香川県のクスノキ林の林分構造
井 上
健・末 広 茜 代一L
〒760−8522 高松市幸町卜l香川大学教育学部生物学教室ForeststructurIeOfCinnamomumcaflPhoY’(L・)Persl・inKagawaPrefecture
kL:lllnotL再=叫・okil爪lドuttiliT.Ll)t・・!・J<it・.I/I.・′l…‘lI・l′、.l:・It・,LIh、り/[],情I({・J,(・K・Iヾ‘(tr・t(●JZiw、thl ノー告鮎ん血−Cゐorゎたα∽αJ∼〟;巧0一β.ヲ22ノ(甲α〃 急に増えた原因とクスノキ林の遷移の中での 位置付けについて明らかにするた.めに,香川 県内の2ケ所のクスノキ林の詳細な森林構造 の調査を行った。 調査地と調査方法調査は香川県高松市生島町(北緯340
20.987”,東経1330 57615”,標高241m,育
峰の北尾根の斜面;以下「五色台」どす■る)と 香川県高松市中間町(北緯340 廿.313”,東経1330 58.774”,標高83m,六ッ日山の南西部
山凝;以下「中間町」とする)の山林内で行った(図1)。調査地に20mX30mの調査区を設置
し,その中を10mXlOmの6つのコドナート
に分割した。調査区内の植物を高さ2m以上,1∼2m,1m未満の3区分に分け,1m以
上のすべて植物にはラベルを付けた。ラベル を付けた.植物について,高さ,幹の太さ,種名,調査区内での位置について調査した。た
だし,つる植物については高さを測定しな
かった。1m未満の植物についてはコドラー トごとに存在する種名のみを調査した。高さ (H)の測定は高さ5m程度までは測竿を使い, それより高い場合には樹高計(アルテイレベ は じ め に クスノキ(Cあ〃α椚0肌〟肌Cα′叩ゐ0′(L.)peISl,) は西日本の暖地に野生化し,しばしば公園や社寺林に植栽される常緑高木である。元来,
日本に自生していた種かどうかはわかって−お らず,現世に近い頃に中国から分布したので はないかと言われている(北村・村田1979)。 また、クスノキは樟脳が取れる樹木と言うこ とでも知られており,1899年(明治32年)から 1962年(昭和37年)まで専売制によって㌧伐採が 制限された。その一・方で,戦後には大規模な クスノキの植林が日本全国で行われた(日本専 売公社編1956,1963)。1999年より環境省によって全国の2万5千
分の1現存植生図が作成されており,これま で作成された植生図は2004年12月20日よりイ ンターネットでテスト公開されている(http:// ww.vegetation.jp/)。香川県の植生について 2000年,2001年に調査された植生図を見ると 「クスノキ群落」と表記された場所があちこ ちに見られるが,1979年に調査された香川県 現存植生図(環境庁1982)では見つけることは できない。このため,クスノキ林が約20年で − 41一2m以上は38種529個体,1∼2mは34種352
個体),中間町では25種510個体(そのうち高さ2m以上は21種298個体,1∼2mは13種212
個体)であった。高さ1m以下の林床の植物は, 五色台では62種,中間町では51種であった。 さらに,五色台の調査地では伐採されたアカ マツの切り株が12ケ所存在していた。 (l)五色台 五色台の調査地での高さ2m以上の構成種 の種名,個体数,平均樹高,胸高断面積合計,D2H合計,散布型,樹型を表1に示した。
D2Hの値は,依田(1971)に従って,D(cm)×D(cm)×H(m)として計算したため,D2H
合計の単位はcm2・mとなる。○の印はアカマ ツ・コナラ林の指標種,●の印はシイ・カシ 林の指標種を表す−。中西ほか(1983)によっ て,アカマツ・コナラ林の植物として挙げら ル)を使った。幹の太さは高さ2m以上の個体 では1.3mの高さで胸高直径(D),高さ1∼2 mの個体では0.3mの高さで直径(d)を巻尺あ るいはノギスで測定した。 2ケ所の調査地の毎木調査とは別に,1953 年ごろに植えられ樹齢約50年と考えられる香 川大学教育学部構内(高松市幸町)のクスノ キの樹高(H)と胸高直径(D)を測定し,毎木調査で得られた調査区内のクスノキの
デー・夕と比較するこどで毎木調査地のクスノ キのおよその樹齢を推定するための資料とし た。 結 果 クスノキ林の組成毎木調査の結果,1m以上の植物の総個体
数は,五色台では46種881個体(そのうち高さ 13ヰ● 1糾..5■ 18ヰ’ 図1.毎木調査の所在地 一 42 −表1.五色台のクスノキ林構成種の調査区内の個体数,平均樹高,胸高断面積合計, D2Hの合計,散布型,樹型の−・覧表(樹高2m以上のもの).種名の前の○は アカマツ・コナラ林の指標種,◎はシイ・カシ林の指標種であることを表す.
