意思決定支援 システムへの実践 的 アプ ローチ
A PracticalApproachtoDecisionSupportSystems
山 田 萱 生
1
.は じ め に
エ レク トロニ クス等 を中心 と した技術 革新 の進展 を背景 と して,情報 処理 関 連機 器 が急速 に発展 し,普 及 しは じめている 。 街 頭 には ビデ オテ ックス,商店 に は
POS(PointOfSales), 家庭 に も ワー ドプ ロセ ッサ や パ ー ソナ ル ・コ ン ピ ュー タが登場 し,子供 た ちはテ レビゲー ムに夢 中で ある 。 企業 において は,従 来 か らの コ ンピュー タ ・システムに加 え, ワー ドプロセ ッサ, パ ー ソナ ル ・コ
ンピュー タに代 表 され る オ フ ィス ・オー トメー シ ョン
(OfficeAutomation, 以下
oA.と暗称 )関連機 器 が浸 透 して きて い る
。直接 目にふ れ ない部 分 で も,LAN
(LocalAreaNetwork)や
VAN (ValueAddedNetwork)な どの情 報 の ネ ッ トワー
クが 張 り巡 ら され, さ らに は一 般 家 庭 を もそ の対 象 とす る
INS(Infomation NetworkSystem)が進 展 して きて い る 。 「 情 報 化 社 会」 とい う用 語 に代 わ り,
丁情報社 会」 とい う用 語 が使 われ始 めて きて いる現在 は,情報 の価値 が急速 に 高 まって きて いるのである 。
1950
年代 に初 め て ビジネスの世界 に登場 した コ ンピュー タ ・シス テムは,辛 務処 理 の効 率化 を 目的 と した
EDP(ElectronicDataProcessing)か ら始 ま り,前 述 の よ うな状 況 の もと, いか に企業経営 に有効 な情報 を引 き出す こ とが で きる か とい う目的 のため発展 して きている 。 その発展過程 をた どる こ とは次節 に譲 るが,
H.A.サ イモ ン
(H.A
.Simon)の意 思 決定
(decisionmaking)を経 営
(manag‑ing)
と同義 に取 り扱 う立 場 にた つ 1) と,経 営 に有 効 な情 報 を引 き出す とい うこ とは,意思 決定 に有効 な情 報 を引 き出す とい うこ とに置 き換 え られ る
。1)H.A.Simon,TheNewScienceofManagementDecision,Prentice‑Ha
l
l,1960, p.1㌧「
1 〕2 商 学 討 究 第37巻 第4
号
A.M.
マ コシュ
(A.M.Mccosh)と
M.S.S.モー トン
(M.S.S.Morton)は,
1つの意 思決定支援 システ ム
(DecisionSupportSystems.以下
DSSと略称)の設計 プロセ スを掲 げてお り, その情報 システムの フ レー ムワー クは,図
1‑ 1の よ うに示 される
2)。これは, オペ レー シ ョナル ・コン トロール,マ ネジメン ト・コ ン トロール, 戟略的計画の
3つの コン トロール概念 と,一 意思決定 における構造的,非構造 的 とい う
2分類 によ り,現実 に有効 な
DSSの位置づ け を行 っている 。 個 々のセ ルであげ られている例 は, フレーム ワー クが明 らかにす る一部 にす ぎないが,
M.S.S.モー トンはこの分類 か ら
2つの特徴 を明 らか に している
。その
1つ は,
「ほ とん どすべ ての
MIS活動 は, このマ トリ ックスの上半分 ( 特 にオペ レー シ ョナル領域) に発生 して きた といえる 。 しか し,企業 に とって重要 な結果 を もた らす決定 は,下半分 のそれであ り,従来 の コ ンピュー タ ・システムは,管 理者 の意思決定 に何 らの イ ンパ ク トを与 えて こなか った」 ことであ り,他 の 1 つ は, 「 組織 における管理活動 と意思決定 についての研究 が進 むにつれて,棉 造 的意思決定 と非構造 的意思決定 とを区別す る線 は下方 に移動 する 3)
」と指適
構 造 的 オペ レー シ ョナ ル.コン トロー‑ル マ ネ ジ メン ト .コン トロー ル
学か細 婚 ト 画
オー ダ‑ .エ ン トリ‑
差 異分析 傭船 計画
受取 勘定 会計 知期 予 i u l J 工場 設置
在庫管理 ‑な ど など
倉庫 計 睡iな ど
セ ル 1 セ ル3 セ ル5
非 構
造
的 セ ル2 セル4 セル 6
兎i.期
現
金管 理 予 算 舶 成 新 製 品開 発
,ジ ョ
ブ
ショ
ップ敗売 計 画一 合併 . 買収
ス
ケ
ジュ
ー リン グ 生産 計 Llj広告
価格 決走 な ど
[ 二 二 二 コ 意 思 決 定 サ ポ ー ト シ ス テ ム
tDSS)図
1‑ 1
2)A.M.MccoshandM.S.S.Morton.ManagementDecisionSupportSystems.Mcmillan Press,1978,p.8.
3)Ditto,ibid.,pp.7‑ 9.
