• 検索結果がありません。

日本金属学会誌第 79 巻第 11 号 (2015) 特集 熱電材料研究の新展開 ~ 新しい物性解析技術と新材料 ~ 非化学量論組成ホイスラー合金 Fe 2-y V 1+x+y Al 1-x の熱電特性 犬飼学 1 宮崎秀俊 1 井手直樹 2 西野洋一 1 1 名古屋工業大学大学院工学

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日本金属学会誌第 79 巻第 11 号 (2015) 特集 熱電材料研究の新展開 ~ 新しい物性解析技術と新材料 ~ 非化学量論組成ホイスラー合金 Fe 2-y V 1+x+y Al 1-x の熱電特性 犬飼学 1 宮崎秀俊 1 井手直樹 2 西野洋一 1 1 名古屋工業大学大学院工学"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1名古屋工業大学大学院工学研究科未来材料創成工学専攻

2名古屋工業大学大学院工学研究科物質工学専攻

J. Japan Inst. Met. Mater. Vol. 79, No. 11(2015), pp. 621626

Special Issue on Progresses in the Development of Thermoelectric Materials: New Analyses and New Materials  2015 The Japan Institute of Metals and Materials

Thermoelectric Properties of the OffStoichiometric Heusler Alloys Fe2-yV1+x+yAl1-x

Manabu Inukai1, Hidetoshi Miyazaki1, Naoki Ide2and Yoichi Nishino1

1Department of Frontier Materials, Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology, Nagoya 4668555 2Department of Materials Science and Engineering, Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology,

Nagoya 4668555

We report the thermoelectric properties of the offstoichiometric Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys in the temperature range from 300 to 750 K. Fe2-yV1+x+yAl1-x alloys with Vrich (1+x+y>1-x, i.e., y>-2x) and Alrich (y<-2x) composition show the negative and positive sign of Seebeck coefficient, respectively, and the peak temperature of Seebeck coefficient shifts to the higher temperature side with increasing V and Al composition. Electrical resistivity of Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys shows the metallic temperature dependence. Due to the combination of the Fe/V and V/Al offstoichiometric effects, Fe1.97V1.12Al0.91 and Fe2.03V0.89Al1.08alloys show the highest power factors of 4.03×10-3W/m K2for ntype and 2.52×10-3W/m K2for ptype at 500 K, respectively. [doi:10.2320/jinstmet.JA201519]

(Received May 7, 2015; Accepted June 30, 2015; Published November 1, 2015)

Keywords: thermoelectric materials, Heusler alloys, offstoichiometry, Seebeck coefficient

1. 緒 言 ホイスラー型 Fe2VAl 合金は,金属元素のみから構成され ているにもかかわらず半導体的な電気抵抗率の温度依存性を 示す金属間化合物であり1),バンド計算によるとフェルミ準 位に鋭い擬ギャップをもつ非磁性半金属であることが予測さ れ て い る25). 赤 外 分 光6,7)お よ び 光 電 子 分 光8,9)測 定 か ら Fe2VAl 合金はフェルミ準位近傍に擬ギャップ的な電子構造 を形成しており,低キャリア濃度の半金属であることが報告 されている.このような擬ギャップ系金属間化合物は,キャ リア濃度の調整により電子構造が大きく変化することなくフ ェルミ準位の位置が変化する剛体バンドモデル的な電子構造 の変化が期待される. 化学量論組成 Fe2VAl の 1 原子あたりの価電子数を示す価

電子濃度(Valence Electron Concentration: VEC)は 6 であ り,バンド計算によるとフェルミ準位は擬ギャップの底にあ ることから,キャリア濃度の調整により VEC が 6 より大き い場合には n 型,6 よりも小さい場合には p 型の熱電特性を 示す10).キャリア濃度の調整には,構成元素の一部を価電 子数が異なる第 4 元素で置換する方法と価電子数が異なる 構成元素の比を調節する非化学量論組成の方法が用いられ る.実際,Fe サイトの Co 置換11),V サイトの W 置換12) Alサイトの Si 置換10,1216)のように価電子数の多い第 4 元素 で置換することにより n 型の熱電材料,また,V サイトの Ti 置換17),Fe サイトの Re 置換18)のように価電子数の少な い第 4 元素で置換することにより p 型の熱電材料を得られ ることが報告されている.第 4 元素置換を行った Fe2VAl 系 合金においては,室温におけるゼーベック係数が元素に依存 しない振る舞いを示すことから,キャリア濃度の制御により 電子構造が剛体バンド的に制御されていることが示唆されて いる10).一方,非化学量論組成による熱電特性の制御には,

