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「 離 脱 の 意 思 表 明 と そ の 了 承 フ ォ ー ミ ュ ラ 」 の 成 立 と 解 消

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(1)

﹁離脱の意思表明とその了承フォーミュラ﹂の成立と解消︵都法五十

一︶  一四九

﹁離脱の意思表明とその了承フォーミュラ﹂の成立と解消

││共犯関係の解消・共犯の離脱に関する一考察││

星  

         目          はじめに         一 戦前議論展開共犯解消する大審院判例戦前学説         二 戦後昭和期議論最決平成元年六月三までの展開         三 共謀共同正犯論変容         四 最決平成元年六月二六日最決平成二一年六月三         五 むすびにえて      はじめに

共犯関係解消共犯離脱についてはその理論的根拠および共犯関係解消めるための具体的判断

(2)

一五〇

基準等して学説においても数多くの議論展開されてきているそして従来議論では共犯者離脱

︑﹁

関与者了承があれりるが後者ではそれにえて結果発生防止のための真剣努力必要である

ことが共犯関係解消めるためのあたかも要件であるかのようにじられることもかっ

1 ︶

ところが科刑上一罪牽連犯関係にある住居侵入強盗遂行する共謀共犯者一部住居

侵入着手した段階残余共犯者被告人現場から離脱した場合共犯関係解消否定した最決平成二

調︑﹁

いる離脱意思表明了承という要件絶対的なものとえるべきではなく因果性遮断認定するため

︑﹁

︑﹁

この枠組自体実行着手前実行着手後とでわりがないしたがって実行着手前後区別すれ

であるとしたのであ

2 ︶

またこの平成二一年決定前後から学説においても共犯関係解消判断につきいわゆる因果的共犯論

りつつ因果関係遮断有無いる見解因果性遮断説前提するなら︑﹁実行着手前後によって

︑﹁

3 ︶

するものではないとされ

とする指摘有力になされるようになっている

4 ︶

(3)

﹁離脱の意思表明とその了承フォーミュラ﹂の成立と解消︵都法五十

一︶  一五一 たしかに現実にもっとも問題とされることの共同正犯においてそこにおける共犯関係解消有無とい

条文上刑法六反対解釈問題であるはずであるそれにもかかわらずたように共犯関

解消実行着手前着手後とにけたうえで実行着手前しては離脱意思表明とその了承があ

共犯関係解消められるが実行着手後にはそれにえて結果発生防止措置必要という定式

条文上根拠づくこともなくあたかもアプリオリな要件であるかのようにじられてきたがあったわ

けであるこれはいかなる事情づくものだったのであろうか

稿︑﹁

たのかについて従来議論系譜らかにすることにしたい以下ではまず戦前おける判例および学説

議論概観その戦後判例および学説展開鳥瞰することにする戦後展開しては共犯関

解消する議論多大影響えたもうつの最高裁判例である最決平成元年六月二六日刑集四三巻六

若干検討うことにする

     一 戦前の議論の展開

― ―

共犯の解消に関する大審院判例と戦前の学説

共犯解消してはすでにたように実行着手前着手後既遂前および着手後既遂後および継続犯

(4)

一五二

おける既遂後離脱とにけてじられることが一般であるもちろんにもずるようにそのことには

理由があるそこで本稿においてもとりあえずはこの区別いつつまず戦前大審院判例から概観

ていくことにする

   1 大審院時代の判例

⑴  実行の着手前の離脱が問題となった事案

実行着手前共犯関係解消有無問題となりうる事案する大審院時代判例として①大判昭和九年

二月一刑集一三巻一二七頁げられるこれは変造有価証券入手方依頼された依頼主

共犯者紹介するなどしたもののする理由かららにより当該犯行計画から排除され

らにおいて入手した変造有価証券行使詐欺実行したという事実関係において幇助犯成否

︑﹁使

して右犯罪実行するにらしめざりし場合格別何等実行阻止手段ずることなく判示変

造株券行使詐欺実行遂行した以上には幇助犯成立するとしたなお大審院傍論としてである

︑﹁使

犯行中止せざる中止犯減免すべきものにあらざるとしており正犯中止犯にあ

たる場合にのみ幇助犯にも中止犯効果ぶとする見解していた

(5)

﹁離脱の意思表明とその了承フォーミュラ﹂の成立と解消︵都法五十

一︶  一五三

⑵  実行の着手後の離脱が問題となった事案

だがこの大審院昭和九年判決くとこの時代された共犯関係解消問題となりうる事案する

大審院判決実行着手後する事案であった

②大判大正一二年七月二日刑集二巻六一被害者恐喝することを共謀この共謀

実行着手したがることがろしくなってそのまま自宅がさらに恐喝をしようと

︑﹁

とするも本件との共謀犯罪ならざるを共謀者実行防止すべき手段じたる事跡

むべきものなき場合てはしたる行為結果付責るるをざるとして恐喝障礙未遂共同

正犯成立めている

また③大判昭和一年六月二刑集一四巻七二二頁共謀づき賭場開設したが

︑﹁

実行行為阻止せざるのみに付中止犯としてずることをざるを共犯者行為りて

実行せられたる犯罪責任るるをとの見解したもっとも本件では途中犯意した事実

められないとしておりこの判示傍論にすぎないものであった

︑﹁

(6)

