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Participation of School Nurse Teachers for Special Support Education -The Present Status and Problem of Support by School Nurse Teachers-

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Academic year: 2021

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(1)

魚沼市立上条小学校(〒

946-0204 新潟市魚沼市西名 541

番地;Kamijo Elementary School, Uonuma

946-0204, Japan)

茨 城 大 学 教 育 学 部 教 育 保 健 教 室( 〒

310-8512  水 戸 市 文 京 2-1-1;Department of Educational Heath, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512, Japan)

*

**

養護教諭の特別支援教育へのかかわりについて

―養護教諭が行う支援の現状と課題―

小林 磨由子

*

・竹下 誠一郎

**

(2008 年 11 月 30 日受理)

Participation of School Nurse Teachers for Special Support Education -The Present Status and Problem of Support by School Nurse Teachers-

Mayuko K OBAYASHI * and Seiichiro T AKESHITA **

(Received November 30, 2008)

はじめに

 文部科学省が平成 15 年に実施した 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生 徒に関する全国実態調査」の結果1)では,全国の通常学級に通っている児童生徒の 6.3%が何らかの 支援を必要とすることが明らかになった。特別支援教育とは,障害のある幼児児童生徒の自立や社 会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズ を把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必 要な支援を行うものである(平成 17 年の中央教育審議会による特別支援教育を推進するための制 度の在り方について(答申)2))。具体的には,小・中学校において通常の学級に在籍する学習障害

(Learning Disabilitie,以下 LD)・注意欠陥/多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder,

以下 ADHD)・高機能自閉症(High-Functioning Autisim, 以下 HFA)等の児童生徒に対して適切な指 導及び必要な支援を行うものである。

 養護教諭も学校職員の一員として,その職務の特質や保健室の機能を生かして特別支援教育への 協力を求められていると考える。養護教諭は日常の保健室経営を通じて,心身の健康問題や対人関 係・学習の問題等を抱える子ども達の相談にのる機会が多い。従って,養護教諭は特別な支援を必 要とする子ども達の情報提供を他の教員から求められる場面が多いと思われる。また,実際に児童 生徒に支援を行う際にも,養護教諭ならではの協力があるのではないかと考える。

 今回の研究では,養護教諭の特別支援教育へのかかわりに焦点をあて,実際の学校現場で養護教

(2)

諭はどのような形で特別支援教育に携わっているのかを質問紙調査によって明らかにすることを目 的とした。さらに,今後は養護教諭として特別支援教育にどのような支援を求められるのかについ て考察した。

対象と方法

1.調査期間と対象

 2007 年 10 月下旬~ 11 月中旬に,水戸市内の 200 校の養護教諭を対象に質問紙調査を行った。

2.調査内容

 以下の質問項目に関して,選択および記述方式で回答していただいた。

1)学校について

 所属する学校の校種,生徒数,学級数,特別な支援を必要とする児童生徒がいるかどうか,特別 な支援を必要とする児童生徒が抱える又は疑いのある障害の種類などに関して質問した。

2)特別支援教育コーディネーターについて

 ①特別支援教育コーディネーターは決められているか,②誰が指名されているか,③特別支援教 育コーディネーターとして行っている活動内容に関して質問した。

3)養護教諭としての特別支援教育への関わりについて

 養護教諭として,①特別な支援を必要とする児童生徒が在籍するクラスを担当する教員から相談 を受けたことがあるか,②保護者から相談を受けたことがあるか,③特別な支援を必要とする児童 生徒に対して,個別の指導や支援を行ったことがあるか,④医療・教育・福祉・労働などの関係機関や,

保護者との連絡調整を行ったことがあるか,⑤校内委員会へ参加と,委員会への協力内容,⑥個別 の支援計画作成の有無と,作成時の協力の内容,⑦それ以外の支援の内容に関して質問した。

4)養護教諭が特別支援教育において必要とされることについて

 ①特別支援教育に関する校内研修や学習会が行われているか,②特別支援教育に関するシンポジ ウムや校外研修会への参加の有無,③今後,養護教諭としてどのような支援が必要とされると思う かに関して質問した。

