「造形遊び」における子どもの探究行動
― 小学校高学年を対象とした「造形遊び」の事例より ―
村 田 透
*Exploratory Behavior of Children in Artistic Play Activities :
Artistic Play Activities for schoolchildren
Toru MURATA
キーワード:造形遊び、探究、出来事生成としての学び、エピソード記述、相互行為分析 1.はじめに 本研究の目的は、小学校図画工作科における 「造形遊び」の表現過程に連続性や発展性を生 じさせる子どもの論理(見方・考え方)に基づ く探究の仕方(理解や納得の仕方)を明らかに することが目的である。 村田(2018)は上記の研究目的に基づき、松 本健義(2009)の「出来事生成としての学び」 と佐伯胖(2004)の「課題探究の多重構造」の 理論を援用して小学生対象の「造形遊び」を分 析・考察し、以下 4 点を明らかにした1) 。1 つ 目は、「造形遊び」において子どもは身の周りの 環境(もの、こと、人)と相互作用して、3 つの世 界(文化的世界、社会的世界、経験・活動的世界) の<意味>を相互に生成する。2 つ目は、子どもの 表現は多様な特徴(「材料遊び」、「操作遊び」、「構 成遊び」など)がある<いま―ここ>2) で成り立 つ。3 つ目は、子どもは表現過程で<意味・価 値>に気付き、<意味・問題>を創出し、「わか らない」状態から「わかる」状態にむけて、課 題探究をはじめる。その表現過程おいて、多様 な<意味>群が「課題解決」、「方略選択」、「自 己、視点」、「展開」という様々な層(レベル) に位置付けられ、順次問われることで納得し理 * 滋賀大学 解するに至る。4 つ目は、子ども個々の課題探 究による理解と子ども達がその場に固有の文化 的価値をつくり出すことは表裏一体となってい る。 小学校図画工作科「造形遊び」は、昭和 52 (1977)年の学習指導要領改訂において、「造形 的な遊び」として低学年に導入された。さらに 平成元(1989)年の改訂では、「造形的な遊び」 は「造形遊び」として低・中学年へ導入され、 平成 10(1998)年の改訂では、全学年へ導入さ れ現在に至る。平成元年改訂の学習指導要領に おいては「新しい学力観」が示され、「造形遊 び」を「新しい学力観」に立つ図画工作科の中 心的な内容として位置付けた3) 。 「造形遊び」とは、子ども自らが材料などに 進んで働きかけ、自分の感覚や行為を通して捉 えた形や色などからイメージをもち、思いのま まに発想や構想を繰り返し、技能を働かせると いう遊びがもつ教育的な意義と能動的で創造的 な性格に着目した造形活動であり、3 つの資質・ 能力(「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現 力等」、「学びに向かう力、人間性等」)を育成す る意図的な学 習である4) 。この学習活動は、以 下の「つくり、つくりかえ、つくる」という特 徴がある。 児童は一度つくって満足することもあるが、つくっている途中で考えが変わって、つくり かえることもある。次々に試したり、前につ くったものと今つくりつつあるものの間を行 きつ戻りつしたり、再構成したり、思ったと おりにいかないときは考えや方法を変えたり して、実現したい思いを大切にして活動して いる5) 。 上記の学習活動が特徴の「造形遊び」は、必 ずしも作品が残るとは限らないため、教師には 子どもがそのような学習過程の意味や価値を実 感できるようにすると共に、子どもの「見方・考 え方」を理解することが求められる。「見方・考 え方」とは「どのような視点で物事を捉え、どの ような考え方で思考していくのか」である6) 。 図画工作科の中心的な内容として位置付け た「造形遊び」であるが、学校教育において停 滞しているという指摘がある。阿部宏行(2017) の調査によると「絵や立体、工作」の実施率(各 学年 70%)に比べ、「造形遊び」の実施率は学 年を追うごとに減少し、第 6 学年では 30%であ る。その理由として、国や行政及び国立政策研 究所の現状の把握不足、教科書編成の課題(「造 形遊び」を紙面で伝えることの限界)、教員の指 導観(教材研究や研究機会の減少、固定的なカ リキュラムの踏襲、絵や立体などの公募展へ出 品しやすい学習活動が優位)があげられる7) 。 本研究は、前研究(村田 2018)の継続研究で あり、「つくり、つくりかえ、つくる」という学 習活動の特徴がある「造形遊び」について子ど もの論理(見方・考え方)に基づく探究の仕方 を明らかにすることが目的である。 研究方法として小学生対象の「造形遊び」の 授業を実践し、松本の「出来事生成としての学 び」と佐伯の「課題探究の多重構造」の理論を 援用して分析・考察を行う。 2.子どもの行為の具体性に迫る視点 2-1 <意味>生成としての「造形遊び」 子どもの論理(見方・考え方)に基づく探究 の仕方の具体性に迫るために、子どもの行為の 一つ一つを、<私>のかけがえのない<生>の 行為と捉える8) 。さらに、井筒俊彦の意味文節 理論9) に基づき、「造形遊び」においてつくり 出す何事かについて、子どもがかけがえのない 自らの身体を根拠として<感じ・考え・行為> して、材料・用具や他者などと関わり、意識の 深層から立ち上げた意味化の行為(<意味>生 成)ととらえる。以後、子どもがつくり出した 意味の相当する事柄を<>にて表記する。 2-2 「出来事生成としての学び」 松本は造形的活動にともなう日常生活場面 で子どもたちは以下 3 つの世界を重層的出来事 として生成することで、遊びや学習等の世界を 他者と協働的に実現しているとしている。 第一に、周囲のものに働きかけてものを記号 や道具としてつくり表すことで新たな意味を 現象させていく文化的世界の生成。第二に、文 化的世界の成立と現象を可能とする表現(記 号や道具)や場を他者と協働してつくり合い、 それらを遊び等の他者との実践において互い に使い合う新たな社会的世界の生成。第三に、 文化的で社会的な世界が生成される場や状況 に参加して、自分の感覚、思考、行為、経験 等をものや他者や出来事との相互作用により 新たにつくりだしていく経験・活動世界の生 成10) 。 この実践的関係性においてもの、活動、人々 は、活動や出来事内に特有な以下の 3 つの 質 へと生成される11) 。 (a)もの→対象(記号・道具) (b)活動→間主体(主観)的出来事世界 (c)人々→実践共同体(community of practice) 2-3 「課題探究の多重構造」 佐伯は「人は、生まれながらにして、わかろ うとしている」ということを前提にして、以下 2 つの公理を述べる。 人は生まれ落ちた瞬間から息を引き取るま で、いつも、「わからない」状態から「わか る」状態へむけての過渡的状態のままでいる し、また、「さらにわかろう」として、絶えず 活動しつづけている(略) 人は生まれたときから、己をとりまく文化 になじみ、その文化の発展と新しい文化的価
値の創造へ参加しようとしている12) 。 佐伯は「わかろうとする人間」が、何らかの 「課題解決」の作業の中で、「なるほど」と受け 入れ、「信じる」ためには、さまざまな層(レ ベル)での内的問いかけが、次々と順調に問わ れ、答えられる必要があり「課題探究の多重構 造」(図 113) )を提案する14) 。 課題探究は四つのレベルで進行する。表面的 にはレベルⅡ「課題解決(Task)」が進行して おり、何が問題かは明確に規定され、制約条件、 解法の手続きが決まっている。 レベルⅢ「方略選択(Meta-Cognition)」は、 レベルⅡの背後にあり、事態や文脈の中での当 面課題の位置づけ、役割、重要性や緊急性の考 慮や、得られた答えと当初の問題の「答え」と のつじつまを吟味するレベルである。 レベルⅣ「自己、視点(Belief)」は、「どう して 自分 はいまこの問題を考えなければな らないのか」、「どういうことが本当に大切なの か」、自分の役割や立場、過去の経験や学びとの かかわりなどを考えるレベルである。 最上位のレベルⅠ「展開(Signifi cance)」は、 他の問題(これから直面するであろう新しい問 い)との関連、よりよい解き方、答えのもつ意 味や意義、どういうことに使えそうかなどを考 えるレベルである。 図 1 課題探究の多重構造 2-4 研究の手続き 2-4-1 子どもの行為への関与と記録 「造形遊び」の授業は、研究協力者(滋賀大学 教育学部附属小学校の教師)が行う。子どもの 造形行為の記録は、研究スタッフ(筆者、学生 3 名)がビデオやカメラを用いて行う。研究ス タッフは「発達心理学的還元」15) と「臨床的還 元」16) をしながら、活動の場の「関与観察」を 行う。 