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Dormancy Period in Japanese Pepper (Zanthoxylum piperitum (L.) DC. f. inerme Makino) Tree
Takaaki Maeda
1a, Yoshimi Yonemoto
2*, Hirokazu Higuchi
3,
Hitoshi Okuda
4, Susumu Hagiwara
5and Masayuki Taniguchi
61Fruit Tree Experiment Station, Wakayama Reseach Center of Agriculture, forestry and Fisheries, Aridagawa, Arida, Wakayama 643-0022 2Japan International Research Center for Agricultural Sciences, Tropical Agriculture Research Front, Maezato, Kawarabaru, Ishigaki, Okinawa
907-0002
3Graduate School of Agriculture, Kyoto University, Kitashirakawa, Sakyo, Kyoto 606-8502
4Field Science Center of Kii-Kuroshio Life Area, Faculty of Bioresources, Mie University, Takanoo, Tsu, Mie 514-2221 5Wakayama Prefecture Experiment Station for Forestry, Kamitonda, Nishimuro, Wakayama 649-2103 6Wakayama Prefecture Home Country Settlement Center, Kozagawa, Higashimuro, Wakayama 649-4222
Abstract
It is necessary to clarify the dormancy period of Budousanshou (Zanthoxylum piperitum (L.) DC. f. inerme Makino), Japanese pepper tree, to prevent unexpected bud break caused by defoliation in autumn as well as to consider early marketing from a heated greenhouse culture in order to achieve higher market price. The dormancy period of Budousanshou was investigated by the stem cutting method using stems picked regularly after October in Wakayama Prefecture. The breaking dormancy period was investigated by heating potted plants after January in Nagasaki Prefecture. It was observed that internal dormancy was deeper at the end of November when average air and soil temperature had decreased below 10°C and 15°C, respectively, and yellowing of the leaves occurred during the same period. Furthermore, breaking of the dormancy occurred at the end of January after the accumulated time below 5°C exceeded 1000 hrs and Budousanshou sprouted within 10 days with heating. Therefore, this finding can be used as a rough estimate to start heating greenhouse for early marketing.
Key Words:accumulative hours, breaking dormancy, internal dormancy, Japanese pepper tree キーワード:自発休眠,休眠覚醒,サンショウ,積算時間
緒 言
筆者らは,和歌山県有田川町におけるブドウサンショウ (Zanthoxylum piperitum(L.)DC. f. inerme Makino)の生理的 花芽分化が 6 月下旬から 7 月上旬で,形態的花芽分化が 7月から 8 月にみられることを解明した(前田ら,2005). ブドウサンショウの通常の落葉は,気温や地温の低下に 伴って 11 月下旬におこる(第 1 図).しかし,それ以前に 病害虫などにより早期落葉すると新梢が発生し,その先端 に花房が着生する(前田ら,2005)が,その後冬期の寒害 に遭遇すると新梢先端および花房は枯死し(第 2 図),翌年 の収量が減少するため,栽培現場では秋期の異常落葉によ る不時発芽(第 2 図)が問題となっており,これを防止す る必要がある.そのため,自発休眠に入り新梢が発生しな くなる時期を明確にし,その時期までは落葉させない管理 が重要になるが,サンショウの休眠期は解明されていない. 一方,実サンショウを有利販売するためには早期に出荷 する必要がある.和歌山県での実サンショウの収穫や出荷 は 5 ~ 6 月であるが,1 日早く出荷すれば 1 kg 当たり単価 2007年 1 月 24 日 受付.2007 年 4 月 23 日 受理. 本報告の一部は平成 18 年度園芸学会秋季大会で発表した. * Corresponding author. E-mail: [email protected]
が約 300 円高く,無加温ハウスを利用すると 2 ~ 3 週間収 穫期を早めることができる(内藤,2004).さらに早期出荷 を行うためには加温栽培が必要となるが,自発休眠覚醒期 以前に加温を始めると不発芽あるいは発芽の不ぞろいの 可能性がある.さらに,加温開始後は短期間で発芽させる ことが燃料節約につながる.このため,栽培現場で加温開 始時期の目安となる,自発休眠覚醒期あるいは加温後に短 期間で発芽させる時期を把握する方法を開発する必要が ある.しかし,サンショウの休眠覚醒期についての報告は ない. そこで,本研究ではブドウサンショウの休眠時期を明ら かにする目的で,ブドウサンショウの当年生春枝を経時的 に採取し,枝挿し法(細井ら,1979; 井上,1990)による 発芽試験を行った.また,切り枝と樹上の枝では休眠試験 の発芽の反応が異なることも考えられるため,ブドウサン ショウの枝をカラスザンショウ(Fagara ailanthoides Engl.)