種名
個体数 平均樹高 胸高断面積D2H合計 散布型 樹型
(m) 合計(cnf) (cnf・m)844870
被食 低木性1856.50
被食 低木性4418.65
被食 低木性401770.72
被食 高木性404939
被食 高木性 ○ ヒサカキ イヌビワ ◎ ネズミモチ ○ クスノキ ○ シロダモ 351 1572.85 2L74 454∫91 3.12 588い30 12.03 22737い68 3、21 48212 2 ハーU ハhU 1 5 0 9 5 5 4904299
被食 高木性 被食 ツル性137.20
被食 低木性124,27
被食 低木性3497.10
被食 高木性 ○ エノキ ○ サネカズラ ヤプムラサキ ○ ヤマウルシ ○ アカメガシワ 355 730.43 62.34 285 36.07 301 29.33 3.87 383.80 4 2 0 0 ∩訂 3 り一 り一 1 被食 高木性 風 低木性 被食 高木性 被食 低木性 被食 高木性 ○ ソヨゴ ウツギ トウネズミモチ ○ ヤマコウバシ ○ カゴノキ 315 37 48り61 157 90 378 67 70081 60.17 13.80 35.46 101.81 96.34 4 3 RU 2 穴じ 只じ 貞U 2 3 8 3 2 3 3 41040.65
被食 高木性 風 ツル性 37′13 被食 高木性1374870
被食 高木性1500
被食 高木性 ● ヤプニッケイ ● テイカカズラ ○ ムクノキ ○ ヤマザクラ ○ カジノキ 4 ハhU 9 0 2 ︵X︶ 2 ハhU む一2.7.2. ﹁∂ 3 9 9 4 0 2 8 2 1 3 5 eU 1 4 2 8 96.85
被食 低木性3514.09
被食 高木性 被食 ツル性 被食 ツル性4218
被食 高木性 ハhU 1 1 0 2.9.一一3. 〓J ⊂.り ぃり 4 8 3 . 2 11〇 4 2 コマユミ ● ナナミノキ ミツバアケビ ● キ、ゾタ ○ クマノミズキ 被食 低木性 風 高木性 被食 高木性 風 高木性 被食 低木性 ○ シロモジ ○ タカオカエデ ィヌガシ ○ ウリハダカエデ ナワシログミ 82∫13 9.06 61い68 50り20 613 7 5 4 ハn﹀一〃U 5 7 3 4 0 3 2 4 4 3 RU OO 7 1 8 5 ■L O ■L 被食 高木性 被食 低木性 風 高木性 風 低木性 被食 低木性 ○ ヌルデ ノイバラ ○ ノグルミ ノリウツギ フェザンショウ 11 りJ 4 2 7 3 8 1 7 2 −ヘリ ハU OO 7 ■・L 20.89 2‖83 48.32 45.60 3.76 9 9 ハnU 4 3 0 e〓V ▲∝U eU 3 3 2 4 4 2 被食 ツル性 被食 低木性 重力 高木性 へクソカズラ ● マサキ ● ヤブツバキ 3 1 0 0 ハhU l O O l 、リ︼ ハhU O 2 一2 − 43 −表2.五色台のクスノキ林構成種の調査区内の個体数,d2Hの合計, 散布型,樹型の−・覧表(樹高1∼2mのもの).種名の前の○ はアカマツ・コナラ林の指標種,●はシイ・カシ林の指標種 であることを表す.
