『理事功程』における外国地名表記 : 新島草稿と 比較して
著者 入江 さやか
雑誌名 人文學
号 195
ページ 293‑318
発行年 2015‑03‑15
権利 同志社大学人文学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014107
﹃ 理 事 功 程 ﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
│
│ 新島 草 稿 と比 較 し て│
│
入 江
さ や か
〇 は じ め に 明
治四
︵一 八七 一︶ 年十 一月
︑岩 倉具 視を 特命 全権 大使 とし
︑木 戸孝 允︑ 大久 保利 通︑ 伊藤 博文
︑山 口尚 芳を 副使 と する 岩 倉 使 節団 が
︑条 約 改正 の 予 備協 議
︑先 進 諸 国の 制 度 文物 の 実 見 調査 な ど を目 的 と し︑ 欧米 諸 国 に 派 遣 さ れ た︒ 田 中不 二 麿 は 明治 四 年 十月 に 文 部大 丞 と な って お り︑ 使 節団 に 文 部 理事 官 と して 随 行 した
︒そ の 報 告 書 で あ る
﹁ 理事 功程
﹂に は︑ 文部 省理 事功 程︑ 司法 省理 事 功 程︑ 大蔵 省 理 事功 程
︑宮 内 省式 部 寮 理 事功 程 な どが あ る が︑ 一般 には
︑田 中不 二麿 が中 心と なっ て作 成し た﹁ 文部 省理 事功 程
﹂が い わゆ る
﹃理 事 功 程﹄ とし て 知 られ て い る⑴
︒ 日本 にお ける 初の 公的 な海 外教 育調 査報 告書 であ る﹃ 理事 功程
﹄は 公刊 され て︑ 広く 利用 され
︑欧 米の 教育 を知 らし める のに 役立 った
︒ 日 本の 教育 の近 代化 にお いて
︑重 要な 役 割 を 果た し た 岩倉 使 節 と︑ その 復 命 報 告書
﹃理 事 功 程﹄ であ る が︑
﹃ 理事
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﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
功 程﹄ につ い て の 研究 は そ れほ ど 多 くな く
︑語 学 的 な観 点 か らの 研 究 は ほと ん ど なさ れ て い な い
︒そ こ で
︑本 稿 で は︑
﹃ 理事 功 程
﹄全 十 五巻 の う ち︑ 巻之 八 か ら巻 之 十 一 を占 め る﹁ 独 乙国
﹂編 を 資 料 と し て
︑外 国 地 名 表 記 を 整 理︑ 記述 する
︒﹃ 理 事功 程﹄ は︑ 新島 の草 稿︑
﹁独 乙国 ノ公 学校 学則
第 一﹂
︑﹁ 独 乙国 公学 校ノ 規則
第 二編
﹂︑
﹁ 独乙 国公 学校 ノ規 則 第三 編﹂
︑﹁ 普 魯士 ノ公 学校
︵小 中共
︶の 規則
﹂を 元に 編纂 され たも ので ある
︒文 部省
﹃理 事功 程﹄ と新 島草 稿﹁ 理事 功程
﹂を 比較 し︑ 個人 の草 稿と 公刊 物の 間に どの よう な違 いが ある かを 明ら かに する こと によ って
︑明 治期 にお ける 外国 地名 表記 の特 徴の 一端 につ いて 述べ たい
︒ 一
先 行 研 究 欧
米諸 国の 調査 を終 え︑ 明治 六︵ 一八 七三
︶年 に帰 国し た田 中不 二麿 は︑ 翌年
︑文 部大 輔と なっ た︒ その 後︑ 明治 十三
︵一 八八
〇︶ 年に 司法 卿と して 文部 省を 去る まで
︑文 部行 政は 実質 的に は田 中に よっ て行 われ たと 言っ ても 過言 では ない
︒田 中は 日本 の教 育行 政に 力を 注い だが
︑使 節で 得た 知識 や経 験が 大い に役 に立 った と思 われ る︒ 新島 襄も 田 中に 伴 っ て︑ 使 節団 に 参 加し
︑田 中 の ため に 報 告 書を 作 成 する
︒神 学 校 を 休学 し
︑欧 米 を視 察 す る こ と と な っ た が︑ この とき に得 たも のは
︑や はり 後の 大学 設立 に大 いに 役立 った こと であ ろう
︒ 新 島が 翻訳 した 原本 や︑ 新島 の草 稿と
﹃理 事 功 程﹄ の 対応 箇 所 等に つ い ては
︑新 島 襄 全 集編 集 委 員会
︵一 九 八 三︶ の﹃ 新島 襄全 集一
教 育編
﹄の 注解
︑解 題の ほか
︑小 林︵ 一九 七四
︶︑ 高
︵一 九九 八︶
︑森 川︵ 二〇
〇五
︶の 研究 があ る︒ 新島 草稿
﹁理 事功 程﹂ はパ ティ ソン 報告 書⑵
を 抄訳 し たも の で ある
︒﹃ 理 事 功 程﹄
﹁独 乙 国﹂ 編 は﹁ 新島 の 草 稿ど
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
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お りで は な い⑶
﹂ も のの
︑対 応 関 係が 見 ら れる の は 確 かで あ る︒ 森 川︵ 二〇
〇 五︶ は︑
﹁ パテ ィ ソ ン レポ ー ト の 抄 訳 の巻 八︑ 九の みな らず
︑巻 十︑ 巻十 一に も新 島が 作成 に加 わっ てお り︑ ドイ ツ編 全体 の構 成に 草稿 段階 での 責任 を負 って いた とい える
﹂と 述べ てい る︒ 参考 まで に高
︵一 九九 八︶ によ る両 者の 対応 関係 を以 下に 引用 する
︒ 草稿 の﹁ 独乙 国ノ 公学 校学 則第 一﹂ は﹃ 理事 功程
﹄第 八巻 第一 篇の はじ めか ら﹁ 第六
・小 区学 校事 務局
﹂の 途中 まで の部 分に 相当
︑草 稿の
﹁独 乙国 公学 校ノ 規則 第二 編﹂ は﹃ 理事 功程
﹄の
﹁独 乙国 ノ一
﹂の 残り の部 分︵ 第八 巻の 残っ た部 分と
︑第 九巻
﹁其 三・ 幼児 養育 所﹂ のお わり まで の部 分︶ に相 当︑ 草稿 の﹁ 独乙 国公 学校 ノ規 則第 三編
﹂は
︑﹃ 理 事 功 程﹄ 第九 巻
﹁学 校 ノ景 況
・第 三 篇﹂ に相 当
︑草 稿 の﹁ 普 魯士 ノ 公 学校
︵小 中 共︶ の 規則
﹂の 一部 は﹃ 理事 功程
﹄第 十巻
﹁孛 国小 学校 ノ定 則・ 一千 八百 六十 七年 十二 月十 七日 ノ布 令﹂ に相 当す る︒ これ を見 ると
︑﹃ 理 事功 程﹄ のド イツ 部分 は新 島草 稿に 頼る とこ ろが 非常 に大 きい こと がわ かる
︒ 新 島草 稿﹁ 理事 功程
﹂︑ 及 び︑
﹃理 事功 程﹄ につ い て は︑ ま だ明 ら か にす べ き 点は 多 い︒ そ の 両者 の 詳 細な 照 合 も︑ まだ 行わ れて おら ず︑ 用語 や表 記な ど︑ 語学 的 な 観 点か ら 論 じた も の は︑ 管見 の 限 り ほと ん ど ない
︒高
︵一 九 九 八︶ が︑ 両者 にお ける 訳語
︑表 記・ 表現 の違 いを わず かに 挙げ てい るぐ らい であ る︒ 外 国 地 名 の表 記 に つい て は︑ 数 多く の 論 考 があ る
︒国 立 国 語 研 究 所︵ 一 九 八 七︶
︑貝
︵一 九 九 七︶
︑深 澤
︵二
〇
〇 三︶
︑ 井手
︵二
〇〇 五︶
︑石 井︵ 二〇 一三
︶は
︑外 国地 名を 片仮 名で 書く か︑ 漢字 で書 くか
︑い つぐ らい から
︑現 在の よう に片 仮名 で書 く よう に な っ たの か
︑と い った こ と︑ 上 野︵ 一九 八 一
︶︑ 佐 伯︵ 一九 八 七︶
︑ 湯浅
︵二
〇 一 三︶ は︑ 漢字 で書 く外 国地 名と
︑片 仮名 で書 く外 国地 名に はど のよ うな 違い があ るの か︑ 書き 分け の意 識は 何か
︑と いっ たこ とを 問題 意識 とし て挙 げて いる
︒
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﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
国 立国 語研 究所
︵一 九八 七︶ は︑ 一九
〇六 年か ら一 九七 六年 まで の雑 誌﹃ 中央 公論
﹄を 資料 とし
︑語 彙︑ 表記
︑文 法な どの 変化 を︑ 十年 毎に 調査
︑分 析し た も の であ る
︒﹁ ア メリ カ
〜阿 米 利加
﹂の よ う に︑ カ タカ ナ と 漢字 が 両 方出 てく るも のに つい て調 査す ると
︑一 九二 六年 にカ タカ ナ表 記の ほう が多 くな り︑ その 後は カタ カナ 表記 が主 流と なる こと を明 らか にし た︒ 上 野
︵一 九 八 一︶ は︑
﹃萬 航国 海
西洋 道 中 膝栗 毛
