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実践報告「英語嫌い」に英語の勉強をさせる方法  (その6)

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(1)

堀 内 ちとせ

1.はじめに

 英語が専門ではなく、それほど得意でない学生も多く存在しているクラスで、せめて英語の授 業時間だけでも、何とか積極的に英語学習に取り組めるよう、藤田保健衛生大学、衛生学部、衛 生技術学科1年44名、及び、リハビリテーション学科作業療法専攻1年44名2007年度前期)の

「読解の授業」を対象に検討する。

2.方法

 以下の要領で授業を進め、③〜⑨を毎週、繰り返す。最後2回の授業では⑩を実施する。

①専門が「医療関係」であるため、できるだけ学生の興味を引きそうな、「健康科学系の教科書」

 を使用する。長めの文章ばかりが載っているものを避け、比較的「短めの文章」がいくっか載っ  ているタイプのものを選ぶ。

②授業の第1回目に、学生自身が読みたいと思う文章を教科書から3っ選ばせ、その「学生の希  望」の集計に基づき、希望者が多かったユニットから順に授業を進める。

③「予習」、「復習」は各自の自主性に任せる。「予習」としては本文の単語調べ、教科書掲載の  「単語問題」等、予習内容の方も学生の自主性に任せる。「復習」としては、主に教科書掲載の  「内容把握問題」及び「語彙・文法問題」等を自主的にやって来た場合(授業内に行った場合  も可)は提出させ、問題の「正誤」に拘らず「実施した」ということを「努力点」として加算  する。「予習」に関しても同じ扱いとする。

④「授業」内に行う活動としては、まず、意味の切れ目ごとに自分でスラッシュを入れていく  「自分スラッシュ」、教科書の本文をネイティブが音読しているCDを聞きながら、ポーズが置  かれている箇所にスラッシュを入れていく「CDスラッシュ」を、パラグラフごとに行わせる。

 スラッシュを入れた前の単語は、それぞれ、予め配っておいた紙(以後、「練習の紙」とする)

 に書かせる。

⑤その後、教員自身がスラッシュを入れる位置(以降、「教員スラッシュ」とする)を、資料提  示装置を使って示し、学生自身のものと比較させる。それと共に、意味の切れ目ごとの内容も、

 まずは言って聞かせる。その後、資料提示装置を使って、意味の切れ目ごとの日本語訳をザッ  と見せる。構造が複雑な箇所では、構造を図式化したもの(英語のままで)を見せる。「解説」

 の折り、指示語、省略されている語句等の「問題」を出し、答えは全て「練習の紙」に書かせ

 る。

⑥「解説」が1パラグラフ分終わったところで、指示語等の「問題」の答えの可能性をいくつか示

 し、自分の書いた答えに近いものに挙手させる。その後、正解を示し、各自、答えをチェック

 させる。「疑問点」等が出るようなら、その都度、「練習の紙」に書くよう指示を与える。

(2)

Language&Literature(Japan)第17号

⑦毎時間、授業の最後の15分間は、1パラグラフ程度の英文を各自で日本語訳させる。その「自  主勉強(「自勉」)時間」の際は、辞書、及び自分で行った「予習」のノートを見ても良いこと  とする。「自勉」の内容(「質」ではなく「量」)は、評価の一環とする。

⑧毎回、授業の最後に、その日の授業の取り組みにっいて、各々振り返らせ、頑張った点、失敗  してしまった点などを「練習の紙」に書かせる。「スラッシュ単語」、「問題」、「反省文」等が  書かれた「練習の紙」は、授業終了時に提出させる。「練習の紙」には、必要であるなら教員  はコメントを入れ、また、コメントを入れない場合でも、チェックしたことが分かるような印  をつけて、次回の授業の開始時に返却する。

⑨次回の授業は、前回、授業で進んだ箇所を、クラス全体で「音読練習」させることから授業を  始める。

⑩最後2回の授業では30分程度の「力試し」を行う。パラグラフごとの課題(「自分スラッシュ」

 「指示語等の問題」「日本語訳」の3種類)を資料提示装置で示し、文章全体の読解を行わせる。

 この「力試し」も、辞書や自分で行った予習の持ち込み可ではあるが、「質」、「量」共に成績  の一環とする。

3.今回の試みに対する反省(学生へのアンケートをもとに)