種 名
個体数 d2H合計(cnf・m) 散布型 樹型
被食 低木性 被食 低木一性 被食 低木性 被食 高木性 被食 高木性 イヌビワ ●ネズミモチ ○ ヒサカキ ● シロダモ ○エノキ ¢0 4 5 1 5 7 7 4 3 2 243.00 141.09 230.91 93.. 17 27,59 ●ヤプニッケイ ○ナワシログミ ヤブムラサキ ○ヤマコウバシ ウツギ 被食 高木性 被食 低木性 被食 低木性 被食 低木一性 風 低木性 2018954 36.42 90.19 13.81 56.18 10.87 被食 低木性 被食 高木性 被食 高木性 被食 高木性 被食 高木性 ノイバラ ○ アカメガシワ カジノキ ○ ソヨゴ ● ナナミノキ eU O 2 4 ハ︼U 7 7 5 0 ∩訂 3 2 2 00 3 ○サルトリイバラ タカオカエデ ●ヤブツバキ ヤマハゼ マルバウツギ 被食 ツル性 風 高木性 蛮力 高木性 被食 高木惟 風 低木性 良じ 只U 7 5 り一 つり ・・−1 り一 一4.〇.2.4. ●サネカズラ ミツバアケビ ● カゴノキ ○クスノキ サンゴジュ 被食 ツル性 被食 ツル」性 被食 高木性 被食 高木性 被食 高木性 7 5 4 ハnU 4 0 一一5.1.L ● タラヨウ ○ ノグルミ ○ ムクノキ イボタノキ ● ウバメガシ 被食 高木一性 風 高木性 被食 高木性 被食 低木性 重力 低木性 eU 7 5 7 3 只U ll O 4 4 0 1 1L一L ■・L 被食 低木性 被食 低木性 被食 低木性 被食 低木性 ○ガマズミ 1 (⊃ コックバネウツギ1 0 コバノガマズミ 1 0ヤマウルシ 1 只U 7 2 eU 2 2 2 ハnU O O 2 11表3.中間町のクスノキ林構成種の調査区内の個体数,平均樹高,胸高断面積合計,
D2Hの合計,散布型,樹型の一層表(樹高2m以上のもの).種名の前の○は
アカマツ・コナラ林の指標種,◎はシイ・カシ林の指標種であることを表す
種名 個体数平高閣閻彗 驚溜■ 散布型 樹型
被食 低木性
被食 ツル性
被食 低木性
被食 高木性
被食 ツル性
936.27 474468 41い95 240小46 825.96 19169.71 40611976 8.45 ○ ヒサカキ ゴヨウアケビ イヌビワ ○クスノキ ミツバアケビ 122 3.23 38 34 2.68 24 1629 14 重力 ツル性 被食 低木性 被食 高木性 被食 高木性 被食 低木性 33.41 21.65 63108 1031148 14040 IS 63561 9941、81 159。56 122937 フジ ヤツデ ○ナナミノキ ヤマハゼ ●ネズミモチ 00 2 3 5 2 0 7 eU 2 ︵VO 9 5 被食 低木性 被食 低木性 被食 高木性 被食 ツル性 被食 ツル性 11.27 48、60 128.44 1368 81 29.25 205 46 3−18 0.20 ○ガマズミ ○ヤマウルシ タンナサワフタギ アオッズラフジ ●キ、ゾタ 4 2 9 137 . 35被食 高木性
速力 高木性
被食 高木性
被食 低木性
被食 ツル性
192.73 2779 36 225.95 5011 79 59.34 tj21 31 0.26 083 9.37 2 7 2 1 33251Lほ&2
○エノキ ○ネムノキ ○ムクノキ ナワシログミ アケビ0.14
被食 ツル性 スイカズラ l個体であり,被食散布型の種が多かった。指
