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博士(薬学)南 亮介 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(薬学)南   亮介 学位論文題名

Scythe/BAG6 のユビキチン依存的 夕ンパク質分解における新規機能の解明

学位論文内容の要旨

  Scythe/BAG6はN末端にユ ビキチンと相同性の高い領域、UBL (ubiquitin‑like)ド メインを有す る ユビ キチ ン様 タン パク 質で あり 、ま たC末 端にBAGド メイ ンを 有す るBAGファミリータン パク 質である。本研究を開始し た当初、Scythe/BAG6の機能 については、アポトーシス誘導因子Reaper との関係、Hsc70のシャペロン活性の調節が明らかとな っているのみであった。近年ようやくp53 のアセチル化制御、小胞体 ストレス誘導性アポトーシス制御、分泌によるNK細胞の 活性化など、

種々の機能が明らかとなり 始めた。しかし、ユビキチン様タンパク質であるにも関わらず、ユビキ チン‐プロテアソームシス テム(以下UPS)における機能はこれまで明らかとなって いない。そこ で 私は 、UPSと の関 連と い う観 点か ら一 連のScythe/BAG6の機能解析を展開した。なおScytheは ア フリ カツ メガ エルXenop usにおける名称、BAG6はその哺乳類 ホモログである。本論文は3章で 構 成さ れて おり 、第1章 で はXenop us胚 を用いたScytheの機能 解析の結果について、第2章 では BAG6のUPSに お け る 機 能 解 析 の 結 果 に つ い て 、 第3章 で はBAG6の ユビ キチ ン陽 性凝 集体 (主 に ポリ グル タミ ンタ ンパ ク質 によ る凝 集体 )形成における機能解析の結果について報告す る。

筮!童Xenop usにおけ歪Scythe堕壁饉盤盤

  Scytheはほとんど機能未知であったため、手掛かり を得るべくまずMAl[,DI‑TOF MSを用いて結 合タンパク質の探索を行った。その結果、8種の新規Scythe/BAG6結合タンパク質を同定した。同 定し たScythe/BAG6結 合 タン パク 質の うち 、ア ポト ーシ スと の関 係が 報告されていたXEFIAOと い う 分 子 に 着 目 しScytheと の 機 能 的 関 連 を 解 析 し た 。 そ の 結果 、XEFIAOはXenop us胚 にて caspase3/7の活性化と発生異常を引き起こし、これらcaspase3/7活性化と発生異常は共にScythe 共発現により抑制されることを見出した。さらにScythe共発現により抑制される分子機構として、

ScytheがXEFIAOの ユ ビ キ チ ン 化 を 促 進 す る こ と 、 ま たXEFIAOのUPSに よ る 分 解 に はScythe が必 要で ある こと を見 出し た。 これ らの 結果 は、Xenop us胚 にお いて 、ScytheがXEFIAOのUPS 依存 的分 解を 制御 することを示唆している。そこでScytheのUPSにおける機能を、より普遍 的な 系 で 理 解 を 深 め る べ く 、 以 下 、 、 哺 乳 類 培 養 細 胞 を 用 い てBAG6の 機 能 解 析 を 行 っ た 。

筮呈 童UPSに おけ るBAG6の機 能負 至蚯

  HeLa細 胞を プロ テア ソー ム阻 害剤MG132処理 した 際、 その 抽出 液中 で、BAG6はプロテアソー     ―50―

(2)

ム、 ユビ キチン化タンパク質と効率よく相互 作用していることを見出した。またBAG6自身はユビ キチ ン化 修飾 を受 けず 、 さら に、BAG6と相互作用したユビキチン化タン パク質は、MG132を除去 する こと で消 失す るこ と を明 らか にした。酵母ユビキチン様タンパク質Rad23やDsk2は、プロテ アソームとユビキチン化基質と相互作用 し、基質をプロテアソームヘリクルートする因子として機 能す ると 報告されている。ここまでの結果よ り私は、BAG6も同様にりクルート機能を有している ので はな ぃかと考えた。そうであるならぱ、 免疫共沈させたBAG6.ユビキチン化タンパク質・プ ロテアソームの3者複合体形成がユビキチン化タンパク質の分解をサ ポートするはずであり、この 可能 性を 検証 すべ く、UPSの モデ ル基 質で あるEGFP‑CL1を 用いて、血vitro分解システムを構築 し実 験を 行っ た。 その 結 果、3者 複合 体の 検出 と共 にEGFP‑CL1の分 解が 検出 され たた め、BAG6 がュ ビキ チン 化タ ンパ ク 質を プロ テア ソー ムヘ リク ルー トす る機能を持っことが示唆された。