3.1 今回の「対象学生」及び「取り組み」について

 今回は、違う学科で同じテキストを用い、同じような授業進行で2クラスの「読解の授業」を 行った。習熟度別クラス編成を行っていた技術科も、今回からは学籍番号順の普通のクラス編成 となった。英語が好きで比較的できる学生も少数ながらいる一方、英語が苦手な学生が大半といっ た点では、よく似た感じの2クラスである。

 クラスの中に確実に存在している「英語嫌い」の学生を考慮して、今回も評価としては「平常 点」に比重を置くような形(「テスト」1本で評価するのではなく)を取り、彼らが何とか少し でも無理なく英語を勉強できるような形を取ることにした。

       N

 ただ、今までの試みで分かってきたように、脇役科目である英語のために自宅で時間を取らせ るような余裕は彼らにはほとんどない。また、前回の試みでは、授業内に評価に大きく関わるよ うな活動を行わせると、比較的真剣に取り組む学生が多く見られたこともあり、「予・復習」と いった自宅学習ではなく、「授業内の活動」自体に評価の重きを置くような授業形態を取ること

にした。

3.2 「予習」及び「練習問題」について

 「授業内の活動」に重点を置くとはいうものの、学生が自主的に授業内の活動以外の勉強をし

てくれることは喜ばしいことである。そこで、今年度も学生が自主的に行ってきた勉強(単語調

べのような「予習」にせよ、単元ごとの「練習問題」にせよ)は、評価の一環とした。

(3)

〈自主的な予習〉

  積極的に行った   大体行った

  次第に行うようになった   次第に行わなくなった   全く行わなかった

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

 5

25

14

20 36

 9

43

 7

30

11

 7

34 10 25 24

〈練習問題〉

  積極的に行った   大体行った

  次第に行うようになった   次第に行わなくなった   全く行わなかった

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

03∩0009

つ﹂4 30

55

 5  6  4

0∩口77734

 「予習」についてのコメントを見てみると、「授業内にやってしまえる」、「(教科書が簡単なの で)必要がなくなった」、「予習しなくても、ついて行ける」等とあった。教科書のレベルが少々 簡単すぎた可能性もある。

 今回使用した教科書には、比較的多くの「練習問題」が載っていたこともあり、全般的に「練 習問題」を促す機会が多かった。実際、「予習」と比べてみても、「行った」と答えている学生が、

「自主的な予習」(7%+34%+10%=51%)よりも「練習問題」(30%+49%+7%=86%)の方に多く 見られた。そこで、今回は、この「練習問題」を行うきっかけにっいても聞いてみた。

〈練習問題のきっかけ〉(複数選択可)〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

評価に入るから 授業内の眠気覚まし 授業時間内に余裕がある

自分のため

教員の励ましにより

61 14

11

32

16

82

 2  9

15

 7

∩乙311⊥8 7り乙11

 圧倒的に多いのは、やはり、「評価」に釣られてというもの(72%)のようである。選択肢の中 に、「授業内の眠気覚まし」、「授業内に余裕がある」というものがある。今回、授業内に居眠り をする学生が目立ってきたため、その対策として、授業中に眠くなった場合は「練習問題」を行

うようにさせたためである。

 今回は、さらに「練習問題」を行うことは学生自身にとって「意味ある」活動であったかどう かを、「◎」「○」「△」「×」「?」の5段階で評価させたところ、以下のような結果となった。

「自主的な予習」についての結果も、併せて見てみることにする。

(4)

Language&Literature(Japan)第17号

〈自主的な予習〉

   ◎    ○    △    ×    ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

−に﹂∩Oに﹂0

 8

34 36

11 11

 9

30 27 28

 6

〈練習問題〉

  ◎   ○   △   ×   ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

20 34 28 18

 0

1CUり乙

16

48 24

 9  3

 「練習問題」の結果を見てみると、「きっかけ」は何であれ、やること自体に「意味がある」と 答えている学生が過半数(16%+48%=64%)を超えている。一方、「自主的な予習」では、その 半分強といったところ(9%+30%=39%)だろうか。これには、やはり今回の教科書が簡単過ぎ