結果

1.特別に支援が必要な児童生徒数と特別支援学級の現状 1)回答数と校種

 アンケートに回答した養護教諭は 112 人で,回収率は 56.0%であった。校種は,小学校教諭 49 人

(43.8%),中学校教諭 48 人(42.9%),高等学校教諭 13 人(11.6%),無記名(所属不明)2 人(1.7%)

であった。

2)特別支援について

(3)

(1)特別な支援が必要な児童生徒数と特別支援学級

 特別な支援が必要な児童生徒が現在の勤務校に「いる」と答えた養護教諭数は 112 人中 100 人

(89.3%)で,「いない」と答えた養護教諭数は 12 人(10.7%)であった。校種別に見てみると,小 学校では 49 人中 45 人(91.8%),中学校では 48 人中 46 人(95.8%),高等学校では 13 人中7人(53.8%)

が,「いる」と回答した。

 次に,「勤務校に特別支援学級が設けられている」と答えた養護教諭は 112 人中 73 人(65.2%)

であった。特別な支援を必要とする児童生徒が「いる」と答えた人 100 人の中では 73 人(73.0%)

の勤務校に特別支援学級が設けられていた。特別な支援を必要とする児童生徒はいるが,特別支 援学級は設けられていないと回答した養護教諭は 27 人であり,その中で7人は高等学校勤務で あった。

(2)発達障害の種類

 特別な支援を必要とする児童生徒の発達障害の診断名は,ADHD(100 人中 56 人,56.0%)が最 も多く,次いで HFA(46 人,46.0%),LD とアスペルガー障害(ともに 45 人,45.0%),自閉症(38 人,38.0%),精神遅滞(33 人,33.0%),広汎性発達障害(6人,6.0%),情緒障害(2人,2.0%),

肢体不自由と不登校と場面緘黙とトゥレット症候群と学級不適応が1人ずつであった。ただし,発 達障害を重複している児童生徒も含まれている。

 校種別に見ると,小学校 45 人の中では ADHD27 人(60%),HFA25 人(55.5%),LD22 人(48.9%)

が多く,中学校 46 人の中では ADHD25 人(54.3%),LD23 人(50%),アスペルガー障害 22 人(47.8%)

が多かった。高等学校7人の中ではアスペルガー障害5人(71.4%),ADHD 4人(57.1%),HFA で2人(28.6%)であった。

2.特別支援教育コーディネーターについて 1)校種別

 「特別支援教育コーディネーターが校内で指名されている」と回答した人数は112人中93人(83.1%)

であった。特別な支援を必要とする児童生徒が勤務校に「いる」と回答した学校 100 校の中で 88 校

(88.0%)において特別支援教育コーディネーターが指名されていた。校種別にみると,小中学校の 97 校の中で 92 校(94.9%)において特別支援教育コーディネーターが指名されていたが,一方で高 等学校では 13 校中1校のみであった。

2)担当している職種

 特別支援教育コーディネーターを担当している職種に関する質問においては,93 人中 87 人は1 つの職種のみを回答していたが,残りの6人は複数を回答していた。最も多い回答は特別支援学級 担任単独で 54 人(58.1%),次いで通常学級担任単独9人(9.7%),教務主任6人(6.5%),生徒指 導主事5人(5.4%),学年主任4人(4.3%)であった。「養護教諭が単独で特別支援教育コーディネー ターに指名されている」と回答したのは2人(2.2%)のみであった。「養護教諭単独ではないが,特 別支援教育コーディネーター複数配置の中に養護教諭が含まれている」と回答した人が4人(4.4%)

いた。

3)活動内容

 特別支援教育コーディネーターがおこなっている活動内容の結果を表1に示した。

(4)

表1 特別支援教育コーディネーターがおこなっている活動内容(n = 93,複数回答可)

 「特別な支援を必要とする児童生徒の実態把握」が最も多く,次いで「校内研修会や学習会の推進」

「当該児童生徒への指導」「特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する学級担任への支援方法の検 討」「保護者との連絡調整」が多かった。

3.養護教諭としてのかかわりについて 1)教員からの相談と支援

 特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する学級を担任している教員から「相談を受けたことが ある」と答えた養護教諭数は 112 人中 81 人(72.4%)であった。特別な支援を必要とする児童生徒 が勤務校に「いる」と答えた養護教諭 100 人の中では 75 人(75.0%)が何らかの相談を受けていた。

