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中国の人的資源環境と日系企業の経営現地化

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Academic year: 2021

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神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第12 2008391

■ 修士論文要旨

中国の人的資源環境と日系企業の経営現地化

ChinesehumanresourcesenvironmentandthemanagementspotoftheJapanese‑affiliatedcompany

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

蘇 鋭 鵬

Surulpeng

『キーワー ド

下南 改制 雇用 失業 労働時間 労働組合 就職 人事労務管理 賃金 人的資源管理 成果主 義 能力主義 終身雇用制 年功序列制 労働契約 労働市場 品質管理 労働保険 平均賃金 労 働法 労働雇用権 賃金分配権 採用 労使関係 中国企業 日系企業 欧米系企業 経営現地化 権限委譲 共通点 人材確保 人材育成

中国の現在、「世界の工場」 としてのみならず、

「世界の市場」 と して も現実 になるは近 い将来 だ ろ う。 日本企業 の中国進出は歴史経緯 か ら見て、

次のような三つの段階 を経ってきたと考 えられ る。

第一段階は品質管理が業務の中心だった段階。つ まり、合格品をきちん と生み出す ことが企業生存 を考 えられ る。第二段階は物流管理が重要だった 段階。中国の道路や通信 といったインフラや関税 管理が十分なかったため、物流上の混乱 が 日常的 に起 きていた。 そのため企業 として安定 した物流 ラインを確保す ることが最優先 された。

第一段階 と第二段階では、中国は 「世界の工場」

としてづけ られたのである。

そ して、第三段階に入 ると人材資源の管理が注 目されて きた。中国における日系企業の経営現地 化は要す るに ヒ トの現地化である。企業の競争は、

最終 的に人材資源 の競 争の上 に成 り立つので あ

る。競争の勝 ち負 けは、人材資源の優劣で決 まる といって も過言 ではない。企業経営の重点 をモ ノ か らヒ トに切 り替 えてい くことが重要 な課題であ り、 それ は21世紀 において 日本 企業 が中国で生 き残 り、発展するための重要 なポ イン トであると 私 は考 えている。 しか し、あ らゆる資料か らみ る と多 くの 日系企業 は、 この部分でかな りの遅れ を とっているように思 える。

本論文 は、中国における日系企業の様 々な情報 を収集 し、 とくに人事労務に関す る各問題 をまと めて分析 し、人材資源管理の問題点 を探 し出す、

中国の 日系企業成功の鍵 となる正 しい経営現地化 政策 を提言す ることであった。中国経済の格差が 大 きいため、本論文の研究対象 は、中国経済で最 も発展 している上海市 とその周辺地域 の 日系企業 に競 っていた。

本論文 は、四章で構成 されている。

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第‑章は、中国国内の労働市場について調べて、

まとめたことによって中国の労働市場の変化、労 働雇用制度の改革 と課題、中国保険制度の整備状 況、 さらに中国企業賃金の推移 を深 く、詳 しく理 解 してい くことに した。

中国で は現在総人 口13億人の うち、就 労人 口 が7.6億人 にのぼ って い る。就業構 造 は、経済改 革後大 きく変化 した。特 に産業別構造 と所有制構 造に見 られ る変化が顕著である。労働雇用制度の 改革 は、労働雇用の市場 メカニズムの導入 し、就 職方式 も変化 した。失業保険制度の整備について は 中国の失業保険 は1986年 に設立 され た もの である。当時中国の 「企業破産法」が試行 され、

労働雇用制度の改革 も本格的に動 き出 した時期で ある。ただ し、当時は社会主義国に失業に対 して 抵抗 が強かったため、「得業」 とい う言葉 が使 わ れた。その後、1999年の1月によ り「失業保険条例

が公布 され、失業保険制度は明確 な形で確立 され た。賃金に関 しては、中国の総人数が一億人以上 で広 い地域、業種、階層に分布 している職工の平 均賃金に焦点 した。理 由は二つがある、一つは総 人数が一億人以上 お り、その代表性 が十分強いこ とである。 もう一つ は職工の賃金データの信頼度 が高いことである。

第二章では、まず在中 日本企業の人事労務 を巡 る雇用管理、賃金労働契約、保険制度、労働時間、

休 日、労働組合 と労使関係の問題ついて考察 した。

さらに、欧米系 と中国企業 との国際比較 によって、

日本企業の人事労務管理の特徴 を明 らかに した。

中国では、90年代前には、終身雇用制度であっ た。 しか し、改革 後 に、1995年 に労働 法 が改訂 され、中国的終身雇用制度 を廃止、労働契約制度 が導入 された。 これによって、中国企業の雇用形 態 は大 きく変化 した。 その結果、企業側 は企業経 営状況 によって必要 な時に必要 な人材 を自由に採 用 で きるよ うにな り、雇用方 法 も多様 化に しっ た。中国へ進出す る日系企業 は労働雇用権、賃金 分配権 をもち、労働者 を自由に採用 し、賃金 を決 定す ることがで きる。 日系企業の給与体系は一般 的に基本給、手 当、補充手当、ボ ーナスの4種類

