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論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:長見 茂

博士の専攻分野の名称:博士(工学)

論文題名:インフュージョン成形法によるGFRP構造の特性評価と数値計算による シミュレーションに関する研究

ガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastic,GFRP)は比強度,耐熱・耐久性等に優 れているため,住宅機材,舟艇・船舶,車両などの幅広い分野で使用されている.GFRP 構造物の成形方法 には,ハンドレイアップ法,スプレーアップ法,フィラメント・ワインディング法などの様々な方法が用 いられているが,近年は GFRP 構造体の性能と品質向上,作業環境の改善,設備投資費の抑制などから RTM

(Resin Transfer Molding)成形が注目され,国内でも様々な研究が行われている

RTM 成形の一種であるインフュージョン成形は,成形型の上に強化材を配置し,その上をバギングフィル ムで覆い,成形型内を真空にして,樹脂を流す簡易的なクローズドモールド成形法である.しかし,樹脂 の流動時間を短時間にすることや,成形時のボイドの低減を図るためには,樹脂注入口や減圧吸引口の配 置などの成形条件を最適化する必要がある.成形を繰り返して合理的な条件を見つけることも可能だが,

コストと時間が多くかかるため,数値シミュレーションで樹脂の流れを予測し,成形条件を最適化する方 法が有効となる.

インフュージョン成形における樹脂流動挙動は Darcy 則に従うことが知られており,数値シミュレーシ ョンにおいては,浸透係数k が重要なパラメーターの一つとなる.浸透係数 k は流体の性質には無関係で 浸透層の性質(繊維径・空隙率・材質)のみに関係する係数である.この浸透係数k を求めるための実験 には,長方形の型内に強化材を置いて一方向に樹脂を流す方法,強化材端部でのエッジ効果をなくすため に放射状に樹脂を流す方法などが提案されている.フローフロントの位置は,センサやビデオカメラを用 いて測定する方法が提案されているが,これらの方法では高価な計測装置と高度な技能が必要となる.

そこで本研究では,重量計を用いて樹脂の供給量から浸透係数を求める簡便な方法を提案する.また,

今後三次元構造体をインフュージョン成形で成形するために,成形時の傾斜角度が樹脂の浸透時間に与え る影響を調査し,数値シミュレーションとの比較を行った.

さらに,成形時の傾斜角度とフローメディアが成形品の引張強度に与える影響を実験及び数値シミュレ ーションの両面から検討を行った.また,従来のインフュージョン成形品は平面状の形状が多いため、本 研究では楕円曲面を有するドーム形状に関するインフュージョン成形実験を行い、数値シミュレーション 結果と比較検討を行った。

本論文は第 1 章序論、第 2 章インフュージョン成形法、第 3 章ガラス平面板の成形結果と引張強度、第 4 章楕円ドーム形状の成形、第 5 章数値シミュレーション、第 6 章結論からなり、本研究の主要な成果とし て次のような成果をあげることができた.

1)重量計を用いた簡易的な方法で浸透係数を求めることができ,この浸透係数を用いた数値シミュレーシ ョンの結果は実験結果と良好な一致を示した.

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2)成形時の傾斜角度が樹脂の浸透時間に与える影響は最大で 6%と小さな値であった.

3)傾斜角度にかかわらず引張強度は概ね一様な値を示した.

4)フローメディアの使用の有無が引張強度と繊維体積含有率に与える影響はほとんどないと考えられる.

5)フローメディアを使用することで,成形時間は大幅に短縮されるが,成形に必要となる樹脂量と副資材 は増加する.そのため,インフュージョン成形では,成形時間と成形品の厚み,成形コストのバランスか らフローメディアの使用を検討する必要がある.

6) 楕円曲面を有するドーム形状のインフュージョン成形も成功し、角度を有する平板で得られた実験結 果がほぼ適用でき、数値シミュレーション結果と良い一致を見た。

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