読 書ノート
読書ノート
第≡部
石積 勝
第三部は石積の読書 ノー トである。 この読書 ノー トはいずれ も 「比較 日本研 究会」例会において レジュメとして使用 された ものであるが、現在継続中の 研究所 プロジェク ト 「政治学グラン ド ・セオ リーの再構築」 において醸成 さ れ統合 されることが期待 されているものである。い くつかの読書 ノー トは学 部学生 ・大学院生の参考文献 として使用す ることが可能であるとの判断の も とあえてここに掲載することに した。簡単 にそれぞれの著作の性格 について 触れてお く。
読書 ノー ト① 『日米同盟の正体』 (孫崎亨著 ・講談社現代新書)と② 『世界が 日本 を認める日』 (カレル ・ヴァン ・ウォルフレンPHP研究所)はいずれ もリ ベラル国際政治観察の視点か らの 日本外交に関す る論考である。
① の孫崎氏の手 になる著書 は2010年3月現在、書店のベス トセ ラー棚 に並 ん でいる。外務省 ・防衛大学 とい う、いわば保守本流の組織の中に身を置いて きた孫崎氏か ら見て もここ十年 ・二十年の 日本外交、特 にその対米関係は劣 化著 しいとい うことである。
② の著者 カレル ・ウォルフレン氏 は 『日本 ・権力構造 の謎』 (早川書房)以 来、主に 日本の統治 システムについて鋭い論究 を提示 し続けて きているが、
ここ数年はグローバルな世界情勢 に対 しての発言 を増加 させている。その中 のひとつがここで取 り上げた 『世界が 日本 を認める日』 である。現実の 日本 はウルフレン氏の指摘 して きた問題 を次か ら次に露呈 している し、「世界に 認め られる日本」にも進んでいない。氏の指摘 をもう一度真撃に受け止めざ るを得 ない状況だ。 しか し教 えられるところの多いこの二つの著書ではある が、実はリベ ラル政治学の限界 を明 らかに しているとい うのが右横の見方で ある。
オールタネテ イブの国際統治理論はその先、つ まりリベ ラル政治学のその先 を見据 えている。根源的にリベ ラル政治学 を越 えない限 り、政策策定におい 41
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て もブレークスルーを達成で きないのではないか とい うのが右横の見方であ る。そのあた りのことも含めて レジュメの中で、あるいは レジュメの最後で 右横の問題提起、あるいは覚 え書 きがある。
読書 ノー ト(釘の 『なぜ アメリカはこんなに戦争 をす るのか』 (晶文社)の著者 ダグラス・ラミスは近代 リベ ラル政治学 に大 きな懐疑 を抱 くとい う意味では、
孫崎氏やウォルフレン氏などとは異 なる。その意味で三番 目にこの読書 ノー トを置いた。 この レジュメは2003年 に書かれている。 この レジュメは極めて 簡単な ものであ り、わた し自身の論考 もほ とん ど含 まれていない ものである が、 しか しイラク戦争 ・アフガン戦争はそ もそ も何だったかのか、 もう一度 想起することはやは り重要であると判断 してここに入れた。
読書 ノー ト(亘)(参はいずれ も問題提起の書である。そこに顕われている考 え方 を批判するにせ よ、部分的に同意するにせ よ看過で きないものであるとして ここに掲載 した。(彰の 『なぜ民主主義 を世界 に広げるのか』 (ダイアモ ン ド 社) 圧制 とテロに打 ち勝つ 「自由」 の力 (ナ タン ・シャランス キー著)は、いわゆるネオコンの思想的根拠 を強烈 に提供 しているものであ る。当代の論客、宮台真司氏 も注 目し、 自ら日本語版 に 「解説」 を書いてい る。今後の政治学 ブレークスルー と世界の現実理解のためには避け られない テーマであると考 え、研究会 (比較 日本研究会)で取 り上げた。(むの 『反西洋 思想』 (新潮新書)Ⅰ・ブルマ&A・マルガ リー ト著 もなかなか読み ごたえの ある書であった。9.11勃発後の欧米の報道には、その 自爆 テロと神風特攻隊、
パールハーバー という言葉が連 日踊 るが、それはまた 「近代の超克」 とい う 広が りのある、思想史上の問題 を呼び起 こした。 このことに関するかな り本 格的な論考が この 『反西洋思想』 には展開さjtている。 この レジュメをもと に学生に丸々一時間講義 したことがあった。政治意識の非常 に高い数名の学 生が 「最高に面 白い話だった」 と感想 を言 って きたことを思い出す。 この著 に対す る石積の コメン トは殆 ど記 されていないがあえて掲載 した。
読書 ノー ト(むは故神島二郎の最後の新 聞寄稿である。1993年 とい う今か ら17 年前の論考であるにもかかわ らず、時間差 を感 じさせない。指摘 された問題
と視点がいかに本質的なものであるかの証左 であろう。第一回か らそれぞれ まず神島の寄稿文 を掲載 し、それぞれについての右横の論考 をそのまま載せ た。論考は2010年の現実に照 らして再びなされなければな らない。いずれに せ よ様 々な考察に私たちを誘 う神島の寄稿文である。
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