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(1)(有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 交流増幅器の設計 1.能動素子による交流増幅回路の分類 能動素子により交流増幅回路構成は次の 4 つに分類される。 ① オペアンプによる回路構成 ② ノートンアンプによる回路構成 ③ 専用(ビデオ)アンプによる回路構成 ④ FET、Tr による回路構成 夫々の回路構成は長所と欠点を持つので、各交流増幅回路の目的(仕様)に合わせて回路構成 を選択することが望まれる。 2.オペアンプの交流増幅回路 オペアンプは汎用性が高く、回路設計も簡易であるが、高周波で使用できるものが少な い欠点がある。よって、一般には比較的周波数の低い交流増幅回路に用いる。 周波数特性は SR(V/μV)、GB 図 1 に示すように、各オペアンプには固有の周波数特性を 持つので、周波数特性を十分に考慮して使用するオペアンプを選択する必要がある。. 図 1 オペアンプ NJM5532 の周波数特性 また、一般的には、次の式に示すように、増幅回路の最高周波数はスルーレート(SR)によ り決まる。. f max =. SR LLL (1) 2πVo. Vo : 出力信号の大きさ. また、各オペアンプのスルーレートを表 1 に示す。 表 1 各 OP-AMP のスルーレート 型式名. LT1007. NJM5532. TL084. EL2075. 用. 高精度. 低雑音. J-FET. 高周波. 2.5. 8. 13. 途. SR. 800 単位 V/μs. 1. CLC449 高周波 2000.

(2) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. Vdd. 交流と言っても、特段、一般的なオペアンプ 回路と変わるわけではなく、図 2 に示す基本的. U1A TL082. 8. R3 3. な増幅回路(反転)を用いることは可能である。. 2. しかしながら、入力信号に直流分が重畳してい. 1. Vo. 4. る場合では、直流分まで増幅してしまい、交流. +. 増幅器としては十分な利得を得ることが出来. Vss Vi. ない。よって、入力段に直流(低周波)成分をカ. R2 R1. ットするため、ローパスフィルタを設ける。こ. 図 2 基本的な増幅回路. の回路例を図 3 に示す。また、出力信号におい ても直流成分をカットするには図 4 の回路を 用いる。. Vdd U1A TL082. 3 2. R3. 8. 8. R3. Vdd. 3. +. 1. Vo. 2. -. +. U1A TL082 1. Vo. -. 4. 4. C2. Vss. Vss. R4. Vi. Vi R2 C1. R2. R1. C1. 図 3 交流(のみ)増幅回路. R1. 図 4 出力においても直流成分カット. 更に、高調波成分の高周波信号をカットするには図 5 の回路を用いる。この回路の周波数 特性を図 6 に示す。 Vdd. 8. R3 3. +. 1. Vo. -. 3dB. 4. C3. 利 得. 2. U1A TL082. R4 Vss. C1R2. Vi R2 C1. C1R1(C3R3) 周. R1. C3R3 波. 数. C2. 図 5 低域・高域遮断周波数を持つ交流増幅回路. 図 6 周波数特性. 低域・高域遮断周波数 fL、fH は次式で示される。. fL =. 1 2πC1 R1. fH =. 1 2πC 2 R2 2. LLL ( 2 ). C3R1.

