家庭内ユビキタスネットワークと対話型ロボットの協調による
人ロボットインタラクション
上田 博 唯 *
1美濃 導 彦 *
1近間 正 樹 *
2佐竹 純 二 *
2小 林亮 博 *
2宮 脇健 三郎 *
3木戸 出 正 継 *
4 *1 京都大学 〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町 *2 情報通信研究機構 *3 大阪工業大学 *4 奈良先端科学技術大学院大学 あらま し: 家庭内のユビキタスネットワークと対話ロボットを接続することによりロボットの状況認識 能力を高め,またネットワークを通じて新たに情報を取得することでロボットの状況説明能力を高めるこ とによって、人ロボットインタラクションの新しい展開が期待できる。本稿では、実験用住宅内に、その ようなコンセプトに基づいて構築したシステムと、その住宅を用いて行った生活実証実験の結果として得 られた知見について報告する。 キー ワー ド ユビキタスネットワーク,対話ロボット,状況認識,状況説明, 人ロボットインタラクションHuman-Robot Interaction through the Cooperation between
a Home Ubiquitous Network and a Dialog Robot
Hirotada Ueda*1 Michihiko Minoh*1
Masaki Chikama*2 Junji Satake*2 Akihiro Kobayashi*2 Kenzabro Miyawaki*3 Masatsugu Kobayashi*4
*1 Graduate School of Informatics, Kyoto University Yoshida-Honmachi, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501 JAPAN
*2 National Institute of Information and Communications Technology *3 Osaka Institute of Technology *4 Nara Institute of Science and Technology
Abstract: The situation recognition ability of the robot is enhanced by connecting a home ubiquitous network and a dialog robot. The situation explanation ability of the robot is also enhanced by acquiring information at through the network. The new development of the human robot interaction can be expected in total. In this paper we describe a prototype system that is developed in the real experimental house based on such a concept. Then, the knowledge which was acquired as a result of the actual proof experimental life in the house.
Keyword ubiquitous network,dialog robot,situation recognition,situation explanation, human robot interaction
1 はじめに
ユビキタスネットワークを一般の住宅に導入する ということが夢ではなくなる時代が近付いてきたた め、この分野の研究が活発化している [1-7]。家中 に配置したセンサ群によって、住宅を知的な存在 (スマートホーム [1] )にしようという考えは、 1990 年代に提唱された。その後、機器の小型軽量 化、低価格化も進み、その実現は現実味を増してい る。しかし、いまだそのメリットが十分には明らか にされておらず、キラーアプリケーションがどのよ うなものになるのかは誰にも見えていないというの が現状であろう。なんらかの新しいコンセプトとフ レームワークが求められている。ユビキタスネット ワークによって結合されたセンサ群と情報機器や家 電機器などによって、住宅は、それ自身が見えない ロボットと化しているととらえ、そして、そこに目 に見える存在としての対話ロボットを配するという コンセプトが、そのような要求への答の一つになる と考えて、母親・子供メタファという概念を提唱し てきた [6, 8]。これは、言い換えるならば、家庭内 ユビキタスネットワークと対話型ロボットの協調が、 新しい人とロボットのインタラクションを生み出し、 それによって従来にない新しいサービスを実現でき るという考え方である。 本研究は産学官の共同プロジェクト(通称ゆかり プロジェクト)として進められた。