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HXA-1形電子顕微鏡付属微小部X線分析装置

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U.D.C.る2l.385.833:543.422.8

HXA-1形電子顕微鏡付属微小部X線分析装置

Type

HXA-1Electron

Probe

MicroanalyzerAttachmentofElectron

Microscope

進*

信二郎**

SusumuOzasa Sbinjir∂Katagiri

雄***

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Tatsuo Fujiyasu Mamoru Nakano

電子顕微鏡に付属させて用いる微小部Ⅹ線分析装置(略してE.P.M.A.)を完成した。ローランド円半径120

mmのわん曲結晶を用いたⅩ線分光器を電子顕微鏡の試料室部に装着して用いるもので,電子線加速電圧50

kV,照射電子線径2一亡の条件でNi,Cr,Ge,Ag,などの元素を10 ̄18gの微量まで検出可能である。分析可能な元 素はK列Ⅹ線で原子番号13ノ∼40,L列Ⅹ線を用いて40∼92番までのほとんどの元素が分析可能である。この

装置を用いた場合の電子顕微鏡の性能は,最高倍率70,000倍,分解能約15Åで分析を行なった同一個所を電

子顕微鏡および制限視野電子回折で観察できる。この論文では装置の構造,性能および若干の応用例について 述べる。

1.緒

ロ エレクトロンプローブマイクロアナライザ(Electron Probe Microanalyzer,以下EPMAと略す)は高速度に加速された電子 線を,電子レンズ系を用いて非常に細く集束して試料上iこ照射し, 試料の表面から放射される1次特性Ⅹ線を分光し,その波長および 強度を測定することによって試料の微小部分を構成している成分元 素を分析するものである。この装置を使用すればミクロン程度の微 小領域の元素の分布状態を知ることができるので,金属,半導体, その他工業材料などの研究に利用されている。一方電子顕微鏡は, 同じく高速度の電子線を用いて物体の拡大像を得るもので,分解能 が光学麒徴鏡に比べて約1,000倍程度良いことから,拡大装置とし て光学顕微鏡の領域を越えた微細構造の観察にはあらゆる分野にお いて用いられている。さらに電子顕微鏡の光学顕微鏡と異なる大き な特長は,使用している電子線の波長が物質を構成している原子の 間隔より小さく,電子回折の現象が利用できることで,制限視野電 子回折法によって,直径1ミクロン程度の試料の結晶構造を知るこ とができる。 同一試料について電子顕微鏡とEPMAを併用した場合(1卜(3),試 料上の微小部分について,電子顕微鏡の拡大像により形態を,制限 視野電子回折iこより結晶構造を,またEPMAによって成分元素と 3種の情報が得られ,従来電子顕微鏡またほEPMA単独では得ら れなかった,あるいは間接的にしか知ることができなかったこれら の事がらを直接知ることができる。したがって金鳳 半導休,そ の他工業材料およびその加工法などに対して新しい研究手段を提供 するものと考えられる。われわれは今回HU-11形(HU-11,HU-11AおよぴHU-11B)電子顕微鏡に付属させることによってEPMA を構成し,試料の電子顕微鏡像および制限視野電子回折像を観察す ると同時に同一個所の元素分析が行なえる装置,HXA-1形を完成 したのでその構造,性能およびこの装置を用いて得られた応用例に ついて詳しく説明する。

