北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2018 年
2月
8日
衛星測位による田植機自動操舵に関する研究
環境資源学専攻 生物生産工学講座 フィールド情報システム学 岡田 麻友子
1.緒言
近年,農業者の作業負担低減のために農業機械の自動化等が進められている。本研究で扱う田植 機では田植え作業時に運転者と苗補給作業者が必要なため人手が多くなる。そこで直進走行を自動 化することで作業負担低減と人手不足の解消を図っている。本研究では直進自動操舵の精度向上の ためにシステムの検証とアルゴリズムの改善を行った。
2.開発済みシステムの実験と評価
直進自動操舵は,最初の手動走行の始点と終点を結 ぶ直線から田植機の作業機幅分の等間隔で目標線を作 成し,それに沿って走行する仕組みである。走行中に生 じる目標線からの誤差を打ち消す方向に操舵角を決定 するが,ここでは前方注視距離を加味した横方向誤差
𝜀′を使用し(図
1),操舵角計算式を𝜙 = −𝑘𝜀′とした。こ のアルゴリズムを使用して南幌・旭川で走行実験を行 った結果,圃場の場所ごとに操舵量の過不足が生じる ことが判明した。原因は操舵角計算式に用いるゲイン𝑘 が実験的に求めた固定値であるため,路面状態に対応 した操舵量を計算することが難しいからであると考え られる。
3.操舵アルゴリズムの改良
前項の問題を解決するために,走行中の路面状態 を検知しその時々で適切な操舵量をリアルタイムで 計算できるよう,ゲインを動的に調節するアルゴリ ズムを開発した。本アルゴリズムでは路面状態の違 いによる車体の動き方の違いを検知するために,車 体の方位角変化速度(1 秒間に車体が回転した角度)
を使用した。水田と比較して路面状態のばらつきが 少ないアスファルトを基準路面とし,同一操舵角に おける基準路面と圃場の方位角変化速度を比較する ことで路面状態を検知する。そしてその結果に応じ てゲインをリアルタイムに上下させる仕組みであ る。
4.走行実験
北海道大学生物生産研究農場内の水田でゲイン調節アルゴリズムを用いた走行実験を行った結 果,方位角変化速度の違いに応じたゲイン調節機構が作動していることが確認された(図
2)。しか し,路面状況によっては本アルゴリズムでも操舵が不十分な場合があり,更なる改善が必要である。
𝜀 𝜀’ 目標
前 方 注 視 距 離
図
1.目標線からの誤差
-0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8
14:29:41.28014:29:45.60014:29:49.92014:29:54.24014:29:58.56014:30:02.88014:30:07.20014:30:11.52014:30:15.84014:30:20.160
横方向誤差[m]
時間
横方向誤差
0 10 20 30
14:29:41.28014:29:45.60014:29:49.92014:29:54.24014:29:58.56014:30:02.88014:30:07.20014:30:11.52014:30:15.84014:30:20.160
ゲイン
時間
ゲイン
-2 0 2 4 6 8 10
14:29:41.28014:29:45.60014:29:49.92014:29:54.24014:29:58.56014:30:02.88014:30:07.20014:30:11.52014:30:15.84014:30:20.160
方位角変化速度[deg/s]
時間
方位角変化速度
水田 アスファルト