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栄養教諭制度の創設についての一考察 ―家庭科教育担当の立場か ら一

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(1)

栄養教諭制度の創設についての一考察

―家庭科教育担当の立場から一

A Consideration of the Foundation on Nutrition Teacher's Systen

In Charge of Home Bconomics Education -

吉 原 崇 恵

Takae YosHⅢARA

(平

成 15年

10月 1日

受理

)

は じめに

学校で健康教育 として栄養指導をする動 きがある、 と耳 に したのは 7年 も前 になるだろうか。

その瞬間、栄養指導は健康教育であるだけではな く生活の仕方の問題 として家庭科が受け持 って き たではないか、 との疑間を抱 いた ことをず っと忘れてはいなか った。

今か ら振 り返れば、それは保健体育審議会の平成 9(1997)年

9月

答申「生涯にわたる心身の健康の保 持増進 のための今後の健康 に関す る教育及びスポーツの振興のあ り方について」において、新たな免 許制度の導入を含めた学校栄養職員の資質向上策の検討の必要性が指摘 されていた頃の ことである。

その後、中央省庁等の改革の一環 として保健体育審議会を含め 6つ の審議会を整理統合 して中央教育 '  審議会が平成 13年

1月6日

付で設置 された。

平成 14(2002)年 の答申では栄養教諭

(仮

)制

度など学校栄養職員に関わ る新たな制度の創設を検 討 し、学校栄養職員が栄養及び教育の専門家 として児童生徒の食 に関す る教育指導を担 うことがで き

るよ う食 に関す る指導体制の整備を行 うことが必要であると提言 されていた。

そ して、平成 15(2003)年 9月 中央教育審議会

(以

下中教審

)の

中間報告 として「食に関する指導体 制の整備につ いて」が出された。

この間、日本家庭科教育学会、日本家政学会は平成 13(2001)年 6月 要望書を提出 した。 そ こには初 等・ 中等教育 における食に関する教育のありかたについての家庭科教育、家政学研究の蓄積か らの見 識が出 されている。

また、平成 14(2002)年 3月 には文部科学省 スポーツ・青少年局所管で食生活学習教材「食生活を考 えよう」

(ノjヽ

学生用

)(中

学生用

)お

よび各指導者用冊子が静岡県 において も県教育委員会を通 じて配 布 された。

本論 は家庭科教育の立場か らこれ らの情勢を どのよ うに考え、今後の食教育 に対 してい くのかを考 察するものである。

そのために今回の中教審中間報告 について論点を整理すること、次に冊子「食生活を考えよう」

(以

下食生活学習教材 )が 家庭科教育 と住み分 けがあるものなのか どうかの検討をすること、 これ らを と

お して、食 に関する指導 における家庭科の独 自性 と役割を整理す ることを目的 とするものである。

(2)

1  中央教育審議会「食に関する指導体制の整備 について」

(中

間報告

)の

検討

(1)は

じめに栄養教諭あ りきの疑問

報告の冒頭では、栄養教諭制度を創設 しその専門性を遺憾な く発揮 させ る環境整備が必要だ として、

その背景説明がされている。食習慣の形成が国民的課題 になってお り、 とくに成長期の児童生徒にあ って重要である中で、家庭 に責任の全てを担わせ ることは現実的ではな く、学校か らの働 きかけと家 庭 0地 域・学校の連携が必要だ としている。そのために現在の学校栄養職員の専門性だけではな く、自

ら責任を持 って指導 にあた っていけるよ うに教育 に関 して必要な資質を身につ けた者が食に関する指 導を担えるよ う栄養教諭制度を創設するとある。

以上 は第 1章 の要約になるが学校 における食の指導の現状の分析が充分にはな されてお らず、それ らの現状を改善す るための方向は出されずに、栄養職員の活用で もな く新たに創設す る栄養教諭 に責 任を持たせよ うという方針が強 く出されていることがわかる。