2.構造および性能

この装置の対象とする試料ほ,金属薄膜,微粒体,金属内析出物 または介在分の抽出レプリカなどの透過電子顕微鏡観察が行なえる * 日立製作所中央研究所 ** 日立製作所中央研究所工博 ***日立製作所那珂工場 ものである。したがってこの装置を付加することによって電子顕微 鏡本来の性能が大きく低下したのでは意味がない。このためには分 析装置を取り付けるために電子麒徴鏡の使用条件を変えることはさ けなければならない。この装置は付属装置であるために,電子顕微 鏡を最高性能で使用する場合,または他の試料加熱,傾斜などの付 属装置を使用する場合には取りはずす必要がある。したがって装置 としては,取付け,取はずしが容易で,それによって性能が変化し ないことが要求される。"HXA-1”ほ上記のような考えのもとに設 計されたもので,装置の電子顕微鏡鏡体に装着する部分は,機構を 可能な限り簡単かつ小形とし,電子顕微鏡の使用条件の変更を最小 限直にとどめて,電子顕微鏡性能の維持と取扱いおよび操作の容易 なことを主限とした。 2.1装置の構造 EPMAを構成するために必要な要素を機能的iこ大別すると,次の 5項目になる。 (1)高速電子線源 (2)集束電子レンズ系 (3)試料ステージおよび試料交換機構 (4)試 料 観 察 系 (5)Ⅹ線分光検出系 電子顕微鏡には(5)項以外の機能要素ほすべて術わっているか ら,これをそのまま利用できる.。すなわち(1)項については,電子 顕徴鎧の電子銃および高圧電源をそのまま使用する。EPMAの場 合電子線の加速電圧は,測定しようとする元素の最低励起電圧(特 性Ⅹ線を発生させるための最低の電子線加速電圧)の3∼4倍にす るのが適当であるといわれている。したがって通常のEPMAは,加 速電圧が20∼50kV程度の範囲に可変できるようになっているのが 普通である。電子顕微鏡の加速電圧は,分解能,像のコントラスト などによって定められるもので,HU-11形の場合50,75および100 kVの3段である。したがってこの装置を用いEPMAとして使用す る場合にほ,50kVの加速電圧を使用する。 EPMAのエレクトロンプローブ,すなわち試料を照射する電子線 束は,できるだけ細くかつ密度の高いものが望ましい。したがって 通常のEPMAでは,2段縮小電子レンズ系を用い第2集束レンズ を収差の小さい短焦点で使用して,電子線径数分の1ミクロン,密 度5∼10A/cm2程度を得ている。電子顕微鏡の場合も2段電子レン ズ系を用いているが,試料位置の上方に試料交換のためにスペース を取る必要性から第2集束レンズを長焦点で使用しているために,

(2)

826 昭和41年7月 論 第48巻 第7号 lL ̄+■ニプこ 手首■il一肘1土 ンン∴ L +++ / □

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杓15Å

3¢またほ1/8in 約1.5¢ 制限視野回折カメラ長 100∼2,000mm -24一

(3)

HXA-1形 電 子

顕 徴

付 属 微

部Ⅹ線

析 装 置

せ畑白 /∵ ̄ ̄ j J、\\ J\ =i一 \ \ 「ノ 図6 Ⅹ線分光器の構造 「 827 SPECIM訂す:COPPER SPECIMENCURRENT:8xH「9Al日p n=3 ■「∪ 二 「り

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7 二 【川 100し ̄5 ′ 11.909A SPECIMEN:NacI SPECIMEN CURRENT:1.25二ヾ10▼7 岡8 高次反射によるⅩ線強度の比較 図9 ナトリウム∬α特性Ⅹ線の検出例 100 二80 キ 60 亨 十10 20 0 0.5 了 2 3 5 10 錦 沌1壬 、 岡10 Ⅹ硯検出器の量了・効果 図7 Ⅹ線分光器の駆動健棒 分解能指数 5×10 ̄5 制限視野面析 約2一仁吋 2.3 X線 分 光器 Ⅹ線分光器は,試料より放射する特性Ⅹ線を検出するもので, EPMAの主体となる部分である二 Ⅹ線の波長を測定する方法には, エネルギー比例性をイイする検出器.たとえばシンチレーションカウ ンタ,プロポーショナルカウンタなどに直接試料から放射されたⅩ 線を入射して,出力のパルス波高値を電気的に測定する非分散分光 法と,匝l折格子,単結晶などの分散子を用いた分散分光の2種の方 法がある。前者の非分散分光法は,餓槻的な移動機構が不必要で, 試料の近くには検出器のみがあjlばよいので,このような付属装置 に使用するにほ非常に有利な方法であるが,波長分解能が20∼30% と分散子法に比べて2けた近く悪いために,原子番号の近接した元 素を区別できない欠点を有しているゥ ニの装置に用いたⅩ線分光器 は分散子を用いたもので,ローランドPJ半径120mmの集中法回転 形である。 Ⅹ線分光器の構造は図占に示すように,同一回転軸を有する2本 のアームの先端部にそれぞれ分光結晶,カウンタが取り付けられ,半 径120mmの円周(ローランド円)上を移動するウ ニの移動はウオ ーム歯車を介して真空外より行なわれる。_移動の範囲は結晶が20∼