﹄を 資 料と し て︑ カ タ カナ は
︑山 や 川 な ど 狭 い 範 囲 で あ る 地 勢 名
︑あ るい は新 奇な 地名 に限 られ るこ とが 多い こと
︑ま た使 用回 数が 多く なる にし たが って 表記 法も 増え るこ と︑ ヨー ロッ パ︑ アジ アと 身近 な地 域に は漢 字を 主に 使い
︑新 しい
︑あ るい は関 心の 低い 地域 には カタ カナ を多 く使 うと いう こと を指 摘し た︒ 佐 伯︵ 一九 八七
︶は
︑日 本初 の翻 訳新 聞で ある
﹁官 板 バタ ビヤ 新聞
﹂を 資料 とし て︑ 外国 地名 を片 仮名 表記
︑漢 字表 記︑ 漢字 に振 りが な表 記な どに 分類 し
︑考 察 し てい る
︒﹁ か たか な 表 記だ け し か 持た な い 地名
﹂は
︑使 用 頻 度が 一回 きり の地 名で ある こと
︑表 記法 の種 類を 多く 持つ 地名 は新 聞で も多 用さ れ︑ なじ みの ある 国名 地名 であ るこ とを 指摘 して いる
︒ 外 国地 名表 記に 関す る研 究の 調査 対象 は 刊 行 物が 多 く︑ 草 稿を 資 料 とし た も の は少 な い︒
﹃ 理事 功 程﹄ は︑ 草 稿と 刊行 物の 両方 が存 在す るの で︑ 個人 と公 の意 識の 違い を述 べる こと がで き︑ 語学 的な 観点 から も非 常に 価値 の高 い資 料と 言え る︒
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
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二 調査 資 料 及び 調 査 方法 二・
一 文部 省﹃ 理事 功程
﹄と 新島 草稿
﹁理 事功 程﹂ 本 稿で
︑調 査対 象と した のは
︑明 治八 年に 文部 省か ら刊 行さ れた
﹃理 事功 程﹄ 巻之 八か ら巻 之十 一の
﹁独 乙国
﹂編 であ る︒
﹃ 理事 功程
﹄全 十五 巻 は︑ 明 治六
︵一 八 七 三︶ 年十 二 月 から
︑明 治 八︵ 一 八 七五
︶年 九 月 にか け
︑木 版 和装 本と して
︑文 部省 から 刊行 され た︒ 木版 和綴 本 巻之 八 独乙 国 目次 一丁
︑本 文五 三丁
︑巻 之九
独 乙国
目 次二 丁︑ 本文 四〇 丁 巻之 十 独乙 国 目次 二丁
︑本 文五 八丁
︑巻 之十 一 独乙 国 目次 一丁
︑本 文三 九丁 ま た
︑明 治 十︵ 一 八七 七
︶年 六 月に は
︑合 本 洋装 本
︵旧 菊 版 大︑ 本 文 九 七 一 頁
︶と し て 再 版 さ れ て い る
︒本 稿 で は︑ 調査 資料 とし て︑ 明治 六か ら八 年刊 複製 本﹃ 理事 功程
﹄を 使用 した
︒こ れは
︑一 九八 二年 に雄 松堂 書店 から 唐沢 富太 郎編 集︑ 明治 初期 教育 稀覯 書集 成第 三輯 とし て︑ 全十 五 冊︑ 二 二㎝
︑和 装 本で 出 版 さ れた も の⑷
で あ る︒ ル ビな どか す れて 読 み にく い 場 合は
︑国 立 公 文 書館
﹁デ ジ タ ルア ー カ イブ
﹂に あ る 資 料⑸
︑﹁ 新 島 遺 品庫
⑹
﹂の 資 料︑
﹁ 理事 功程 八︵ 独乙 国︶
﹂﹁ 理 事功 程九
︵独 乙国
︶﹂
﹁ 理事 功程 十︵ 独乙 国︶
﹂﹁ 理 事功 程十 一︵ 独乙 国︶
﹂ を参 照し た︒ 複 製本 の﹃ 理事 功程
﹄に は︑ 刊記 があ る が︑ 国 立 公文 書 館︑ 新 島遺 品 庫 収録 の
﹃理 事 功 程﹄ には 刊 記 がな い の で︑ そち らの ほう が先 に出 され たと 思わ れる
︒ 複 製本 の刊 記は
﹁独 乙国
﹂編 の四 冊す べて 同じ で︑ 以下 のよ うに ある
︒
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﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
官 版御 書籍 發兌 芝大 神宮 前 山 中市 兵衛 日本 橋通 二丁 目 稻 田佐 兵衛 横山 町一 丁目 出 雲寺 萬次 郎 新
島草 稿﹁ 理事 功程
﹂は
︑﹃ 新 島襄 全 集 一 教育 編
﹄に 収 録さ れ た︑ 新 島草 稿
﹁理 事 功 程﹂ のう ち の 以下 の 四 つを 使用 した
︒右 から 史料 番号
︑表 題︑ 成立 年月 日︑ 形態 を記 す︒ 史料 番号 は﹃ 新島 襄全 集一
﹄の 番号 であ る︒
﹃新 島襄 全集
﹄は
︑翻 刻を する 際︑ 漢字 は新 字体 に 改 めて い る が︑ 原史 料 の 表記
︑お よ び そ の体 裁 を 尊重 す る 立場
史 料 番 号 七 六
七 七
七 八
七 九 表 題
独 乙 国 ノ 公 学 校 学 則 第 一 独 乙 国 公 学 校 ノ 規 則 第 二 編
独 乙 国 公 学 校 ノ 規 則 第 三 編
普 魯 士 ノ 公 学 校
︵ 小 中 共
︶ の 規 則 成 立 時 期 一 八 七 二 年 九 月
一 八 七 二 年 九 月
一 八 七 二 年 九 月
記 載 な し 形 態
ペ ン
・ 洋 紙
・ 洋 綴 四 八 頁 ペ ン
・ 洋 紙
・ 洋 綴 三
〇 頁 ペ ン
・ 洋 紙
・ 洋 綴 四 八 頁 ペ ン
・ 洋 紙
・ 洋 綴 四
〇 頁
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
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をと り︑ 仮名 遣い は原 文の まま にし てい る︒ 片仮 名 と 平 仮名 の 混 用︑ 清濁 音 の 混合 も
︑原 則 と して そ の まま で あ る︒ 本稿 は︑ 翻刻 の表 記を 使用 し︑ 適宜
︑原 史料 を参 照し た︒ 原史 料は
︑同 志社 大学 のホ ーム ペー ジに リン クさ れて いる
﹁ 新島 遺品 庫⑺
﹂ で︑ 閲覧 でき るよ うに なっ てい る︒ 二・
二 調査 方法 調 査範 囲の 外国 地名 を採 録し
︑分 析を 行う
︒区 画を 表す
﹁国
﹂﹁ 邦
﹂﹁ 府﹂ や地 域地 形を 表す
﹁河 岸﹂ など を取 り去 った 部分 を一 単位 とし た︒
﹁ 仏郎 西寺 院﹂
﹁英 人﹂ のよ うに
︑区 画や 地域 地形 を表 す場 合で なく ても 地名 が含 まれ てい る 場 合 は 調 査 対 象 と し た︒ な お
︑﹁ 英 仏 語﹂ の よ う に︑ 二 つ の 地 名 が
︑﹁ 語
﹂﹁ 語 学
﹂な ど で 結 ば れ て い る 場 合 は︑
﹁ イギ リス
﹂と
﹁フ ラン ス﹂ に分 け ず
︑﹁ イ ギリ ス
・フ ラ ンス
﹂を 一 単 位と し た︒
﹁ 独 乙及 ヒ 羅 甸文 章
﹂の よ うに
︑接 続詞
﹁及 び﹂ が入 って いる 場合 は︑
﹁ ドイ ツ﹂ と﹁ ラテ ン﹂ をそ れぞ れ一 単位 とし た︒ 調 査範 囲に 見ら れた 外国 地名 表記 の種 類を 挙げ る︒ ここ では
︑文 字の 種類
︵文 字種
︶に 着目 する ため
︑一 旦ル ビや 傍線 の情 報は 考慮 しな いこ とと する
︒
︵ ア︶
片 仮名 表記
ケム ニッ ツ︑ ライ プチ ック
︵ イ︶
漢 字表 記
独乙
︑英 今 回の 調査 では
︑平 仮名 で外 国地 名を 表記 した もの が見 られ なか った ので
︑文 字種 とし ては
︑片 仮名 と漢 字の 二種 類と なっ た︒
︵ イ︶ の﹁ 英﹂ は﹁ 英吉 利﹂ の略 であ る︒ 佐伯
︵ 一九 八七
︶に 倣い
︑簡 略表 記と 呼ぶ
︒こ の簡 略表 記も 調査 対象 とす る︒ その 結果
︑イ ギリ スに は︑
﹁ 英人
﹂﹁ 英語
﹂﹁ 英
﹂な どが 含ま れる
︒
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﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
三
﹃ 理事 功 程
﹄に お け る外 国 地 名表 記 三・
一 傍線 とル ビの 使用
﹃理 事功 程﹄ は︑ 漢字 片仮 名交 じり 文で ある
︒外 国地 名を 表記 する 際は
︑文 字種 に関 わら ず︑ 右に 二重 線が 引か れ︑ その 地名 が最 初に 出て きた とき に︑ 漢字 で表 記さ れて いる 場合 は
︑ル ビ が左 に 付 さ れる
⑻
︒ル ビ が 付さ れ た 後は
︑も う一 度そ の地 名が 出て きて も省 略さ れる のが 一般 的で ある
︒以 下に 用例 を挙 げる
︒な お︑ 旧 字は 新 字 に改 め
︑
!