(2)栄

養教諭の職務の優先順位の問題性

第 2章 、栄養教諭の創設 としての栄養教諭の職務の設定が重要である。報告では栄養教諭は教育 に 関する資質 と栄養に関する専門性を併せ持つ職員 として、学校給食を生 きた教材 として活用 した指導 を行 うために大 きく3つ の職務を提示 されている。 その筆頭は食に関する指導、続 いて学校給食の管 理、最後に食 に関する指導 と学校給食の管理の一体的な展開である。筆頭が学校給食の管理ではな く 食 に関する指導である点 に注 目していきたい。

筆頭に上げられた食に関する指導の内容は①児童生徒への個別的な相談指導②児童生徒への教科・

特別活動等における教育指導③食に関する教育指導の連携・調整であるとされている。

①の個別的な相談指導 とは食に関するカウンセラーとしての役割を意味 しており特徴的であると考 え られる。 しか しながら「学級担任や家庭だけでは対応が困難」で「栄養学などの専門知識に基づい た対応が必要」なため「栄養教諭が中心になって取 り組んでいく必要がある」と、とらえるのは一面 的であると思われる。児童生徒の食生活の問題は彼 らを取 り巻 く家族や精神的な問題を現わ している 場合 もあり、栄養教諭が中心でなければならないと言い切ると恣意的なものになり、問題の解決に誠 実に取 り組んでいる関係者に対 して不遜なものになっている。次に②の教育指導についての構想を見 ていきたい。

学級担任の年間指導計画において栄養教諭が食に関する指導の一部を単独で積極的に担 っていくこ とが大切 と考えられている。 この場合は給食の準備、後片付け、マナーなどを学ぶ場 として中核的な 役割を担 っていくとある。続いて家庭科や保健体育科をはじめとして食に関する領域や内容について 学級担任や教科担任と連携 しつつ、栄養教諭が専門性を生か した指導を行 うことも重要であるという。

これ らは学校教育活動全体の中で行われるものであり、食に関する指導に関わる全体的な計画を策定 するに当たって、栄養教諭が中心的な役割を果たし連携、調整の要としての役割を期待 している。そ こには学級活動や教科の体系や独自の役割があることは忘れられているかのようである。食に関する 指導 と言 って も学級活動や各教科の中での位置づけがあることはふまえなければならない。

(3)考

①   食に関する学習指導の現状との関連について

平成

10(1998)年

までの旧学習指導要領を見ても食生活や栄養指導に関連する内容を擁している教

科は次のとおりである。

(3)

小学校では社会の第 3学 年、第 4学 年、第 5学 年で地域の生産、地域の人々の活動、産業 と国民生活 の関連 を扱 う項 目があ り食料生産では地域の食材 に触れる機会 になっている。体育第

5学

年及 び第 6 学年 において保健の分野では「健康な生活について理解で きるようにする」 との項 目があった。

家庭の第

5,6学

年を通 した目標の一つは「簡単な調理が出来 るよ うにす るとともに、日常食の栄養 的な とり方や会食の意義を理解 し、食事を くふ うして ととのえることができ るようにする」であった。

この期の家庭科の食 に関する内容は「つ くる」 「 たべる」 「営み、伝える」という食生活行動の三側面

1)

を備えていたのである。

しか し、教育内容の「厳選」と時間数削減がなされた平成 10(1998)年 版の学習指導要領で家庭科の 食 に関する内容は次のようになった。 「 日常の食事 に関心を もって、調和のよい食事の とり方がわか る よ うにする。食品の栄養的な特徴を知 り、食品を組み合わせて とる必要があることがわか ること、 1食 分の食事を考えること」 「 日常 よく使用 される食品を用いて簡単な調 理が出来 るようにする」などであ る。 この際、栄養素の学習内容は中学校で扱 うことにな り、調理 について も弾力性が増す一方、題材 指定 は「米飯 とみそ汁」 に限 られた ものになった。

中学校家庭 の食に関する日標では旧学習指導要領では「 日常食の調理を通 して、栄養及 び食品の性 質 と選択 について理解 させ、青少年 にふ さわ しい食事を計画的に整える能力を養 う」であ り、教育内 容は青少年の栄養、 日常食の献立、食品の性質 と選択、調理などの分野で構成 されていた。

