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STOP1 転写制御による植物の酸性土壌耐性機構に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

STOP1 転写制御による植物の酸性土壌耐性機構に関する研

究( 内容と審査の要旨(Summary) )

Author(s)

澤木, 宣忠

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 乙第141号

Issue Date

2014-03-13

Type

博士論文

Version

ETD

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/49026

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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[4] 氏 名(本(国)籍) 澤 木 宣 忠(愛知県) 学 位 の 種 類 博士(農学) 学 位 記 番 号 農博乙第141号 学 位 授 与 年 月 日 平成26年3月13日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第2項該当 学 位 論 文 題 目 STOP1 転写制御による植物の酸性土壌耐性機構に関 する研究 審 査 委 員 会 主査 岐阜大学 教 授 小 山 博 之 副査 静岡大学 教 授 森 田 明 雄 副査 岐阜大学 教 授 鈴 木 徹

論 文 の 内 容 の 要 旨

酸性土壌障害は,世界の食料生産を制限する環境要因の一つである。近年,モデル植 物シロイヌナズナを用いた研究を中心に,その耐性や障害を制御する分子機構が明らか になってきた。この研究では,シロイヌナズナの分子生物学解析を中心に,酸性土壌耐 性遺伝子の転写を制御するSTOP1 転写因子の生理的な役割を解明するとともに,産業 植物であるユーカリの酸性土壌耐性機構を分子レベルで解明し,その両者が基本的に同 じ機構であることを明らかにした。その概要は,次の2点にまとめられる。 1.シロイヌナズナのSTOP1 転写制御システムの解明 シロイヌナズナの変異体から単離されたSTOP1(Sensitive TO Proton Rhizotoxicity1)転写因子は,変異体の表現型からアルミニウム耐性遺伝子の転写も制 御する。この論文では,マイクロアレイ解析や,遺伝子破壊変異体の表現型解析により, 制御される複数の遺伝子を特定することに成功した。さらに,メタボロミクスを統合す る,所謂システム生物学解析により,有機酸トランスポーター遺伝子など複数のアルミ ニウム耐性が制御されること,細胞質pH の維持に関わる代謝が制御されること,細胞 壁の安定化等,これまで不明であった酸感受性機構が制御されることを見出した。これ は,酸性土壌耐性が転写制御されることを始めて明らかにした研究である。 2.産業植物ユーカリの酸性土壌機構の解明 日本の製紙の40%はユーカリを原料として作られている。申請者は,シロイヌナズ ナで獲得した知見を基に,ユーカリの酸性土壌耐性をSTOP1 制御システムの関係から

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解明した。ディジェネレートPCR による遺伝子単離や,タバコ毛状根での機能解析に より.ユーカリのアルミニウム耐性を制御するクエン酸トランスポーター(MATE)の 特定に成功し,さらにSTOP1 相同遺伝子の単離とその逆遺伝学解析から,MATE が, STOP1 相同遺伝子により制御されることを明らかにした。これにより,STOP1 で制御 される遺伝子が今後の品種改良や品種選別に有用であると結論した。モデル植物での研 究成果を産業植物に応用する枠組みを作る意味でも重要な成果と考えられる。

