長崎大学工学部研 究報告 第
33巻 第
60号 平成
15年
1月
数値制御工作機械 による
5軸制御加工
( 工作物の接線勾配 を利用 した工具姿勢の決定)
小 島 龍 広*・西 田 知 照*
扇 谷 保 彦*
Five‑axisControlProcesslngUsingNCMachineTools (AToolPostureDecisionUsingtheTangentSlope
ataCutPointonaWわrk)
by
TatsuhiroKOJIMA
*
,NoriteruNISHIDA*a
ndYasuhikoOUGIYA*
Thisreportdealsw地 山ewaytodecidetoolpostureandthewaytoanalyticallycalculatetoolpathfわrthework shaperequiring5‑axiscontrolmachining.Inthetoolpathcalculation,basicequationsarederivedusingthepnnciple 地atthetangentslopeatacutpointonaworkand也eoneatacuttlngpointonatooledgeareidentical・Atoolposture decisionprocedureuslngthetangentslopeateachcutpolntOnaworkisproposedforanyshapeoftooledge.Thevalidl ltyOfthewaytodecidetoolpostureandthereliabilityofthetoolpath Calculationisverifiedbythetoolpath simulation a
ndtestcuttlngOfan impeller.
1
.緒 言
近年,金型 な どの複雑 な自由曲面形状 を持つ加工物 の高速 ・高精度加工が要求 されている. また,そのた めの
CAMシステムの機能 ・性 能の向上が一層求め ら れている.単純 な加工形状 であれば
3軸制御で加工で きるが,複雑 な形状 になる と
4‑ 5軸の多軸制御加工 を必要 とす る.多軸制御 で加工す る場合
,cAM の支 援が不可欠であるが,現在,工具経路算出,工具姿勢 の決定,干渉チェ ックな どのすべ てが完全 に解決 され ているわけではない.
自由曲面 の
5軸制御加工 にお い て は,工 具 と して ボール形状 の切れ刃 を持 った工具が使 われることが多 い.ボール形状切れ刃の工具の場合,工具経路面は工 作物表面点か らその法線方向にボール半径分 だけ離れ た位置 にあ り,工具姿勢の変化の影響 を受 けない. こ のために,工具経路の算 出 と工具姿勢の決定 を分離 し て扱 うことがで き,工具経路の算出が容易 になる利点
がある. また,工具姿勢調整の 自由度 も大 きい. しか し,ポール形状 の切れ刃 を再いる場合,切れ刃の一点 で切削す ることにな り, ピックフィー ド方向 にカスプ が発生す る原因 となっている. このために,加工精度 を上げるには ピックフィー ド量 を小 さ く設定す ること にな り,加工能率が悪 い. また,工具姿勢 によっては ボール先端部付近 を用 いることになるが,先端部では 周速がゼロにな り切削性が悪 い. この ような点か ら, 工具の切れ刃形状がボール形状以外 のいかなる形状 で あって も対応で きるような工具姿勢や工具経路の決定 法が求め られている.
工具形状がボールでない場合 についての研究 として は,工具の姿勢制御領域 を特定の平面内に限定 して工 具経路の算 出を可能 とした ものがある
1)2). これ らは, 工作物表面点 についての法線ベ ク トルを利用 して工具 経路 を算 出する方法であるが,工具姿勢が工作物形状 に応 じて連続的 に変化す るので効率的 な
NCデー タの
平成1
4年10月2
5日受理
*機械 システム工学科
(DepartmentofMechanicalSystemsEngineering)算出が可能である. しか し, これ らの工具姿勢の決定 方法 は,工具姿勢の制御平面が一つの平面内に限定 さ れているために,工具干渉 を避け得 ない可能性 もある.
この点か ら,工具姿勢の制御平面 を
2平面へ と拡張す ることが望 ましい.
