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超小型車両の後輪操舵機構の開発 利用統計を見る

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超小型車両の後輪操舵機構の開発

著者

高橋 良至, 大古 英紀

著者別名

TAKAHASHI Yoshiyuki, OHKO Hideki

雑誌名

工業技術

42

ページ

44-47

発行年

2020-02

URL

http://doi.org/10.34428/00011452

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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超小型車両の後輪操舵機構の開発

Development of Rear Wheel Steering Mechanism for Personal Mobility Vehicles

高橋良至* 大古英紀** 1.はじめに 本格的な高齢社会に突入した日本では、高齢者の7% が移動に何らかの制約を受ける移動制約者であると言 われており1)、日常生活における移動の支援が重要な 課題となっている。そこで研究代表者らは、日常生活の ための近距離移動を支援することで自立した生活をサ ポートし、自らの歩行機能を利用することで身体機能の 維持を図り、要介護状態とならないようにする“介護予 防”に貢献することを目的とした、歩行アシスト車両の 研究開発を行っている。これまでに、ユーザが路面を蹴 り出すことで前進する歩行アシスト車両、パーソナルモ ビリティビークル(以下、PMV という)の試作を行っ た。(図1)2) 図1 これまでに製作したPMV 試作外観 車輪に取り付けられたセンサが蹴り出しだしによる加 速を検出すると、モータが車輪の回転をアシストし、ひ と蹴りで長い距離を滑走することを可能としている。ま た転倒しにくい3輪車(前方二輪、後方一輪)とし、前 後に折りたたみ、公共交通機関にそのまま持ち込むこと で行動範囲を拡大することを目指した乗り物である。こ の試作を用いて若年健常者と高齢者5 名を対象とした 予備実験を行った結果、アシスト機能によりひと蹴りで 最高速度が14%増加し、滑走距離が 18.3%増加した。 また、5 回の連続した蹴りの後で滑走距離が 24%増加す ることが確認され、被験者からアシストが働いていて楽 に移動することができるとの感想も得られた。 2.後輪操舵機構の開発 2.1 小旋回半径の実現に向けて 試作を用いた予備実験や、小型ハンドル型電動車いすを 用いた公共交通との連携実験の結果、列車内やエレベー タかご内など狭い場所では、小さい旋回半径が求められ ることが確認された。これまでに試作したPMV の最小 旋回半径は約625mm であった。これは前輪操舵を採用 したためで、この方式は自動車など多くの移動機器で用 いられており、ハンドル操作に対する車両の動きが直感 的に理解しやすく、運転操作が容易であるといった利点 があるが、構造上大きな舵角を取ることができないため 旋回半径を小さくするには限界がある。そこで、新たに フォークリフトに用いられているような後輪の舵角を 操作する方式(後輪操舵)の操舵機構を開発し、最小回 転半径を、400mm 程度まで小さくすることを目標とし た(図2) 図2 操舵方式による旋回半径の違い

