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急性期病院におけるチーム医療による治療食提供率向上の取組

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Academic year: 2021

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(1)

<原 著>  第 48 回 日本赤十字社医学会総会 優秀演題

急性期病院におけるチーム医療による治療食提供率向上の取組

安曇野赤十字病院 事務部

1)

 地域活性化フォーラム

2)

神戸 洋介

1)

  小湊 和哉

2)

Team approach to improve the therapeutic diet at acute care hospital

Yousuke GOUDO

1)

and Kazuya KOMINATO

2)

1)

Medical affairs department, Japanese Red Cross Azumino Hospital

2)

Forum of infomation and Activation for Community

Key words:治療食、情報共有、実践的チーム医療、管理栄養士、専門性の活用

目  的

 食事は治療の一部であるにも関わらず、主病 以外で食事療法を必要とする病態が存在する 場合であっても、適切な治療食の提供が出来て いない患者が散見され、入院しているにも関わ らず治療の一部が十分に行われていない状況で あった。そこで、コメディカルの専門性を最大 限活用すると共に、それぞれの得た情報を共有 することで効率的に対象患者の見つけ出しを行 い、さらに食事栄養の専門知識を有する管理栄 養士が積極的介入を行うことにより医師の負担 を増加することなく、効率的に適切な食事を提 供する事で医療の質向上、経営の質向上及び将 来的な生活習慣病の重篤化抑制を図る事を目的 とした。

方  法

 まず、看護師・管理栄養士・薬剤師・医事職 員等で構成するプロジェクトチームを招集し、

DPC 分析ソフト「EVE」を用いて、H23.4-6 退院患者で併存症に脂質異常症・心不全がある 患者を抽出し、治療食の提供割合を提示した。

その上で、事務局にて現病歴や既往歴、持参薬 等の各職種が得た情報から治療食が必要な患者 を見つけ出して栄養課に連絡し、管理栄養士が 治療食の必要性を判断して医師に提案する流れ をフロー化して提示した。情報共有には入院時 のチェックリストを利用することにより、見つ

け出しや栄養課への連絡が済んでいることが一 目でわかる仕組みとした。プロジェクトチーム にて、微調整した上で医局会にフローを提示し た(図1)。そして、治療食提供を基本とし、

治療食の指示が出ていない場合は包括的指示の 基で管理栄養士の判断により依頼医を立て食事 変更して事後承認をうける事とし、電子カルテ の掲示板も使用する事により食事変更情報が必 ず医師に伝わるようにするという運用を提案し た。これにより、主治医と連絡が取れずに発生 治療食(特別食)ルーチン化フローチャート

入院決定

①看護師 病名・病歴・検査 結果より確認

(予定入院)

看護師:治療食必要の有無を確認

②薬剤師 持参薬・病名・病 歴より確認

③医事課職員 病名より確認

◆ 持参薬チェック

・整形外科:手術、

ミエロ

・泌尿器:手術

・循環器:心カテ

ICの日に栄養指導の

整形外科手術入院

◆薬剤師:持参薬確認・薬剤指導 その他入院

治療食必要疾患あり 治療食必要疾患なし

◆薬剤師:持参薬確認・薬剤指導 栄養士:栄養指導、入院食事説

予約を入れる

※薬剤師介入時に治療食必要疾患が 判明した場合は栄養士(2180)へ連 絡。整形外科手術は栄養指導も行う

医事課:会計・事務的説明

栄養士(2180)へ連絡

明・食事オーダー確認 医事課:会計・事務的説明

食事

栄養士:食事オーダー確認

治療食必要疾患あり

食事オーダー変更時は掲示板・診療記録に記載

※変更不可の場合は担当医より栄養課へ連絡

入院時又は入院後

医事課:入院前日に全予定入院患者の食事オーダーと病名・脂質検査結果確認

薬剤師:薬剤管理指導 栄養士:栄養指導

病院長・栄養課 平成23年 月 日より開始

※治療食への変更不可の場合は事前に掲示板に書き込む

入院時又は入院後

図1 治療食ルーチン化フローチャート

416 日赤医学 第 64 巻 第2号 416-419 2013

(2)

する治療食開始までの時間的ロスをなくすと共 に、管理栄養士が能力を発揮しやすい環境を整 えた。さらに、予定入院に関しては連携により 対象者の見つけ出しを行った患者に対して、入 院説明の日に栄養指導まで行うことを提案し た。この取り組みによる効果も丁寧に説明し、

医局会で承認を得て包括的指示を得ることが出 来た為、基本的に管理栄養士が必要と認めた患 者には治療食・栄養指導を導入し、不可の場合 のみ管理栄養士へ連絡する体制が確立された。

 また、主病以外の疾患に対する治療食提供に 対して患者からの苦情があり、病棟でも積極的 ではないという情報もあった。その為、各種会 議にて提案して病院方針として行っていくこと を明確にして院内環境を整えると共に、ホーム ページの入院案内やベッドサイドに設置してい る入院生活案内ファイル(図2)にチーム医療 により治療食提供を促進していることを明示し て患者に対しても周知を図った。

昇し、H23.4 の 48.2%から H24.3 には 58.8%と 10%以上の増加が見られた(図3)。しかし、

4月から職員の退職が続いたこともあり、十分 な成果が得られなくなってしまった。

 食事数単位で見ても、同様に H24.4、H24.5 に低下していたがその後増加していた(図4)。

 予定入院の多い診療科でいくつか検証を行う と、まず眼科は取り組み前はほぼ治療食が0で あったのに対し、取り組み後の9月以降は高い 割合で治療食の提供がされるようになっていた