平成

10(1998)年

版の学習指導要領では中学生の発達課題である自立 と学 びを結合 させ「生活の自 立 と衣食住」 という体系が準備 された。 その中で「 中学生の栄養 と食事」を中心 に生活の中で食事 の 果たす役割、健康 と食事 とのかかわ り、栄養素 の種類 と働 き、中学生 に必要な栄養を満たす献立、食 品の選択 と日常食の調理の基礎、課題 と調理の応用 として日常食や地域の食材を生か した調理の工夫、

会食の計画実践などの内容で構成 されている。食事を健康の課題か らとらえる事 は もとよ り、栄養・食 品・ 献立・ 調理・ 地域の食文化を自らの課題の解決を とお して学習できる点が家庭科の得意 とする点 であ り実績のある点で もある。

②   栄養教諭の職務 について

平成 14(2002)年 当研究室朝比奈玲子の調査を下 に考察 したい。調査は小学校 6年 生を対象 に静岡県 下で行 った ものであった の 。        

そ こで先ず学校給食 と家庭での食事の特徴の違 いを問 うたところ学校給食では「 みんなで食べるこ との楽 しさ」があげ られた。 また、食事を作 っている人を知 っているか どうかによって作 る人の気持 ちを受 け止めて食べることが出来 るか どうかに関係 していた。すなわち食事の「 っ くる」 「 食べ る」 「営 み、伝える」の 3側 面は相互 に関係 していることに基づ く学習指導が必要であることを示 していた。学 校給食の場を食の指導 に活用する場合に、食べる者 と作 っている人の交流などは現 に存在す る栄養職 員の残 されている使命である。それ らをふまえれば、栄養教諭の職務の優先順位の筆頭は学校給食の 管理 とそれを利用 した指導 といえるものである。教科や学級指導 には独 自の役割や体系、論理がある わけであり食の指導が独立的に存在するものではないという点の認識が必要である。

その上 にたって食 に関す る指導のある部分を学級担任や家庭科 などの教科担任 と連携 して指導す る

ことは期待 される事である。教育行政 としては、だか らこそ逆 に家庭科の充実を図 り栄養教諭の活用

が出来 るよ う家庭科専科担当者の配置や研修機会を同時に考えるべきであろ う。         

(4)

③   まとめ

平成

15(2003)年3月

31日 の中央教育審議会 スポーツ・青少年分科会

(第

19回

)議

事録 をみると次の ような意見のや り取 りが見 られた。

委   員 :食 に関する指導の充実 について、第二次報告が出ているが、小学校、中学校、

高等学校の家庭科、技術・家庭、また、家庭一般を含んだ高等学校での指導 の充実 を さらに図 る必要がある。栄養や健康については、 これ らの教科の中で も重視 しなが ら 行 ってきた

(後

)。

文科省 :先 ず、家庭科、保健体育等については、 これ らの中で も食に関するものは重 視 されていることは十分承知 している。報告では、栄養の専門家を学校教育 の中で ど う活用 してい くか という観点か ら書かれてお り、相乗効果を発揮 しなが ら、 より高 い レベルの指導を目指すという観点か ら書かれたものである。

このや り取 りを見 ると、栄養教諭を活用すれば従来の家庭科などにおける食 に関す る指導の、 どの 点が、 どういう意味でより高 い レベルの指導 になるのか全 く具体的には説明 されていない。

家庭科教育の目標、内容、方法の研究成果は例えば『家庭科の 21世 紀 プラン」 31に 現時点での一応 の集約がなされている。そこでは「個人および家族の発達 と生活の営みを総合的に捉える」 「 日々の生 活活動の中で、主体的に判断 して実践できる能力を育てる」 「明 日の生活環境・文化を創 ることの出来 る資質・能力を育成する」ことを能力 目標 に掲げ、内容構成の要素 として縦軸 としての「生活資源」で ある食物・ 被服・ 住居 につ いて、横軸の「健康、人間、環境」の視点か ら知識・ 技術を獲得する位置 づけになっている。 このよ うな縦軸、横軸か らなる体系の中に、食に関する指導があるのである。 こ のよ うな研究成果の上 に立てば、家庭科の食に関する内容だけを、栄養教諭が中核になって計画 し実 施することには無理があるのではないだろうかも