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超小型車両の後輪操舵機構の開発

Development of Rear Wheel Steering Mechanism for Personal Mobility Vehicles

高橋良至* 大古英紀** 1.はじめに 本格的な高齢社会に突入した日本では、高齢者の7% が移動に何らかの制約を受ける移動制約者であると言 われており1)、日常生活における移動の支援が重要な 課題となっている。そこで研究代表者らは、日常生活の ための近距離移動を支援することで自立した生活をサ ポートし、自らの歩行機能を利用することで身体機能の 維持を図り、要介護状態とならないようにする“介護予 防”に貢献することを目的とした、歩行アシスト車両の 研究開発を行っている。これまでに、ユーザが路面を蹴 り出すことで前進する歩行アシスト車両、パーソナルモ ビリティビークル(以下、PMV という)の試作を行っ た。(図1)2) 図1 これまでに製作したPMV 試作外観 車輪に取り付けられたセンサが蹴り出しだしによる加 速を検出すると、モータが車輪の回転をアシストし、ひ と蹴りで長い距離を滑走することを可能としている。ま た転倒しにくい3輪車(前方二輪、後方一輪)とし、前 後に折りたたみ、公共交通機関にそのまま持ち込むこと で行動範囲を拡大することを目指した乗り物である。こ の試作を用いて若年健常者と高齢者5 名を対象とした 予備実験を行った結果、アシスト機能によりひと蹴りで 最高速度が14%増加し、滑走距離が 18.3%増加した。 また、5 回の連続した蹴りの後で滑走距離が 24%増加す ることが確認され、被験者からアシストが働いていて楽 に移動することができるとの感想も得られた。 2.後輪操舵機構の開発 2.1 小旋回半径の実現に向けて 試作を用いた予備実験や、小型ハンドル型電動車いすを 用いた公共交通との連携実験の結果、列車内やエレベー タかご内など狭い場所では、小さい旋回半径が求められ ることが確認された。これまでに試作したPMV の最小 旋回半径は約625mm であった。これは前輪操舵を採用 したためで、この方式は自動車など多くの移動機器で用 いられており、ハンドル操作に対する車両の動きが直感 的に理解しやすく、運転操作が容易であるといった利点 があるが、構造上大きな舵角を取ることができないため 旋回半径を小さくするには限界がある。そこで、新たに フォークリフトに用いられているような後輪の舵角を 操作する方式(後輪操舵)の操舵機構を開発し、最小回 転半径を、400mm 程度まで小さくすることを目標とし た(図2) 図2 操舵方式による旋回半径の違い 2.2 駆動方式の選定 設計にあたっては、開発を行うPMV が後輪を駆動輪 としていることから、後輪部には駆動と舵取り両方の機 能を持たせる必要がある。駆動しながら操舵を行う機構 を実現するために、車輪にモータを組込んだインホイー ルモータを採用することを採用した。 2.3 開発体制 本プロジェクトは、大古精機(株)とともに実施した。大 古精機(株)は、精密ゲージの製造販売が主であるが、 協力会社と連携して切削や曲げなどの一般的な機械加 工や組立なども行っており、これまでにPMV の試作を 依頼し、製作した実績がある。また、東洋大学朝霞キャ ンパスには、汎用旋盤、NC フライス盤等の機械加工を 行うことができる基本的な設備や、電気電子工作、ソフ トウェア製作を行う環境が整っている。東洋大学では、 主に基本設計と実験・評価を担当し、大古精機(株)で は、主に詳細設計、試作を担当した。 3.設計 3.1 操舵機構 製作したPMV の車体はレール状のアルミフレームを 組み合わせ、これに前輪2 輪、後輪 1 輪の車輪を取り 付けた。前輪部は舵角を固定し、後輪部には電動キック ボードで使用される、8インチインホイールモータを使 用し、操舵ハンドルにより舵角を変化させることができ る構造とした。前輪のトレッドは、鉄道駅改札を通過す ることができるように600mm とした。ホイールベース は640mm として、小旋回半径を目指した。図 3 に斜め 後方から見た本体見取り図を、図4 に後輪操舵歯車列 部分の平面図を、図5 に後輪操舵 PMV の試作外観を示 す。 レール状のフレームを使用することで、車輪取付位置を 自由に変更可能となった。後輪操舵機構は、ハンドル、 後輪、回転を伝達するための歯車機構で構成される。車 体の後輪を操舵輪とするため、直接後輪の舵角を変更す ることができるように、椅子の肘掛けを操舵ハンドルと した。後輪操舵の場合、前輪操舵と異なり、旋回する方 向と操舵輪(この場合後輪)の方向が逆になることから、 自動車や二輪車などの前輪操舵とは反対側にハンドル を操作する必要が生じる。そこで、運転者が混乱せずに 旋回方向にハンドル操作を行うことができるように、操 舵ハンドル軸と後輪操舵軸との間に歯車列を設けるこ とで操舵ハンドル舵角を反転させ、前輪操舵と同じ方向 に操舵ハンドルを操作することができる構造とした。歯 車列は、操舵ハンドル軸と後輪操舵軸の軸径が同じため、 歯車を入れ替えることで、1:2、2:1 と変更することが できる構造とし、等速の組み合わせが可能な歯車も製作 した。 図3 後輪操舵 PMV 見取り図 図4 後輪操舵歯車列平面図 操舵ハンドル軸 後輪操舵軸 超小型車両の後輪操舵機構の開発

Development of Rear Wheel Steering Mechanism for Personal Mobility Vehicles 高橋良至 大古英紀

2口 2 裏勘方式の置定

~- 3 関畳檸鬱』

3. 設計

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5 後輪操舵 PMV 試作外観 3.2 走行アシスト 駆動輪は、インホイールモータであり、車輪内にブラシ レスDC モータが組み込まれ、ホール素子を用いて回転 を検出している。駆動系はマイクロコントローラ、モー タドライバ、バッテリで構成される。図6 に走行アシ スト装置の構成を示す。 図6 走行アシスト装置の構成 制御プログラムは、運転者がメインスイッチをON 状 態で路面を蹴り出したとき、後輪のホールセンサで検出 したパルスをArduino 互換マイクロコントローラでカ ウントし、その回数から回転角を、回転角を時間微分し 回転速度を求め、制御プログラムがモータ出力の指令を モータドライバに送る構造となっている。図7 に、制 御プログラムのフローチャートを示す。 Low Start switch

Hall elem ent Angular velocity m easure Angular velocity evaluation ON OFF High Kick out Motor drive 3[ s] Waiting 1[ s] END 図7 制御プログラムフローチャート 4.動作実験 4.1 実験方法 試作したPMV の走行実験を行った。実験は、一定速度 で走行中に操舵ハンドルを操作し旋回する際のPMV の挙動を計測するものである。 後輪操舵軸に可変抵抗を固定し、後輪操舵角(操舵ハン ドル舵角)を計測した。また、車体に慣性計測センサユ ニット(IMU)を取り付け、ヨーレートを計測した。 図8 に、操舵角計測用可変抵抗取り付けの様子を、図 9 に、慣性計測センサユニット(GY-BN0055)の外観を示 す。 Micro Controller Motor Driver Brushless DC Motor Hall Probe 3. ;2'. 走行アシスト 尋。動作実顧 ~" 1 宴験方麟