80度(図の角度α),カウンタが40∼160度(図の角度β)で常にβ=

2αの条件を満足するように結晶の2倍の速度で回転する。回転

は手動および自動で,自動の場合10/minおよび0.250/min(いずれ

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0.2 0.5 1 1′ し\11 し枚州;吾:,享け■立江1,500V・ 凶11 Ⅹ線波長とパルス波高値の関係 も角αについて)の2段に切り換えられる。 集中法Ⅹ線分光器では試料(Ⅹ線源)と結晶およびカウンタの3点 が正確にローランド円】Lにあり,β=2αの条件を正確に満足してい なければならない。このために結晶の傾き,カウンタの位際,およ ぴローランド円中心の位置がそれぞれ調整できる機構を設けてあ る。これらはいずれも真空外から調整可能である。図7に駆動機構 を示す。結晶の回転角(α)の指示,結晶の傾きの調整ネジ(CRY, ADJで示す),かランタの位置調節ネジ(DET,DSで示す)などが見 られる。なお結晶の回転速度は上記の2段階のほか駆動モータを交 換することによって,さらに遅くすることができる。 試料面に対するⅩ線の取出角度は33瞳二に設定されており,Ⅹ線分 光器全体は長波長Ⅹ線の減衰を防ぐために,電子顕微鏡鏡体と同じ 真空中に納められている。分散子にはわん曲させた雲丹の単結晶を 用いている。これは格子面間隔が比較的大きく(9.975A)長波長の Ⅹ線,すなわち原子番号の小さい元素が分析できること,高次反射 の強度が強いために短い波長のⅩ線まで1偶の結晶で分光が可能な ためで,結晶を交換することなく多くの元素を分析することができ る。図8は銅の特性Ⅹ線を分光した例を示すもので,3次および5 次の反射強度が特に強い。 結晶により分光されるⅩ線の波長スは,〃ス=2(プsin♂で表わされ る。ここで〝は反射次数,dは結晶の面間隔,βは結晶面とⅩ線と の角度,すなわち回折角である。この装置の分光器の可動範囲はβ の値で,10∼40度である(通常は結晶の回転角度=2βで表示され る。この装置の指示目盛も2βの値をとっている)。したがって分光 できるⅩ線の波長範囲は,紹=1で約3.5∼12.8A,紹=3で1.17∼4.25 A,〝=5で0.7∼2.56Aであり,0.7∼12.8Aの範囲は邦が1,3およ

び5のいずれの反射を用いても分光可能である。図9に波長11.9Å

のNaの特性Ⅹ線を分光した例を示す。 分光結晶により分光されたⅩ線の検出には,ガスフローカウンタ

(4)

828 昭和41年7月

第48巻 第7号 「川 柳J∼,は壬 上付いf絹き -1Jilに11ミ 発生諸芸 + `一に掘 推 図12 電子回路部ブロックダイヤグラム 図13 波高分析器およびカウソティソグレートメータ を用いている。このカウンタの検出強度とⅩ線波長との関係を図10 に示す。波長の長いⅩ線に対する検出効率は,Ⅹ線取入窓の瞑によ る吸収で制限される。このカウンタの窓膜には,蒔いポリエステル フィルムを用いている。短い波長のⅩ線の効率は,カウンタガスの 種構およびカウンタの長さiこよって定められる。図10はPRガス (アルゴンにメタンを10%混合したもの)を使用した場合のもので, 4A付近で効率が変化しているのは,アルゴンの吸収端によるもの である。図11はガスフローカウンタのパルス波高値と,入射Ⅹ線 の関係である。 2.4 電子回路部 カウンタで検出されたⅩ線の信号は,電子回路部で増幅され,必 要な信号のみを選別し,Ⅹ線強度(Ⅹ線光量子数)に応じた電流に 変換されて,指示および記録される。各回路は前置増幅器の初段に ニュービスタを用いているほかは,すべてトランジスタ化されてい る。図12は電子回路部のブロックダイヤグラムで,図の点線で囲ま れた部分はそれぞれユニット化され,さらに前置増幅器を除く四つ のユニットが(図12の鎖線内)図13に示すように,一つのケース内 に納められている。各ユニットの仕様は次のとおりである。 (1)低雑音前置増幅器(R407) 入 力 出 力 ゲ イ ン切換 ゲ イ ン 雑 音 (2)高圧電源, 増幅器入力 増幅器出力 ゲイ ソ調整 積分直線性 高圧出力電圧 高電圧調整 高電圧安定度 負電荷パルス 正電圧パルス ×1,×3の2段 0.005JJV/イオンペア 入力容量50pFのとき価入力電荷で6.4× 10 ̄6クーロン(4,000イオンベアiこ相当) 以下 増幅器ユニット(R405A) 正電圧パルス 正電流パルス0∼10mA 粗調整 ×1,×2,×4,×8,×16,×32 の6段 微調整 0.5∼1で上記ノッチ聞達続可変 最大出力の±0.5%以下 1,000∼2,000V lOO〃A lO回転ヘリポットにて電圧直 ±0.01%以下 (3)波高分析器ユニット(R408) 入 力 正電流パルス0∼10mA 0 0 (川\ごキ+空言/ 20 10 1止 一 川い ∴L 八じ り■ 5 ■+ゴー1. ■一二 /■ 50 100 2舶 500 1,000 図14 試料厚克と枚出強覧の関係 1_11 2 ■・l 【【J へぎ コ【こ.二ュ〓≡言十 \ メ l

