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吉 田 博 明

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Academic year: 2021

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小 学 校 に お け る 基 礎 的 基 本 的 な 学 力 の 定 着 を め ざ し て 一 家 庭 で の 学 習 習 慣 の 育 成 を 図 る 取 紐 を と お し て ー

高度学校教育実践専攻

授業実践・カリキュラム開発コース 吉 田 博 明

I  課題分析 1.課題設定の理由 (J)実習校の概要

実習校は阿南市に位置する児童数209名の小 規模校である。「全国学力テストJの学習状況 調査などでは友だちと協力する態度や励まし合 って目標達成に取り組む姿勢が向上している。

しかし、全国学力調査の結果では、全体的に全 国平均を下回っていることが多い。

(2)学校アセスメントによる実習校の課題分析

①標準学力テストの結果の見直し

20日 年2月に実施した標準学力テストの結 果を見直していく中から、次の課題が浮かび上 がってきた。

0

学年が上がるにつれ得点が低下している。

or

応用jに関する問題の得点が低い傾向にあ る。

0学力が二極化する傾向がある。

②児童アンケートによる実態把握

全 校 児 童 を 対 象 に 家 庭 や 学 校 で の 学 習 の 様 子、生活習慣についてアンケート調査を行った 結果から見られる課題は次の 2点である。

0家庭での学習習慣が十分に身についていない 者が多い。

O家庭での学習時聞が不足している者の割合が 高い。

③職員研修(ワークショップ)の結果

「児童のよさや課題」についてのワークショ ップから、実習校の児童は「素直で友だちと協 力することができている。J

r

学 校 の き ま り を 守れている。」などのよさがある反面、「学習 への集中力に欠ける。J

r

家 庭 で の 望 ま し い 生 活習慣の育成や学習の習慣化ができていない。」

実 習 責 任 教 員 小 野 瀬 雅 人 実 習 指 導 教 員 川 上 綾 子

「発表の意欲やスキルを育てる必要がある。」

などの課題が浮かび上がった。

(3)今日的教育課題との関わり

小 学 校 学 習 指 導 要 領 総 則 編 (2008)では、

OECD (経済協力開発機構)の PISA調 査 な ど 各種の調査から、家庭での学習時間などの学習 意欲、学習習慣・生活習慣に課題があることを 指摘している。また、「特に、低・中学年にお いて学習習慣を確立することは極めて重要であ り、家庭との連携を図りながら、宿題や予習・

復習など家庭での学習課題を適切に課すなど家 庭学習も視野に入れた指導を行う必要がある。J

とも言己している。

2.先行研究 (1)生活習慣と学力

2007年に文部科学省が実施した全国学力学 習状況調査では、子どもたちの学習意欲や学習 習慣・生活習慣の状況について調査・分析を行 っている。それによると、家で学校の宿題をす る、家の人と学校での出来事について話をする、

朝食を毎日食べる、学校に行く前に持ち物を確 認する、学校のきまり・規則を守っている、と 回 答 し た 子 ど も の 正 答 率 が 高 い 傾 向 が 見 ら れ た。このことから、文部科学省では基本的な生 活習慣の確立と正答率には一定の関係があると 結論づけている。

(2)学習習慣と学カ

杉 村 ・ 井 上 ・ 豊 田 (1986)は学業成績と学習 習慣の関係は学年が進むにしたがって強くなる と結論づけている。佐野(1985)はEしい学習 習慣をつけるには、まず正しい生活習慣をつけ る必要があり、生活リズムが形成されてから、

(2)

子ども一人ひとりの気質や個人差を考慮しなが ら学習習慣をつけていけば、学習効果の上がる 学習習慣が形成されると考えている。これらの ことを踏まえ、「家庭学習の手引き」や「学習 の手引きJなどの作成を行った。

(3)家庭での学習習慣の育成

辰 野(2006)から、望ましい学習習慣を育成す るための方法を分析した。草甥(2009)の実践か ら、学習習慣の育成には学校が家庭に積極的に 働きかけ、保護者の理解とともに、それに向け た行動を促すことについての手法について分析

した。

また、光武(2007)から、子どもたちがやる気 を出し、学習や生活の習慣を身につけるための 手法やステップについての研究を参考にし、保 護者へのプレゼンテーションに活用した。

E  課題解決 1.研究の構想 (1)目的

本研究においては、課題設定の理由や先行研 究の分析から、実習校の児童の学力向上に向け て、学校全体で「学習習慣の育成」を目的とし て研究を進めていくこととする。

(2)仮 説 と 方 法

研究を進めるにあたり次の仮説を立てた。

「児童が家庭学習の習慣や生活習慣を身につけ れば、その児童は意欲的に授業に取り組むよう になり、学力の向上につながる。」

家庭での学習の習慣化を図るためには児童自 身への意識づけとともに、保護者の協力が欠か せない。そこで、教師は、次の3つの観点から 具体的な取組を行うことで定着化が図れるので はないかと考えた。