本研究では,工作物上の加工点が切削 されるとき, 工具切れ刃上の切削点の接線勾配 と工作物上の加工点 における接線勾配が等 しくなるとい う基本性質 を利用 している. この性質 を用いて,任意の切れ刃形状 を持 つ工具の運動経路算出法が示 されている. また,工具 姿勢 を直交す る
2平面で観察 し,それぞれの平面内で 工具軸の傾 きと工作物加工点の接線勾配 とを関連付 け
ることによ り,干渉が生 じない工具姿勢 を定めている.
これ までに,解析的手法 を基礎 とした,等勾配法 に よる
5軸制御加工 に関す るアルゴリズムを確立 し
3ト5 ‑ , すでに 3軸制御加工時
6ト終 ) お よび 4軸制御加工時
9)10 ) の 工具経路算 出法 を報告 した.本報告では,
5軸制御加 工 における工具姿勢の決定方法お よび工具経路算 出法 を示す. さらに, これ らの処理方法の有効性,実用性 を工具経路の シ ミュ レーシ ョンと加工実験 によって検 証 した.
主な使用記号
X,
y,IWx,Wy,Wz
r
.
ヮ,00
x,Oy,02α
, β
Tcx,Tcy
T
.yx,Twydr/d
q( ‑Tq )
工作物座標系
工作物表面上の一点の座標値 工具座標系
工作物座標系での工具原点の座標値 工作物座標系 における工具姿勢角
∫,
γ方向の工具輪郭勾配
x,y方向の工作物形状勾配 工具座標系の工具輪郭勾配
2. 5
軸制御加工 に関する等勾配法の基礎式
工具切れ刃がボール形状の場合 を除外する と,一般 的には与 えられた工作物表面 を削 り出すための工具経
(b) Fig.1 Relationshipbetweenworkcoordinatex‑y‑I
andtoolcoordinate
El f ‑ ヴ
路面 は一意 には決 まらない.なぜ なら工具経路面 は工 具姿勢 によって変化するか らである.従 って,工具経 路の算 出に当たってはこの工具姿勢 を先 に決めるのが 普通であるが,工具姿勢の決定 には多 くの因子が影響 す るので次章 で述べ る.以下 の工具経路 の算 出 に当 たっては,工具姿勢 を既知 としている.
2. 1
座標系の定義 と工具切 れ刃輪郭の表現 図
1は
5軸制御加工 の工作物座標系
x‑y‑Zと工具座 標系 E‑ 6 ‑ Uの関係 を示 す.工作 物座標系
x‑y‑Zは固定 座標系 とす る.工具座標系 EI E l 7 日ま工具の運動 と共 に 動 く運動座標系 であ る.図
1(a)に示す ように,工具 切れ刃上の任意の一点
P(r,
27,0)の座標 を,工具軸断面 の輪郭Y , りお よび工具軸 回 りの回転 角 Oで表す.工具 座標系 の原点
Ocは工具先端 に と り, この工具原点
Ocの工作物座標系での位置 を
(ox , 0 , , o z ) で表 している.図
1( b)に示す ように,工具軸 の傾 き ( 工具姿勢) を
α, βで表 している.工具座標系で表 した工具切 れ刃上の
一点( Y , 甲 , 0)に対 し,工具座標系の
y軸 まわ りにβの回 転 を与 え
,Z軸 まわ りに
αの回転 を与 え, さらに,工 具原点 を工具座標系の点
(0, , 0
,,ol)へ移動 させ,その結 果 を工作物座標系で表す と次式 となる6 ) .
x‑
o K+
かCOSaSinβ+r(cosacosβcosO‑sinαsinO) y=O,+ヴSinαsinβ+r(SinacosβcosO+cosαsinO)2‑
o l+
ヴCOSβ‑
rSinβcosO・ =
2. 2工具輪郭勾配
工具切れ刃輪郭上の任意の点
P(r,
7,0)における接平 面の
x‑Z断面,お よび
y‑Z断面 にお ける工具輪 郭勾 配
T
c
x, Tcyは式( 1 ) についての
xお よび
y方向の偏導 関数 か ら求め られ,次式で表 される.
