瑕疵 担保 責任 の比 較法 的考 察︵ 四︶
︱︱ 日本
・フ ラン ス・ EU
︱︱
野 澤 正 充
序 章 本稿 の課 題と 対象 第一 章 日本 法⑴
︱︱ 法定 責任 説と 判例 法の 形成 第一 節 起草 者の 見解 とそ の評 価︵ 以上 七三 号︶ 第二 節 法定 責任 説の 形成
︵以 上七 四号
︶ 第三 節 大審 院大 正一 四年 判決 とそ の評 価 第四 節 最高 裁昭 和三 六年 判決 の理 解︵ 以上 七六 号︶ 第二 章 日本 法⑵
︱︱ 債務 不履 行責 任説 の台 頭と 展開 第一 節 債務 不履 行責 任説 の台 頭 第一 款 一九 五〇 年代 にお ける 国際 的動 向 第二 款 債務 不履 行責 任説 の登 場 第三 款 法定 責任 説か らの 反論 第四 款 まと め︱
︱若 干の 考察 をか ねて
︵以 上本 号︶ 第二 節 債務 不履 行責 任説 の展 開
第三 節 近年 にお ける 学説 の動 向 第四 節 日本 法の まと め 第三 章 フラ ンス 法⑴
︱︱ 一九 八六 年ま で 第四 章 フラ ンス 法⑵
︱︱ 一九 八六 年以 降 第五 章 総括 と展 望
第二 章 日本 法⑵
︱︱ 債務 不履 行責 任説 の台 頭と 展開 第一
節 債務 不履 行責 任説 の台 頭 第一
款 一九 五〇 年代 にお ける 国際 的動 向 一 新た な問 題の 提起 瑕疵 担保 責任 の法 的性 質に つい て、 学説 は、 同責 任が 当事 者間 の公 平を 図り
、取 引の 信用 を維 持す るた めに
、法 が特 に認 めた 無過 失責 任で ある と解 する 点︵ 法定 責任 説︶ では 一致 して いた
。し かし
、不 特定 物の 売買 にも 瑕疵 担 保責 任の 適用 を認 める か否 かに つい ては 見解 が分 かれ てい た。 すな わち
、⒜ 瑕疵 担保 責任 は特 定物 の売 買の みに 適 用さ れ、 不特 定物 の売 買に は適 用さ れな いと する 通説
︵鳩 山・ 末弘
・我 妻︶ と、
⒝不 特定 物の 売買 であ って も、 目 的物 が特 定さ れた 後は
、特 定物 の売 買と 同じ く、 瑕疵 担保 責任 が適 用さ れる とす る見 解︵ 判例
︶と が鋭 く対 立
( )
した
。そ して
、こ のよ うな 学説 の対 立は
、昭 和三 二年
︵一 九五 七︶ の日 本私 法学 会の シン ポジ
( )
ウム にお いて
﹁一 つ
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のピ ーク
﹂を 迎え
、こ れを 契機 に﹁ 両説 が歩 みよ り、 少な くと も、 結果 に関 して は、 両説 とも ほぼ 同一 の内 容に 到 達﹂ して
、収 束し たか に思 わ
( )
れた
。
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しか し、 右の シン ポジ ウム の直 後か ら、
﹁瑕 疵担 保責 任も 一般 的な 契約 責任 の中 に解 消さ れて しか るべ きで あり
、 本来 の債 務不 履行 責任 との 区別 は原 則と して 存在 し
( )
ない
﹂と する 債務 不履 行責 任説 が登 場し た。 もっ とも
、そ のア
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プロ ーチ の仕 方は
、債 務不 履行 責任 説の 論者 によ って 異な る。 しか し、 その 共通 の基 盤な いし 直接 の契 機と なっ た のは
、一 九五
〇年 代に おけ る次 の二 つの 統一 法で ある
。す なわ ち、 アメ リカ 合衆 国統 一商 法典
︵U ni fo rm Co mm er - ci al Co de
︱一 九五 二年 と︶ 国際 動産 売買 統一 法草 案︵ Pr oj et d un el oi un if or me su rl av en te in te rn at io na le de so bj et s mo bi li er sc or po re ls
︱一 九五 六年
︶で あり
、﹁ いず れに おい ても
、瑕 疵担 保と いう 名称 が姿 を消 し、 それ に相 当す る制 度が 債務 不履 行の 一環 とし て規 定﹂ され て
( )
いる
。そ して
、こ の二 つの 統一 法に 着目 して
、債 務不 履行 責任 説の 先陣
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を切 った のは
、五 十嵐 清教 授に よる
﹁瑕 疵担 保と 比較 法﹂
︵昭 和三 四︱ 三五 年︶ であ った
。そ こで
、同 教授 によ る債 務不 履行 責任 説を 検討 する 前に