︑ノキ
など の合 字 は︑
﹁ コ ト﹂
﹁ト キ
﹂と す る︒
︵
︶の 最 初 の数 字 は︑
﹃ 理事 功 程﹄ の 巻︑ 次 は丁
︑表 を オ︑ 裏 をウ と 記 す︒
︵ 八・ 一・ ウ︶ は︑
﹃理 事功 程﹄ の巻 八︑ 一丁 の裏 にあ るこ とを 示す
︒
プ ロ イ セ ン
︵一
︶孛 漏生 国ニ 於テ 学校 ヲ支 配ス ル者 ハ政 庁ト 寺会 トニ シテ 其区 別ハ 左ノ 如シ
︵八
・一
・ウ
︶
︵二
︶孛 漏生 全国 内ノ 事務 ヲ司 ルモ ノヲ 内務 省ト 云フ
︵八
・三
・ウ
︶ た だ し︑ こ れ は本 文 の 場合 で あ る︒ 本文 に 組 み 込ま れ た 表中 の 地 名に は 二 重 傍線 は 引 か れ な い
︒表 の 項 目 に
﹁州 名﹂ など と︑ 地名 であ るこ とが わか るよ うに はっ きり 記さ れて いる から であ ろう
︒ま た︑ 目次 にお ける 見出 しに 含ま れ る外 国 地 名 にも 二 重 傍線
︑及 び ル ビが な い
︒本 文 中に あ る 見出 し の 中 の外 国 地 名も 同 様 であ る⑼
︒︵ 三︶ は 目次 で ある ので
︑﹁ 独 乙﹂ には 二重 傍線 が引 かれ ない
︒︵ 四︶ は本 文で ある が︑ 最初 の﹁ 独乙
﹂は 目次 の見 出し と同 じで ある ので
︑二 重傍 線は 引か れな いが
︑文 章中 の﹁ 独乙
﹂に は二 重傍 線が 引か れる
︒
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
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︵三
︶理 事功 程巻 之九 目次 独乙 国ノ ニ 第八
私 力ヲ 以テ 教育 ヲ進 ムル 事 其 一 私学 校 其 二
﹁ ホル トビ ルヅ ング スア ンス タル ト﹂ 其 三 幼児 養育 所
︵ 九・ 目次 一・ オ︶
︵四
︶理 事功 程巻 之九 独乙 国ノ 二 第八
私 力ヲ 以テ 教育 ヲ進 ムル 事 前巻 記載 スル 所ノ 規則 ハ独 乙合 盟各 邦ニ 於テ 公学 ニ行 ハル ヽモ ノナ リ︵ 九・ 一・ オ︶ 以 下︑ 本稿 と直 接関 わら ない が︑ 傍線 とル ビが 使用 され てい る語 につ いて 述べ る︒ 外 国人 名を 表記 する 際は
︑文 字種 に関 わら ず︑ 右に 一重 線が 引か れ︑ その 人名 が最 初に 出て きた とき に︑ ルビ が左 に付 され る︒ その 後は
︑大 抵省 略さ れる
︒
ルー テ ル
︵五
︶但 シ此 場ニ テ神 学ト 称ス ルハ 聖経 略史 ヲ教 ヘ且 生徒 ノ 業 ヲ 学ヒ シ 所 ノ路 得 氏著 述 ノ 問 答書 ヲ 解 明シ 其 上 稍高 尚ナ ル教 旨ヲ 教フ ルヲ 云ナ リ︵ 八・ 十三
・オ
︶
︵六
︶生 徒ヲ シテ 強ヒ テ入 校セ シム ルコ トハ 一千 五百 二十 四 年 ニ於 テ 路 得氏 ナ ル 者独 乙 国 中 教育 ノ 緊 要ナ ル コ トヲ 教示 セシ ヨリ 始マ リシ ト云 フ︵ 八・ 五一
・ウ
︶
― 301 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
そ の他
︑外 国語 を表 記す る際 に︑ 漢字 を用 い︑ 外国 語で の読 み方 を片 仮名 で左 にル ビで 付し た例 が見 られ る︒ これ らの 語は
︑そ の後
︑ル ビが 振ら れな いた め︑ 読む 側は 漢字 表記 で語 が表 す意 味を 理解 する こと とな る︒ 漢字 表記 は音 訳し た語
︑意 訳し た語 など があ る︒
プ ロテ ス タ ント
︵七
︶波 羅特 宗ヲ 奉ス ル独 乙国 中ニ 於テ ハ寺 院政 府ト 共ニ 力ヲ 合セ 小学 校ヲ 保監 ス︵ 八・ 一・ オ︶
コ ン ヒ ルマ チ ヲ ン
カ テ キ ス ム ス
︵八
︶生 徒卒 業ノ 前ニ アタ リ長 年誓 教ヲ ナス ノ用 意ヲ 為 サ シ ムル 為 メ 牧師 タ ル 者一 日 ニ 一 時間 ヲ 費 シ経 書問 答 ヲ教 授ス
︵八
・十 二・ ウ︶ また
︑外 国語 を片 仮名 で表 記し て︑ 一重 かぎ でく くり
︑外 国語 であ るこ とを 示し てい る例 もあ る︒
︵九
︶此 神 学 教授 ハ 通 例﹁ ヲス テ ル ン
﹂耶 蘇 ノ蘇 生セ シ日 ヲ記 念ス ル為 ノ祭 日ナ リ四 月ノ 上旬
ノ 前 ヨ リ 初 メ 六 周 或 ハ 三 个 月 又 ハ 三 个 月 以 上 ニ 至 ル
︵ 八・ 十二
・ウ
︶ ル ビは
︑外 国語 以外 にも 用い られ てい る︒ その 際は
︑ル ビは 右に 用い られ る︒ 漢字 で書 かれ た漢 語︑ ある いは 和語 に︑ 意味
︑あ るい は読 みを 片仮 名で 付し てい る︒ 巻十 一の
﹁伯 霊府 学校 事務 局直 轄ノ 平民 学校 寺院 附属 ノ学 校及 ヒ私 学校 普通 ノ学 科表
﹂に のみ 見ら れる
︒
ヌ フ コト
アム コト
ハシ ヌ ヒ ツ ギ ヌヒ
︵一
〇︶ 午後 ニ於 テ時 間ヲ 定 メ 一週 間 三 四日 中 六 時間 ヨ リ 八 時間 ヲ 以 テ
!