第 1 図 ブドウサンショウ栽培園の落葉および発芽期の平均気温と地温とポット試験園の平均気温の年次変動 矢印 F は落葉期,S は発芽期を示す 2003年度はさび病被害により早期に落葉した 第 2 図 不時発芽した秋梢と寒害に遭遇した状況 A:不時発芽し着蕾した秋梢(10 月下旬) B:寒害に遭遇し,花房が枯死した秋梢(1 月上旬) 矢印 fc は花房,m は花房の枯死を示す
休眠期を明らかにする目的で,和歌山県では 2003 年から 2005年の 3 か年間,10 月上旬から翌年の 2 月下旬まで 10 日間隔で当年生未結果枝を採取して枝挿しを行った.供試 枝は水平に近い角度で発生している 15 cm 程度の中庸な長 さのものを,各樹から 4 枝ずつ合計 20 枝採取した.採取し た枝は摘葉して 5 芽程度を残し,約 12 cm の長さで水切り し,直ちに生け花に用いるオアシス(松村アクア株式会社 製 アクアフォーム)に挿した.オアシスは 100 mL ビー カーに入れ,事前に水道水で水を含ませておいたものを用 いた.採取した枝は 1 つのビーカーに 4 枝ずつ,5 つのビー カーに分けて挿し,90%以上の湿度を維持するため,ビー カーを各々 0.04 mm 厚のビニール袋に密封した.このビー カーを人工気象器(NK System 式)に入れた.人工気象器 は気温 25°C で維持し,休眠期と考えられる生産現場の冬 期の日照時間に合わせ,7 時から 17 時までの 10 時間は明 期,17 時から翌日 7 時までの 14 時間は暗期になるよう設 定し,発芽所要日数を調査した.発芽までに要した日数は, 1本の挿枝中いずれかの芽が 3 mm 発芽した日までに要し た日数とし,20 枝の平均値で示した. 一般に,葉の黄化現象は休眠と関連が深いと考えられる ので,休眠期に入る時期の葉色を明らかにするため,2004 年 10 月下旬から 11 月下旬にかけて葉色を調査した.調査 には,当年生未結果枝の水平に近い角度で発生している中 庸な枝の中位葉を用い,1 樹当たり 5 葉ずつ合計 25 葉を葉 緑素計(MINOLTA 製 SPAD-502)を用いて SPAD 値を測定 した. 試験 1-2.ポット苗による休眠覚醒期の推測 長崎県南島原市口之津町の果樹研究所カンキツ研究口之 津拠点で,5 L 容量のポットで育成したポット苗 20 樹を用 いて試験を行った.ポット苗は,幹径 1 cm 程度の 1 年生カ ラスザンショウ台に 2003 年 8 月に接ぎ木した 1 年生ブドウ サンショウを用いた.接ぎ木法は切り接ぎ法で,地上部 30 cmで台木を切り返し,2 芽を残した穂木を接いだ.2004 年 1 月 5 日,29 日,2 月 11 日および 14 日に,各々 5 ポッ トを 27°C に設定したビニールトンネル内に搬入し,試験 1-1と同様に発芽所要日数を調査し,5 ポットの平均値で示 求めた.この方法は,精度の点で多少の問題はあるが,極 端な早期加温をねらう場合を除けば,最も簡便かつ有効で 生産現場でも十分に活用できる推定法である.試験 1-1 で, 休眠最深期(発芽に要する日数が 21 日以上)から休眠覚醒 し,加温後に短期間で発芽すると推測される時期(発芽に 要する日数が 10 日以内)までの積算時間を試算し,生産現 場で活用できるか検討した. 結果および考察 試験 1.休眠期の推測 Lang(1987)によると,休眠現象は,生理的な要因を中 心に paradormancy(以下,para-),endodormancy(以下,endo-) および ecodormancy(以下,eco-)に分類される.それぞれ は,堀内ら(1981)によるところの条件休眠,自発休眠, 他発休眠に相当すると考えられる. 休眠深度を枝挿し法で調査した 3 か年の結果から,ブド ウサンショウは 10 月から 11 月にかけては発芽所要日数 17 ~ 21 日で安定しており,比較的浅い休眠にあることを示し 第 3 図 和歌山県におけるブドウサンショウ芽の休眠の深さ の季節的変化 図中の縦棒は標準誤差(n = 20)