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41さ 60 卜〔二「一恭一㌣一 80 図15 検出限界量の測定値蒸着隈試料使用 限界検出強度10cpsとして算出 表1 各 元 素 の 検:出 感度 名 乗 元 原子番号 特性Ⅹ線 波島 加

巴農産1反射次数

MgAISiTiMnM。CaCaGeGeM。M。軸nnPb α α α α α 攻 α α 仲 仕 化 は d α d α 方方∬好打∬打方斤∬斤エエエエエ 480 1,300 2,200 7,200 9,800 4,200 8,800 5,000 5,300 4,200 1,000 1,300 1,800 3,000 2,000 1,800 加速電圧 スポット径 照射電流 A V申0【 Ok帥刈 5 1 1 出 力 チャンネル幅 ベースライン走査 手 動: 自 動: 掃 引 時 間: 掃引直線性: (4)計数率計ユニッ 入 力 出 力 測定 レ ン

-26-正電圧パルス5V O∼10%,0∼100%の2段で谷間を10回転 ヘリポットにて任意設定 10回転ヘリポットで0∼100%間任意 設定 手動による設定値から0まで自動掃引 0∼100%間を5,10,20分の3段 ±0.5%以下 ト(R409) 正電圧パルス5V O∼-5Vおよぴ0∼一10血Ⅴ(記録計用) 直線目盛でフルスケール20,50,100,200, 500,1k,2k,5k,10k,20k,50kcpsの11段 対数目盛で1∼105cps

(5)

HXA-1形

子 顕微

鏡付

属 微 小 部Ⅹ線

分 析 装 置

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Alの検出(A】Kα′) 試料Alは蒸着膜 図17 Al蒸着膜によるⅩ線プロフィル 1

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一7.72165A CuKα8カこ線 -12.3240A †てて △Å≒0.015A Culくα5次検 波長分解能測定 例1 波長分検能孤り定 例2 図18 Ⅹ線分光器の波長分解能 統 計 誤 差 ド リ フ 1,2,4,8%の4段(直線目盛の場合のみ) ±1%/b以下(各レンジフルスケールに対 して) 2.5 検出感度および検出限界量 電子顕微鏡の試料は厚さが数百∼数千オングストロームの非常に 薄いものである。加速電圧50kVの電子線は,たとえばアルミの場 合だと約5/`の厚さを透過する能力をもっている。したがって同一 電子線量を照射してもブロック試料の場合に比べて,電顕試料のⅩ 線発生の割合は10%以下である。したがって発生したⅩ線を効率 よく検出することができる。 この装置のブロック試料に対する検出感度は表1に示すとおりで ある。これは加速電圧50kV,照射電子線約2′∠,照射電流1×10 ̄8 Ampの条件で得られたもので,試料は電子線が透過しない程度に厚 いものである。

