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Academic year: 2021

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(1)

発振回路の設計

1.パルス・ジェネレータの基本 パルスを発生する方法は幾つかあるが、信号のON-OFF によりパルスが発生するパルス・ ジェネレータをマルチバイブレータと言う。 マルチバイブレータは制御信号(トリガー)の種類により、次の 3 種類に分けられる。 (1) 単安定マルチバイブレータ (2) 双安定マルチバイブレータ (3) 非安定マルチバイブレータ 単安定マルチバイブレータとは外部からの1 個の制御信号(トリガー)により、1 個のパルス が発生する。よって、連続的にパルスを発生させるには、トリガー信号を連続的に与える 必要がある。双安定マルチバイブレータとは、1 回目のトリガー信号により、出力信号は Hi レベルになり、次のトリガー信号により、出力信号は再び Lo レベルになる。トリガー 信号を加えるたびの上記の状態を繰り返す。非安定マルチバイブレータとは、名前の通り、 安定した状態がないので、外部信号なして出力信号は Hi-Lo を繰り返す。これを自走形パ ルスジェネレータと言い、いわゆる、発振器である。 トリガー 出力信号 外部信号なし 単安定 双安定 非安定 図1 各種のマルチバイブレータ マルチバイブレータによる発振方式は、いわゆる、CR タイミング発振の一種で、CR 充 放電現象に従う。 図2 の CR 充電現象を考える。

(2)

回路方程式は C1 Vc R1

)

1

(

1 1

L

L

L

C

Q

i

R

V

i

=

+

Vi ここで、iは充電電流、QはコンデンサC1の容量。

)

2

(

1

1

,

1 1 1 1 1 1 1

L

L

L

=

=

+

=

=

=

− −

R C t i R C t i

V

Vc

V

C

Q

C

Q

dt

dQ

R

Vi

dt

dQ

i

idt

Q

ε

ε

図2 CR 充電回路 であるので Vc Vi よって、 t また 図3 充電特性 となる。 充電時間t=C1R1 において、コンデンサの電圧は

Vc

= 6321

0

.

×

V

iとなる。 この時間を充電回路の時定数と言う。 すなわち、コンデンサが充電されて、ある一定の電圧に達するまでの時間は、その時定数 により決まる。 同様に放電時間も時定数により決まり、自走的に充放電を繰り返して行うことにより発 振させる方式をCR タイミング発振と言う。その原理的構成を図 4 に示す。 レベル検出・制御部はCMOS 等のデジタル IC やオペアンプ等のアナログIC 等で回路設計す ることが出来る。 レベル 検出・制御 制御信号 C1 Vc Vi R1 図4 CR タイミング発振方式の基本構成 2.発振回路の分類 発振を司る能動素子としての観点から分類すると (1) CMOS 等のデジタル IC (2) オペアンプ等のアナログIC (3) Tr や FET

(3)

となる。発振の原理的方式から分類すると (1) CR タイミング発振方式 (2) CR 発振方式:ウイーンブリッジ発振等 (3) LC 発振方式:コルピッツ、ハートレー発振等 (4) 水晶・セラミック発振方式 (5) となる。どの発振方式,発振回路を選定するかは、発振器に要求される次の基本仕様によっ て異なる。 ① 発振周波数の値 ② 周波数・位相の安定性 ③ 振幅の安定性 ④ 発振波形(パルス波、正弦波、三角波か?) ⑤ 周波数の可変制御の有無 また、周波数の可変制御方式から、発振方式を分類すると、図5 のようになる。 図5 周波数可変制御方式による発振方式の分類

(4)

3.CR タイミング発振方式 74HC14 Vc C1 Vo R1 3-1.H-CMOS による発振回路 H-CMOS シュミット・インバータ 74HC14 を用いた矩 形(パルス)波発振回路を図 6 に示す。シュミット・インバ ータはスレッシュホールド電圧VT+,VT−を持つ。VT+はシ ュミット・インバータの入力がLow レベルから Hi レベ ルに変化するとき、出力が反転する電圧であり、VT−は その逆である。 図6 74HC14 による 発振回路 電源投入時、コンデンサ電圧Vc は零であり、抵抗 R1 を 通じてコンデンサC1 が充電されるので、電圧 Vc は徐々 に上昇する。電圧Vc が VT+に達すると、シュミット・イ ンバータの出力電圧Vo が反転し Lo レベルになるので、 充電から放電状態に変わる。そして、電圧 Vc は徐々に 低下し、電圧VT−に達すると、再び、シュミット・インバ ータの出力電圧Vo が反転し Hi レベルになり、充電状態 になる。 T Vo Vc VT+ VT− 図7 発振波形 すなわち、シュミット・インバータはレベル検出・制御部と充放電の切替えスイッチ役割を 担っている。 発振周波数Fo は次のようにして求める。充電時、コンデンサ電圧 Vc が 0V より VT+に達す るに必要な時間は、(2)式より

=

+ + dd T H

V

V

R

C

t

1 1

ln

1

であるので、Vc が VT−からVT+に達するまでの時間は

)