たということも影響している可能性がある。

 「練習問題」を行うきっかけの選択肢の中に、「教員の励まし」というものがあるが、ここで、

1っ興味深いことがある。「練習問題」を積極的に提出していたのは、「作業」のクラスの方だっ たのだが、敢えて「技術」のクラスでも「このクラスは、しっかり練習問題を提出しているから 感心だ」といったようなことを、機会あるごとに言ってみた。その結果、偶然だった可能性もあ るのだが、「教員の励まし」を「(「練習問題」を行う)きっかけ」としている学生が、「技術」の 方に2倍以上も見られた(16%:7%)のだ。やはり、大学生であろうとも、「褒める」ということは 大切なことと言えるのかもしれない。       t

3.3 「授業」内の活動について

 前回の試みでは、とにかく学生を「眠らせない」といったことに焦点を当てた授業形態(次々 問題を出し、学生にマイクを向けて答えさせたり音読させたりする)を取ってみた。授業の準備 もかなり大変であったが、でも、その分、きっと学生からは何か良い反応があるだろうと信じて いた。ところが、最後のアンケート結果では、かなりの不評であったようだ。意外にも学生に好 評だったのは、「学生自身のペース」で行える「自主勉強(自勉)」であった。

 そこで、今回の取り組みでは、この「自勉」(前回は最後の4回の授業だけであったところ)

を、毎時間、授業の最後の15分間程度で行うことにしてみた。今回も、前回のように、「CDス ラッシュ」(CDのネイティブがポーズを空けている場所にスラッシュを入れる活動)、「自分ス ラッシュ」(自分で意味の切れ目を考える活動)、指示語等の「問題」、「音読」等、様々な活動を 行ったが、前回との試みとの一番の相違点は、授業内に学生を当てる(名指しやマイクを向けて)

ことは一切しなかった点である。

(5)

3.3.1 「スラッシュ入れ」について

 前回の試みでは、「CDスラッシュ」について、「正解を教えてもらえないので、やる意味がな い」といった意見が見られた。そこで、今回は新たに「解説スラッシュ」(解説時に、教員のス ラッシュを入れる場所を資料提示装置で示すこと)というものを取り入れてみることにした。そ れにより、学生達は、一応、各自のスラッシュの位置を確認できることになる。

 その結果、今回の試みでは、「スラッシュ入れ」に関しては、結果的に3種類をも行うことと なった。それは、学生が自分で意味の切れ目を入れていく「自分スラッシュ」、次にCDのネイ ティブのポーズの箇所にスラッシュを入れていく「CDスラッシュ」、そして、この「解説スラッ シュ」の3本である。前回の試みでは、「音読」の際に少し細かめに区切って読み、その都度、音 読させることで、「意味の切れ目」を学生に理解させようとしたのだが、今回は、新たに時間を 取って「意味の切れ目」を認識してもらおうとしたのである。

 この3種類のスラッシュ入れにっいて、それぞれ「意味ある」活動であったかどうかを、5段 階評価で問うてみたところ、以下のような結果となった。

〈自分スラッシュ〉

   ◎    ○    △

    ×     ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

4に﹂812

ー口﹂11⊥

8に﹂412

1に﹂11 16

55

16 11

 2

〈CDスラッシュ〉

   ◎    ○    △

    ×     ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

口∪2CU70 り乙只∪− 23

48 27

 0  2

24 50 22

 3  1

〈解説スラッシュ〉

   ◎    ○    △

    ×     ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

0177←に∪ ∩乙4りム 14

55 20

 9  2

17 48 24

 8  3

 どれも大差はないのだが、学生が一番「意味がある」としているのは「CDスラッシュ」とい う結果となった(24%+50%=74%)。やはり「ネイティブが絶対」ということなのだろうか。残

・念ながら、今回初の試みである「解説スラッシュ」は、「意味がある」と考えている学生は過半

数を超えてはいるものの、3っのうちでは一番の不評であった。「スラッシュばかりやり過ぎ」

(6)