試料が蒔い場合ほ前に述べたように,電子線が試料を透過するた

めにⅩ線の発生強度が小さくなる。試料の厚みと検出強度の関係を 村.i f.き 829 図19 洋銀のⅩ線分析例 測定した例を図14に示す。この実験でほコロジオン支持膜上に種 々の厚みに蒸着したCrおよびAlを試料として用いるので,図の範 囲では検出強度は試料の厚みに比例している。 同様の方法で種々の元素について測定を行ない,図表上で検出強 変が10cpsになる厚みを算定したものを図15に示す。図の縦軸は 算出した厚みと元素の密度より,重量に換算したものである。図1る は50A厚みのNi蒸着膜によるⅩ線強度である。ニッケルの場合最

小検出厚さは30Åであった。また図けはAl蒸着膜の1,000Aおよ

び200Åの場合である。通常の使用条件では,2∼5。pSのバックグ

ラウンドノイズが存在するから,図15に示す値はおよそ検出可能な 最小限度の量を示すものと考えられる。 2.d 波長分解能 この装置は構造を簡単にして取扱調整を容易にするために,Ⅹ線 集中点に狭いスリットを設けず,カウンタのⅩ線取入窓を直接集中 如こ置く構造となっている。したがって波長分解能は分光結晶のみ により定められる。図柑は銅の∬α1,および∬α2を分光した例を

示すもので,5次&rX線の場合で0.02Åの分解能を,また8次兄α

の場合で,0・015Åの分解能を示している。原子番号が1者達いの

元素の特性Ⅹ線の波長は,∬αでは5∼10%,エαでは2∼6%の差

を有している。これは最も条件の悪い場合でも0.08Åに相当するか

ら,本装置では各元素を明瞭に区別することができる。

3.応

3.1薄 膜 試 料 薄膜試料の場合,前に述べたように単元素あたり数十オングスト ロームの厚さがあれば検出することができる。電子顕微鏡で透過観 察を行なう試料は,厚さが数百ないし数千オングストロームである から,含有量が数%以上のものは検出可能である。この場合厚い試 料のほうが容易に検出できるから,できるだけ厚い所を選んだほう がよい(ただしあまり厚いものは,電子廟徴鏡像の観察ができなく なるから限度がある)。 図19は洋銀(Ni,Cu,Zn,合金)を電解研摩により,蒲膜試料と したものを分析した結果で,電子顕微鏡像は100kV,EPMAは50 kV(以下の応用例はすべて電子麒徴鏡像および電子回折は100kV, EPMAは50kVの加速電圧を用いている。)の加速電圧で得られた もので,電子顕微鏡像に示す円内が分析位置である。 図20はモリブデナイト(MoS2)の単結晶をへき開により薄膜とし た試料の測定結果である。これは分析すべき波長が,非常に近接し ている場合の例を示すもので,硫黄のぬ1の波長ほ5.372A,モリ

ブデンのエα.の波長は5.406Åでその差は0.034Åであり,明瞭に

分離されている。

(6)

830 椚和41年7月 S.恩αl 立 評

第48巻 第7号 図20 2硫化モリブデン結晶のⅩ線分析例 T.享Ⅹβ且 :′ニコ_こ二 k. ;◆ 図21 チタンカーバイトⅩ線分析例 声豆E ¢3.71 :Sm噸 58ぬ 阜,Ⅴ.王¢眺V ¢ ̄も社耶 蓬17♭ 8毒糾心 図22 スモッグダストのⅩ線分析例(1) 3.2 等立 試料が微粒体の場合には1個の試料に照射される電子線の量は, ブロープの全電流に無関係で,試料の大きさとプローブの電流密度 によって定まる。1個の粒子を検出するためには,その重量が図15 に示す値より大きいことが必要である。たとえばNiの場合,粒子

の大きさが約0.2J∠より大きいことが必要で,これより小さい粒子

はエレクトロンプローブの範囲内に数個の粒子を入れて,全量で 1×10 ̄1きg以上になるようにしなければならない。図21はチタンカ ーバイト(TiC)の粉末を測定した例を示すもので,この程度の大き さがあれば当然1個の粒子で分析可能である。 図22は東京の上空500mの所で,飛行機により採集したスモッ グの核になるダストを観察したもので,電子顕微鏡優に見られる比 較的形のととのった半透明の粒子はEPMAで分析可能で,形態か 凶23 スモッグダストのⅩ線分析例(2) E′_ゞこ… ・董箋竺若≡妄奈至≡ ̄二・誉kゥ望 ‡′′≦