また、平成 13(2001)年 日本家庭科教育学会、日本家政学会が当時の文部科学大臣及 び関係部署 に対 して、食に関する指導の充実にあたって家庭科教育の充実策を検討するよう要望書を提出 し、家庭科 や家政教育、家政学研究は、生活を総合的に捉え創造することを使命 としてきた趣 旨を次のように述 べていた。

家政学 は「人間の生活を、人 と人、人 と物、人 と環境のかかわ りとして成 り立つ ことの認識 に立 ち、

生活を総合的・ 複合的」 に検証することを目的に していること、食教育は、単 に食事や栄養の問題 と してではな く、生活全体のあり方の問題 と関わ らせて実施 されるべ きと考えること、が主張 された゛。

家庭科教育学会は「家庭科では、従来か ら児童・ 生徒の心理や発達を踏まえた上で、生活者の視点 か ら総合的に食生活 についての指導を行 ってきている。つ くる、たべる、供す るとい う一連の行動過 程を通 して実践的・体験的に学ばせ ることにより、食事 と家族、食事 と環境 とのかかわ りを考えさせ、

主体的に食生活を創造する力を育成 して きている」 と主張 された゛。

以上の研究成果に学んで、家庭科教育担当の立場では次の点を問題にしたい。①教科教育には独自 の役割や教育課程の体系をもっていると考えること、②家庭科や家政学には食教育を生活のあり方と して認識 し、それを創造する主体を育てるよう意図してきたこと、の二点である。すなわち、家庭科 が教科教育であることから、たとえ食に関する部分とはいえ栄養教諭が単独に責任を持って指導する

ことは出来ず、あくまで家庭科教師との連携のもとでなくてはならないと考える。

以上、中教審で食に関する指導体制の整備を問題にする時、従来それらを扱ってきた教科内容や成

(5)

果の検討 こそ必要であ り、 は じめに栄養教諭あ りきではな く、職務 としての独 自性は学校給食の管理 と活用 こそ優先順位であることを明確にすべきであろう。そ して食に関する学習指導の実態や従来の 実績の丹念な分析、 また家庭科専科教諭の配置や研修機会の充実などの検討を無視す ることは、論理 矛盾であることを家庭科関係者は明確 に認識 しておきたい。

2「

食生活学習教材」 と家庭科教科書の検討

(1)食

生活学習教材の題材例

この教材 は小・ 中学生用 とそれぞれの指導者用の冊子か らなってお り

4分

冊 といえ るものである。

小・ 中学生用はワァクシー トと資料や解説か ら構成 されているテキス トと学習帳を合わせた ものであ る。指導者用冊子の解説では学級活動、給食、総合的な学習時間のほか教科書のある教科の副教材 と

しての活用をすすめている。

課題 は3つ あげ られている。 「望 ま しい食習慣を身につけよう」 「 食の自己管理能力を身につけよ う」

「 日本 の食文化を知 り大切 に していこう」であ り小・ 中学校 とも同様である。

一つ明 らかな間違 いがあるので指摘 しなければな らない。それは小・ 中学生指導者用冊子でいずれ も「 食生活の文化は家庭科では取 り扱わないことになってお り留意する必要がある」という点である。

中学校では前述 したよ うに学習指導要領で地域の食材 は教育内容 になっていること、小学校ではごは んや味噌汁の調理題材が唯一指定 されたがその理由は日本の食文化の象徴だか らである。すなわち日 本の気候風土や歴史的な人 々の知恵か ら主食 と、組み合わせ としての大豆食品のよさを学ぶ価値があ るか らであ り、 日本の食文化を学 び担 っていくための題材である。家庭科では「食生活の文化は学ば ない」 との文言は明 らかな間違 いであ り修正 されなければな らない。