Fig. 1 に示す(Fe2V)1+xAl1-x19)(図中 AA′),Fe/V 組成比

を変えた Fe2-yV1+yAl16,20,21)(図中 BB′),V/Al 組成比を変

えた Fe2V1+xAl1-x22)(図中 CC′)の 3 種類が報告されている. (Fe2V)1+xAl1-x19)および Fe2V1+xAl1-x22)の非化学量論組成 においては,ゼーベック係数の符号が VEC の変化に伴う剛 体 バ ン ド モ デ ル 的 な 変 化 で 説 明 で き る も の の , 特 に Fe2V1+xAl1-xでは V/A 組成比の変化によりゼーベック係数 のピーク温度が第 4 元素置換の場合に比べて高温側にシフ トするという特異な挙動を示し22),400~600 K で最大の性 能 を 持 つ よ う に な る . 一 方 , Fe/ V 組 成 比 を 変 化 さ せ た Fe2-yV1+yAl16,20,21)では,第 4 元素置換の場合とは異なり電 子ドープの場合には正のゼーベック係数,ホールドープの場

(2)

Fig. 1 Compositional ternary diagram of various offstoichio-metric Fe2VAl alloys, such as (Fe2V)1+xAl1-x alloys (AA′ line ) ,19) Fe

2-yV1+yAl alloys (B B ′ line )16,20,21) and Fe2V1+xAl1-xalloys (CC′line).22)

Fig. 2 Powdered Xray diffraction (XRD) patterns of Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys with compositions of x=0.09, y=0~ 0.03 (a) and x=-0.08, y=0~-0.03 (b). Lattice parameters a of Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys with compositions of x=-0.08 and 0.09 as a function of Fe/V composition y (c).

合には負のゼーベック係数を示し,電子構造が大きく変化す ることが予想されている.非化学量論組成においては,フェ ルミ準位のシフトとともに擬ギャップ近傍での電子構造の変 化が予測されており,近年は非化学量論組成による電子構造 の変化と元素置換によるキャリア濃度の最適化により,第 4 元素置換を行った系よりもさらに熱電特性を向上させる試 み2326)も行われている.以上のように,Fe 2VAl 系合金では キャリア制御や電子構造の変化による n 型および p 型熱電 特性の制御が同一構成元素の合金において実現しており,環 境負荷が少ない元素のみで構成された環境調和型熱電変換材 料の候補として注目されている. しかしながら,これまでの非化学量論組成 Fe2VAl 系合金 における熱電特性は 1 種類の非化学量論組成を変化させた 場合の報告のみであり,2 種類の非化学量論組成を組み合わ せた系における熱電特性の振る舞いは明らかになっていな い.そこで,本研究では Fe2VAl 系熱電変換材料において高 い出力因子の組成範囲を探索するために,電子構造の変化が 期待される Fe/V 組成比および高温熱電特性の改善が期待さ れる V/Al 組成比の 2 種類の非化学量論組成を組み合わせた Fe2-yV1+x+yAl1-x合金を作製して熱電特性を調べた.特に 内燃機関の排熱を利用する熱電発電への応用を目指して, 400~600 K における最適な組成比の決定を試みた. 2. 実 験 方 法