(図5)。総数は少ないものの、効果が顕著に表 れているものと考えられた。また、整形外科に おいても取り組み後の増加がみられた(図6)。

 治療食の早期開始指標として整形外科の食事 開始日と治療食開始日の差をみると、取り組み 前後で食事開始初日から治療食が開始されてい る0の割合が増加していた(図7)。

 栄養指導については、マンパワーに限りがあ り増加はしていないが、整形外科の指導件数の 推移をみると、入院前に栄養指導に介入する事 が出来るようになり、外来の指導件数が増加し

図4 月別治療食提供割合の推移 図2 入院生活案内ファイル

図3 退院月別患者別治療食提供割合

取り組みによる効果

 取り組みによる効果を図る為、①患者単位で の治療食提供割合の推移②食事単位での提供 割合の推移③予定入院時の取り組みが主となる 為、予定入院の多い2科での治療食推移④初日 から治療食を提供できているかを見る為、食事 開始と治療食開始の差の変化⑤栄養指導の推移 の5項目について検証を行った。

 まず患者単位で見ると、患者別治療食提供割 合は管理栄養士がすぐに反応したこともあり、

プロジェクトチームを行った9月から急激に上

急性期病院におけるチーム医療による治療食提供率向上の取組  417

(3)

結  語

 今回の取り組みで入院に関わる専門職種が、

それぞれの職域で得た情報を共有することによ り医師の負担をほぼ増加させることなく、効率 的に治療食対象患者の見つけ出しを行う事が出 来るようになった。さらに、入院前に対象患者 の情報共有が出来るようになったことにより、

入院初日から治療食を提供する事が可能となっ た。また、病院として包括的指示による実践的 チーム医療を推進し、治療食を提供していく方 針を明確にしたことにより、管理栄養士がその 専門性を十分に発揮しやすい環境を作ることが できたと考える。さらに、方針の明確化や取り 組みにより、職員の食事治療に対する意識変化 にもつなげる事ができたと考えられた。

 今回の取り組みにより、予定入院の患者で治 療食が必要であるにも関わらず、治療食の提供 がされていない患者を効率的に見つけ出し、適 切な食事を提供することが出来るようになった と考えられるが、これまで入院しているにも関 わらず適切な食事を提供できていなかった患者 が多数いたことも示唆する結果となった。

 今後これらの食事への積極的介入が地域の健 康増進に繋がっていくことを期待したい。

今後の課題

 今回の取り組みにより、治療食の提供割合は 増加しているが全員に栄養指導を行えるわけ ではなく、退院後も在宅で治療食を継続してい けるよう工夫をしていく必要があると考えられ る。今後、在宅でも意識した食生活を継続して いける方法を模索していきたい。また、今回の ルーチン化により予定入院時の仕組みは出来た が、緊急入院時の見つけ出し・情報共有の仕組 みが出来ていない。今後、予定入院時のフロー を徹底していくと同時に緊急入院時の仕組みを 検討していく必要があると考える。

 今回取り組み前後の推移を可視化したことに より、食事介入が必要な患者が多い事などが明 確となった。また、補充はされたものの、管理 栄養士1名の退職が大きな影響を与えることが 顕著に表れていた。現在の管理栄養士の人数が 妥当であるか検討していく必要があると考えら

0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

40.0%

0.0%

12.5%

0.0%

75.0%

22.2%

75.0% 75.0%

25.0%

60.0%

50.0% 50.0%

62.5% 62.5%

57.1%

62.5%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

H23.1 H23.2 H23.3 H23.4 H23.5 H23.6 H23.7 H23.8 H23.9 H23.10 H23.11 H23.12 H24.1 H24.2 H24.3 H24.4 H24.5 H24.6 H24.7 H24.8

眼科

図5 退院月別患者別治療食提供割合(眼科)

35.7% 34.4%

29.1%

41.2%

36.1%

40.9%

37.5%40.2%

47.3%50.0%

45.8%

50.5%

42.7%

58.7%

52.4%

40.7% 41.3%

47.7%50.0%

44.7%

0%

0%

0%

0%

0%

0%

0%

0.

10.

20.

30.

40.

50.

60.

70.0%

H23.1 H23.2 H23.3 H23.4 H23.5 H23.6 H23.7 H23.8 H23.9 H23.10 H23.11 H23.12 H24.1 H24.2 H24.3 H24.4 H24.5 H24.6 H24.7 H24.8

整形外科

図6 退院月別患者別治療食提供割合(整形)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

H23.1-H23.8 H23.9-H24.8

食事開始から特別食開始までの日数(整形外科)

8以上 7 6 5 4 3 2 1 0

図7 食事開始から特別食開始までの日数

29

15 29

14

10 12 11 13 10

7 8 7

3 9

4 2 5 1

5 10 13

13

5 11

5 10

4 10 6

0 5 10 15 20 25 30 35

H23.4 H23.5 H23.6 H23.7 H23.8 H23.9 H23.10 H23.11 H23.12 H24.1 H24.2 H24.3 H24.4 H24.5 H24.6 H24.7 H24.8

月別栄養指導実施件数

入院 外来

図8 月別栄養指導実施件数

ていた(図8)。これにより、入院前に食事療 法を行った上で手術に臨むことが出来るように なったと考えられた。

418 神戸 洋介・小湊 和哉

(4)

れた。

 今後、食事介入を進め、啓発活動を進める事 により、地域の生活習慣病や生活習慣病により 発症する疾患の動態についての影響を検証する

方法についても考えていきたい。

 今回の取り組みのように、他の分野でも実践 的チーム医療の推進により医療の質を向上して いける仕組み作りを進めて行きたい。

急性期病院におけるチーム医療による治療食提供率向上の取組  419

参照

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