以下、食生活学習教材の題材である。

食の自己管理能力を身につけようのための題材

①小学生用の題材

0  どんな食べ方がいいのかな

<バ

イキング給食にチャレンジしましょう

/1食

分の食 事について考えましょう /主 食・主菜・副菜がそろっていますか /お やつ (間 食

)を

とりすぎていませんか /お やつ

(間

)を

とるならどうしますか

>

②中学生用の題材

・   バ ランスのとれた食事

<毎

日の食生活をふ りかえってみましょう

>、

朝食の大切 さ

<朝

食をとりましょう

>、

間食 と夜食のとり方

<間

食・夜食について考えてみましょ

>、

ファース トフー ド店・コンビニエンスス トア <フ ァース トフー ド店やコンビニ

望ましい食習慣を身につけようのための題材

①小学生用の題材

・   一 日のスター トは朝 ごはんか ら

<あ

なたは、朝 ごはんを食べていますか /朝 ごはん

はなぜ大切か /朝 ごはんはどのようにとればいいか /休 日に、自分で朝 ごはんを作 っ てみよう

>

②中学生用の題材

・   中学生の体と生活

<中

学生期の発育の特徴を知 りましょう /生 活習慣病 と食習慣に

ついて考えてみましょう >

(6)

エ ンスス トアを賢 く利用 しましょ 卜について考えてみましょう

>、

>、

成長期 にある私たちの ダイエ ッ ト

<ダ

イエ ッ スポーツと栄養 <ス ポーツのための効果的な食事

>

以上、食生活学習教材の題材 と内容を見 ると、食品のバ ランスのとり方や食文化の取 り上 げ方につ いて も家庭科教育 との重複があることが予想 される。 しか し中学生用にあるような生活課題を取 り上 げている点は積極的 に評価できると思われる。

(2)家

庭科教科書 の題材例 と内容構成の特徴

家庭科の教科書は大、中、小の学習内容の単位で構成 されてお り、食 に関する部分だけ取 りだす こ とには教育意図の真意を反映 しに くい側面がある。 その限界を踏 まえた上であえて検討するには題材 構成を挙 げることが適当だ と考えた。

①   小学校家庭科教科書の食に関する小題材 < >内

T社

の場合   大 きい学習のまとまりが2つ あり、わたしたちの生活を見つめよう、よりよい生活を目 ざそうとされている。それ らの中を構成する中、小の題材を列記する。

・   見つめようわた しの食生活

<わ

た しの食事を調べてみよう

/な

ぜ食べるのだろう /

どんな ものを食べているのだろ う

/調

理を しよう >

・   見直そ う食品のとり方

<食

品をグループに分 けてみよ う

/食

べた もののバ ランスを 考えよう

/フ

ライパ ンを使 って調理を しよう >

・   家族が喜ぶおかず

<ど

んなおかずがあるだろう

/ど

んなおかずを作 ろうかな

/身

近 な食品でおかずを作ろう /食 品を組み合わせておかずを作ろう

/食

品の選び方や買 い 方を考えよう >

。   まかせてね きょうの食事

<食

べ物の組み合わせを考えよう /ご はん とみそ しるを作 ろう /バ ランスのよい食事を考えよう

/楽

しい食事を く

S、

うしよう >

・   伝えようわた しの気持 ち

<何

ができるようになっただろうか

/自

分の気持 ちを伝え よう

>

以上のよ うに小学校家庭科教科書は、生活を見直す ことか ら始めて、生活の成立 ちを「 わかる」 「 で きる」 「考える」 「 工夫す る」 ことをめざして生活を多面的に、問題解決的に、 ゆえに総合的 に展開 し てお り、食に関する内容の価値は、食品の栄養的バ ランス、文化の伝承、自己実現、生活管理 として の調理など多面的く総合的で豊かな内容がある。