Fe2-yV1+x+yAl1-x(-0.08<x<0.08, -0.12<y<0.12)合金

は , 純 度 99.99 の Fe と Al, 純 度 99.9  の V を 用 い て アーク炉により Ar 雰囲気中で溶製した.各インゴットは, 5×10-3Pa の真空中において 1273 K で 173 ks 間の均質化 焼鈍を施した.電気抵抗率およびゼーベック係数の測定には, 2 mm×3 mm×10 mm に成形した試料を用いた.粉末 X 線 回折測定用試料には Al2O3製乳鉢で 45 mm 以下に粉砕した 粉末を用いた.各測定用の試料は,成形後に石英ガラスに真 空封入し 1273 K で 3.6 ks 間の歪取り焼鈍を施した. 作製した試料の結晶構造および格子定数の決定のため,粉 末 X 線回折測定は CuKa 線源を用いた RINT 2100(株リガ ク製)で行った.電気抵抗率およびゼーベック係数について, ZEM3(アドバンス理工株製)を用いて 300~750 K の温度 範囲で測定した. 3. 実 験 結 果 3.1 結晶構造 本研究では Fe2-yV1+x+yAl1-x合金における熱電特性に対 して Fig. 1 の C 点および C′点付近を重点的に調査した. 500 K で高い出力因子を示す代表的な組成として n 型熱電材 料(x=0.09, y=0, 0.01, 0.02, 0.03)および p 型熱電材料(x= -0.08, y=0, -0.01, -0.02, -0.03)の粉末 X 線回折パター ンおよび格子定数の組成依存性を Fig. 2(a), (b)および(c) に示す.ホイスラー型の結晶構造に特徴付けられる L21規 則格子回折ピークは 2u=27°付近,B2 規則格子回折ピーク は 2u=31°付近,bcc 基本格子回折ピークは 2u=44°付近に 出現する.いずれの組成においても L21単相の回折ピーク が確認されており,第 2 相の析出は観測されなかった.格 子定数の Fe/V 組成依存性では,Fe/V 組成比の減少(y>0) とともに増加し,Fe/V 組成比の増加(y<0)とともに減少す る傾向を示した.これは Fe の原子半径が V よりも小さいこ とに起因すると考えられる27).しかしながら,y=-0.03 の

組成では格子定数が増加に転じており,組成のずれが大きく なることによる相安定性の低下に起因していると考えられ

(3)

Fig. 3 Temperature dependence of Seebeck coefficient S in Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys with compositions of y=0, x=0.04~ 0.12 (a) and y=0, x=-0.04~-0.12 (b).

Fig. 4 Temperature dependence of Seebeck coefficient S in Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys with compositions of x=0.09, y=0~ 0.03 (a) and x=-0.08, y=0~-0.03 (b).

料であることが明らかになった. 3.2 ゼーベック係数および電気抵抗率 V/Al 非化学量論組成 Fe2V1+xAl1-xでは,ゼーベック係数 のピーク温度が高温側にシフトする特異な挙動を示すことが 報告されているが22),300~500 K 近傍で最大の出力因子を 示す組成の決定には至っていない.より詳細な V/Al 組成比 の決定のために,Fe2-yV1+x+yAl1-x(x=0.04, 0.08, 0.09,

0.10, 0.12, y=0)および(x=-0.04, -0.08, -0.09, -0.10, -0.12, y=0)におけるゼーベック係数 S の温度依存性を Fig. 3(a)および(b)に示す.x>0 の組成は電子ドープに対応 するのでゼーベック係数は負の値を示し,その絶対値|S|の 最大値は 350 K 近傍において 132 mV/K であった.|S|の ピーク温度は V/Al 組成比の増加とともに高温側へとシフト する傾向を示した.400~600 K で高い負のゼーベック係数 を示す最適な V/Al 組成比は x=0.09, y=0 であった.x<0 の組成はホールドープに対応し,ゼーベック係数 S は正の

特性を調べた.Fig. 4(a)および(b)に Fe2-yV1+x+yAl1-x(x=

0.09, y=0, 0.01, 0.02, 0.03)および(x=-0.08, y=0, -0.01, -0.02, -0.03)におけるゼーベック係数の温度依存性を示す. y>0 および y<0 の試料とも Fe/V 組成比を変化させても ゼーベック係数の符号は変化せず,n 型および p 型の特性を 示す.y>0 の Fe/V 非化学量論組成の試料では|S|の最大値 は y=0 の時よりもわずかに減少しており,450 K において 111mV/K であった.y=0.03 の組成では 450 K において 113mV/K であり,y=0 に比べ|S|はわずかに増加した.し かしながら,|S|がピークを示す温度に大きな変化は見られ なかった.一方,y<0 の Fe/V 非化学量論組成比の試料で は,y=-0.03 の試料で 500 K において 75 mV/K を示し,y =0 の試料に比べて増加するものの,そのピーク温度は y= 0 に比べて低温側にシフトした.以上により,Fe/V および V/Al 組成比の 2 種類の非化学量論組成の組み合わせによ り,ゼーベック係数の絶対値は全体的に増大することが明ら かになった.

(4)

Fig. 5 Temperature dependence of electrical resistivity r in Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys with compositions of x=0.09, y=0~ 0.03 (a) and x=-0.08, y=0~-0.03 (b).

Fig. 6 Temperature dependence of power factor P in Fe1.97V1.12Al0.91and Fe2V1+xAl1-x(x=0.04, 0.08, 0.12) (a) and Fe2.03V0.89Al1.08and Fe2V1+xAl1-x (x=-0.04, -0.08, -0.12) (b).

