• 検索結果がありません。

「キャリア教育の現状に関する調査」報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「キャリア教育の現状に関する調査」報告"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「キャリア教育の現状に関する調査」報告

著者 橋本 祐, 森山 智彦, 浦坂 純子

雑誌名 評論・社会科学

号 96

ページ 87‑107

発行年 2011‑05‑31

権利 同志社大学社会学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012558

(2)

要約:本稿では,高校におけるキャリア教育の現状と,教育現場が直面している課題を把 握し,今後の方向性を模索することを企図して,全国の普通科高校(全数)を対象に実施 した調査票調査の結果を,単純集計を中心に概観している。

得られた知見は,以下の通りである。インターンシップは,事前指導に力を入れており,

学外との連携も進んでいる一方で,関係者の共通理解とカリキュラムに課題を残している。

職場見学は,事後のフォローを重視しており,インターンシップに比べると手軽に実施さ れ,大きな問題点も自覚されていない。知識教育は,実施時間が10時間までというのが一 般的であり,上級生になるにつれて実施時間が減少し,内容が多様化している。また,卒 業生との連携を主軸とする様々な協力関係も活用されている。

キーワード:キャリア教育,普通科高校,インターンシップ,職場見学,知識教育

目次

1 はじめに:調査概要

2 キャリア教育の実施状況について 3 インターンシップについて 4 職場見学について 5 知識教育について 6 家庭との連携について

7 キャリア教育全体の成果について

8 キャリア教育を実施していない理由について 9 おわりに:今後の研究課題

10 調査結果

1 はじめに:調査概要

近年,アルバイト,パートタイム,派遣,契約といった多様な雇用形態で働く者が増 加している。景気の悪化や産業構造の変化により,中等教育レベルの者を対象とした学

────────────

1)同志社大学大学院社会学研究科博士前期課程 2)同志社大学社会学部助教

3)同志社大学社会学部教授

201141日受付,2011413日掲載決定

研究ノート

「キャリア教育の現状に関する調査」報告

橋本 祐

1)

・森山智彦

2)

・浦坂純子

3)

87

(3)

卒採用枠は減少し,学歴が低い若者ほど安定的な職業に就けず,フリーターやニート等 に陥るという事態になっている。日本の労働市場の特徴は,雇用機会が新卒採用に偏 り,新卒時点で正社員に就けなかった若者は,その後フリーター・ニート状態から抜け 出すことが困難な点にある(1)。このような現状が,若年雇用問題の核であり,格差の拡 大に繋がる等深刻化が著しい。

若年雇用問題を解決するための第一の手段は,当然雇用政策であるが,フリーターや ニート等に陥らないように,教育段階で就業経験を積むことや,就業に向けて意識向上 を図ることの重要性が,このところ盛んに叫ばれている(2)。いわゆるキャリア教育であ る。本稿では,これを分析,考察の対象とし,中等教育段階でのキャリア教育,特に普 通科高校における実施状況に注目する。

もちろん初等教育段階においてもキャリア教育は重要である。しかしこの段階では,

就業までの期間が長いために,具体的な効果を検証するのは難しい。本格的な教育より も,様々な職業を紹介し,興味を持たせることが中心になるだろう。高等教育段階にお いてもキャリア教育は推進されているが,大学進学者は大卒という学歴が得られること や,社会に出るまでにキャリアデザインを考える余地があることを考えると,相対的に 低い学歴と位置づけられ,思想や理念が未成熟なまま社会に出る可能性がある中等教育 段階でのニーズが,より一層強いと考えられる。

高校でキャリア教育を行うことは,高校進学率が

100% に近い現在では,ほぼ全員が

キャリア教育の対象となるという点でも意義がある。確かに,社会に出た後で職業教育 を受ける機会がないわけではない。しかし,それは正規雇用や,教育に力を入れている 企業の社員,労働組合に所属している等の条件に恵まれなければならない。フリーター や切迫した企業の社員,労働組合に所属していない者は,職業教育を受けることができ ない(3)。正規雇用の経歴がなく,スキルを上げる機会がなければ,キャリアアップを図 ろうとしてもうまくいかず,逆に労働市場における弱者になってしまうこともある。だ からこそ,ほぼ全員が受けることができ,その後約半数が社会人になる高校でのキャリ ア教育によって,基礎的な知識や技能,就業意識を構築することが有用と考えられる。

文部科学省は,職業観や知識,技能を身に付けさせることを目的としたキャリア教 育(4)を推進している。この動きを受けて,教育現場ではそれぞれに適したキャリア教育 を試行錯誤しているが,その内容や受け止め方は様々であり,文部科学省の理念ばかり が先走っていて,現場との認識の違いが生じていることが懸念されている。どのように 進めれば効果的で,生徒に響くのかということが未だ検証されておらず,現場にもフィ ードバックがなされない中での実施には,相当な苦労や温度差があるだろう。

以上の問題意識から,高校におけるキャリア教育の現状と,教育現場が直面している 課題を把握し,今後の方向性を模索することを企図して,職業高校を除く全国の普通科

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 88

(4)

高校(全数)を対象に「キャリア教育の現状に関する調査」と称する調査票調査を実施 した。調査は,2010年

3

月に郵送自記入式で行い,原則として

3

1

日現在の状況で の回答を求めた。その結果,3986校中

883

校から調査票を回収することができた。無 記入での返送が

3

校存在したため,有効回答数は

880

校(有効回答率

22.2%)となる。

本稿は,この

880

校を分析対象校とし,単純集計を中心に調査結果を概観することを目 的としている。

本調査の第一の特徴は,全国の普通科高校全数を対象としていることである。キャリ ア教育に関する先行研究において,普通科高校を対象とした全数調査はわずかしか行わ れていないため(5),その全体像が未だ明確に見えてこない。本調査は,この課題を克服 するための試みである。また,キャリア教育をインターンシップ(就業体験)や職場見 学に限定せず,知識教育まで含めて尋ねており,各取り組みの内容や密度の違いによる 効果,さらには様々な取り組みを実施することによる相乗効果に関する分析が可能であ る。その際,進学率をはじめとする各高校の属性をコントロールするのはいうまでもな い。その他,学内の取り組みだけにとどまらず,地域や家庭との連携の有無とその有効 性にまで分析の視野を広げている。