3

(

ln

1 1

L

L

L

=

+T dd T dd

V

V

V

V

R

C

Tc

また、放電特性は





=

=

i R C t i

V

Vc

R

C

t

V

Vc

ln

)

4

(

1 1 1 1

L

L

L

ε

よって、 となるので、放電によりVc が VT+からVT−に達するまでの時間は

)

5

(

ln

1 1

L

L

L

=

+ T T

V

V

R

C

Td

(5)

となる。よって発振周期は

)

6

(

)

(

)

(

ln

1 1

L

L

L

=

+

=

++ T T T dd T dd

V

V

V

V

V

V

R

C

Td

Tc

T

表1 の 74HC14 のデータ・シートより、VT+、VT−の値を(6)式に代入すると 表1 74HC14 のスレッショルド電圧(NEC データシートより) 周期は となり、発振周波数は

)

0

.

6

(

69

.

1

)

5

.

4

(

62

.

1

)

0

.

2

(

15

.

1

)

0

.

6

(

593

.

0

)

5

.

4

(

619

.

0

)

0

.

2

(

897

.

0

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

V

V

R

C

V

V

R

C

V

V

R

C

f

V

V

R

C

V

V

R

C

V

V

R

C

T

dd dd dd o dd dd dd

=

=

=

=

=

=

となる。すなわち、発振周波数は電源電圧により、著しく変わる。 発振周波数fo は C1,R1 が小さくなるほど高くなるが、無限に高くなるわけではなく、数十 MHz が上限になる。これは IC が持つ伝達遅延時間 tp により生じる。伝達遅延時間とは IC の入力信号に対する出力信号の遅れである。これを図8に示す。上限発振周波数fomax と 伝達遅延時間tp との関係は p o

t

f

2

1

max

であるので、

(6)

図8 伝達遅延時間

)

(

40

max

MHz

typ

f

o

となる。 実際にC1,R1 を変えて、波形と周波数を測 定した結果を図9 に示す。 (6)式に従うと、VT+=2.58V,VT-=1.92V であるので、 1 1

86

.

1

R

C

f

o

=

C1=0.45μF、R1=1kΩの場合では

kHz

f

0

=

4

.

13

となり、ほぼ、実測値と一致する。 C1=100pF に変更すると、理論値は

MHz

f

o

=

18

.

6

であり、実測値に比べかなり低い。これはIC の入力容量と出力インピーダ ンスによる影響である。また、波形がかなり乱れているが、これはオーバーシュート現象 による影響である。C1 を取り払っても入力容量により発振しており、更に、R1=0Ωにして も発振している。しかし、発振波形は矩形波ではなく、正弦波のような波形になっている。 これはIC の立ち上がり,立下り時間の存在による。 VT+=2.58V VT-=1.92V Vdd=5V R1=1kΩ C1=0.45μF R1=1kΩ C1=100pF R1=1kΩ c1=0 R1,C1=0 fo=4.26kHz fo=7.49MHz fo=34.2MHz fo=51.0MHz

図9 各定数における発振波形 3-2.H-CMOS による VCO Vco 74HC14 Vc C1 R2 Vo R1 図 10 に示すように、新たな抵抗(R2≒R1)と可変電圧 源Vco を図 6 の発振回路に追加した場合を考えてみる。 コンデンサが充電中である場合、

(

Vco

−Vc

)

>

0

0

)

では Vco と R2 による充電も起きるため、発振周波数が短く なることが予想される。また、

(

Vco

−Vc

<

では R1 に流れる充電電流がR2 に分流するため、発振周波数が 長くなることが予想される。 図10 H-CMOS VCO 反 対 に コ ン デ ン サ が 放 電 中 で あ る 場 合 は 、

(7)

0

)

(

Vco

−Vc

>

0

)

(

Vco

−Vc

<

で は 発 振 周 波 数 が 長 く , では短くなると予想される。実際に、 電圧Vco に対する発振周波数 fo の関係の実測データを 図11 に示す。 3-3. OP-AMP による非安定マルチバイブレータ回路 OP-AMP による非安定マルチバイブレータの回路を図 12 に 示す。電源投入直後はコンデンサC1 は充電されていないので R3 C1 R2 Vi− Vi+ R1

0

=

i

V

Vo 同様にその直後では、Vo>0 であるとすると、

0

2 1 2

>

+

=

+

R

R

R

V

V

i o

よって、OP-AMP はコンパレータとして動作し、Vo は OP-AMP

の+側の最大出力電圧Vo+になるため、C1 は充電される。 図12 OP-AMP による 非安定マルチバイブレータ すなわち、

)

7

(

2 1 2

L

L

L

R

R

R

V

V

i o

+

=

+ + 次に

V

i

<

V

i+ となると、出力電圧Vo は Vo+から−側の最大出力電圧 Vo−に反転する。 よって

(

8

)

