オーダーピッキングにおける商品の相関に基づく動的な商品配置方法
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(2) Vol.2016-ICS-183 No.18 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. キング時に商品配置の入れ替えは行われていなかった.実. conf idence(X,Y) ≥ minconf. (5). 際にはオーダーピッキング開始後に商品の注文頻度や商品 同士の相関が大きく変化し,オーダーピッキング開始後に. 相関ルールを導出した後,確信度が降順になるように並べ. も商品を入れ替えることでオーダーピッキングの効率が上. 替えを行い,またリフト値 < 1 である相関ルールは除外. がる可能性があると考えられる.. する.並べ替えた相関ルールを順に抽出し,その相関ルー. 3. 提案手法. ルを構成する商品を初期位置から最も近い位置かつ商品が 互いに可能な限り近く位置になるように商品配置を変更す. 本稿では,オーダーピッキング開始後の商品の注文頻度・. る.なお,4.1 節における実験設定において,各商品配置. 相関が変化する状況を考慮し,オーダーピッキングにおけ. 変更作業において一度移動を行った商品は商品配置を変更. る動的な商品配置変更手法を提案する.本稿における商品. しない.. 配置の変更手法を示す.. 3.1 相関ルールを用いた商品配置変更手法 商品の並び替えは既存手法である Complementaly-based method[5] に倣って行う.Complementaly-based method は 最初に出現頻度を基に商品配置の入れ替えを行った後,共 起頻度を基に商品配置を入れ替える手法である.本稿で は,共起頻度ではなく相関ルールを用いて商品配置の入れ 替えを行う.相関ルール (Association Rule) とは,ある事象 (X) の下である事象 (Y) が発生する関係であり X → Y と 表される.本稿において,矢印の左側を前提部,右側を結 論部とする.相関ルールを導出する際の指標として,支持 度,確信度,リフト値の 3 つを用いる.支持度は全伝票の うち,前提部と結論部に含まれる全ての商品が含まれる伝 票の割合であり,式 (1) で表される. support(X) =. X が含まれる伝票数 全伝票数. (1). 確信度は前提部の商品が含まれる伝票のうち,結論部の商 品が含まれる伝票の割合であり,式 (2) で表される.確信 度が高いほど,前提部と結論部の商品は関連が強いと言 える.. conf idence(X, Y ) =. X と Y が共に含まれる伝票数 (2) X が含まれる伝票数. リフト値はある商品 X の購買が他の商品 Y の購買とどの 程度相関しているかを表す指標であり,式 (3) を用いて表 される.また一般的にリフト値は 1 以上であるとき信頼度 が高いと言われる.. X と Y が共に含まれる伝票数 X が含まれる伝票数 lif t(X, Y ) = Y が含まれる伝票数 全伝票数. (3). また,相関ルールの探索には Apriori アルゴリズム [6] を 用いる.相関ルールは商品の組み合わせであり,商品数が 増加すると急激に増加するため全ての組み合わせの相関 ルールを探索するのは困難である.そこで Apriori アルゴ リズムを用いて効率的に相関ルールの探索を行う.Apriori アルゴリズムを用いる際,minsup,minconf を入力値とし て与え,式 (4),(5) を満たす全ての相関ルールを導出する.. support(X ∪ Y) ≥ minsup c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. (4). 3.2 動的な商品配置変更手法 オーダーピッキング時に動的に商品の並び替えを行うに あたって,相関ルールの探索を行う間隔 f をパラメータと して予め設定をする.エージェントが f 個の伝票を処理す る度に処理された f 個の伝票なるデータ集合に対し Apriori アルゴリズムを適用し,頻出商品集合 F を抽出する.F か ら商品一つのみで構成される頻出商品集合 F1 を抽出し, 前回の探索で抽出した商品一つのみで構成される頻出商品 集合 F1 ´と比較する.両者に違いが見られた場合には相 関ルールを導出し,3.1 節で示した方法を用いて商品配置 の変更を行う.両者に違いが見られなかった場合には,相 関ルールの導出を行わず商品配置の変更も行わない.. 4. シミュレーション実験 提案手法の有効性を検証するため,実験を行った.実験 において,確認する点は次の二つである.. • 商品の入れ替えにかかるコストαを変化させ,提案手 法が有効であるαの範囲を検証する. • 相関ルールの探索を行う間隔 f を変化させ,最も効果 的な f の値を検証する. 4.1 実験設定 次のような問題を作成し実験を行う.物流センターは 11 × 11 マスで構成され,エージェント,棚はそれぞれ 1 マス の大きさを持つ.棚には商品が入っており,エージェント は棚に隣接する場合にのみ棚から商品を取り出すことがで きる.全エージェントは初期位置からスタートする.エー ジェントは初期位置で伝票を受け取り,伝票に従い商品を 順にピッキングする.伝票内の商品を全てピッキングした 後,初期位置へ戻り次の伝票を受け取る.また,伝票内の 商品をピッキングした後,エージェントは自身の現在地か ら商品が入っている棚の中で最も距離が近い棚を順に訪問 する.このとき,現在地から棚までの距離はユークリッド 距離によって求める.エージェントは上下左右の 4 方向 に動くことができ,エージェント同士の衝突は考慮せず同 じマスに複数体のエージェントが存在することができる. また,目的の棚で既に他のエージェントが作業を行ってい る場合は,そのエージェントが作業を終えるまで待機状態 に入る.待機状態に入ったエージェントは自分の順番が来. 2.