意思決定支援システムへの実践的アプローチ
3されている こ とで ある 。 ここに,
「DSSに とって有効 な問題領域 とは,構造 的 な問題 と非構造 的 なそれ との間, いわば灰色 の半構造 的 な問題領域 である
4)」と定義 されるのである 。
EDPか ら発展 して きた コ ンピュー タ ・システムに関 してい ままで研 究 され,
集大成 されて きた理論 は確 かに有用 で価値 のあるエキスがふんだんに盛 り込 ま れている 。 しか し,その発展経緯 はオペ レー シ ョナル ・レベ ルにおける構造的 な領域 をカバーするために発生 した ものであ り,現在 に至 って もその領域 に と
どまっている コンピュー タ ・システムが多いのは明 白である 。
本稿 で は,企業 における コンピュー タ ・システムの変遷 と現状 を考察 し,有 効 な意思決定支援 のための コンピュー タ ・シ云テム構築 に関 しての課題 を検討 する 。 その際,現在普及の著 しいパー ソナル ・コ ンピュー タが どの よ うな役割 を果 たす ことが可能であるか について,実践 レベ ルでの考察 を試 みる 。 パー ソ ナル ・コンピュー タも,その導入企業 によ りその利用形態 は異 なるが,特 にい ままであ まり注 目される ことの なか った小規模企業 における利用方法 に重点 を 置 き,実践 的 アプローチ を試 みたい。
2
. 、コンピュータ ・システムの変遷 と現状
意思決定 に有効 な情報 を引 き出す ために発展 して きている コンピュー タ ・シ ステムで はあるが,前節 で触 れたよ うに管理者 の意思決定 には何 らの イ ンパ ク トも与 えていない と指摘 されている 。 ここで本節 では, コ ンピュー タ ・システ ムが真 に意思決定 に役立つ情報 を提供す るためには どのよ うな ものでなければ ならないのか を検討す るために, コンピュー タ ・システムが どんな過程 を‑ て 現在 に至 っ七いるのか, またそ こにはどのよ うな問題点が存在 するのかについ て考察す る。
EDPか ら始 まる コ ンピュー タ ・シス テ ムの発 展 過 程 を考 える とき,EDP
,
MIS・(ManegementInformationSystems),OA,DSSの4つ の用語 の位置付 け を明確 にする ことが必要 である 。
4)Ditto,ibid.,p.10.
4 商 学 討 究 第37巻 第4号
大量 デー タの構 造 的 な処 理 を行 う
EDPか ら,管理者 レベ ル をサ ポー トしよ う とい う 目的で
MISが登場 し, ブー ムが ま きお こった。 その
MISが経 営 レベ ル をもサ ポー トしよ うと試行錯誤す るなかで,
MIS失敗論 が起 こ り, ブー ムは 鎮 静 した. その後
oAブー ムが発 生 し, それ に追従 す るか の よ うに
\DSSとい
う言葉 が一般 に浸透 して きている 。
ある程度客観 的 にながめた コ ンピュー タ ・システムの変遷 は,上記 の よ うに 言 えるであろ う 。 しか しなが ら, その明確 な位 置付 け をす る ことは,各 々の定 義 , その対象 が各 人 の立場 によ り様 々であ り, また
OAの よ うに, その概念 的 定義 さえ も確 立 されていない こ ともあ り困難 である 。 だが,意思決定 に有効 な コ ンピュー タ ・システム構 築 のための問題 を展 開 してい くため には, その基本 的 な考 え方 を示 す必要 が ある 。
図
2‑ 1は,
BA(BusinessAutomation),OA
,DSS,MISを構 造 的 ア プ ロー チ ( フ ァー ムェア)
,技術 的 アプローチ ( ハー ドウェア),人 間的 アプローチ (ヒ ューマ ンウェア),機能 的 アプ ローチ ( ソフ トウェア) の
4つ の側面 か ら とら えた もので あ る
。こ こで,
EDPを
BAか ら発 展 した もの と考 える と, これ ら は,互 い に独 立 す る もので はな く,
N.ウ イナー
(N.Wiener)のサ イバ ネテ ィ ッ クス
(Cybernetics)が共通 の背 景理 論 とな り,
NoÅ(NewOfficeAutomation)‑の統 合 プ ロセ ス となる ので あ る
。氏.H.ス プ レー グ (
R.H.Sprague,Jr)は
,「DSSとは,業務処理 システムに依存 しなが らも,組織 にお ける経営者 や知識労働 者 の意思決定活動 を支援 す るため に,全体 の情報 システムの他 の部分 とも相互 に 作用 し合 うよ うな種類 の情報 システ ムをい う・ ので ある
5)」と述べ ているが, そ れ を
4つの側面 か らの統合 プロセス とみれば,意思決定 に有効 な情報 を もた ら す
NOAとして とらえ られるので ある 。
ここで は具体 的 に とらえるため,会計 システム を例 に とって, その変遷 を探
5)Ralph・H・Sprague・Jr・andEricD・Carlson・BuildingEffectiveDecisionSupportSys‑ te
m
,Prentice‑Hal
l,1982.( 倉谷好郎 ・土岐大介訳 『 意思決定支援 システム :
DSS』東洋経 済新報社,昭和61年,1
1 頁)
意思決定支援システムへの実践的アプローチ
5ってみる 。 会計 システムを形成するための情報処理技術 の発達 を中心 に してそ の発展 をあ とづ けてみる と,マニ ュアル ・システム‑機械化 システム ( 部分 的 機械化 ・全体 的機械化)‑ デー タ ・プロセ ッシ ング ・システム‑ イ ンテ グ レイ
テ ド ・デー タ ・プロセ ッシ ング ・システム‑情報処理 システム‑ と′ ,その処理 方式 が変遷 して きている 。
会計情報 システムは,企業 の経営活動 の全般 にわた って ,( 1) 事後計算 ( 報告 的会計) ,( 2) 現在計算 ( 管理的会計) ,( 3) 事前計算 ( 予測的会計) のそれぞれの 情報 を提供 し,経営意思決定 に役立つ情報 システム となる ものである との観点 か ら
, 1966年 の
ASOBAT (A StatementofBasicAccountingTheory)の公表
6)以 莱,い まだにその実践的展 開による検証 を経 た,真 の会計情報 システムの一般 的モデルが登場 していない。
企業 の情報 システムに対 して,一般 に要求 される と考 えられる情報 の種類 は, ( 1) 歴 史的情報 ( オペ レー シ ョナル ・マ ネジメ ン ト層) ,( 2) 執行 的情報 ( ス タ ッ
フ ・ヤ ネジメ ン ト層) ,( 3) 決定情報 ( エ グゼ クテ ィブ ・マ ネジメ ン ト層) であ り,現在 の会計 システムは,その うちの歴史的情報 の大部分 を提供 しているに す ぎないのが実状 である。
つ ま り,前 述 した会計 システムの処理方式 の変遷 で考 える と,EDPに代表 されるデー タ ・プロセ ッシ ングか ら,それが次第 に トー タル ・システム概念 を 導入 した
IDPへ と進 む段 階で とどまっている とい えるで あろう。 前節 で もふ れたが,会計 システムにおいて も意思決定 にイ ンパ ク トを与 える ものが ほ とん
どない状況 なのである 。
その原因 として考 えられる ことは/ まず第一 に会計 システムが,主 として外 部指 向の プロセス として,財務会計 を中心 として展 開 されて きた とい うことが あげ られる 。 意思決定 に有効 な情報 をもた らす ためには,内部指 向のプロセス
‑ の展 開 を図 らなければな らないが,そ こで問題 となるのが,意思決定者 自身 が各 自の持つ情報 ニーズをシステムに十分・ 反映 させ る ことがで きない とい うこ
6)ASOBATと は,A StatementofBasicAccountingTheorybyAmericaAccounting Association,1966.