cosαcosβcoso‑sinαsinO‑cosαsin姥 sinβcos
ヴ+
cosβ告
s i nα
cosβcosヴ+
cosαsinβ一Sinαsinβ告 sinβcosヴ+cosβ告Fig.2 Deflnitionoftangentplanebytwotangent slopesTcxandTcy
数値制御工作機械 による 5 軸制御加工
式
(2)で表 される接線勾配Ta
,Tcyは図 2 に示す ように, 工具切れ刃上の任意の一点 p における接平面の x‑ Z断 面,および
y‑Z断面 における傾 きである.すなわち, 接線勾配
Tc x
,Tc,によって工具切れ刃上の任意の一点
P(r, 甲
,0)に関する接平面が決定づけ られる.全 く同様 に,工具運動曲面お よび工作物形状 曲面に関する接平 面 をそれぞれ運動勾配お よび工作物形状勾配で表現で
きる.
接平面は二つの方向の接線の勾配で定 まるか ら,一 致 している接平面は二つの方向の接線の勾配がそれぞ れ等 しい.逆 に,二つの方向の接線の勾配がそれぞれ 等 しい点に関する接平面は一致する.この原理が等勾 配法の数学的処理の基礎 となる.
2. 3
工作物形状勾配
関数形の工作物形状 は,図 1の固定直角座標形
x‑y‑Zを利用 し媒介変数〟
,γを用いると,一般的に次式で 表 される.
W,‑i(u
, V)
W,‑g(u
, V)
(3) wz‑h(u , V)
また,工作物形状上の任意の一点
Ⅳ (wx,W,,wz)におけ るx
,y軸方向についての接線の勾配 は次式で算 出 される.
Tux
Twy
∂wz̲guhv‑gvhu
∂wxIfvgu‑fugv awl
̲
fvhu‑fuhv∂W,‑
f v g u ‑ f u g v
(4)
ただ し
,gu‑8g/∂uである.工具姿勢角
αおよびβの 決定に当たっては,与えられた工作物形状座標値お よ びその形状か ら算出される形状勾配T
wx,Twyの値が利 用 される.
2.4
工作物の実体側の判定
工作物形状が関数形,離散形の何れで与 えられて も, 実体が曲面の どちら側 にあるかは,勾配情報か らは判 定で きない.コンピュータ処理 に当たっては自動判定 法 を必要 とす る.図
3に示 す ように,勾 配Twは勾 配 角
Aを用いて次式で表現で きる.
Fig・3 0rientedtangentsandtheirrealbodysides
Tv‑tanA‑sinA
cosA
3
(5)
一方,工作物 に関す る接 線勾 配T
wx,Twyは
,x,y,Z方 向の増分 を用いて表現すると次式 となる.
T u x
Tu・.Y
些 刀
壁刀
(6)
ここで,式(
4)か ら
,D,Dx,Dyはそれぞれ次 式 とな る.
Dx‑guhv‑gvhu
Dy
‑
fvhu‑fuhv (7) D‑
fvgu‑fugvただ し,勾配が分数でない場合 には
β‑1 とみ なす.
式
(7)にお け るか
,8g
,仇 の符号 をそれぞれ調整 ( 勾 配
Twは不変)す ることによ り,実体部 を常 に図 3に示 す方向接線Rの右側 に存在 させ ることが可能である.
すなわち,実体が工作物輪郭曲面の下側 にある場合 は 曲面上の任意一点 について
か>0となるように式
(7)の 符号 を調整すると,曲面全体 について実体 は方向接線 Rの右側 に存在す る.図 3に示す
x,y方向の方 向接線 Rの勾配角
Ax,Ayは次式 によって得 られる.