、右 の二 つの 統一 法の 規定 を概 観す る。 二
アメ リカ 合衆 国統 一商 法典
︵一 九五 二年
︶
⑴ 統一 商法 典の 沿革 アメ リカ 合衆 国に おい ては
、各 州が それ ぞれ 独自 の商 事法 を形 成し てい た。 その ため
、商 事法 の不 統一 が、 各州 間の 商取 引を 阻害 する こと とな り、 一九 世紀 の末 頃か ら、 その 統一 が図 られ て
( )
きた
。そ して
、統 一商 法典 の制 定
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は、 一九 四〇 年代 以降 に本 格化 し、 一九 五二 年に 採択 され るに 至
( )
った
。
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統一 商法 典の 中の
﹁売 買﹂
︵第 二編
︶に 関す る規 定は
、一 九〇 六年 に制 定さ れた 統一 売買 法︵ Un if or mS al es Ac t︶ を修 正し たも ので ある
。す なわ ち、 この 統一 売買 法は
、一 八九 四年 のイ ギリ ス動 産売 買法
︵S al eo fG oo ds Ac to f
18 93
︶に なら った もの で
( )
ある ため
、瑕 疵担 保責 任も
、イ ギリ ス法 にお ける と同 じく
、ワ ラン ティ
︵w ar ra nt y= 保
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証︶ 条項 に対 する 違反 とし て構 成さ れて
( )
いた
。し かし
、統 一商 法典 は、 ワラ ンテ ィの 要件 に関 して は特 別の 規定
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︵二
︱三 一二 条以 下︶ を残 した もの の、 その 違反 の効 果に つい ては
、不 適切 な引 渡し
︵I mp ro pe rD el iv er y︶ に対 する 買主 の権 利の 問題 とし て、
﹁契 約違 反、 拒絶 及び 免責
﹂︵ Br ea ch ,r ep ud ia ti on an de xc us e︶ の章
︵第 六章 に︶ 規定 した
。 かく して
、統 一商 法典 にお いて は、 ワラ ンテ ィと 瑕疵 担保 責任 およ び債 務不 履行 責任 の区 別は
、﹁ 完全 に消 滅し た﹂ とさ
( )
れる
。
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以下 では
、こ の瑕 疵担 保責 任︵ 契約 の不 適合 ない し不 適切 な引 渡し に︶ 関連 する 統一 商法 典の
( )
規定 を、 必要 な範 囲
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にお いて 概観 する
。
⑵ 瑕疵 担保 責任 に関 連す る規 定①
︱︱ 要件 まず
、統 一商 法典 は、 イギ リス 法に 従っ て、 売買 の目 的物 の品 質、 性能 また は適 合性 につ いて は、 売主 が保 証
︵ワ ラン ティ し︶ ない 限り
、売 主が 責任 を負 わな いと の前 提に 立つ
︵﹁ 買主 をし て注 意せ しめ よ﹂
︹c av ea te mp to r︺ の原 則︶
。そ して
、売 主に よる ワラ ンテ ィは
、明 示に よる 場合
︵e xp re ss wa rr an ty
=二
︱三 一三 条︶ と黙 示に よる 場合
︵i mp li ed wa rr an ty
=二
︱三 一四
、三 一五 条︶ があ るこ とを 規定
( )
する
。
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二︱ 三一 三条
確言
、約 束、 説明
、見 本に よる 明示 のワ ラン ティ
⑴ 売主 によ る明 示の ワラ ンテ ィは
、次 のよ うに して 生じ る。
⒜ 売主 が買 主に 対し てな した 事実 の確 言ま たは 約束 であ って
、そ の物 品に 関連 する もの であ り、 かつ
、取 引の 基礎 の一 部を なす もの は、 その 物品 が確 言ま たは 約束 に合 致す る旨 の明 示の ワラ ンテ ィを 生ぜ しめ る。
⒝ 物品 につ いて の説 明で 取引 の基 礎の 一部 をな すも のは
、そ の物 品が その 説明 に合 致す る旨 の明 示の ワラ ンテ ィを
生ぜ しめ る。
⒞ 見本
︵サ ンプ ルま たは モデ ル︶ で取 引の 基礎 の一 部を なす もの は、 その 物品 の全 体が その 見本
︵サ ンプ ルま たは モデ ル︶ に合 致す る旨 の明 示の ワラ ンテ ィを 生ぜ しめ る。