Fig. 5(a)および(b)は,それぞれ Fe2-yV1+x+yAl1-x(x=

0.09, y=0, 0.01, 0.02, 0.03)および(x=-0.08, y=0, -0.01, -0.02, -0.03)における電気抵抗率r の温度依存性である. y>0 の Fe/V 非化学量論組成の試料では,電気抵抗率に顕 著な変化は見られない.しかしながら,y<0 の Fe/V 非化 学量論組成の試料では,y-0.02 の試料において電気抵抗 率が全体的に増加する傾向を示した. 熱電材料の性能を示すパラメータの一つに熱から取り出せ る電力に対応する出力因子 P(P=S2/r)がある.Fig. 6(a)お よ び ( b ) に , 500 K で 特 に 大 き な 出 力 因 子 を 示 し た Fe1.97V1.12Al0.91および Fe2.03V0.89Al1.08の出力因子の温度依 存性を示す.図中には,比較のためにそれぞれ V/Al 比を変 えた Fe2V1+xAl1-x(x=0.04, 0.08, 0.12)と(x=-0.04, -0.08, -0.12)を示す.Fe/V および V/Al 組成比の 2 種類の非化学 量論組成を組み合わせた試料は,V/Al 非化学量論組成の試 料よりも n 型および p 型ともに広い温度範囲で高い出力因 子を示しており,熱電特性の向上に有効であることが明らか となった. 4. 考 察 Fe/V および V/Al 組成比の 2 種類の非化学量論組成の組 み合わせが Fe2VAl 系合金の熱電特性の向上に有効であるこ とを示した.そこで,2 種類の非化学量論組成を組み合わせ た Fe2-yV1+x+yAl1-x合金における最も高い出力因子を持つ 組成を決定するために,Fig. 7 に 400 K,500 K および 600 Kにおけるゼーベック係数と電気抵抗率の組成三角形を示 す.Fe2VAl 系合金を用いた熱電素子を大量生産する際に は,目標となる熱電性能を有する組成の許容範囲を予め明ら かにしておくことが重要となる.Fig. 7(a)において,n 型お よび p 型のゼーベック係数の最大値に対して 0.9 倍(実線), 0.8 倍(破線),0.7 倍(点線)となる等高線を示す.p 型では ゼーベック係数が高い領域が 2 つあり,48 at Fe 付近と 51 at Fe 付近の 2 か所存在している.48 at Fe 付近の合 金は 600 K において高いゼーベック係数を示しておらず, 擬ギャップが 51 at Fe 付近のものよりも狭いことが考え られる.実線で示される組成範囲はその中心から約±1 at にあり,p 型では n 型よりもその範囲が狭いことが分かっ た.温度が高くなるにつれて,ゼーベック係数の絶対値が高 い範囲は,n 型では V/Al 組成比が増加するとともに VEC が増加する方へ,p 型では V/Al 組成比が減少するとともに VEC が減少する方へシフトした.組成のシフト量は 100 K ごとに約 1.0 atであった.Fig. 7(b)において,n 型および p 型の電気抵抗率の最小値に対して 1/0.9 倍(実線),1/0.8 倍(破線),1/0.7 倍(点線)となる等高線を示す.電気抵抗率 は V/Al 組成比が 1 よりも増加または減少することで減少し

(5)

Fig. 7 (a) Compositional ternary diagrams of Seebeck coefficient S and (b) electrical resistivity r in the offstoichiometric Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys at 400, 500 and 600 K. The solid, dashed and dotted lines indicate the region of 0.9, 0.8 and 0.7 (a) and 1/0.9, 1/0.8 and 1/0.7 (b) of the maximum and minimum values.

Table 1 The highest power factor in Fe2-yV1+x+yAl1-xalloys at 400, 500 and 600 K.