以下,調査票の設問構成にしたがい,「2 キャリア教育の実施状況について」「3 イ ンターンシップについて」「4 職場見学について」「5 知識教育について」「6 家庭と の連携について」「7 キャリア教育全体の成果について」「8 キャリア教育を実施して いない理由について」という順で調査結果を記述し,考察を行う。「9 おわりに:今後 の研究課題」では,計量分析に向けての指針および検定仮説を提示する。なお,末尾に

「10 調査結果」として,全設問の単純集計および主な自由回答を掲載している。調査 票の設問構成の確認にも用いられたい。

2 キャリア教育の実施状況について

インターンシップ,職場見学,知識教育を一つでも実施している普通科高校(以下キ ャリア教育実施校と称する)は

589

校で,分析対象校全体の

66.9% であった(Q 1)。

実施開始年は様々であるが,キャリア教育が謳われ始めたここ

10

年以内に,キャリア 教育実施校の

85.2% が実施に踏み切っている。したがって,平均実施年数は 8.1

年とな り,2000年代に入ってから実施が本格化したと考えてよい。取り組み別に見ると,イ ンターンシップ,職場見学,知識教育を実施している高校は,それぞれ

383

校(キャリ ア教育実施校の

65.0%),379

校(同

64.3%),458

校(同

77.8%)であった。

その他にも,高校から保護者への働きかけについての現状を把握するために,家庭と の連携という名目で三者面談・進路指導等,進路説明会,キャリア教育講座・講演会等

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 89

(5)

3

項目について尋ねている。今年度(2009年度)の

3

年生の実績では,三者面談・

進路指導等は

824

校(93.6%),進路説明会は

766

校(87.0%),キャリア教育講座・講 演会等は

255

校(29.0%)で実施されていた。

以下,各取り組みの詳細について順次言及する。

3 インターンシップについて

前述した通り,インターンシップを実施している高校は(Q 2),分析対象校全体の

43.5%,キャリア教育実施校の 65.0% である。受講体制については(Q 3),「希望者の

み」が

250

校(インターンシップ実施校の

65.3%,以下同じ),「全員必修」が 132

(34.5%),「その他」が

1

校(0.3%)であった。

教育課程における位置づけを尋ねたところ(Q 4),教育課程に位置づけていない,夏 季休暇等の長期休暇中,放課後や土日等,授業時間外での実施をまとめた「教育課程外 での実施」が

39.9% と最も多い。また,「総合的な学習の時間での実施」も 35.2% と同

程度に多い。その他,「特別活動での実施」が

19.6%,「教科の授業での実施」が 9.9%

となっており,授業とは別建ての取り組みとしてとらえられていることが分かる。

受け入れ先や受け入れ人数については特段の傾向は見られないが(Q 5),今年度(2009 年度)の体験生徒数を学年別に尋ねると(Q 6),2年生の体験生徒数が

1, 3

年生よりも 全体的に多く,主に

2

年生で実施されている様子がうかがえる。平均的な実施日数につ いては(Q 7),5日までが

95% 以上を占めている。普通科高校ということもあって,

受験への影響が少ない

2

年生で数日,長くても月〜金の

1

週間という期間設定が妥当な のかもしれない。

また,実施前後に行っているものを尋ねたところ(Q 8),「学校での事前の研修」

(84.1%),「受け入れ先との事前の打ち合わせ」(80.7%),「学校での事後の振り返り」

(74.4%)が多い。受け入れ先に送り出すにあたって,事前にしっかり準備,指導する 必要があると考えられている一方で,「受け入れ先からのフィードバック」(48.0%),

「生徒に対する意識調査」(35.2%)のように,事後に関する項目の数値が比較的低い。

地域との連携については(Q 9),「地元企業との連携」が

76.8% で最も多く,次いで

「行政機関との連携」が

44.4% である。これは,主に地元企業と行政機関が受け入れ先

として機能していることを示唆する一方で,近年注目されている「民間キャリアコーデ ィネーターとの連携」は

3.1% と,未だ浸透していないことが分かる。

最後に,問題点について尋ねた(Q 10)。これについては,まず「受け入れ先が生徒 のニーズにあっていない」(38.9%),「受け入れ先の数が足りない」(35.0%)が挙げら れる。また「教職員の共通理解があまりされていない」「教職員の巡回の回数・時間が

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 90

(6)

十分でない」「実施期間が短い」が

2

割強となっている。基本的には,生徒への機会提 供不足を一番に問題視しており,次いで教職員に関する問題に触れている。加えて,イ ンターンシップ助成金を受ける際に,受け入れ先へのこまめな巡回が義務づけられてお り,教職員の負担が増加するという現行制度の問題も指摘されていた。

4 職場見学について

職場見学を実施している高校は(Q 11),分析対象校全体の

43.0%,キャリア教育実

施校の

64.3% である。受講体制については(Q 12),「希望者のみ」が 264

校(職場見

学実施校の

69.7%,以下同じ),「全員必修」が 112

校(29.6%),「その他」が

1

校(0.3

%)であった。

教育課程における位置づけを尋ねたところ(Q 13),インターンシップと同様「教育 課程外での実施」が最も多く

44.1% であった他,「総合的な学習の時間での実施」が

32.5%,「特別活動での実施」が 20.3%,「教科の授業での実施」が 5.5% と,多少の数

値の違いはあるものの,インターンシップとほぼ同じ結果が得られている。

体験生徒数を学年別に尋ねると(Q 14),1, 2年生と

3

年生に少し違いが見られた。

前者は,少人数で見学する場合もあれば,修学旅行等の学校行事と合わせて学年全体で 見学する場合もあるので,体験生徒数が広範囲に散らばっている。それに対して

3

年生 は,1, 2年生ほど広範囲に散らばっておらず,数十人単位でまとまっている。

実施前後に行っているものについては(Q 15),「感想文の提出」が

63.9%,「見学先

についての学習」が

54.4% と,他に比べて高い数値が得られた。一方,「生徒に対する

意識調査」は

25.9%,「特になし」は 17.2%,「マナー講習」は 4.5% であった。どちら

かといえば事後のフォローに力を入れている点,「特になし」が

2

割弱ほど存在する点 がインターンシップとは異なっている。

問題点を見ると(Q 16),「特になし」が最も多く

37.7% であった。次いで多かった

のが,「見学先が生徒のニーズに合っていない」(26.4%),「学校での事前の学習が足り ない」(24.3%),「見学では影響を与えるまでには至らない」(18.2%)という回答であ った。学校と企業のミスマッチや学校側の取り組み不足,職場見学自体の実効性を問題 視している傾向がうかがえる一方で,特に問題がないという意見も目立ち,二極化の様 相を呈している。