縫︑ 編織︑端 縫︑ 接縫
︑襦 袢
︑手 拭 等ニ
スク
符印 ヲ刺 コト 等ヲ 教フ
︵十 一・ 十一
・ウ
︶ 三・
二 外国 地名 の出 現頻 度 本 稿に おい て︑ 外国 地名 は︑ 異な り 七 二 例︑ 延べ 四 二 三例 見 ら れた
︒︿ 表 一﹀ は︑ 外 国 地名 の 出 現頻 度 で ある
︒外
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 302 ―
︿ 表 一
﹀ 外 国 地 名 の 出 現 頻 度 頻 度 数 72 外 国 地 名 の 例 八 九 一 ド イ ツ 八 六 一 プ ロ イ セ ン 三 七 一 ベ ル リ ン 二 八 一 ザ ク セ ン 二 二 一 ラ テ ン 二
〇 一 フ ラ ン ス 一 九 一 ヴ ァ ル デ ン ブ ル ク 一
〇 一 バ イ エ ル ン 八
一 ブ ラ ウ ン シ ュ ヴ ァ イ ク 七
一 ブ ラ ン デ ン ブ ル ク 五
一 イ ギ リ ス 四
四 ヴ ェ ス ト フ ァ ー レ ン
︑ シ レ ジ ア
︑ ギ リ シ ア
︑ ユ ダ ヤ 三
四 バ ー デ ン
︑ ヨ ー ロ ッ パ
︑ イ ギ リ ス
・ フ ラ ン ス
︑ ロ ー マ 二 十 一 グ リ ン マ
︑ ケ ム ニ ッ ツ
︑ ハ ン ブ ル ク
︑ ポ ー ゼ ン
︑ ポ メ ラ ニ ア
︑ ラ イ プ チ ヒ
︑ ラ イ ン
︑ エ ジ プ ト 他 一 四 二 シ ュ ト ゥ ッ ト ガ ル ト
︑ ポ ー ラ ン ド
︑ ケ ー ペ ニ ク
︑ ホ ー エ ン ツ ォ レ ル ン
︑ バ ベ ル
︑ ヨ ル ダ ン 他
― 303 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
国地 名は 現在 の一 般的 と思 われ る表 記で 示し てい る︒ 新島 草稿
﹁理 事功 程﹂ では
︑異 なり 五九 例︑ 延べ 三六 四例 であ った
︒﹃ 理 事功 程﹄ の方 が︑ 異な り︑ 延べ 共に 外国 地名 は多 く出 現す る︒ 異な りに おい て︑
﹃理 事功 程﹄ の外 国地 名が 多い のは
︑巻 十 一 の﹁ 伯 霊 府 学 校事 務 局 直轄 ノ 平 民学 校 寺 院 附属 ノ 学 校及 ヒ 私 学校 普 通 ノ 学科 表
﹂の 後 に
︑﹁ 附 録聖 経 書中
︑学 校ノ 等 級ニ 由リ テ学 フヘ キ 条款
﹂ があ るた めで ある
︒こ れは
︑﹁ 下 等ニ 於テ 教授 スル 聖経 歴史 旧約 書ノ 中﹂
﹁新 約書 ノ中
﹂︑
﹁ 中等 ニ於 テ﹂
﹁ 旧約 書ノ 中﹂
﹁新 約書 ノ中
﹂︑
﹁ 上等 ニ於 テ﹂
﹁ 旧約 書ノ 中﹂
﹁新 約書 ノ中
﹂と
︑等 級毎 にキ リス ト教 の歴 史や 聖書 につ いて 学ぶ べき 項目 が挙 げら れた もの であ る︒ 巻十 一の
﹁伯 霊府 学校 事務 局直 轄ノ 平民 学校 寺院 附属 ノ学 校及 ヒ私 学校 普通 ノ学 科表
﹂は 新島 の草 稿に はな く︑ ベル リン で手 に入 れた 新聞 を資 料と して 作成 した もの であ る︒ 巻の 最後 に︑
﹁ 右一 千八 百七 十二 年五 月五 日伯 霊府 新聞 紙 中 ニ見 ユ
﹂と あ るの で
︑ド イ ツを 訪 れ た 際︑ 手に 入 れ た資 料 を もと にし て作 成し たも ので あ ろ う︒ 田中 不 二 麿が ベ ル リ ンに 到 着 した の は︑ 一 八七 二 年 八 月五 日⑽
︑新 島 襄は 翌 日 六日
⑾
であ る︒
︿表 一﹀ を見 ると
︑最 も多 く出 現し たの は︑ ドイ ツの 八九 例︑ 次い で︑ プロ イセ ンの 八六 例と いう 順で あっ た︒ 異 なり 七二 例の うち
︑頻 度が 二︑ ある いは 一の 地名 が五 三例 あり
︑全 体の 七三
・六
%を 占め る︒ 三・
三 外国 地名 の表 記に おけ る文 字種 二
・二 で分 類し た︑ 表記 の種 類︑ その 組み 合わ せに つい て見 てみ る︒ a︵ ア︶ 片仮 名表 記の み
スツ ット ガル ト︑ グリ ンマ b︵ ア・ イ︶ 片仮 名表 記と
︑漢 字表 記
ライ ン・ 萊尼
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 304 ―
︿ 表 二
﹀ 外 国 地 名 の 表 記 の 組 み 合 わ せ 頻・ 組 a b c d 計 外 国 地 名 例
︵ 出 現 形
︶ 一 二 一
二
〇 一 四 二 リ ー グ ニ ッ ツ
︵ 一
︶︑ ス ツ ッ ト ガ ル ト
︵ 一
︶︑ 麻 沙 朱 色
︵ 一
︶︑ 窩 徳 禄
︵ 一
︶ 二 四 一 六
十 一 ケ ム ニ ッ ツ
︵ 二
︶︑ ラ イ プ チ ッ ク
︵ 二
︶︑ 萊 尼
︵ 一
︶・ ラ イ ン
︵ 一
︶︑ 漢 堡
︵ 二
︶︑ 波 森
︵ 二
︶ 三
三 一 四 巴 敦
︵ 三
︶︑ 欧 州
︵ 二
︶・ 欧 羅 巴
︵ 一
︶︑ 英 仏
︵ 二
︶・ 仏 英
︵ 一
︶︑ 羅 馬
︵ 三
︶ 四
一 三
四 惟 士 発 里
︵ 四
⑿
︶︑ 希 臘
︵ 四
︶︑ 猶 太
︵ 四
︶︑ 細 勒 西
︵ 二
︶・ 細 勒 西 亜
︵ 一
︶・ シ レ ジ ア
︵ 一
︶ 五
一
一 英 語
︵ 三
︶・ 英 人
︵ 一
︶・ 英
︵ 一
︶ 七
一
一 班 丁 堡
︵ 七
︶ 八
一
一 北 侖 瑞 克
︵ 八
︶ 一
〇
一
一 巴 威 里 亜
︵ 九
︶・ 拜 易 尼
︵ 一
︶ 一 九
一
一 瓦 敦 堡
︵ 一 九
︶ 二
〇
一
一 仏 郎 西 寺 院
︵ 一
︶・ フ レ ン チ
︑ 加 特 力
︵ 一
︶・ 仏 語
︵ 一 八
︶ 二 二
一
一 羅 甸
︵ 二 二
︶ 二 八
一
一 撒 遜
︵ 二 七
︶・ 撒
︵ 一
︶ 三 七
一
一 伯 霊
︵ 三 七
︶ 八 六
一
一 孛 漏 生
︵ 六 二
︶・ 孛 国
︵ 二 三
︶・ 孛 王
︵ 一
︶ 八 九
一
一 独 乙
︵ 八 九
︶ 計 二 五 三 四 二 二 七 二
― 305 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
c︵ イ︶ 漢字 表記 のみ
独乙
︑孛 漏生
・孛 d︵ イ︶ 簡略 表記 のみ で二 カ国 以上 を表 した もの
英仏 語
︿表 二﹀ は︑ 異な り外 国地 名七 二例 を右 記の aか らd に 分 類し
︑延 べ 出 現頻 度 の 低い も の か ら昇 順 で その 数 を 示し たも ので ある
︒外 国地 名例 には
︑出 現し た語 形で 掲載 し︑ 出現 数を
︵
︶で 示し た︒ 表記 にバ リエ ーシ ョン があ る場 合は
︑﹁
・
﹂で 結ん で列 挙し た︒
︿表 二﹀ を見 ると
︑a の片 仮名 表記 のみ の 地 名も 二 五 例見 ら れ︑ す べて の 地 名 の三 四
・七
%を 占 める が
︑最 も 多い のは