「関与観察」とは、同じ一人の観察者 = 研究者 が、客観的観察者であると共に、観察対象(子 ども−教師・大人など)の関係に関与する第 3 項としての関与者になることである17) 。 授業後、研究スタッフと教師が子どもの行為 を振り返り、エピソード記述18) を作成する。さ らにエピソード記述の精度を確かなものとする ためにビデオ映像を基に相互行為分析19) を行 う。 2-4-2 事例の分析・考察 子どもの行為を、<意味>生成の行為と捉 え、「出来事の生成としての学び」と「課題探 究の多重構造」の理論を援用して分析・考察す る。 つまり「造形遊び」の場において、子どもが 身の周りの環境(もの、こと、人)と相互作用 して、3 つの世界(文化的世界、社会的世界、経 験・活動的世界)の<意味>を相互に生成する ありようを分析・考察する。くわえて、子ども が<意味>を「つくり、つくりかえ、つくる」 過程について、「見方・考え方」を働かせて問い を創出したり価値を吟味したりする探究の過程 と捉え、「造形遊び」における子どもの論理に基 づく探究の仕方を分析・考察する。 2-4-3 倫理的配慮 研究協力者(滋賀大学教育学部附属小学校) に対して本研究の目的・方法・内容を説明し、 了承を得た上で授業実践や論文執筆を行ってい る。また論文投稿や発表を行う際、プライバシー 保護の観点を踏まえて事前の資料確認と同意を 得た上で行っている。
3.事例の概要 3-1 事例の概要 ・対象:滋賀大学教育学部附属小学校第 6 学年 ・題材名:「紙コップをならべて、つんで、〇〇 〇して」 ・目標: 知識・技能 紙コップや空間の特徴 (形、色、数 量、面積など)に気付き、いろいろな方法(並 べ方、積み方など)を工夫している。 思考力、判断力、表現力等 自 分 の 思 い や 問 い (大きさ、頑丈さ、美しさなど)をもって、形 の構造や構成を考えている。 学びに向かう力 紙コップや空間の特徴に気付 き、自分の思いをもって造形的な活動に取り 組もうとしている。 ・材料:紙コップ(白色無地、150ml、約 15,000 個)、ワークシート。 ・指導計画(全 3 時間):第 1 次(2019 年 6 月 14 日)、第 2 次(6 月 21 日)、第 3 次(6 月 28 日)。 3-2 題材の内容や教育的効果と授業の工夫 本題材は、子どもが並べる、重ねる、積むと いう技法・行為を手がかりに、材料(紙コップ) と直接かかわりながら「見方・考え方」を働か せて、自らの造形物や行為を「つくり、つくり かえ、つくる」過程を大切にした「造形遊び」 の題材である。 ただし、花篤實・岡田 䇥吾・ 正宏が指摘す るように「造形遊び」の内容は子ども個々に応 じて「材料遊び」「操作遊び」「構成遊び」「模倣 遊び」20) など複数の特徴がある。 材料となる紙コップ(白色無地、軽量、一人 400 個程度)は、子どもが容易に並べる積むな どができる即時性、子どもが思いのままに様々 な技法や形や発想・構想などを試すことができ る多様性の特徴もある。 以上の本題材の魅力と教育的効果を活かす ため、授業中の教師や研究スタッフの働きかけ は、紙コップを並べたり積んだりなどの行為に ついてであり、作品づくりに傾斜した働きかけ は行わない。また、授業での振り返りの際、子 ども個々の「見方・考え方」をクラス全員で共 有するために複数名が発表をしたり、子どもが 自らの「見方・考え方」を整理・記録するため にワークシート21) を記入したりする。 4.事例の分析・考察 本事例は、A 児と B 児(共に男児)を中心と した事例である。全活動(授業時間 45 分×全 3 回、導入・振り返り・片づけを除いた活動時間 は約 25 分間)を通して、A 児と B 児は、個々 に造形行為を行うが、隣同士であるためお互い の造形物や行為を見ることが可能な位置関係に ある。 両者の探究の仕方や内容は異なる。A 児は 各事例で個別の探究(<高い塔>、<ピラミッ ド>、<前方後円墳>をつくる)をする。B 児 は第 1 次の段階では探究という構造を示さない が、第 2・3 次では<コップを繋げたホース状の ものをいかすには?>という探究を行う。 4-1 A 児の<意味>生成(第 1 次) 4-1-1 A 児の「出来事生成としての学び」 第 1 次(エピソード A-1)において、A 児は 約 25 分間、コップを<高い塔(円柱)>をつく るものとして固有の対象(記号・道具)化をす る。A 児の「造形遊び」は、同じ大きさの円を 積み続けるという「操作遊び(高い塔をつくる という「構成遊び」の要素も多い)」が中心であ る。 A 児は、開始早々、塔の 1 段目をコップ 10 個分の円周と決めて、円の内側にもコップを並 べ、2 段目以降も同様の個数でコップを積む(経 過 05:12 ∼ 09:28、図 2、図 3)。 さらに、A 児は塔の 2 段目以降にもコップを 積み続け、5 段目になると塔の内側に積んでい たコップを全て取り除く。A 児は研究スタッフ G に対し、塔の内部にコップを積んでいた意図 について「とりあえず何か:::柱みたいな感 じ。」、「(塔を)丈夫に。」と言う。塔を補強する 目的の内部の柱であったが、段数を重ねるにつ れてコップを積み難く崩れやすいと判断し、塔 の内側のコップを全て取り除く(経過 10:24 ∼ 15:25)。 コップを並べたり積んだりするのは塔の外 周のみと判断した A 児は、6 段目以降のコップ
を積む行為がスムーズとなる。塔の 9 段目にさ しかかった頃、教師が子ども達に活動の残り時 間が 10 分程度であることを伝える。この頃から A 児は、活動時間内に塔を何段つくることがで きるのかを強く意識する(経過 15:56 ∼ 20:07)。 塔の 10 段目以降、A 児は塔をタブレット PC で撮影したり、段数を数えたり、離れて見て形 を整えたりする。13 段目で A 児は、「いや(.) けっこう難しくなってきた。」、「ちょっと怖い (.)これは。」と言い、より一層慎重にコップを 積む。塔が 18 段目(A 児の鼻くらいの高さ)と なった頃、活動時間が終了する(経過 20:07 ∼ 28:47、図 4)。 「出来事の生成としての学び」を援用すると、 A 児は以下 3 つの<意味>世界を同時に相互に 生成したといえる(表 1)。 表 1「エピソード A-1 A 児の出来事生成としての学び」 ・A 児の文化的世界 <高い塔(円柱)をつくることができる紙 コップ。> ・A 児の経験・活動的世界 <紙コップを並べ・積みながら高い塔をつく る。> ・A 児の社会的世界 <一人で時間内に高い塔(整然かつ丈夫)が できる存在。> 4-1-2 A 児の「課題探究」(表 2) 第 1 次における A 児の<意味>生成について 「課題探究の多重構造」を基に考察する。A 児 はレベルⅡ「課題解決(<一人で時間内にどれ 位の高い塔ができるのか?>)」という問いを自 ら創出したと考えられる。 A 児のレベルⅡ「課題解決」の問いの創出の 源は、レベルⅣ「自己、視点」である。当初の 「自己、視点」は、<自分一人で、高い塔(円柱) をつくりたい。>であったと思われる。ただし、 「自己、視点」は活動を通して変化する。A 児は つくりながら<整然とした形(円周がコップ 10 個分)で丈夫な塔にしたい。>、<活動時間内 に塔をできるたけ高くしたい。>というように 「自己、視点」をより具体化・明確化させる。そ の過程で、レベルⅢ「方略選択」において塔の 規模やコップの並べ方や積み方を考え、レベル Ⅱ「課題解決」における様々な「解法の手続き」 を試みることにより、新たな<意味・価値>(レ ベルⅡ「課題解決」の答え<一人で時間内に高 い塔(円周がコップ 10 個分、高さ 18 段、整然 かつ丈夫)ができた。>)を創出する。 さらに A 児は、興味・関心がある他児の造形 物・行為からレベルⅠ「展開」やレベルⅣ「活 動後の自己、視点(<方墳(ピラミッド)をつ くりたい。>)」を創出する。 4-2 A 児の < 意味 > 生成(第 2 次) 4-2-1 A 児の「出来事生成としての学び」 第 2 次(エピソード A-2)において、A 児は 約 25 分間、コップを<整然としたピラミッド (四角錘)>をつくるものとして固有の対象(記 号・道具)化をする。A 児の「造形遊び」は、 整然としたピラミッド(四角錘)をつくる「構 成遊び、模倣遊び(並べる・積むという技法を 楽しむ「操作遊び」の要素も多い)」が中心であ る。 A 児は、開始早々、1 次と同じ場所にコップを 直線的に 10 個並べて、正方形をつくる。さらに A 児は正方形の内側にもコップを並べたり、周 りの子ども達の様子を見たり、隣の B 児がコッ プをホース状につなげている様子を見て苦笑い する (経過 05:08 ∼ 10:29、図 5)。 A 児は自分がつくった正方形について、研究 スタッフ G に対し、「10 × 10。」と言い数にこだ わっていること(1 次の塔も円周はコップ 10 個 分)や、「出荷前の工場(.)出荷前の工場みた い(.)こっちからロボットがこう。」と整然と コップが並んでいる様子を嬉しそうに言う(経 過 10:49 ∼ 12:26)。 A 児は正方形の 2 段目以降にもコップを並べ 続ける。<整然とした形のピラミッド>とする ために、2 段目以降の正方形の一辺のコップ数 をこだわる(1 段目一辺 10 個、2 段目以降は 1 段ずつ一辺の個数を減らす)。さらに、活動時間 で完成することを強く意識して、「時間無いん ですよね(この時点で残り 15 分間程度)。」、「完 成するか(.)無理かもしれない。」と言う。く わえて、「こういうのが怖い。」と、ピラミッド の上にコップを落として崩れることに神経を尖 らせる。その他、周りの子ども達の造形物が崩 れる様子を見聞きして「みんな(.)一辺(.)壊
