204 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(41) キ ムラ ケイ チユウ木村男柱(昭和2
博士(医学) 乙第1288号平成4年7月17日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Successful segmental intestinal transplantation in enterectomized pigs (小腸全摘豚に対する部分小腸移植の効果) (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 太田 和夫,内山 竹彦論 文 内 容 の 要 旨
目的 短腸症候群に対する治療手段として生体間部分小腸 移植の可能性を探るため,雑種大動物を用い短甲症候 群実験モデルを作製し同種間部分小腸移植の効果を検 討した. 対象および方法 実験動物として雌性雑種仔豚(体重,15~40kg)を 用いた.トライッ靱帯から回盲弁口側2cmまでの小腸 (全長約15m)を切除し弾琴症候群実験モデルを作製 し,以下の3群に分類した.(1)移植を行わず残存腸 管を端々吻合した対照群,(2)空腸動静脈を血管茎と した部分小腸(3~4m)を移植し順蠕動性に再建した移 植単独群,(3)移植後サイクロスポリン(以下,CSA) 101ng/kg/dayを投与した移植CSA群.生存期間と体 重増加率を指標として術後180日まで観察した.死亡原 因は病理組織学的に検索した.なお,測定値は平均値± 標準誤差で表し,統計学的検討はWilcoxon signed- rank testとStudent’s t tegtを用い危険率0.05以下を 有意とした. 結果 生存期間は,対照群(n;8)では62.5±4.1日,移植 単独群(n=5)では8.8±0.7日であった.一方,移植 CSA群(n=11)は80,9±22.3日と有意に延長した.体 重増加率は術後50日目では対照群は一32.0±3.5%と 減少したが,移植CSA群では5.7±3.2%さらに術後 180日目では39.3±6.4%と有意に増加した.死亡原因 は対照群は全例短腸症候群による吸収不良,移植単独 群は全例拒絶反応であった.移植CSA群では静脈閉 塞1例,腹腔内膿瘍1例,イレウス1例,拒絶反応1 例,不明4例で3例は180日生存例であった. 考察ならびに結論 同種小腸移植の移植片選択に際しては,外科技術と 消化吸収の両面が優先され,上腸間膜動静脈を血管茎 とした全小腸が繁用されてぎた.しかし,拒絶反応に加え小腸内に豊富に存在するリンパ組織による
graft-versus-host disease(以下, GVHD)が障害とな り,雑種大動物およびヒトにおいて長期生存例を得る ことは困難である.本研究は,短腸症候群実験モデル 豚に対し部分小腸移植後CSAの少量投与により,拒 絶反応はほぼ抑制されGVHDによる死亡を認めず, 成長をともなった長期生存例が得られることを示し た.移植片として全小腸ではなく部分小腸を選択した ことにより免疫原性が減じ,CSAの少量投与で拒絶反応およびGVHDの両移植免疫応答が抑制されたため
と考えられる.部分小腸における消化吸収面積の不足 は,移植小腸においてもいわゆる「intestinal adapta- tion」が起こり代償されたものと推察される.移植の際 の血管吻合は,微小血管吻合技術を駆使することによ り障害とはならず,ドナーの上腸間膜動静脈を温存で きるため生体からの移植片採取を可能とする. 以上,本研究は短腸症候群に対する部分小腸移植の 有用性を明らや・にし,臨床における生体間部分小腸移 植の可能性を示したものと考えられる. 一838一205