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石炭中の硫黄形態 と脱硫特性

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(1)

石炭中の硫黄形態 と脱硫特性

,*遠 田 幸 生,**菅 男 *

SulfurFormsinCoalandDesulfurizationCharacteristics by

KatsuyasuSLGAWARAI,YukioENDAIIandTakuoSUGAWARA†

Abstract

Removalofsulfur,nitrogenandash‑formingmineralsfrom coalby pre treatmentisoneofthepromisingtechnologleSnotOnlytolowerthedamageof environmentbutalsotoacceleratethedevelopmentofefficientcoalutilization processes.Thisreview concernssulfurincoalwhichcausesairpollutionand acidrainintheworld.Theorlglnandformsofsulfurincoal,analyticalmet hodofsulfurforms,distributionofsulfurinmacerals,sulfurbehaviorduring heattreatment,andadvanceddesulfurlZationtechnologleSarediscussed.

Sulfurincoalwasderivedfrom(1)sulfateinseawaterthatoverlaidpeat swampsand(2)parentplantmaterial.Lowerdensitygroupoforganicmatrix whichiscomposedofexiniteandvitrinlteCOntainshighsulfur.玉ANESanalyss indlCateSthatthelow‑densltygroupCOntainssulfideandsulfoxide,whichcould contributetothehighextentoforganicsulfurremovalduringrapidpyrolysIS.

Ferroussulfidesulfurandthiopheneremainsinchar.

A combinedprocessofalkalitreatmentwithrapidpyrolysISisintroduced whichhasaimedtotransform thethermallystableform oforganicsulfurto reactlVeSpeciesbeforepyrolysis. Morethan90%oforganicsulfurhasbeen removedfrom asubbituminouscoal.

KeyWords:CoalDleaning,Sulfur,Desulfurization,PyrolysIS

1.は じめに

1970年代 はじめの石油危機以来,石炭 は石油代替 エ 平成10911日受付

*秋 田大学工学資源学部環境物質工学科

〒010‑8502秋田市手形学園町1‑1

**秋田県工業技術 セ ンター建設環境 システム部

〒010‑1623秋田市新屋砂奴寄4‑ll

千FacultyofEngineeringandResourceSclenCe,Akita Universlty,1‑1TegataGakuen‑cho,Akita010‑8502

I†EnvironmentalSystem Department,IndustrialResearch CenterofAkltaPrefecture,4‑llSanuki,Araya,Aklta

OI1623

88

ネルギー源の柱 として,その需要 は増加の一途を辿 っ ている。近年,地球温暖化対策 に伴 うCO2排 出量 の 削減が求め られ, そ して また化石 エネルギー由来 の SOxやNOxに起因す る酸性雨 の問題 が世界各地 で顕 在化 していることか ら,環境負荷の小 さい天然ガスや 水力等のエネルギー需給 に占める割合が増加 しつつあ る。 しか しなが ら可採年数200年以上 とい う膨大 な埋 蔵量 とェネルギーの安定供給 という観点か ら,石炭 が 21世紀以降 も主要 なェネルギー源の座を占めることは 確かであると考え られ る1)

(2)

第11 2 (1998) 石炭中の硫黄形態 と脱硫特性

日本 は年間13000万 トンの石炭を豪州,米国, カ ナダ,中国,イ ン ドネシアな どの国 々か ら輸入す る, 世界最大の石炭輸入国である。 この数字 は世界の石炭 貿易の3分の 1を占めてい る2)。 今後, アジア諸国 の 経済発展, とくに世界最大の石炭消費国である中国 の 発展 に伴い,石炭需要量が増大す ることは必須であり, 近い将来におけるアジア地域での石炭供給 の不安定化 を指摘す る声 もあ る3)。 石炭 は確 か に埋蔵量 が多 く, 世界各地 に分散 しているという特徴があるが,その半 分 は褐炭や亜歴青炭 などの低品位炭であると言われて お り,将来的には低品位炭の改質 と有効利用技術 の確 立が必要である。 とくにアジアの発展途上国では,疏 黄や灰分の多い低品位の石炭を使用 しているため燃焼 効率が低 く,そ して環境問題の一層の深刻化 が懸念 さ れてお り, 日本か らの技術支援 の必要性 は論 を待 たな い。