れてはんねんな。」と言う(経過 12:40 ∼ 18:11、 図 6)。 A 児は、ピラミッドの 2 段目以降にもコップ を慎重かつ整然と積み続ける。時折、周りの子 ども達の造形物が崩れる様子を見聞きしたり、 時計を見て残り時間を確認したりする。教師が 活動終了 5 分前を伝えた際、ピラミッドは 3 段 目の途中である(経過 18:38 ∼ 25:13)。 A 児は、活動終了 5 分前以降、よりいっそ うコップを並べたり積んだりする行為を速くス ムーズに行い、最終 10 段目が近づくと「よっ しゃぁ::::。」と言い、最後のコップを置く と「時間も間に合ったし。」、「できた。」と喜び を示す。(経過 25:33 ∼ 33:37、図 7)。 「出来事の生成としての学び」を援用すると、 A 児は以下 3 つの<意味>世界を同時に相互に 生成したといえる(表 3)。 表 3「エピソード A-2 A 児の出来事生成としての学び」 ・A 児の文化的世界 <ピラミッド(四角錘)をつくることができ る紙コップ。> ・A 児の経験・活動的世界 <紙コップを並べ・積みながらピラミッドを つくる。> ・A 児の社会的世界 <一人で時間内に整然としたピラミッドが できる存在。> 4-2-2 A 児の「課題探究」(表 4) 第 2 次における A 児の<意味>生成について 「課題探究の多重構造」を基に考察する。A 児は レベルⅡ「課題解決(<一人で時間内に整然と したピラミッド(四角錘)ができるのか?>)」 という問いを自ら創出したと考えられる。 A 児のレベルⅡ「課題解決」の問いの創出の 源は、レベルⅣ「自己、視点」である。今回の 「自己、視点」は第 1 次の「活動後の自己、視 点」の継続である。当初の「自己、視点」は、 <一人で整然としたピラミッド(四角錘)をつ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ⋞ ঽ ഞ ଳ ਡ ⋝ ্ റ ৭ උ ⋜ ୖ ੰ ৠ ⋛ ன ৫ (S1R $ ␟ ␠ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ پ པ ؛ ણ র भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ঽ ী য द ৈ ः ྶ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ٛ ତ ே ध ख ञ द ຣ ऩ ྶ प ख ञ ः ؛ ٜ ٛ ણ ৎ प ྶ ॑ द ऌ ॊ ञ ऐ ৈ ऎ ख ञ ः ؛ ٜ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ্ ኗ আ ছ ॵ ॻ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ਖ ৭ උ ٛ ৈ ः ྶ ॑ ण ऎ ॊ प म ء ٜ ੰ ১ ৭ උ ٛ য द द ऌ ॊ ૠ ெ ध म ء ٜ ٛ ৈ ऎ ؞ ତ ே؞ຣ प घ ॊ ञ ी प न भ े अ प ॥ ॵ উ ॑ ధ स ॊ ؞ ि ء ٜ ৯ ఏ ৭ උ ٛ য द ৎ प द ऌ ॊ ट ऐ ৈ ः ྶ ॑ য ण ऎ ॊ ؛ ٜ ਖ ٛ য द ৎ प न ो ਜ਼ भ ৈ ः ྶ ऋ द ऌ ॊ भ ऊ ء ٜ ੰ ১ भ ু ਢ ऌ ٛ ఢ ऋ ॥ ॵ উ ী भ ध घ ॊ ؛ ٜ ٛ ྶ भ ડ प ॥ ॵ উ ॑ ధ स थ ຣ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ྶ भ ડ भ ॥ ॵ উ ॑ ऌ ఢ भ ा प ॥ ॵ উ ॑ ि ؛ ٜ ௦ इ ٛ য द ৎ प ৈ ः ྶ ق ఢ ऋ ॥ ॵ উ ী ৈ औ ତ ே ऊ ण ຣ ك ऋ द ऌ ञ ؛ ٜ भ ਖ ध भ ঢ় ৴ ٛ ੬ য ੌ؟न भ े अ प আ ছ ॵ ॻ ॑ ण ऎ ॊ ء ٜ भ ૭ ચ ऩ ্ റ ध भ ঢ় ৴ ٛ ੬ য ੌ؟ী ॑ ख थ ॥ ॵ উ ॑ ि ؛ ٜ ٛ ੬ য ੌ ؟ ਕ ഓ ᑪ ध घ ॊ ञ ी प ৯ ਰ ఋ म ॥ ॵ উ भ ਯ ॑ ै ख ऩ ऋ ै ि ؛ ٜ भ ટ ध भ ि घ ल ण ऌ ٛ ੬ য ੌ؟আ ছ ॵ ॻ ఈ ৺ ৈ औ ऋ द ऌ ॊ ऋ ତ ே ध ख ञ द म ऩ ः ؛ ٜ 【表 2】 A 児の課題探究の多重構造(エピソード A-1)
くりたい。>であったと思われる。ただし、「自 己、視点」は活動を通して変化する。A 児はつ くりながら周りの子ども達の造形物が崩れる様 子を見聞きし<丈夫なピラミッドにしたい。> や、時計を見ながら<活動時間内に完成させた い。>というように「自己、視点」の内容をよ り具体化・明確化させる。その過程で、レベル Ⅲ「方略選択」においてピラミッドの規模やコッ プの並べ方や積み方を考え、レベルⅡ「課題解 決」における様々な「解法の手続き」を試みる ことにより、新たな<意味・価値>(レベルⅡ 「課題解決」の答え<一人で時間内に整然とした ピラミッド(四角錘、1 段目コップ 10 × 10 個 分、高さ 10 段)が完成した。ただし、崩れやす い。>)を創出する。 さらに A 児は、興味・関心がある他児の造形 物・行為からレベルⅠ「展開」やレベルⅣ「活 動後の自己、視点(<安定した(丈夫な)前方 後円墳をつくりたい。>)」を創出する。 4-3 A 児の < 意味 > 生成(第 3 次) 4-3-1 A 児の「出来事生成としての学び」 第 3 次(エピソード A-3)において、A 児は 約 25 分間、コップを<安定した前方後円墳> をつくるものとして固有の対象(記号・道具) 化をする。A 児の「造形遊び」は、安定した前 方後円墳をつくる「構成遊び、模倣遊び(並べ る・積むという技法を楽しむ「操作遊び」の要 素も多い)」が中心である。 A 児は、開始早々、2 次と同じ場所でコップ を円形に並べて円墳部分の輪郭をつくる(コッ プの個数を数えて、コップ 20 個分の円周とす る)。さらに円墳部分から直線的にコップを並 べて方墳部分の輪郭をつくる。 方墳の各辺の角 度や長さ(コップ数)を試行錯誤し、最終的に は各辺がコップ 10 個分の台形とする。A 児は、 研究スタッフ G に対し「とりあえずここ(円墳 の円周)が 20 で。」、「(方墳の各辺)こっから ここまでが 10(.)ここからここまでが 10 で。」、 「ここ(方墳の底辺)が適当に合わせる。」と言 う (経過 06:30 ∼ 13:34、図 8)。 ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ⋞ ঽ ഞ ଳ ਡ ⋝ ্ റ ৭ උ ⋜ ୖ ੰ ৠ ⋛ ன ৫ (S1R $ ␟ ␠ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ্ ኗ আ ছ ॵ ॻ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ણ র भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ য द ତ ே ध ख ञ আ ছ ॵ ॻ ഓ ᑪ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ٛ ຣ ऩ আ ছ ॵ ॻ प ख ञ ः ؛ ٜ ٛ ણ ৎ प ਛ औ च ञ ः ؛ ٜ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ख ञ ຣ ऩ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ਖ ৭ උ ٛ আ ছ ॵ ॻ ॑ ण ऎ ॊ प म ء ٜ ੰ ১ ৭ උ ٛ য द ৎ प द ऌ ॊ ૠ ெ ध म ء ٜ ٛ ତ ே ध ຣ प घ ॊ ञ ी न भ े अ प ॥ ॵ উ ॑ ధ स ॊ؞ ि ء ٜ ৯ ఏ ৭ උ ٛ য द ৎ प ତ ே ध ख ञ भ আ ছ ॵ ॻ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ਖ ٛ য द ৎ प ତ ே ध ख ञ আ ছ ॵ ॻ ഓ ᑪ ऋ द ऌ ॊ भ ऊ ء ٜ ੰ ১ भ ু ਢ ऌ ٛ ৯ ॑ ॥ ॵ উ ¼ भ ਫ ্ ध घ ॊ ؛ ٜ ٛ ਫ ্ भ ડ प 傝 ऩ ऎ ॥ ॵ উ ॑ ధ स ॊ ؛ ٜ ٛ ৯ ਰ ఋ भ ਫ ্ म ఈ भ ॥ ॵ উ ਯ ॑ ङ ण ै घ ؛ ٜ ௦ इ ٛ য द ৎ प ତ ே ध ख ञ আ ছ ॵ ॻ ഓ ᑪ ৯ ॥ ॵ উ ¼ ী ৈ औ ऋ ਛ ख ञ ؛ ञ ट ख ട ो ृ घ ः ؛ ٜ भ ਖ ध भ ঢ় ৴ ٛ য ੌ؟न भ े अ प ख थ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॊ ء ٜ भ ૭ ચ ऩ ্ റ ध भ ঢ় ৴ ٛ য ੌ؟ী ॑ ख थ ॥ ॵ উ ॑ ि ؛ٜ ٛ ৈ ऎ প ऌ ऎ घ ॊ ञ ी ॥ ॵ উ ॑ प ధ स ञ ॉ ॒ ट ॉ घ ॊ ؛ٜ भ ટ ध भ ि घ ल ण ऌ ٛ য ੌ؟ৈ औ ऋ ँ ॊ ্ ኗ য ऋ ো ॊ প ऌ औ ৈ औ ऋ द ऌ ञ ऋ ട ो ृ घ ः ؛ ٜ 【表 4】 A 児の課題探究の多重構造(エピソード A-2)
A 児は、きれいなコップと歪んでいるコップ を選り分けながら、伱間なく整然と円墳の内側 にコップを並べ始める。その後、方墳の内側に もコップを並べ始めるが、円墳と方墳の接続部 分にコップが整然と並ばず、迷いながらコップ を並べる(経過 13:42 ∼ 20:03、図 9)。 教師が活動終了 5 分前を伝える。A 児は研究 スタッフ G に対し「絶対無理(.)完成するの。」、 「形だけ(.)形だけしか無理。」、「(コップを)乗 せようとして( )絶対無理。」と言う。 さらに A 児は「形になればいい。」、「できるだけ (コップの)個数にこだわりたかったけど。」と 言い、前方後円墳(複数段構造)を時間内に完 成させるという当初の予定に困難が生じ、整然 とした形やコップ数へのこだわりを断念して、 前方後円墳の形を成すことを最優先させる(経 過 20:40 ∼ 21:27)。 前方後円墳の 1 段目にコップを並べ終えた 後、A 児は全体の形を整えようとするが、円墳 部分に伱間なくコップを並べると当初の円周が 20 個分ではなく 21 個分になるため「まるのと ころは(.)まるのところの数は難しい。」と言 う。また、方墳の各辺の角度を調整するが同じ 角度とはならない(経過 21:28 ∼ 22:00)。 A 児は前方後円墳の 2 段目のコップを円墳部 分から並べ始める。ただし、1 段目にコップを 敷き詰めたものの、必ず伱間が生じるため 2 段 目を整然と並べることができない。方墳部分で も同様の問題が生じる。A 児は研究スタッフ G に「雑になってきたな。」、「(1 段目のコップの) 伱間が空きすぎているから。」と言いながらも、 活動終了までに前方後円墳の 2 段目の途中(方 墳の約半分を積み残す)に至り、「以外とでき た。」と微笑む(経過 23:13 ∼ 27:58、図 10)。 「出来事の生成としての学び」を援用すると、 A 児は以下 3 つの<意味>世界を同時に相互に 生成したといえる(表 5)。 表 5「エピソード A-3 A 児の出来事生成としての学び」 ・A 児の文化的世界 <前方後円墳をつくることができる紙コッ プ。> ・A 児の経験・活動的世界 <紙コップを並べ・積みながら前方後円墳を つくる。> ・A 児の社会的世界 <一人で前方後円墳(2 段目の途中まで)が できる存在。> 4-3-2 A 児の「課題探究」(表 6) A 児の<意味>生成について「課題探究の多 重構造」を基に考察する。A 児はレベルⅡ「課 題解決(<一人で時間内に整然と安定した前方 後円墳ができるのか?>)」という問いを自ら創 出したと考えられる。 A 児のレベルⅡ「課題解決」の問いの創出の 源は、レベルⅣ「自己、視点」である。今回の 「自己、視点」は第 2 次の「活動後の自己、視点」 の継続である。当初の「自己、視点」は、<一人 で安定した形の前方後円墳をつくりたい。>、 <整然とした形の前方後円墳にしたい。>、< 活動時間内に完成させたい。>であったと思わ れる。ただし、「自己、視点」は活動を通して変 化する。A 児は前方後円墳が塔(円柱)やピラ ミッド(四角錘)に比べて形が複雑であるため、 予想外に時間や労力がかかることに気付き、「自 己、視点」の内容を<一人で前方後円墳をつく りたい。>というように現状を考慮して修正す る。その過程で、レベルⅢ「方略選択」におい て前方後円墳の規模やコップの並べ方や積み方 を考え、レベルⅡ「課題解決」における様々な 「解法の手続き」を試みることにより、新たな< 意味・価値>(レベルⅡ「課題解決」の答え< 前方後円墳(円墳の円周コップ 21 個分、方墳の 各辺コップ 10 個分、2 段目の途中)ができた。 ただし形が難しく短時間のため整然とした形と はいえず、小さくて脆い。>)を創出する。 さらに A 児は、興味・関心がある他児の造形 物・行為からレベルⅠ「展開」やレベルⅣ「活 動後の自己、視点(<コップを繋げたホース状 のものを使い、速く・大きく・安定(丈夫)し た造形物をつくりたい。>)」を創出する。
4-4 B 児の < 意味 > 生成(第 1 次) 4-4-1 B 児の「出来事生成としての学び」 第 1 次(エピソード B-1)において、B 児は 約 25 分間、コップを多様な並べ方や繋ぎ方や形 (<神戸ポートタワー>、<ホース状のもの>、 <前方後円墳>など)ができるものとして固有 の対象(記号・道具)化をする。B 児の「造形遊 び」は、時折「模倣遊び」があるものの、コッ プを繋げてホース状にして様々に形を変えると いう「操作遊び」が中心である。 B 児は、活動当初、C 児と共にタブレット PC の神戸ポートタワーの画像を見ながら、コップ を繋げたものを柱にように 4 本立てる。しかし、 B 児は 4 本の柱を倒して一本のホース状に繋い で様々な形(輪→Ω形→ 9 字形→両端が交差し た輪)をつくる(経過 06:25 ∼ 13:41、図 11、図 12)。C 児はコップを繋げたものを柱にして 4 本 立てて神戸ポートタワーをつくり続ける。 B 児は「前方後円墳つくりたい。」と言い、 ホース状のものを輪にしたり、コップをコ字型 に並べたりするが全て片付ける。B 児は輪の形 を切り離し、ホース状のものの端を手にもって 蛇のようにうねらせる(経過 14:18 ∼ 17:05)。 B 児は、ホース状のものにコップを次々と繋 げてホールの窓側から中央に広がる大きな逆の 字形とする。B 児は、逆の字形を大きくするた めに、材料ケースからコップの束を次々と持っ てきたり床に散らばっているコップを集めたり するが、他児からコップの使い過ぎを指摘され る。時折 B 児は、A 児の塔(胸くらいまでの高 さ)を見たりする。(経過 17:22 ∼ 27:18)。 B 児は、大きな逆の字形の端に寝て、自分の 身長を基にして長さを測り始める。逆の字形が 自分の身長の 7 倍あることがわかり、満足した 様子を見せる(経過 27:41 ∼ 29:40、図 13)。 「出来事の生成としての学び」を援用すると、 B 児は以下 3 つの<意味>世界を同時に相互に 生成したといえる(表 7)。 ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ⋞ ঽ ഞ ଳ ਡ ⋝ ্ റ ৭ උ ⋜ ୖ ੰ ৠ ⋛ ன ৫ (S1R $ ␟ ␠ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ख ञ ຣ ऩ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ણ র भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ য द ख ञ भ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ٛ ତ ே ध ख ञ भ ্ ኗ प ख ञ ः ؛ ٜ ٛ ણ ৎ प ਛ औ च ञ ः ؛ ٜ ٛ য द ্ ኗ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ ञ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ઞ ः ச ऎ ؞ প ऌ ऎ ؞ ຣ ख ञ ୗ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ਖ ৭ උ ٛ ख ञ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॊ प म ء ٜ ੰ ১ ৭ උ ٛ য द ৎ प द ऌ ॊ ૠ ெ ध म ء ٜ ٛ ତ ே ध ख ञ ध घ ॊ ञ ी न भ े अ प ॥ ॵ উ ॑ ధ स ॊ ؞ ि ء ٜ ৯ ఏ ৭ උ ٛ য द ৎ प ତ ே ध ख ञ भ আ ছ ॵ ॻ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ਖ ٛ য द ৎ प ତ ே ध ख ञ ্ ኗ ऋ द ऌ ॊ भ ऊ ء ٜ ੰ ১ भ ু ਢ ऌ ٛ ఢ ऋ ॥ ॵ উ ী भ ኗ ध घ ॊ ؛ٜ ٛ ৸ ৬ भ ং ছ থ ५ ॑ ৄ थ ্ ኗ भ ఈ भ ਯ ॑ ৹ ତ ख ఈ ॑ ী ध घ ॊ ؛ٜ ٛ ্ ኗ भ ડ ृ ৯ प ତ ே ध ॥ ॵ উ ॑ ధ स ॊ ؛ ٜ ௦ इ ٛ ্ ኗ ኗ भ ఢ ॥ ॵ উ ী ্ ኗ भ ఈ ॥ ॵ উ ী ৯ भ ಥ র ऋ द ऌ ञ ؛ञ ट ख ऋ ख ऎ ಢ ৎ भ ञ ी ତ ே ध ख ञ ध म ः इ ङ ৵ औ ऎ थ ᒤ ः ؛ ٜ भ ਖ ध भ ঢ় ৴ भ ૭ ચ ऩ ্ റ ध भ ঢ় ৴ भ ટ ध भ ि घ ल ण ऌ پ $ ు म % ు भ ষ ನ ृ ୗ ॑ ৄ थ ௪ ঢ় ੱ ॑ ં ख थ ः ॊ ऒ ध ऊ ै َ ⋛ ன ৫ ُ भ ઍ प ੌ ा ॒ द ः ॊ ध ઓ ॎ ो ॊ ؛ پ % ు भ ষ ನ ृ ୗ म ( S 1 R % َ ⋜ ୖ ੰ ৠ ُ ॑ ස ؛ 【表 6】 A 児の課題探究の多重構造(エピソード A-3)
表 7「エピソード B-1 B 児の出来事生成としての学び」 ・B 児の文化的世界 < 多 様 な 並 べ 方 や 繋 ぎ 方 や 形 が で き る 紙 コップ。> ・A 児の経験・活動的世界 <紙コップを並べたり繋げたりして多様な 形をつくる。> ・A 児の社会的世界 <一人で多様な並べ方や繋ぎ方や形ができ る存在。> 4-4-2 B 児の「課題探究」(表 8) 第 2 次の B 児の<意味>生成について「課題 探究の多重構造」を基に考察する。B 児の多様な 表現行為はレベルⅡ「課題解決」としては「問 題」→「解法の手続き」→「答え」という構造 が明確化・具体化していない状態といえる。 それに伴い B 児のレベルⅣ「自己、視点」も その都度の興味・関心に応じて多様に変化する (< C 児と共につくりたい>、<コップを繋げ たホース状のものを活かしたい。>、<立体物 (前方後円墳)をつくりたい。>、<ホース状の ものを長くしたい。>) 。 ただし、活動の終盤、B 児は自らの造形物・ 行為の<意味・価値>(<逆の字形の長さを測 る(身長の 7 倍の長さ)。>)を発見したり、興 味・関心がある他児(A・B 児)の造形物・行 為見聞きしたりして、レベルⅠ「展開」やレベ ルⅣ「活動後の自己、視点(<もっと立体的で 長いホース状のものをつくりたい。>)」を創出 する。 4-5 B 児の < 意味 > 生成(第 2 次) 4-5-1 B 児の「出来事生成としての学び」 第 2 次(エピソード B-2)において、B 児は約 25 分間、コップを<長いホース状の造形物>が できるものとして固有の対象(記号・道具)化 をする。B 児の「造形遊び」は、時折「構成遊 び」があるものの、コップを繋げてホース状に ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ⋞ ঽ ഞ ଳ ਡ ⋝ ্ റ ৭ උ ⋜ ୖ ੰ ৠ ⋛ ன ৫ (S1R % ␟ ␠ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ پ པ ؛ ણ র भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ & ు ध ુ प ण ऎ ॉ ञ ः ٜ ٛ ॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ ञ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ ः ؛ٜ ٛ য় ৬ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ শ ऎ ख ञ ः ؛ ٜ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ु ढ ध য় ৬ द শ ः ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ਖ ৭ උ ੰ ১ ৭ උ ৯ ఏ ৭ උ پ ः ङ ो ु པ ؛ ਖ ੰ ১ भ ু ਢ ऌ ௦ इ پ ः ङ ो ु པ ؛ پ ਖ प ৌ घ ॊ ௦ इ ध ः अ ଡ ୗ द म ऩ ः ऋ % ు ऋ ण ऎ ॉ ল ख ञ ٛ ਔ ٜ म ਰ ৣ द ँ ॊ ؛ ٛ & ు ध ઋ ૺ এ ش ॺ ॱ ড ش ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ٛ য द ॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ थ ش ५ ૾ ڀ ڀ ̚ ڀ ஊ ڀ ഈ ऋ ઐ ୷ ख ञ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ अ ब ै च ॊ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ द প ऌ ऩ ಗ भ ஊ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ಗ भ ஊ भ শ औ ॑ ॊ ମ শ भ भ শ औ ؛ ٜ भ ਖ ध भ ঢ় ৴ ٛ & ు؟न भ े अ प ख थ ઋ ૺ এ ش ॺ ॱ ড ش ॑ ण ऎ ॊ ء ٜ भ ૭ ચ ऩ ্ റ ध भ ঢ় ৴ ٛ & ు؟॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ ञ ु भ ॑ ম য় थ थ ྶ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ & ు ؟ ॥ ॵ উ ॑ ధ स ञ ॉ ॒ ट ॉ ख थ ઉ ্ ৬ ृ ਕ ഓ भ ਕ भ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ भ ટ ध भ ि घ ल ण ऌ ٛ & ు؟॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ ञ ॉ ధ स ञ ॉ ॒ ट ॉ ख थ য় ৬ ऩ ઋ ૺ এ ش ॺ ॱ ড ش ऋ द ऌ ञ ؛ ٜ پ % ు म $ ు भ ষ ನ ु ৄ ॊ ؛ 【表 8】 B 児の課題探究の多重構造(エピソード B-1)