(3) Vol.2016-ICS-183 No.18 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表1 移動時間 tw. 各動作の作業時間 1[s/マス]. 1 ピッキング時間 tp 1 組の商品の入れ替え時間 ts. 3[s] (入れ替える商品が入っている 棚間の距離) × 2 + α . 表 2 パラメータ設定 エージェント数 x. 3. 伝票数 n . 1000. 棚数. 24. 商品の種類. 24. 1 エージェントが所有する伝票の最大数. 1. minsup. 0.25. minconf. 0.4. 図 1 シミュレーションの実行画面. 表 3 実験 1 における作業時間. 図2. ロングテール. るまで,動かずに待機する.複数の作業者が待機状態にあ るときは,First-In-First-Out で棚への到着順にピッキング を行う.全ての伝票を処理し.全エージェントが初期位置 へ戻った時点で,シミュレーションを終了する.図 1 はシ ミュレーションの実行画面であり,緑色はエージェント, 赤色は初期位置を表す.提案手法を用いて商品配置の変更 を行う際,全エージェントは一旦ピッキング作業を中止し 商品配置の変更作業に専念するものとする.商品配置の変. 並べ替えなし. 58535. α=0. 55608. α=25. 57007. α=50. 58055. α=75. 59797. 4.3 シミュレーション条件 シミュレーションにおけるパラメータを表 2 に示す. エージェント数 x は 3,伝票数 n は 1000 とする.棚数,商 品の種類は共に 24 であり,一つの棚に一種類の商品が入っ ているものとし,商品の初期配置は実験開始時にランダム に決定される.エージェントは初期位置で伝票を一つ受け 取り,Apriori アルゴリズムを用いる際の入力値 minsup, minconf はそれぞれ 0.25,0.4 とする.相関ルールの探索 を行う間隔 f ,1 商品の入れ替え時間 ts におけるαは各実 験ごとに個別に設定する.また作業時間は 10 試行分の平 均とする.. 更が完了した後は,商品配置の変更を行う前の位置へ戻り 引き続きピッキング作業に移る. 伝票は一様乱数を用いて人工的に作成したものを用い る.伝票はロングテールの法則 [7] に従うものとする.ロ ングテールの法則は,Chris Anderson によって提唱された 商品の売り上げに関する概念で,商品はヘッドと呼ばれる 販売数が大きな少品種の商品と,テールと呼ばれる販売数 が小さい多品種の少品種からなることである.ロングテー ルは図 2[8] で表され,縦軸は販売数横軸は商品を表し,緑 色の部分がヘッド,黄色の部分はテールである.. 4.2 評価指標 評価指標には全エージェントの作業時間の合計を用い る.エージェントの各動作の作業時間を表 1 に示す.エー ジェントの作業時間は tw ,tp ,ts の合計で表される.ts に おけるαは商品の入れ替えにかかるコストであり,実験ご とにパラメータとして設定する.. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. 4.4 実験 1 4.4.1 実験目的 実験 1 では商品の入れ替えにかかるコストαを変化さ せ,提案手法が有効であるαの範囲を検証する.商品の入 れ替えを行わなかった場合,α=0,α=25,α=50,α=75 の場合の 5 種類の作業時間を比較する. 4.4.2 パラメータ設定 実験 1 におけるパラメータにおいて,探索を行う間 隔 f = 100 と設定する.また伝票内において,500 伝票 (p = 500) を境に商品の出現頻度・相関を変更する. 4.4.3 実験 1 結果 実験 1 の結果を表 3 に示す.結果よりα=0,α=25,α =50 の場合においては、並べ替えを行わなかった場合に比 べて作業時間が短縮されていることが確認できる.このこ とから,今回の実験設定においてはα ≤ 50 の範囲におい ては提案手法は有効であるといえる.. 3.