︑c の漢 字表 記の みで
︑d の簡 略表 記の みで 二カ 国以 上を 表し たも のの 二例 と合 わせ ると
︑四 四例 とな り︑ 全体 の六 一・ 一% を占 める
︒新 島草 稿﹁ 理事 功程
﹂で は︑ 出現 した 異な り地 名五 九例 のう ち︑ 五一 例︑ 全体 の八 六・ 四% が片 仮名 のみ の表 記で あっ たこ とと 対照 的で ある
︒地 名表 記を 延べ で見 ると
︑四 二三 例の うち
︑a
︵ア
︶片 仮名 表記 の みで あ る 片 仮名 表 記 の地 名 は︑ 頻 度一 の 地 名 が二 一 例︑ 頻 度二 の 地 名 が 四 例 で 計 八 例
︑b
︵ア
・イ
︶片 仮 名 表 記 と︑ 漢字 表記 であ る地 名に 三例 の合 計三 二例 のみ で︑ 全体 の七
・六
%に 過ぎ ない
︒残 りの 三九 一例
︵九 二・ 四%
︶は すべ て漢 字表 記さ れて いる
︒﹃ 理 事功 程﹄ にお い て︑ 外 国地 名 は 漢字 表 記 され
︑右 に 二 重 線を 引 き︑ 最 初に 出 て きた とき に左 側に ルビ を振 って 読み を記 すの が原 則で ある と言 える
︒ 三・
四 表記 のバ リエ ーシ ョン 新 島草 稿﹁ 理事 功程
﹂と 異な り︑ 文部 省﹃ 理事 功程
﹄は
︑表 記の バリ エー ショ ンが ほと んど ない
︒外 国地 名表 記に つい て︑ かな り整 えら れて いる とい える
︒い くつ か例 外的 に複 数の 表記 法や 表記 のバ リエ ーシ ョン が見 られ る地 名が
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 306 ―
ある ので
︑そ れに つい て述 べる
︒文 字種 か ら 見 た複 数 の 表記 法
︑漢 字 表記 の ゆ れ︵ 簡 略表 記
︑語 形 の違 い
︶︑ ル ビの ゆれ とい う三 つの 観点 か ら 記 述す る
︒ま ず︑ 複 数の 表 記 法を 持 つ︑
﹁ b︵ ア・ イ︶ 片 仮名 表 記 と︑ 漢字 表 記﹂ で ある 三つ の地 名︵ フラ ンス
︑シ レジ ア︑ ライ ン︶ につ いて 述べ る︒
﹁フ ラン ス﹂ は︑
﹁仏 郎西 寺院
﹂﹁ フ レ ン チ︑ 加特 力
﹂が 一 例ず つ
︑簡 略 表記 を 用 い た﹁ 仏語
﹂が 一 八 例の 合 計 二〇 例で ある
︒﹁ フ レン チ﹂ は﹁ フラ ンス の﹂
﹁フ ラン ス 式 の﹂ の 意味 な の で︑ 片仮 名 表 記で は あ る がや や 例 外的 で あ る︒ 新島 草稿 にお い て は︑
﹁ 仏郎 西 寺 会﹂
﹁フ レ ン チカ ト リ キ﹂ が一 例 ず つ︑
﹁ 仏国
﹂六 例
︑﹁ 仏 語﹂ 二例
︑﹁ 仏 学﹂ 一 例で 同様 の表 記で ある
︒草 稿の 影響 があ るの かも しれ ない
︒
﹁シ レジ ア﹂ は︑ 延べ で四 例で ある のに
︑用 例を 見る と︑ 漢字 表記
︑ル ビと 片仮 名表 記が 少し ずつ 異な る︒
ポ ン メ ル ン
シ レ シ エ ン
︵一 一︶ 破墨 隣 細勒 西等 ノ諸 州ニ テハ 事務 局中 ノ官 員一 切ノ 事務 ヲ牧 師ニ 任セ テ商 量議 定セ シム ル︵ 八・ 二・ オ︶
︵一 二︶ 孛漏 生国 細勒 西亜 州ニ 於テ ハ区 内ノ 牧師 及ヒ 学校 ノ 教 官父 母 ヲ 勧奨 シ 子 女ヲ シ テ 日 々上 校 時 刻等 ニ 注 意セ シム
︵八
・三 七・ ウ︶
シ レ シ エ ン
︵一 三︶ 州名
細 勒西
︵八
・四 七・ ウ︶
︵一 四︶ 孛漏 生ニ 於テ ハ予 備校 大ニ 衰微 セシ カシ レシ ヤ州 ノ知 事ス タイ ナウ
其 州内 ノ 地名
ニ 於テ 予備 学校 ヲ 設 クル コ ト ヲ企 テタ リ︵ 九・ 三二
・ウ
︶ 漢 字表 記に は︑
﹁ 細勒 西
﹂が 二 例︑
﹁ 細勒 西 亜﹂ が 一例
︑ル ビ に は﹁ シレ シ エ ン﹂ と ある が
︑︵ 一 四︶ の巻 九 に おい ては
︑片 仮名 で﹁ シレ シヤ
﹂と なっ てい る︒ 理由 はよ くわ から ない が︑ 語形 が定 まり にく かっ た地 名な のか もし れな い︒ 新 島草 稿 で は﹁ シ レシ ヤ
﹂が 五 例︑
﹁シ レ ジ ヤ﹂ が 一 例 出 現 す る︒
︵ 一 一︶ の 用 例 を 新 島 は︑
﹁ シ レ ジ ヤ﹂ と し︑
― 307 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
︵ 一二
︶か ら︵ 一四
︶の 用例 は﹁ シレ シヤ
﹂と して いる
︒ 最 後に
﹁ラ イン
﹂の 用例 を挙 げる
︒
ラ イ ン
︵一 五︶ 孛漏 生国 中萊 尼河 岸ノ ニュ ーウ ィー ドニ 於テ ハ︵ 八・ 二四
・オ
︶
︵一 六︶ 州名
ラ イン 州︵ 八・ 四七
・ウ
︶ 上 野︵ 一九 八一
︶は
︑カ タカ ナは
︑山 や川 など 狭い 範囲 であ る地 勢名
︑あ るい は新 奇な 地名 に限 られ るこ とが 多い と述 べて いる が︑
﹃ 理事 功程
﹄で は︑
︵一 五︶ の河 岸 の ほ うが 漢 字 表記 さ れ︑
︵ 一六
︶の 表 で 示 され た 州 名の ほ う が片 仮名 表記 され てい る︒ 新島 草稿 では
︑三 例出 現し
︑す べて 片仮 名表 記で ある
︒ 次 に︑ c︵ イ︶ 漢字 表記 のみ で表 され てい る地 名で その 表記 にバ リエ ーシ ョン を持 つ四 つの 地名
︵プ ロイ セン
︑ザ クセ ン︑ ヨー ロッ パ︑ バイ エル ン︶ につ いて 述べ る︒ まず
︑﹁ プ ロイ セン
﹂で ある が︑ 八六 例中
︑﹁ 孛漏 生﹂ が六 二例 で最 も多 い︒ 巻八
・巻 九で は︑ すべ て﹁ 孛漏 生﹂ であ り︑ 簡略 表記 は用 いら れな い︒ 巻十 にな ると
︑簡 略表 記の ほう が多 くな り︑
﹁ 孛国
﹂が 二三 例︑ 孛王 が一 例出 現す る︒ 巻十
・十 一に おい て︑
﹁孛 漏生
﹂は 三例 のみ の出 現と なる
︒
﹁ザ クセ ン﹂ は二 八例 出現 し︑
﹁撒 遜﹂ が二 七例
︑﹁ 撒
﹂が 一例 であ る︒
﹁撒
﹂は
︑﹁ 撒 可堡
﹂︵ 八・ 三七
・ウ
︶と して 出現 し︑
﹁ サク セコ ボル ク
﹂と ル ビが 左 に 振ら れ て い る︒ これ は
︑パ テ ィソ ン 報 告 書の
Saxe-Coburg
を 訳し た も ので あり
︑新 島草 稿で も﹁ サク セコ ボ ル グ﹂ と なっ て い る︒ 本稿 で は﹁ ザ クセ ン
﹂と
﹁コ ー ブ ルグ
﹂に 分 け てい る た め︑
﹁ 撒﹂ の表 記が 現わ れた ので ある
︒
﹁ヨ ーロ ッパ
﹂は 巻十 一に 三例 見 ら れ る︒
﹁欧 州
﹂が 二 例︑