石炭利用で避 け られないCO2,SOx,NOx,灰分 の 発生を極力低減す るには,燃焼効率の増大 をはじめ と す る石炭有効利用技術 と,硫黄や窒素,灰分 を事前 除 去す るク リー ン化技術の開発が必要である。本報では, 大気汚染や酸性雨の原因物質で もあ り,また次世代発 電技術などの石炭有効利用技術の障害 にもなる石炭中 の硫黄を取 り上 げ,その成因,形態 と分析法,石炭 中 での分布そ して熱的挙動 について概説す るとともに最 近の事前脱硫技術 について紹介す る。

2. 石炭 中の硫黄 の成 因

Photolに,石炭粒子の表面 を研磨後撮影 した写真 を示す。約20FLm程度 の フラ ンボイ ド状 の黄鉄鉱 が

+ 50LLm+

PhotoI Pyritein coal

89

イナ‑チニ ッ ト部分 に多 く観察 され る。 さて石炭 は, その硫黄含有量 により,低硫黄含有炭 (硫黄量1% 宿),中硫黄含有炭 (1%以上3%未満), そ して高硫 黄含有炭 (3%以上)に分類 され る。 この石炭 に含 ま れる硫黄の量 は,石炭 の根源物質である樹木が堆積 し て泥炭を生成す るときの湿地帯 の環境 と,泥炭生成後 の続成作用中の地層の安定性 に大 きく依存す ると言わ れている4)。硫酸 イオ ンに富む海水 の影響 を受 け るこ とな く淡水中で泥炭の堆積が進行すれば,根源物質 由 来の硫黄のみを含む低硫黄含有炭 が生成す る。一方,

この石炭化 の初期段階に海水が湿地帯 に流入あるいは

Seawater

Format10nOIpyritlCcoalbaIIs FormatlOnOfpyrltICnodulesandpartlngS

CIeatpyrltedeposltIOn

Figl1 Am odelfororlgln Ofpyriteand organic

sulfur

(3)

海水性 の層が堆積す ると,高硫黄含有炭が生成す る5)0 Fig.1に,Chou5)が提案 した石炭 中 の硫黄 の成 因 モデルを示す。海水中の硫酸 イオ ンは,堆積 した泥炭 中に拡散浸透 し,pH6‑8の領域 で嫌気性 菌 の作 用 に よ り,硫化水素 や元素状硫黄,ポ リスル フィ ドに還 元 され る。海水が湿地帯 に流れ込む前に,河川 の粘土 に 吸着 した酸化鉄や水酸化鉄 の形で泥炭中に入 り込んだ 鉄 は,還元状態 で硫化 水素 と反 応 し,硫化 第一鉄 を 形 成 す る。 この硫化 第一鉄 は元 素 状硫黄 と反 応 し, macklnaWiteか らgreigiteを経 て フ ラ ンボイ ド状 の 黄鉄鉱へ と変化す る。 また石炭 中 に単結晶粒子 として 分散 して存在す る黄鉄鉱 は,直接FeS2の沈 殿反応 に よ り生成 した ものである。炭球中の黄鉄鉱 は,泥炭化 の後期 の段階 に生成 した ものであ ることが,炭球中 に 残存す る植物 によ り裏付 け られて いる。 また有機 マ ト

リックスの間隙 に存在す る黄鉄鉱 は,泥炭が石炭 に変 成す る過程で生成 し,また脈状 o)黄鉄鉱 は,泥炭 が圧 縮 された後浸透 して きた地下水か ら生成 した もの と考 え られている。

次 に有機硫黄 は,植物がバ クテ リアの働 きによ り石 炭微細組織前駆体 まで分解 され るフ ミン化の過程 にお いて,硫化水素や元素状硫黄, ポ リスル フィ ドが有機 物 と反応す ることによ り生成 した ものである。実験 室 的 に も100‑200℃ の低 温 で泥炭 や各種 炭化水素 と硫 化水素が反応 し,チオフェ ンをは じめ種 々の有機硫黄 が生成す ること6), また元素状 硫黄 や ポ リスル フ ィ ド について もフ ミン酸やケ ロジェ ンと反応 し,低温で迅 速 に有機硫黄が生成す ることが証 明 されている7)