するという「操作遊び」が中心である。 B 児は、開始早々、材料ケースからコップの 束を持ってきては繋ぎ続けて、第 1 次のように ホース状にして、蛇のようにうねらせる。時折、 B 児は A 児の造形物(正方形にコップを並べる) や C 児たちの造形物(円錐状にコップを積む) を見たりする(経過 06:36 ∼ 11:33、図 14)。 B 児は、第 1 次のようにホース状のものの長 さを自分の身長を基に測り、「まえ 7 倍あったけ ど(.)いま 3 倍しかない。」と研究スタッフ M に言う。B はホース状のものを長くしたいもの の、余分なコップが無いため手持無沙汰となる (経過 11:56 ∼ 14:24)。 教師が補充用のコップが入った材料ケース を持ってくると、B 児は即座にコップの束を 取ってホース状のものに継ぎ足し続ける。ホー ス状のものはホールの窓側から中央に広がる大 きな U 字形となる(経過 14:41 ∼ 17:12)。 B 児は教師に「えっ( )巻いているあれ をつくりたいねん(.)あれを(.)ソフトクリー ムみないな。」と言いながら、身振りで螺旋状の 形を示す。B 児は広い場所を求めて大きな U 字 形を切り離して 3 つの輪をつくり 3 段重ねにし て、1 次と同じ場所に移動する。その後、B 児は 3 つの輪をほどいて一本のホース状に繋ぎ、さ らにコップを継ぎ足して、ホールの半分に広が る大きな U 字形にする(経過 17:46 ∼ 27:14、図 15)。 教師が活動終了 5 分前を子ども達に伝える と、B 児は、大きな U 字形の端に寝て、自分の 身長を基にして長さを測り始める。U 字形が自 分の身長の 13 倍あることがわかり、満足した様 子を見せる(経過 27:14 ∼ 33:09、図 16)。 「出来事の生成としての学び」を援用すると、 B 児は以下 3 つの<意味>世界を同時に相互に 生成したといえる(表 9)。 表 9「エピソード B-2 B 児の出来事生成としての学び」 ・B 児の文化的世界 <長いホース状のものができる紙コップ。> ・A 児の経験・活動的世界 <紙コップを繋げ続けて長いホース状のも のをつくる。> ・A 児の社会的世界 <一人で時間内に前回(身長の 7 倍)より長 いホース状のもの(身長の 13 倍)ができる 存在。> 4-5-2 B 児の「課題探究」(表 10) 第 2 次における B 児の<意味>生成について 「課題探究の多重構造」を基に考察する。B 児は レベルⅡ「課題解決(<一人でホース状のもの で長い立体物ができるのか?>)」という問いを 自ら創出したと考えられる。 A 児のレベルⅡ「課題解決」の問いの創出の 源は、レベルⅣ「自己、視点」である。今回の 「自己、視点」は第 1 次の「活動後の自己、視点」 の継続である。当初の「自己、視点」は、<コッ プを繋げたホース状のものを活かしたい。>、 <立体的で長いものをつくりたい。>であった と思われる。ただし、「自己、視点」は活動を通 して変化する。B 児は「自己、視点」を<立体 的(螺旋状)にしたい。>と具体化・明確化さ せるが、活動する場所が狭いため移動が必要で あることやホース状のものを立体的にするため の残り時間が少ないこと気付き、<前回よりも ホース状のものを長くしたい。>というように 現状を考慮して「自己、視点」を修正する。そ の過程で、レベルⅢ「方略選択」においてコッ プの確保や繋ぎ方や活動場所を考え、レベルⅡ 「課題解決」における様々な「解法の手続き」を 試みることにより、新たな<意味・価値>(レ ベルⅡ「課題解決」の答え<一人で、前回より 長いホース状のもの(身長の 13 倍)ができた。 ただし、立体的ではない。>)を創出する。 さらに B 児は、興味・関心がある他児(A 児 や C 児たち)の造形物・行為からレベルⅠ「展 開」やレベルⅣ「活動後の自己、視点(<ホース 状のものを活かした立体物をつくりたい。>)」 を創出する。
4-6 B 児の < 意味 > 生成(第 3 次) 4-6-1 B 児の「出来事生成としての学び」 第 3 次(エピソード B-3)において、B 児は約 25 分間、コップを<ホース状の多様な造形物> ができるものとして固有の対象(記号・道具) 化をする。B 児の「造形遊び」は、コップを繋 ぎホース状にする「操作遊び」とホース状のも のを活かした立体物をつくる「構成遊び」であ る。 B 児は、開始早々、材料ケースからコップ の束をもってきて第 1・2 次同様、一本に繋ぎ ホース状にする。B 児は「結ぶ(.)結ぶねん。」 と研究スタッフ M に言い、ホース状のものを 両端が交差した輪の形とする。さらに B 児は、 コップを繋ぎ続けて、輪と輪が立体的に交差 する 8 字形とする(経過 06:38 ∼ 12:37、図 17、 図 18)。 B 児は、立体的に交差した 8 字形をほどき、2 つの輪をつくり、2 段重ねにする(2 つの輪は、 ほぼ同じ大きさ)。B 児は教師に螺旋状の立体物 をつくりたいことを説明する。さらに B 児は、 研究スタッフ M に「んん:::結べへんかっ た。」と言い、当初のホース状のもので結ぶ形 の造形物を断念したことを言う(経過 13:09 ∼ 18:16)。 B 児は、2 段重ねの輪の 2 段目がばらけたた め、1 段目の輪の内側にコップを一列に並べる。 その後、B 児は 1 段目の輪の内側に並べたコッ プの上に 2 段目の輪を置く(2 段目の輪が調度 良く乗る大きさ)。B 児は、教師に螺旋状に手を 動かしながら、この調子で次々と上に輪を重ね たいことを伝える(経過 18:23 ∼ 20:30)。 B 児は 2 段重ねの輪の内側 1 段目にコップを 次々と並べ始める。輪の 1 段目の内側に伱間な くコップを敷き詰めると、輪の 2 段目の内側に もコップを並べ始める。教師が子ども達に活動 終了間近であることを伝えると、B 児は慎重に 2 段目の輪の内側にコップを並べる。活動終了 までに、B 児は 2 段目の輪の内側 3 列目の途中 まで伱間なく整然とコップを並べることができ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ⋞ ঽ ഞ ଳ ਡ ⋝ ্ റ ৭ උ ⋜ ୖ ੰ ৠ ⋛ ன ৫ (S1R % ␟ ␠ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ु ढ ध য় ৬ द শ ः ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ણ র भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ ञ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ ः ؛ ٜ ٛ য় ৬ द শ ः ु भ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ٛ য় ৬ ᒓ ᄑ ૾ प ख ञ ः ؛ ٜ ٛ े ॉ ु ش ५ ૾ भ ु भ ॑ শ ऎ ख ञ ः ؛ ٜ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ য় ৬ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ਖ ৭ උ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ घ प म ء ٜ ੰ ১ ৭ උ ٛ ु ढ ध য় ৬ द শ ऎ घ ॊ ञ ी प न भ े अ प ॥ ॵ উ ॑ ન ৳ ख थ ᇽ ऑ ञ ॉ ॒ ट ॉ घ ॊ ء ٜ ٛ ୦ ૪ द ण ऎ ॊ ء ٜ ৯ ఏ ৭ උ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ শ ः য় ৬ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ਖ ٛ য द ش ५ ૾ भ ु भ द শ ः য় ৬ ऋ द ऌ ॊ भ ऊ ء ٜ ੰ ১ भ ু ਢ ऌ ٛ ॥ ॵ উ ॑ ञ ऎ औ ॒ ૐ ी थ ᇽ ऍ ش ५ ૾ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ अ ब ै च ॊ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ऊ ै ण भ ॑ ण ऎ ॉ ब प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ द প ऌ ऩ 8 ஊ प घ ॊ ؛ ٜ ௦ इ ٛ য द े ॉ শ ः ش ५ ૾ भ ु भ ମ শ भ ऋ द ऌ ञ ؛ञ ट ख য় ৬ द म ऩ ः ؛ ٜ भ ਖ ध भ ঢ় ৴ ٛ & ు য ੌ؟न भ े अ प ख थ ᔅ भ ྶ ॑ ण ऎ ॊ ء ٜ भ ૭ ચ ऩ ্ റ ध भ ঢ় ৴ ٛ & ు য ੌ؟॥ ॵ উ ॑ 傝 ऩ ऎ प ि ؛ ٜ ٛ & ు য ੌ ؟ ر प ॥ ॵ উ ॑ ధ स थ ृ ্ ኗ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ٛ & ు য ੌ؟॥ ॵ উ ॑ ऌ ৣ ऌ प ख थ ઐ ൩ प प ि ؛ ٜ भ ટ ध भ ि घ ल ण ऌ ٛ & ు য ੌ؟॥ ॵ উ ॑ प ा ᔅ भ ྶ ऋ द ऌ ञ ؛ٜ پ % ు म $ ు भ ষ ನ ु ৄ ॊ ؛ 【表 10】 B 児の課題探究の多重構造(エピソード B-2)
