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子どもたちが安心して発言できる授業をめざして

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Academic year: 2021

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子どもたちが安心して発言できる授業をめざして

―発問の設定と教材づくりから考える―

高度学校教育実践専攻

教員養成特別コース 実習責任教員 阪 根 健 二 名 前 竹 下 早 慧 子 実習指導教員 森 康 彦 キーワード:安心,発言,発問の設定,教材づくり

1. 課題設定の動機と背景

筆者は,大学在学中の卒業研究での授業実践 で,子どもが楽しむことができる授業を体感し た。筆者は,大学院でもそのような授業をめざ したいと考え,基礎インターンシップでの授業 実践に臨んだ。基礎インターンシップでは,子 どもが思考し,子ども自身の力で答えにたどり 着くことができることをめざし授業設計をし た。研究授業前時の授業実践で学習内容の焦点 化に課題があり,研究授業では,学習内容の精 選やめあての具体化を意識した。だが,授業実 践を振り返ると,適切な焦点化ができておら ず,かえってねらいにたどり着くことが難しく なった。このような課題から,学習内容の適切 な焦点化について授業実践を通して考えたいと いう思いをもった。

そこで,学習内容の焦点化を課題として設定 し,総合インターンシップⅠに臨んだ。だが,

メンターの先生の授業や子どもの様子を見る中 で,配属クラスの子どもたちは,焦点化をする 発問よりも,多数の考えが出やすい開く発問の 方が,発言が多く意欲的な様子が見られた。こ のような子どもの様子から,発問の設定と教材 づくりから子どもが発言できる授業をめざした いと考えた。また,配属クラスの多くの子ども が,自分の発言を受け止めてもらえる,認めて もらえると感じているように見えた。このよう な子どもの様子から,安心して発言できる授業

を作りたいと考えるようになり,“子どもたち が安心して発言できる授業をめざして―発問の 設定と教材づくりから考える―”という課題を 設定した。

2. 授業実践及び分析・省察

(1)基礎インターンシップの授業実践

ⅰ)授業の概要

取り扱った単元は,第4学年社会の地域学習 の単元である。徳島県の農工業や,特色のある 地域の産業などを学ぶ。本時では,徳島県の工 業を取り扱った。子どもたちが学習で使ってい る『わたしたちの徳島県』に加えて,自作の追 加教材を使って,徳島ではどこでどのような工 業が盛んなのかを調べる活動が主の活動として いた。地域学習で,学ぶことのできる内容は非 常に多い。それらの中で,特に重要だと考えら れる内容を精選した。また,調べる資料を教科 書のみではなく,自作の教材を追加した。これ らを行うことで,子ども自身の力で答えを導き 出せることをめざした。

ⅱ)課題

○筆者の指示が曖昧だった

筆者は子どもに「徳島のどこで,どんな工業 が盛んなのか。分かるところはどうしてそこで 盛んなのかについて,気付いたことを書けるだ け書いていきましょう。」と指示をした。だ

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が,気付いたことについて1つ以上書くことが できていた子どもは3分の1程度だった。

○追加教材の内容が難しかった

追加教材には,目標を達成するために必要な 情報が不足していた。加えて,不必要な情報が 含まれていた。追加教材に,徳島県の工業製品 の生産額のデータを用意していたが,その資料 には全国順位が記載されていた。その情報が子 どもの思考を妨げてしまった。

(2)総合インターンシップⅠの授業実践

ⅰ)授業実践の概要

鳴門市 A 小学校の第2学年の子ども30名を 対象として,英語活動の実践を行った。ここで は,“やさいがとれたよ”の全1時間の単元を 担当した。この単元は,活動を通して野菜を表 す英語に慣れ親しむことをねらいとしている。

基礎インターンシップでの反省を踏まえ,次の 3点を意識して授業実践を行った。

まず,子どもの生活科での学習を考慮した語 句の精選である。この単元を学習する時期に,

生活科で育てている野菜を言語材料として用い ることで,より英語に慣れ親しむことができる と考えた。また,子どもの身近にある野菜であ ることから,意欲も高まるのではないかと考え た。