た(第 3 図).サンショウと同じミカン科に属する常緑果樹 のウンシュウミカン(Citrus unshiu Marc.)では,para- を枝 挿し法による DTB(萌芽所要日数)で比較しており,21 日 以上の日数を要する場合は深い休眠と報告されている (Okuda ら,2005).2 月までの休眠には葉が誘導する条件 休眠(para-)と自発休眠(endo-)が混在していると考えら れ,調査期間前半は条件休眠が主であり,後半は自発休眠 が主であると思われる.そして,11 月下旬以降の休眠が深 化する時期は条件的休眠が自発休眠に移行するみかけ上の 境界時期なのかもしれない.さび病(Aecidium zanthoxyli-schinifolii Dietel)による異常落葉がみられた 2003 年を除く 2か年は 11 月下旬頃に黄化して(第 4 図)落葉し,落葉後 の発芽所要日数は急激に増加した(第 3 図).葉が黄化して いく過程での SPAD 値は 10 月下旬 55.7,11 月中旬 28.0,11 月下旬 2.8 であった(第 5 図).このことから,ブドウサン ショウでは条件休眠(para-)から自発休眠(endo-)に移行 する兆候として葉が黄化(第 4 図)した.そして,この時 期の平均気温は 10°C,地温は 15°C であった(第 1 図). 一方,試験 1-2 のポット試験で 1 月 5 日から 27°C で加温 したブドウサンショウの発芽に要した日数は 27 日で,自発 休眠(endo-)状態であった(第 6 図).しかし,1 月 29 日 から加温した場合は約 15 日で発芽し,ほぼ休眠覚醒したこ とから,1 月下旬までが自発休眠(endo-)状態であったと 考えられた.2 月に加温した場合は 7 日以内で発芽し,完 全に休眠覚醒していた(第 6 図).和歌山県の標高 400 m の 栽培園に比べ,長崎県海岸部でのポット苗で自発休眠 (endo-)の時期がやや遅れたのは,長崎県での気温が高かっ たため(第 1 図),低温遭遇時間がやや不足したことが原因 であると考えられた. サンショウと同じミカン科に属する常緑果樹のウンシュ ウミカンの自発休眠期は,年次変動が大きいものの概ね 9 ~ 11 月である(井上,1990).一方,落葉果樹における休 眠期は,ナシでは 9 月下旬から始まり 10 月中旬頃に最も深 くなる(平田,1983).山形県でのカキ‘平核無’の腋芽は 7,8 月から徐々に休眠に入り,9 ~ 10 月に休眠が深く,11 月下旬から12月上旬には休眠が覚醒していた(原田,1984). 本実験の結果,ブドウサンショウはミカン科であるが,落 葉性であり,休眠最深期はウンシュウミカンより 1 か月遅 く,ナシ,カキの落葉果樹と比較しても,1 か月以上遅い ことが判明した. 試験 2.休眠覚醒に必要な温度と積算時間の推測 試験 1 で,深い休眠に入った時期から休眠が覚醒したと 推測された時期(発芽に要する日数 10 日以内)は,和歌山 県の場合,2003 年 11 月 15 日~ 2004 年 1 月 31 日,2004 年 11月 15 日~ 2005 年 2 月 10 日および 2005 年 11 月 15 日~ 2006年 1 月 20 日であった.