ゆかりプロジェ クトでは、「ユビキタスホーム」と名付けた各種セ ンサと情報機器や家電品がネットワークで統合され 15-Fig. 1 母親・子供メタファ た実験用住宅設備を構築し、この設備を用いて生活 実証実験を行いつつ、研究開発を進めてきた [4]。 従来の類似研究では、人間の状態や行動の解析を行 うことのみに重点が置かれていたり、あるいは実際 の 24 時間の生活を長期に渡って継続するだけの設 備が整っておらず、生活の部分を切り取ったような 実験しか行っていなかったりということも多かった が、ゆかりプロジェクトでは、まず、普通の家族に 長期間にわたり自然に生活してもらうことを重視し た。 そしてその自然な生活の中で、ネットワークで結 合された家電製品や情報機器が、同じネットワーク によって結合されている各種のセンサと共に協調動 作することによって、新しいサービスを提供したと きに、それらを生活者がどう受け止めるのかという ことを知ることを重視した。 このゆかりプロジェクトを開始するにあたり、筆 者らの具体的な問題意識は次のようなものであった。 近年住宅内で利用されるアプライアンス(本稿では 住宅内に存在する家電品等の機器を総称して、こう 呼ぶ)が多機能、複雑になっているために、機能が 存在するのにユーザがそれに気付かなかったり、組 み合せれば実現できる機能があっても、その組み合 せ機能をユーザ自身の手では実現できなかったりす るということが増えてきている。このような状況を 打破するためには、操作を指示するタイプの従来型 のインタフェースではなく、ユーザが何をしたいの かを示すことで、あるいは何をしたいのかというこ とをシステム側が読み取ることによって機能を発現 させるというような、新しいスタイルのインタフェ ースを開発する必要がある。つまり How 型から What 型へという発想の転換であり、それは機能環 境制約、履歴制約、構文制約の利用などといった知 的処理技術により実現されるであろうと考えた。こ ういった技術を用い、センサーネットワークと家電 製品と、対話型ロボットとを統合したサービスを構 成することで、環境や個人の状況に応じて、ダイナ ミックに対応することのできるコンテストアウェ ア・サービスを実現することがゆかりプロジェクト の大きな目標の一つであった。 このような目標を達成するためには、家庭内のユ ビキタスネットワークと、そこで利用される対話型 ロボットのコンセプトとフレームワークの明確化、 具体的で実用的なプロトタイプの設計と実装、生活 実証実験による評価、そして、それらを通じての新 しい知見の獲得が不可欠であった。本稿では、これ らについて報告する。 2
基本コンセプト
ゆかりプロジェクトにおける基本コンセプトは、 家庭内ユビキタスネットワークと対話型ロボットの 協調が、新しい人とロボットのインタラクションを 生み出し、それによって従来にない新しいサービス を実現できるという考え方である。張り巡らされた センサ群からの情報によってロボットの状況認識能 力を高めることができる。そして、その状況認識結 果をフルに活用したコンテクストアウェアなサービ スを提供するに際し、音声による人との対話とネッ トワークからの新たな情報の取得を通じて、ロボッ トの状況説明能力を高めることによって、人ロボッ トインタラクションの新しい展開が期待できると考 えられる。 前述したように、知的なサービスを提供する能力 を持つ家「ユビキタスホーム」は、それ自身をまる まる一つのロボットシステムであるとしてとらえる ことができる。そしてこの中に身体性のある対話ロ ボットを加えて、その全体を母親・子供メタファと いう枠組みによって統合する。この枠組みでは、 Fig. 1 に示すように、目に見えない存在である、い わゆるアンコンシャス型ロボットである住宅は、各 種センサ情報に基づいて自律的にネットワーク上の アプライアンスを制御する機能を持ち、これは、ど こからともなく、家族を温かく見守り、必要なとき には、さりげなく支援してくれる存在として、すな わち母親メタファにより設計される。そして、身体 性を持つビジブル型ロボットは、ユーザとの対話を 行い、それに基づいて母親と協力してアプライアン スを制御する存在として、すなわち子供メタファに より設計される。そして、この両者の分散協調によ って、コンテストアウェア型サービスが実現される。 このような構成を採ることで、自然言語による対 話を活用したインタフェースを実現でき、これによ ってより質の高いコンテストアウェア・サービスを 提供することが可能になる。またサービスを実行す る前の問い合わせだけではなく、ユーザとの何気な い会話の中で、ユーザにとっては未知であったサー ビスの存在に気付かせたり、サービスを実行した後 に、ユーザからの質問に答えたりすることができる。 またこの説明機能を応用することで、ユーザの嗜好 等を学習する機能を持たせることもできる。3 ユビキタスホームの概要