次に,野菜を表す英語に焦点化するための活 動の取り入れだ。子どもが育てている野菜の実 際の写真を数枚使ってクイズをして,本時取り 扱う野菜に子どもの意識が向くようにすること で,焦点化を図った。

そして,補助教材づくりである。本時で取り 扱う野菜を表す英語のピクチャーカードに加 え,教室英語のピクチャーカード4枚を教室の 黒板上部に掲示した。活動の中で,使う頻度の

高い教室英語が分からなくなった時に,見るこ とができるようにした。加えて,子どもが普段 の学校生活の中でも英語を目にすることができ るようにした。2年生の発達段階を考慮して,

視覚的に分かりやすい教材を用いたり,身体を 動かす活動を取り入れたりすることで,全ての 子どもが無理なく活動に参加できることを重視 した。

ⅱ)成果

○子どもとのやりとりが増えた

基礎インターンシップの授業実践では,筆者 が一方的に子どもに話しているような印象だっ たが,総合インターンシップⅠでの授業実践 は,子どもとやり取りをしながら,共に授業を 楽しむことができた。この点は,基礎インター ンシップからの正の変化であると言える。

ⅲ)課題

○活動のルールが分からない子どもがいた 活動の中で,本時で扱った野菜を表す英語 11語を使ったビンゴゲームを行った。ビンゴ で使うカードは全部で11枚だが,その内使う のは9枚だけだった。そのため,筆者は「11 枚の内,2枚を選んでどける」という説明とピ クチャーカードを用いて,ホワイトボードに3

×3の形に並べる様子を示した。その説明の 後,子どもにカードを配り,並べるよう指示を したが,机間巡視をしていると,11枚のカー ドを並べようとしている子どもが多くみられ た。そのため,カードを2枚どけるという言葉 かけを7回もしている。11枚から2枚をどけ る操作が分かりづらいと感じていた子どもが多 数いたことが分かる。

また,筆者は,子どもたちはビンゴのルール

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を知っていると思い込んでいたため,縦・横・

ななめのどこかがそろったらビンゴになるとい うビンゴのルールは説明をしなかった。する と,ビンゴを始める直前に子どもがビンゴのル ールについて筆者に尋ねた。ビンゴのルールを よく知らない子どもがいることを想定できてい なかったため,この後の説明の際,少し動揺し てしまい,メンターの先生がビンゴの説明を補 助してくださった。

○子どもたちの発達段階に即していない 授業内では,教室英語を積極的に使うことを 心がけていた。だが,教室英語が難しく理解で きていない子どもが多くいた。それを支援しよ うと,黒板上部に補助教材を掲示したものの,

子どもたちが黒板上部の教材を見る余裕はなか った。教室英語の理解が難しい場合の支援が不 足しており,子どもたちの学びにくさにつなが っていた。

(3)総合インターンシップⅡの授業実践

ⅰ)授業実践の概要

第2学年国語科の“秋がいっぱい”の単元で 授業を行った。)総合インターンシップⅠでの 課題を踏まえて,次の3点のことに取り組ん だ。

まず,開く発問の設定である。開く発問の設 定が,子どもたちが安心して発言できる授業に つながると考えられる。そのため,「秋と聞い て思い浮かぶ言葉」,「今までの生活の中で秋を 見つけた経験」の引き出す開く発問を2つ設定 した。

次に,補助教材として,秋のものの写真を用 意した。実物の写真を提示することで,その写 真から秋のものと子どもの生活経験を結びつけ やすくし,子どもが生活経験を発表しやすくな

ると考えた。

そして,ワークシートの形式を子どもの馴染 みのあるものを用いたことである。総合インタ ーンシップⅠにおいて,子どもにとって馴染み のないものを取り入れたことで,子どもの負担 が増えてしまったことが反省点としてあげられ る。そのため,春探しや秋探しの単元で用いた ワークシートと近い形式のものを用いること で,子どものワークシートを書く際の戸惑いを 減らし,よりスムーズに活動に取り組めること をめざした。