以上より,職場見学の受講体制や教育課程の位置づけにおいては,インターンシップ と大差はなく,その他の設問で若干の違いが見られるといえる。体験生徒数から,イン ターンシップは

2

年生で実施している高校が多かったのに対して,職場見学は

3

年生で 実施している高校が多い。これには,自由回答で得られた記述から,就職希望企業への

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 91

(7)

下見等,就職希望者に限定して行っている高校が多いことも影響していると考えられ る。実施前後に行っているものについては,事前よりも事後のフォローが中心である が,「特になし」という回答も

2

割弱ほど存在している。問題点についても,「特にな し」が

4

割弱であり,インターンシップに比べて手軽に取り組め,実施が容易であるこ とが,これらの回答に反映されているといえそうである。そのため,教職員の共通理解 については,さほど問題を感じていない一方で,事前にどれだけ学習させるかについて は,インターンシップよりも問題視している結果となった。

5 知識教育について

知識教育を実施している高校は(Q 17),分析対象校全体の

52.0%,キャリア教育実

施校の

77.8% である。1

年生で実施している高校が最も多く(Q 18),実施時間は

1〜5

時間が多い。しかし

3

年生については,11〜20時間,21時間以上の割合が

1, 2

年生よ りも高い。3年生で実施している高校は,比較的長い時間を充当している傾向にある。

教育課程における位置づけは(Q 19),「総合的な学習の時間での実施」が知識教育実

施校の

68.3% と最も多い。次いで「特別活動での実施」(知識教育実施校の 41.7%,以

下同じ),「個人または少人数に対する面談での実施」(20.5%),「教科の授業での実施」

(13.3%)となる。インターンシップや職場見学で多かった「教育課程外での実施」は,

最も少なく

7.9% であった。これは,インターンシップや職場見学は学外で,知識教育

は学内で実施することによるものと考えられる。

また,知識教育の具体的な内容を自由回答で尋ねたところ(Q 20),91.7% の高校か ら回答が得られた。記述が多かったのは,自己探索型(自分の将来を考える,自己分析 等),職業・勤労観形成型(働くことの意義,職業観・勤労観形成のための学習,世の 中の職業についての学習,職業・進路ガイダンス,ビジネスマナー学習等)等,大学の キャリアセンターが提供している就職支援と重なるような内容であった。さらに,求人 票の見方,履歴書の書き方,職業適性試験等,高校ならではの内容も多々あった。その 中で,若干ではあるが労働基準法の学習,フリーターについて,ワーキングプアについ て等の自分を守るための法教育や,厳しい社会情勢を認識させるような教育を試みてい る高校もあった。

地域との連携については(Q 21),「卒業生との連携」が

51.1% と最も多かった。次

いで「地元企業との連携」(34.3%),「民間キャリアコーディネーターとの連携」(30.6

%),「行政機関との連携」(29.0%),「学 校 外 の 各 種 団 体(NPO等)や 人 と の 連 携」

(27.7%)となる。インターンシップでは「民間キャリアコーディネーターとの連携」

は殆ど見られなかったが,知識教育ではそれも含めて実に多様な連携が行われている。

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 92

(8)

6 家庭との連携について

ここでは,生徒に対するキャリア教育ではなく,保護者への三つの働きかけの内容に ついて調査結果を記述し,考察を行う。

まず三者面談・進路指導等を実施している高校は

824

校で(Q 22 a),分析対象校全

体の

93.6% と,非常に実施率が高かった。実施回数については,3

回までが

94.8% を

占めている。参加状況も,「ほぼ参加」「7〜8割参加」を合わせて

94.2% と非常に高い

数値を示している。

進路説明会を実施している高校は

766

校で(Q 22 b),分析対象校全体の

87.0% と三

者面談・進路指導等には劣るものの,こちらも実施率は高い。実施回数については,や

はり

3

回までが

95.6% を占めているが,ほぼ 1〜2

回(85.7%)に集中している。参加

状況については,「ほぼ参加」(24.4%),「7〜8割参加」(23.1%),「半数くらい参加」

(28.6%),「2〜3割参加」(19.7%)と均等に分布している。

キャリア教育講座・講演会等については(Q 22 c),「現在実施している」(29.0%),

「今後実施したい」(25.1%),「実施する予定はない」(44.5%)という回答が得られてお り,他の二つと大きく異なっている。実施回数についても,1回(67.1%)か,せいぜ い

2

回(20.9%)に過ぎない。参加状況についても,「ほぼ参加」が

29.8% と最も多い

ものの,半数以下の参加が

62.8% と消極的な姿勢がうかがえた。

その他の家庭との連携を自由回答で尋ねたところ(Q 23),学年通信や進路だよりの 発行が非常に多く,PTA総会や担任の教師による個々の家庭への連絡,進路希望調査 等アンケートによる家庭での意見の把握等が挙げられていた。

以上より,子供の将来に直結する三者面談・進路指導等や進路説明会は,実施率,参 加率が高い一方で,キャリア教育講座・講演会等の保護者に対する知識教育は,実施 率,参加率共に低い結果となっていることが分かった。しかし,三者面談・進路指導等 や進路説明会は,将来を考えるという意味合いよりも,むしろ進学を前提とした働きか けである可能性は十分にある。将来の構想,自己実現に向けての通過点としての進学指 導であり,かつ保護者への共通理解を促し,家庭教育を充実させるための働きかけなの か,ただ進学を目的とした働きかけなのかは明確ではない。こちらの意図が調査票で適 切に表現されていなかったため,回答者の誤解を招いてしまった恐れがある。

その他,地方の高校の場合には,実家近くに高校がなく親元を離れて通う生徒も存在 し,保護者への働きかけがうまくできないという意見もあった。地域との連携だけでは ない地域性コントロールの検討が求められている。

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 93

(9)

7 キャリア教育全体の成果について

キャリア教育全体の成果について,生徒にどのような変化が見られたかを

10

項目に 分けて

5

段階で尋ねた(Q 24)。その結果,「働くことへの関心が高まった」「将来の為 情報を収集するようになった」「自ら将来を設計するようになった」「自ら進路選択を行 えるようになった」「学習活動への意欲が向上した」「挨拶や社会的マナーが身に付い た」という項目が該当していることが見て取れる。しかしながら「変わらない」という 回答も多く,キャリア教育の効果が直ぐに生徒の変化として現れるというものではない ようである。