ユビキタスホームは研究開発環境であり、同時に 実証実験用住宅である。当初は一戸建てとする案も 検討したが、工期を大幅に短縮できることから、研 16-Fig. 3 対話ロボット Phyno 究所の既存の建物内の一つのフロアのほぼ半分の面 積を占有する形で構築した。ただし、長期滞在型の 生活実証実験を重視したので、水まわりも完備し、 リビングルームとダイニング・キッチン、書斎、寝 室、浴室、トイレなどを完備している。また生活者 が建物に出入りする通路にも特別な配慮をして、生 活実験中の被験者は、昼夜 24 時間いつでも自由に 自分の居住空間に出入りでき、通勤や通学を含め、 普通のマンションでの生活と限りなく近い生活をす ることができるようにした。 ユビキタスホームでは、Fig. 2 に示すように、居 住空間のあらゆるところに、ネットワークで相互に 接続されたセンサと家電製品を始めとする各種機器 を設置している。 センサに関しては、各部屋と玄関、廊下に、カメ ラやマイク、RFID タグ・スキャナ、床圧力センサ (6 cm 間隔で床一面にオンオフ型のセンサが敷き 詰められている)、人感(焦電)センサなどが取り 付けられている。これらにより実行可能なセンシン グとしては、(a)生活者の足跡を追跡する移動経 路履歴、(b)生活者が身に付けている RFID や、 ロボットのカメラ画像からの顔認識による個人識別、 (c)天井カメラや扉開閉センサなどを組み合せて、 生活者の動作を解析し、タスクモデルと照合する手 順同定、(d) ベッドのシーツの下に入れたセンサ によって呼吸や身体の動きを計測し、そこから睡眠 の深さを推定する睡眠センサなどが主なものとして あげられる。 家電製品に関しては、ネットワーク対応に改造さ れた冷蔵庫や洗濯機が設置され、さまざまな場所に 大型テレビディスプレイが設置されている、それら に表示するコンテンツは、ネットワーク経由で自由 に制御することができる。音声情報についても、全 ての部屋の天井にスピーカとマイクが設置されてい る。
4 対話インタフェースロボット
前述した母親・子供メタファの子供を担当する対 話インタフェースロボット(Phyno と名付けた)に 関しては、次のような考え方を基本とした[8]。 ・二足歩行はしない代わりに至る所に置く ・どこにでも置けるサイズとする ・子供らしいかわいい仕草を可能とする このような条件から、全高は 25cm に抑え、運動 の自由度は、頭部が 3、二本の腕にそれぞれ 1、胴 に1 の合計 6 自由度とすることにし、ユーザとの対 話を行うためのデバイスとしては、CCD カメラと マイク、スピーカを持たせることとした。試作した ロボットPhyno の全体像を Fig. 3 に示す。ラジコン 用のサーボや、USB カメラなどを積極的に用いる ことで、小型・軽量化と開発コストの低減を図って いる。 ユビキタスホームでは、Fig. 2 の中に示したよう に、この対話ロボットを居住空間内の要所要所に設 置している。生活者はアンコンシャス型ロボットで ある住宅全体が自律的に提供してくれるサービスを 享受することは勿論、その時点時点の状況に応じて 実行可能なサービスの存在を、Phyno との対話によ って知り、その実行を依頼したり、逆にサービスの 実行を中断させたり、実行パラメータの変更を指定 したりすることができる。また、時にはPhyno との 対話によって、現在実行されている各種サービスの 実行状況を聞いたり、それぞれのサービスが何故起 動されたのかという理由の説明を求めたりすること も可能となっている。5 実現したサービス
ユビキタスホームに実装した主なサービスの概要 Fig. 2 ユビキタスホームの平面図 17-Fig. 4 コンテクストアウェア型サービス実行のフレームワーク は以下のとおりである(これらのサービスは、Fig. 4 に示したようなフレームワークの上で実現されて いる)。 a) ネット家電の制御 照明器具やテレビ、エアコンなどの家電機器のリ モコン制御同等の機能は、全てネットワーク経由で 制御できるようになっているので、これらを Phyno との音声対話によって実行できるようにした。 b) 忘れものチェック 外出する家族が玄関に近付いたときに、それを床 センサとRFID タグによって認識する [10] ことで起 動するサービスで、持ち物に付けられているタグの 認識結果と、その日の行動予定から分かる行き先、 そして過去の履歴による行き先と持ち物の対応リス トを用いて、下駄箱の上に置いたPhyno が、その家 族と対話しつつ、忘れ物がないかチェックする。 c) テレビ番組推薦 RFID や顔認識によって、テレビの前に来たのが 誰であるかを特定し、あるいは対話による依頼で起 動するサービスで、その家族の TV 視聴履歴や嗜好 と、ネット経由で得られる電子番組表とを使って、 Phyno との音声対話により、放送中、あるいは録画 済みの適切なテレビ番組を推薦し、見たいと言われ たら、それを画面に映し出す [12]。 d) 料理レシピ検索 後述する連想尻取り対話と名付けたメカニズムに よるPhyno との音声対話によって、蓄積されている 1000 種類のレシピの中から、対話者の気に入るメ ニューを探し出す。 e) 洗濯終了通知 洗濯機が洗濯を終了したときに、その信号をネッ トワーク経由で受けたサービスが、RFID タグなど のセンサのデータによって、洗濯を開始した家族が どこにいるかを探し出し、その身近にあるデバイス を使って通知する。 類似のサービスとして、話したい家族が誰である かを告げると、その家族の居場所を特定して、それ ぞれの身近にあるデバイスでテレビ電話や音声電が つながるというものもある。