ⅱ)成果

○多くの子どもが発言することができた 秋と聞いて思い浮かぶ言葉と今までの生活の 中で秋を見つけた経験を引き出す2つの発問に おいて,合わせて21人の子どもが発言するこ とができていた。割合で言うと,約8割であ る。普段発言をほとんどしない子ども A も本実 践では,2回発表することができていた。多様 な考えが出やすい発問に対しては,より発言し やすかったと考えられる。

○生活経験を文字にする活動にスムーズに取り 組むことができていた

この活動では,子ども自身が今までに秋のも のを見たり,食べたりした経験を書く。その活 動を行う前に,子どもが秋のものを見たり,食 べたりした経験を発表する時間を約12分と多 く設けた。その結果,秋を見つけた生活経験を 書く活動では,5分程度の時間で,約半数の子 どもが文章を完成させることができていた。

○適切な教材を提示により,子どもの発言を引 き出すことができた

「秋と聞いて思い浮かぶ言葉は?」という発 問に対して,子どもが柿と言った後,用意して

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いた柿の実物の写真を子どもに提示した。筆者 は特に発問をしていないが,ある子どもが干し 柿も秋だという旨の発言をした。柿の実物の写 真を見たことで,柿という言葉と生活経験がつ ながり,干し柿も秋のものであるという考えを もつことができたと考えられる。

ⅲ)課題

○秋の言葉をワークシートにまとめる活動に対 する動機づけが不十分であった

A 小学校に来ている ALT が日本に来たばかり であるため,その ALT に日本の秋をワークシー トにまとめて教えてあげるという動機づけをし ようとした。実際は,筆者が ALT に秋の言葉を 伝えることを押し付けてしまっており,ALT に 日本の秋を伝えたいという思いを引き出す発問 がなかった。子どもの多くは教師に言われたと いう理由でワークシートを書く活動に取り組ん でいたと考えられる。

○文章を書く際の支援が不足していた

文章を書く活動に入る際,筆者は「教科書の 26ページを見てください。」という指示をし たのみであった。そのため,秋のものについて 詳しく書かずに,経験のみを書いており,日記 のようになってしまっている子どもが一定数い た。

3. 今後の展望

大学と大学院の計6年間“子どもが楽しさを 感じられる授業”をめざし,理論と実践の往還 の中で学びを深めてきた。その中で,子どもが 楽しさを感じられる授業とは,安心した環境の 中で,発言ができる授業であるという考えに至 った。ただ,ここに来るまで、迷いの連続だっ た。紆余曲折の中で得た多くの学びを生かし

て,来年度から,現場で子どもが安心して発言 できる授業を行うことができるよう,発問の設 定と教材づくりの更なる研究を行っていきた い。

また,安心して発言できるために不可欠であ る,安心できる環境づくりに取り組んでいきた い。授業も含めた学校生活全体で,子どもの話 を聞き,受け止めることで,子どもが授業の中 で発言をすることや先生と話をすることに安心 感をもつことができるのではないかと考える。

加えて,安心できる環境で,発言する機会や意 見を表出する機会を多く作りたい。

来年度から,筆者は徳島県の小学校現場でお 世話になる。徳島県では,令和元年8月に徳島 教育大綱が策定され,その中の重点項目Ⅳが

「誰もがいきいき!生涯を通じ,安心して学ぶ 教育の推進」とあり,徳島県では今,安心して 学ぶことができる環境づくりが求められる。分 からないことは謙虚に学び,自分のできること は,大学,大学院で得た学びを活かして,積極 的に取り組んでいきたい。そして,徳島県がめ ざす「徳島ならでは」の教育を進められるよう 精一杯尽力していきたい。

参考文献

1)香川県教育委員会,「さぬきの授業. 基 礎・基本 「発問・助言」「発言の取り上 げ方」編 実践事例集」,2013

2)島根県教育センター(浜田教育センタ ー),「学習指導の基本を身に付けよう 授業づくりの Q&A~「よい授業」を目指 して~」,2011

3)徳島県・徳島県教育委員会,「徳島県教育 大綱」,2019

参照

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