Ax‑± cos‑1品 (
̲
'二:IZxx≡.o) (8,Ay‑ ± cos‑1
蒜
仁 芸 ≡.
o) (9, 2.5工具切れ刃上の切削点
工具切れ刃上の切削点の算出には,工作物加工点に おける接平面 と工具切れ刃上 における接平面が一致す
adirection
Fig.4 incrementsofzaxisdirectionfわrαdirection anda+7r/2direction
る とい う性質 を利用す る.すなわち,
Tc,I‑Tw ,Tcy‑Twy (10)
式
(2)の左辺 に,式
(6)の工作物勾配
Twx,Tu yを代 入 し,
8,dr/dqにつ い て解 く と,工 具 切 れ 刃 上 の切 削 点 P( r , V , 0)を決定する条件 として式(
ll
),( 1 2 ) が得 られる.
0‑tan‑1(育洗 )・n方 (n‑0,1) (ll)
(
Dsinβ+Dαcosβ<0‑n‑1 )
dr D cosβ‑Dαsin
β
dq
/(Dsinβ+
Dacosβ)2+Da2.方′2(12)
ここで
,Dα
,Dq'n/2の幾何学 的 な意味 は,図 4に示 す ように,接 平面 のa
,α+7T/2方向の Z軸 の増分 であ り, 次式で表 される.
Da‑Dysinα+Dxcosa (13) Da.方/2‑Dycosα‑Dxsinα (14)
また,式
(12)の
dr/dqは運動座標系 であ る工具座標 系 で 表 した工具勾 配 であ り
Tq で表す.工具輪 郭 は任 意 の 形状が使用で きるが, ここでは一般的な工具形状であ るラジアスエ ン ドミルについて定義す る.図
5に示す ように,工具半径
R, コーナ半径rsをパ ラメー タとす る と工具輪
郭r, Uは式( 1 5 ) ,( 1 6 ) で表す ことがで きる.
r‑R‑rs+篇 (15)
ワ
ニr s ‑ r s こ 1 6 、 、
図
5に示す ように
,dr/d7‑0は工具の外周円筒部切 れ刃 の勾配 を
,dr/d7‑‑ は工具 の先端 部切 れ刃 の勾 配 を表 している.式
(12)と式
(15),( 1 6 ) を連立 させて解 くと, 工具切れ刃上の切削点P(
Y,q , 8)の
rと甲の億 が得 られる.
2. 6
工具原点の位置
工具切れ刃上の切削点P( Y , 甲 , 0)を工作物上 の加工点
W(wx,W,,wz)に一致 させ ることによって,工具位 置が 得 られる.す なわち,工具切 れ刃上の点P( Y ,
甲,0)を工
Fig.5 Definitionoftoolshape
作物座標系
x‑y‑Zで表 した式
(1) に工作物上の加工点
Wの座標値
(w
x,W,,wz)と前節 で得 られた工具切 れ刃上 の 切 削点 p の座標 値( r ,
甲,0)を代 入 す る と,工具 原点 の 位置
(ox, 0 , , 0 2 ) が次式の ように得 られ, これが工具径路 上の点 となる.
ox‑ wx‑ワCOSαSin
β‑
r(cosαcosβCosOISinαSin0)oy‑ W,一 甲Sinαsin
β‑
r(sinαcosβcose+
cosαsinO)02‑ wz‑ワCO
S
β+rsinβcosOL I T ) ここで,工具姿勢角α , βは既知 とする.
3.
工具姿勢の決定
図
6はガス ター ビン過給器 などに用い られるインペ ラであるが, この ように複雑 な形状 を加工す る場合, 工具姿勢 を変化 させ る必要がある.工具姿勢 は図
1に 示す ように
,Z軸周 りの回転角度
αお よび Z軸 を基準 とす る傾 き角 βで表す.実際 の加 工 時 には,工作 物 上の各 点 ご とに
αお よび βの値 を定 め る必要が あ る.