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5 後輪操舵 PMV 試作外観 3.2 走行アシスト 駆動輪は、インホイールモータであり、車輪内にブラシ レスDC モータが組み込まれ、ホール素子を用いて回転 を検出している。駆動系はマイクロコントローラ、モー タドライバ、バッテリで構成される。図6 に走行アシ スト装置の構成を示す。 図6 走行アシスト装置の構成 制御プログラムは、運転者がメインスイッチをON 状 態で路面を蹴り出したとき、後輪のホールセンサで検出 したパルスをArduino 互換マイクロコントローラでカ ウントし、その回数から回転角を、回転角を時間微分し 回転速度を求め、制御プログラムがモータ出力の指令を モータドライバに送る構造となっている。図7 に、制 御プログラムのフローチャートを示す。 Low Start switch

Hall elem ent Angular velocity m easure Angular velocity evaluation ON OFF High Kick out Motor drive 3[ s] Waiting 1[ s] END 図7 制御プログラムフローチャート 4.動作実験 4.1 実験方法 試作したPMV の走行実験を行った。実験は、一定速度 で走行中に操舵ハンドルを操作し旋回する際のPMV の挙動を計測するものである。 後輪操舵軸に可変抵抗を固定し、後輪操舵角(操舵ハン ドル舵角)を計測した。また、車体に慣性計測センサユ ニット(IMU)を取り付け、ヨーレートを計測した。 図8 に、操舵角計測用可変抵抗取り付けの様子を、図 9 に、慣性計測センサユニット(GY-BN0055)の外観を示 す。 Micro Controller Motor Driver Brushless DC Motor Hall Probe 図8 操舵角計測用可変抵抗 図9 慣性計測センサユニット(GY-BN0055) 4.2 実験結果 図10 に、操舵入力時の操舵角およびヨー角の変位を 示す。PMV が 0.6[m/s]の一定速度で走行中に、運転 者が操舵ハンドルを操作し、最大操舵である45[deg] を入力し3 秒間保持した後に、中立位置である0[deg] に戻す操作を行った。その結果、車体は105[deg]旋 回し、この間のヨーレートは0.61[rad/s]であった。 旋回半径は0.43[m]であった。旋回半径は目標に概ね近 づいたが、操舵ハンドル操作時に、肘を曲げて腕を後ろ に動かすため、手部の移動量が少なく操作を行いにくい ことが分かった。図10 において、操舵ハンドル入力角 度が一旦30[deg]付近で止まっているのは、そのためで ある。また、前輪操舵と旋回中心が異なるために車両の 軌跡を予測しにくく、適切な操舵を行うことが難しいこ とが改めて確認された。現時点で後輪ステアリングでの 操作性が悪いと予測されるため前輪ステアリングに変 更予定である。そこでステアリング変更前後で操作性が どのように変更されたかを評価するために行う。 図10 操舵入力時の操舵角およびヨー角の変位 8.まとめ 後輪操舵機構を採用することで、旋回半径を小さくする ことができたが、後輪操舵は前輪操舵と車両の旋回中心 が異なるため、運転操作のタイミングが異なることが試 作したPMV でも認められた。これは歯車比の違いなど では解決することができないため、機械的なリンケージ ではなく、ハンドル操作角に応じて後輪操舵角を動的に 変化させることができるようにモータなどで制御する 方式(ドライブ・バイ・ワイヤ)とすることを検討する。 また、接地点を通る垂直軸まわりに車輪を回転させ舵角 を得ることが一般的であるが、車輪の回転軸を傾斜させ ることで得られるキャンバ角とを組み合わせることで、 小さい舵角で大きな実舵角を得ることができる機構に ついても今後検討を行う必要があると考える。 参考文献 1) 金ら:“移動困難者の需要推計に関する基礎的研究-町田市 を例にしたケーススタディ-”, 土木計画学研究・講演集 (CD-ROM) (Proceedings of Infrastructure Planning (CD-ROM)),30,X(251),2004.

2) Y TAKAHASHI, “Personal Mobility Vehicle for Assisting Short-Range Transportation”, Computers Helping People with Special Needs, Lecture Notes in Computer Sciences, Vol. 9759, pp.537-540, 2016.

超小型車両の後輪操舵機構の開発

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図 5   後輪操舵 PMV 試作外観   3.2  走行アシスト  駆動輪は、インホイールモータであり、車輪内にブラシ レス DC モータが組み込まれ、ホール素子を用いて回転 を検出している。駆動系はマイクロコントローラ、モー タドライバ、バッテリで構成される。図 6 に走行アシ スト装置の構成を示す。 図 6   走行アシスト装置の構成 制御プログラムは、運転者がメインスイッチを ON 状 態で路面を蹴り出したとき、後輪のホールセンサで検出したパルスをArduino互換マイクロコントローラでカウントし、

参照

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