﹁欧 羅 巴﹂ が 一例 で あ る︒ 簡 略表 記 が どの よ う に︑ どの ぐら いの 頻度 で用 いら れて いた かは 今後 の課 題で ある
︒
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 308 ―
﹁バ イエ ル ン﹂ 一
〇例 は
︑﹁ 巴 威里 亜
﹂が 九 例︑
﹁拜 易 尼﹂ が 一例 で あ る︒
﹁ 拜易 尼
︵十 一・ 三 九・ オ︶
﹂は 巻 十 一の 附録 の後 に出 てき た もの で あ る︒
﹁ 巴威 里 亜﹂ は﹁ バ ワリ ヤ
﹂︑
﹁ 拜易 尼
﹂は
﹁バ イ エ ルン
﹂と ル ビ が付 さ れ る︒ これ は︑
﹁ バイ エル ン﹂ を指 す地 名を 日本 語で 表す とき に使 用し た 原 語が ド イ ツ語 か 他 の原 語 か と いう こ と と関 係 し てい る︒ 新島 草稿 では
︑す べて
﹁バ ワリ ヤ﹂ であ る
︒外 国 地 名を そ の 国の 言 語︑ そ の国 の 発 音 を表 記 す るか
︑あ る い は︑ 日本 にと って 馴染 みの ある 国の 言語
︑発 音で 表記 する か︑ ある いは すで に慣 用的 に用 いら れて いる 表記 を使 用す るか によ って
︑こ のよ うな 違い が出 てく る
︒現 在 で は︑
﹁バ イ エ ルン
﹂が 一 般 的だ が
︑明 治 初 期は ラ テ ン語
︑あ る い は英 語と 思わ れる
﹁バ ワリ ヤ﹂ のほ うを よ く 使 用し て い たよ う で ある
︒い つ か ら︑
﹁ バワ リ ヤ﹂ か ら﹁ バイ エ ル ン﹂ に変 わっ たの か︑ ドイ ツの 地名 をド イツ 語︑ そし てド イツ 語の 発音 で表 記す るよ うに なっ たの は︑ いつ から なの か︑ 興味 深い 問題 であ る︒
﹁バ ワリ ヤ﹂ と﹁ バイ エル ン﹂ は漢 字表 記自 体も 異な っ た 地名 で あ るが
︑漢 字 表 記は 同 じ で ルビ の み 異な る 地 名が 二例
︵﹁ 惟 士発 里﹂
﹁北 侖瑞 克﹂
︶ ある
︒最 後に ルビ のバ リエ ーシ ョン につ いて 述べ る︒
﹁ヴ ェス トフ ァー レン
﹂は
﹁惟 士発 里﹂ と表 記さ れ︑ 巻八 にの み四 例出 現す る︒
ウ エ ス トフ ァ ー レン
︵一 七︶ 惟士 発里 州内 大区 ノ知 事ヨ リ地 方ノ 督学 ニ出 ス所 ノ年 報記 載ノ 法式 左ノ 如シ
︵八
・九
・オ
︶
ウ ヱ ス トフ ァ リ ヤ
︵一 八︶ 州名
惟 士発 里︵ 八・ 四七
・ウ
︶
︵一 九︶ 惟士 発里 ノ学 校ニ 於テ ハ一 級ノ 生徒 ノ数 屢百 五十 人ニ 至リ
︵八
・四 九・ オ︶
︵二
〇︶ 瓦敦 堡邦 ニ於 テハ 一千 六百 四十 九年 惟士 発里 ニ 於 テ和 ヲ 議 セシ ヨ リ 国王 ノ 許 可 ヲ以 テ 強 迫法 ヲ 設 タリ
︵八
・五 二・ オ︶
― 309 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
巻 八の 始め のほ うの 九丁 では
︑︵ 一 七︶
﹁ウ ェス トフ ァー レン
﹂と ルビ が振 って あっ たが
︑巻 の終 わり のほ うの 四七 丁に 見ら れる
︵一 八︶ は表 の用 例で ある が︑ そこ での ルビ は﹁ ウヱ
スト フ ァ リ ヤ﹂ であ り
︑︵ 一 九︶
︵二
〇
︶で は ルビ はな い︒ 新島 草稿 では 五例 出現 し︑
﹁ ウェ スト ファ リヤ
﹂と 表記 され る︒ も う一 例は
︑﹁ ブ ラウ ンシ ュヴ ァイ ク﹂ で﹁ 北侖 瑞克
﹂と 表記 され
︑八 例出 現す る︒
ブ ロ ン ス ワ イ キ
︵二 一︶ 但シ 此類 ノ所 有品 ハ都 テ政 庁ニ 取リ 北侖 瑞克 ノ如 キハ 別ニ 一局 ヲ設 ケ其 歳入 ヲ管 理セ シム
︵八
・一 八・ オ︶
︵二 二︶ 北侖 瑞克 ニ於 テハ 一人 ヨリ 幾何 ヲ納 シム
︵八
・二 二・ ウ︶
︵二 三︶ 北侖 瑞克 ニ於 テハ 時ト シテ 寺会 ヨリ 教官 ヲシ テ事 務局 商議 ニ加 フル ヲ許 フコ トナ リ︵ 八・ 二七
・ウ
︶
︵二 四︶ 北侖 瑞克 ニ於 テハ 一千 八百 五十 一年 依頼 学事 専任 局ヲ 設ケ シヨ リ学 則ヲ 固守 スル 為︵ 八・ 二八
・オ
︶
︵二 五︶ 北侖 瑞克 ニ於 ケル 学事 専任 ノ官 員ハ 市中 議員 ノ頭 領︑ 老練 ノ牧 師︑ 邑会 ノ事 務官
︵八
・二 八・ ウ︶
︵二 六︶ 北侖 瑞克 ニ於 テハ 九歳 以上 ノ童 幼ヲ 製造 所ニ 入レ 使役 ニ就 カシ ム︵ 八・ 四六
・ウ
︶
︵二 七︶ 北侖 瑞克 府ノ 師範 学校 ニ於 テハ 生徒 卒業 スト 雖モ 直ニ 退校 ヲ許 サス
︵九
・二 四・ ウ︶
ブ ロ ン シ ワ イ ク
サ ク ソ ン
︵二 八︶ 但シ 諸州 同シ カラ ス即 チ北 侖瑞 克及 ヒ撒 遜ニ 於テ ハ︵ 十一
・三 八・ ウ︶
︵二 一︶ では
﹁ブ ロン スワ イキ
﹂と ルビ が振 られ
︑以 後︑ ルビ はな い︒
︵二 八︶ は先 述の
﹁拜 易尼
﹂と 同じ く︑ 巻十 一の 附録 の後 の用 例で
﹁ブ ロン シワ イク
﹂と ルビ が振 られ る︒ 新島 草稿 では
︑﹁ ブ ロン スウ ッキ
﹂︑
﹁ ブロ ンス ウィ キ﹂ 等 と記 さ れ る︒ パ ティ ソ ン 報告 書 で は
Brunswick
とあ り
︑ド イ ツ語 で は
Brausschweig
と 綴 ら れ る
︒先 ほ ど の
﹁バ イ エル ン﹂ の例 と合 わせ て考 える と︑ 巻十 一の
﹁ブ ロン シワ イク
﹂は ドイ ツ語 を映 して いる とも 考え られ る︒ 巻十 一の
﹁ 伯霊 府学 校事 務局 直轄 ノ平 民学 校寺 院附 属ノ 学校 及ヒ 私 学 校普 通 ノ 学科 表
﹂は ベ ルリ ン で 手 に入 れ た 新聞 を 資 料と
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 310 ―
して いる ので
︑少 なか らず ドイ ツ語 の影 響を 受け てい るの かも しれ ない が︑ 理由 はは っき り分 から ない
︒そ の他
︑附
サ ク ソ ン
メ ク レン ブ ル グ
録 以 降 で ド イ ツ の 地 名 と し て 出 現 す る の は︑
﹁独 乙
﹂﹁ 撒 遜﹂
﹁墨 林堡
﹂﹁ 伯 霊
﹂で あ る︒ ル ビ が 振 ら れ て い る の は︑
﹁ 撒遜
﹂と
﹁墨 林堡
﹂で ある が︑
﹁サ クソ ン
﹂は 附 録 でも 固 定 した 語 形 であ る
︒﹁ メ ク レン ブ ル グ﹂ は︑ 一度 し か 出現 しな い地 名で ある が︑
﹁
│ブ ルグ
﹂は ここ に し か ない 語 形 で︑ 他の 地 名 は︑
﹁ウ ォ ル デ ンボ ル ク﹂
﹁ ハン ボ ル ク﹂ など すべ て﹁
│ボ ルク
﹂で ある
︒ 三・
五 新島 草稿