教員から相談を受けた際に養護教諭としておこなった支援内容を,表2に示した。

 養護教諭がおこなった支援として最も多いのは「じっくりと話を聞く」ことで,次いで「発達障 害に関する情報提供」「他の教員との連絡調整」「参考になる文献を紹介する」が多かった。また,

養護教諭がおこなった支援内容と発達障害の種類との関連を検討したところ,「じっくりと話を聞 表2 教員から相談を受けた際に養護教諭として行った支援内容(n=81,複数回答可)

(5)

く」では ADHD(56 人中 31 人で 55.6%),HFA(56 人中 29 人で 51.8%),アスペルガー障害(56 人中 29 人で 51.8%)が多く,「発達障害に関する情報提供」では,ADHD(44 人中 26 人で 59.0%)

とアスペルガー障害(44 人中 24 人で 54.5%)が多かった。

2)保護者からの相談と支援

 保護者から特別支援教育に関して何らかの相談を受けたことがあると答えた養護教諭は 112 人中 37 人(33.1%)であった。養護教諭が保護者から受けた相談内容としては,「具体的な指導方法や 支援の方法に関すること」と「家庭での生活態度や様子に関すること」が最も多く(ともに 19 人,

50.0%),次いで,「医療に関すること」(16 人,42.1%),「学習面に関すること」(12 人,31.6%),「学 校での生活態度・様子に関すること」(10 人,26.3%)などの回答があった。相談内容と発達障害 の種類との関連を検討したところ,「具体的な指導方法や支援に関すること」では ADHD(19 人 中 12 人で 63.2%)と LD(19 人中 11 人で 57.9%)が多く,「家庭での生活態度・様子に関すること」

では ADHD(19 人中 13 人で 68.4%)とアスペルガー障害(19 人中 11 人で 57.9%)が多かった。

 保護者から相談を受けた際におこなった支援の内容を表3にまとめた。

表3 保護者から相談を受けた際に養護教諭がおこなった支援内容(n=37,複数回答可)

 最も多かった回答は「じっくりと話をきくこと」で,次いで「専門機関の紹介」「発達障害に関 する情報提供」「医師による診断を勧める」が多かった。

3)養護教諭がおこなった個別支援

 特別な支援を必要とする児童生徒に対して「個別に何らかの支援をおこなったことがある」と答 えた養護教諭数は112人中86人(76.75%)であった。特別な支援を必要とする児童生徒が勤務校に「い

表4 養護教諭がおこなった個別の支援の内容(n=86,複数回答可)

(6)

る」と答えた 100 人のうち 81 人(81.0%)が個別の支援をおこなったことがあった。養護教諭が 実際に行った個別の支援内容の結果を表4に示した。

 最も多かった回答は「怪我の手当て」であり,次いで「他の児童生徒とのトラブルの仲裁」「興 奮を鎮めるために対応する」「生活指導」「健康相談活動」「コミュニケーション能力形成のための 支援」が多かった。個別におこなった支援内容と発達障害の種類との関連を検討したところ,「怪 我の手当て」が必要だった発達障害の種類は,ADHD(62 人中 32 人で 51.6%)と LD(62 人中 31 人で 50%)が多かった。「他の児童生徒とのトラブルの仲裁」では,HFA(45 人中 26 人で 57.8%)

と ADHD(45 人中 24 人で 53.3%)が多かった。また,「興奮を鎮めるために対応する」では,ア スペルガー障害(43 人中 24 人で 55.8%)と LD(43 人中 23 人で 53.5%)が多かった。