しか し形状が複雑 な場合,すべ ての加工点 に関す る工 具姿勢情報 を事前 に与 えるのは煩雑 である.そ こで, 加工物 に関す る形状 お よび勾 配情報 な どを利用 して
α, βの 自動算 出 を行 うようにす る.決定の手順 として
はまず
αを決定 し,つ ぎに
βを決定す る.
3. 1
工具姿勢角
αの決定
工具姿勢角
αは図
1の
α平面すなわち
x‑y平面内の 角度である.一般的に
,αの値 はかな りの 自由度 を有 す る.工具姿勢角
αの決定 に当 たって考慮 すべ き点は,工具 を必ず工作物の非実体側 に置 くこと, さらに β平面での工作物形状がで きる限 り単純 な形状 にな り, β平面 における工具姿勢角 β を工具干渉 な く定めるこ
とがで きるようにαの値 を定めることである.αの債 は
α平面 にお ける工作物形状 を利用 して決定す る.
ここでは加工物が図
6に示す インペ ラであるこ とを考 慮 し
,α平面 における工作物形状 と して工作物 の
x‑y平面への回転投影形状 を採用す ることに した.
図 6に示す イ ンペ ラの,あ る
x‑Z断面での形状 は図 7 の ようにな り, この工作物 表面上 の各 点 を
y軸 周 りに回転 させ,x ‑ y平面上へ投影す る.回転投 影 した 結果 として図
8が得 られる.図
8において,格子点は 工作物上の加工点 に対応 した点である. また,格子点 の並 びを記号
I,Jで表 してい る.任意の格子点
W (x. , , y,
),zz,)に対応す る工作物上の加工点での工具姿勢角
aを次式で定める.
α,i‑tan‑1
yi,)+1lylJ
R
,.)+l‑Rt j R
,,‑Jm
( 1 8 )
数値制御工作機械 による
5軸制御加工
Fig.6 Animpellerrequiredmachining
式 は点
wl )と点
w z.]+1 間の勾 配 ( J方 向) を用 い て
αを求める形 になっている.従 って,工作物の形状変化 に応 じて徐 々に工具姿勢角
αが変化 す るこ とになる.
3.2
工具姿勢角
βの決定
工作物上の加工点 に対 して工具軸が 占めることので きる空間はこの加工点 における接線勾配
Tw x
,Tw,で定 まる接平面の非実体側 に制限 される.従 って, この接 平面 の傾 きに基づ いて工 具姿勢角 βを定 め る と,工 作物形状 の変化 に応 じて 自動 的 に工具姿勢角 βを得 ることがで きる.
工具姿勢角 βの決定 に当たっては,工作物 の加 工 点 にお ける接 平 面 が β平 面 ( 図 1参照) に成 す傾 き 情報 を利用す る.工作物上 の点
WE , ( 図
8にお ける格 子点wl )に対応 す る工作物上 の点)の β平面上 にお け る断面形状が図
9である とす る. この時,工作物上の 加工点
Wl ]における接平面 とβ平面 の交線 が図 9に示 す接線
Lαとなる.工作物座標系 で表 した接 線
Laの勾 配
Twα(αによって定 め られた β平面 内での勾 配)は 式
(6)で得 られた
Twx,Tw,と工具姿勢角
αを用 いて次式 で表 される.
Twα‑Tu,ysina+Twxcosα (1
9 ) 図
9にお い て,工 具軸 甲の傾 きを接 線
Laの傾 きに
Z
Fig・7 RotationofpolntSaroundyaxistogetwork shapeonaαplane
5
Fig.8 Workshapeonaαplane
一致 させ る場合,つ ま り工具の外周 円筒部切 れ刃で切 削す る場合,β平面 における工具姿勢角βI Jは次式 で求 め られる.