6
商 学 討 究 第
37巻 第
4号とであろ う。
一般 に,意思決定者 自身が将来 にわた りどのよ うな意思決定項 目が存在す る のか, またその意思決定項 目に対 しどのよ うなデー タをどのよ うに処理 してい るのか を明確にする ことは非常 に難 しく困難である。 なぜ な ら,意思決定 の対 象 となる ものは,未来 についてであ り,現在 の コ ンビュ. 一 夕化 の対象 となって いる過去,及 び現在 の情報 だけでは判断で きない ことだか らである 。 さらに, 必要 となる情報 は単 に会計分野 に とどまらず,経営 とい う立場 か らみた企業全 般 を対象 とする情報 や経済状況, さらには社会,環境 とその範囲が広 がる もの だか らである
。また,その処理手順 が確立 された場合 において も, その処理方 法 は企業 の環境変化 に応 じて変化 する性質 をもつ ものである。 これ らの ことを 考 えあわせ る と意思決定 にイ ンパ ク トを与 えるシステムは,常 に変化 し生成発 展 してい くものでなければならない。
しか しなが ら,EDPや
IDPに代表 される会計 システムの場合,法律 上 や経理上 の理 由を含 む明確 な処理方法 の もとで, フ ォーマ ッ トの決定 された多量 の 入 出力 を大規模 フ ァイルを通 して処理 されているため,その システムを変化 に 合 わせ て生成発展 させ る ことは次 のよ うな理 由によ り困難 である。
その理 由 とは, その システムになん らかの関係 ( デー タ入力,監査 ,管理 な ど) で接 する人々に とって, システムの変更 は円滑 な仕事 の遂行 を妨 げる こと にな りかねない ことと,大量 のデー タの変更,多数の プログラムの変更 はシス テムメ ンテナ ンス要員 の作業 を大幅 に拡大する もの となるか らである 。
従来か らのイ ンプ ッ ト, アウ トプ ッ ト及 びその処理 プロセス を明確 に した う
えで システム開発 を行 うとい う過程 においては,意思決定者が 自身の持 つ情報
ニーズ を開発者側 に正確 に伝 える ことが,業務 の高度化 を図る とい う目的達成
の ため▲ に必要 な こ とで ある 。 しか しなが ら現実 には,意思決定者 自身が その
ニーズを事前 に明確 にする ことが困難であ り,実際 にシステムを運用 しはじめ
てか ら, こんな ことはで きないだろ うか とい う形 でそのニーズを提示す る場合
が多 い。 また, この情報 ニーズは,企業環境 の変化 に応 じて変化す る ものであ
り,その変化 に応 じて コンピュー タ ・システムは柔軟 に対応 で きる もので な く
意思決定支援システムへの実践的アプローチ
7て はな らないが, これ を実現 させ る ことが, コ ンピュー タ ・システムを意思決 定支援 のため に利用 す るには必要 な ことで ある 。 そ して, その実現 のため には, ハー ドウェア, ヒューマ ンウェア, ソフ トウェア, フ ァー ムウェアの 4方 向か
らのアプローチが必須 の もの となるので ある 。
3.NOA構築のためのフレームワーク
前節 まで に,従 来か らの コンピュー タ ・システ ムで は意思決定 になん らの イ ンパ ク トも与 えて こなか った こ と, そ して, そ の実現 の た め には構 造 的 ( フ ァー ム ウェア) , 技 術 的 ( ハー ドウェア),人 間的 (ヒューマ ンウェア) , 機能 的 (ソフ トウェア・ ) の
4つの側面 か らの アプローチが必要 で あるこ とを述べ て
経 営 組
織
管 理 論図
2 ‑ 1
きた 。 それぞれの企業 において,管理者 の意思決定 にイ ンパ ク トを与 える コ ン ・ ビュー タ ・システムは,具体 的 なモデル として はその必要 な用具,方法論, ス タ ッフ及 びそのスキルな どの諸要素 が異 なるため一概 に言及 で きぬが, その概 念 的モデルを検討 す る ことは,その構築 のため に充分 に価値 のある ことである 。
M.S.S.
モー トンは
DSSの療 成要 素 と して
5つ の要 素 をあ げ, 図
3‑ 1の よ
β 商 学 討 究 第 37巻 第 4号
うに説明 している 7) 0
5
つの要素 は以下 のよ うに説明 されている
。 (1)意思決定者 ( 管理者)
DSS
にお ける必須 の構 成要素 で あ り,問題 を発 見 し,分析 し, 問題解 決 のための代替案 を探究 し,評価 して,最終的 な選択 を行 う 。
(2)
コ ミュニケー シ ョン装置
DSS
で の重 要 な機 能 を. 提供 し,電話 回線 を利 用 して, 中央 の コ ンピュー タとの対話 を可能 にす る端末機 が利用 される 。
( 3) モデル
法律 的,心理的,社会的,技術要 因 を含 む企業 システムであ り,数学的表 現 を用いた数学 モデルである。
(4)
コンピュー タ
各端末機 か らの指令 を時分割 し, ほ とん ど同時 に処理で きるマルチ ・タスク の タイム ・シェア リングが望 ま しい。
(5)
デー タ ・ベー ス ( 生 デー タ源)
各管理者 の情報要求 に応 じて,端末機 よ り, 中央 の コ ンピュー タか ら管理 者 に提供する ものである。
M.S.S.