4)関係機関や保護者との連絡調整

 関係機関や保護者との連絡調整をおこなったことがあると答えた養護教諭は 112 人中 33 人

(29.5%)であった。特別な支援を必要とする児童生徒が勤務校に「いる」と答えた人 100 人のうち 32 人(32.0%)が何らかの連絡調整をおこなっていた。連絡調整をおこなった対象者として最も多 かったのは保護者で 17 人(51.5%),次いで臨床心理士 14 人(42.4%),かかりつけの医療機関 11 人(33.3%)や学校医 10 人(30.3%), 保健所7人(21.2%),特別支援学校5人(15.2%),学校薬剤 師3人(9.1%),教育委員会3人(3.3%),県の研修センター・発達支援センター3人(9.1%)であっ た。養護教諭が連絡調整を行った対象者と発達障害の種類の関連を検討したところ,「保護者との 連絡調整」では LD(17 人中 10 人で 58.8%)とアスペルガー障害(17 人中8人で 47.1%)が多く,「臨 床心理士」では LD とアスペルガー障害(共に 12 人中8人で 66.7%)が多かった。「かかりつけの 医療機関」では,LD(11 人中7人で 63.6%)と ADHD と HFA(ともに 11 人中5人で 45.5%)が 多かった。

 次に,養護教諭がおこなった連絡調整の内容を表5にまとめた。

表5 養護教諭がおこなった連絡調整の内容(n=33,複数回答可)

 最も多かったのは「指導方法や支援方法に関して情報を得る」であり,次いで「児童生徒の情報 提供,生活管理の方法について助言や指導を得る」「医療に関する情報提供」が多かった。関係機 関の種類と連絡調整の内容との関連を検討したところ,「指導法や支援方法に関して情報を得る」

では臨床心理士(20 人中 11 人で 55.0%)が最も多く,「児童生徒の情報提供」では保護者(18 人 中 12 人 66.7%)が最も多かった。

5)校内委員会における養護教諭のかかわりについて

 「特別支援教育に関する校内委員会が設置されている」と答えた養護教諭数は,112 人中 91 人

(7)

表6 特別支援教育に関する校内委員会における養護教諭の支援内容(n=91,複数回答可)

(81.25%)であった。特別な支援を必要とする児童生徒が勤務校に「いる」と答えた 100 人中 86 人(86.0%)が校内委員会は設置されていると答えた。「校内委員会が設置されている」と答えた 91 人の中では,「養護教諭が校内委員会に含まれている」と答えた人数は 80 人(87.9%)であった。

 特別支援教育に関する校内委員会において,養護教諭がおこなっている支援内容を表6に示した。

 支援内容として「保健室の利用状況等に関する情報提供」と「特別な支援を必要とする児童生徒 に関する情報提供」が最も多かった。

 次に,「校内で個別支援計画が作成されている」と答えた養護教諭は 112 人中 75 名(67.0%)であっ た。また,特別な支援を必要とする児童生徒が勤務校に「いる」と答えた 100 人の中で個別支援計 画を校内で作成しているのは 72 人(72.0%)であった。個別支援計画作成の中心人物は誰かについ て質問したところ,最も回答が多かったのは特別支援学級担任(75 人中 57 人で 76.0%)であった。

次いで,通常学級担任が 10 人(13.3%),生徒指導主事2人(2.7%),養護教諭2人(2.7%),特別 支援教育コーディネーター2人(2.7%),通級指導教室の担当者1人(1.3%)であった。

6)養護教諭としての今後の支援について

 養護教諭として特別支援教育に関して今後どのような支援が必要とされているかについて質問し た結果を表7にまとめた。

表7 養護教諭として特別支援教育において今後必要とされる支援内容(n=104,複数回答可)

 最も多かったのは「校内委員会への協力」であり,次いで「発達障害に関する研修会や学習会へ の協力」「関係機関との連絡調整」「発達障害に関する情報提供」が多かった。その他の自由記述と

(8)

して,「研修会への協力や自らが特別支援教育に関して研修・勉強していくこと」「特別な支援を必 要とする児童生徒への健康相談活動」(ともに 12 人で 21.1%),「校内体制作り」(11 人で 19.3%),「発 達障害に関する情報提供」(8人,14.0%),「保護者の悩みを聞いたり,相談にのったりすること」

(7人で 12.3%)などの回答がみられた。一方で,「養護教諭としての専門性を生かした特別支援教 育との関わり方について,まだまだわからない点が多い」という意見もあった。