⑵ 明示 のワ ラン ティ の発 生に は、 売主 が﹁ 担保 する
︵w ar ra nt
︶﹂ もし くは
﹁保 証す る︵ gu ar an te e︶
﹂と いっ た形 式 的文 言を 使用 する こと も、 また 売主 がワ ラン ティ をす る特 別の 意思 を有 して いる こと も必 要で ない
。し かし
、物 品の 価値 のみ につ いて の確 言ま たは 物品 につ いて の売 主の 意見 もし くは 推奨 にす ぎな いよ うな 表示 は、 ワラ ンテ ィを 生ぜ しめ ない
。 二︱
三一 四条
黙示 のワ ラン ティ
・商 品性
・取 引の 慣行
⑴ 物品 に商 品性 があ ると いう ワラ ンテ ィは
、売 主が その 種類 の物 品に 関す る商 人で ある とき は、 その 売買 契約 中に 黙 示に 包含 され てい るも のと する
。た だし
、当 該ワ ラン ティ が排 除ま たは 変更 され る場 合︵ 二︱ 三一 六条
︶を 除く
。本 条に おい ては
、飲 食物 の有 償サ ービ スは
、消 費さ れる 場所 のい かん を問 わず
、売 買と する
。
⑵ 物品 に商 品性 があ ると いう ため には
、少 なく とも
、次 の要 件を 満た して いな けれ ばな らな い。
⒜ 契約 上の 説明 に合 うも のと して 取引 上異 議な く通 用す るも ので ある こと
⒝ 代替 性の ある 物品 の場 合に は、 説明 の範 囲内 で公 正に みて 平均 的品 質と いえ るも ので ある こと
⒞ その よう な物 品が 使用 され る通 常の 目的 に適 する もの であ るこ と
⒟ 契約 に含 まれ てい る各 単位 内で も、 各単 位を 比較 して も、 合意 によ って 許容 され てい る偏 差の 範囲 内で
、均 一の 種類
、品 質お よび 数量 のも ので ある こと
⒠ 合意 上の 要求 に充 分に 合致 する 内容
、包 装お よび 内容 表示 があ るこ と、 かつ
、
⒡ 容器 また は内 容表 示に 示さ れて いる 約束 また は事 実の 確言 があ ると きは
、そ れに 合致 する こと
⑶ その 他の 黙示 のワ ラン ティ が、 商談 の経 過ま たは 取引 慣行 から 生ず るこ とも ある
。た だし
、当 該ワ ラン ティ が排 除
また は変 更さ れる 場合 を除 く。 二︱
三一 五条
黙示 のワ ラン ティ
・特 定の 目的 に適 合し てい るこ と 契約 締結 当時 にお いて
、そ の物 品が 求め られ てい る特 定の 目的 を売 主が 知る べか りし 場合 であ って
、か つ、 買主 が適 切な 物品 を選 択し
、ま たは 供給 する につ いて 売主 の技 能も しく は判 断に 信頼 して いる こと を売 主が 知る べか りし 場合 に は、 次条
︵ワ ラン ティ の排 除ま たは 変更
︱筆 者注
︶に よっ て排 除ま たは 変更 され ない かぎ り、 その 物品 は、 その よう な 目的 に適 合す るも ので ある とい う黙 示の ワラ ンテ ィが ある
。 この
ほか
、ワ ラン ティ には
、所 有権
︵T it le が︶ 完全 に譲 渡さ れ、 その 移転 が適 法で あり
、い かな る担 保権 や負 担 を伴 うこ とな く買 主に 引き 渡さ れる こと を担 保す る旨 のも のが ある
︵二
︱三 一二 条︶
。こ のワ ラン ティ も黙 示の もの で
( )
あり
、日 本民 法の 追奪 担保 責任
︵五 六一 条︶ や制 限物 権・ 抵当 権等 があ る場 合に おけ る売 主の 担保 責任
︵五 六六
、
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五六 七条 に︶ 相当 しよ う。 とこ ろで
、日 本民 法の 瑕疵 担保 責任
︵五 七〇 条︶ に相 当す るの は、
﹁瑕 疵﹂ の定 義に よる もの の、 黙示 のワ ラン ティ
︵二
︱三 一四 条⑵
⒞︶ であ る。 しか し、 その ワラ ンテ ィ違 反の 効果 は、 統一 商法 典に おい ては
、特 別な もの で はな く、 一般 の契 約違 反︵ 債務 不履 行︶ と同 じで ある
。
⑶ 瑕疵 担保 責任 に関 連す る規 定②
︱︱ 効果 6 概観
︱︱ 買主 の四 つの 救済 方法 ワラ ンテ ィ違 反︵ br ea ch of wa rr an ty
︶の 効果 は、 イギ リス 動産 売買 法に おい ては
、通 常の 契約 違反 と峻 別さ れて いた
。し かし
、統 一売 買法 では 本質 的な 契約 違反 とさ れ、 統一 商法 典で は、
﹁ワ ラン ティ の違 反﹂︵ br ea ch of wa r-