Language&Literature(Japan)第17号

とコメントする学生さえも見られた。

 「音読」の際、ポーズが置かれる場所は、一般的に「意味の切れ目」であることが多い。「意味 の切れ目」を理解することは、「解釈」及び「音読」の際、重要なことである。だからこそ、授 業の中でも「意味の切れ目」に焦点を置いていたわけだが、実際、学生達は、「意味の切れ目」

について、どのような意識を持っているのだろうか。

〈意味の切れ目〉

 解釈に役立っ 分かると良いと思う 分かっても余り意味がない  分からない

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

48 48

 0  4

民UCU45 70乙74

44

 この結果からは、とりあえず、学生達も「意味の切れ目」の重要性を認識しているとは言える

(47%+42%=89%)だろうか。「(「意味の切れ目」が)分かることは、速読にっながる」というコ メントが見られた。ただ、その一方で、前回の試みと同じく、「区切り方は様々で正解がないの で返って混乱してしまう」といったようなコメントも見られた。少しでも疑問に感じたら、「練 習の紙」を通じて質問するようにとは言ってあったものの、やはり白黒ハッキリしていないもの には混乱してしまうのかもしれない。

 CDのネイティブの「ポーズ」の位置だけを意識するのでは、「意味の切れ目」を理解しても らうには少々少なすぎる(ネイティブはそれ程多くポーズを置かない場合が多いため)と思い、

今回は新たに「解説スラッシュ」を設けてみたわけであるが、「スラッシュ」にまつわる活動に は更なる考慮が必要なようである。

3.3.2 「音読」について

 前回の試みでは、「意味の切れ目」を学生に理解してもらうため、少し細かめに区切り、その 区切りごとに教員の後にっいて音読させた。頻繁に声を出すことによる「眠気覚まし」の目的も

あった。

 今回の試みでは、授業の始まりに前回の授業で解説を済ませた箇所を、少しゆっくり教員も学

生も一緒に「音読」するという形をとった。今回は「意味の切れ目」を意識させるという意図も

なかったため、最終的には1文まるごとを滑らかに音読できた方が良いように思い、そのような

形を取ってみた。ところが、授業も中盤に入った頃、「練習の紙」を通して学生から「意見」が

寄せられ、それ以来、(前回の試みよりは)多少長あに区切りながら、教員の後を音読するよう

な形を取ることにした。

(7)

〈音読〉

 ◎  ○  △  ×  ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

39 41 15

 0  5

00σ−にdにU −う04 25 40 28

 2  5

 全体的に見てみると、「意味がある」と言っている学生は3分の2(25%+40%=65%)ほどで あろうか。ただ、「音読」に対する「慣れ」の違い(「技術」クラスにはもう1っ英語のクラスが あり、そちらで「音読」を行っていた)もあってか、クラスにより少し意見の分布の違いが見ら れたようだ。

 今回の試みでは、「音読」には余り重きを置かなかった。が、「音読」こそ、学生達は自宅で自 主的にすることもまずない活動であろう。授業で行うべき活動と言えるのではないか。また、

「音読」することにより、学生自身の体を使って「英語」に触れさせることも可能である。どん な形を取るにせよ、「音読」は続けて行っていきたい活動と言えるだろう。

3.3.3 授業内の「解説」及び「問題」について

 今回は、前回ほど授業内に多くの「問題」を行わせなかったこともあって、結果的に教員が

「解説」を行う時間が多少長めとなった。「解説」では、先述の「解説スラッシュ」(3.3.2参 照)、及び全文の、「意味の切れ目」ごとの「日本語訳」、さらに、分かりにくい部分の「構造説 明」等を行った。・また、前回の試みでは、1文に1問くらいの割合で出していた「問題」も、今 回は、この「解説」の際、1パラグラフごとに1・2問程度出すにとどまった。内容としては、

少し分かりにくそうな指示語内容、及び省略等を問うような形のもののみとした。

 まず、授業内の「解説」全般について、学生の評価を見てみることにする。

〈解説〉

 ◎  ○  △  ×  ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

23 36 25

 9  7

14 52 25

 2  7

84口JCU7

 授業内の「解説」を「意味がある」としている学生は、過半数を少し超えたくらい(18%+44%

=62%)であろうか。ただ、人の話を聞いてばかりというのは、一般的に眠くなってしまうもの である。実際、残念ながら、授業中に居眠りをする学生数も授業回数が進むにっれて増加傾向に

あった。

 では、「区切れごとの日本語訳」、「構造の図式化」にっいての学生の評価は、どうであったの

だろう。

(8)

Language&Literature (Japan) 第17号

〈区切れごとの日本語訳〉

     ◎      ○      △      ×      ?

