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発表要旨 日本音楽の伝承と楽譜の関わりをとらえる : ─森田都紀『能管の演奏技法と伝承』(2018)を通して─

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Academic year: 2021

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東京音楽大学リポジトリ Tokyo College of Music Repository

発表要旨 日本音楽の伝承と楽譜の関わりをとらえ

る : ─森田都紀『能管の演奏技法と伝承』(2018

)を通して─

著者

加藤 富美子

雑誌名

東京音楽大学大学院博士後期課程 2018年度博士共

同研究B報告書

ページ

99

発行年

2019-03-31

出版者

東京音楽大学

著者版フラグ

publisher

URL

http://id.nii.ac.jp/1300/00001287/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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日本音楽の伝承と楽譜の関わりをとらえる

─森田都紀『能管の演奏技法と伝承』(2018)を通して─ 加藤富美子(音楽教育学)  「音楽がつくられた時と演奏される時」というテーマを、日本の音楽を対象に検討する としたらどのような切り口が考えられるだろうか。その試みの一つを、日本音楽における 楽譜と伝承の関わりを森田都紀(2018)の研究の中に探った。日本音楽の楽譜は奏法や唱 法の記憶を助けるための備忘録としての役割が大きい。森田は能管における楽譜のうち唱 歌譜に焦点をあて、以下のように問題設定を行っている。唱歌譜から「音楽実体」を読み 解く時には、何をもって「同じである/同じでない」とするのかが問われる、唱歌譜から 鳴り響く音を再現する際の可能性は一つではなく唱歌は様々なヴァリエーションを生み出 しやすい輪郭を示すものである。このことから、現行の演奏体系の実際と、現行の演奏体 系が形成された歴史的な伝承過程を明らかにしていくことで、唱歌譜と伝承の関わりをと らえることができる。(森田 2018: 25─27)  研究内容の一例をあげると、唱歌と「音楽実体」の関わりとして、基本的な奏法を示す 現行の唱歌からヴァリエーションが生まれるしくみを明らかにし、奏者が即興的に加えて いる装飾的な音を際立たせるために、以下の手順を踏んでいる。1)演奏者間の相違と影 響関係として一噌流笛方 4 名と森田流笛方 2 名の演奏分析、2)同一奏者の曲趣に応じた 吹き分けの演奏分析、3)個人様式の経時的変化として一噌流の笛方 1 名の 1987 年・1988 年・1995 年・1999 年・2004 年・2005 年の演奏分析である。  この研究を通して、能管のあるいは日本音楽における楽譜と伝承の関わりから「音楽が つくられた時と演奏される時」を考える可能性を探った。ここからは、以下のような基本 的な問題が浮かびあがるに留まった。すなわち、日本音楽のそれぞれのジャンルにあって 「音楽がつくられた時」とはいつのことを指すのか、楽譜をともなうジャンルにあっても 楽譜に記された時は音楽がつくられた時なのだろうか、演奏における楽譜の役割によって 「音楽がつくられた時と演奏される時」のとらえは異なってくるなどである。しかし、本 共同研究のテーマは、今後の日本音楽の伝承研究にも生かされていくものと考えている。 引用・参考文献 森田都紀『能管の演奏技法と伝承』京都:思文閣出版、2018 年 発表要旨 ─ 99 ─

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