス • 認知機能の維持向上(認知機能検査) • 要介護度(介護時間)の改善 • 介護費や医療費の削減 • 利用者のQOL向上 • その他家族の介護負担軽減、施設職員の離職率 改善 等 対象者 認知症予防サービスとして、地域ボランティアの支援を 受けながら脳の健康教室(週1回の集合研修と1日 30分の自己学習)を行う。 軽度認知障害またはその恐れのある高齢者 認知症重症化予防サービスとして、音読と計算を中 心とする教材を用いた学習療法を学習者と施設職 員がコミュニケーションをとりながら行う。 介護施設入所・通所の認知症の高齢者 • 認知機能の維持 • 要介護発生防止 • 介護費や医療費発生防止 • 利用者のQOL低下防止 • その他家族の介護負担発生防止 等 2003年10月に実施した仙台市と東北大学との「『学 都』共同研究プロジェクト」にて、学習療法によって明ら かに高齢者の脳機能が改善されていることが示された。 2004年7月に実施した岐阜県大垣市の「脳の健康 道場」では、経度認知障害またはその恐れがある方に サービスを提供し、20名中18名が正常値に戻ることが 示された。 参照:公文HP(http://www.kumon-lt.co.jp/b_riron_to_koka 等)(平成28年2月) 事業者候補 公文教育研究会 • 公文教育研究会では、認知症予防・重症化予防に効果のある「学習療法」を開発し、官民連携の事業を実施して いる。

官民連携による地域課題解決の可能性 ①(認知症・介護予防)

(6)

5 • 認知症予防に取り組むことで創出され得る社会的便益としては、認知症にかかる医療費・介護費の削減などの直 接的なコストに加え、対象高齢者・関係者のQOL向上などの間接的なコスト削減も期待される。

官民連携による地域課題解決の可能性 ①(認知症・介護予防)

サービス提供費 (※3) 介護費適正化効果 (※2) > サービス実施後 例:平成27年度 パイロット事業による算出 (対象者100名・ 期間5か月間とした場合) • 対象者の認知機能向上・QOLの向上 • 関係者(介護施設職員や家族)のQOL向上 • 直接費用(認知症にかかる医療費・介護費)の適正化 • 間接費用(関係者の就労機会の損失・インフォーマルケアコスト)の適正化 サービス実施により期待される社会的便益のイメージ 直接費用の適正化効果例 ※1:要介護認定1次判定試験に要する時間の減少分 (ただし、ランダム化比較試験・評価者のブラインド化が出来ていない、統計的有意差はなく、ベースライン補正がされてない点に留意が必要) ※2:介護費適正化効果を介護時間の減少分よりBootstrap法を用いて算出 ※3:対象者に対する学習療法の提供コストおよび介護施設職員の時給換算の人件費を算出

682万円

介護時間減少分 (※1) 10.7分

457万円

介護時間減少分より 算出される一人当たり の便益:68,177円 一人当たり提供費用: 教材費10,000円+ 介護施設職員人件費 1,702円/時 x 21時間)

(7)

6

6-2.

A県死因別死亡割合(平成25年) がん 28.1% A県死亡数(がん)年次推移(人) 2,745 2,837 2,913 3,001 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 がんは症状が出る頃には進行してることが多く 早期発見のために定期的にがん検診を受診することが重要

がん検診受診率の

向上が喫緊の課題

がんは死亡要因の第1位 がんによる死亡者は増加の一途 参照:A県「がん対策推進計画(第2次)」(平成25年4月) • がんは死亡要因でも上位を占め、がんにかかる医療費は大きい。一方で、検診による早期発見によって医療費の適 正化効果も大きいと考えられる。

官民連携による地域課題解決の可能性 ②(がん検診率向上)

(8)

