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―多施設共同研究から―

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Academic year: 2021

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 近年,急性心筋梗塞症(acute myocardial infarction; AMI)の急性期予後は発症早期の再灌 流療法によって著明に改善してきた.わが国では発症早期の梗塞責任冠動脈に対するステン トを使用した経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI) 普及により,閉塞した梗塞責任冠動脈の血流を迅速かつ十分に回復することによって心筋壊 死量を減らし,重症不整脈,心破裂などの機械的合併症や重症ポンプ失調の合併頻度は減少 し,入院中の死亡率は 5〜10%程度となっている.特に,ST 上昇型心筋梗塞(ST elevation  myocardial infarction; STEMI)では, time is muscle として可及的速やかな再灌流療法が強 調されており,ACC/AHA のガイドラインでは病院到着後バルーンによる再灌流までの時 (door to balloon time)を 90 分未満にすることが推奨されている.今日,STEMI に対する primary PCI はルーチンの治療法となっている感があるが,再灌流までの時間や治療成績な どの検証は重要である.経験の少ない施設や術者が実施した PCI 治療成績の妥当性について は常に検証すべきと思われる.

 しかし,わが国には未だ全国レベルでの AMI の登録システムはなく,AMI に関する個々 の施設からの臨床データや各地の大学病院とその関連施設を中心とした多施設共同研究の臨 床データ,あるいは日本心血管インターベンション学会がアンケート調査によって毎年 2 月 の 1 カ月間に入院した AMI を集計したデータや東京都 CCU 連絡協議会での集計データなど が発表されているに過ぎない.AMI の各種合併症の頻度や死亡率はもとより,再灌流治療 の成績など AMI に関する自施設の主要な臨床データを他施設のものと比較検討して,救命 率の向上や長期予後改善に努力することは極めて重要である.高齢者の AMI による死亡率 は高く,今後ますます高齢化社会が進むわが国では,AMI に対する診療体制を構築し,発 症予防や急性期の救命率向上のための対策が重要と思われる.そこで本特集号では,わが国 の,ある地域において多施設共同で AMI の登録システムを構築し,AMI の治療成績を報告 しているいくつかの施設に,それらの研究結果の報告をお願いした.わが国における AMI 診療の現況を知ると同時に,今後の課題についても触れていただいた.自施設の治療成績と 比較し,何が自施設の課題であるかを知ることができれば今後の AMI 診療の方向性を明ら かにすることができるのではないかと思われる.

 本特集が各施設における AMI 診療の参考になれば執筆者および編者にとって大きな喜び であり,また,今後わが国でも米国の NRMI(the National Registry of Myocardial Infarc- tion)のような AMI の登録システムが構築されることを切に希望する.

― 125 ―

オープニング・リマークス

わが国における急性心筋梗塞症診療の現況と課題

―多施設共同研究から―

本田   喬 済生会熊本病院心臓血管センター循環器内科

参照

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