また,「より社交的になった」「学校不適応や問題行動が減少した」「就職率が向上し た」「離職率が減少した」という項目については,「あまりそう思わない」「そう思わな い」という否定的な回答が目立った。実際のところ,社交性や問題行動等は生徒の内面 的な問題でもあり,キャリア教育でどうにかなるものではないというのが本音かもしれ ない。就職率や離職率についても,景気変動やそれに伴う労働市場の動向の影響が圧倒 的であることから,キャリア教育の成果としては否定的な回答が多くなるのではない か(6)

なお,この設問は,キャリア教育を何か一つでも実施している高校に回答を求めてい るため,個別のキャリア教育における効果の検証が今後の課題として残されている。

8 キャリア教育を実施していない理由について

最後に,キャリア教育を実施していない高校の特性をとらえておきたい(Q 26)。実 施していない最大の理由は,進学率が高い(就職者が少ない)ことである。職業に直結 する専門的なスキルを学ぶ場ではない普通科高校を対象とする調査である以上,想定通 りの回答といえるかもしれない。また,本調査で定義したキャリア教育は職業教育の要 素が強く,進学校にはあまり適していないことから,このような結果が導かれたのだろ う。

自由回答(Q 28)では,一口にキャリア教育といっても,文部科学省が推進するキャ リア教育の定義は漠然としており,何をどのように行っていいのか分からないという意 見や,進学校や私立高校に至っては,本調査で定義する職業教育寄りのキャリア教育は 理解に苦しむという意見が寄せられた。これは,実施していない高校だけではなく,実 施している高校にも共通する意見のようである。したがって,各高校の属性や理念に見 合ったキャリア教育のあり方という視点が,この先の分析においては何よりも重要にな

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 94

(10)

ってくる。

9 おわりに:今後の研究課題

本調査の結果を総括すると,まずインターンシップに関しては,学外へ生徒を送りだ すということもあり,事前指導に力を入れる傾向にある。主に地元企業や行政機関と連 携して受け入れ先を確保し,事前の打ち合わせにも余念がない。これらは担当者に非常 に大きな負担を強いることになるため,キャリア教育の意義を多くの教職員や関係者が 共通して理解し,協力する必要がある。この共通理解が進んでいないことを問題として 認識している高校は多く,加えて(生徒のニーズにあった)受け入れ先が足りないとい う実態も浮かび上がっている。教職員の理解が進めば,その他の問題にもある程度改善 が見込めるようになるのかという点は検証に値する。また,現行のカリキュラムやイン ターンシップ助成金制度が,積極的な取り組みを妨げているという意見もあった。した がって,生徒や教職員,関係者の共通理解という意識面と,カリキュラム等の制度面を どのように改善していくかが,インターンシップに関する今後の中心的課題となるだろ う。より精緻な分析から,高い効果を得るための要因を見出すと共に,先駆的な事例を 観察し,より効果的な内容にするための方策を探究していく必要がある。

次に職場見学に関しては,事前の学習よりも事後のフォローに重きが置かれていると はいえ,インターンシップに比べると手軽に実施されており,大きな問題点も自覚され ていない。普通科高校の場合,修学旅行等の学校行事と合わせて見学したり,就職希望 者に限定して行ったりするという両側面があるため,より精緻な分析にあたっては,進 学率等を用いて,就職希望者の多寡をコントロールすることが不可欠と考えられる。

知識教育に関して,本調査で観察された実施時間は,概ね

10

時間までであった。ま た,基本的には,上級生になるにつれて実施時間が減少している。受験との関係で,知 識教育に時間を割く余裕がないということを示す半面,上級生ほど社会人に近づいてい るということもあり,その内容は多様化している。自分の将来を考えるという抽象的な ものから,求人票の見方,履歴書の書き方等の現実を見据えた指導まで,それぞれの高 校に見合った形で行われていることが明らかになった。また,卒業生との連携を主軸 に,民間キャリアコーディネーターとの連携等,様々な協力関係も活用されている。今 後,どのような知識教育が生徒の意識や行動の変化を促しているのかを,実施時間,内 容,連携の方法等の情報を用いて分析したい。

本調査の最大の利点は,キャリア教育をインターンシップや職場見学等の実学に限定 せずに,知識教育という座学についても尋ねている点にある。キャリア教育に関する先 行調査・研究は,関心が実学に偏っており,座学の効果や実学と座学の相乗効果はあま

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 95

(11)

り意識されていなかった。この点を明らかにすることが今後の最大の課題であり,さら には学内にとどまらず,地域や家庭をも巻き込んでのキャリア教育を展開することの有 効性を検証していきたい。

10 調査結果

1)何年前からキャリア教育を実施していますか。現在実施していない場合は×をお書きください。

度数 比率(%) 度数 比率(%)

実施していない 291 33.1 8〜10年前 150 17.4

0〜1年前 23 2.6 11〜15年前 34 3.8

2〜4年前 141 16.0 16〜20年前 21 2.4

5〜7年前 188 21.6 20年以上前 47 3.1

Total 880 100.0

2)インターンシップを実施していますか。

度数 比率(%) 度数 比率(%)

はい 383 43.5 いいえ 497 56.5

Total 880 100.0

3)インターンシップの受講体制についてお答えください。(○は一つ)

度数 比率(%) 度数 比率(%)

希望者のみ 250 65.3 全員必修 132 34.5

その他 1 0.3 Total 383 100.0

4)インターンシップは教育課程の中でどのように位置づけられているか,当てはまるもの全てに○

を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

総合的な学習の時間での実施 245 64.0 135 35.2

特別活動での実施 305 79.6 75 19.6

教科の授業での実施 342 89.3 38 9.9

教育課程外での実施 227 59.3 153 39.9

その他 366 95.6 38 9.9

5)今年度(2009年度)のインターンシップ受け入れ先(企業・NPO等)は何ヵ所でしたか。また,

受け入れ人数(枠)は何人でしたか。

受け入れ先 度数 比率(%) 度数 比率(%)

1〜2ヵ所 57 14.8 11〜20ヵ所 62 16.0

3〜5ヵ所 61 16.0 21ヵ所以上 117 31.0

6〜10ヵ所 57 14.7 N.A. 29 7.5

Total 383 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 96

(12)