考察

1.水戸市内の特別支援教育の現状について

 今回の質問紙調査では,水戸市内の小・中学校において特別な支援を必要とする児童生徒が通常 学校の 90% 以上において在籍しているという結果が得られた。また,特別な支援を必要とする児 童生徒がいる小・中学校の 70% 以上において特別支援学級が設置されており,約 95% において特 別支援教育コーディネーターが指名されていた。養護教諭が特別支援教育コーディネーターに指名 されているという学校は6校(6.5%)のみであったが,9割近い学校において養護教諭は特別支援 教育に関する校内委員会の構成メンバーに入っていることがわかった。従って,養護教諭自身が特 別支援教育コーディネーターを担当している学校は少ないが,校内委員会の一員として特別支援教 育に関与していることが多いことがわかった。

 

2.養護教諭としての支援内容

 養護教諭の職務の特質は,子どもの心身の健康を『守ること』と『育てること』にある3)。特別 な支援を必要とする児童生徒やその関係者にかかわる際には,養護教諭として以下の視点を持つこ とが求められる4)。具体的には,①集団ではなく,一人ひとりのこどもに目を配る,②心と体の両 面から子どもをみる,③障害のある / ないにかかわりなく子どもをみる,④教育と医療の両面から 子どもにアプローチするの4点が挙げられる。養護教諭は保健室という空間を通じて子ども一人一 人と個別に対応する機会があり,心身の健康問題や悩みなどの様々な情報を得やすい立場にあると いえる。特別な支援を必要とする児童生徒の多くは発達障害を抱えており,人とコミュニケーショ ン能力を取ることが苦手で,うまく自分の気持ちを伝えられないことが多く,対応する際には養護 教諭としての視点が重要になると思われる。実際に養護教諭は保健室において怪我の手当て等を通 じて,特別な支援を必要とする児童生徒とかかわるきっかけを持つことが多く,怪我の原因やトラ ブルの背景を知ることによって発達障害の早期発見につながることもありうると思われる。さらに,

保健室における児童生徒の様子や態度・怪我の原因などをきっかけとして,他の教員や保護者との 情報交換が始まることも多いと考える。

 今回の質問紙結果から,教員等から相談を受けた際に養護教諭がおこなう支援内容としては,① 養護教諭のカウンセリング能力を生かして話を悩みや困っている点をじっくりと聞くこと,②医療 機関や発達障害そのものに関する情報提供をおこなうこと, ③他の職員や保護者との連絡調整をお こなうことの3つに大別できると思われた。同様に,保護者に対しても養護教諭のカウンセリング 能力を生かして,じっくりと悩みや困ったことなどを聞くという支援内容が多いということがわ

(9)

かった。また,養護教諭が連携機関や保護者との連絡調整をおこなった内容を他の職員に伝達する など,保護者−関係機関−教職員間の橋渡しをおこなうことも重要な役割と思われた。校内委員会 において特別な支援を必要とする児童生徒の様子,必要としている支援などに関する意見を養護教 諭の視点から求められることが多いと思われる。養護教諭自身が特別な支援を必要とする児童生徒 に関する個別支援計画を作成している学校は少なかったが,保健室における児童生徒の様子や健康 情報,保護者からの相談の内容,発達障害に関する知識を個別支援計画作成者に伝えるなどの重要 な役割を担っていると思われる。

 以上のように,学校現場の養護教諭が必要とされている支援内容としては,特別な支援を必要と する児童生徒に関する個々の適切な対応とともに他の教員への情報提供,保護者−関係機関−教職 員間の協力体制作りに尽力することが重要と思われる。また,特別な支援を必要とする児童生徒が 周囲とうまく関係を築いていけるようなソーシャルスキルを身につけるような支援をすることも重 要と考える。今後さらに,養護教諭はその専門性を生かして,特別支援教育に積極的にかかわるこ とが求められると思われる。

謝辞

 本研究の質問紙調査に答えて下さった養護教諭の先生方に心より感謝致します。

引用文献

1)文部科学省:「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」調査 結果 .(http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004c.htm),アクセス日 2008 年8月 20 日    2)文部科学省: 今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)

  ( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301.htm),アクセス日 2008 年8月 20 日 3)藤田和也『養護教諭の教育実践の地平』(東山書房 , 1999), pp.15-16.

4)長谷川理子・杉田克生「養護教諭としてどのようにかかわっていくか」『子どもと健康』 第 85 巻 , 2007 年 , 40-49 頁 .

参照

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