  Rad23やDsk2と 異 な り 、BAG6は 直 接 ユ ビ キ チ ン 鎖を 認識 しな い。 そこ でBAG6とユ ビキ チン 化タ ンパ ク質の間に介在するタンパク質、BAG6とユビキチン鎖両方に直接結合するタンパク質が 存在 する のではなぃかと考え、探索を行った 。種々のタンパク質について検討したところ、BAG6 はubiquilin (UBQLN)1,2,4と直接結合する ことが明らかとなった。UBQLN1,2,4はユビキチン 鎖 と 直 接 結 合 す る た め 、BAG6が これ らUBQLN. ユビ キチ ン鎖 と3者複 合体 を 形成 し得 るか 検討 した とこ ろ、UBQLN1に つ いて 複合 体を 形成 し得 るこ とが 明ら かとなった。これらの結果より、

BAG6はUBQLN1を 介 し て ユ ビ キ チ ン 化 タ ン パ ク 質 と 相 互 作 用 し 得 る こ と が 明 ら かと なっ た。

  次 にBAG6が りク ルー ト する ター ゲッ トの 探索 を行 って いた ところ、BAG6と相互作用するユビ キチン化タンパク質が、翻訳阻害剤であ るシクロヘキシミド処理によって著しく減少することを見 出し た。 この こと よりBAG6の 主な ター ゲッ トはUPSで 分解 され るも のの うち 、翻 訳後 速やかに 分解されるものであることが示唆される。これらは特にRDP (Rapidly degraded polypeptides)と呼 ばれ 、そ の分 解ペ プチ ド はMHC classIと複合体を形成し細胞表面に提示 される。RDP産生を増加 さ せ る 翻 訳 阻 害 剤 のpuromycmを 用 い た 実 験 の 結 果 、BAG6がRDPと相 互作 用 する こ と、 及び BAG6がRDPの 代 謝 に 関 与 す る こ と を 見 出 し た 。 ま たBAG6ノ ッ ク ダ ウ ン に よ り 細 胞 表 面MHC classI量 が減 少し たこ と から 、BAG6が りク ルー トす るタ ーゲ ット のー っがRDPで ある ことが示 唆された。さらにBAGは、免疫プロテアソームと相互作用した。免疫 プロテアソームは、効率よく 抗原ペプチドを産生するタイプのプロテ アソームであり、ウイルス感染時等に産生されるIFNy刺激 により誘導される。ウイルスタンパク質は長寿命なものが多く、ウイルス抗原の迅速な提示にはRDP が不 可欠 であ る。 以上 の 結果 より 、BAG6が、ウイルス感染時にウイルス タンパク質RDPを免疫プ ロ テ ア ソ ー ム ヘ リ ク ル ー ト す る こ と で 、 免 疫 応 答 に 関 与 し て い る こ と が 考 え ら れ る 。

笠3章ユ ビキ乏Z陸蛙墜隻体形成におt士歪BAG6の捲饉盤蚯(主にポリグノヒ窒ミ:1タと=!2質t三 よ歪盤簒笠形成について)

  ユビキチン陽性の凝集体は、神経 変性疾患など種々の病態とも直結する重要な表現系である。私 は本 研究 で、BAG6がアグリソーム、ALIS、ポリグルタミン タンパク質による凝集体(以下polyQ 凝集体)など種々のユビキチン陽性 凝集体と共局在することを見出した。このうちpolyQ凝集体形 成 に おけ るBAG6の 機能 を解 析し たと ころ 、BAG6がpolyQ凝集 体形 成及 びpolyQ凝 集体 によ る細 胞 死 を抑 制す るこ とを 見出 した 。ま たこ のpolyQ凝 集体 形成 抑制 作用 にはBAG6のBAGドメ イン

51ー

(3)

が必要であることを見出した。より詳細な解析を行った結果、第1章で新規に同定したScythe/BAG6 結合 タン パク質のうち、Gdxという分子がBAGドメインに直接結合すること、さらにGclxがpolyQ 凝集体形成を抑制することを明らかにした 。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    木 原章雄 副査    教授    鈴 木利治 副査   准教授   山本   融 副査    教授    川 原裕之

