Title
気腫疽菌鞭毛の感染防御抗原に関する研究 - 鞭毛を認識す
るモノクローナル抗体による解析と応用 -( 内容の要旨 )
Author(s)
木島, まゆみ
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 乙第005号
Issue Date
1995-09-22
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1989
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 木 島 まゆみ (兵庫県) 博士(獣医学) 獣医博乙第5号 平成7年9月22日 学位規則第4条第2項該当 気腫症菌鞭毛の感染防御抗原に関する研究 一鞭毛を認識するモノクローナル抗体による解析 と応用-主査 東京農工大学 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 岐 阜 大 学 副査 東京農工大学 授 授 授 授 授 教 教 教 教 教 男一汎 哉一 益 森 邦 克 貿 川 川 川 井 子 小 品 品 平 金 論 文 の 内 容 の 要 旨 気腫垣菌(CJoβいイ仇∬Cム…Oe/)は、組織侵襲性のガス壌桓菌群に属し、周毛性鞭毛 を持ったグラム陽性梓菌である。本薗の感鄭こよって起こる反翁猷の気腫痘は、急性の致 死的疾患で、防御対策としては予防接種が最も有効とされており、我が国では、気腫垣予 防液としてホルマリンで不括化した培養菌液が広く用いられている。しかし、その有効成 分については不明な部分が多い。 一方、牛肉の輸入自由化等、昨今の畜産を取り巻く諸情勢から、ワクチン接種経賀の節 減につながる多価ワクチンの開発が切望されている。これに応えるためには、副反応の原 因物質や投与量を減らすことが必要であり、ワクチンに含まれる有効成分の同定・分離精 製が重要な課題となる。 本研究は、この様な状況をふまえ、気腫桓菌の感染防御抗原としての鞭毛の意義を鞭毛 を認識するモノクローナル抗体を用いて解析するとともに、その解析結果をもとにして、 新しいワクチン開発の可能性、動物を用いない気腫垣ワクチンの有効性評価法の開発など について検討した。 1章では、気腫垣菌沖縄株の精製鞭毛で免疫したマウス脾細胞とマウスミエローマ細胞 とを融合させ、分子量約56Rdの鞭毛蛋白を認識する5種のモノクローナル抗体を樹立した。 これらのうち3種のモノクローナル抗体(Mo-4l,Mo-62およびMo-90)は、本菌の運動性を 阻止し、マウスを用いた受身感染防御試験において感染防御を示したことから、・本菌鞭毛 が感染防御抗原であることを明らかにした。 2章では、上記のモノクローナル抗体を用いて鞭毛の感染防御に関するエピトープの解 析を行った。涙含試験、免疫電子顕微鏡法、臭化シアンにより断片化されたフラジェリン との反応性、および全菌体による吸収試験の結果、感染防御には鞭毛線維表層の立体構造 を有するエピトープが関与し、鞭毛線維の内部のエピトープは感染防御に関与しないこと を明らかにした。さらに、種々のクロストリジウム属菌に対する反応性から、感染防御に
一1朗-関与するエピトープは気腫桓菌に特異的であるが、関与しないものは他のクロストリジウ ム属菌と共通のエピトープであることが明らかになった。 3章では、感染防御を示すモノクローナル抗体(仙-41および‖0-62)、および防御を示 さない抗体(Ho-114)を家兎に投与することにより、鞭毛抗原の内的イメージを反映した 抗イディオタイプ(1d)抗体(抗Id-41,抗Id-62および抗Id-114)を作製した。抗Id抗体 を用いた涙合試験の結果、感染防御を示すHo-41とHo-62の認識するエピトープが異なるこ とから、感染防御に関与するエピトープが複数存在することが示された。