Title
ウイルス肝炎における2',5'-oligoadenylate synthetase活性の臨
床的意義に関する研究 (I) B型慢性肝炎に対するインターフ
ェロン療法における検討 (II) 非A非B型劇症肝炎における検
討( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
西野, 聡
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第864号
Issue Date
1993-07-21
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15407
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 西 野 聡(岐阜県)
博
士(医学)
乙第 864号
平成 5 年 7 月 21日学位規則第4条第2項該当
ウィルス肝炎における2・,5・-Oligoadeny-atesynthotaso活性の臨床的意義
に関する研究 (t)B型性性肝炎に対するインターフェロン療法における検討 (ll)非A非B型劇症肝炎における検討 審 査 委 員 (主査)教授 武 藤 泰 敏 (副査)教授 鶴 見介
登 教授 野 間 昭 夫 論 文 内 容 の 要旨
2,,5・-01igoadenylatesynthetase(2-5AS)はインターフェロン(IFN)により誘導される酵素の一つで・ 2本鎖RNA存在下にATPを基質として2,,5・-01igoadenylate(2-5A)を合成し,これが不活性型RNA分解 酵素を活性型に転換してウイルス蛋白の合成を阻害するとされている。この一連の経路は2-5Aシステムと呼ば れており,IFNのもつ抗ウイルス作用の主要な役割を担っているものと考えられている0そこで申請者は・生 体内における内因性IFNの産生および抗ウイルス作用の指標として2-5AS活性を用いて検討した0 Ⅰ.B型慢性肝炎に対するインターフェロン療法における検討 IFN療法を施行したHBe抗原陽性B型慢性肝炎を対象に,IFN投与前のinuitroにおける末梢血単核球 (PBMC)の2-5AS誘導能と,IFN投与時のinuiuoにおけるPBMC中2-5AS活性を測定し,IFN療法 の治療成績と対比したうえで両者の関連と治療効果の予知の可能性について検討を加えた。 対象および方法:IFN療法を施行したHBe抗原陽性B型慢性肝炎12例を対象とし,健常者7例,未治療の HBe抗原陽性B型慢性肝炎32例を対照とした。 pBMC中2-5AS活性は,PBMCをFicoll-Conray比重遠心法にて分離し・Kerrらの方法により処理した後, RIA法にて測定した。さらにPBMCを10%FCS添加のRPMI-1640培地にて1×106cells/mlに調製し・ 天然型ヒト線維芽細胞IFN-βを10001U/mlの濃度で添加して24時間培養した後・同様にPBMC中2-5AS 活性を測定し,その上昇比をPBMCの2-5AS誘導能とした○ 結果および考察:1)IFN投与により,PBMC中2-5AS活性の有意な上昇(P<0・01)と有意に高い (P<0.05)HBe抗体へのseroconversion(SC)率が観察され,IFNによる2-5Aシステムを介した抗ウイル ス作用が発揮されたものと考えられた。 2)IFN投与開始1週間後の投与前に対するPBMC中2-5AS活性の上昇比は・SC群(有効群)はそれ 以外の群(無効群)の4.0±0.9(mean±SD)に比し有意に高値(8・3±3・0)を示し(P<0・05),その上昇比を 測定することによってIFN療法の有効例の予知が可能になると考えられた0 3)IFN投与前のinuitroにおけるPBMCの2-5AS誘導能は,有効群は無効群の3・4±1・6に比し有意に高 値(8.8±4.0)を示し(P<0.05),さらにIFN投与開始1週間後の投与前に対する上昇比と有意な正の相関 (r=0.7543,P<0.01)を示した。従って,IFN投与前のinuitroにおけるPBMCの2-5AS誘導能を測定す ることによって,IFN療法時のi,"iuoにおけるPBMC中2-5AS活性の上昇の予知が可能となるばかりでな く,IFN療法の有効例の事前の予知が可能になると考えられる○ 63Ⅱ.非A非B型劇症肝炎における検討 広範な免疫異常が存在するとされる劇症肝炎において,投与されたIFNが2-5Aシステムを介した抗ウイル ス作用を発拝しうるか否かについてはいまなお明らかではない。そこで非A非B型劇症肝炎を対象に血清中2-5 AS活性を測定するとともに,PBMC中2-5AS活性とinuitroにおけるIFN添加培養によるPBMCの2_5 AS誘導能を併せて測定し,非A非B型肝炎ウイルスによる各種肝疾患と対比したうえで非A非B型劇症肝炎に おける2-5Aシステムについて検討を加えた。 対象および方法:非A非B型劇症肝炎16例を対象とし,健常者7例,非A非B型急性肝炎9例,非A非B型慢 性肝炎4例を対照とした。 血清中2-5AS活性はRIA法にて測定し,PBMC中2-5AS活性およびPBMCの2-5AS誘導能は前報と同 様に測定した。 結果および考案:1)非A非B型劇症肝炎のPBMC中2-5AS活性の平均値は,非A非B型急性肝炎の平均 値72・1fmol/〝gprOteinに比し有意に低値(15.5fmol/〃gprOtein)を示し(P<0.05),さらに亜急性型 の血清中2-5AS活性の平均値は,急性型の平均値18.8pmol/dlに比し有意に低値(7.4pmol/dl)を示した (P<0・05)○従って,非A非B型劇症肝炎においては内因性IFNの産生あるいは2-5Aシステムの作動が不十 分であることが推定され,なかでも亜急性型にその傾向が強いものと考えられた。 2)非A非B型劇症肝炎のIFN添加培養によるPBMCの2-5AS誘導能は6.8±1.1と非A非B型急性肝炎 (6・6±2・5),非A非B型慢性肝炎(5・8±4.2)と差異はなく,PBMC中2-5AS活性が極めて低値を示した亜急 性型においてもその2-5AS誘導能は同等であった。従って,非A非B型劇症肝炎においては2-5Aシステムに障 害はなく,IFN投与により2-5Aシステムを介した抗ウイルス作用が発揮されうるものと考えられた。 3)非A非B型劇症肝炎における血清中2-5AS活性は総ビリルビン値(r=-0.5413,P<0.05),直接ビリル ビン値(r=一0・5200,P<0・05)と有意な負の相関を示し,総コレステロール値(r=0.8106,P<0.001),コリ ンエステラーゼ値(r=0・7223,P<0・01)さらに,残存肝を表わす全肝CT総値(r=0.7583,P<0.01)と有意 な正の相関を示した。従って,血清中2-5AS活性は残存肝細胞機能と密接に相関することが示唆された。劇症 肝炎に対するIFN療法に関しては,ウイルス排除の面のみならず生体の免疫系への影響あるいは肝再生に及ぼ す影響などを十分に検討して,適応症例の厳密な選択を行う必要性があると考えられる。 論文審査の結果の要旨 申請者 西野 聡は,B型慢性肝炎におけるインターフェロン療法の有効例が末梢血単核球中2・,5,-01igoadenylatesynthetase活性の動態により予知可能であること,非A非B型劇症肝炎においては内因性イン ターフェロン産生の低下に拘らず,2',5'-01igoadenylateシステムは正常に作動することを明らかにした。これ らの新知見は肝臓病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] ウイルス肝炎における2',5'-01igoadenylatesynthetase活性の臨床的意義に関する研究 (Ⅰ)B型慢性肝炎に対するインターフェロン療法における検討 平成5年1月発行 岐阜大医紀 41(1):1-13 (Ⅱ)非A非B型劇症肝炎における検討 平成5年1月発行 岐阜大医紀 41(1):14∼24 64