BI.‑cot‑iTwa
( 2 0 )
実際 には,工具姿勢角 βは工具干渉 を回避 す る よ うに決めなければな らない.つ ま り図
9において,点
W
l , の右側 あるいは左 側 に存在す る工作物 の各点 に関 し干渉が生 じない ようにβを決定 す る.例 えば,点
W
l , の右側 に存在す る各点 を干渉チ ェ ックの対象 と し て工具姿勢 角 βを決定 す る場 合 には,加 工 点
Wl ) の
jが増加 す る方 向 に存在 す る点Wl h( k
‑j+1,j+2 , . ‥)と の間を結ぶ線分の傾 き角βkを次式で算 出す る.
Bk‑COt1 A z]k J △x,i2k+ △yji
ここで,
△xjh‑ Xlk‑ Xl]
△yJh‑ ylk‑ yl,
(21)
C 2 2 )
△ Z]カニ Zlkl ZL]
βkの最小値 を
Ck.一一i nとす る と き,8
km.
nと式
(21)の
βLと の大小 関係 に よって工具姿勢角 βの決定 は以下 の よ うに分 け られる.
1 )
βhm.
n<CLの場合
T o o la x i s
Fig.9 WorkshapeonaβlPlane
工具姿勢角 β を次式 で定め る.
β‑Bk.川‖‑ C (23) ここで,C・は工具切 れ刃の切削点 を指定す るためや, 荒 削 り時 の 削 り残 し量 の 分 だ け 点町
々(
A‑i +i , i
+2
,‑.)の付 近 に肉が残 ってい る こ とを考慮 す るための 余裕量 である.2)β舟】.,H.>βl̲の場合
加工 点Wl,につ いてjが増 加 す る方 向 には障害物 は 存在 しないので,工具姿勢角 β を次式で定める.
β‑飢 ‑ C (24)
以 上の ような手法 によって,αの場合 と同様 に
βもそ
の値が急激 に変化す ることはな く,工作物の形状変化 に応 じて徐 々に工具姿勢角が変化す ることになる.4.工具経路の シ ミュ レーシ ョンと加工実験
以上の処理方法の有効性 を検証す るため に, インペ ラのNCデー タを作成 し,工具経路 の シ ミュ レー シ ョ ンと加工実験 を行 った.本学では5軸制御マ シニ ング セ ンタを所有 していないので,加工実験 は
4
軸制御 に ついて行 い, 5軸制御 は工具経路の シ ミュ レー シ ョン で示す.4. 1 4軸制御 によるインペ ラの加工実験
実験 に使用 した工作機械 は,立 て形3軸制御マ シニ ングセ ンタ (森精機製作所製,MVJr)にCNC円テー ブル (日研工作所製,CNC‑150α)を付 加 し4軸 制御 仕様 と した.図10にインペ ラの加工実験 の様子 を示す.
また,回申に機械座標系Mx‑My‑Mzを示す.工作物座 標系∫‑y‑言は,図11に示す ように5軸 制御 モ デ ルにお いて工 具姿勢 角 β を900に固定 し,αが変化 す る よ う に設完 した.図13に工作物 座標 系ズーy一三と機械座 標 系 Mx‑M.V‑Mzの関係 を示す.工具姿勢角αが 円テーブル のA軸 回転角M(rLこ対応す るように設定 してい る.
与 え られたインペ ラ翼面の形状 デー タは図11に示す
Fig.10 Machiningofanimpellerusing4‑axis controlmachining
Fig・ll Fouraxiscontrolmachiningbytoolposture β=900fixedin5‑axiscontrolmodel
ように,点
Wl
,W 2
の2
点か らなる直線母線 で構 成 さ れたデー タ列 であ る.翼面 間の一つの溝 の図面 デー タ 100点 に対 しスプライ ン補 間 を施 し,10000点の格子点 デー タを生成す る (フィー ド方向50点, ピックフ ィー ド方 向200点).図12にCADで定義 した イ ンペ ラの座 標点 を示す.NCデー タの作成手順 を以下 に示す.