2 1 2

L

L

L

R

R

R

V

o i

+

=

− +

V

となり、逆にコンデンサは放電状態になる。 そして、

V

i

>

V

i+ の条件が与えられると、再び、コンデンサは充電状態になる。 すなわち、 2 1 2

R

R

R

V

o T

+

=

+ +

V

2 1 2

R

R

R

V

V

T o

+

=

− − とした場合のH-CMOS による場合と同じタイミング(図 7)で発振する。 発振周波数

f

o

(

9

)

2

1

3 1

L

L

L

R

C

f

o

(8)

実際、OP-AMP に LT1007 を用いた場合の発振波形を図 13 に示す。

C1=4nF R3=12k C1=1000pF R3=12k C1=100pF R3=12k C1=10pF R3=12k fo=12.34kHz fo=35.71kHz fo=144.9kHz fo=581.3kHz

図13 LT1007 を用いた場合の発振波形

波形を観測するとfo=40kHz あたりから振幅が減少し、矩形波ではなく三角波形のようにな ってしまう。これは各OP-AMP 特有のスルーレート SR(Slew Rate)による。スルーレート とは CMOS の立ち上がり時間に相当し、パルスの応答特性を表す。その値は時間 1μs 当 りの出力電圧の変化量で表す。代表的なオペアンプのスルーレート値を表3に示す。 表3 各OP-AMP のスルーレート LT1007 は主に低周波の精密計測用に用いられるため、SR 値は非常に小さい。これに代わ って高周波用のOP-AMP EL2075 を用いた場合の発振波形を図 14 に示す。 単位V/μs 型式名 LT1007 TL084 EL2075 CLC449 用 途 高精度 J-FET 高周波 高周波 SR 2.5 13 800 2000 発振周波数が20MHz 近くまでのびている事が分かる。 C1=10pF R3=12k C1=10pF R3=1.2k fo=2.55MHz fo=14.7MHz 図14 EL2075 を用いた場合の発振波形

(9)

4.CR 発振方式―Wein Bridge 発振回路 o

v

ウイーンブリッジとは図 15 に示す交流ブリッジであり、被 測定試料の抵抗

R

2と容量

C

2を次の方法により求める。 ②と③が同電位になるように

R

1

C

1の調整を行う。 よって、次式が成立する。

)

10

(

1

1

1

2 2 2 2 1 1 4 3

L

L

L

C

j

R

C

j

R

C

j

R

R

R

ω

ω

ω

+

+

=

図15 Wein Bridge よって

1

(

11

)

1 2 1 2 2 1 2 1 4 3 2

L

L

L





+

+

=

C

R

R

C

j

R

C

C

R

R

R

R

ω

ω

すなわち

1

(

12

)

2 1 2 1 2 2 1 2 1 4 3 2

L

L

L

C

C

R

R

R

C

C

R

R

R

R

=

+

=

ω

更に

(

)

1

(

)

(

13

)

1

1

2 1 1 1 4 3 2 2 1 1 3 4 1 2

L

L

L

R

C

C

R

R

C

C

R

R

R

R

R

ω

ω

=

+

+

=

となる。 よって、(12)式より

R

2

C

2を求めることが出来る。 次に図15 の応用回路として、図 16 の回路構成を考える。これをウイーンブリッジ発振回 路と言う。

C

と は可変ではなく、既知の定数である。 また、 と は未知定数でなく既知の定数とする。 1

R

1

R

2

C

2 Vo ウイーンブリッジ発振回路において、一般に、

C

1

=

C

2

=

C

R

1

=

R

2

=

R

とおくので、(12)式より

2

4 3

=

R

R

つまり、

3

(

14

)

4 4 3

L

L

L

=

+

R

R

R

図16 Wein Bridge 発振回路 更に

(10)

1

L

L

L

(

15

)

CR

=

ω

が成立する。すなわち、オペアンプは②と③とが同電位になるように作動し、それらが同 電位であることは(15)式が成立していることを意味しているので、オペアンプの出力波形は (15)式の周波数を持つ正弦波となる。ただし、発振するためには(14)式が成立している必要 があり、その値はオペアンプ回路の増幅率を示す。 ・ 文章、E-Mail による当社の承認なしに本資料の転載複製を 禁じます。 ・ 本資料に記載の情報を使用して、当社もしくは第三者の知 的所有権やその他の権利に対する保証、または実施権の許 諾を行うものではありません。 ・ 本資料に記載の情報を使用に起因する第3 者所有の権利に 係わる問題が発生した場合、当社はその責任を負うもので はありませんので、ご了承下さい。

図 8 伝達遅延時間 )(max40MHztypfo≈となる。 実際にC1,R1を変えて、波形と周波数を測定した結果を図9に示す。 (6)式に従うと、VT+=2.58V,VT-=1.92Vであるので、 1186.1Rfo=CC1=0.45μF、R1=1kΩの場合ではkHzf0=4.13 となり、ほぼ、実測値と一致する。  C1=100pF に変更すると、理論値は  MHzf o = 18
図 13  LT1007 を用いた場合の発振波形

参照

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