標種別では,アカマツ・コナラ林の指標種は 9種179個体(33.8%),シイ・カシ林の指標種 は6種62個体(11.7%)存在しており,アカマ ツ・コナラ林の指標種はシイ・カシ林の指標 種の約3倍の個体数であった。五色台の調査地での樹高1∼2mの構成種
の種名,個体数,d2H合計,散布型,樹型を
表2に示した。表1と同様にアカマツ・コナ ラ林の指標種とシイ・カシ林の指標種に、つい ても表した。高さ1∼2mでは,クスノキは1個体のみ
しか存在せず,2m以上と同様にイヌビワ, れている種をアカマツ・コナラ林の指標種, シイ・カシ林の植物として挙げられている種 をシイ・カシ林の指標種とした。 高さ2m以上において−,個体数ではヒサカ キ,イヌビワ,ネズミモチといった低木性の 種が多かった。クスノキの個体数は51個体で, 全個体数に占める割合はわずか9,.6%であった。しかし,胸高断面積合計によって見てみ
ると,クスノキが全体の78.5%を占めており, DZH合計では全体の88.6%を占めていた。五 色台に存在するクスノキは多くの個体が萌芽個体であった。種子散布方法別では,重力散
布は1個体,風散布は11個体,被食散布は486 ー 45 一表4中間町のクスノキ林構成種の調査区内の個体数,d2Hの合計,散布型, 樹型の一・覧表(樹高1∼2mのもの).種名の前の○はアカマツ・コナ ラ林の指標種,●はシイ・カシ林の指標種であることを表す. 種名 個体数 d2H合計(cnf・m) 散布型 樹型 被食 低木性 被食 低木性 被食 低木性 被食 低木性 被食 高木性 イヌビワ ○ ヒサカキ ヤツデ ●ネズミモチ ○ムクノキ 176り38 354.00 1(‡8.15 11り40 114 0 2 5 4 2 ∩訂 7 3 被食 低木性 被食 高木性 被食 高木性 被食 高木性 地下茎 低木性 ツリバナ ○クスノキ ケヤキ ミカン ケネザサ 3 7 ∩リ 7 尺U 1 9 9 00 3 3 0 1 0 0 被食 ツル性 被食 ツル性 被食 ツル性 アケビ ゴヨウアケビ ミツバアケビ ネズミモチ,ヒサカキの個体数が多かった。 しかし,d2H合計で見ると,低木性の種だけ で80.7%を占めており,2m以上とは様相が
違うことがわかる。さらに,指標種別で見る
と,アカマツ・コナラ林の指標種は12種90個 体(257%),シイ・カシ林の指標種は6種58 個体(16.6%)であり,2m以上よりもシイ・ カシ林の指標種の割合がやや多いことがわか る。 (2)中間町 中間町の調査地での樹高2m以上の構成種 の種名,個体数,平均樹高,胸高断面積合計,DZH合計,散布型,樹型を表3に示した。表
1と同様にアカマツ・コナラ林の指標種とシ イ・カシ林の指標種についても表した。 高さ2エーl以上において,ヒサカキが飛びぬ けて個体数が多かった。また,ゴヨウアケビ, ミツバアケビ,フジといったツル性の植物の 個体数が多かったことも特徴的である。クス ノキは24個体存在しており,全個体数に占め る割合は8,1%であった。しかし,胸高断面積 合計によって見てみると,クスノキが全体の 836%を占めて−おり,D2H合計によっ、て一見て みても,クスノキが全体の90い9%を占めてい た。種子散布方法別では,重力散布は10個体, 被食散布は288個体であり,被食散布型の種が非常に多かった。指標種別で見ると,アカマ
ツ・コナラ林の指標種は6種135個体(453%), シイ・カシ林の指標種は3種14個体(4.7%)存 在しており,アカマツ・コナラ林の指標種の 割合が高かった。中間町の調査地での樹高1∼2mの構成種
の種名,個体数,d2H合計,散布型,樹型を
表4に示した。表1と同様にアカマツ・コナ ラ林の指標種とシイ・カシ林の指標種につい ても表した。高さ1∼2mでは,クスノキは1個体のみ