受け入れ人数 度数 比率(%) 度数 比率(%)

1〜2 14 3.6 21〜49 76 19.8

3〜5 20 5.2 50〜99 63 16.4

6〜10 43 11.3 100人以上 83 21.7

11〜20 46 12.0 N.A. 38 9.9

Total 383 100.0

6)今年度(2009年度)のインターンシップ体験生徒数を実人数でお答えください。体験していな い学年がある場合は,0人とお答えください。

1年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0 247 64.5 21〜49 22 5.7

1〜2 12 3.1 50〜99 13 3.3

3〜5 22 5.7 100人以上 28 7.3

6〜10 17 4.4 N.A. 11 2.9

11〜20 11 2.9 Total 383 100.0

2年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0 77 20.1 21〜49 70 18.2

1〜2 21 5.4 50〜99 39 10.1

3〜5 34 8.9 100人以上 46 12.0

6〜10 42 11.0 N.A. 10 2.6

11〜20 44 11.5 Total 383 100.0

3年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0 235 61.4 21〜49 25 6.5

1〜2 23 6.0 50〜99 5 1.3

3〜5 31 8.0 100人以上 3 0.7

6〜10 23 6.0 N.A. 11 2.9

11〜20 27 7.0 Total 383 100.0

8)インターンシップの実施前後に行っているもの全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

学校での事前の研修 57 14.9 322 84.1

学校での事後の振り返り 94 24.5 285 74.4 生徒に対する意識調査 244 63.7 135 35.2 受け入れ先との事前の打ち合わせ 70 18.3 309 80.7 受け入れ先からのフィードバック 195 50.9 184 48.0

特になし 350 91.4 29 7.6

7)インターンシップの平均的な実施期間をお答えください。(○は一つ)

度数 比率(%) 度数 比率(%)

1 101 26.4 11〜29 3 0.8

2〜3 214 55.9 30日以上 1 0.3

4〜5 51 13.3 N.A. 6 1.6

6〜10 7 1.8 Total 383 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 97

(13)

9)インターンシップの地域との連携(受け入れ先としての役割を含む)について,当てはまるもの 全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

地元企業との連携 82 21.9 296 76.8

民間キャリアコーディネーターとの連携 366 95.6 12 3.1 学校外の各種団体(NPO等)や人との連携 310 80.7 68 18.0

行政機関との連携 207 54.3 171 44.4

地元の商工会・青年会議所等の公的機関との連携 284 74.2 94 24.5

特になし 371 96.9 7 1.8

10)インターンシップの問題点について,当てはまるもの全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

実施期間が短い 294 76.8 85 22.2

学校での事前の研修が足りない 314 82.0 65 17.0 学校での事後の振り返りが足りない 325 84.9 54 14.1 受け入れ先の数が足りない 245 64.0 134 35.0 受け入れ先が生徒のニーズにあっていない 230 60.1 149 38.9 教職員の巡回の回数・時間が十分でない 285 74.4 94 24.5 教職員の共通理解があまりされていない 288 75.2 91 23.8 体験プログラムの準備不足 354 92.4 25 6.5

ねらいがぼやけている 335 87.5 44 11.5

生徒にねらいが理解されていない 318 83.0 61 15.9 生徒にやる気が足りない 322 84.1 57 14.9 受け入れ先企業との意識の違いがある 373 97.4 6 1.6 教職員・企業の負担が大きい 370 96.6 9 2.3

その他 371 96.9 8 2.1

特になし 333 86.9 46 12.0

11)職場見学を実施していますか。

度数 比率(%) 度数 比率(%)

はい 379 43.1 いいえ 501 56.9

Total 880 100.0

12)職場見学の受講体制についてお答えください。(○は一つ)

度数 比率(%) 度数 比率(%)

希望者のみ 264 69.7 全員必修 112 29.6

その他 3 0.8 Total 379 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 98

(14)

13)職場見学は教育課程の中でどのように位置づけられているか,当てはまるもの全てに○を付けて ください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

総合的な学習の時間での実施 254 67.0 123 32.5

特別活動での実施 300 79.2 77 20.3

教科の授業での実施 356 93.9 21 5.5

教育課程外での実施 210 55.4 167 44.1

その他 364 96.0 13 3.4

14)今年度(2009年度)の職場見学体験生徒数を実人数でお答えください。体験していない学年が

ある場合は,0人とお答えください。

1年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0 252 65.6 21〜49 24 6.3

1〜2 8 2.1 50〜99 25 6.6

3〜5 7 1.8 100人以上 44 11.6

6〜10 13 3.4 N.A. 5 1.3

11〜20 5 1.3 Total 379 100.0

2年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0 228 60.2 21〜49 34 9.0

1〜2 10 2.6 50〜99 25 6.6

3〜5 11 2.9 100人以上 25 6.6

6〜10 18 4.7 N.A. 4 1.1

11〜20 24 6.3 Total 379 100.0

3年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0 167 44.1 21〜49 55 14.4

1〜2 20 5.3 50〜99 17 4.5

3〜5 26 6.9 100人以上 8 2.1

6〜10 32 8.4 N.A. 9 2.4

11〜20 45 11.9 Total 379 100.0

15)職場見学の実施前後に行っているもの全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

見学先についての学習 172 45.4 206 54.4

生徒に対する意識調査 280 73.9 98 25.9

感想文の提出 136 35.9 242 63.9

マナー講習 361 95.3 17 4.5

特になし 313 82.6 65 17.2

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 99

(15)

16)職場見学の問題点について,当てはまるもの全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

学校での事前の学習が足りない 286 75.5 92 24.3 学校での事後の振り返りが足りない 312 82.3 66 17.4 見学先が生徒のニーズにあっていない 278 73.4 100 26.4 見学では影響を与えるまでには至らない 309 81.5 69 18.2

ねらいがぼやけている 354 93.4 25 6.3

生徒にねらいが理解されていない 326 86.0 52 13.7

生徒にやる気が足りない 344 90.8 34 9.0

教員の共通理解が足りない 375 98.9 3 0.8

様々な面での負担が大きい 369 97.4 9 2.4

時間・時期の問題 371 97.9 7 1.8

特になし 235 62.0 143 37.7

17)知識教育を行っていますか。

度数 比率(%) 度数 比率(%)