尚,これらの成果は,Plant Physiol 誌,Planta 誌などに公表している。

審 査 結 果 の 要 旨

酸性土壌障害は,世界の食料生産を制限する環境要因の一つである。近年,モデル植 物シロイヌナズナを用いた研究を中心に,その耐性や障害を制御する分子機構が明らか になってきた。申請者は,シロイヌナズナの分子生物学研究により,酸性土壌耐性遺伝 子の転写を制御するSTOP1 転写因子の生理的な役割を解明するとともに,産業植物で あるユーカリの酸性土壌耐性機構を分子レベルで解明し,その両者が基本的に同じ機構 であることを明らかにした。その概要は,次の2点にまとめられる。 1.シロイヌナズナのSTOP1 転写制御システムの解明 シロイヌナズナの変異体から単離されたSTOP1(Sensitive TO Proton Rhizotoxicity1)転写因子は,変異体の表現型からアルミニウム耐性遺伝子の転写も制 御する。申請者は,マイクロアレイ解析や,遺伝子破壊変異体の表現型解析により,制 御遺伝子を特定することに成功した。さらに,メタボロミクスを統合する,所謂システ ム生物学解析により,有機酸トランスポーター遺伝子など複数のアルミニウム耐性が制 御されること,細胞質pH の維持に関わる代謝が制御されること,細胞壁の安定化等, これまで不明であった酸感受性機構が制御されることを見出した。 2.産業植物ユーカリの酸性土壌機構の解明 日本の製紙の40%はユーカリを原料として作られている。申請者は,シロイヌナズ ナで獲得した知見を基に,ユーカリの酸性土壌耐性をSTOP1 制御システムの関係から 解明した。ディジェネレートPCR による遺伝子単離や,タバコ毛状根での機能解析に より.ユーカリのアルミニウム耐性を制御するクエン酸トランスポーター(MATE)の 特定に成功し,さらにSTOP1 相同遺伝子の単離とその逆遺伝学解析から,MATE が, STOP1 相同遺伝子により制御されることを明らかにした。これにより,STOP1 で制御 される遺伝子が今後の品種改良や品種選別に有用であると結論した。 以上の研究は,Plant Physiology 誌などに公表され,その後の関連分野における研究 の先駆例になったものや,比較ゲノム科学に立脚した産業植物研究での成功例として高

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く評価できるものである。尚,関連する研究は,マイクロアレイ技術によるイオン応答 や免疫応答等,基礎論文の技術的な基盤となるものであった。以上について,審査委員 全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値あるも のと認めた。 (基礎論文) 1) 澤木宣忠,中島みどり,小山博之 シロイヌナズナの Al によるリンゴ酸含量とそ の代謝遺伝子の変動. 無菌生物 38(2), 100-103, 2008

2) Sawaki, Y., Iuchi, S, Kobayashi, Y, Kobayashi, Y, Ikka T., Sakurai, N., Fujita, M., Shinozaki, K., Shibata, D., Kobayashi, M. & Koyama, H.: STOP1 regulates multiple genes that protect Arabidopsis from proton and aluminum toxicities Plant Physiol. 150:281–294, 2009.

3) Sawaki,Y., Kihara-Doi, T., Kobayashi, Y., Nishikubo, N., Kawazu, T., Kobayashi, Y., Koyama, H. & Sato S. (2013) Characterization of Al-responsive citrate excretion and citrate-transporting MATEs in Eucalyptus camaldulensis. Planta 237:979–989

(関連論文)

1) Zhao C-R, Ikka, T., Sawaki Y, Kobayashi Y, Suzuki1 Y, Hibino T, Sato S, Sakurai N, Shibata D & Koyama H. Comparative transcriptomic characterization of aluminum, sodium chloride, cadmium and copper rhizotoxicities in Arabidopsis thaliana BMC Plant Biol. 9:1-15 2009

2) 小林安文,小林佑理子,澤木宣忠,小山博之 シロイヌナズナリンゴ酸トランス ポーター(AtALMT1) 遺伝子の発現様式の解析 無菌生物 39(2), 57-60 2009 3) Zhao, CR, Sawaki, Y,, Sakurai N., Sshibata, D and Koyama, H Transcriptomic profiling of

major carbon and amino acid metabolism in the roots of Arabidopsis thaliana treated with various rhizotoxic ions Soil Sci. Plant Nutr. 56:150-162 2010

4) Masatani T. Ito N., Shimizu K., Ito Y., Nakagawa K., Sawaki Y., Koyama H. and Sugiyama M. Rabies virus nucleoprotein functions to evade activation of the RIG-I-mediated antiviral response. J. Virol. 84:4002-4012 2010

参照

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