7 参照:A県「平成25年度地域保健・健康増進事業報告(健康増進編)市区町村表」(平成27年) がん検診 がん医療の充実化 +患者への支援 がん早期発見に係る現状行政サービス 発見した がん患者 課題:受診率向上 受診勧奨 対象者:92,700人 精検受診者:335人 受診者:18,300人 がん発見:12人 提供サービス(案) 市町村 40歳以上男女 人口動態的(年齢、性別等)、心理的(検診への関心 度等)、行動的(過去の受診歴等)といった切り口から 対象者を分類 Step1:対象者分類 Step2:対象者別メッセージ開発 分類したセグメントからターゲットを選定し、ターゲットの特徴 に合わせた勧奨メッセージ・ツールを開発 メッセージB メッセージA マーケティングの手法を用い、受診勧奨効果の高い層に対象を絞り込んだ上で、対象者に合わせたメッ セージ開発を行うことで、受診率向上効果が見込める。 受診率向上に特化した民間シンクタンクであるキャンサースキャンでは、複数自治体において、マーケティ ング手法を用いて受診率を2倍にした実績など多数。 • マーケティングの手法を用いてがん検診の受診率向上につなげ、早期発見により医療費の適正化や対象者のQOL 向上を目指す事業者も存在。

官民連携による地域課題解決の可能性 ②(がん検診率向上)

(9)

8

6-2.

※1:医療費適正化効果 早期がんと末期がんの医療費による医療費適正化額から受診者増加に伴う検査費用等の増加分を控除したもので、1人あたり400万円と仮定。 ※2:サービス提供費 検診対象者に対するサービス実施費用で、1人あたり300円と仮定。 サービス実施前 がん検診 受診率

20

% がん患者 発見数

12

名 サービス提供費 (※2)

-

医療費適正化効果 (※1)

-

> サービス実施後

40%

(+20)

24名

(+12)

4,800

万円

2,800

万円 例:平成24年度A市 大腸がん検診対象者 (92,700人) 行政コスト削減効果も 見込める可能性がある • 市民の寿命やQOLの向上 • 直接費用(疾病の治療にかかる費用)の適正化 • 間接費用(疾病により労働ができないことによる損失)の適正化 サービス実施により期待される効果イメージ 直接費用の適正化効果例 • がん検診向上に取り組むことで創出され得る社会的便益としては、医療費などの直接的なコストに加え、市民の QOL向上などの間接的なコスト削減も期待される。

官民連携による地域課題解決の可能性 ②(がん検診率向上)

(10)

9 • 地方自治体の歳出決算額に占める固定経費の割合は非常に大きい。 • 行政コストの効率化が見込めるプログラムが存在したとしても、財政の硬直度が高い地方自治体にとっては、政 策経費は非常に貴重であり、新規導入する際のハードルが高い。 • 特に健康・医療分野では、必ずしも単年度での実施によって社会的便益が評価できるわけではないので、有望 なプログラムが存在しても、新規導入するための予算獲得が困難。

地方自治体が有望な民間事業を公共事業として導入する際の課題

固定経費 92.5% 社会保障費 15.0% 人件費 33.0% 公債費 18.0% 維持・ 運営費 26.5% 政策経費 7.5%

<A自治体の歳出決算額の内訳>

<予防事業と効果創出までのタイムラグ>

事業実施費用 社会的便益 経費/効果 事業効果(医療費削減等) 事業開始 初年度 次年度以降、3年間継続実施した場合 行政の実質的な投資費用 回収できる はずだが・・

(11)

1.官民連携による地域課題解決の可能性

2.民間資金を活用した財政手法SIBと

自治体にとっての意義・位置付け

3.SIB導入の際の主な留意点

(12)

11 • SIBとは、民間資金を活用して革新的な社会課題解決型の事業を実施し、その事業成果(社会的コストの効率 化部分)を支払の原資とするもの。 • 既にニューヨーク市等では、民間事業者が取り組む活動の社会的インパクト(行政コスト削減等)を数値化し、自 治体等がその成果報酬を支払うSIBの導入が図られ、民間資金の活用が進んでいる。

ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは

サービス 提供者 消費者 SIB 運営組織 資金提供者 成果報酬 (コスト削減分)を支払 出資 配当 地方自治体等 評価組織 サービスと社会的コスト削減 の因果関係を評価 評価を フィードバック 資金提供 サービス提供

<SIBによる行政コスト削減イメージ>

100 行政コスト 50 行政コスト NPO委託費等 投資家リターン 35 行政コスト 削減 0 50 100 現状 SIB導入 SIBによる行政コスト削減 15 SIB実施に かかるコスト

<SIBの一般的なスキーム>

社会的投資家 篤志家 企業CSR 財団助成 機関投資家 個人投資家 想定される投資家

(13)

12 • SIBでは、事業実施の際に民間資金を活用するため、地方自治体としては貴重な政策経費を使わずに先進的かつ 効果的な事業に取り組むことが可能に。 → 結果として義務的経費を効率化することも期待でき、政策経費に予算を充当できる可能性も。 • 事業成果が上がらなければ、行政は投資家へリターンを支払う必要がないため、少ないリスクで財政支出の削減と効 果的な公共サービスの提供が可能に。

地方自治体がSIB導入に取り組む意義 ①

固定経費 92.5% 社会保障 費 15.0% 人件費 33.0% 公債費 18.0% 維持・ 運営費 26.5% 政策経費 7.5%

<A自治体の歳出決算額の内訳>

SIBプログラム実施 社会的投資家 篤志家 企業CSR 財団助成 機関投資家 個人投資家 民間資金の活用

政策経費

UP!

・・・etc

(14)

13 • SIBでは、社会的便益を貨幣価値換算することを前提とするため、事業成果について、関係者(住民、議会、庁内 財政当局等)に対する説明責任を果たすことが可能に。 • 複数年度に渡る効果検証を前提とするため、単年度主義に拘束されず、効果的な事業実施が可能に。 → 健康・医療分野では、単年度で改善効果が見られる事業は少ないので、会計年度の壁にとらわれないプロジェ クトを前提とするSIBは極めて有効な手段。

地方自治体がSIB導入に取り組む意義 ②

SIB実施費用(中間支援組織・事業者) 社会的便益 経費/効果 回収 SIB事業による効果 事業開始 初年度 2年度 3年度 4年度 実質的な投資費用 行政の実質的便益 投資家へのリターン 社会的投資家 篤志家 企業CSR 財団助成 機関投資家 個人投資家 民間資金の活用

<SIB事業におけるコストと社会的便益のイメージ>

(15)

14 地方自治体単独実施 ⇒ 民間委託:①民間事業者の方が効率的に実施可能 ⇒ 成果報酬型:かつ、②革新的な取組によってコスト削減効果の変動が想定 ⇒ 民間資金活用:かつ、③社会的便益に関して不確定要素が多く、自治体の既存資金では実施が困難 ソーシャルインパクトボンド:かつ、④事業者が自己資金を投入して実施することが難しい場合

SIB実現可能領域の要件と地方自治体の公共事業との関係性

自治体が実施 委託管理型 民間事業者実施 成果報酬型 民間資金活用 公共 事業A 固定報酬型 自治体予算 民間事業者の方がより効率的に実施で きる事業の場合 Ex)自治体実施だとコスト100だが、 民間事業者であればコスト80で 同様の効果が得られる事業

効率化、効果の定量化

重視・行政負担軽

Cost:100 80 80 60+α 60+α 50±α SIB PFI 50±α 50±α 不特定多数の 投資家 組合方式 革新的な取組によってコスト削減効果の変動が想定さ れる事業の場合 Ex)サービス提供方法の工夫等、事業者の努 力等によって効果の向上が見込まれる事業 社会的便益の創出効果に関して不確定要素が多く、自 治体の既存資金(税金)では実施が困難な場合 Ex)財政の硬直度が高く、政策的に執行できる予 算が乏しい 社会的便益の創出効果に関して不確定要素が多いため、事業者 が自己資金を投入して実施することが難しい場合 →投資家からの出資を募り、資金を確保 Ex)健康福祉、児童福祉、雇用支援 .etc ・特定の投資家が出資 ・事業実施にあたり 一定の発言権有 ・資金提供を行うのみ ・事業実施にあたり 発言権無