モー トン自身 この よ うに設定 された
DSSの設計 プロセ スが完全 な も ので はない と言 っているが,企業 による差異, コ ンピュー タ ・システムその も のやその関連技術 の進展 な どを加味 し,効果的 な意思決定 をサ ポー トする情報 システムす なわ ち
NOA構築 のための フ レー ム ワー クを示す とすれば,図
3‑2
の よ うに示 す ことが可能であろ う 。
ここで は
, (1)意思決定者
, (2)コンピュー タ ・システム
, (3)デー タベー スの
3つ にその構成要素 を区分 し,その各 々は次 のよ うに説 明で きる。
( 1 ) 意思決定者
意思決定者 は必須 の構成要素 である 。 ここで意思決定者 は問題 の発見 ・分
7)G.A.GorryandM.S.S.Morton,"A FrameworkforManagementInformationSystenlS",SloanManagementReview,Fall,1971,pp.55‑56.
意思決定支援システムへの琴践的アプローチ
9柿,代替案 の探究,評価,選択 を行 う他 , システムの設計 ・運用 にも積極的
に参加 し, 自身の持 つ情報 ニーズや経験上の意思決定過程 のロジ ックをコン ピュー タ ・システムに反映 させ る ことによ り, よ り柔軟性 を持 ち,構造的 な 問題 か ら半構造的, さらには非構造的 な分野‑ とシステムの適用領域 を拡大
してい くことが可能 となる 。
( 2) コンピュー タ ・システム
こ0 ?要素 は企業 によ り違 いが大 きい。
M.S.S・モー トンのモデルによる コ ミ ュニケー シ ョン装置,モデル, コンピュー タはこの要素 に対応す る 。
コ ンピュー タ ・システムは 日常業務 を処理す る
EDPか ら,意思決定者 の 意思決定過程 の システム‑ の組 み込 み度合 いによ り,構造 的な意思決定 の領 域 か ら非構造的な領域‑ とい う流 れ, また,マ シ ンか らマ ンへ とい う流 れ に 発展 し,
DSS,最終的 には
Ds(DecisionSystem)‑ と進 んでい こう 。 その際, その意思決定過程 は, ある分野 の専 門家 の知的 な判断や問題解決の一部・ をコ ンピュー タで代行 す る人工知能
(AI)技術 を背景 と した
EXPERTシステムな どによ り収集 ・分析 され, 自動化が進 んでい くもの と考 えられる。
ここで,
EDPにつ いて述べ る と,将 来 的 には,
OS(OperatingSystem)の 効率化,記憶装置の有効利用 を推 しすすめるため に, ソフ トウェブの機 能 を ハー ドウェア的 に設計 す る とい う思想 をもつ フ ァー ム ウェアが,
EDPその
もの を取 り込 むな ど大 きな影響 を与 える もの と考 えられ る。
基幹業務 の
EDPが緒 につ いたばか りの企業 か らよ り有効 な
DSS構築 を目
指 す企業 まで, 当然 この部分 は個 々の企業 の実状 に応 じて異 な り, コ ンピ
ュー タその もの もパー ソナル ・コ ンピュー タか らスーパー ・コンピュー タま
で千差万別 で あ りうる。 ここで,
DSS構 築 とい う視点 か ら考 えた場合,前
節 で述べ たよ うに,すで に大規模 な
EDPを確立 している企業 において は,
その システムに直接
DSS機能 を盛 り込 む こ とは困難 であ り,意思決定者 が
意思決定 に必要 な情報 を得 よ うとす る場合 は,明確 な処理手順 に従 って処理
される
EDPにお けるデー タを,パー ソナル ・コ ンピュー タに必要 な分 だけ
取 り込 み,
EDPとは独 立 に自由 に処理 で きる形態 が考 え られる 。 さらに業
10 商 学 討 究 第
37
巻 第4
号務規模 の小 さな企業 の場合 には,EDP 部分 と
DSS部分 パー ソナル ・コ ンピ ュー タ ・ベースで処理する ことも十分 に可能である 。
また, ここでのネ ットワー クも, システム間の関連 とい う意味での ネ ッ ト ワー ク,端末機 とコンピュー タあるいは, コ・ ンビュー 夕闇のネ ッ トワー クな どその意味す る ところは広 いが,特 に大規模 なシステムの場合 は,LAN に 代表 きれるネ ッ トワー ク技術 はコンピュー タ:システムに重大 な影響 を与 え
る もの となる。
芙
‑ . ・匝 重 囲 ‑
1
(意 思 決 定 者 ) 2
( 表 ユ
ニケ ショ
ン)3
( モテフL )
ソフト ウェア
中央 コンピュー タ
・ =企業活動
図 3‑ 1
ヒューマンウェア ソフ トウェア ファームウェア ‑‑ ドウェア
図 3‑2
意思決定支援システム‑の実践的アプローチ J J
( 3) デー タベース
この要 素 も企 業 に よ りそ の形 態 は異 なる。EDP, に必要 な個 々の業務 の デー タが整理統合 され,社 内情報 のデー タベースへ さらには意思決定者 に もた らされる非公式 な示唆,す なわちイ ンテ リジェンスをも含 む社外情報 の デー タベースへ と発展する 。 このデー タベースにおけるデー タの不足 やその デー タベース管理 システム
(DBMS)が機能的 に不充分 な場合,
DSS構築 には 重大 な障害 となるであろ う 。
また,高 度情 報 時代 を迎 えた現 在,情 報 は企 業 内 だ け に と どま らず,
vANによる企業 間 にお ける情報 の交流 や,将来的 には一般家庭 をも取 り込 んでの情報 の交流 を目指す
INSな どの ネ ッ トワー ク技術 は重要 な役割 を持
つ。