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舶¢5 Sp色Ci中印: E.♪.¢,E X.M,良一 図24 鉄鋼中の析出物のⅩ線分析例(1) らカーボン粒子と推定される〕円内の不透明な粒子はEPMAで鉄 が検出され,電子回折像とあわせて酸化鉄てあることが明らかとな った。図23は同じ試料中にあった不定形の大きい粒子を分析した もので,Siが検出されたことかち砂垂(さし■ん)と考えられる。以上 のように形態による試料の選別が容易である点に本装置の大きな特 長がある。 3.3 抽出レプリカ試料 金属内析出物または非金属介在物の観察には,抽出レプリカによ る方法が用いらカ1ている。しかしこれち乃析出物または介在物は, 一般に単純な物質であることは少な∴ 多くの元素を含んだ複雑な 化合物て溝,ることが多いために,制限視野電子回折のみで物質を推 足することは,岡難な場合が多い「 チー ム ∴ ■ギ 図24および図25に 示すものほ,いずれもクローム鋼中の析出物を抽出した試料で,い ずれも鉄およびクロームが検出されることから,鉄とクロームの混 合した炭化物と考えられる。制限視野電子回折では,この両者の区 別をつけることこまほとんど不可能てあるが,EPMAiこよれば図24 のものはクローム分が多く,図25のものこま鉄分の多いことが明瞭に 区別できる。図2るに示すものほ同じノて炭素鋼の抽出レプリカ試料 中に発見されたもので,鉄およびカ,ンシウムが検出され,電子回折 とあわせてカ′ンシウムフェライトの一種±推定される。 3.4 試 料 図27は馬の歯の象牙質の切片試料を観察したもので,ダイヤモソ

ドナイフを用いた超ミクロメームにより,厚さ約2,000Åに切断し

たものである= 電子麒徴鏡像で白く抜けた所は歯細管といわれる部 分で,その局所の濃度の高い部分(′A ̄ゝと他の部分(B)についての分 析結果を,Ⅹ線チャートのA,Biこ示す。図28ほⅩ線分光器の角度 をカルシウムおよび憐の波長に国定して試料を(A)より(B)まで移

(7)

-28-HXA-1形 電 子

麒微

鏡 付 属 微

部Ⅹ線

析 装 置

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4.結

口 新しく完成した電子顕微鏡付属緻小部Ⅹ線分析装置の構造,性能 および応用例について述べた。取扱,調整の容易なこと,および電 子顕微鏡性能を低下させないことに重ノ亡夫をおいて開発した。試料を 高分解能の電子顧徴鏡で観察できるため,従来のEPMAでは困難 であった1〃以下の微粒子や微細な構造の差を有する粒子,薄膜な どの成分分析が可能となった。またエレクトロンプローブを直接観

図27 馬の歯牙切片のⅩ線分析例 l l■ ll・l川…L.11iLl川l川 l 弓l【l宜"`■:一占b■(■Vl川  ̄8 † l l aC ran -11 l l s: × ,OboÅ :10se l l tl岳l川I111111l Spe占imen ̄: Timec9nSt

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図28 馬の歯牙切片のⅩ緑強度分布 察するために,所望の位置にiE確に電子線を照射することができ, 同時に制限視野電子回折により結晶構造を知ることができる。これ ほ本装置の大きな特長である。 本報告を終わるに当たり,指導ならびに討論していただいた日立 製作所中央研究所木村博一,渡辺宏両博士,および試料を提供して いただいた東京歯科医大田熊助教授,および日立製作所日立研究所 小倉氏に深謝する次第である。 参 薯 文 献

(1)Duncumb P:Proceeding of ForthInt.Confe.Electron

Microscopy.Perlin,p.267(1958)

(2)Duncumb P:Proceeding of Fifth.Int.Confe.Electron

Microscopy,Philadelphia.KK4(1962)

(3)Rixon.W.C.et al:Proceeding of3rd.Int.Symposium

on X-ray Optics and X-ray Microanalysis.Stanford,

参照

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