(16)

15 • SIBが適する領域としては、 ① 民間事業者の方が効率的に実施でき、 ② 革新的な取組によってコスト削減効果の変動が想定され、 ③ 社会的便益の創出効果に関して不確定要素が多く、自治体の既存資金では実施が困難であり、 ④ 事業者が自己資金を投入して実施することが難しい分野。

SIBの実現可能性がある領域はどこか

• 成果報酬型支払に摩擦が

生じる領域

• SIB以外でも資金調達が

可能な領域

• 実施自治体で便益が出に

くい領域

• 既に広く社会に普及して

いる事業領域

広くニーズが存在すると想定され、

SIBの実現可能性がある領域

ヘルスケア産業領域外

ヘルスケア産業領域

• 糖尿病重症化予防

• 検診率受診率向上

• 認知症/介護予防

• 児童養護

• 若年雇用支援

• 生活困窮者自立支援

• 受刑者再犯防止

• 幼児教育

• 依存症克服支援

(アルコール・薬物等)

・ ・ ・ ・ ・ ・

SIBに

適していない領域

(17)

3-1.

16

SIB実施事例:10か国40件以上

アメリカ9, カナダ1 オーストラリア

欧州 34

北米 10

オセアニア 2

韓国1, インド1

アジア 2

イスラエル

中東 1

イギリス29, オランダ2,ドイツ1, ベルギー1,ポルトガル1 特にイギリスは、政策 の後押しもあり案件が 最も多い

3-2.

海外事例 ①(世界における案件数)

• 2010年に英国で第一号案件が成立以来、欧米を中心に40件以上が組成されており、累計投資額は150億円 超に達している。

(18)

3-2.

17

11

%

8

%

34

%

21

%

26

%

受刑者

再犯防止

教育

若者就労支援

子ども・

家庭支援

生活困窮者支援

出所:Gustafsson et al. “The Potential and Limitations of Impact Bonds” Global Economy and Development at Brookings, 2015

38

海外事例 ②(実施分野)

• SIBが導入されている社会的課題の領域は、若者就労支援や生活困窮者支援などの予防的介入が効果的な分 野が多い。近年では糖尿病予防、心臓病予防等のヘルスケア領域でも組成が進みつつある。

(19)

18 • イスラエルにおける糖尿病予防のケースでは、糖尿病罹患のリスクの高い対象者に絞って介入プログラムを実施してお り、ヘルスケア産業領域でも案件組成が始まっている。

海外事例 ③(イスラエルにおけるケース)

SIB組成・ 契約 資金提供者 事業資金を 提供 行政 サービス提供者① サービス対象者 第三者評価機関 中間支援組織 全体管理 調達・ サービス 提供 成果報告 社会的成果 の評価 成果報酬支払 元本と利子 の償還 • 個人投資家 • 機関投資家 • 篤志家 • Social Finance Israel • リスクの高い 糖尿病前状態の対象者 (特にA1c:6~6.4%、空腹時血漿グルコース値 (FPG):110~126mg/dLの対象者) • 政府 • HMO • 運動療法等提供のNPO • HMO • 技術的サービス提供者 サービス提供者② データ提供者 【SIBの目的】 1. SIBの目的:リスクの高い対象者のⅡ型糖尿病患者の罹患を防ぐこと

2. 対象者の健康状態を一般的な健康状態に改善すること

【介入サービスプログラム】 健康的な生活の実践および個別 運動プログラムの提供(1年間の 集中的介入とそれに続く2年間の フォローアップ)

(20)

19 • 2015年度より、日本財団や経済産業省のSIBパイロットプログラムとして以下の案件が各地域で実施されている。 • また、その他複数の地方自治体が研究会の立ち上げや案件組成の準備に着手している。