はい 458 52.0 いいえ 422 48.0

Total 880 100.0

18)今年度(2009年度)はどれくらいの時間をお使いですか。知識教育を行っていない学年がある

場合は,0時間とお答えください。

1年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0時間 70 15.3 11〜20時間 18 3.9

1〜2時間 127 27.7 21時間以上 24 5.2

3〜5時間 144 31.4 N.A. 11 2.4

6〜10時間 64 14.0 Total 458 100.0

2年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0時間 111 24.2 11〜20時間 19 4.1

1〜2時間 113 24.7 21時間以上 20 4.4

3〜5時間 114 24.9 N.A. 11 2.4

6〜10時間 70 15.3 Total 458 100.0

3年生 度数 比率(%) 度数 比率(%)

0時間 128 27.9 11〜20時間 45 9.8

1〜2時間 86 18.8 21時間以上 29 6.3

3〜5時間 87 19.0 N.A. 11 2.4

6〜10時間 72 15.7 Total 458 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 100

(16)

20)知識教育の具体的な内容について教えてください。(自由回答:420校が記入)

1.大学・学部・学科研究,大学の出張講義。

2.進路講話,分野別進路ガイダンス,職業調べ,面接指導,小論文指導,作文指導,書類の書き方 指導等。

3.OB,社会人講話。

4.仕事調べ,仕事につくには,求人票の見方,面接試験,適正試験,就職試験とはどのようなもの か。

5.働く意義,働き方,業種や職種の理解,マナー等。

6.ライフプランニング。

7.社会人基礎力の育成。

8.最低賃金,労働時間,有給休暇,男女雇用機会均等法,過労死,労働基準法等。

19)知識教育は教育課程の中でどのように位置づけられているか,当てはまるもの全てに○を付けて ください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

総合的な学習の時間での実施 144 31.4 313 68.3

特別活動での実施 266 58.1 191 41.7

教科の授業での実施 396 86.5 61 13.3

個人または少人数に対する面談での実施 363 79.3 94 20.5

教育課程外での実施 421 91.9 36 7.9

その他 7 1.5 450 98.5

21)知識教育における地域との連携について,当てはまるもの全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

地元企業との連携 300 69.2 157 34.3

民間キャリアコーディネーターとの連携 317 69.2 140 30.6 学校外の各種団体(NPO等)や人との連携 330 72.1 127 27.7

行政機関との連携 324 70.7 133 29.0

地元の商工会・青年会議所等の公的機関との連携 400 87.3 57 12.4 法教育における法曹との連携 427 93.2 30 6.6

卒業生との連携 223 48.7 234 51.1

他の教育機関との連携 444 96.9 13 2.8

その他 453 98.9 4 0.9

22)保護者への働きかけの内容についてお答えください。①についてお答えいただいた後,「1.現在 実施している」を選ばれた方のみ,②,③を今年度(2009年度)の3年生の実績でお答えくだ さい。

(a)三者面談・進路指導等

①実施の有無 度数 比率(%) 度数 比率(%)

現在実施している 824 93.6 実施する予定はない 30 3.4

今後実施したい 15 1.7 N.A. 11 1.3

Total 880 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 101

(17)

②実施回数(3年生の実績) 度数 比率(%) 度数 比率(%)

1 215 26.1 4 22 2.7

2 399 48.4 5回以上 10 1.2

3 177 21.5 N.A. 1 0.1

Total 824 100.0

③参加状況(3年生の実績) 度数 比率(%) 度数 比率(%)

ほぼ参加 692 84.0 2〜3割参加 7 0.8 7〜8割参加 84 10.2 ほぼ参加せず 5 0.6

半数くらい参加 30 3.6 N.A. 6 0.7

Total 824 100.0

(b)進路説明会

①実施の有無 度数 比率(%) 度数 比率(%)

現在実施している 766 87.0 実施する予定はない 69 7.8

今後実施したい 34 3.9 N.A. 11 1.3

Total 880 100.0

②実施回数(3年生の実績) 度数 比率(%) 度数 比率(%)

1 418 54.6 4 12 1.6

2 238 31.1 5回以上 17 2.2

3 76 9.9 N.A. 5 0.7

Total 766 100.0

③参加状況(3年生の実績) 度数 比率(%) 度数 比率(%)

ほぼ参加 187 24.4 2〜3割参加 151 19.7 7〜8割参加 177 23.1 ほぼ参加せず 21 2.7 半数くらい参加 219 28.6 N.A. 11 1.4

Total 766 100.0

(c)キャリア教育講座・講演会等

①実施の有無 度数 比率(%) 度数 比率(%)

現在実施している 255 29.0 実施する予定はない 392 44.5 今後実施したい 221 25.1 N.A. 12 1.4

Total 880 100.0

②実施回数(3年生の実績) 度数 比率(%) 度数 比率(%)

1 171 67.1 4 2 0.8

2 53 20.9 5回以上 8 3.1

3 12 4.7 N.A. 9 3.5

Total 255 100.0

③参加状況(3年生の実績) 度数 比率(%) 度数 比率(%)

ほぼ参加 76 29.8 2〜3割参加 74 29.0 7〜8割参加 13 5.1 ほぼ参加せず 30 11.8

半数くらい参加 56 22.0 N.A. 6 2.3

Total 255 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 102

(18)

23)22)の働きかけ以外で実施している家庭との連携がありましたら教えてください。(自由回答:160 校が記入)

1.進路だよりの発行。

2.進路希望調査等アンケートによる家庭での意見の把握。

3.学年懇談会,PTA懇談会。

4.保護者による職業講座。

5.一斉メールによる学校行事の確認。

6.毎年度末に学校白書を全生徒に配布し,保護者アンケートを実施。白書の中で進路指導も含めた 校内の指導の全容を明らかにしている。

24)キャリア教育全体の成果として,生徒にどのような変化が見られたと思いますか。以下の10項目に

ついてお答えください。(「5.そう思う」〜「1.思わない」の平均スコア)

25)最近3年間の進学・就職について,以下の表にそれぞれの時点での卒業生数・進学者数(浪人を

含む)・就職者数,またその中でも派遣やアルバイト等,非正規で就職をされた方の人数をお書 きください。

2006年度進学率 度数 比率(%) 度数 比率(%)

50% 未満 129 14.6 90〜99% 306 34.8

50〜69% 70 8.0 100% 84 9.5

70〜79% 82 9.3 N.A. 122 13.9

80〜89% 87 9.9 Total 880 100.0

2007年度進学率 度数 比率(%) 度数 比率(%)