しか存在せず,低木性の種が個体数で96、2%,d2H合計で99.3%を占め,非常に割合が高
かった。指標種別で見るとアカマツ・コナラ 林の指標種は2種74個体(34.9%),シイ・カ シ林の指標種は1種4個体(19%)であり,2 − 46 −ロその他 辺シイ・カシ林の指標種(低木性) 薗シイ・カシ林指標種(高木性) 臼アカマツ・コナラ林の指標種(低木性) 臼アカマツ・コナラ林の指標種(高木性) Eクスノキ ∼血由卜Nの の①トNの∼寸のの①L 寸のの∽L∼N¢Lの 望竺品了ふ示○寸 り肋○寸∼の寸ON の寸ON∼寸NOr 寸NOr∼NLめ NL∽∼①めN ¢∽N∼のNL のNL∼寸ゆ 寸¢∼Nの Nの∼ふ〓 ¢L−−の 00Il寸 D2日(8涌・m)
図2五色台調査地のD2Hの頻度分布
mをピー・クどす■る/トさな山の2、つの山型のグ ラフを示した。高い階級に存在する山では、 アカマツ・コナラ林の指標種のヤマザクラや シイ・カシ林の指標種のナナミノキが存在していたが,ほとんどをクスノキが占めてい
た。低い階級に存在する山では,アかマツ・
コナ‥ラ林の低木性の指標種は4種(ヒサカキ, ヤマウルシ,ヤマコウバシ,シロモジ)存在し, 64∼128cnf・mの階級において最も個体数が多 かった。アかマツ・コナラ林の高木性の指標 種は11種(エノキ,アカメガシワ,ソヨゴ等) 存在したが,最も個体数の多い階級は2∼4 cm2・汀1の階級であり,低木性の種と比べると 小さな個体が多かった。シイ・カシ林の低木 性の指標種は2種(マサキ,ネズミモチ)存在し,8∼16cm2・mの階級で最も個体数が多
くなっていた。高木性の指標種は5種(シロ ダモ,カゴノキ,ヤプニッケイ,ナナミノキ, m以上と同様にアカマツ・コナラ林の指標種 の割合が高かった。 D2日の頻度分布五色台のDZHの頻度分布を図2に,中間町
のD2Hの頻度分布を図3に示した。DZHの値
は,依田(1971)に従って,D(cm)×D(cm) ×H(m)として計算したため,単位はcmZ・m となる。D2Hの頻度分布図は,一・定間隔で階 級分けすると低い階級の個体数が多いため, 十分にその傾向を見ることができない。そこで,階級の分け方を0∼1cnf・m,1∼2cnf・
mまでは,1cnf・m刻みとし,2cnf・mからは
階級を2,4,8,・‥と階級幅の上限値が下 限値の2倍になるように増やしていき,32768 cnf・m以上までとした。五色台のD2Hの頻度分布では,8∼16cnf・
mをど一クとする大きな山と8192∼16384cnf・ ー 47 −ロその他 ロシイ・カシ林の指標種(低木性) ℡シイ・カシ林の指標種(高木性) 田アカマツ・コナラ林の指標種(低木性) ロアカマツ・コナラ林の指標種(高木性) ■クスノキ r・+N i i O ▼− 寸 く○ ! ! N 寸 ∼由由卜Nの ¢¢トN∞∼寸のの¢r 寸のm¢L∼N¢Lの N¢﹁¢∼¢⑳○寸 ¢¢○寸∼の寸ON の寸ON∼寸NOr 寸NO︻∼N﹁的 Nrめ∼①∽N ¢∽NIふ芯ご ¢NrI−寸¢ 寸¢I・Nの Nの∼⑬L ①L∼の D刊(Gかm) 図3“中間町調査地のDZHの頻度分布 ヤブツバキ)存在し,最も個体数が多い階級
は低木性の種と変わらない,8∼16cnf・mの
階級であった。 中間町のD2Hの頻度分布も,8∼16c汀『・m をピー・クどす■る大きな山と4096∼8192cm2・m をピークとする小さな山の2つの山型のグラフを示した。高い階級に存在する山では,ア