こ こで示 した フ レー ム ワー クは, いわば枠 組 み と しての設計 図 にす ぎず, 個 々の具体 的モデ ルの設計手順 を示 す もので はない。 しか し, この フ レーム ワー クを基本 とし個 々のモデルを構築す る場合 において,構造的,技術 的,人 間的,機能的の
4つの側面 か らのアプローチ によ り, どの構成要素 をどの レベ ルにするか とい う検討 を重 ねる ことによってその価値 が高 まる と言 える
。4
.小規模企業における実践的アプローチ
前節 で は有効 な意思決定支援 のための
NOA構築 の フ レー ムワー クを示 した が,その フ レームワー クは具体 的 なケース と照 し合 わせ る ことによ り理解が深 まる 。 本節 で は,小規模企業 においでホス ト ・コンピュー タとしての普及の高 まっているパー ソナル ・ ' コンピュー タをベース とした コンピュー タ ・システム での有効 な意思決定支援 のための機能 について考察す る 。
小規模企業 おけるパー ソナル ・コンピュー タ ・ベースでの システムの対象 は, 財務会計,人事給与,販売 ・仕入 ・在庫管理,顧客管理 な どの業務 の
EDPがほ とん どであ り, その レベ ルを達成する こと自体 が問題 とな りうる ことも多 く, 意思決定 にイ ンパ ク トを与 える もので はない。
このよ うなシステムの利用状況 を踏 まえ,意思決定 によ りイ ンパ ク トの強 い
12
商 学 討 究 第 37巻 第4号
情報 をもた らす システム とす るため に,前節 で示 した意思決定 のための フ レー ム ワー クにあて はめて考 える と, パー ソナ ル ・コ ンピ ュー タ ・ベー スで の フ レー ム ワー クは次 図の よ うに表 す ことがで きる 。
意 思 決 定 者
図 4‑1
ここで コ ンビニ一 夕 ・システ ムについてみる と,それ は,財務会計 ,人事給 与,販 売 ・仕 入 ・在庫 管理・顧 客管理 な どの個 々の業務 の
EDPと意思 決定 支 援ル ーチ ンよ りなるが, システム全体 としての有効度 を向上 させ るため には, 個 々の システムの練合化 を図る必要 が ある o ここでい う統合化 とは,個 々の シ ステムの操作手順 , メ ッセー ジの統 一 に始 ま り・各業務 の関連 を充分 に検 討 し, 各業務 間でのデー タ授受 の タイ ミングを整理統合 し, システムに反映 させ る こ
とによ り可能 となる 。
各業務 間でのデー タ授受 の一例 を示 す と,財務会計 システムは人事給与 シス
テ ムよ り給与明細 デー タを受 け, それ を仕訳 デー タとして処理 を行 う 。 またそ
の際 には社員 デー タを参照す る必要 がある ○ 販売 ・仕入 ・在庫管理 システムか
意思決定支援 システムへ の実践 的 アプローチ IS
らは販売,仕入,在庫 それぞれのデー タを受 け, それ らを仕訳 デー タと して処 理 を行 う 。 その際 には顧客管理 システムの顧客 デー タを参照す る必要が ある 。 顧客管理 システムの顧客 デー タは販売 ・仕入 ・在庫管理 システムに とって も必 要 なデー タである
。また,人事給与 システムの社員デー タは他 の
3つの システ
ムに とって必要 なデー タである 。
これ らのシステムJ %運用するためのパー ソナル ・コ ンピュー タは,それぞれ の企業 の業務量 に もよるが,最低 限で も
20MB以上, で きれ ば
40MB以上 の ハー ドデ ィス クの使 用 が 必要 であ り,複 数 の ジ ョブが並列 に処理 で きるマ ル チ ・ジ ョブの機能 を持 つ ものが要求 される 。 また,
1台 のパー ソナル ・コンピ ュー タで は処理 しきれ ない業務規模 の場合 は,複 数台 のパー ソナル ・コ ンピ ュー タをネ ッ トワー クによって使用す る ことによ り,
1台 あた りの負荷 を軽減 させ る ことが必要 である 。
デー タの形態 も,前述 した業務 間の関連 を可能 にす るため,各種 マス ターの 共有, フ ォー マ ッ トの規格 化 が必要 とな る
。 DSS構 築 に は よ く整備 され た デー タベースが重 要 な構 成要素 で あ る と指摘 されて い が ) が,一般 にデー タ ベースの構築 ・整備 とい う作業 は,それ 自体 かな りの負荷 のかかる作業 であ り, 特 に小規模企業 においてその作業量 を考 える と,実際の運用が難 しい。 しか し, 上記 の観点か らデー タの整備作業 を進 める と,それは自然 と必要最少 限で はあ
るが,デー タベースを指 向 した もの となる といえるであろ う 。
このよ うに整備 されたデー タを利用 した, それぞれ関連 の とれたシステムを 運用する ことによ り, それぞれの作業 の効率化 は期待 で きるが,その こと自体 が意思決定者 のためのイ ンパ ク トのある情報 を提供する もので はない。それ を 可能 とするためには,個 々の業務 システム と意思決定者 とを結 ぶ意思決定支援 ルーチ ンが必要 となる 。
このルーチ ンとは端 的 に言 えば, プログラム としての コンピュー タ処理手順 の設定 を行 うことであるが,そのためには,
・意思決定 に関する必要情報項 目の整理
8)Ralph班.Sprague,Jr.andErieD.Carlson,op,
° i t . ,( 釈
,275頁)
14 商 学 討 究 第
3 7
巻 第4
号・意思決定のための手順 の設定
・ファイル関連性 の整備
・日常業務処理手順 の設定
などの意思決定支援 のためのデー タ構造 の明確化 をはかる作業が必要であ り, そこか ら意思決定の処理 ロジ ックをみ きわめることが必要である。 この意思決 定支援 ルーチ ンはマ シ ン指 向である