50% 未満 78 8.9 90〜99% 351 39.8

50〜69% 100 11.4 100% 76 8.6

70〜79% 87 9.9 N.A. 100 11.4

80〜89% 88 10.0 Total 880 100.0

2008年度進学率 度数 比率(%) 度数 比率(%)

50% 未満 85 9.6 90〜99% 343 39.0

50〜69% 103 11.7 100% 92 10.5

70〜79% 88 10.0 N.A. 67 7.6

80〜89% 102 11.6 Total 880 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 103

(19)

28)本調査に対するご意見・ご感想がございましたら,下欄にご自由にお書きください。

【現在のキャリア教育について】

1.文科省のやっているキャリア教育は無駄。

2.県主催の進路研究会ではキャリア教育の重要性が謳われているが,実際の現場ではピンとこない。

必要か否かを問われれば前者だが,それよりも大学進学の結果の方が保護者・教員ともに敏感で ある。

3.高校におけるキャリア教育の定義が曖昧。

4.キャリア教育の必要性が高まっているとは思えないし,キャリア教育によって何かが変わるとも 思えない。

5.キャリア教育は,高校において浸透していないのでは?結局は26)の項目の全てが二の足を踏ま せている。

6.キャリア教育という文言が先走りすぎて,究極のところ何を目指しているか分からないまま実施 を求められている。「成果と課題を検討し,次年度への実施内容に反映させる」ことはほとんどで きておらず,同様の学校は多いと思う。

7.「理念ばかりが先行し,現場とのギャップが生じる」のはそうだと思う。

8.キャリア教育という言葉の概念が曖昧。職業観に関する教育を軸として,生涯にわたりキャリア 発達段階をどう伸ばしていくかが主題だと思う。

9.キャリア教育という言葉が漠然としていてピンと来ない。平素の授業もキャリア教育ではないだ ろうか。高校生の時から「企業の枠」にはめ込んでしまうことが,はたして「教育」になるのだ ろうか。今日の日本は,企業のために存在する国家なのだろうか?では大学の存在意義は何なの か?

10.キャリア教育の必要性を感じますが,キャリア教育の具体的実践例や,その成果がなかなか見え にくいので,一歩前へ進めないのが現状です。

11.学校現場におけるキャリア教育の具体的な提言が少ない。

26)キャリア教育を実施していない理由について,当てはまるもの全てに○を付けてください。

非選択 選択

度数 比率(%) 度数 比率(%)

進学率が高い(就職者が少ない) 15 7.7 113 58.2 授業時間数の確保が困難である 63 32.5 65 33.5 教職員の理解が不十分である 94 48.5 34 17.5

教職員の負担が増加する 89 45.9 38 19.6

他の活動で十分に補える 107 55.2 20 10.3 準備の割に成果が期待できない 111 57.2 15 7.7

生徒の負担が増加する 113 58.2 13 6.7

事故・ケガ等が心配である 120 61.9 6 3.1

受け入れ先の確保が困難である 94 48.5 32 16.5 自治体や公的機関の支援がない 116 59.8 10 5.2 費用や予算の確保が困難である 116 55.2 19 9.8

定時制・通信制高校のため 124 63.9 2 1.0

特になし 126 64.9 0 0.0

27)今後(新たな)キャリア教育を実施することを考えていますか。

度数 比率(%) 度数 比率(%)

はい 374 42.5 いいえ 366 41.6

N.A. 139 15.8 Total 880 100.0

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 104

(20)

【各校での取り組みや考え方について】

12.進学指導を行うにもキャリア教育は必要であると考えている。キャリア教育=就職指導,という 片寄ったとらえ方をしている教職員が多いので,もっとキャリア教育のことを勉強してもらいた い。

13.学校は企業の下請けではないから,職業教育中心のキャリア教育は,学校現場には馴染まないと 思う。

14.本校では,キャリア教育の浸透と共に学校が荒れた状態から平穏を取り戻し,進路実績も向上し た。キャリア教育は,実施の方法次第で学校をより良くしていく可能性がある。

15.キャリア教育のために専科職員が必要

16.普通科高校のキャリア教育先進校例は腑に落ちない。全員必修の職業体験は,普通科の学びと離 れていく例が多いので,明確な志望に基づくインターンシップのみ推進すべきである。また夢と 現実の折り合いを考えさせる進路指導が必要だと痛感している。

17.社会に出る基本,これからの自分の生き方について考えること等はしっかり行いたいが,インタ ーンシップや就労に必要な知識を身に付けさせることはぴんとこない。学問を深めさせて将来に 光明を見出せるようにしたい。

18.キャリア教育は非常に広くとらえられることもできるので,高大連携事業や進路指導のLHR等を

より充実創意工夫していくものと考えている。

19.生徒に働くことに関心を持たせていかねばならないと感じています。他校がどうしているかに興 味があります。今後キャリア教育について積極的に考えていきます。

20.現状においては実施していません。ただ,現状の経済状況を考えれば,今後就職希望者も出てく ることが予想されます。本校では,大学,さらに社会で働くこと全般に関わるライフマネージメ ント教育の強化を目指して,カリキュラムの作成に関わろうとしています。

21.更なるモチベーションを維持して生徒が大学入試を受けるためには,新たなキャリア教育の展開 が不可欠だと思う。

22.就職者が殆どいない状況ですが,キャリア教育は必要だと思っています。しかし,授業時間数の 確保が大変であり,キャリア教育の時間が取れないのが現状です。

23.将来生活への設計,意義の向上を図るためのキャリア教育が必要。

24.将来は全員就職するため,普通科でもキャリア教育は重要だと思う。また就職を見すえた大学選 び,進路指導は目標である。

25.私学は公立と違い,進学率・先が世間の評価の対象となるため,積極的なキャリアガイダンスを やる予定はない。

26.キャリア教育がイマイチ効果的に成っていかないのは,普通科高校のカリキュラムと教員側に問 題がある。理解と意義を教員に広めていく必要がある。

27.普通科だからこそ,キャリア教育が必要であり,夢と現実の折り合いをつけること,少し苦しく ても,我慢して努力することを伝えることの難しさを感じている。

28.本校のキャリア教育は,「個人が人間の生き方の一部として,職業や進路について学び,人生上の 役割や選択を職業的な価値観と関連付けることができるように計画化された経験の全体である」