で構成 され る。 中国の従業員は年功序列賃金制度 が好 まないため、中国の 日系企業では、年功序列 賃金制度 を導入 していない傾向がある。 ローカル スタッフは全員契約制である。中国の 日本企業 は、

年金、医療、失業、労災、出生保険の五種類の保 険に加入 しなければな らない。「労働法」第36条 の規定によ り、国家 として労働者 の労働時間は、

毎 日8時間以内、週平均労働時間は40時間以内 と い う労働時間制度 が制定 されている。同時に、雇 用者 は、労働者 に対 して毎週少 な くとも1日の休 暇 を保証す るよ うに規定 している。労働組合 につ いては 日系多 くの企業 は、設立最初の数年間に、

労働組合 が存在 しないのが多かった。現在、外資 企業 がほとんど全員労働組合に加入 している。『労 働組合法』の規定では、企業は毎 月従業員全員の 賃金総額の2%を労働組合経費 として労働組合 に 納付 し由 すればな らない。

第三章では、 まず 日系企業の雇用管理 ・賃金の 国際比較 を行なった。中国の優秀 な人材 を活用 し たいと希望す る日系企業 は増 えているが、就職す る学生の側か らす ると日系企業はそれほど人気が 高 くないようだ。 その理由は大 きくわけると二つ の原因である。①給与安 い⑦昇進空間が狭いであ る。 これに対 して欧米系企業は、給与が高い、昇 進 Lやすいである。 とい うわけで、 日系企業 に就 職 して も2,3年 後 に欧米系企業 へ転 職 して しま う傾向がある。欧米系企業の魅力がどこにあるか とい う疑問点 を持 って第三章 を論述 した。 さらに、

中国企業、欧米企業の人事 ・労務管理制度の事例 と日系好業績企業の事例 を通 じて共通点 を探 し出 したのであるO中国企業のハイアール、ギャラン ツ、欧米系のケロングル ープ、モ トローラ中国電 子有限会社、エ リクソン中国会社 についてけ‑す としてあ取上 げた。最後に 日系好業績の上海サ ン トリー上海三菱エ レベーターのケースをあげ られ たのである。 ケースの分析 によって両社の共通点 が明 らかになった。雇用管理ついては、徹底的に 中国人社員 を信頼 し、権限委譲す る。 これにより、

現地優秀な人材の確保 ・定着 を促 し、現地社貝の や る気 を引 き出す、企業のパ ワーア ップが現実化

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されて戦線離脱 を阻止 で きたのである。賃金つい ては中国人の職業観に見合 う能力給 ・成果給の導 入 し、賃金の差 をつけることにより従業員の仕事 効率 は高 まり、やる気 を起 こさせ、職場環境 も顕 著 に改善 したといえる。

第四章では、本論文の結論である。本論文の研 究成果 をまとめて分析す ることよって中国の 日系 企業成功の鍵 となる正 しい経営現地化政策 を提言

した。

中国が2001年末 にWTOに加盟 したことによっ て、今後 日本の対中投資が さらに増 えてい くと考 えられ る。そのため以上の研究成果は、 これか ら の 日本企業の中国進出、 または進出済みの現地経 営 な どに有用 な資料 になれば うれ しい。 しか し、

本論文 を執筆 しているうちに、私にとって今後解 明 しなければな らない課題が浮かび上がって きた。

まず、ケース研究 については、好業績 日本企業の 研究 が不足 である、従 って 日系企業の成功事例に 対す る成功経験の分析や研究 を私の今後の課題に

したい。

さらに、本論文のなかで 日系企業の人材流出問 題 など取上 げ、現在の中国青年が能力主義 を実施 してい る欧米企業 に憧 れてい ることを述べ たが、

具体 的 に欧米企業 が どの よ うな人事労務管理 を 行 ってい るのかなどまた分析不十分である、その ため、 日系企業 と欧米系企業 との人事労務管理な どの実態 を比較 しなが ら研究 を行 うことは、今後 の大 きな課題 として残 されている。

以上の ように、中国における日系企業の経営現 地化に関 しては、まだ解明できていない課題 が多 く残 されている。従 って、筆者 はそれ らの課題 を 念頭 において、今後引 き続 き研究 を行い、 これ ら の課題の解明に取 り込んでい きたいと考 えている。

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