(3) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. Vdd. 次に、−電源(Vss)がない場合、図 7. Vdd. の構成を採用する。すなわち、R5,R6. R5. ( R5=R6 ) に よ り コ モ ン 電 源 ( 電 位. 3. Vdd/2)を作る。つまり、見かけ上、電. 2. 圧±Vdd/2 の両電源を接続した場合と. U1A TL082. 8. R3. +. 1. Vo. C3. R6. R4. 4. 同じくなる。 交流増幅回路に使用するオペアン プの選定に際して、先に説明したよ. Vi R2 C1. R1. うに、その周波数特性が重要であっ た。また、交流増幅回路の入力電圧. C2. が微弱な場合が多いので、オペアン. 図 7 片電源の場合の交流増幅器. プの入力換算雑音電圧 en、入力雑音. 電流 in の値も考慮する必要がある。表 2 に各オペアンプのそれらの値を示す。 表2 型式名. LT1007. LT1014. 用. 高精度. 高精度. en(nV/Hz). 2.5. 22. in(pA/Hz). 0.4. 0.07. GBW(MHz). 8. −. 途. 各 OP-AMP の雑音特性 LT1028. NJM5532. TL082. EL2075. CLC449. 高精度・低雑音. 低雑音. J-FET. 高周波. 高周波. 5. 25. −. 3. 0.7. −. −. 2. 10. −. 0.9 1 75. 500. これらの雑音は、導体内部の自由電子が熱エネルギーによりブラウン運動するために発生し、 熱雑音と呼ばれる。この値は次式により与えられる。. en = 4kTRB LLL (3) k:ボルツマン定数(1.38*10-23J/K) T:温度(K) R:抵抗(Ω) B:帯域幅(Hz) 熱雑音の振幅分布はガウス分布をしている。 一般的な非反転増幅回路で発生する雑音は次のようになる。 R2. von = v sn + v R1 // R 2 n + visn + viR1 // R 2 + en × B 2. 2. 2. 2. 2. L LL ( 4 ). v sn = 4 kTR S. RS による熱雑音. v R1 // R 2 n = 4 kT ( R1 // R2 ). R1//R2 による熱雑音. visn = in × RS. R1. in en. RIN. vo. RS vs. viR1 // R 2 = in × ( R1 // R2 ). 図 7 非反転増幅回路の熱雑音 3.

(4) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 3.ノートン・オペアンプによる交流増幅回路 2 つの入力端の入力電流が同じになるように作動す るオペアンプを電流差動増幅器、つまり、ノートン・オ ペアンプと言う。これは図8の記号で表すことが多い。 図 9 に代表的なノートンオペアンプ LM359(NS)の周 波数特性を示す。図 10 の NJM5532 の特性に比べて、 図 8 ノートン・オペアンプの記号. かなり高周波特性が良いことが分かる。. 図 9 LM359 の周波数特性. 図 10. NJM5532 の Gain-周波数特性. 次に、LM359 の内部回路を図 11 に示す。この回路の入力段の動作について検討する。 入力段回路を図 12 に示す。. 図 11 LM359 の内部回路. 4.

(5) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 図 12 の回路において、トランジスタ Q1,Q2 の特性が全く一致していると仮定すると、 +. I b1 = I b 2. +. Ib−. であるので、 +. +. I IN ( + ) = I b1 + I b 2 + I c1 +. = 2 I b 2 + I c1. IIN(−). +. Ib2+. IIN(+). +. Q2. Ic1+. また、. Q1 +. +. I c1 = h fe1 I b1 = h fe 2 I b 2 よって、. Q3. Ic2+. I IN ( + ) = ( 2 + h fe 2 ) I b 2. Ib1+. +. +. +. ≈ h fe 2 I b 2 = I c 2. 図 12 ノートン・オペアンプの入力段 +. 更に、 −. I IN ( −) = I b + I c 2. +. であるので、. I IN ( −) − I IN ( + ) = I b. −. LLL (5). すなわち、出力電圧は Ib-に比例するので、出力電圧は入力電流の差に比例することになる。 図 13 に示すメーカーが提示している代表 的な回路例(反転増幅回路)に従って、交流 増幅回路の設計を行う。 まず、Rset の値を決めるのであるが、. Rset により Iset が決定される。データ・ シートによると、. Rf If. RS. Iset =. Vdd − 2VBE Rset + 1kΩ. VBE = 0.6V. であるので. Rb. Rset = Rset. Vdd − 1.2 − 1kΩ Iset. では、Iset の値を幾つに設定するかである が、これもデータ・シートによると、 Iset により SL(V/μs)と GB 積(MHz)が決定され るので、所要の SL,GB 値に合わせて、設定 する。Iset 値が大きいほど、SL,GB とも大 きくなる。図 13 の場合、Rset=20kΩであ. 図 13 LM359 による斑点増幅回路. り、よって、Iset=0.5mA であるので、. SL=60V/μs、GB=400MHz. 5.