日本の食文化を知 り大切にしていこうのための題材

①小学生用の題材

・   地域に伝わる料理を大切にしよう

<地

域の産物 と郷土料理を調べてみましょう /み

んなで行事食を楽 しみましょう

/昔

か ら食べてきた食品を大切にしましょう >

②中学生用の題材

・   食生活の変化

<昔

の食事と今の食事を比べてみましょう

>、

日本の郷土料理 <日 の食生活のよさを知 りましょう

>、

日本の食文化の多様性

<外

国の食文化とのかかわ

りについて考えてみましょう >

(7)

②   中学校家庭科教科書の食 に関する小題材 < >内       

学習指導要領を反映 して、食 に関する題材 と内容は「生活の自立」 という内容のまとまりの中に位 置づ けられている。先ず口絵 には

T社

では「 日常の食品について考え」さらに「食品の輸入 と自給率」

を取 り上 げている。 また、 「地域の食材を生か した調理を しよ う」がある。

K社

では「健康は食生活か

ら」そ して「太陽 と大地の恵み ¨いただきます」がある。なぜ食べるか どのように食べるかを提示 し、

自分たちの食べている食品が四季や地域 をへて整え られることに気づ くよう誘 っている。 これ らをみ て も家庭科が食文化を扱わないとした「食生活学習教材」の文言は誤 りである。以下、

K社

の題材であ る。

健康的に食べる :こ れか らのわた したちと食生活

<毎

日の食事 につ いて考 えてみよ う /食 習慣 と食事の役割 について考えよう

>栄

養 と健康

<栄

養 と栄養素 につ いて知 ろ う

/い

ろいろな食品の栄養素を調べよ う /食 品を組み合わせてみよう

>食

材 にこだわ る

<生

鮮食品

(以

下略

)、

表示 と加工食品、環境 に配慮 してつ くる、魚の調理、野菜の 調理、肉の調理

>食

生活を自分の手で

<食

事の計画を立てよう

/食

生活を見直そ う

>

選択題材   楽 しく豊かに食べ る :日 常食をよりよ くしよう

<わ

た したちの食生活の 課題、地域の食材を使 った調理

>会

食を楽 しもう

<会

食を計画 しよ う

/会

食のための 献立 を考えよう /行 事の食事を知 ろう >

以上のよ うに中学校家庭科教科書は、食事の見直 し、栄養、食品の組み合わせ、食材 と調理、食生 活の課題、地域の食材や行事食等の文化 という内容要素で構成 されている。 こうしてみると先の「食 生活学習教材」は、家庭科教育の食に関する内容 と住み分 けはな く重複 しているといわざるを得ない。

(3)新

たな検討

栄養学の専門家が展開す る内容で期待 したい部分がある。それは食品 に含まれる栄養素が体内で働 くプロセスを取 り上 げる栄養生理学の生か し方である。

そのために「食生活学習教材」 と「家庭科教科書」の中で栄養生理 に相当す る部分を取 り上 げ記述 の仕方を比較 してみよう。 いずれ も小学校の場合である。

 

食生活学習教材の場合

朝 ごはんはなぜ大切なので しょうか /「 早 く起 きなさい」 こんな声で起 きる人はいま せんか。朝 ごはんを しっか り食べ ることは

1日

を気持 ちよ くスター トで きるとともに、

勉強や運動 に自分の力を思 い切 り発揮す ることにつなが ります。朝 ごはんにつ いて話 し 合 ってみま しょう。

/朝

ごはんを しっか り食べると ¨・ 頭がす っきりとさえます。朝 の うちに排便がで き、気持 ちよ く登校で きます。眠 っている間 に下が った体温が もどり、

元気 に働 けます。

以上 の記述 には、朝食の効果は述べ られているが、なぜそ うなるのかのプロセスの説明はなされて

いない。指導者用の説明に も朝の リズムや体温上昇の役割のほか「 エネルギー源は肝臓 にた くわえ ら

れた ブ ドウ糖であ り、肝臓 には 12時 間分 しかた くわえがない」 「不足すると、いらいらした り、集中力

(8)