﹁理 事功 程﹂ との 比較 外 国地 名を 表記 する 際︑ 使用 する 文字 種 は︑
﹃ 理 事功 程
﹄と 新 島草 稿 に おい て
︑漢 字 を 用い る か︑ 片 仮名 を 用 いる かと いう 大き な違 いが ある こと がわ かっ た︒ その 他 の 違 いを 調 べ るた め に︑ 新 島草 稿 に お ける 片 仮 名表 記 と︑
﹃ 理事 功程
﹄に おけ るル ビ︑ 及び
︑片 仮名 表記 地名 を中 心に 比較 する
︒︿ 表 三﹀ は︑
﹃理 事功 程﹄ にお いて 三回 以上 出現 する 外国 地名 を頻 度の 高い もの から 降順 に並 べた もの であ る︒ 上段 は﹃ 理事 功程
﹄に おけ る外 国地 名表 記︑ 中段 は︑ それ に付 され たル ビを
︻
︼で くく って 示し た︒ 下段 に新 島草 稿に おけ る外 国地 名表 記を
﹇
﹈の 中に 記し た︒ 数字 は出 現 頻度 を 示 す︒ な お︑ 新島 草 稿 の外 国 地 名表 記 は バ リエ ー シ ョン が 多 く 見ら れ る ので そ の 別 に 示 し た
︒但 し
︑脱 字 と︑ 拗音 表記 にお ける 大文 字︑ 小文 字の 区別 は行 わな かっ た︒ なお
︑頻 度二 以下 の地 名は
︿表 三﹀ の後 にま とめ て付 す︒
― 311 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
︿ 表 三
﹀
﹃ 理 事 功 程
﹄ 表 記
﹃ 理 事 功 程
﹄ ル ビ
新 島 草 稿
﹁ 理 事 功 程
﹂ 外 国 地 名 表 記 独 乙 89
﹇ 独 乙 45
﹈ 孛 漏 生 62
・ 孛 国 23
・ 孛 王 1
︻ プ ロ イ セ ン
︼
﹇ プ ロ イ セ ン 73
・ プ ロ シ ヤ 16
・ 普 魯 士 1
﹈ 伯 霊 37
﹇ ベ ル リ ン 33
﹈ 撒 遜 27
・ 撒 1
︻ サ ク ソ ン
/ サ ク セ
︼
﹇ サ ク ソ ン 20
・ サ ク ソ ニ ー 9
・ サ ク セ 1
﹈ 羅 甸 22
﹇ ラ テ ン 8
﹈ 仏 郎 西 1
・ フ レ ン チ 1
・ 仏 18
﹇ 仏 郎 西 1
・ フ レ ン チ 1
・ 仏 9
﹈ 瓦 敦 堡 19
︻ ウ ォ ル デ ン ボ ル ク
︼
﹇ ウ ォ ル テ ン ボ ル グ 13
・ ウ ォ ル テ ン ボ ル ク 2
﹈ 巴 威 里 亜 9
・ 拜 易 尼 1
︻ バ ワ リ ヤ
/ バ イ エ ル ン
︼
﹇ バ ワ リ ヤ 10
﹈ 北 侖 瑞 克 8
︻ ブ ロ ン ス ワ イ キ
/ ブ ロ ン シ ワ イ ク
︼
﹇ ブ ロ ン ス ウ ッ キ 2
・ ブ ロ ン ス ウ ィ キ 3
・ プ ロ ン ス ウ ッ キ 1
・ プ ロ ン ス ウ ィ キ 1
﹈ 班 丁 堡 7
︻ ブ ラ ン デ ン ボ ル ク
︼
﹇ ブ ラ ン デ ン ボ ル グ 6
・ プ ラ ン テ ン ボ ル グ 1
・ ブ ラ ン デ ン ボ ル ヒ 1
・ ブ ラ ン テ ン ボ ル グ 1
﹈ 英 語 3
・ 英 人 1
・ 英 1
﹇ 英 国 7
・ 英 2
・ 英 人 2
・ 英 語 2
﹈ 惟 士 発 里 4
︻ ウ ェ ス ト フ ァ ー レ ン
/ ウヱ
ス ト フ ァ リ ヤ
︼
﹇ ウ ェ ス ト フ ァ リ ヤ 5
﹈ 希 臘
︵ 語
/ 史
︶ 4
﹇ グ リ ー キ
︵ 語
︶ 4
﹈ 猶 太 4
︻ ユ ー デ ン
︼
﹇ ユ ー デ ン 2
・ ジ ュ デ ヤ 2
﹈
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 312 ―
﹃ 理事 功程
﹄に おけ る頻 度二 の外 国地 名表 記 埃 及2
︻エ ギプ ト︼
﹇ なし
﹈︑ 耶 路撒 冷 2︻ セル サ レ ム⒀
︼﹇ な し
﹈︑ 迦 南2
︻カ ナ ン︼
﹇ なし
﹈︑ グ リ ンマ 2﹇ グ リン マ2
﹈ケ ムニ ッツ 2﹇ ケム ニツ 2﹈
︑ 漢堡 2︻ ハン ボル ク︼
﹇ハ ンボ ルク 2・ ハン ボル グ1
﹈︑ 波 森2
︻ポ ーセ ン︼
﹇ポ ー ゼン 2・ ポ ー セン 1﹈
︑ ボヒ ミ ヤ ン 1・ ボ ヒ ー ミ ヤ ン 1﹇ ボ ヒ ミ ヤ ン1
・ボ ヒ ー ミ ヤ ン 1﹈
︑ 破 墨 隣2
︻ポ ン メ ル ン︼
﹇ ポメ ラニ ヤ3
﹈︑ ライ プチ ック 2﹇ ライ ブジ ック 1・ ライ プシ ク1
﹈︑ 萊 尼1
・ラ イン 1︻ ライ ン︼
﹇デ ーラ イン 1・ ライ ン1
﹈
﹃ 理事 功程
﹄に おけ る頻 度一 の外 国地 名表 記 合 衆国
﹇合 衆国 1・ ア メリ カ 1﹈
︑ アル ト
︑ド ル フ﹇ アル ト ド ルフ 2﹈
︑ 窩徳 禄
︻ウ ァ ー トル ロ ー︼
﹇ ウァ ト ル ロー 1﹈ 惟士 発得
︻ウ イス ハー テ ン︼
﹇な し⒁
﹈︑ 耶 利哥
︻エ リ ホ ス︼
﹇な し
﹈︑ 加 印︻ カ イン
︼﹇ な し﹈
︑ 迦百 農
︻カ ペ ルノ ー ム︼
﹇な し
﹈︑ ケ ー ペニ ク
﹇ケ ー ペニ ク 1﹈
︑可 堡
︻コ ボ ルク
︼﹇ コ ボ ル グ1
﹈︑ 撒 馬利 亜
︻サ マ リヤ
︼﹇ な し﹈
︑ シュ ワ ド バ ク﹇ シ ュ ワ ド バ グ 1・ シ ュ ワ ド バ ク 1﹈
︑ ス タ イ ナ ウ﹇ ス タ イ ナ ウ 1﹈
︑ス ツ ッ ト ガ ル ト
﹇ス タ ッ ト ガ ル ド
細 勒 西 4
・ 細 勒 西 亜 1
・ シ レ ジ ア 1
︻ シ レ シ エ ン
︼
﹇ シ レ シ ヤ 5
・ シ レ ジ ヤ 1
﹈ 巴 敦 3
︻ バ ー デ ン
︼
﹇ バ ー デ ン 3
﹈ 欧 州 2
・ 欧 羅 巴 1
﹇ な し
﹈ 英 仏 2
・ 仏 英 1
﹇ 英 仏 3
﹈ 羅 馬 3
﹇ な し
﹈
― 313 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
2﹈
︑ ダル ムス スタ ット
﹇ダ ー ム ス タッ ト 1﹈
︑撒 加 利 亜︻ ツァ ハ リ アス
︼﹇ な し
﹈︑ ツ ァル パ ー ト﹇ なし
﹈︑ デ ィ ルシ ャウ
﹇デ ィル シャ ウ1
﹈︑ 拿 因︻ ナイ ン︼
﹇な し﹈
︑ ニュ ーウ ィ ード
﹇ニ ュ ー ウィ ー ド 1﹈
︑ハ イ デ ルベ ル ヒ⒂
﹇ ハ イデ ル ベル ヒ 1﹈
︑ 漢那 華
︻ハ ノ ーブ ル
︼﹇ ハ ノ ー ワ ル1
・ハ ノ ー ウ ル 1﹈
︑ 罷 百 爾︻ バ ー ベ ル︼
﹇ な し﹈
︑巴 里⒃
﹇巴 利 西 1﹈
︑ ハル レ﹇ ハル レ1
﹈︑ パ レス チ ナ
﹇な し﹈
︑ フラ ン ク ホル ト
︑ア ム マイ ン
﹇フ ラ ン クフ ル ト オ ンデ
マ イ ン1
・フ ラ ン ク ホル ト 1・ フラ ン ク ボル ク⒄
1﹈
︑ブ レ ー メ ン﹇ ブ レ メ ン 1・ ブ レ ー メ ン1
﹈︑ ヘ ッ セ ン
﹇ヘ ッ シ 1﹈
︑
!
