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スポーツトレーニング科学16:31-32,2015
常圧低酸素室を活用した低酸素トレーニング法の検討
-異なる高度での安静時,運動時,睡眠時の生理応答に関する研究-
山本 正嘉,森 寿仁
トレセンでは過去,常圧低酸素室(トレーニング 環境シミュレーター)を用いて,様々な角度から,
新たな低酸素トレーニング法の開発や,その基盤と なるようなデータの収集に取り組んできた。
今年度は,スポーツ選手が体験しうるさまざまな 高度(標高0m~ 3500m相当)をシミュレーショ ンして,安静時,睡眠時,運動時という3種類の条 件下で,生理応答がどのように対応するのかを体系 的に捉えることを試みた.
健康な男子大学生10名を対象に,標高0m,1500 m,2500m,3500mにおいて,椅座位安静,夜間睡 眠,7~9Mets程度の運動時の動脈血酸素飽和度
(SpO2)および心拍数を測定した.
その結果,図1のように高度が上昇するにつれ SpO2は低下した。特に,2500mから3500mにかけ てはSpO2が大きく低下する傾向を示した.また,
同じ高度で比べると,椅座位での安静時よりも,睡 眠時や運動時においてSpO2が低値を示す傾向を示 した.
通常環境では,アスリートが最大努力で運動した 場合でも,SpO2の値が90%を下回ることは少ない。
しかし標高2500mでは,睡眠時および7~9Mets 程度の比較的強度の低い運動時にも,半数以上の人 がこの値を下回った。そして標高3500mでは,3つ の条件の全てにおいて,全被検者がこの値を下回っ ていた.
本研究の成果は,昨年度に実施した,高所環境に 対する事前順化トレーニングに応用できると考えら れる.すなわち,標高2500mの低酸素室で睡眠を行 うだけでも,通常酸素環境下では与えることのでき ない低酸素の負荷を身体に与えることができる。ま た標高3500mでは,安静にしているだけでもそれが
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山本,森
可能である.
このように,容易に酸素濃度を変化させられる常 圧低酸素室の特性を生かし,安静,運動,睡眠とい う3種類の条件に合わせた酸素濃度を設定すること で,事前順化が効果的に得られる可能性がある.ま たその効果は,運動を伴わなくても得られる可能性 もあるといえる.
<研究成果の公表>
本研究の成果は,以下の雑誌に原著論文として公 表された。
・森 寿仁,山本正嘉:日本で経験しうる高所およ び準高所での安静時,運動時,睡眠時の生理応 答;常圧低酸素環境下でのシミュレーションを用 いた検討,登山医学.34:99-106,2014.