がな くなる」 とされているだけである。

②   家庭科教科書の場合

K社 の場合

なぜ食べるのだろ う

/わ

た したちは、食べ物を食べることによって、成長 した り、元 気 に活動 した り、運動 した りす ることがで きます。わた したちが食べている食品 には、

いろいろな栄養素が含まれています。 これ らは、体の中で消化・ 吸収 され、体の調子を 整えた りするなど、それぞれちが ったはた らきを しています

(後

)。

朝食を作 ってみよ う /朝 食は、わた したちが午前中に活動するのに必要なエネルギ

=を

得 るための大切 な

食事です。朝、協力 して食事の用意などをすると、家族 とのお、 れあいの時間が もてるだ けでな く、体や手を動かす ことによって食よ くもま し、おいしく食べることができます。

ここで も同 じく栄養生理のプロセスは説明されていない。 しか し、家庭科の内容構成の特徴は食べ ることの意味を栄養面だけではな く人 と気持 ちのふれあい、伝え合い、体を動かす ことの意味 として 価値づける点 に特徴がある。実用的であ りなが ら実用にとどまらず、 自らの生 き方、生活の仕方 に リ ンクさせて学ぶ点に家庭科の特徴がある。だか らこそ、一方では栄養教諭の指導の特徴を栄養生理 に 見出 したい。 その内容は、専門分化的な内容が必要 になり、児童が理解すべき内容、そのための方法

など検討すべ き課題がある。 しか し、なぜ食べるかについての学習指導方法 として、指導者用冊子で は、 ロールプ レイ ングや ブレイ ンス トー ミング、ケーススタディがあげ られている。 これ らの方法は 一般的で栄養学の専門家でな くとも出来 ることである。テ レビの科学番組などではこのような分野で

もわか りやすい模型や実験を行 って見せている。

「食生活学習教材」及 び「家庭科教科書」では十分展開 されていない栄養生理の内容につ いて、日で 見える、手で触 る、問題解決的に展開する方法の研究が開発 されるべきである。栄養教諭の創設では その部分の貢献は期待 したい点である。

まとめにかえて

栄養教諭創設 について、先ず栄養教諭あ りきではな く、家庭科など従来、食教育を担 って きた実績 を分析 しそれを充実 させ る方法を同時に追及すべきこと、栄養教諭の職務の優先順位 として、学級活 動や家庭科な どの教科指導ではな く、給食管理や個別指導 にこそあること。そ して食生活学習教材 と 家庭科教科書の食に関する内容の検討では、ほとん どの内容は重複がある中で、 とくに栄養生理 に相 当する学習内容は両者 とも不十分であ り、その部分 こそ栄養教諭の働 きが期待 される点であることが わか った。       

栄養教諭が家庭科教育の論理を損な うことな く、食に関する教育の補強 としての役割を果た してい

くことができるためには、家庭科教育担当者の自負 と力量形成が必要であ り、その研修機会を も要求

していかな くてはな らない。家庭科は教科教育 として児童生徒が自らの生 き方 とリンクさせて学ぶ も

のである。児童生徒が性役割分業や ジェンダー意識の中にいる学びを見直す ことは生活についての学

習 にとっては必要な ことである。家庭科 はそのような子 どもの学 び方をふまえて、 自立 と共生の学 び

の道筋を貫 いていきたい。

(9)

注及び引用文献

1)足 立 巳幸「子 どもたちの食生態」『 食生活の現代的課題』豊川裕之編著   放送大学教育振興会

1997P。 107

2)朝 比奈玲子   児童期の食行動形成 における家庭、学校給食、家庭科の役割 と連携   平成 14年 度静

岡大学教育学研究科修士論文

3)日 本家庭科教育学会『家庭科の 21世 紀 プラン』 1997 PoH6‑■

7

4)(社

)日

本家政学会   会長   酒井豊子による要望書   平成 13年

6月

5)日 本家庭科教育学会   会長   中間美砂子による要望書   平成 13年

6月 19日

文中の家庭科教科書 について

T社

は東京書籍   小学校は平成 15年

2月

版   中学校は平成 14年

2月

K社 は開隆堂    小学校は平成 14年

2月

版   中学校は平成 14年

2月

版である。

参照

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