以上 のよ うに,泥炭化 な らびに続成作用の段階で海 水 の影響 を強 く受 けると,高硫黄含有炭 となる確率 が 高 くな る。一方,淡水性 の層が泥炭 に堆積 した場合 に ,pH3.3‑4.5と上が らずバ クテ リアの働 きが抑 え られ るため,黄鉄鉱 および有機硫黄 の生成 は抑制 さ れ る。 しか しなが ら,淡水性 の層 であ って も層内 にカ ル シウムが多 ぐ含 まれ る場合 には,海水 の影響 が無 く て もバ クテ リアの働 きが非常 に活発 とな り高硫黄含有 炭 にな る。 このカル シウムの多 い例 が,Rasa炭 で あ

り,有機硫黄 を11%も含んでいる4) 3.硫黄 の形 態 と分 析法

石炭 に含 まれ る硫黄形態 の分析法 と して,広 く用 い られているのがPowellの酸化法B.9)に基づ いたASTM

(D2492)である。ASTM法 は, 酸抽 出 によ り硫酸 塩 硫黄 な らびに黄鉄鉱硫黄 の量 を決定 し,そ して全硫黄 量か らこれ ら硫酸塩硫黄 および黄鉄鉱硫黄量 を差 し引 くことによ り有機硫黄量 を決定す る方法であ る。酸抽 出による分析法 は,簡便 かつ低 コス トとい う利点 を有 す るが,多量 の黄鉄鉱 を含む場合 あ るいは黄鉄鉱粒 子 が細粒で石炭 中に埋 め込 まれている場合 には,硝酸 に よる抽 出が不完全 にな り誤差が生 じやす いとい う欠点 を有す る10)。 とくにASTMの方 法 そ の ま まで は,酸 抽出の時間が不足 な ことだけで無 しに,黄鉄鉱 の還元 によ り生成す る硫化第一鉄 な らびに金属鉄 の存在 を考 慮 していないことか ら,全硫黄量 よ り無機硫黄 を差 し 引いて算 出す る有機硫黄 の量 を,結果的 に過大 に見積

もる危険性 を有 してい る

1 1 r 1

㌔ Fig.2に,著 者 らが提

出 した酸抽 出に基づ く形態別硫黄分析法 を示す。 これ よ り原炭 のみな らず還元雰囲気で調製 したチ ャーにつ いて も形態別硫黄 の分析定量が可能である12)0

有機硫黄 を直接 同定定量す ることは,有機硫黄が数 多 くの種類 か ら成 り,また有機 マ トリックスに広 く分 散 していることか ら非常 に困難 とされ て きた。 これ まで触媒存在下, 規定 した昇 温条件下 で石炭 を還 元 (TemperatureProgrammedReduction)1315)もし く は酸化 (TemperatureProgrammedOxidation)し, 特定 の温度で発生す る硫化水素 あるいは二酸化硫黄 の

ピークか ら石炭中 に分布す る有機硫黄官能基 を同定す る方法 (Fig.3)16),溶剤抽出物中の有機化合物 よ り石 炭中の硫黄形態を推定す る方法17),そ して急速 熱分 解

F7AW COAL

Fig.2 Procedureofsulfurform analysts

(4)

第11 2 (1998) 石炭中の硫黄形態 と脱硫特性 91

+ T

Fig.3 TPR kinetogram

生成物をGC/MSにより分析す る方法 な どが提案 さ れている1㌔ しか しなが らTPRな らびにTPO法のい ずれの場合 にも,無機硫黄か らの硫化水素発生の影響 や硫黄化合物を捕捉す るカルシウムの影響が大 きいば か りではな(19),個々の硫黄化合物 に対応す るよ く分 別 された ピ‑クが得 られることが少ないため,有機硫 黄化合物の形態や量を特定す ることは非常 に困難であ る。溶剤抽出法 については,抽出可能な有機硫黄 の量 は全有機硫黄量 の30%以下であ り,さらに抽 出時 に有 機硫黄化合物 の構造 が変 化 して い る可 能 性 が大 き