(1)式(4)の差分形式 表現 で あ る式(25)を用 いて,x,y軸 方 向の接線勾配TLIX,Tlり,を求め る.
Tw . ど
‑T",y
‑
△yl△Z]一△y,△zI
△
x J
△yl‑
△xL
△yJ△
x ]
△zl‑
△xz
△zj△
x ]
△yL一
△xl
△y]( 2 5 )
ここで,
△xl‑ Xl+1,ノー XT1
,
△x]‑ Xt.}+1‑ XlJ△yL‑ yl+1/‑yl,
,
△yJ‑ yり+1‑yl] (26)△zL‑ Zl‑51.i‑ZL,
,
△zJ‑ Z… 1‑ Zl](2)工作物 の実体側 の判定 を行 うために,式(7)を用いて 曲面上の一点 についてD,I)x,D.Vの値 を求 め,D>0 となるように式(7)の符号 を調整 し接線勾配
T
.L∫,T
", を求 め る.(β<0の 場 合 は,71∫ニーか∫ト β とす る.)(3)工作 物 座標 系∫‑y一三にお い て工 具 姿 勢 角 βが900と 固定 された場合 は,工具軸 がα平 面 (ズーγ平 面) に 一致す るので,式(19)で表 され る勾 配Twαは0とな る.
従 って,二亡具姿 勢 角αを次 式 を用 い て求 め る. こ
Fig.12 WorkcoordinatedatadefinedbyCAD
数値制御工作機械 による 5 軸制御加工 7
Fig.13 Simulationof4‑axiscontrolmachining
こで,工具姿勢調整用 のパ ラメー タ
Cは
50に設 定 した.
α‑tan‑1
仁 君) ‑ C 担巧
(4)
式( l l ) ,( 1 2
),(15 ) ,( 1 6 ) を用 いて工具切 れ刃上 の切削点座 標
(r,7 , 0)を求め, これ らの値 を式( 1 7 ) に代 入 し,工具 原点の位置す なわち工具経路 デー タ( o
x,0
,,02)を得 る.
(5)
工作 物座標 系 の Z軸 回 り回転 角
αが,円 テ ー ブル の
Mx軸 回 り回転 角
Maと一 致 す る よ うに,式( 2 8 ) , C 2 9 ) を用 い て機 械 座 標 系
MxMy‑Mzへ 変 換 し
,NCデー タを作 成す る.ただ し
β‑900であ る.
.ll.,.‑α
Q8)
肱
脆肱
01nUβ
βS
onco・slcos;As
n
βBB
][‑C篭COSα sina
:saw o;][; Slnα COSα
担9 ) 算 出 した工具経路の検証 は シ ミュ レーシ ョンソフ ト
Fig・14 TbolpostureandcuttlngpOlntincase of4‑axiscontrolmachining
Fig.15 Afinishedimpeller
supervERIFY
( アイコクアル ファエ ンジニ ア リング株 式会社製) を用 いた.図
13にシ ミュ レーシ ョンの様子 を示す.図
14は
4軸加工時の切削点 と工具姿勢 の様子 である.工作物 の形状勾配 に応 じて徐 々 に工具姿勢が 変化 し,工具切 れ刃上 の一点で切削 される.加工実験 は,最初 に
¢6の フラ ッ トエ ン ドミル を用 いて,翼面 間の溝 を仕上代 を
1m m残 して荒加工 を行 った. ピック フ ィー ド量 は
1mmであ る.次 に仕 上代 を
0.2mm残 し,
¢5
のボールエ ン ドミル を用 いて中仕上 げ を行 った.