国内におけるSIBに関する動き ①(国内事例一覧)

※パイロット

事業領域 事業実施者 参加自治体 中間支援組織 評価者 事業資金 児童養護 (養子縁組) 一般社団法人ベアホープ 横須賀市 一般社団法人 RCF復興支援 チーム 日本社会事業大 学 日本財団による助成 認知症予防 株式会社 公文教育研究会 福岡市、松本市、他全7自治体 日本財団 福岡地域戦略推 進協議会 慶應義塾大学 経済産業省による 委託事業として実 施 若年就労 NPO法人 育て上げネット 尼崎市 日本ファンドレイジング協会 武蔵大学 日本財団による助

(21)

20 • 政府においては、「日本再興戦略 改訂2015」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」等において、社会的課題 解決手法の一つとしてSIBを活用するための検討がなされている。

国内におけるSIBに関する動き ②(政府での検討状況)

まち・ひと・しごと創生基本方針2015(平成27年6月30日閣議決定) 人口減少が進む中で、民間の創意工夫を最大限活用し、「民の知見」を引き出すことが重要である。このため、民間の資金・技 術や経営ノウハウを活用するPPP/PFI(手法を通じ公共施設のマネジメントを最適化・集約化することや、地域の企業における少子 化克服に向けた働き方改革を推進すること等が考えられる。 また、民間資金や知見を活用する手法の一つとして、社会的インパクト投資(SIB)が英国で始まり世界に広がりつつある。 我が国においても、パイロット事業を検証しながら、こうしたものを含めた社会的課題の解決手法の活用に向けて、課題の整理 等の検討を進めていくことが考えられる。 Ⅱ.地方創生の基本方針-地方創生の深化- 2.「地方創生の深化」を目指す-ローカル・アベノミクスの実現- ③「民の知見」を引き出す(民間の創意工夫・国家戦略特区の最大活用) 民間の資金やサービスを活用して、効果的・効率的に健康予防事業を行う自治体等の保険者へのインセンティブとして、ヘルスケ ア分野におけるソーシャル・インパクト・ボンドの導入を検討。 戦略市場創造プラン テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸 (3)新たに講ずべき具体的施策 ⑦個人・保険者・経営者等に対する健康・予防インセンティブの付与 「日本再興戦略」改訂2015(平成27年6月30日閣議決定)

(22)

1.官民連携による地域課題解決の可能性

2.民間資金を活用した財政手法SIBと

自治体にとっての意義・位置付け

3.SIB導入の際の主な留意点

(23)

22 • SIBを組成する際は、様々なステークホルダーの理解を得る必要がある。 • 中でも、地方自治体において組成を行う場合は、資金提供者だけではなく、住民や議会の理解を得ることも必須。 • 組成の段階から、経済的・社会的便益が発生した場合の明確な評価指標・支払い条件を示すとともに、成果目標 未達の場合には、誰が経済的リスクを負うのかということ等も明確にする必要がある。

関係者の合意形成

住民 議会 資金提供者 行政、事業者

明確な評価指標・支払い条件、

経済的リスクの負担等に関する合意

(24)

23 • 主に社会的課題解決を目的としてSIB組成の契機があり、特に行政機関・中間支援組織を中心として、それぞれの 参加者のモチベーション・課題を踏まえた制度設計が必要。

SIBの組成・推進体制とモチベーション

• 税収減少の中で行政 負担を削減したい • 削減分を行政独自の 施策等の実施に充てた い SIB組成・契約 資金提供者 中間支援組織 サービス提供者 第三者評価機関 行政 サービス対象者 償還 資金提供 調達・全体管理 評価報告 社会的 成果の評価 行政機関と中間支援組織が 中心となってSIBを組成 サービス提供 SIB推進 体制 • 資金提供者へのリターンや行政コ スト削減の最大化と社会的課題 の解決を行いたい • 公正な機関として、中 立性を担保した評価 を行いたい • 革新的な社会課題解決型事業の社会実装をするために、複数年度にわたる規模の予算確保 をしたい • 最大限のパフォーマンスを発揮したい • 最大限の経済的・社 会的リターンが欲しい 評価アドバイザ 進捗・ 成果管理