い。

最近,Ⅹ線光竃 子分光法 (ⅩpS)や Ⅹ 線 近吸収端 構造 (ⅩANES)分析 を用 いて,有機硫黄 の決 定 な らびに定量 に関す る研究 が活発 に行 われて い る202㌔

Fig.4に,一例 として著者 らが高 エネルギー物理学研 究所 シンクロ トロ ン放射光施設 で行 ったⅩANES 定法を示す。入射Ⅹ線のエネルギーは,Si(Ⅲ)モノク ロメーターを用 いて変化 させた。ニ ッケル板 に固定 し た試料を,10 8気圧 に減圧 した槽内に設置 し, ビーム を照射す るとともに, このとき試料か ら発生す る蛍光

0 15 24 25 27 29∩

l Undulator 6CytlndrlCalmlrrOr 2 Plnhole 7.Sampleholder 3 Entrancesllt 8 Coalsamp一e

4 Graphrteabsorber 9 FruoTeSCentX‑raysdetector 5 Sl(111)double 10 Electrondetector

crysta一

Fig・4 Schematicdiagram ofbeam linefor XANESanalysts

aOUt2qJOSqt2a^!te^!JaPPL

2460 2465 2470 2475 2480 2485 2490

Photonenergy 【eV】

Fig・5 Sulfur玉ANESspectraofgroupsIand

Ⅱ forFurongcoal

X線 と二次電子を検出器 によりモニタ リングした。試 料中の硫黄形態 は, モデル化合物 のⅩANESスペ ク トルと比較す ることにより決定 した26'。Fig.5に, そ の分析結果の例 として,中国産Furong炭のⅩANES スペク トルの三次微分値を示 した2㌔ 但 し,重液 を用 いて密度の違 いによる石炭粒子の分離を行 い,低密度 成分をグループ Ⅰ,高密度成分を グループⅢとして い る。三次微分値ではスペク トルを構成す る各硫黄化合 物が明確 に分離 されている。本試料では,黄鉄鉱硫黄 が多 く,また有機硫黄 としてチオフェンとスルフオキ シ ドが多 く存在 していることがわか る。また元素状硫 黄の存在 も確認 された。

Fig.6,ⅩANESにより決定 した各種有機硫黄化 合物の量 と炭化度の関係を示 した ものであ る28)O講料 として,ArgonnePremium CoalSampleBank り入手 した米国炭を用いている。炭化度の増加 とと も に脂肪族系の硫黄が減少 し,かわ りにチオフェンが増 加 している。チオフェンが炭化度 とともに増加す る傾 向は,ⅩPSによる分析 で も得 られてお り,Fig.7 示すようにⅩANESⅩPSの分析結果 は良 く一致 し ている。ちなみにRasa炭 については,有機硫黄 の70

(5)

7040RR

JnudSUUB6)0%

70 75 80 85 90 95

%Carbon.drnmlbasIS

Fig.6 XANESanalysisoforganicsulfur

00S:70840JntJdlnSUIUaLfdo三%vleU6JS(dNdlnSSdX

70 75 80 85

%Carbon.dmmt

90 95 1

Fig17 Thiophenicsulfurcontentdetermined byXANESandXPS

1612 1662 1712

81ndlngenergyeV

Fig.8 ⅩPSsulfur2pspectrum from Ras乱coal

%.JnLJdl⊃S(lt2tUG.uJalaU.)LJ^dU.leudちS) 05050532210

x IBC‑101

x旧C・107 1BC‑log

汁NorthDakota(Beulah) Alaska(Belu9a)

×lBC‑106

× lBC1102

005 010 015 020 025 030 035 040

ElementalsulpnUr.Wl%

Fig.9 Correlationbetweenelementalsulfur andinorganicsulfur

%がチオフェンの形 態 を取 って い る (Fig.8)。 また Rasa炭 と同様 に有機硫黄含有量が高 い ことで有名 な スペイ ン産 のMequinenza炭 で は, チオ フェ ンが42