EDPとマ ン ( 意思決定者) との距離 を縮 める ものであるが,その実現のためには意思決定者が積極的に介入することが 必要である 。
コンピュー タ ・システムの設計やメンテナ ンスはシステムエ ンジニアやプロ グラマーの役割 りであるが,彼 らによ り具体的なニーズをよ り迅速 に伝 えるこ とが意思決定者 の重要 な役割 りとなる
。また,逆 にそのよ うなニーズが発生 し た場合,それがす ぐにコンピュー タ ・システムに反映で きる体制 をとる ことが 必要 である。 これ らの個 々の具体 的 なニーズの蓄積 ・分析 が,EDPか ら
DSSへ とコン ピュー タ ・システムを発展 させ る重要 な要因 となるのである0
しか し,実 際 には小規模企業 の多 くは, その コ ンピュー タ ・システムの設 計 ・開発 をパ ッケージソフ トや外注 な どの方法で外部 の力 に頼 ってお り, 自社 内にコンピュー タ要員 を持 たない例が多い。 また,経営者 自身 もコンピュー タ によ りどのよ うな処理が可能か, どのよ うなデー タが蓄積 されているのか,出 力 されて きた情報 をどう読み取 ればよいのかなどのことを理解 していない場合
/
も少 な くない。 このよ うな状況の もとで,上記の問題 を解決するためには, シ ステムを開発する際 にすべて を外部の力 に任せて しまうのではな く,最低 1人 以上 の社内の人間 を開発 メンバーの中に組入れ, システムの処理過程 を理解で きる人間 を養成することが望 まれる
。立場 を変 え, シスダムの設計 ・開発 を行 う外部の ソフ トハ ウスなどの立場か ら考 える と,今後 は単 にシステムの設計 や プログラムの開発 を行 うだけではな く,ユーザ企業 にそのシステムに関する操 作教育以上の教育 を行 うことが必要 となろう
。また,意思決定者 自身が直接扱 うためには,デー タの処理過程 を簡単 なコマ
ン ドで行 える簡易言語 を扱 うよ うに操作 で きることが必要である
。だが,意思
意思決定支援 システム‑の実践的アプローチ 15
決定支援 ルーチ ンを作成するための簡易言語 を個別 に作成する ことは非効率的 であ り,既存 の簡 易言語 にてシステム内のデー タを取 り扱 えるように考 える こ
とが現実的である
。小規模企業の場合,意思決定の形 としては トップダウン型であ り,意思決定 に関連する人間 も少数である 。 その点で は,大規模企業 と比べ た場合,意思決 定支援 システムを作成する とい う点では,ハー ド, ソフ ト,そ してその運用体 制が整備 されれば,比較的立 ち上が りが早 い と言 えるであろう 。
令
5.
小規模企業における会計 システムの展開
前節で示 したフレークワークは,いわばシステム全体のあ り方 を示 した もの であ り,具体的な仕様 を示す ものではない 。 本節 では,前節 の フレームワー ク か ら財務会計 を中心 と したシステム展 開 に焦点 をあて,NOA を目指 した会計
システム として,で きる限 り具体的 な仕様 を追求 してい く。
現在,パー ソナル ・コンピュー タ ・ベースでの会計 システムで一般的なもの は,財務会計 をベース とした会計 システムである といえる。それは,仕訳 デー タを入力することによ り,元帳 フ ァイルなどの トランザ クシ ョンフ ァイルや勘 定科 目フ ァイルなどのマスターフ ァイルが更新 され,それ らよ り元帳や財務諸 表が出力 される● とい うものである 。 つ まり,取引‑仕訳‑元帳J試算表‑決算
‑財務諸表の過程 における転記 ・集計作業 を機械化 した ものである
。また, この財務会計ベースの システムに管理会計 の要素 を取 り込 んだシステ ムも一般的になっている。それは,財務会計ベースの機能のほか,予算 との比 較,同業他社 との比較,各種 の経営分析 な どの機能 を持つ ものである 。
これ らの会計 システムは事務作業 の効率化 は期待 で きるが,そのシステムが 過去 か ら現在 まで をその主 な対象 としてお り,将来 に向かっての意思決定 に直 接有効 な情報 をもたらす もの とは言 いがたい。 もちろん,現状 の分析 とい う作 業 は将来 を考 える うえで貴重 なものであるが,その分析 の結果 をどのよ うに将 来 に反映 させるかがよ り重要 なことである 。
つ まり,意思決定 に有効 な情報 をもた らす会計 システムは,財務会計,管理
16 商 学 討 究 第 37巻 第 4号
会計の要素に加 え, ど うす れ ば利 益 が増 加 す る か , また, そ の た め に は ど う し
なければならな い の か な どの こ とが検 討 可 能 な未 来 志 向 の会 計 の機 能 を含 む こ
とが必要であ る。 また, この よ うな時 系 列 的 な と らえ方 に加 え, 会 計 レベ ル の
情報から企業 レベ ル の情 報 ‑ , さ ら に は経 済 レベ ル,社 会 レベ ル, 環 境 レベ ル
‑ と,情報を と ら え る レベ ルが拡 大 され て い くこ と を考 慮 す る必 要 が あ る。 こ
れらの関係を図示 した の が 図 5‑ 1で あ る。
ここで留意 しな け れ ば な らな い.こ とは, 意 思 決 定 は企 業 の ト ップ に お け る戟
略的意思決定 の み で は な い こ と と, 未 来 志 向 の会 計 だ け に焦 点 をあ て た会 計 シ
ステムでは実 用 に は適 さな い こ とで あ る 。
企業にはロ ウ ア‑ レベ ル に お け る プ ロ グ ラ ム ドな意 思 決 定 か ら トップ にお け