6 新しく実現した対話メカニズム
6.1 理由説明対話メカニズム ユビキタスホーム内に実装したサービスは、セン シングによって状況(コンテクスト)を認識しつつ 実行するコンテクストアウェアなサービスである。 従って、その時々の状況、特にサービス実行のトリ 18-Fig. 5 試作したサービスの事例 ガとなった事象を、データベース(Fig. 4 中の分散 環境行動データベースと名付けたもの)内にきちん と残すように設計しておけば、そのログを用いて、 なぜという問い合わせに対して、そのサービスを実 行した理由を答えることが可能となる。今回は、こ の機能を分散環境行動データベースを参照してユー ザと対話するロボットの機能として実装した。 このメカニズムは、将来的には、ユーザが困って いるときに、その状況を判断し、データベース内に ある操作説明の情報を検索し、ユーザをガイダンス するような仕組みをも包含することができるであろ う。家電機器の取り扱い説明書がネットワーク上か ら電子的に参照されるようになることで、このよう な機能は、急激に有用性が向上すると考えられる。 6.2 連想尻取り対話メカニズム 幼児は、大人の会話の中から自分の知識に合致す る言葉を捕えて、その会話に割り込もうとすること がある。この時、幼児は精一杯の連想や推論を働か せつつ、自分の知識の中から話題を提供して、大人 を自分の話題に引き込もうとする。そして、大人の 反応が自分の提供した話題を受けた内容になってい る(連想的な意味でのしりとりになっている)とき、 話題の引き込みに成功したと判断して、自分の知識 を提供することでその話題を継続する。 このような対話の中では、聞き間違い等から話が 飛躍してしまったりもするが、そのことが、その幼 児がいつの間にか身につけていた能力を大人に気付 かせるという効果を果たしたり、大人がものごとを 考えるためのヒントになったりするということもあ る。本研究ではこのような連想による対話のキャッ チボールを連想しりとり対話と名付け、その対話戦 略をロボット対話システムに実装した。
7 生活実証実験とその結果
ユビキタスホームにおける生活実証実験では、先 に説明したサービスを中心に、睡眠センサを用いて、 心地よい時刻に少しずらすことのできる目覚ましサ ービスなどを加えたFig. 5 のような環境を準備した。 対話ロボットは、各部屋と玄関に一台、合計で 5 台を設置して、それぞれに、ほぼ同一のプログラム を実装したが、部屋ごとに必要と思われる制御機能 と、それに伴う会話のみがアクティブになるように しておいた。 生活実証実験では、年代や構成の異なる家族4組 に、それぞれ2週間ずつ生活してもらった。生活開 始の時点で、上記の各種サービスについての簡単な 説明を行い、いつもの日常通りに自然な生活をして もらうこと、ただし家電機器についてはできるかぎ りリモコンは使わずに、対話ロボットとの対話によ って操作してもらうよう指示を与えた。 2週間の生活実験を終えた後、毎回インタビュー を行った。主な結果について以下に示す。 全ての生活者が、ロボットが内蔵するカメラで見 られるのはいいが、天井カメラは監視されているよ うで嫌な気がしたという感想を述べた。また、どの 19-被験者も、生活開始後の三日間は緊張し、常に姿勢 を正すような生活であったが、四日目頃からは、天 井カメラも気にならなくなったと答えている。 テレビやエアコン、照明をロボット対話で制御す ることに関しては、音声認識ソフトに認識しやすい 喋り方に慣れるまでに、どの被験者も二日ほどを必 要としたが、その後は認識率も向上し、リモコンを 探す手間がなくなって便利、今後全てのリモコンが、 このロボットとの対話に統一されるのなら、少しく らい音声認識率が悪くてもロボット対話の方がよい というような評価が多く聞かれた。 睡眠センサによって、睡眠が浅くなるタイミング にあわせて、対話ロボットが声を掛ける目覚ましサ ービスは、かなり好評で、気持ちよく目覚めること ができたという複数人からの報告が得られた。また、 玄関で持ち物に付けた RFID を読み取り、お出掛け 先別に作成された必要品リストを照合する忘れ物チ ェックサービスについても、実際に役に立ったとい う報告があった。但し、現状では RFID リーダの感 度が低く、持ち物の入ったバッグをリーダにかざさ ないといけないことや、読み取りに数十秒を要する ことには不満が残った。 洗濯が終了すると、洗濯機を回した人のいる場所 を前述の移動経路履歴や個人識別から特定して、見 ているテレビの画面に文字で表示したり、天井のス ピーカやロボットのスピーカを使ったりして通知す る、家電機器状態通知サービスは、ひとにより評価 がわかれたが、これからはこういう機能が増えてく れると助かるという主婦の声は印象的であった。 