%, スル フィ ドが33%, ジスルフィ ドが10%を 占めて いる29)。 これ らの定量的な値 は,複数 の モデル化 合物 のスペ ク トルを用 いて,観測 された試料 のスペ ク トル をカーブフィッテ ィングす ることによ り算 出 した もの である。

元素状硫黄 の存在が上述 のFurong炭で確かめ られ たが, これは黄鉄鉱 の酸化 により生成 したものであり, 石炭試料 が風化作用を受 けていた可能性 を示す もので ある30)。元素状硫黄 は,石炭化 の初期 の段 階 にお いて もバ クテ リアによる硫酸 イオ ンの還元 によ り生成 した が, これ らの元素状硫黄 はすべて石炭化 の過程で黄鉄 鉱 あ るいは有機硫黄 に変 化 して い る5)0Fig.9に, 元 素状硫黄 と無機硫黄 の相関性 を示 したが,元素状硫黄 は無機硫黄 の量 に比例 して い る ことが わか る。 また Furong炭 のⅩANES測定 において も,元素状硫黄 は 黄鉄鉱 を多 く含 む グループにおいてのみ検出 されてお り,元素状 硫黄 が黄鉄 鉱 由来 で あ る ことが示 唆 され る。

4.硫黄 の分 布

石炭 マ トリックス中 における有機硫黄 の分布 を調べ た結果 を,Fig.10に示す31)。 これ は透過型電子顕微鏡 を用 いてIllinoisNo.5(PSOC592)中 の ビ トリニ ッ

トと, ビ トリニ ッ ト中 に埋 め込 まれてあるスポ リニ ッ トの有機硫黄濃度を線分析 したものである。ビトリニッ

(6)

第 11 2 (1998)

t%)7J.S

石炭中の硫黄形態 と脱硫特性

0

20 40 60

Mcasuremenlnumber

Fig.10 Changeinorganicsulfurcontent acrossmacerals

0rっ0lノ■八%l〜)S

5

4

3京i 2tl<

1

0 1.0 1.1 12 13 1.Lt 1̲5

Speclfcg{aVtY

Fig.ll Changeinorganicsulfurcontent withdenslty

ト内およびスポ リニ ッ ト内でそれぞれ硫黄濃度 は場所 により変動 しているが,両者の界面すなわち ビトリニッ トか らスポ リニ ッ ト‑変わ るところで硫黄濃度 は約2. 5%か ら4.5%に急増 していることがわか る。

このよ うにマセ ラル問で有機硫黄濃度が大 き く異 な ることが明 らか にな った ことか ら,密度差 を利用 して 遠心分離法 によ り各 マセ ラル成分 を濃縮 し,密度 と有 機硫黄濃度 の関係 を調べ た のが, Fig.11で あ る。 密

93

度 の変化 に伴 う有機硫黄濃度 の変化 は,図中の3種 の 歴青炭 ともほぼ同様 の傾向にある。 エグジニ ッ トに相 当す る密度 の試料 は最 も高 い有機硫黄濃度 を示 し,密 度 の小 さい レジニ ッ トに向か うにつれて有機硫黄濃度 は急減 してい る。 また高密度 の イナ ‑チニ ッ トに向 か って も有機硫黄濃度 は減少す る傾向にある。分離 濃 縮 したマセ ラル中 の有 機硫黄 濃度 は, スポ リニ ッ ト

(ェグジニ ッ ト)> ビ トリニ ッ ト> イ ナ ‑チ ニ ッ トの 順 にな っている。

Fig.12に,中国産Nantong炭 を重液 を用 いて比重 分離 した試料 のⅩANESスペ ク トルを示 した。 こ こ で グループIは密度が1.3g/cm3以下, グループⅢ は 1.42g/cm3以上 の試料 で あ る。 これ よ り密 度 の小 さ いグループⅠにはスル フィ ドが多 く存在 す るが黄鉄 鉱 硫黄 の量 はかな り少 ない ことがわか る。一方,密度 の 大 きい成分であるグループⅢで は,黄鉄鉱硫黄 の量 が 多 く, また有機硫黄 と して はチオフェンとスルフオキ シ ドが多 く見 られ るもののスル フィ ドは検 出 されてい