<技術>

 18  39

  0

 16  27

(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

⊂﹂910に﹂

3

5

11

39

 1  8

41

〈構造の図式化〉

    ◎     ○     △     ×     ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

 5

45

 2

48

 0

48口﹂03

11    CU

 9

32

 3

24 32

 「構造の図式化」したものなどは、以前の試みでも学生に提示したことがあったが、「区切れご との日本語訳」を提示するのは、今回が初めてであった。が、残念ながら、どちらも「意味があ る」と答えている学生は、過半数以下(11%+39%=50%/9%+32%=41%)しか見られなかった。

 「区切れごとの日本語訳」に関しては、「全文の訳もしてほしかった」、「(区切れごとの訳だと)

返って分かりにくいことがあった」、というものが見られた。

 また、「解説」時の、居眠りをし出す学生対策として、寝るくらいなら教科書の問題を行う

(「解説」時に)ように指示したこともあって、「練習問題をしていて(「解説」は)余り聞いてい なかった」とのコメントも見られた。さらに、授業内に行う「問題」数を減らしたため、必然的 に教員が「解説」をする時間が長くなってしまったことで、「解説が長すぎ」というコメントも 見られた。

 一方、1回の授業時間内にほんの数問ではあったが、授業内に行った「問題」についての学生 の評価は、以下のような結果となった。

〈問題〉

 ◎  ○  △  ×  ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

30 41 20

 9  0

20

61 17

 0  2

25 51 18

 5  1

 上記の結果によると、「意味がある」と答えている学生が4分の3を超えている(25%+51%=

76%)。授業内に行う「問題」に関しては、内容をしっかり厳選した上で、数問といった形で実行 していくのが良いと言えそうである。

 では、今回初の試みである、授業中に全く「当てられない」ということに対しては、学生達は

どのような印象を持ったのだろうか。

(9)

〈当たらないことにっいて〉

   良かった

   当たった方が良い   分からない

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

77     80  0      5 23      15

79

 2

19

 さすがに「当たった方が良い」と答えている学生は僅か(2%)だが、「分からない」と答えて いる学生も5分の1程(19%)見られた。今回は多少「解説」の時間が長くなってしまったこと もあり、眠くなってしまう学生が多少多く見られたが、「たまに当たったら眠くならないかも」

と言っている学生がいた。が、全般的には「間違いを恐れずにできた」、「緊張せずにできた」、

「自分のペースでできた」と、肯定的なコメントが多く見られた。また、「自分で問題を解いてい る時は当てないでほしい」といったコメントも見られた。やはり、「自分のペースで」というこ とは、学生達には重要項目と言えるようである。

 ただ、中には、授業中に当たらないとやる気が起こらない学生もいるようだ。「当たると、英 語に興味がなくても触れられる」というコメントも見られた。「強制」の部分と「学生自身のペー

ス」でできる部分と、両方の側面が必要だと言えるのかもしれない。

3.3. 4 「自主勉強」について

 前回の取り組みでは、思いがけず学生には好評であった「自勉」こと「自主勉強」。今回は、

毎時間、授業の最後の15分間を確保し、その「自勉」時間に当ててみた。前回の試みでは、この

「自勉」は、「意味の切れ目」、「指示語」、「日本語訳」の3本立てで行った。今回は、「スラッシュ」

は授業内の他の活動でくどいほど行っていたこともあり、また、「指示語」の方も「問題」を行 わせることで一応触れられるため、今回の「自勉」は「日本語訳」1本のシンプルな形で行うこ ととしてみた。「自勉」中は、辞書や自分の予習には頼っても良いが、必ず自分で行うこととす る。この部分は、前回の試みと同様である。

〈自主勉強〉

  ◎   ○   △   ×   ?