た(経過 20:44 ∼ 29:27、図 19)。 「出来事の生成としての学び」を援用すると、 B 児は以下 3 つの<意味>世界を同時に相互に 生成したといえる(表 11)。 表 11「エピソード B-3 B 児の出来事生成としての学び」 ・B 児の文化的世界 <ホース状の多様な立体物ができる紙コッ プ。> ・A 児の経験・活動的世界 <紙コップを繋げたホース状のもので立体 物をつくる。> ・A 児の社会的世界 <一人でホース状のものを活かした立体物 (紐のように結ぶ、螺旋状に輪を重ねる)が できる存在。> 4-6-2 B 児の「課題探究」(表 12) B 児の<意味>生成について「課題探究の多 重構造」を基に考察する。B 児はレベルⅡ「課 題解決(<一人でホース状のものを活かした立 ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ৽ ૌ ৎ ⋞ ঽ ഞ ଳ ਡ ⋝ ্ റ ৭ උ ⋜ ୖ ੰ ৠ ⋛ ன ৫ (S1R % ␟ ␠ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ য় ৬ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ણ র भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ ञ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख थ য় ৬ प ख ञ ः ؛ ٜ ٛ য় ৬ ቝ भ े अ प व ڀ ᒓ ᄑ ૾ प ॑ ୦ ु ब ॊ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ણ भ ঽ ഞ ଳ ਡ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ ৈ ऎ প ऌ ः য় ৬ ॑ ण ऎ ॉ ञ ः ؛ ٜ ਖ ৭ උ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ घ प म ء ٜ ੰ ১ ৭ උ ٛ য় ৬ प घ ॊ ञ ी प न भ े अ प ᇽ ऑ ञ ॉ ॒ ट ॉ घ ॊ ء ٜ ٛ ୦ ૪ द ण ऎ ॊ ء ٜ ৯ ఏ ৭ උ ٛ য द ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ য় ৬ ॑ ण ऎ ॊ ؛ ٜ ਖ ٛ য द ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ য় ৬ ऋ द ऌ ॊ भ ऊ ء ٜ ੰ ১ भ ু ਢ ऌ ٛ ઁ ः ৃ ਚ ॑ ન ৳ घ ॊ ؛ ٜ ٛ ॥ ॵ উ ॑ ᇽ ऑ थ ش ५ ૾ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ڀ য় ৬ प ઐ ୷ ख ञ ஊ प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ش ५ ૾ भ ु भ ऊ ै ण भ ॑ ण ऎ ॉ ब प घ ॊ ؛ ٜ ٛ ॑ ा ब ॊ ञ ी प भ ડ प ॥ ॵ উ ॑ ഢ ऌ ൵ ी ॊ ؛ ٜ ௦ इ ٛ য द ش ५ ૾ भ ु भ ॑ ણ ऊ ख ञ য় ৬ ब भ ऋ द ऌ ञ ؛ ञ ट ख ৈ औ म ऩ ः ؛ ٜ भ ਖ ध भ ঢ় ৴ भ ૭ ચ ऩ ্ റ ध भ ঢ় ৴ भ ટ ध भ ि घ ल ण ऌ پ ঽ ী भ ষ ನ प ྷ ୍ ख थ ः ञ ञ ी ు ध भ ம ඡ ऋ ૮ ऎ ः ङ ो ु པ ؛ञ ट ख ग़ আ ९ ش ॻ % ع प उ ऐ ॊ % ు ऋ ল ख ञ ਔ ؞ க ृ ਖ ऋ ৱ ౺ ध ऩ ढ थ ः ॊ ऒ ध ऋ औ ो ॊ ؛ 【表 12】 B 児の課題探究の多重構造(エピソード B-3) 体物ができるのか?>)」という問いを自ら創出 したと考えられる。 A 児のレベルⅡ「課題解決」の問いの創出の 源は、レベルⅣ「自己、視点」である。今回の 「自己、視点」は第 2 次の「活動後の自己、視 点」の継続である。当初の「自己、視点」は、 <コップを繋げたホース状のものを活かして立 体的にしたい。>であったと思われる。ただし、 「自己、視点」は活動を通して変化する。B 児は コップを繋げながら、「自己、視点」を<立体物 (紐のように結ぶ)をつくりたい。>と具体化・ 明確化させるが断念する。次に B 児は、第 2 次 で発想・構想したが断念した螺旋状の立体物を 第 3 次で実現しようとする。B 児は、第 1 から 3 次でつくり出したホース状のもので輪をつく る技法を活かして、新たな「自己、視点」<立 体物(螺旋状に輪を何段も重ねる)をつくりた い。>を創出する。その過程で、B 児はレベル Ⅲ「方略選択」においてコップを繋いだり立体 的に重ねたりする方法や活動場所を考え、レベ
ルⅡ「課題解決」における様々な「解法の手続 き」を試みながら、新たな<意味・価値>(レ ベルⅡ「課題解決」の答え<一人でホース状の ものを活かした立体物(2 段重ねの輪)ができ た。ただし、高さはない。>)を創出する。 さらに B 児は、第 3 次で創出した<意味・価 値>を基に、レベルⅣ「活動後の自己、視点 (<ホース状のものを活かした高く大きい立体 物をつくりたい。>)」を創出する。 5. まとめ 本研究の目的は「造形遊び」の表現過程に 連続性や発展性を生じさせる子どもの論理(見 方・考え方)に基づく探究の仕方(理解や納得 の仕方)を明らかにすることである。そのため に小学校第 6 学年を対象とした「造形遊び」を 実践し、子どもの行為を「関与観察」して、エ ピソード記述や相互行為分析を行い、「出来事の 生成としての学び」と「課題探究の多重構造」 の諸理論を援用して分析・考察した。結論は以 下 4 点である。結論 1 から 4 は、小学校第 5 学 年を対象とした前研究の結論と本研究との共通 点である。特に結論 3 と 4 は研究目的と直接か かわる探究に関することであり、前研究での結 論に加えて探究の仕方の多様性や探究の源とな る「自己、視点」の役割について考察を深める ことができた。 結論の 1 つ目は、「造形遊び」において、子ど もは身の周りの環境(もの、こと、人)と相互 作用して、3 つの世界(文化的世界、社会的世 界、経験・活動的世界)の<意味>を同時に相 互に生成するということである。つまり、子ど もは材料(紙コップ)と関わりながら、紙コッ プを「造形遊び」の場における子ども固有の意 味あるものとして対象化(記号・道具)して文 化的世界の<意味>を生成する。それと同時に 紙コップの使い方、量、造形物の形、場、時間 などを子どもなりに試行錯誤して自分の発想・ 構想の実現を図る経験・活動的世界の<意味> を生成すると共に、活動の場における自らのア イデンティティである社会的世界の<意味>を 生成する。 結論の 2 つ目は、「造形遊び」における子ども の表現は、多様な特徴がある<いま―ここ>で 成り立つということである。例えば A 児はコッ プを並べたり積んだりして高い塔やピラミッド や前方後円墳をつくるという「構成遊び」や「模 倣遊び」、B 児は紙コップをホース状に繋ぎ続け る「操作遊び」やホース状のものを活かした立 体造形をつくる「構成遊び」などである。A 児 や B 児の多様な特徴(「操作遊び」「構成遊び」 「模倣遊び」など)がある<いま―ここ>の「造 形遊び」は、複合的に成り立つ場合や再出現す る場合もあるが、常に<いま―ここ>での「造 形遊び」の<意味>には、つくりかえが生じる。 結論の 3 つ目は、子どもは「造形遊び」にお いて身の周りの環境(もの、こと、人)と関わ り、多様な<意味>をつくりながら、それまでの 経験や学びを基にして多様な<意味>群を「自 己、視点」、「方略選択」、「課題解決」、「展開」 という多重構造的なものとして位置づけ、<意 味・問題>を創出し、<意味・価値>を吟味す る探究を行い、理解や納得に至る。例えば、A 児は各エピソードにおいて個々の探究(<高い 塔>、<ピラミッド>、<前方後円墳>)をし ながら、3 つのエピソードを通した包括的な探 究(<一人で時間内にできる整然と丈夫な造形 物とは何か?>)が生じ、個々の探究の共通点 や相違点に気付く。その一方、B 児はエピソー ド 1 において「自己、視点」がその都度の興味 関心に応じて多様に変化するため探究という構 造ではない。ただし、B 児は第 1 次で創出した <意味・価値>をきっかけとして「造形遊び」 に<意味・問い>を創出する。エピソード 2 か ら 3 にかけて<コップを繋げたホース状のもの を活かすには?>という抽象的な内容の探究が 始まり、次第に具体的な内容の探究(<もっと 立体的で長くするには?>、<立体的(紐のよう に結ぶ、螺旋状に輪を重ねる)にするには?>) へと変化する。A 児や B 児の探究(問いの創出、 価値の吟味)の源は、レベルⅣ「自己、視点」 である。ただし「自己、視点」は造形行為をし ながら生じ、かつ生じた「自己、視点」は不変 ではない。また、A 児や B 児は各エピソードで 創出した<意味・価値>(レベルⅡ課題解決の 「答え」)は正解ではなく、成果と課題があるこ とに気付く。つまり、課題探究の多重構造にお