①  児童の、家庭での望ましい生活習慣や学習 習慣の定着は、児童の学力の向上に大きく影 響することを知らせる。

②  家庭学習の方法や内容を知ってもらう。

③  定期的に望ましい学習習慣についての意識 づけを図る。

学習習慣の意識づけに関しては、学校が、生 活習慣や全国的なデータを提示する。学習習慣 の定着化と学力の関係があることを、児章や保 護者に知らせることにより、学習習慣の大切さ を意識づけていく。

家庭学習の内容については、「何をするか」、

「いつするか」と「どれだけするかj の3つの 要素がポイントになると考えられる。保護者向 けには「家庭学習の手引き」を改善する。児童 向けには「学習の手引き」を作成する。これら の取組により、児童や保護者に家庭での学習の

しかたを知らせる。

また、学校が、定期的に家庭生活を見つめる イベントを企画し、望ましい学習習慣について の意識づけを図ってし、く。

学校が、これらを組み合わせて実践すること で、児童の望ましい学習習慣についての意識が 定着化し、そのことが学力の向上につながると 考えた。

2.実践研究の実施

(1)学習習慣の育成に向けての取組 1) PTA総会での保護者への直接の啓発

保護者の学習習慣につての意識を高めてもら うことを考え、 PTA総 会 (2013年4月 26日) の後に「生活習慣・学習習慣と学力の関係」に ついて啓発する時間を設定してもらった。

テーマを「データから見た生活と学力」とし て、生活習慣や学習習慣と学力の関係を調べた 全国的な調査の結果や児童アンケー卜から得ら れた本校児童の実態などを提示し、家庭での学 習習慣づくりの大切さを説明した。参加できな かった保護者も多いため、「学力向上 p1us1増 刊 号Jと題した「お便り」を作成した。そこに は、プレゼンに使用したグラフやデー夕、説明 した内容の要約を掲載した。また、今後の学校 での取組の内容や計画についての説明も記し、

学校と家庭が協力し合って進めていくことをお 願いした。

(3)

2 H学校だより』を通しての啓発(学力向上plus 1 ) 

学習習慣についての意識を継続してもらうた め、『学校だより』の中に「学力向上Jについ てのコーナーを設けてもらった。

保護者に気軽に読んでもらい、その中から関 心を高めてもらおうと考え、内容も食生活や姿 勢、運動と「学力」にって、効果的な学習のワ ンポイントなど、いろいろな分野から選び、短 く分かりやすい文章で記述することにした。

原稿の内容について校内研修で提案し、校内 研修組織にも原稿作成の協力を依頼した。「学 力向上推進部」、「人権教育部」、「生徒指導部」、

「食育推進部」の4部、それぞれの立場から見 た学力向上に関する内容で原稿を執筆してもら い、生活全体から望ましい習慣づくりについて 啓発できるように考えた。また、執筆を依頼す

ることで、教師の関心も高まると考えた。

3) ~家庭学習の手引き』改訂

『家庭学習の手引き』の内容を見直し新たに 作成した。作成にあたり、回中 (2012)が作成 した「家庭学習サポートブック」を参考に、家 庭との連携に必要な内容を検討した。筆者が原 案を作成し、それをもとに学力向上推進部会に 諮り検討し、各担任にはそれぞれの学年の立場 から内容や学習時間などの最終確認をしていく

という流れで作業を進めた。

4) ~学習の手引き.1 (児童用)作成

児童に家庭での学習方法を理解させるもの、

学校での授業中の学習の進め方の指針となる学 習スタンダード的なものとして『学習の手引き』

(児童用)を計画した。学習するときに常に身 近にあり、活用できる方法を検討した結果、『学 習の手引き』を「下じきjにすることにした。

5) 

r

家庭学習チャレンジ週間jの実施

家庭での様子について定期的に意識づけてい く機会として「家庭学習チャレンジ週間」を実 施した。計画にあたり、児童自身にとっては自 分の生活をふり返る機会とすること、保護者に とっては子どもの習慣づくりを進めていくうえ

での家庭生活の中での大切なポイントを確認し てもらう機会とすることを考えた取組になるよ うにした。そこで、保護者や児童が記入するこ とでふり返ることができるチェック表を作成す ることにした。このチェック表に定期的に記入 することで、児童や保護者の意識の定着化を促 すことができると考えた。

実施期間は1週間とし、実施時期は年間5回 ( 6、7、9、11、1月)とした、記録用紙は 台紙に重ねて貼っていくことで振り返りができ

るように !!M~ました。

(2)取組の体制づくり

1)校内研修計画への位置づけ

実習校では、市の「学力向上拠点形成事業」

推進校の指定を受けて研修を進めている。筆者 の取り組む「家庭学習の習慣や生活習慣の育成」

も、第3の仮説として位置づけられた。このこ とにより、筆者の取組を実習校全体での取組と して実践するという共通理解を図ることができ た。

2 )