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

54 32

 7  7  0

39 50

 7  0  4

71⊥73り乙

44

 主に「日本語訳」を行うだけの「自勉」ではあったが、授業内の他の活動と比べてみると、こ の「自勉」を「意味ある」活動と感じている学生が最も多く見られた(47%+41%=88%)ようで ある。学生のコメントにもあったように、やはり、「自分のペース」ということが学生の中では 大きいことが、ここでも伺われるようだ。

 「解説」については、「長すぎる」というコメントが幾っか見られた。今回は、最後2回の授業

で行った「力試し」の際にも、1回目の「力試し」後に簡単な「解説」を行った。が、残念なが

(10)

Language&Literature(Japan)第17号

ら、「力試しまで解説は要らない」と言う学生さえも見られた。要するに、長々とした教員の

「解説」より、「自分のペース」ということなのであろう。この「自勉」にっいては、授業内に思い 切って長く取ってやるだけの価値があるとさえ、言えるのかもしれない。

3.3.5 「反省文」及び「練習の紙」について

 前回の試みと同様、今回の試みでも、授業の最後にその日の授業の反省を「練習の紙」の方に 書かせることにした。今回は、その「反省文」に対して、学生がどんな意識を持っているのか問

うてみた。

〈反省文〉

 (書いて)良かった 不必要

分からない

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

27     36 30     27 43     37

32 28 40

 「反省」すること自体は、決して無駄なことではないと思うのだが、その価値を認めていると 思われる学生は3分の1にとどまっている(32%)。かっ、それと同じだけ「不必要」と言ってい る学生も見られる(28%)ようだ。「分からない」と言っている学生が一番多い(40%)のも気にな るところだ。

 教員の側からすれば、50人の学生1人1人の状況を知ることは、なかなか難しいことである。

そのため、毎回学生に何かを書かせるということは、学生を知る上では欠かせないことである。

ただ、書く側からすれば、漠然と「反省」を書くように言われても、困ってしまうというのが現 実なのかもしれない。「何を書いて良いか困った」といったコメントが見られた。チェック項目 等を予め示してやるべきだったのかもしれない。

 ただ、チェック項目のみの「反省」では、やはり片手落ちのような気もする。「先生がコメン トを入れてくれるのが良かった」という意見が見られた。やはり、単なるチェック・マークより も「コメント」なのである。学生を知るためにも、やはり、何か一言でも「思っていること、感 じていること」を書かせたいものだ。

 「練習の紙」には、「反省文」の他に「質問」等を書かせることもある。今回は、極力「(学生 からのコメント等の)見落とし」を減らすために、「質問」等は「名前」の近くに書くよう指示 をした。が、まだまだ、幾っか「見落とし」が出てしまったようだ。教員の一「コメント」で学 生のやる気を左右させることもあることを考えれば、「見落とし」は厳禁である。教員側もでき る限り「コメント」を入れつつ、そして、学生にはできる限り「コメント」を書くよう呼びかけ、

決して一方通行ではない「授業」を目指して行きたいものである。

(11)

4.「評価」について

 評価に関しては、今回の試みでも、前回と同じように、評価の重きを「平常点」の方に置いた。

また、「テスト」という位置づけでこそなかったが、最後の2回(欠席者対策として2回設けてい る)の授業では、30分程度の「力試し」を行った。

 具体的には、毎時間の「自勉」については、「(日本語訳できた)量)」を評価の対象とした。

その他、各自で頑張って行ってきた「練習問題」に関しても、「自主的に行った問題数」、つまり

「量」を評価の対象とした。「力試し」に関しては、「量」のみならず、「質(日本語訳の正確さ・

設問の正答数・スラッシュめ正確さ)」の方も、評価の対象とした。ただ、それらを全て加算し た最終結果が僅かに60%に満たなかった場合(大幅に足りなかった場合は課題提出となる)は、

授業中にしっかり「頑張った」ということを考慮して60点とした。最終的な評価に至るまでには 色々と複雑な部分もあるので、学生に対しては「平常点」60%、「力試し」40%ということで授 業を進めていった。