カマツ・コナラ林の指標種のネムノキ,エノ キ,ムクノキ,シイ・カシ林の指標種のナナ ミノキが存在したが,その他ははとんどをクスノキが占めていた。また,クスノキの大き
さは五色台のクスノキよりも大きい個体がいくつか存在していた。低い階級の山では,ア
カマツ・コナう林の指標種はクスノキを除く と6種(ヒサカキ,ガマズミ∴ヤマウルシ等) 存在し,シイ・カシ林の指標種は2種(ナナミ ノキ,ネズミモチ)が存在していた。しかし, 低い階級の山のほとんどはアカマツ・コナラ 林の指標種の低木」性の種であるヒサカキが占 めていた。 五色台と中間町を比較して見ると,シイ・ カシ林の指標種は,五色台では,指標種全体 でも高木性の種に限った場合でも8∼16cnf・ mの階級をピー・クに幅広い大きさの範囲に分 布していたが,中間町では各階級に少数ずつ存在するだけであった。指標種別,樹型別で
見た個体の分布は,五色台はどの区分もある 程度存在し,区分ごとに存在する階級が違っ て−いたが,中間町では,高い階級ではクスノ キ,低い階級ではヒサカキがほとんどを占め, それ以外はクスノキとヒサカキとの間に少数 ずつ存在して−いる状況であった。 クスノキの樹齢の推定 クスノキのD2Hの頻度分布を,香川大学教 育学部構内,五色台,中間町の3ケ所に分け − 48 −Il00の卜Nの のり卜Nの∼寸ののりL 寸ののりL−、NのLの N⑳L鱒∼由示○寸 ¢⑳○寸∼∞寸ON の寸ON∼寸NO﹁ 寸NOL∼NLの NL∽∼①めN ¢めN∼00NL のNr∼寸ゆ 寸①∼Nの Ne∼りL ①L∼の ¢∼寸 寸∼N N、︵L ﹁∼0 D2H(crかm) 図4.香川大学教育学部構内,五色台,中間町のクスノキのD2Hの頻度分布
図4に示した。階級幅の区分方法は図2,図
3と同様にした。樹齢約50年と考えられる香 川大学教育学部構内のクスノキは五色台や中 間町のクスノキに比べて狭い階級幅の範囲に おさまっていた。頻度分布全体から判断する と,五色台のクスノキは明らかに大学のクス ノキよりも小さな個体が多い。中間町のクス ノキは五色台のクスノキよりも大きな個体が多いが,大学構内のクスノキほどではない。
DZHの平均値は大学構内のクスノキが28889
cm2・m,五色台が8181cm2・m,中間町が16922cm2・mで,Mann−WhitneyのU検定(Sokal&
Rohlf■,1983)を行うと,大学構内のクスノキ のD2Hの平均値が他の調査地よりも有意に大 きかった(p<0001)。五色台と中間町では P<0い05では有意差はなかったが,P<0.1で は中間町が五色台より有意に大きかった。 大学構内のクスノキは一・定の間隔を開けて 植栽されているが,五色台や中間町のクスノ キは群落状態のなかで生育している。また五 色台のクスノキは過去に伐採された.株からの 萌芽であると考えられる。間隔を開けて植栽 されたクスノキは群落状態の相互庇陰下で生 育したクスノキよりは生育条件がよかったと考えられる。また,萌芽したクスノキは種子
より成長したクスノキよりは成長が早いと考えられる。これらのことから,五色台のクス
ノキは,大学構内のクスノキに比べ,樹齢が 若干若く,中間町のクスノキは,大学構内の クスノキとはぼ同じぐらいの樹齢であると判 断した。 考 察 香川県のクスノキ林について毎木調査の解 析結果から,クスノキ林の遷移の過程や遷移 の移り変わりの中での位置付けについて考察 − 49 −五色台のウバメガシを除いて全く見られな
かった。1979年調査の香川県現存植生図(環境庁,1982)と2000年,2001年に調査された