ない27)

OUtEqJOSqea^!te^uOPPJILIト

2460 2465 2470 2475 2480 2485 2490 Photonenergye

Fig.12 Sulfur玉ANESspectraofgroupsland m forNantongcoal

(7)

5.熱処理 に伴 う硫黄 の挙 動

calkins18)は,流動層型熱分解装 置 を用 い窒素 気流 中にて,各種 モデル硫黄化合物 の急速熱分解を行 った。

その結果をTablelに示す。 メルカプタンや脂肪族 系 のスルフィ ドは850℃ 以下 の比較的低温領域で分 解 し 硫化水素 を発生す る。芳香族系の スル フィ ドや メル カ プタンは,900℃ 以上で硫化水素 や硫 化 カル ボニルへ の高 い分解率 を示す。一方,チオフェン,ベ ンゾチオ フェン, ジベ ンゾチオフェン類 は, 熱分 解温度 が950

℃ であ って も25%以下 の低 い分解率 を示 したb

またTaghei32'は豪州産 の褐炭 をヘ リウム中で熱 分解 したときの硫黄形態 の変化 を,ⅩANESによ り調 べている。 ジスル フィ ドは300℃ 付近か ら, また スル フィ ドはジスル フィ ドよ り高温 の425℃ か ら分解 し始 め る。量的 には少 ない硫酸塩 や スル フオキシ ド等 の化

Table1 Conversionofmodelsulfurcompounds [mol%](Contacttime,0.5S)

Pyrolysistemp.t℃】

800 850 900 950 AIiphatic

Propylsulflde Butytsulfide Benzylmethylsulfide BenzylmOraptan Dodecylmercaptan Methyldjsulfide

91230.96.10083.869285

546099

Allphatic F71Tlg pDithiane 1.31Dithiane

Aromatlc ThiocreSol Thioanisole Phenylsulfide

296105907

4607.20908

4829237̲25

FIGEerocyclic Thiophene Benzothiophene Dlbenzothiophene

合物 は200℃ 以上で分解 した。一方,全硫黄 に占め る チオフェンの割合が温度 とともに増加す る傾向にあ っ た。チオフェンは熱的 に安定で あ るばか りで はな く, 脂肪族系 のスル フィ ドが熱分解中にチオフェンに変化 す るとい うことも指摘 されている。 この ことは,石炭 が生成す る初期 の段階 に存在す る有機硫黄形態 はスル フィ ドであ り, これが比較的温和 な加熱条件下 で, チ オフェ ン類 に変化 した もので あ る ことと類 似 して い る33)0

さて次 に,黄鉄 鉱硫 黄 を多量 に含 む カナ ダNova scotia産 の石炭 をアル ゴ ン雰 囲気 で熱分解 した とき の,得 られたチ ャー中の硫黄 の濃度分 布 をFig.13 示 した34)。 ここで横軸 は,黄鉄鉱粒子 と有 機質 の界面 か らの距離で あ る。 熱処理 して いな い試料 な らび に 400℃ と500℃ で熟処理 した試料で は,界面 か らの距離 によ らず硫黄濃度 は一定値を取 っている。一万,550℃, 600℃ および700℃ で熱処理 した試 料 で は界 面付近 の 有機 マ トリックス中の硫黄濃度が著 しく高 く,界面 か ら10ミクロンメー トルの範囲 まで硫黄濃度が未処理炭 に比べ増加 している。黄鉄鉱 は,500‑550℃ で硫化 第 一鉄 に変化 してい ることか ら, この とき発生す る黄鉄 鉱 由来の硫黄が有機 マ トリックス中に移行 した もの と 考 え られ る。 この熱分解条件下で は,黄鉄鉱 由来 の硫 黄 は硫化水素 とな って硫化第一鉄 と有機 マ トリックス の界面を通 って,マ トリックス内の細孔中を拡散 して いるもの と推定 され る。石炭 の熱分解 とともに炭素 の

20

0

︻%言 ︼

JnL]dTnS

0 2 4 6 8 10 12 DtslanCefromcoal/pyriteboundarytLLml Fig.13 Sulfurinorganicmatrixaroundpyrlte

particles

(□ ;Raw coal O ;400℃ ▲ ;500℃

△ ;550℃

● ;