(6) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. となる。次に、抵抗 Rf の値を決めるには、次の条件が必要である。. Rf ≤. Vo DC − VBE I fMIN. であり、. Vo DC =. Vo MAX − 3VBE Vdd − 3VBE = = 5.1V 2 2. および. I fMIN ≥ 10 ×. 3I SET. β. ≈ 100 µA. であるので、よって、. R f ≤ 45kΩ VoDC は交流出力電圧が最大になるための直流出力電圧成分であり、簡易に考えれば Vdd/2=6V となる。また、IfMIN は帰還電流の最小値である。 また、入力インピーダンスを 750Ωすると、Rs=750Ωとなり、. Av = であるので となる。. Rf RS. = 10( 20dB ). R f = 7.5kΩ. 次に、Rb の値を決定するが,Rb により電流バイアスを与える。ここで注意することは、通 常のオペアンプではバイアス電流やオフセット電流が小さいほど、良い特性を持つが、ノー トン・オペアンプの場合、積極的にそれらの電流を流すことが重要であり、そのため、抵抗. Rbの片端を Vdd に接続する。 この場合、. Rb =. Vdd − VBE I IN ( + ). が成立し. I IN ( + ) =. Vo DC − VBE = 600 µA Rf. であるので、. Rb = 19 kΩ となる。. 6.

(7) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 4.デオ・アンプによる高周波増幅回路 ビデオ・アンプを用いると広帯域の高周波増幅回路を簡単に構成する事が出来ます。良く 用いられるビデオ・アンプとして、NEC のμPC1658 を用いて回路を設計する。 この電気的特性を表 3 に示す。500MHz でゲインが 17dB、雑音指数が 2dB という低雑音 広帯域増幅回路になる。 表3. μPC1658 の電気的特性. μPC1658 の内部等価回路を図 14 に示 します。エミッタ設置増幅段(Q1 から なる)と 2 段ダーリントン・エミッタフ ロア段(Q2,Q3 から)で構成される。7 番ピンにエミッタ・バイパス・コンデ ンサ 1000pF を接続することにより、 エミッタ増幅段のゲインを上げ、ノイ ズ指数を下げます。5 番ピンを電源 Vcc に接続し、2 番ピンに 180Ωの抵抗を 接続することにより、各トランジスタ に流れる電流を増大させることが出来 るので、出力を上げることが出来る。. 図 14 μPC1658 の内部等価回路. 出力ピン(3 番)と入力ピン(6 番)に負帰 還抵抗 RF220Ωと直流阻止用コンデ ンサ 1000pF を接続すると、ゲインは 41dB から 17dB に減少しますが、帯域 を広くすることが出来ます。 ΜPC1658 の周辺部品の接続の仕方により特性の異なった回路が得られます。その代表 3 例の構成と特性を図 15 に示す。. 7.

(8) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 図 15 μPC1658 の回路構成例と特性. 8.

(9) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 5.高周波増幅回路の製作と実験結果 5−1、μPC1658 とμPC1677 による高周波増幅回路 1000pF. 220Ω 22nF 1000pF. 1000pF. 1000pF 4 6 7 1 3 2 1000pF 180Ω. SG. 51Ω 1. 0.1μF 51Ω. 8. 0.1μF. 5 2,3,4 6,7. μPC1658. μPC1677. 図 16 μPC1658 とμPC1677 による高周波増幅回路図. スペアナ. SG ΜPC1677. ΜPC1658. 図 17 μPC1658(前段)+μPC1677(後段)高周波回路の外観. 表 4 μPC1658 増幅回路入出力特性の実測. 実測点. 周波数. 入力. 出力. 利得. 100MHz. -35dBm. -17.5dBm. 17.5dB. 500MHz. -35dBm. -18.3dBm. 16.7dB. 1GHz. -35dBm. -21.0dBm. 16dB. 実測値はほぼメーカのデータシート通り の値が得られた。 表 5 μPC1658+μPC1677 回路入出力特性の実測 μPC1677. 周波数. 入力. 出力. 総合利得. 100MHz. -35dBm. 1.7dBm. 36.7dB. 500MHz. -35dBm. 1.7dBm. 36.7dB. 1GHz. -35dBm. 1.7dBm. 36.7dB. よ っ て 、 μ PC1677 回 路 単 体 の 利 得 は 20dB 前後であり、ほぼデータシート通り。 9.