植生図を見比べると香川県ではマツ林跡の多 くがアベマキ林やコナラ林となっている。戸 島ほか(2004)は都市の孤立林では鳥散布種 子由来の種が多いことを指摘している。まわ りが山林に囲まれて−いても種子供給源となる 森林と直接に接していなければ,重力散布型 果実を持つ樹木は侵入してこないため,鳥に よる被食散布型の果実や種子を持つ種が多く, それによって成立したのが五色台のクスノキ 林であると考えられる。 最後に,クスノキ林以後の遷移の過程につ いて考えたい。いずれのクスノキ林でも下層 にはクスノキの低木はほとんど見られず,現 在,上層を占めているクスノキが老齢化し、て− 枯死すると他の種に置き換わっていくと考え られる。五色台ではD2Hの頻度分布からみる と,シロダモやヤプニッケイがクスノキの下 層に幅広い大きさの範囲で成長していたこと から,将来はシロダモやヤプニッケイが林を 形成していくと考えられる。しかしながら, クスノキは各地の社寺林などで樹齢の高い大 木が生育していることが知られている(佐藤, 2004)ことから,クスノキ林からシロダモ・ ヤプニッケイの林になるには相当の年月がかかるものと思われる。中間町では,クスノキ
の林床にはヒサカキが非常に多かったことか ら,まだ遷移は進んでおらずはっきりとした 事は言えなかった。 2ケ所のクスノキ林を調査しただけでも, その組成構造は違ったものであった。香川県 内では二次林にクスノキが点在する程度のク スノキ林から,今回調査したクスノキ林のよ うに上層がはぼクスノキのみによって占めら れたクスノキ林まで,遷移段階が異なると思われるクスノキ林が存在する。そのため,
もっと多くのクスノキ林を調査すれば,より した。 第一・に,どのような群落から遷移したかに ついて一考えたい。1979年に調査された植生図 (環境庁,1982)では,いずれのクスノキ林 も「アカマツ群落」となっている。五色台は, 林床にアカマツの切り株があることや高木層 に高木性のアカマツ・コナラ林の指標種であ るエノキやアカメガシワ,ヤマザクラが存在 することからアカマツ林から遷移したと考え られる。1979年の植生図作成調査のときには, アカマツがまだ生育しており,現在上層を占 めているクスノキはアカマツ林の亜高木層以 下を占めていたと考えられる。その後マック イムシ被害を受けて,上層のアカマツが枯死 した後にクスノキが上層を占めるようになっ たと考えられる。1981年に坂出市西庄町の山 林で「マックイムシ被害のあとに生まれた二 次林」として亜高木層にクスノキが優占する 群落の植生調査を行われた例がある(和気・ 新居,1982)ことなどからその可能性は大き い。 しかしながら,中間町についてはマツの存 在した形跡はなく,林内の個体もクスノキの 他はヒサカキが非常に多い種組成の非常に単 純な林であることから,植林ではなかったか と考えられる。専売公社高松地方局では1948 年から5カ年計画でクスノキの造林を行って いるということが過去の新聞記事(四国新聞, 1952)によって確認できるが,その頃の植林 どすると50数年たっていることになる。クス ノキの大きさから見て,その頃から1962年に 樟脳専売法が廃止されるまでの期間に植林さ れたものと考えられる。第二に,種子散布型から考えたい。毎木調
査の結果,どちらの調査地においても種子散 布方法の個体数での割合は被食散布の割合が非常に大きかった。それに対して,重力散布
型の果実を、つけるアベマキやコナラ,さらに シイ・カシ林の優占種となるシイ・カシ類は 一 50 −持つ樹木は侵入してこないため,鳥による被 食散布型の果実や種子を持つ種が多くなるこ とによって成立した林が,五色台のクスノキ 林であると考えられた。