一五四

かも行為既完了せるが場合共犯者中一人中止犯成立むるにくとも

行為者んで結果発生防止する行為しかも現実結果発生防止できたことを必要とすると

実行着手後既遂段階被告人翻意したとする弁護人主張についてそのような事実めら

れないとする原判決認定前提にしており以上見解やはり傍論としてされたものであった

このように①大審院昭和九年判決大審院判例事案実行着手後犯意したについて

したものであったそしてこれらの判例それを離脱者する中止犯規定刑法四三条但書適用

可否問題として位置づけていたのである

   2 学説の展開 このような大審院判例影響されたきいとわれるが共犯関係解消については戦前学説でも

止犯論一部として若干論者による簡単検討がなされるのみであった

︑﹁

︑﹁

をも防止しなけれ中止犯とならないとしていたこれはまさに中止犯規定適用可否じたものであ

(7)

﹁離脱の意思表明とその了承フォーミュラ﹂の成立と解消︵都法五十

一︶  一五五 また実行着手後共犯者一人実行中止したという実行着手後離脱として念頭いた 論述であったようにわれ

5 ︶

これに大場茂馬博士数人窃盗をしようとした場合においてそのうちの一人倉庫けたと

ころそのけただけが窃盗いとどまって退去したという事例すでにった解錠行為

犯者をして犯罪完成らしめる原因たる効力するものであるからにそのから退去するだけでは犯罪完

防止して影響ぼすものではなくこの場合当該行為者中止犯めるにはじるとい

6 ︶

7 ︶

った関与者間での意思的要素関連づけた議論やはり展開されていなかった

だが戦前においてはこの論点する議論じて低調であったたとえ泉二新熊博士実行終結前

一人中止したとしてもんで結果ぜしめたときは中止犯効果はまったくめられないとす

8 ︶

ることのないテーマであったことがうかがわれる

     二 戦後昭和期の議論││最決平成元年六月三〇日までの展開

戦後実行着手後離脱問題となりうる類型について最高裁による判断されるだがそれ以上

実行着手前段階における共犯関係解消争点とされた事案いくつかの下級審判例おいてれるよ

(8)

一五六

うになるそこで昭和二年代から共犯関係解消論きな影響えた最決平成元年六月三登場

以前昭和六年代るまでの時期において実行着手前共犯関係解消実行着手後のそれとに

判例下級審判例それぞれ概観することにしたい

   1 実行の着手前の共犯関係の解消に関する下級審判例

⑴  共犯関係の解消が肯定された事例

実行着手前共犯関係解消についてそれを肯定した下級審判例のリーディングケースともいえるの

⑤東京高判昭和二五年九月一四日高刑集三巻三号四七頁であるこれは仲間三人とともに窃盗共謀

をしその現場かっていたらが執行猶予中であることを途中したがらは

︑﹁

共謀者がこれが諒承同人等だけの共謀犯罪実行した場合には共謀くこれなかりしと

評価すべきものであって共犯者実行した犯罪分担すべきものでないとして被告人窃盗

共同正犯有罪とした原判決破棄無罪としたなおこの判決について掲載判例集における判決要

︑﹁退

同人等だけで犯罪遂行した場合には脱退した刑責負担しないとしていた

(9)

﹁離脱の意思表明とその了承フォーミュラ﹂の成立と解消︵都法五十

一︶  一五七 さらに数人強盗共謀凶器使匕首くなどの強盗予備った被告人その

当該犯行から離脱するため現場ったという事案について⑥福岡高判昭和二八年一月一二日高刑集

︑﹁

表意しなくても共謀者において右離脱者離脱事実意識して残余共謀者のみで犯行遂行せんこと

つた上該犯行でたときは残余共謀者離脱者離脱すべき黙示表意受領したものとめるのが

であるからかかる場合右離脱者当初共謀による強盗予備責任うにまりその強盗につき

︑﹁

共謀者しこれより離脱すべき旨表意該共謀関係から離脱した以上たとい後日他共謀者において該犯

遂行してもそれは該離脱者共謀による犯意遂行したものということができないししかも右離脱表意

ずしも明示的るのがなく黙示的表意によるも何等妨げとなるものではないとする判断してい

︑﹁

あり関与者がこれを了承したという事実必要である離脱意思表明黙示的なものでりるか

⑦大阪高判昭和四一年六月二四日高刑集一九巻四号三七五頁被告人らが強姦共謀げて被害者

旅館れこんだがうち旅館主から入室拒絶されたため強姦実行着手前当該共謀

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