600℃ + ;700℃

Reactiontime,20h)

(8)

第 11 2(1998) 石炭 中 の硫黄形態 と脱硫特性

活性点が生成 し, この活性点 と硫化水素 とが反応す る ことにより新 た に強力 な有機硫黄 の結合 が形成 され ると考え られ る。 ここでC‑S結合が形成 され ること は,35S同位体を用いた研究 によって確認 されている。

この様な黄鉄鉱由来の硫黄 に基づ く新たな有機硫黄 の生成が,炭種 によって熱分解脱硫 に最適の温度が存 在す ることの原因であ り,有機硫黄の生成量 は粒子 内 における硫化水素の滞留時間や石炭の熱分解速度 に依 存す ることが明 らかにな って きた。Fig.14に,実験 結果の一例 として,全硫黄の3割が無機硫黄であ る南 アフ リカ産のErmelo炭を,窒素気流中にて昇温速度 を変えて所定到達温度 まで昇温 した ときのチ ャーに残 留す る有機硫黄量を示 した35)。昇温速度20℃/min 100℃/minのいずれの場合にも有機硫黄量 は500℃ で 最小値を示 した後,再 び到達温度の増加 とともに増大 してお り, この条件下では500℃ が熱分解脱硫 の最適 温度であることがわかる。また20℃/min100℃/

minの場合の有機硫黄量を比較すれ ば,loo℃/m上n の方が500℃ 以降の有機硫黄量が低 い値 に抑え られて いる。100℃/minの方が20℃/minに比べて揮発分 放出速度が大 きいことを考慮す ると,昇温速度が大 き いほど硫化水素の粒子内滞留時間が短 くな り,有機硫 黄の増加量 は小 さ くなる。すなわち有機マ トリックス による硫化水素捕捉反応 と硫化水素の粒子外への放出

42

LPB/S6LULo[一CO3E)rs6LU

lUa)UOULntlnSOIUe6)○

Raw 300 400 5∞ 700 9∞

coal

T 【℃】

Fig.14 Changesinorganicsulfurcontentln solidphasewithterminalpyrolysIS temperatureindifferentheatingrates

95

反応の速度 との兼ね合 いにより,固相中有機硫黄量 が 決定 されるということである。またこの ことか ら揮発 分放出速度が大 きいほど,すなわち昇温速度が大 きい ほど硫化水素の捕捉が抑制 され ることか ら,Ermelo 炭を昇温速度数千oC/S,最終到達温度1233Kで急速 熱分解 したところ,有機硫黄0.2%以下 のチ ャーが得 られた。また加圧水素下の熱分解で も,硫化水素 の捕 捉反応 は抑制 された36)

急速熱分解条件下で は,上述のように,黄鉄鉱 由来 の硫化水素の影響を受 けず に,石炭中有機硫黄その も のの熱分解特性を知 ることが出来 る。また急速熱分解 は,ガス化炉や燃焼炉への石炭粒子投入時 に必ず起 こ り得 る現象であ り, このときの硫黄化合物の動的挙動 に関す る研究 は,効率的な脱硫技術の開発 に不可欠 で ある。Fig.15に,炭化度 が69‑89%dafの石炭試料 20種を,粒子 自由落下型反応器 を用 いて窒素気流 中 960℃ で急速熱分解 したときの,揮発分収率 と有機硫 黄放出率 との関係を示 した37,38)。 ここで有機硫黄 の固 相か らの放出率 は,石炭ベースにより,次式で算 出 し た ものである。

(1‑(チャー中の有機硫黄量/原炭中の有機 硫黄量))×100[%]

図中の破線 は,揮発分収率 と有機硫黄の放 出率 が1.I

1であることを示 している。高炭化度 の2種 の石炭 が

000CO64

︻%]osealaJLn‑一nSU!Ue6Jo

0o0

bo@ ///

o o/o/

/ /b / / / o

/

0 20 40 60 80 100 VoratilematteryieldEd%,dafl Fig.15 Correlationbetweenorganicsulfur

releaseandvolatilematteryield

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