これらの期間を各基準温度 (2.0,5.0,7.2 および 10.0°C)以下の積算で試算すると,基 準温度 5°C 以下の積算時間はそれぞれ 932,1073,1109 時 間で 3 か年とも近い数値となった(第 1 表).したがって, ブドウサンショウの早期出荷のための加温開始期は,5°C 以下の積算時間が 1000 時間以上になった頃が目安となる. 杉村ら(2006)は,カキ‘刀根早生’の自発休眠覚醒には 5~ 8°C の温度が最も有効であったと報告しているが,ブ 第 4 図 ブドウサンショウの葉色の推移 A:10 月下旬 B:11 月中旬 C:11 月下旬 第 5 図 ブドウサンショウ葉の SPAD 値の推移 図中の縦棒は標準誤差(n = 25) 第 6 図 長崎県におけるブドウサンショウポット苗の休眠覚 醒期前後のブドウサンショウ芽の休眠の深さ 図中の縦棒は標準誤差(n = 5)
れ,発芽期は 3 月下旬から 4 月上旬で,収穫開始期は 5 月 上,中旬である(前田ら,2005).本試験 1-1 でも,露地栽 培で 1 月下旬には休眠覚醒し(第 3 図),3 月中,下旬に発 芽した(第 1 図).試験 1-2 で 1 月下旬からの加温で短期間 に発芽した(第 6 図)ので,この時期から加温を行えば 3 ~ 4 月に収穫開始期となり,内藤(2004)が述べているよ うに高価格での販売が可能となる.ただし,加温栽培での 温度管理や受粉法などについては,今後の研究課題として 残されている. 以上の結果から,ブドウサンショウは平均気温 10°C,平 均地温 15°C 以下になる 11 月下旬頃から自発休眠が深くな り,1 月下旬には休眠覚醒することが判明した.また,自 発休眠が深くなる時期には葉が黄化し,休眠覚醒は 5.0°C 以下の積算時間が 1000 時間以上になった頃が目安であり, 高温下におくと短期間で発芽した.このことから,早期出 荷を目的とした加温栽培では,5°C 以下の低温遭遇時間 1000時間以下が加温を開始する時期の指標と考えられた. 摘 要 ブドウサンショウ栽培においては,秋期の落葉による不 時発芽の抑制や,有利販売のための早期出荷を目的とした 加温栽培を行う上で,休眠期を明らかにする必要がある. そこで,10 月以後の異なる時期に採取した枝を用いた枝挿 し法により休眠期を調査するとともに,ポット苗を用いて 1月以後の加温試験により休眠覚醒期を調査した.その結 果,平均気温 10°C 以下,平均地温 15°C 以下になる 11 月 下旬から自発休眠が深くなり,この時期に葉の黄化現象が みられ,1 月下旬に休眠覚醒することが判明した.また, 5°C 以下の積算時間が 1000 時間以上になる頃が休眠から覚 める目安であり,加温すると 10 日以内で発芽したので,こ の低温要求量が早期出荷を目的とした加温栽培において, 加温を開始する時期の指標となると考えられる. 平田尚美.1983.年間の生育過程.p. 基 29.農業技術大系. 果樹編.3.ナシ・西洋ナシ.農文協.東京. 堀内昭作・中川昌一・加藤彰宏.1981.ブドウの芽の休眠 の一般的特徴.園学雑.50: 176–184. 細井寅三・町田英夫・大石 惇.1979.カンキツの芽の休 眠に関する研究(予報)休眠移入に及ぼす二・三処理 の影響.園学要旨.昭 54 秋 : 46–47. 伊庭慶昭・岩垣 功・河瀬憲次.1987.生態調査法.p. 2. カンキツの調査方法編集委員会編.カンキツの調査方 法.農林水産省果樹試験場興津支場.静岡. 井上 宏.1990.ウンシュウミカンの芽の休眠と花芽分化 の温度条件.園学雑.58: 919–926.
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