対人不安傾向の再検討 : 不特定の他者に対する不 安傾向と特定の他者に対する不安傾向
著者 角尾 美奈
雑誌名 東京家政大学研究紀要 1 人文社会科学
巻 43
ページ 167‑173
発行年 2003
出版者 東京家政大学
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009129/
対人不安傾向の再検討
一不特定の他者に対する不安傾向と特定の他者に対する不安傾向一
角尾 美奈
(平成14年10月3日受理)
AStudy of Social Anxiousness:
Anxiousness towards Unspecified Others and towards Specified Others TSUNoo, Mina
(Received on October 3,2002)
キーワード:対人不安傾向,不特定他者,特定他者
Key words:social anxiousness, unspecified others, specified others
問 題
対人場面で不安や緊張を感じやすいといった悩みはも ともと臨床場面で扱われてきた問題であり,そこでは人 との関わりにおいて発生する症状として「対人恐怖症」
と呼ばれている.永井(1994)によれば,この言葉が初 めて日本の論文に登場したのは森田(1932)においてで あり,そこでは次のように述べられている.「みずから 人前を気にすることをもって恐怖するもので,董恥恐怖 と名づけたほうが適切である.赤面を人に見られること を苦にするのはその一種であって,人前で顔の形や態度 をとり乱すのを苦にするものや,人と応待するとき,脇 の下から汗が出て,言葉が吃ったりするのを恐れたりす るものがある.そのほか,人の目をまともに見ることが できないのを騎甲斐なく思うとか(正視恐怖と名付ける),
自分の返事の仕方を気にするため,人の呼び掛けられる のを恐れるとか,あるいは人前や電車のなかでの放屍を
したような感じがして,きまりが悪く,たっても座って もいられないというようなものや蓋恥のための震え恐怖 や,群集恐怖や,数えきれないほどある」.森田(1932)
は,この差恥恐怖について,「周囲に対する対人関係で,
種々の苦悩を起す者が多いことから,近ごろある人はこ れを対人恐怖と名づけたことがある」と言っているとい
う.