さらに、抗Id-4 1および抗Id-62を腹腔に投与したマウスでは、抗1d-114または正常家兎1gG投与群に比べ て強毒株攻撃後の耐過率が有意に高く、また、抗Id-62を投与したマウスでは、‖0-62の認 識するエピトープを正確に反映した抗鞭毛抗体の産生が認められた。抗Id抗体は、家畜に 対して異種タンパクであるための過敏反応、抗原部位が限定されることに伴う免疫力の低 減など、克服すべき課題は残されているものの、将来、ワクチンとして利用できる可能性 が示唆された。 4章では、抗鞭毛家兎抗体と鞭毛を認識するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ 酵素免疫測定法により鞭毛抗原を定量し、動物を用いないワクチンの有効性評価法の開発 を試みた。まず、鞭毛抗原定量法の至適反応条件を検討したところ、固相化抗体(抗鞭毛 家兎抗体)は0.1〟g/well、基質はオルトフェニレンジアミンを用いることが適当であった。 次に超音波処理後の精製鞭毛を試料として検量線を作製したところ、0.125∼1.0〟g/爪1の 範囲で精製鞭毛淵度と吸光度値との間に直線関係が認められた。さらに、この反応系が鞭 毛を保有する気腫檀菌に特異的であることが確認された。実際に市販ワクチンの鞭毛抗原 量を測定したところ、平均鞭毛抗原量は、気腫恒不括化ワクチンでは581±133ng/山、牛 クロストリジウム感染症混合不括化ワクチンでは243±43ng/山であった。また、希釈また は加熱処理したワクチンを用いて鞭毛抗原塁と感染防御の関係を調べたところ、鞭毛抗原 量の多いワクチンは少ないワクチンに比べてマウスの耐過率が高く、鞭毛抗原量を測定す ることによりワクチンの有効性を評価できる可能性が示唆された。 以上のように本研究は、①気腫癖菌鞭毛が感染防御抗原であること、②鞭毛抗原を反映 した抗Id抗体がワクチンとして利用できる可能性が考えられること、⑨鞭毛抗原皇を免疫 学的方法によって測定することにより動物を用いなくてもワクチンの有効性を評価できる 可能性の高いことを明らかにしたものであり、これらの成果は、今後の気腫痕ワクチンの 改良に大きく貢献し得るもめと考える。また、細菌の感染や免疫における鞭毛の役割がグ ラム陽性菌においても重要であることを指摘したものである。 論 文 の 内 容 の 要 旨 申請者は、農林水産省動物医薬品検査所において、気腫痕ワクチンの国家検 定に関する日常業務を遂行する・なかで、現在用いられているホノレマリン不活化 ワクチンは有効成分がほとんど解明されていないこと、しかし、国際化の著し い畜産業において、今後ますますニーズが高まると思われる予防接種経費の節
減には、多価ワクチンの開発が必須条件であり、それには副反応の原因物質ヰ
投与量を減らすためにワクチンの有効成分の同定・分離精製が重要な課題であ
ること、動物愛護の観点から動物を使わないワクチンの有効性評価方法を考え る必要のあることなどを痛感してこの研究に取り組んだ。ワクチンの国家検定 とともに、ワクチンの質と検査方法の改良をはかることは、動物医薬品検査所 の重要な機能の一つと考えられる。申請者は、日常業務を果たしながらこの方 面の研究に積極的に取り組み、以下に示す通り時代のニーズにマッチした高い 水準の研究成果をあげており、その先見性・構想力・洞察力は高く評価できる。ー185-1.鞭毛を認識するモノクローナル抗体の樹立 気腫恒菌沖縄株の精製鞭毛で免疫したマウス牌細胞とマウスミエローマ細胞 とを融合させ、分子量約56Edの鞭毛蛋白を認識する5種のモノクローナル抗体 を蛸立した。これらのうち3種のモノクローナル抗体は、本菌の運動性を.阻止 し、マウスを用いた受身感染防御試験において感染防御を示したことから、本 菌鞭毛が感染防御抗原であることが明らかになった。 2.感染防御に関与する鞭毛抗原の解析 上記のモノクローナル抗体を用いて鞭毛の感染防御に関するエピトープの解