興味深い報告として、「台所のPhyno は、よく話 し掛ける私の言うことをよく聞くようになって、リ ビングのPhyno には、お父さんがよく話し掛けるか ら、お父さんの言うことをよく聞くようになった」 などという発言が見られた。これはリビングに置か れているPhyno は、上から見下ろすような角度にな るのに対し、台所のPhyno は、首を前に出すと丁度 顔が同じ高さになるような配置であり、人間の側が、 その配置関係に合わせて認識されやすい発声をする ように練習した結果であると推測されるが、それに も関わらず、生活者はロボットの側が学習したよう に感じているのであろう。 また、三歳児の父親は、その子どもがPhyno はテ レビのチャンネル支配をおこなう何者かであるとい う認識をおこなっているだろうという推測を述べる とともに、お化けや鬼の代替として実体を持った Phyno を使用して、子供に躾をおこなう効果があっ たと報告した。また、子供が「フィノに何かしてあ げて」と親に頼むことがたびたびあったということ も報告された。似たようなことは別の家族からも報 告があったが、幼児の声の認識率が低いために、横 で見ていた親が通訳を買って出た形となっている。 そして、それにより、親が子どもの意外な側面を発 見したり、家族の対話が促進されたりするという効 果が見られた。
8 まとめ
家庭内ユビキタスネットワークと対話型ロボット の協調が、新しい人とロボットのインタラクション を生み出し、それによって従来にない新しいサービ スを実現できるという考えを提案した。センサ群か らの情報はロボットの状況認識能力を高めることが でき、それを活用したコンテクストアウェアなサー ビスを提供する際に、音声による人との対話とネッ トワークからの新たな情報の取得を通じて、ロボッ トの状況説明能力を高めることも可能となる。 また、実際に2週間連続して一般の家族に生活し てもらうという実証実験を通して得られた知見につ いて報告し、それを通じて、本コンセプトの有用性 と今後の可能性を示した。このような試みの先に、 人間の意図を汲むことができ、真にヒトと共生でき るロボットが見えてくるのではないだろうか。今後 も実験を通じて知見を深めるとともに、学際的な取 り組みが重要であると考えている。参考文献
1) C. D. Kidd, et al. "The Aware Home: A Living Laboratory for Ubiquitous Computing Research" In the Proceedings of the Second International Workshop on Cooperative Buildings - CoBuild'99. Position paper, October 1999
2) 森武俊: 生活パターンを覚えて助ける知能住宅-セン シングルーム 2005-, ネットワークロボット研究会 NR-TG-1-12, pp.20-24 (2005). 3) http://www.dh.aist.go.jp 4) 美濃導 彦: 「 ゆか りプロ ジェ クト の目的 と概 要--UKARI プロジェクト報告 No.1 --」、情報処理学会第 66 回全国大会、pp5-5 5-8 (2004). 5) 山崎 他: 機能協調型基盤ゆかりコアを用いた実生活 支援サービス -NICT ユビキタスホームへの展開と実 装-, UBI 研究会, No.2004-UBI-6, pp.71-77, 2004. 6) 上田 他: アンコンシャス型ロボットとビジブル型ロ ボットの協調メカニズム --母親・子供メタファ--, HI 学会研究報告集 Vol.6, No.3, pp.57-64, 2004. 7) 土井美和子: 「分散環境行動 DB と場モデルに基づく ユビキタスインタフェース設計--UKARI プロジェク ト報告 No.3 --」、情報処理学会第 66 回全国大会、 pp5-13 5-16 (2004). 8) 上田 他: ユビキタスホームにおける対話インタフェ ー ス ロ ボ ッ ト の 試 作, UBI 研 究会 , No.2005-UBI-7 (34), pp.239-246 , 2005. 9) 佐藤,他: MCMC/EM アルゴリズム/MDL を用いた床 圧 力 セ ン サ か ら の 複 数 人 物 位 置 追 跡 , 情 処 研 報 CVIM, 150-19 (2005)
10) 松元,他: Network Augmented Multisensor Association Condensation: Condensation の自然な拡張による 3 次 元 空 間 内 で の 人 物 頭 部 の 実 時 間 追 跡 , 情 処 研 報 CVIM 150-20 (2005)
11) 小林 他: ユビキタスホームにおけるサービス誘導の ための対話戦略の構築, MVE 研究会, Vol.105, No.256, pp.71-76, 2005
12) 土屋誠司 他: TV 番組推薦システムの構築とその有効 性の検証, 情処研報, HI-117, pp.95/102, 2005