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ハイパーレイリー散乱法による光励起状態の超分子 分極率評価

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Academic year: 2021

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ハイパーレイリー散乱法による光励起状態の超分子 分極率評価

著者 原田 篤

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 21

ページ 117‑119

発行年 2000‑03‑31

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1535

(2)

氏名 。

(本

籍 )  原    田       篤 (大 分県 )

学 位 の 種 類   博    (工 学

)

学 位 記 番 号    工博 甲第   182   号

学位授与の日付

  

平 成

H年 3月 24日 学位授与の要件    学位規則第 4条 第 1項 該当 研究科 ・ 専攻の名称    電子科学研究科   電子材料科学

学位論文題ロ    ハイパーレイリー散乱法による光励起状態の超分子分極率 評価

論 文 審査 委 員    (委 員長

)

教 授 田 部 道 晴   教 授 長 村 利 彦 教 授   中   西   洋一郎    助孝 媛   杉     興   浩

論 文 内 容 の 要 旨

近年、マルチメディアという言葉にみられるようにメデイア環境の高度化が図られている。将来的 な放送・通信メディアでは双方向機能や利用の自由度が増 したインタラクテイブなネットワーク環境 が構築 されることも想定 される。そのような環境下では扱われる情報量は現在の通信に比べ格段に多 くなることが考えられる。現在の情報通信 システムでは信号の処理は電気で、信号の伝送は主 として 光で行 っている。電線を通 して電気信号 を送るのと比べて光ファイバーで光信号 を送る方が一度に送 信できる情報量は比較にならないほど多い。 もし、信号の処理部分 も光で行 うことができるならばさ らに多 くの情報が一度に処理できることになるであろう。これ らの基礎 となる現象の

1つ

として非線 形光学効果が注 目され、超高速有機非線形光学材料の研究が盛んに行われている。非線形光学特性 を 光でコン トロールすることがで きれば超高速応答、低パワーなどの効果が期待で きる。

有機材料の2次非線形光学特性の定量的評価方法 として溶液中で超分子分極率 を直接求める方法 と して本研究では、最近開発 されたハイパーレイリー散乱法 (HRS法

)を

用いる。有機材料の電子状態を 光で変化 させて励起状態からの非線形光学効果を利用するために、通常の HRS計 測系に励起用の光学 系を加えることにより励起状態への遷移に伴 う HRSの 強度変化を観測することを目的とした。このよ

うな励起状態分子の超分子分極率の評価法は未だ報告例が無い。本研究では基底状態の超分子分極率 の決定のみならず、励起状態分子の超分子分極率の決定をも視野に入れ測定の精度を向上させるため に種々の試みを行った。また分子制御 を目指 してさらに、そのダイナミクスについても研究を行つ た。

‑117‑

(3)

2章 では、本研究で使用する HRS散 乱法を用いた測定系の構成 とその検証を行ったも光励起状態 での測定にあたって様々な問題点について明 らかにし、改善を行った。 P‐ ニ トロアニリンのメタノー ル溶液を用いた測定において他の方法

(電

場誘起第二高調波発振法 )で 求められている超分子分極率 β の値 と良い一致 を見た。

3章 では、励起状態の超分子分極率 β

exを

求めるために連続発振 アルゴンイオンレーザーを用い て試料 を励起 し、そこで観測 される現象について考察を行 った。この結果、光励起下において HRS光

強度が増加することを確認 した。また蛍光やラマン散乱の影響等の検証 も行い、

I・

IRS光 強度の増加が 励起状態 にある分子の寄与に起因することを明 らかにした。

第4章 では、測定精度 と感度を更に上げるためデュアル計測系 を構成 した。前章 までの測定系では 溶媒 としてメタノールを用いてきたが、より低極性の溶媒 を用いた場合高パワーでは、プローブー光 であるレーザーパルスにより誘電破壊が起 きることが明らかとなつた。将来的にこの方法で有機非線 形化合物のスクリーニングを行 う場合、この測定系を様々な溶媒に対 して用いなければならないこと は必至である。溶媒の種類によつては比較的低パワーのプローブ光強度でないと測定できない ものも 存在する。測定に用いられる溶媒の種類が増 えることは種々の有機化合物の超分子分極率を決定する 時に大 きな利点 となる。そこで低パワーのプローブ光強度でも観測できるようにデユアル計測系 を構 成 し、その性能評価 を行 つた。その結果シグナル /ノ イズ比の改善を達成 しシングル測定系では測定 で きなかった

