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【書評】現代社会におけるヘーゲル実践哲学の射程

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【書評】現代社会におけるヘーゲル実践哲学の射程

著者 片山 善博

出版者 法政哲学会

雑誌名 法政哲学

巻 11

ページ 41‑42

発行年 2015‑03‑20

URL http://hdl.handle.net/10114/11135

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  本書は、二〇〇八年に出版されたRobert B.Pippin, He-gel’s Practical Philosophy: Rational Agency as Ethical Lifeの全訳である。書名に出てくるagencyとは訳しにくい言葉であるが、現代の規範哲学や行為哲学には不可欠な言葉である。ピピンはこのagencyをいわゆる「自由」と「理性」の考究を通して理解することができるのであるとし、そのことを通してヘーゲルの実践哲学を過去の単なる遺産としてではなく、現代においても十分に通用する規範理論として提示するのである。一九七〇年代以降ヘーゲルの再解釈や再評価がドイツ、英米、日本などで行われてきた。ドイツや日本では、学生の筆記録やヘーゲル自身のノートの編集や再検討などを通して、ヘーゲルの再評価を 進めてきた傾向があるが、アメリカでは、分析哲学者(たとえばブランダム(やプラグマティズムの哲学者(たとえばローティ(も含めて、現代哲学との関係性を問うなかでヘーゲルが再評価されるようになってきた面がある。ピピンはこうしたアメリカでの流れの中で、ヘーゲルの『精神現象学』や『法哲学』などを詳細に読み解くことで、彼の実践哲学の現代性を明らかにするという戦略をとっている。評者は、ヘーゲルの承認論に関心をもつので、その点に少しふれたい。ピピンは、初期ヘーゲルの承認論を重視するホネットの承認論の解釈を退けている。相互主観性を前提にしたような承認論に異議を唱える。ピピンは、あくまで、ヘーゲルがカントやフィヒテの反省的自己意識の視 【書評】ロバート・B・ピピン『ヘーゲルの実践哲学  人倫としての理性的行為者性』星野勉監訳、大橋基・大藪敏宏・小井沼広嗣訳、法政大学出版局、二〇一三年

現 代 社 会 に お け る ヘ ー ゲ ル 実 践 哲 学 の 射 程

   山    善    博

Hosei University Repository

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点を継承しており、個人の自由という視点を失わない承認論を唱えつつ、同時に他者との関係性の視点も見失わない、自由と共同の両立論を打ち出しているという立場に賛同している。agency(行為者性(とはこうした場を考察する上で、すぐれて有効な概念と言えるだろう。こうしたピピンの捉え方は、評者も同意するところである。評者は、ピピンの解釈の特徴を、ドイツ観念論を含む思想史的文脈と、現代の哲学の課題を踏まえた文脈をうまく結び付けながら、ヘーゲルの個々の論述を考察している点にあると考える。そしてそのことに成功している。他の点についても評者として述べたいことも多々あるが、字数の関係で、省かざるを得ない。ヘーゲル哲学とプラグマティズムとの関係についてのピピンの指摘は新たな発見であった。本書は、「監訳者のあとがき」も含めて、大変面白いものであった。現代の規範理論や分析哲学などについて関心のある研究者の方には、とくに読まれることをお勧めしたい。

Hosei University Repository

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