ける多様な<意味>群には、常に「つくり、つ くりかえ、つくる」という<意味>生成が生じ ている。 結論の 4 つ目は、子ども個々の探究による理 解や納得と子ども達がその場に固有の文化的価 値を受容・創出することは、表裏一体となって いる。つまり子どもは個々に<意味>をつくり つつ、お互いの<意味>を取り込んだり、自他 の<意味>を関係付けたりして、その場に固有 の文化的価値をつくると共に、個々の<意味・ 問題>や<意味・価値>を創出して、理解や納 得に至る。例えば、A 児の各エピソードにおける <高い塔>、<ピラミッド>、<前方後円墳>を つくる探究は、B 児や周りの子ども達の造形物・ 行為を見聞きするなかで、レベルⅣ「自己、視 点」やレベルⅠ「展開」を創出することによる。 B 児は、各活動を通してコップを繋げたホース 状のものの魅力を感じながら、A 児や C 児が立 体的な造形物をつくる様子を見聞きするなかで レベルⅠ「展開」に気付いたり、<ホース状の ものを活かした立体物をつくりたい。>という レベルⅣ「自己、視点」を創出したりする。こ のことは、「造形遊び」における探究(理解や 納得)は、課題探究の多重構造の四つの層にお ける問いかけや気付きが図 1 に示すようにレベ ルⅣからⅠに向かうという一方向の進行ではな く、四つの層を行きつ戻りつする双方向的な相 互作用の中で成されると考えられる。 今後の課題として、子どもの論理に基づく探 究の仕方を明らかにするために、個人や複数人 での事例や対象学年、材料の種類や量、教師と の働きかけとの関係性を視野に入れて研究をす る必要がある。 [謝辞] 滋賀大学教育学部附属小学校の小橋良平先 生、木村仁先生、児童のみなさんにご協力をい ただきました。心より御礼申し上げます。 [付記] 本研究は 2018 から 2021 年度の科学研究費補 助金基盤研究 C(課題番号 18K02616、代表:村 田透、研究分担者:新関伸也)の研究の一環で ある。 [ ] 1 ) 村田透「子どもの造形表現活動における課題探 究について―小学生を対象とした「造形遊び」の 題材より―」『美術教育学研究第 39 号』,美術科 教育学会,2018,pp.344-246 2 ) 山田富秋・好井裕明『排除と差別のエスノメソド ロジー』,新曜社,1991,p.15。<いま―ここ> の場に即して分析・考察する態度は,エスノメ ソドロジーである。エスノメソドロジーは 常 識 日常 自体を主題化する営みである。 日常 とは,瞬間瞬間の現在である<いま―ここ>がつ なぎ合わさったものであり,本来バラバラの現 実を首尾一貫した現実と感じていることを 常 識 としている。 3 ) 文部科学省『小学校図画工作指導資料 新しい学 力観に立つ図画工作の学習指導の創造』,日本文 教出版,1993,p.34。 4 ) 文部科学省『小学校学習指導要領(平成 29 年告 示)解説 図画工作編』,文部科省,2018,p.26。 5 ) 同上,p.26。 6 ) 同上,pp.3-4。 7 ) 阿部宏行「「造形遊び」が定着しない要因の考察 (1)―学習指導要領と図画工作の教科書―」『美 術教育学第 38 号』,美術科教育学会,2017,pp.3-10。 8 ) 西野範夫「子どもたちがつくる学校と教育 第 5 回 子どもの < 身体と想像力 > と造形活動」 『美育文化』,美育文化協会 ,1996,pp.50-57。西 野は,西洋近代主義の影響によってつくりださ れた既存の基準や概念的枠組を一旦括弧に入れ て,自らが他者やものなどと思いのままにかか わり,自らの可能性を実現した人間の在り様,ま たは,実現しつづけていく在り様を≪私≫とし ている。また,造形行為を子どもたちが自分を 生きる意味を学び,自己を実現していく行為と して,子どもたちのあらゆる行為(<表現>行 為)を<生>の行為とする。 9 ) 井 筒 俊 彦『 意 味 の 深 み へ 』, 岩 波 書 店,1985, pp.80-81,pp.250-251。人間の根源的本性につい て,自らの身体を根拠として意識の深層から表 層まで分かつことなく働かせ,身の周りの他者 やものなどを関係のなかに組み込み,言語化し て表層的秩序をつくりだし,何事かの意味ある 現実世界をつくりだす意味化のプロセスである として,これを意味分節としている。 10) 松本健義「子どもの造形的表現活動における学
びの活動単位」『大学美術教育学会誌』No.41, 2009,p.317。 11) 同上,p.322。 12) 佐伯胖『「わかり方」の探究―思索と行動の原 点―』,小学館,2004,p.8。ここでいう文化と は,「人びとの集団が年月を通してつくり出しい てきたものごとの見方,考え方,信念,価値,並 びに行為様式」であり,集団メンバーがそれを 共有することで日々の生活を円滑に豊かに充実 して営むことを可能ならしめるものを指す。さ らにこの文化は,メンバー相互の「共有への志 向」によって,日々変革され,発展するもので ある(同,p.9)。 13) 同上,p.69。図のタイトルについて,文献中で は「課題探究の多重構造」として解説をしている が,図のタイトルは「課題探求の多重構造」で ある。 14) 同上,pp.67-68。 15) 鯨岡峻『関係発達論の構築』,ミネルヴァ書房, 1999,p.110. 発達心理学的還元の態度とは以下 である。「研究者の価値観や子ども観に根差す諸 判断を差し当たり保留し,対象を客観的に見て 既成の知識をそこに確認しようとするような態 度を還元して,素朴にその場に臨まねばならな い」。 16) 同,p.122. 臨床的還元とは以下である。「関与し ながらの観察において,研究者は出会ってくる 者の前にみずからが生き生きとした感受する身 体として現前し,その者との関係を自然に生き ることができ,印象受容能力を高め,その出会っ てくる者におのれを開いて,そのあるがままを 感受することができなければならない」。 17) 同上,pp.148-150. 18) 鯨岡峻『保育のためのエピソード記述入門』,ミ ネルヴァ書房,2007,pp.59-61。エピソード記述 には次の態度が必要である。一つは脱自的に見 る態度。二つは感受する態度。三つは描いたエピ ソードが起こった出来事に本当に忠実に正直に 描かれているかどうかを厳しく吟味する態度。 19) 西阪仰『相互行為分析という視点』,金子書房, 1997,pp. ⅶ−ⅸ。会話分析における表記記号は 以下である。①重なり:複数の参与者の発する音 声・行為の重なり箇所は,角括弧( [ )で示す。 ②密着:2 つの会話もしくは発話文が途切れなく 密着している箇所は,等号(=)で示す。③聞取 り困難:困難な箇所は,空白括弧( )で示す。 ④沈黙・間合い:音が途絶えている状態(0.2 秒 以下の短い間合い)は,「(.)」で示す。⑤音声の 引き延ばし:直前の音が伸ばされている箇所は、 (::)で示す。⑥音調:語尾の音の上がっている 箇所は疑問符(?)で示す。語尾の音の下がっ て区切りがついた箇所は句点(。)で示す。 20) 花篤實・岡田䇥吾・ 正宏編著『造形表現 理 論・実践編』,三晃書房,1994,pp.54-59。「材料 遊び」とは,材料,材質へのかかわり,材料体 験,材質や機能のたしかめの活動。「構成遊び」 とは,材料を並べたり,組み立てたり,飾った りする活動。材料を並べて絵にしたり,通信し たりする活動や身体の飾りたてをしていく活動 とも重なり合う。「操作遊び」とは,材料・用 具を使って,点を打ったり,線を引いたり,形 をとったりといった技法的な操作遊び。「模倣遊 び」とは,実際のものに近付けたい,似せたい という願望と多分に重なる造形活動であり,「見 立て遊び(形みつけ)」や,本人がそのものにな りきるというイメージにかかわる造形活動。 21) 本事例で使用するワークシートは,研究目的で ある子どもの探究を把握するために二つの設問 (①チャレンジしたこと,発見・工夫したこと, ②さらにチャレンジしたいこと,より良くした いこと)を設けている。このワークシートは事 例の分析・考察でも使用する。