るノンプログ ラ ム ドな意 思 決 定 まで存 在 す る。 当 然 , 今 まで の シ ス テ ム で はサ
ポー トされて い ない ノ ンプ ロ グ ラム ドな意 思 決 定 支 援 の部 分 が 注 目 され る が ,
プログラムドな意 思 決 定 支 援 を忘 れ て は な らな い。
また,企業 会 計 原 則 , 商 法 , 法 人 税 法 な ど関 連 法 規 の規 制 に よ り従 来 の処 理
手順 を大幅に変 更 す る こ とはで きな く, 従 来 か らの流 れ を踏 ま え た財 務 会 計 シ
ステムをベー ス とす る こ とが必 要 で あ る。
では,未来 志 向 の会 計 とは具 体 的 に どの よ うな もの で あ ろ うか 。 未 来 志 向 の
会計 とは,経 営 者 が 企 業 の 将 来 に向 か って の意 思 決 定 を行 う さい に イ ンパ ク ト
を与 える会計 で あ る とい え る。 これ は個 々 の企 業 及 び そ れ を取 り巻 く環 境 に よ
り変化 し,あ る特 定 の処 理 手 順 に限 定 す る こ とはで きな い 。 しか しなが ら, 本
稿で は,西順 一 郎 氏 の 開 発 した 「MG (マ ネジ メ ン ト ・ゲ ー ム)」 の 中 に含 ま
れている STRAC (StrategyAccounting:戦 略 会 計 )及 び マ トリ ッ ク ス 会 計 9)を
参考 とした。
■
NOA として の会 計 シ ス テ ム の概 略 的 フ ロー を示 した の が 図 5‑ 2で あ る。
ここで,そ の シ ス テ ムの基 本 とな る もの は財 務 会 計 をベ ー ス と した ル ー チ ン
である。 この ル ー チ ンは従 来 通 りの財 務 処 理 の手 順 に従 い なが ら も, オペ レー
シ ョナル ・レベ ル にお け る構 造 的 な意 思 決 定 をサ ポ ー トす る とい う観 点 か ら,
9)西順一郎著 『新人事屋が書 いた経理 の本』 ソーテ ック社,昭和54年
意思決定支援 システ字へ の実践 的 アプローチ ノア
使 い易 さを重視 した もので な くて はな らない
。その使 いやす さとは,例 えば, 家賃 , リー ス料 な どの定期 的 に発生 す る仕訳 の処 理 が 自動 化 され るで ある とか, 給与計算 で処理 され たデー タの振 替 な ど他 の システム との デー タの共有化 や や
りと り,伝票入力 中のマ ス ターの参照 な どのマ ルチ ・ウ イン ド機 能 , ア ウ トプ ッ トの画 面表 示 の充 実 な どを考 慮 す る こ とで あ る 。 ま た, こ こで蓄 え られ た
財務会計 管 理 会 計 釆 会 計
(OperationlAcc)
( Ri s k
Acc)( S t
rat eg
icAc c )
シ ス テ ム
:EDP対 象 : 過
去会
計図 5‑ 1
企 業
← 経 済
←社 会‑ 環境
ス キャ
ニング・
インフ
ォメーシ ョン・ シ
ステム
図 5‑2
ノβ 商 学 討 究 第37巻 第4
号
デー タをもとに種 々の分析 ・予測 を行 うことになるので, そのデー タも後で加 工 ・編集 しやす い フ ォーマ ッ トとす る こ とが必要 で ある 。 従来 の システ ムで は, 出力帳表 ご とに トラ ンザ クシ ョンをもつ処理構造 の ものが多 くみ られたが, ト
ラ ンザ クシ ョンの発生要 因が入力伝票 である点 に着 目すれば, 入力伝票 のみ を トランザ クシ ョンと して持 ち,必要 に応 じてそのデー タを集計 ・加工 し出力 す る とい うプロセ スが考 え られる 。
管理 会計 の要素 を取 り入 れた各種 分析 は, 中小 企業庁 が, 「中小 企業 の経営 指標」 を作成 する際 に用 いている方式 である中小企業庁方式 の財務 分析 な どを
は じめ と して現在 のパー ソナル ・コ ンビュ丁 夕 ・ベー スの会計 システム取 り入 れ られている ものが存在 す る 。 しか し,特 に小規模 企業 において はそれが有効 に利用 されていない例 が多 い。 なぜ な ら,経営者 自身がそれ らの持 つ意味 を理 解 していない こ とやその分析 が その企業 の数値 のみで他 との比較 がで きない場 合が多いか らで ある 。 この種 の分析機能 を持 つ場 合 には, どの項 目が どんな意 味 を持 ち, 自社 の状況 が どうであるのか を判 断で きる アウ トプ ッ トを提供 す る ことが必要 である 。 そのため には,単 に分析項 目名 を表示 す るので はな くそれ に̲ は どの よ うな意味が あるのか, さらに発展 すれ ば どの よ うな事 を知 りたいの か をイ ンプ ッ トし, それ をシステム側 で判断 しそれ に対応 す る項 目及 びその数 値 をアウ トプ ッ トする とい う形態が考 え られる 。 また, その数値 が どの よ うな 意味 を持 つのか を 「中小企業 の経営指標」 な どの外部 デー タと比較す る方法,
システム側 で判 断す る機 能 の付加 な ども必要 な こ とである 。
前述 した よ うに, こ こで は未 来志 向 の会計 と して,西順 一郎 氏 の開発 した
「MG」
の中 に含 まれて いる
STRACお よ びマ トリ ックス会計 を参考 と した。
その具体 的内容 を説 明するの は,本稿 の 目的で はないのでそれ′ らの解説書 に譲 るが, その理 論 の修得 の ため に
MGとい う教 育 シス テ ムが用意 され て お り, 会計学 に通 じて な くとも修得 が用意 である こ とと,マ トリ ックス とい う非常 に