(4) Vol.2016-ICS-183 No.18 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 4 実験 2 の結果. [2]. p = 100. p = 250. p = 500. f = 50. 57000. 57045. 55748. f = 100. 57019. 57163. 55182. f = 200. 55849. 56297. 55254. f = 300. 57691. 57257. 57577. 4.5 実験 2 実験 2 では,相関ルールの探索を行う間隔 f を変化さ せ,最も効果的な f の値を検証する.商品の出現頻度・相 関が変化するタイミングである p が 100,250,500 の場合 の 3 種類の伝票を用意し,それぞれの伝票に対し相関ルー ルの探索を行う間隔が 50,100,200,300 とした場合の作 業時間を比較する.. [3]. [4]. [5] [6]. [7] [8]. Tompkins, J. A., White, J. A., Bozer, Y. A. and Tanchoco, J. M. A.: Facilities Planning, Vol. 6 (1996). 岩崎幸安,鈴木育男,山本雅人,古川正志:物流センターに おける商品配置を考慮したピッキング作業の最適化,精密 工学会学術講演会講演論文集,Vol. 2012, No. 0, pp. 461–462 (2012). 南賢一,古川正志,山本雅人ほか:注文商品の共起ネッ トワークを利用した商品配置方法の提案,情報処理学会 研究報告. ICS,[知能と複雑系], Vol. 2013, No. 10, pp. 1–6 (2013). W¨ascher, G.: Order picking: a survey of planning problems and methods, Springer (2004). Agrawal, R., Srikant, R. et al.: Fast algorithms for mining association rules, Proc. 20th int. conf. very large data bases, VLDB, Vol. 1215, pp. 487–499 (1994). Anderson, C.: ロングテール,早川書房 (2006). : Long tail-wikipedia. https://en.wikipedia.org/ wiki/Long_tail.. 4.5.1 パラメータ設定 実験 2 におけるパラメータとして,1 商品の入れ替え時 間 ts におけるα=25 とする. 4.5.2 実験 2 結果 実験 2 の結果を表 4 に示す.実験結果より,f = 200 の 場合に安定して高い効果が得られていることが確認でき る.f の値が小さい場合に高い効果が得られなかった原因 は,探索する間隔が短すぎるために正しい相関ルールの導 出を行うことができなかったためと考えられる.また,f の値が大きい場合に高い効果が得られなかった原因は,探 索する間隔が長すぎるために商品配置の変更をするタイミ ングが遅れてしまったためと考えられる.. 5. おわりに 本稿では,オーダーピッキングの効率化を目標として, オーダーピッキング時における動的な商品配置方法を提案 した.実験の結果から,適切なパラメータを設定すること によって提案手法は有効であることが確認できた.また既 存の商品配置手法と組み合わせることによっても,効果が 得られると考えられる.. 5.1 今後の課題 今後の課題として,今回対象とした物流センターは小規 模なものであったため,より大規模な物流センターを対象 とした実験を行い,実験結果が物流センターの形状や規模 が変化した場合にも同様の結果となるかの検証を行いた い.シミュレーションにおいて,商品入れ替えを行う際は 全作業者がピッキング作業を中止するなど現実的でない設 定も見られたため,より現実的な実験設定の上での実験を 行っていきたい.. 参考文献 [1]. Coyle, J. J., Bardi, E. J., Langley, C. J. et al.: The management of business logistics, Vol. 6, West Publishing Company St Paul, MN (1996).. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. 4.
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