学 位 論 文 題 名

Scythe/BAG6 のユビキチン依存的 夕ンパク質分解における新規機能の解明

  Scyt11e′BAG6はN末端にユピキチンと相同性の高い領域,UBL(ubiquitin.1血e)ドメインを 有 するユ ピキチン 様夕ン パク質であり,またC末端にBAGドメインを有するBAGファミリー タンバク質である。申請者が本研究を開始した当初,Scythe′BAG6の機能については,Reaper 夕ンパク質が誘導するアポトーシスの制御,及びHsc70のシャペ口ン活性の調節が明らかとな っているのみであった。昨年来ようやく小胞体ストレス誘導性アポトーシスの制御や,分泌に よるNK細胞の活性化など,種々の機能が明らLかとなり始めた。しかしユピキチン様夕ンバク 質であるにも関わらず,ユピキチン‐プロテアソームシステム(以下UPS)における機能はこ れ ま で 明ら か と な って い な い。 そ こ で申 請 者は,UPSと の関連と いう観 点から一 連の ScythdBAG6の機能解 析を展開した。なおScytheはアフリカツメガェルXenopusにおける名 称,BAG6はその哺乳類ホモログである。

  Scytheはほとんど機能未知であったため,手掛かりを得るべくまずMALDI・TOFMSを用い て結合夕ンバク質の探索を行い,8種の新規Scythe/BAG6結合夕ンバク質を同定することに成 功した。同定したScルhdBAG6結合夕ンパク質のうち,アポトーシスとの関係が報告されてい たXEFlAOという分子に申請者は着目しScytheとの機能的関連を解析した。その結果Scythe が,XEFlAO過剰発現によるアポトーシス及び発生異常を抑制することを見出した。さらにそ の 分子機 構として ,ScytheがXEFlA0のUPSによる分解を制御することを見出した。この解 析により,ScytheがUPSにおいて機能していることが初めて明らかになった。そこでScythe のUPSにおける機能をより普遍的な系で理解を深めるべく,以下,哺乳類培養細胞を用いて BAG6の機能解析を行った。

    ―53ー

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  HeLa細 胞をプロテアソーム阻害剤MG132で処理した際,その抽出液中でBAG6はプロテア ソーム,ユピキチン化夕ンパク質と効率よく相互作用していることを見出した。またBAG6自 身はユビキチン化修飾を受けず,BAG6と相互作用したユピキチン化夕ンパク質はMG132を除 去することで消失することを明らかにした。これらの結果から,BAG6が基質をプロテアソー ムヘリクルートする因子として機能している可能性が示唆された。そこでこの仮説を検証すべ く申請者はsemi vitro degradation assayを独自に開発し,BAG6がりクルートタンパク質であ ることを示した。さらに,BAG6と相互作用するユビキチン化タンパク質が,翻訳阻害剤であ るシクロヘキシミド処理によって著しく減少することを見出した。この結果よりBAG6の主な タ ーグ ット は,UPSで 分解 され るも のの うち 翻 訳後 速や かに 分解 され るRDP (Rapidly degraded polypeptides)であることが示唆された。そこでRDP産生を増加させる翻訳阻害剤 puromycmを 用い た 実験 を行 った 結果 ,BAG6がRDPと相互作用 すること,及びBAG6がRDP の代謝に関与することを見出した。これらの結果より,BAG6がりクルートするターゲットの ーっがRDPであることが明らかとなった。

  ユビキチン陽性凝集体は,神経変性疾患など種々の病態とも直結する重要な表現系である。

申請者はBAG6が,アグリソーム,ALIS,ポリグルタミンタンパク質による凝集体(以下polyQ 凝集体)など種々のユビキチン陽性凝集体と共局在することを見出した。これらのうちpolyQ 凝集体形 成におけるBAG6の機能を解析したところ,BAG6がpolyQ凝集体形成及びpolyQ凝 集体による細胞死を抑制することを見出した。またこのpolyQ凝集体形成抑制作用にはBAG6 のBAGドメインが必要であることを見出した。さらに詳細な解析を行った結果,新規に同定し たScythefBAG6結合タンパク質のうち,Gdxという分子がBAGドメインに直接結合すること,

またGdxがpolyQ凝集体形成を抑制することを明らかにした。これらの結果より,BAG6の生 理学的機能の一端が,その分子メカニズムと共に示された。

  以上,本論文はほとんど機能未知であったScythe/BAG6というタンパク質が,ユビキチン依 存的タンパク質分解に関与していることを様々な手法を用いて詳細に解析し,分子レベルで明 らかにしている点で優れている。また,BAG6は病態と関連するpolyQ凝集体形成に抑制作用 があることを見出し,今後の医薬応用の可能性も示した。よって,申請者は博士(薬学)の学 位を受領するのに十分な資質を有するものであることを認めた。

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