Composition Type P/10Power factor,-3Wm-1K-2 Temperature,T/K VEC Fe1.96V1.12Al0.92 n 5.04 400 6.0100 Fe1.97V1.12Al0.91 n 4.03 500 6.0225 Fe1.98V1.13Al0.89 n 3.10 600 6.0400 Fe2.05V0.88Al1.07 p 3.29 400 6.0025 Fe2.03V0.89Al1.08 p 2.52 500 5.9825 Fe2.02V0.87Al1.11 p 1.86 600 5.9600 た.電気抵抗率が低い組成範囲は,n 型では 49.5 at Fe 付 近,p 型では 50.5 at Fe 付近に存在している.温度が上昇 すると破線や点線で示される組成範囲が拡大し,組成の違い による電気抵抗率の差は小さくなる傾向を示した.実線で示 される組成範囲は,その範囲がわずかに拡大するが,その中 心は大きくシフトしないことが明らかになった. Fig. 7(a)および(b)の結果から得られる最も高い出力因子 を示す組成を Table 1 に示す.すべての温度において p 型 で最も高い出力因子は n 型の約 6 割の値になっている.実 用的な熱電材料として重視される 500 K 付近で最も高い出 力 因 子 は , p 型 で は Fe2.03V0.89Al1.08に お け る 2.52 × 10-3 W/m K2,n 型では Fe 1.97V1.12Al0.91における 4.03×10-3W/ m K2である.p 型のホイスラー型熱電材料については 2 種 類の非化学量論組成の組み合わせに加え,第 4 元素置換と 併用することにより,出力因子をさらに向上させることが必 要不可欠である. 5. 結 言 本研究では,Fe/V および V/Al 組成比の 2 種類を組み合 わせた非化学量論組成 Fe2VAl合金を作製し,500 K 付近で 高い出力因子を有する組成の決定を試みた.ゼーベック係数 の符号は Fe/V および V/Al 組成比の 2 種類の非化学量論組 成を組み合わせた場合でも V 過剰組成では n 型,Al 過剰組 成では p 型を示すことが明らかになった.500 K で最も高い 出力因子は,n 型では Fe1.97V1.12Al0.91における 4.03×10-3 W/m K2,p 型では Fe 2.03V0.89Al1.08における 2.52×10-3W/ m K2であった.n 型と p 型のいずれにおいても,ゼーベッ ク係数の絶対値が最大となる組成から約±1.0 atの範囲内 では最大値の 0.9 倍以上の出力因子が得られており,組成が わずかにずれた場合においても高い出力因子を保持できるこ とが明らかになった.すべての温度において p 型で最も高 い出力因子は n 型の 6 割程度であった.Fe/V および V/Al 組成比の 2 種類の非化学量論組成を組み合わせることによ り,一方のみの非化学量論組成の合金と比べて熱電性能が向 上することが明らかになった.

(6)

本研究の一部は,(国研)科学技術振興機構の研究成果最適 展開支援プログラム(課題番号 AS2415009L)ならびに科学 研究費補助金(基盤研究(C)課題番号 26420664)の援助に より行われた.

文 献

1) Y. Nishino, M. Kato, S. Asano, K. Soda, M. Hayasaki and U. Mizutani: Phys. Rev. Lett.79(1997) 1909.

2) G. Y. Guo, G. A. Botton and Y. Nishino: J. Phys. Condens. Matter.10(1998) L119.

3) D. J. Singh and I. I. Mazin: Phys. Rev. B57(1998) 14352. 4) R. Weht and W. E. Pickett: Phys. Rev. B 58(1998) 6855. 5) M. Weinert and R. R. Watson: Phys. Rev. B58(1998) 9732. 6) H. Okamura, J. Kawahara, T. Nanba, S. Kimura, K. Soda, U.

Mizutani, Y. Nishino, M. Kato, I. Shimoyama, H. Miura, K. Fukui, K. Nakagawa, H. Nakagawa and T. Kinoshita: Phys. Rev. Lett.84(2000) 3674.

7) Y. Feng, J. Y. Rhee, T. A. Wiener, D. W. Lynch, B. E. Hubbard, A. J. Sievers, D. L. Schlagel, T. A. Lograsso and L. L. Miller: Phys. Rev. B63(2001) 165109.

8) K. Soda, T. Mizutani, O. Yoshimoto, S. Yagi, U. Mizutani, H. Sumi, Y. Nishino, Y. Yamada, T. Yokoya, S. Shin, A. Sekiyama and S. Suga: J. Synchrotron Radiat.9(2002) 233.

9) H. Miyazaki, K. Soda, S. Yagi, M. Kato, T. Takeuchi, U. Mizutani and Y. Nishino: J. Vac. Sci. Technol. A 24(2006) 1464.

10) Y. Nishino: The Science of Complex Alloy Phases, (TMS,

Warrendale, 2005) p. 325.

11) W. Lu, W. Zhang and L. Chen: J. Alloy. Compd.484(2009) L812.