(10) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 5−2.オペアンプ(CLC449)による増幅回路 表6 CLC449 増幅回路入出力特性の実測. Vdd Vdd. 周波数. R5 5.1kJ 7 1. C1 R3 Vi 5.1kJ 1000pF. 3 2. U1. +. C2. R6 5.1kJ 4 8. CLC449. R2 R1 1kJ. -5dBm. 15dB. 5MHz. -20dBm. -4.5dBm. 15.5dB. 10MHz. -20dBm. -7dBm. 13dB. 50MHz. -20dBm. -17dBm. 3dB. 100MHz. -20dBm. -20dBm. 0dB. Vo 1000pF. 9.1kJ. 総合利得. -20dBm. 51J. -. 出力. 1MHz. R4. 6. 入力. スルー・レートによる計算では 100MHz 以 上まで増幅可能であるが、実際の増幅周波. 図 18 CLC449 による増幅回路図. 数上限は 10MHz 程度である。. 5−3.RF パワートランジスタ MAX2602 による増幅. 10nF 1000pF. 430. 100nF 1000pF 1000pF. 図 20 MAX2602 の利得特性. 図 19 MAX2602 パワーアンプ回路. 表 7 MAX2602 パワーアンプ入出力特性 周波数. 入力. 出力. 総合利得. 1MHz. 10dBm. 1.2dBm. -8.8dB. 10MHz. 10dBm. 18dBm. 8dB. 100MHz. 10dBm. 24dBm. 14dB. 500MHz. 10dBm. 16dBm. 6dB. 1GHz. 10dBm. 11dBm. 1dB. 本来の使用周波数領域ではデータシート に近い利得が得られる。 スプリアスが多いので注意。. 10.

(11) (有)田澤 R&D 技術士事務所 2001 年 10 月 3 日. 5−4.μPC1658,μPC1677、MAX2602 による高周波増幅・出力回路 1000pF. 220Ω 22nF 1000pF. 10nF. 1000pF. 1000pF. 4 6 7 1 3 2 1000pF 180Ω. SG. 1000pF. 430. 51Ω 1 0.1μF. 0.1μF 51Ω. 8. 100nF. 5 2,3,4 1000pF. 6,7. 1000pF. μPC1658. MAX2602. μPC1677. 図 21 μPC1658,μPC1677、MAX2602 による高周波増幅・出力回路. μPC1658. MAX2602. μPC1677. 図 22 μPC1658,μPC1677、MAX2602 による高周波増幅・出力回路の外観. 表8. μPC1658,μPC1677、MAX2602 による高周波増幅・出力回路の入出力特性 総. 合. 特. 性. 各回路の推定利得 総合利得. μPC1658. μPC1658. MAX2602. 25dBm. 55dB. 17.5dB. 19.2dB. 18.3dB. -30dBm. 19dBm. 49dB. 16.7dB. 20.0dB. 12.3dB. -30dBm. 4dBm. 34dB. 16.0dB. 20.7dB. -2.7dB. 周波数. 入力. 100MHz. -30dBm. 500MHz 1GHz. 出力. 11.

(12)

図 12 の回路において、トランジスタ Q1,Q2 の特性が全く一致していると仮定すると、 であるので、  また、  よって、  更に、  であるので、  すなわち、出力電圧は I b- に比例するので、出力電圧は入力電流の差に比例することになる。  図 13 に示すメーカーが提示している代表 的な回路例(反転増幅回路)に従って、交流 増幅回路の設計を行う。   まず、 Rset の値を決めるのであるが、 Rset により Iset が決定される。データ・ シートによると、      であるので     
図 15  μPC1658 の回路構成例と特性

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