コ ンピュー タ処理 にな じみやす い ことが,参考 に した理 由である 。
小規模企業 の経営者 の場合,財務会計 や管理会計 に精通 している人間が多い
とは考 えに くい。 ま してやい きな りOR手法 を取 り入 れた分析 ・シ ミュ レ‑ シ
意思決定支援 システ ムへ の実践 的 アプロ二チ 19
ヨンをと考 える ことは非現実的である
。意思決定者が, どのよ うなプロセスで 意思決定支援 のための情報が提供 されるのか を理解す る ことは大切 なことであ り, その意味でその教育 システムが用意 されている とい うことは重要 な ことで ある。
また,現在 のパー ソナル ・コ ンピュー タで は, ほぼ どこの メー カーの もので あ って もマルチ プランな どの表形式 の簡易言語が用意 されてお り,それ をマ ト
リ ックス会計 に利用する ことが可能である 。 また,そのよ うな簡易言語 に財務 会計 ベースで処理 されたデー タを落 としこむことが可能であるため, その変換 ルーチ ンさえシステム開発時 に考慮 しておけば,既存 の簡易言語 を使用で き, 非常 に効率的 にシステム開発 を行 うことがで きる。一つだけ注意 しなければな らない ことは,簡易言語 といえ どもそれ を意 の ままに使 い こなすためにはその ための教育が必要 である とい うことである 。 そのため には, システム開発者側 で予 め予想 される ワー クシー トを何種類 か作成 してお き, それ を解説する形 で 教育する ことが現実的であろ う 。
6
.今 後 の 展 望
意思決定支援 のため には,意思決定者 の もつ経験 的 な情報 ニーズやその処理 ロジ ックを柔軟 にコンピュー タ ・システムに反映 させ る ことが必要 であるが, そのため には従来 の大型 コ ンピュー タでの
EDPを中心 とす る集 中処理型 の システムで対応する ことは難 しく,その役割 は,多種 ・多量 の フ ァイルハ ン ドリ ングが可能 となって きた こと, ネ ッ トワー ク構築 が容易である ことな どの理 由 によ り,パー ソナル ・コシビュー タが担 うことが期待 される 。
そ こでのパー ソナル ・コ ンピュー タの使用形態 は,個 々の企業 によ り異 なる が,大 きく次 の
2通 りが考 えられる
。 1つ は,大規模企業 における形態であ り, 大型 コンピュー タによる
EDPによって処理 されたデー タをネ ッ トワー クによりパー ソナル ・コ ンピュー タへ取 り込 み,パー ソナル ・コ ンピュー タとの対話
型 による処理 を進 める形態 であ り, もう 1つ は,小規模企業 における形態 であ
り,パー ソナル ・コンピュー タで 日常業務処理 を行 い, そのデー タをいか しな
20 商 学 討 究 第37巻 第4号
がら意思決定 支 援 の処 理 を進 め る形 態 である 。
このどちら の 場 合 に お い て も, よ り効 果的 なシス テ ム を 目指 す た め に は,
パーソナル・コ ン ピ ュー タ及 び そ れ に付随 する ソフ トウ ェ ア は次 の ニ ー ズ を滴
たることが必 要 で あ ろ う。
1.■ファイ ル ハ ン ドリ ン グ機 能 の充 実
迅速なデ ー タ検 索 機 能 , フ ァイ ル保護 機能 の充実 ,'リ レー シ ョナ ル デ ー タ
ベースなどよ り多 彩 な フ ァイ ル の取 り扱 い,、より多 量 の デ ー タの取 り扱 い が
可能なこと。 〜
2.ネットワー ク機 能 の充 実
異機種間 で の デ ー タ フ ォー マ ッ ト及び プロ トコル の統 一 化 , ネ ッ トワー ク
運用時の各 相 手 先 コ ン ピ ュー タ ・シス テ ムの独 自性 の保 護 な どが 可 能 な こ と。
3.簡易言 語 化 の推 進
日常用語に よ る コ ン ピ ュー タ との対 話 によ り,コ ン ピ ュー タ処 理 ロ ジ ック
の作成が容易 に行 え る こ と。
本稿では,意 思 決 定 支 援 を 目的 と した NOA構 築へ の ア プ ロー チ と して,棉
造的,技術的, 人 間 的 , 機 能 的 の 4つの側 面か らのア プ ロー チ を提 示 し, そ の
全体的なフレー ム ワー ク を示 し, そ れを も とに最近の OA ブー ム に よ り普 及 の
著しい小規模企 業 に お け る パ ー ソ ナ ル ・コ ンピ ュータ をベ ー ス に した NOA の
ための主デルを会 計 シ ス テ ム を中心 に して考察 してきた。
ここで本稿に ふ れ る こ との で きな かった, コ ン ビュ、一 夕の利 用 が 進 ん で い る
大規模企業にお け る意 思 決 定 支 援 の ため の フレー ムワ一 列 .=つ い て ,何 点 か指
摘しておきたい 。
大規模企業に お け る フ レー ム ワー クも, 図 3‑ 2で示 した フ レー ム ワ ー ク を
適用できうる。 こ こ で , デ ー タベ ー スは大 型コ ンピュー タ に よ る EDPの デ ー
タを中心とする社 内 デ ー タの み に と どま らず, 意 思決定 に必 要 な社 外 デ ー タ を
も包含する形で 発 展 す る 。 そ れ は系 列企 業 の方 向に進 め げ VAN'とな り,INS
を背景とする情 報 社 会 の進 展 に よ り, さ らに広 範 に発展 す る もの とな る。 また
コンピュータ・シ ス テ ム 内 に お い て も, コ ンピ ュータ間 , コ ン ピ ュー タ と端 末
意思決定支援 システ ムへ の実践 的 アプローチ 21