12) M. Mikami, Y. Kinemuchi, K. Ozaki, Y. Terazawa and T. Takeuchi: J. Appl. Phys.111(2012) 093710.

13) H. Kato, M. Kato, Y. Nishino, U. Mizutani and S. Asano: J. Japan Inst. Metals65(2001) 652.

14) M. Vasundhara, V. Srinivas and V. V. Rao: J. Phys. Condens. Matter17(2005) 6025.

15) E. J. Skoug, C. Zhou, Y. Pei and D. T. Morelli: J. Electron. Mater.38(2009) 1221.

16) C. S. Lue and Y.K. Kuo: Phys. Rev. B66(2002) 085121. 17) H. Matsuura, Y. Nishino, U. Mizutani and S. Asano: J. Japan

Inst. Metals66(2002) 767.

18) F. Kobayashi, N. Ide and Y. Nishino: J. Japan Inst. Metals71 (2007) 208.

19) Y. Nishino, H. Kato, M. Kato and U. Mizutani: Phys. Rev. B63 (2001) 233303.

20) Y. Hanada, R. O. Suzuki and K. Ono: J. Alloy. Compd. 329 (2001) 63.

21) T. Nakama, Y. Takaesu, K. Yagasaki, T. Naka, A. Matsushita, K. Fukuda and Y. Yamada: J. Phys. Soc. Jpn.74(2005) 1378. 22) H. Miyazaki, S. Tanaka, N. Ide, K. Soda and Y. Nishino: Mater.

Res. Express1(2014) 015901.

23) T. Sugiura and Y. Nishino: J. Japan Inst. Metals73(2009) 846. 24) Y. Sandaiji, N. Ide, Y. Nishino, T. Owada, S. Harada and K.

Soda: J. Jpn. Soc. Powder Powder Metal.57(2010) 207. 25) K. Renard, A. Mori, Y. Yamada, S. Tanaka, H. Miyazaki and Y.

Nishino: J. Appl. Phys.115(2014) 033707.

26) Y. Nishino and Y. Tamada: J. Appl. Phys.115(2014) 123707. 27) B. K. Vainshtein, V. M. Fridkin and V. L. Indenbom: Structure

Fig. 1 Compositional ternary diagram of various offstoichio- offstoichio-metric Fe 2 VAl alloys, such as (Fe 2 V) 1+x Al 1-x alloys (AA′ line ) , 19) Fe
Fig. 3 Temperature dependence of Seebeck coefficient S in Fe 2-y V 1+x+y Al 1-x alloys with compositions of y=0, x=0.04~ 0.12 (a) and y=0, x=-0.04~-0.12 (b).
Fig. 5 Temperature dependence of electrical resistivity r in Fe 2-y V 1+x+y Al 1-x alloys with compositions of x=0.09, y=0~ 0.03 (a) and x=-0.08, y=0~-0.03 (b).
Fig. 7 (a) Compositional ternary diagrams of Seebeck coefficient S and (b) electrical resistivity r in the offstoichiometric Fe 2-y V 1+x+y Al 1-x alloys at 400, 500 and 600 K

参照

関連したドキュメント

P‐ \ovalbox{\tt\small REJECT}根倍の不定性が生じてしまう.この他対数写像を用いた議論 (Step 1) でも 1のp‐ \ovalbox{\tt\small REJECT}根倍の不定性が

工場設備の計測装置(燃料ガス発熱量計)と表示装置(新たに設置した燃料ガス 発熱量計)における燃料ガス発熱量を比較した結果を図 4-2-1-5 に示す。図

高機能材料特論 システム安全工学 セメント工学 ハ バイオテクノロジー 高機能材料プロセス特論 焼結固体反応論 セラミック科学 バイオプロセス工学.

関西学院大学手話言語研究センターの研究員をしております松岡と申します。よろ

キャンパスの軸線とな るよう設計した。時計台 は永きにわたり図書館 として使 用され、学 生 の勉学の場となってい たが、9 7 年の新 大

住所」 「氏名」 「電話番号(連絡 先)」等を明記の上、関西学院 大学教務部生涯学習課「 KG 梅田ゼミ」係(〒662‐8501西 宮 市 上ケ原 一 番 町 1 - 1 5

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

 活動回数は毎年増加傾向にあるが,今年度も同じ大学 の他の学科からの依頼が増え,同じ大学に 2 回, 3 回と 通うことが多くなっている (表 1 ・図 1