 今回は、「テスト」に重きが置かれる「テスト評価」の場合と、「平常点」に重きが置かれる

「評価」の場合と、どちらが(英語の勉強を)頑張れるかを学生達に問うてみたところ、以下の ような結果となった。

〈評価について〉

「テスト評価」の方が頑張れる どちらでも同じ

「平常評価」の方が頑張れる 分からない

〈技術〉(%)〈作業〉(%)〈全体〉(%)

11

14 59 16

 0

11

89

 0

 6

13 74

 7

 クラスによって分布の違いが見られるようだが、全般的には、「平常評価」の方を望む学生が 多い(74%)と言えるであろうか。今回は、「解説」をしている折り居眠りを始ある学生が何人か 出てしまったのだが、「毎回見られていると思うと頑張れる」、「苦手なので努力で評価してもら えるのは有難い」といったようなコメントが数多く見られた。ただ、「テスト評価の方が頑張れ る」、「どちらでも同じ」、「分からない」と言っている学生も3分の1ほど存在している(6%+13%+

8%=27%)のも事実である。

 中には、「テスト評価と平常評価を半々にしてほしい」という意見もあった。授業での「平常 点」と「力試し」での「実力点」との点数配分には、考慮の余地があるのかもしれない。ただ、

「英語を苦手」としている学生が多く存在しているようなクラスでは、「テスト」を意識させて全 面に出すより、毎回、毎回の「授業での活動」に重きを置く方向で行くことは、間違っていない

と言えそうである。

5.終わりに

 前回の試みでは、授業内に次々問題を出しながら有無もなく学生を当てていくといった半強制

的な授業形態を取ってみた。それは、「授業中、とにかく眠らせさえしなければ」といった単純

(12)

Language&Literature(Japan)第17号

な考えによるものであった。ところが、結果は予想に反し、学生からは不評の嵐であった。

 そこで今回は180度方向を転換し、一切学生を当てずに授業を行ってみた。その結果、「(授業 中は)自分のペースで自由にやりたい」と考えている学生がかなり多く存在していることが分かっ た(3.3.3参照)。それは、「学生自身のペース」で進められる授業内の「自勉」の、相変わらず の好評度からも伺えるようだ(3.3.4参照)。

 毎時間、徹底的に頭を伏せて寝まくっている学生が1人いた。その学生によれば、「高校の繰 り返しを聞いても意味がない」とのこと。確かに新情報と言えるような内容(文法事項等の)は 皆無だったかもしれない。唯一新情報と言えそうだったのは、教科書として使用している読み物

自体の内容であった。しかし、残念ながら、その内容もその学生の興味に沿うようなものではな かったようだ。

 ところで、「授業」とは50人が全て同じテキストで勉強する必要があるものなのだろうか。確 かに同じテキストを使用すれば、クラス全体に対して説明を施すことができ、時間的に効率的だ とは言える。しかし、テキストの内容に全く興味が持てずに毎時間のように頭を伏せてしまうよ うな学生にとってはどうだろう。そのような「授業」は何ら意味があると言えるのだろうか。で は、学生自身が自ら選んだ好みの読み物を「授業」内に読ませるというのはどうだろう。ただ、

最終的には評価を出さなくてはならない以上、「力試し」的なものは共通の文章で行う必要はあ るかもしれないが。

 50人もいる、しかも各学生の英語のレベルも様々であるクラスで、全学生の要望やレベルに完 全にマッチするような授業を行うのは、まず不可能であろう。ただ、言えるのは、彼らのほとん どは「英語嫌い」ということである。「苦手」としている学生も少なくはない。授業でもなけれ ば、自主的に自宅で英語を勉強しようとするような学生もほとんど見られない。そんな中で、英 語の授業時間だけでも、自ら勉強したいと思うような教材で、しかも自分の好きなペースで英語 を勉強させてみるというのは、どうだろう。

 「評価」で釣って「練習問題」を少しでも多く行わせるのも良いだろう。また、医療系の大学 であるがための大学側からの要請もあるだろう。その強制された勉強と、自分好みの勉強、その 両方を盛り込んでやることで、学生の英語へのやる気を引き出すことはできないものか。

 「英語嫌い」が少しでも興味を持って「英語の授業」に臨めるよう、更なる追求は続くのであ

る。

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