1、

4‑ジ オキサ ンなどの溶媒中で も測定が可能 になった。

第5章 では、励起光 として波長可変ナノ秒パルス レーザーを用いて観測 を行 つた。連続発振 レー ザーを用いた測定 と同様 に観測 される HRS光 強度は励起状態で増加することを確認 した。連続発振 レーザー励起では問題にならなかつたようなパルス励起時の蛍光やラマン散乱などが H間 に混 じり同 時に観測 された。そこで時間差をつけて測定を行 うという改善策を提示 し有効であることを示 した。

この結果不必要なシグナルである蛍光やラマン散乱からのシグナルと HRSシ グナルを分離 し、励起状 態の超分子分極率の見積 もりを行 つた。その綜果ポンプ光 とプローブ光の時間差が

17nsの

時、超分子 分極率が約6倍増加 していることが分かつた。

第6章 では、励起 HRS測 定のダイナミクスに関する知見を得 るために、、前章でおこなつた測定に 対 しさらに光学系の改良を加え時間分割で励起 HRS光 強度変化 を測定 した。プローブ光のパルス幅

(約

9ns)か ら約 30ns領 域 にわたつて

I・

IRS光 強度変化 を観測 し HRS光 の時間的な減少を観測 した。 この 結果か ら励起寿命を見積 もることがで き

9.3nsと

いう励起寿命を得た。この寿命から励起直後の超分 子分極率 βexが算出でき基底状態に比べ約60倍増加 していることが分かつた、この励起寿命はプロー ブ光であるレーザーのパルス幅に近いことから、さらにフェム ト秒 レザーを用いた過渡吸収測定シス テムによる観測 も併せて行 つた。

第7章 では、 これ らの結果 をまとめ ,本 研究で得 られた成果 と展望 について述べ る。

‑118‑

(4)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文では将来の超高速全光情報処理の基礎 として非線形光学効果の光制御 に着 目し、基底状態及 び励起状態での有機材料の二次非線形光学特性の定最的評価方法を確立することを目的とした。

1章

では、本研究の背景、ハイパーレイリー散乱 (HRS)法 の原理などについて述べ、本研究の目 的 と意義 を示 した。

2章 では、通常の HRS測 定系の構成 と基底状態での検証 を行い、さらに光励起状態での HRS測

にあたっての様々な問題点 を明 らかにし、その解決策を示 した。

3章 では、励起状態における超分子分極率を求めるために連続発振アルゴンイオンレーザーを用 いてパ ラニ トロアニリン(pNA)の メタノール溶液を励起 した。その結果、 pNAの 光励起 により

I・

IRS光 強度が増加することを確認 した。

第4章 では、測定精度 と感度を更に上げるため基底状態及び励起状態で、あるいは試料溶液 と溶媒 とを同時測定できるデュアル HRS計 測系 を構成 した。この方法により光励起状態での測定精度を 2倍 上改善 した。また、低極性溶媒中は、高パワーのプローブレーザーパルスにより誘電破壊が起 きる が、デュアル計測系により低プローブ光強度で

I・

IRS計 測可能 となり、ジオキサン中などで超分子分極 率 を評価できることを示 した。

第5章 では、励起光 として波長可変ナノ秒パルス レーザーで用いる系について述べた。パルス励起 時の蛍光やラマン散乱などが、 HRS光 に妨害信号 として同時に観測されるが、励起光 とプローブ光 と の間に時間差 をつけることにより、 HRS光 を選択的に観測で きることを示 した。その結果、 PNAの

I・

IRS光強度がパルス光励起状態で増加することを確認 した。

第6章 では、さらに励起皿厖信号のダイナ ミクスに関する知見を得るために、時間分割 HRS測 定系 を構成 した。プローブ光のパルス幅から約 30nsの 領域において、 HRS光 強度の時間依存性 を明 らかに した。 この結果から励起直後の PNAの 超分子分極率を算出 し、基底状態に比べ約60倍増加 しているこ とを示 した。 このような励起状態での超分子分極率の増強機構 を諭 じた。

第7章 では、 これ らの結果 をまとめ、本研究で得 られた成果 と展望について述べた。

以上のように、本論文は溶液中で励超所帯の超分子分極率を定量的に評価する方法 を初めて開発 し、測定精度の向上 を行い、そのダイナミクスについても明らかにした。基底状態に比べ励起状態で は pNAの 超分子分極率が著 しく増加することを示すなど顕著な成果をあげた。このような成果は光に よる電子状態の超高速変化に基づ く新規光機能材料開発などに関 し工学上の寄与が大 きい。よって本 論文は博士

(工

学 )の 学位 を授与するに充分値すると結論 された。

H9‑

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