との基本線に沿って,「17歳の人生地図を書く」というテーマで,①人間関係形成能力,②情報活 用能力,③将来設計能力,④意思決定能力という4つの領域を設定し,その育成・獲得を目指し ている。

29.本校は底辺校で,基礎学力が低く,人の話を聞いているようで頭に入っていない状況。本来は定 240名だが,卒業生はかなり減る。奈良のような全県一区の輪切りシステムで,高校が成果を 挙げるのは難しい。

30.本校のような進学中心にシフトしながら,2桁の就職者がいるような学校が近くにあまりないた

め,キャリア教育って何?の感が強く,本当のところは何からしていいのか分からない現状です。

31.キャリア教育を体験的な学習であるインターンシップや企業訪問等のイベント的な学習にとどめ ず,毎日の授業でコミュニケーション能力等をつける体制を取っている。1〜3年生の全ての授業

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 105

(21)

で「コの字型」に机を並べて学習し,授業中に何度か「グループ学習」をすることで「協同的な 学び」により学力をつけるだけでなく,4人のグループで課題を解くことで,コミュニケーション 能力,課題研究能力等のキャリア能力を育成している。実施3年目で大きな成果が出ている。

32.キャリア教育は,学校全体がうまくつながらなくては効果が望めない。教員一人一人が「どんな 大人になってほしいか」というビジョンを持って教育に取り組むべきであり,実施していること よりも「人」が大切である。

33.キャリア教育となると,将来の職業を意識させながら大学等の学部研究をさせたり,高大での連 携での講座を開いたり,大学との共同研究,SPP等をしていることが多い。

34.キャリア教育までやる環境にない。特に教員数については問題がある。高校にも格差があり,金 持ち私学・伝統公立校に優秀・家庭環境が良好な生徒がいく現状等,生徒の質によってキャリア 教育が有益なものになるかどうかを左右している。

35.離島という環境下,地元で対応できる企業が限られており,生徒のニーズに十分に応えられてい ない実情を改善し難い。

36.普通科でのインターンシップの実施は,現実問題としては難しい。

37.部活動や学校行事,学級の係り活動の充実がベースとしてあってこそ,様々なキャリア教育が活 きると思う。日常の学校生活の一場面,一場面での激励,ほめること等のフィードバックも大き な要素であると考える。

38.経済状況の悪化から,就職状況は非常に悪い。キャリア教育で理想を唱えても,現実とは相違が 大きい。高学歴者でも就職できない時代に,職業観,職業選択について何をどう伝えればいいの か現場は戸惑っている。

【その他の意見】

39.就職者の多い高校との温度差,質の違いを観察することに意義があるのでは?

40.政府がいうキャリア教育は,労働者としてのあり方,生き方のみで,自己責任へと結びつく面が 大きく,権利については薄い中で,この調査がいかなる意味を持つのかが想像できない。

41.今の状況は小手先の工夫で何とかなるような甘いものではない。根本の経済再生を図るような施 策を,責任ある人たちが取らないと,どうにもならないところまできていると思う。

42.キャリア教育の定義が限定的だったのでは。「イベント的」なキャリア教育の効果よりも,生活・

学習活動を含めた全体的・日常的な指導の必要性や有効性があるのでは?

43.大学との連携事業に関心があり,キャリア教育を含めて高校と連携するプランはないか?

44.このアンケートが,キャリア教育=就労に対する考え方の育成というような教義的感覚で作られ ているように思えます。本校のように大学進学が大部分を占める場合は,キャリア教育=進路決 定の傾向が強くなります。そうするとこのアンケートには答えにくい。

⑴ 太田聰一・玄田有史・近藤絢子(2007)「溶けない氷河−世代効果の展望−」『日本労働研究雑誌』569 号,pp 4−16。

⑵ 例えば,玄田有史・佐藤香・永井暁子(2010)「学校における職業教育の経済効果」西村和雄・大森不 二雄・倉元直樹・木村拓也編『拡大する社会格差に挑む教育』pp 67−91,東信堂。

⑶ 高須裕彦(2008)「格差社会と労働者の権利教育」『研究所ニュースねざす』60号,pp 1−4。

⑷ 「児童生徒一人一人に,望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるととも に,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」と定義されている。

⑸ 例えば,文部科学省所管の国立教育政策研究所生徒指導センターが,全国の中学校および高校を対象 に「職場体験・インターンシップ実施状況等調査」を実施している。

⑹ 就職率については,仮にキャリア教育の成果があったとしても,高校の属性によっては逆の(低下す る)方向に動く可能性がある。離職率については,卒業生のフォローが十分になされ得ないことも一 因としてあるだろう。

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 106

(22)

This paper investigates the current situation and issues of career education in general high school. We carry out the study using a questionnaire survey and arrive at some key findings.

First, almost all the schools prepare a guidance class for internships and have relatively good re- lationships with its related-companies and the local governments. On the other hand, they need to improve the internship programs and to develop a common understanding of the internships.

Second, a company visit saves a lot of trouble, compared with the internships. Its review plays a relatively important role for career education. Finally, in general, there are career information lectures not more than 10 hours a year. Although the lectures decrease as students’ grade ad- vances, the contents become a greater diversification. Also, many graduates and career coordina- tors are taking an active part as lecturers.

Key words: Career Education, General High School, Internship, Company Visit, Career Infor- mation Lecture

The Actual Conditions of Career Education in General High School : Survey Report

Yu Hashimoto, Tomohiko Moriyama, and Junko Urasaka

「キャリア教育の現状に関する調査」報告 107

参照

関連したドキュメント

Focusing on the frontage, depth/frontage ratio, area, lots formed two groups; lots in former middle class warriors’ district and common foot warriors’ district, lots in

In 1989 John joined Laboratory for Foundations of Computer Science, University of Edinburgh, and started his career in computer science.. In Edinburgh John mostly focused

Compared to working adults, junior high school students, and high school students who have a 

わが国の障害者雇用制度は、1960(昭和 35)年に身体障害者を対象とした「身体障害

「職業指導(キャリアガイダンス)」を適切に大学の教育活動に位置づける

◆後継者の育成−国の対応遅れる邦楽・邦舞   

(ア) 上記(50)(ア)の意見に対し、 UNID からの意見の表明において、 Super Fine Powder は、. 一般の

同様に、イギリスの Marine Industries World Export Market Potential, 2000 やアイルランドの Ocean Industries Global Market Analysis, March