(25)

24 • SIBは、経済的便益も社会的便益ももたらすことが期待されるものであるため、異なる種類の投資家により構成され る可能性がある。したがって、資金提供者の構成によって、関係者のモチベーション維持に向けた中間支援組織の役 割も変わってくる。 (例)資金提供者が不特定多数の者で構成される場合、基本的に投資家は事業実施に参加出来ず、資金を提 供するのみであるため、事前の説明及び納得感の醸成が必要。

日本において、どういった資金提供者の可能性があるか

出資規模:小 財 務 リ タ ー ン へ の 期 待 : 高 出資規模:大 財 務 リ タ ー ン へ の 期 待 : 低 篤志家 企業CSR 財団助成 個人投資家 機関投資家 社会的投資家

(26)

25 • 経済的・社会的便益が発生した場合の明確な評価指標・支払い条件を示すとともに、成果目標未達の場合には、 誰が経済的リスクを負うかということも明確にすべき。

リスク・リターンの分配方法(一般)

200 130 150 170 180 200 30 30 30 30 30 +15 +10 0 40 80 120 160 200 240

SIB導入前

SIB導入後

医療介護費 SIB運営・ 実施費用 資金提供者への 財務リターン SIB実施による 成果報酬支払 例:成果目標=医療介護費の削減分を30とした場合 行政コスト減 行政コスト減 行政コストは不変

(27)

26 • 各プレイヤーのモチベーションをより高め、より効果的な事業実施を促すためには、行政コスト効率化の結果に応じて 中間支援組織・事業者の成果報酬が変動し、リスクも分担するスキームも有効。

リスク・リターンの分配方法(効果的手法)

200 130 150 170 180 200 30 30 30 30 30 +15 +10 +10 +5 -5 -10 0 40 80 120 160 200 240

SIB導入前

SIB導入後

医療介護費 SIB運営・ 実施費用 資金提供者への 財務リターン SIB実施による 成果報酬支払 行政コスト減 行政コスト減 例:成果目標=医療介護費の削減分を30とした場合 中間支援組織・ 事業者への 成果報酬 中間支援組織・ 事業者のリスク 分担部分 行政コストは不変

(28)

27 • SIBを設計するにあたり、資金提供者・住民・地方自治体・サービス提供事業者等の関係者が納得した上で、事業 として最大効果をもたらすためには、以下の点に留意した評価指標・支払い条件の設定が必要。

リスク・リターンの分配方法(まとめ)

課題解決に向けて最 大限のパフォーマンスを 発揮するような設計と なっていること 歪んだ インセンティブ 設計とならないこと • 単一の指標(例:介護度のみ)を成果指標とせず、細分化されたアウトカム指標 やプロセス指標も含めて設計することにより、対象者の作為的な抽出を促すなど歪 んだインセンティブを与えない、健全な成果連動型支払いを設計することが重要。 • 中間支援組織や事業者がより効果的なサービス提供を行うための仕組み作りが重 要。 例)特に、資金提供者からのガバナンスが働きにくいケースにおいて、サービス提供 者に対してインセンティブを付与、または資金提供者とリスク分担をさせること等によ り、モニタリングコストを抑えながら高いパフォーマンスと事業継続性を促すことができ る可能性がある。 行政コストの効率化・ 社会的便益の創出が 明確に説明され、支持 されるものであること • 経済的・社会的便益が発生した場合の評価指標や支払い条件については、資金 提供者との合意や議会の承認を得る必要がある。このため、行政コストの効率化や 社会的便益の創出を評価する指標は、先行指標であっても実態指標であっても、 資金提供者や住民・議会に対して説明可能であり、重要性が共有されるものでな くてはならない。

参照

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