校内研修組織との連携

実習校では、校内研修組織として「学力向上 推進部」、「食育推進部」、「人権教育推進部」、

「生徒指導推進部jの4つの組織がある。そこ で、これらの組織にも協力を呼びかけ学校全体 での協働体制づくりを行った。

(3)継続的な意識づけ

「家庭学習チャレンジ週間」の結果を分析し た。その結果、児童では、「帰ったらすぐに勉 強にとりかかれたJ

r

きまった時間、勉強でき たj という項目では 70%程度にとどまってい ることが分かった。保護者の結果を見ると、多 くの項目で 80%以上が「できた」と記入して いる。このととから、子どもの生活・学習習慣 の育成に向けて気を配っていることがうかがえ る。「子どもの教科書やノートなどの点検をし ている」という項目だけが 70%を下回ってい る。この項目について学年別にみると、 1. 2  年生では 80%以上が点検しているが、高学年 では50%前後に低下していることが分かつた。

(4)

また、実施した3回の推移をみると、児童の 結果からは、多くの項目や学年で変化がなかっ たり、回数を重ねるにつれ低下したりする場合 が見られる。感想を見ても文章量が少なくなっ たり、内容も単調になっていく傾向が見られた。

このことから、取組を通して定期的に意識づけ るという目的から外れ、児童や保護者にとって、

この取組が「マンネリ化」しているのではない かと考えた。

結果を分析し明らかになった課題を解決する ため、「家庭学習チャレンジ週間」の結果をグ ラフ化した資料を用意し、職員会で話し合い、

問題点の共有化を図った。また、その対策とし て、児童に向けては「チャレンジ週間」実施前 に指導を行うことにした。保護者に向けては「お 便り」を配布して呼びかけたり、「学年だより」

等で取り上げ意識づけるよう努めた。

これらのことを実施した「家庭学習チャレン ジ週間J4 回目の結果を 1~3 回の結果と比較 すると、児童、保護者とも全ての項目で向上し ていた。特に児童の項目では大きな増加が見ら れる項目が多い。このことから、家庭での習慣 の育成にも教師の働きかけが効果的であると考 えられる。とりわけ、実習校の課題であった、

「きまった時間、勉強できたJという項目での 増加が多く見られたことは学習習慣の定着に向

けた大きな成果であると思われる。

さらに、保護者に対しては、個人懇談で、こ の結果なども話題に採りあげ啓発した。

3 実践の考察 (1)成果

本研究の成果をまとめると、次の3点が挙げ らオもる。

①  取組を通して、児童や保護者の「望ましい 生活・学習習慣」の定着へ向けての意識を高 めることができた。

②  「学習の手引き」、「家庭学習の手引き」

などのツールを作成した。作成にあたり、教 職員の意見を聞きながら作成したことで、教

師の意識も高めることができた。

③  校内研修計画の取組の 1っとして位置づけ ることにより、学校全体で取り組むことがで きた。また、校内での体制づくりを行うこと により、教職員の共通理解のもとに実践する ことができた。

(2)課 題

課題として次の3点を挙げることができる。

①「家庭学習チャレンジ週間」ではマンネリ化 してきている児童や保護者がいることも感じ られる。取組の視点のうち、「意識づける」、

「内容・方法を知らせる」ことはできたが、

「継続的な意識づけ」が十分ではなく、定着 化は不十分であると思われる。

②  保護者に直接啓発することは効果的で、あっ たが、参加者が少なかった。さらに多くの保 護者に直接呼びかける機会を持てば、一層意 識づけを図ることができると思われる。

③  学校から発信する取組が多かった。保護者 の感想、や意見などを聞く機会を持ったり、学 級で話し合ったりすることについては不十分 であった。

(3)今後に向けて

本実践により、生活・学習習慣への意識が高 まってきている児童や保護者が多い。しかし、

児童だけでなく保護者の意識・生活習慣が十分 でなく、個別的な対応の必要な家庭がみられる。

また、家庭によっては意識の継続化が不十分に なってきていることなどの問題が見られる。情 報の発信だけでなく、保護者からの意見を聞い たり、児童の様子について情報を共有化できた りする場を設定することなどにより、学校と家 庭で手を取り合った取組がなされるのではない かと考えるo また、そういう場を設定すること で「家庭学習の手引き」、「学習の手引き」な どの一層の活用も図れるであろうと思われる。

さらに、今後は家庭学習(宿題)の内容につ いても考えていく必要があると思われる。学校 での学習と家庭学習がより密接にリンクするこ とが「学力向上」につながっていくと考える。

参照

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