吐"
︻ベ テス ダ︼
﹇ なし
﹈︑ ヘル ツォ クツ ーム
︑ナ ツサ ウ﹇ なし
﹈︑ ホ ーヘ ンソ ルレ ン﹇ ホー ヘン ゾル レル ン1
﹈︑ 波蘭
︵ 語︶
﹇な し﹈
︑ 麻沙 朱色
︻マ スザ チュ ーセ ッツ
︼﹇ マス サチ ュセ ッツ 1﹈
︑ マリ ーン ワル ド﹇ マリ ーン ウェ ルダ 1﹈
︑墨 林 堡︻ メク レ ン ブ ルグ
︼﹇ な し﹈
︑ モ レ ー ウ ィ ヤ ン﹇ モ レ ー ウ ィ ヤ ン 1﹈ 睚 魯︻ ヤ イ ル ー ス︼
﹇ な し﹈
︑約 但
︻ヨ ル ダ ン︼
﹇ なし
﹈︑ 羅甸 仏︵ 語︶
﹇ なし
﹈︑ リー グニ ッツ
﹇リ ーグ ニツ 1﹈
︑ 魯﹇ なし
﹈︑ ワイ セン
︑フ ェル ス﹇ ワイ セン フェ ルス 1﹈
﹃理 事功 程﹄ と新 島草 稿に おけ る地 名表 記の 違い は︑ 文字 種だ けで はな く︑ 語形 にも 多々 見ら れる
︒﹃ 理事 功程
﹄で は地 名は 漢字 表記 され るの で︑ 最初 に付 さ れ た ルビ の 比 較と な る が︑ 新島 草 稿 に おい て
︑﹁ プ ロイ セ ン﹂ と﹁ プ ロシ ヤ﹂ の両 形が 見ら れる が︑
﹃ 理事 功 程﹄ で は︑ ルビ は
﹁プ ロ イセ ン
﹂で あ る︒ どの よ う に して
︑代 表 形 が定 ま っ たの かは
︑他 の文 献等 を調 べる など 詳細 に検 討す る必 要が ある が︑ その 事実 は興 味深 い︒ 新島 草稿 にお いて ゆれ がな い地 名で あっ ても
︑他 の語 形に なっ てい る も の もあ る
︒例 え ば︑ 新島 草 稿 では
﹁ポ メ ラ ニ ヤ﹂ で英 語 由 来で あ る が︑
﹃理 事功 程﹄ では
︑﹁ 破 墨隣
︵ポ ンメ ルン
︶﹂ とド イツ 語由 来と なっ てい る︒ 今回 の調 査は
︑﹃ 理 事功 程﹄ 全十 五巻 のう ち︑
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 314 ―
四巻 のみ であ るの で︑ 漢字 に当 てら れた ルビ は異 なる もの もあ ると 思わ れる
︒詳 細は 稿を 改め る︒ 四
お わ り に 本
稿で は︑
﹃ 理事 功程
﹄に おけ る外 国地 名表 記に つ い て記 述 し た︒ 出現 し た 異な り 外 国 地名 七 二 例の う ち︑ 四 四例 の六 一・ 一%
︑延 べ四 二三 例の う ち︑ 三 九 一例
︑全 体 の 九二
・四
%が 漢 字 表記 さ れ て いた
︒﹃ 理 事 功程
﹄は 文 字 種だ けで なく
︑語 形に おい ても ほぼ 一定 の語 形で 表記 され て い るが
︑﹁ バ ワ リヤ
﹂と
﹁バ イ エ ル ン﹂
︑﹁ ウヱ
ス トフ ァ リ ヤ﹂ と﹁ ウェ スト ファ ーレ ン﹂ など
︑原 語を 何に して
︑ど のよ うに 発音 して
︑そ れを 表記 する かに よっ て現 れる 違い など も見 られ る︒ 一九 二六 年ご ろに は︑ 片仮 名表 記へ と以 降す る外 国地 名で ある が︑ 漢字 表記 が主 であ った ころ は︑ どの よう な漢 字が 使用 され てい るの かを 調べ るの も興 味 深 い︒ 官 版で は な い啓 蒙 書 や︑ 新聞 や 雑 誌 との 比 較 も試 み た い︒ また
︑岩 倉使 節団 の成 果刊 行物 には
︑久 米邦 武編 著の
﹃米 欧回 覧実 記﹄ があ る︒ 久米 直筆 の草 稿も 存在 する ので
︑同 様の 調査 が可 能で ある
︒す べて 今後 の課 題で ある
︒ 注
⑴ 新 島 襄 全 集 編 集 委 員 会
︵ 一 九 八 三
︶﹃ 新 島 襄 全 集 一 教 育 編
﹄ 同 朋 舎 出 版 解 題
﹁ 理 事 功 程
﹂ 草 稿 六 五
〇 頁
⑵
﹃ 新 島 襄 全 集 一
﹄ の 注 解 で
︑﹁ 理 事 功 程
﹂ 草 稿 の 原 本 と し て
︑ 以 下 を 挙 げ て い る
︒
TheRev.MarkPattison,B.D.:“ReportontheStateofElementaryEducationinGermany,”inEducationCommission,ReportsoftheAssistantCommissionersAppointedtoInquireintotheStateofPopularEducationinContinentalEuropeandonEducation
― 315 ―
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
CharitiesinEnglandandWales.1861.Vol.IV.London,1861 な お
︑ 本 稿 で はMatthewArnoldandothers
︵1861
︶ を 参 照 し た
︒
⑶ 新 島 襄 全 集 編 集 委 員 会
︵ 一 九 八 三
︶﹃ 新 島 襄 全 集 一 教 育 編
﹄ 同 朋 舎 出 版 解 題
﹁ 理 事 功 程
﹂ 草 稿 六 五 三 頁
⑷ 同 志 社 大 学 総 合 情 報 セ ン タ ー 今 出 川 図 書 館 閉 架 書 庫 三 階 北 書 庫 所 蔵
﹃ 理 事 功 程
﹄ 八 独 乙 国 1 書 誌
ID8207070336
請 求 記 号370.8−−M6−−3:3:8
﹃ 理 事 功 程
﹄ 九 独 乙 国 2 書 誌
ID8207070344
請 求 記 号370.8−−M6−−3:3:9
﹃ 理 事 功 程
﹄ 十 独 乙 国 3 書 誌
ID8207070352
請 求 記 号370.8−−M6−−3:3:10
﹃ 理 事 功 程
﹄ 十 一 独 乙 国 4 書 誌
ID8207070360
請 求 記 号370.8−−M6−−3:3:11
⑸
﹃ 理 事 功 程
﹄ 八
JACAR
︵ ア ジ ア 歴 史 資 料 セ ン タ ー
︶Ref.A04017177000
︑ 単 行 書
・ 大 使 書 類 副 本 文 部 省 理 事 功 程 八
︵ 国 立 公 文 書 館
︶
﹃ 理 事 功 程
﹄ 九
JACAR
︵ ア ジ ア 歴 史 資 料 セ ン タ ー
︶Ref.A04017177200
︑ 単 行 書
・ 大 使 書 類 副 本 文 部 省 理 事 功 程 九
︵ 国 立 公 文 書 館
︶
﹃ 理 事 功 程
﹄ 十
JACAR
︵ ア ジ ア 歴 史 資 料 セ ン タ ー
︶Ref.A04017177400
︑ 単 行 書
・ 大 使 書 類 副 本 文 部 省 理 事 功 程 十
︵ 国 立 公 文 書 館
︶
﹃ 理 事 功 程
﹄ 十
一JACAR
︵ ア ジ ア 歴 史 資 料 セ ン タ ー
︶Ref.A04017177600
︑ 単 行 書
・ 大 使 書 類 副 本 文 部 省 理 事 功 程 十 一
︵ 国 立 公 文 書 館
︶
⑹
﹁ 新 島 遺 品 庫 資 料 の 公 開
﹂http://joseph.doshisha.ac.jp/ihinko/html/n01/n01010/N0101001G.html
⑺ 注
⑹ 目 録 大 分 類
﹁ 上 01 同 志 社 関 係 文 書
﹂︑ 目 録 中 分 類
﹁ L 理 事 功 程 関 係
﹂
⑻
﹁ ド イ ツ
﹂ や
﹁ ベ ル リ ン
﹂ は ル ビ が 付 さ れ て い な か っ た が
︑ そ れ に つ い て は
︑ 本 稿 の 調 査 範 囲 が 全 十 五 巻 の う ち の 八 巻 か ら 十 一 巻 で あ る の で
︑ 最 初 か ら 調 べ る 必 要 が あ る
︒
⑼ 一 つ だ け 例 外 が あ る
︒﹁
︵ ニ
︶ 孛 漏 生 国 ニ 於 ケ ル 師 範 学 校 近 来 ノ 改 革
︵ 九
・ 三 三
・ オ
︶﹂ は
︑ 目 次 で は
︑ 二 重 傍 線 が な い が
︑ 本 文 中 で は 二 重 傍 線 が 引 い て あ る
︒
⑽ 小 林
︵ 一 九 七 四
︶﹁
﹃ 理 事 功 程
﹄ 研 究 ノ ー ト
﹂﹃ 京 都 大 学 教 育 学 部 紀 要
﹄ 二
〇 八 九 頁
﹃ 理 事 功 程
﹄ に お け る 外 国 地 名 表 記
― 316 ―