ピックフ ィー ド量 は
0.2mmであ る.最後 に同 じ工 具 で, 翼面 お よび溝部 をピ ックフィー ド量
0.1mで仕 上 げ加 工 を行 った.仕上 げ加工 時 の回転 数 は
5000rpm,送 り 速 度 は
800mm/minで あ る.送 り方 向 は,円 テ ー ブル のバ ックラ ッシを考慮 して一方向送 りとした.実際 に 加工 した イ ンペ ラの大 きさは直径 が
105mmで あ る.被 削材 にはアル ミ合金
(A5052)を用 い た.図
15に加工 された インペ ラを示す.光沢のある滑 らかな仕上が り の加工面が得 られた.
4. 2 5
軸制御加工の シ ミュ レーシ ョン
5
軸制御加工 は,図
16に示す ように,仕上 げ加工時 に工具 の外周 円筒部切 れ刃 を用 い,直線母線 に沿 うよ うに工具経路 を求 めた.工作物座標 系
x‑y‑Zお よび格
Tbolaxis
Fig・16 Fiveaxiscontrolmachiningbytoolposture paralleledtothemotherline
ヽ1111ニh山Lt c00rdinaモtI
Fig.17 Simulationof5‑とIXISCOntrOlmachining 子 点 は図8に対 応 す る よ う に設 定 し∴ 工具 姿 勢 角α お よ び βの 値 は3章 で 述 べ た 方 法 を用 い て 求 め た.
また∴工具経 路 デ ー タは 前節 と同 じ手 順 で 求 め た. た だ し,工 具 の 円筒外 周部 切れ刃 を用 い るの で ,式し12)の 工 具 輪 郭 勾 配 はd7./d7
‑
0で あ る.図17に シ ミュ レレ シ ョンの様 子 を示 す .図
中 に示 す よ うに,5
軸 制 御 マ シニ ングセ ン タの機 械 座 標 系MxM .V‑Mzは二日乍物 座 標時 の工 具姿 勢 の様 子で あ る.工 具軸 が翼
面
母線 に平 行 にな る よ うに工 具姿 勢 が 決定 され,工 具 の 円 筒外 周 部 切れ刃 で 切削 され て い るのが 分 か る. この よ うに5軸 制 御 加工 で は 切jt刃 の直線 部 を用 い た切 削 が可 能 なのの イ ンペ ラの サ イズ は直 径 が270mmで あ る.仕 上 げ 時 に用 い た工 具 は412の ラ ジアスエ ン ドミル (コー ナ半 径7,㌔‑3)で あ る.
5.結 言
本報 告で は, 5軸 制 御 を必 要 とす る 自由
曲
面 の加 工 を対 象 と して .任 意 の 切れ刃輪 郭形 状 を持 つ エ ン ド ミ ルを用 い る場 合 につ い て,工 具 姿 勢 や 工具 経 路 を解析 的 に算 出す る方 法 を示 した. そ の結 果 を以 下に示 す .(1)研折 的手 法 を基礎 と して
, 5
軸制御加工用の工
具経路算出法 と主 要 な算
. [ ;
トはtを示 した.(2日二具姿勢 角 をα‑平 面 と β
平
面 内 に分 け て 検 討 し, 工 作 物 の形 状 変 化 に応 じて 工具 姿 勢 を変 化 させ る方法 を示 した.
(.li)工具 経 路 の算 出 に当 た って は, 工作 物 上加 工点 にお け る接 平 面 と工具 切 れ刃 上切 削 点 にお け る接 平 面 が
‑弓 敦す る とい う性 質 を利 用 し定 式 化 を行 った.
刷 インペ ラの
4
軸 制 御 加 工 お よび5
軸 制 御加 工 シ ミュ L,‑ シ ョンに よって,工 具 姿 勢 の 決定 方 法 の妥 当性MotllL・r・IinLl
Fig.18 Toolpostureandcuttingedgeincase of5‑axiscontrolrTlaChining お よび工 具 経 路 算 出法 の有効 性 を検 証 した.
参考文献
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10)小 島龍 広 , 西田知照 , 扇 谷保 彦 :数値 制 御 工 作 機 械 に よる4