• 検索結果がありません。

Ⅱ 研 究 内 容 1 英 語 によるコミュニケーション 能 力 の 基 礎 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 外 国 語 編 ( 以 下, 解 説 外 国 語 編 とする)では, 外 国 語 によるコミュ ニケーション 能 力 の 基 礎 を 養 うことについて, 単 に 外 国 語 の

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Ⅱ 研 究 内 容 1 英 語 によるコミュニケーション 能 力 の 基 礎 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 外 国 語 編 ( 以 下, 解 説 外 国 語 編 とする)では, 外 国 語 によるコミュ ニケーション 能 力 の 基 礎 を 養 うことについて, 単 に 外 国 語 の"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

- 41 - 沖縄県立総合教育センター 前期長期研修員 第 52 集 研究集録 2012 年9月

〈へき地教育〉

英語によるコミュニケーション能力の基礎を養う学習指導の工夫

ーワークシートの工夫と交流活動を取り入れた単元計画を通して(第3学年)ー

恩納村立喜瀬武原中学校教諭 伊 佐 和香乃

Ⅰ テーマ設定の理由

現代は,知識基盤社会化やグローバル化の進展により国際競争が加速されると同時に,国際協力の必要 性も増大している。そのような中,平成 20 年告示中学校学習指導要領においては,外国語の目標として「外 国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成 を図り,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う」ことが 示された。今,中学校で学んでいる生徒たちが,将来,グローバル化の進む変化の激しい社会を生きてい くことを考えると,中学校の外国語教育において,異なる背景をもつ他者と英語でコミュニケーションを 図ろうとする態度や能力を育成することは,大切なことであると考える。 本校は,幼小中の併置校で,恩納岳などの山々に囲まれた自然豊かな場所にある。中学校の在籍は,1 年生6名,2年生7名,3年生5名の計 18 名で,学習規律は確立しており,男女の仲もよく,生活態度は 良好で伸び伸びと学校生活を送っている。英語の学習に関しても意欲的に取り組み,ALTとも積極的に 会話をしようとする態度が見られ,平成 23 年度沖縄県学力到達度調査の英語においては,県平均を上回る 結果であった。しかし,「聞くこと」,「話すこと」,「読むこと」,「書くこと」の4技能ごとに詳し く見ると,「話すこと」は 17.8 ポイント,「読むこと」は 17.7 ポイント上回っているのに対し,「聞く こと」は6ポイント,「書くこと」は 0.3 ポイント下回っており,コミュニケーション能力の基礎となる 4技能がバランスよく身に付いていないことが分かった。 これまでの指導をふり返ると,1時間の授業の中に,生徒同士による英語のあいさつや,音読リレー, 5W1Hで短文作りをしながら行う「Q&Aレース」などを取り入れて,4技能に関わるさまざまな学習 活動をテンポよく展開するように工夫してきた。ゲーム的な要素を取り入れたり,授業の流れをパターン 化したり,オールイングリッシュで進行したりすることで,生徒は興味関心を持続させて,学習に取り組 むようになった。5名という少人数のため,1時間の中で生徒一人一人が何度も英語を発話したり,読み 取ったりすることとなり,「話すこと」,「読むこと」の力の向上につながったと考えられる。また,授 業の終末には,必ず「自己評価シート」によるふり返りを行い,評価の低かったところは次時のウォーミ ングアップで丁寧に復習するなど,4技能を確実に習得させるよう指導を工夫してきた。しかし,これま での授業は,ほとんど教師主導によるもので,生徒同士による既習事項を使った表現活動や,互いの英語 を聞き合って内容を確認し合う活動などは十分ではなかった。英語が運用される現実場面を想定しながら, 生徒自身が考えて,習得した4技能を活用する学習活動が少なかったため,バランスよく確実に習得させ るには至らなかった。 これまでの授業展開のよさを生かしつつ,学習活動の組み合わせや順序などを工夫し,既習事項をもと に生徒同士に学び合わせることで,課題の解決につながるのではないかと考える。習得の場面においても, 教師の説明を一方的に聞いたり,機械的に反復練習したりするだけでなく,セクションの基礎的な学習内 容を自分で再構築する活動や,互いの英語表現を聞き合って評価し合う活動を通して,生徒が主体的に学 び合えるように工夫する。小さな習得と活用の繰り返しがより大きな習得につながり,さらにそれを実際 の交流場面で活用することで,4技能の確実な習得につながっていくのではないだろうか。 そこで,本研究においては,少人数の特性を生かした生徒同士の学び合いによって,単元の基礎的な学 習内容を習得していく授業展開やワークシートを工夫することとする。さらに,習得した4技能の,より 実際的な活用を図る場面として海外の中学校との交流活動を行うことで,4技能の確実な習得につながり, 英語によるコミュニケーション能力の基礎が養われるだろうと考え,本テーマを設定した。 〈研究仮説〉

英語科単元「The 5Rs to Save the Earth」 等において,生徒同士の学び合いによって4技能を習得さ せる授業展開と,それに対応したワークシートを工夫するとともに,習得した4技能の活用を図る場とし ての交流活動を行うことにより,4技能をバランスよく確実に習得することとなり,コミュニケーション 能力の基礎が養われるであろう。

(2)

- 42 - 図1 カリキュラム上の全体的な時間に対する 技能の比率(中森誉之(2010)による)

Ⅱ 研究内容

1 英語によるコミュニケーション能力の基礎 「中学校学習指導要領解説外国語編」(以下,「解説外国語編」とする)では,外国語によるコミュ ニケーション能力の基礎を養うことについて,「単に外国語の文法規則や語彙などについての知識を 身に付けさせるだけではなく,実際のコミュニケーションを目的として外国語を運用することができ る能力の基礎を養うこと」と示されている。したがって,英語によるコミュニケーション能力の基礎 とは,実際のコミュニケーションを目的として英語を運用することができる能力と言うことができる。 この能力の具体について,中学校学習指導要領,第2章,第9節「外国語」における「英語」の目標 には,次の4つの力が示されている。すなわち,初歩的な英語を聞いて話し手の意向などを理解でき ること,初歩的な英語を用いて自分の考えなどを話すことができること,初歩的な英語を読んで書き 手の意向などを理解できること,初歩的な英語を用いて自分の考えなどを書くことができることの4 点である。ここでいう「初歩的な」とは,中学校学習指導要領,外国語における「2(3) 言語材料」 に示された範囲の英語を指している。すなわち,1200 語程度の語や in front of などの連語,あい さつなどの慣用表現,11 種類の文構造,「It+be 動詞+~(+for~)+to 不定詞」などの構文,現在 進行形や現在完了形などの時制や比較変化,動名詞,受け身などの文法事項等である。 以上のことから,英語によるコミュニケーション能力の基礎とは,1200 語程度の語や初歩的な文法 事項,慣用句などの英語を,実際のコミュニケーションを目的として運用することができる力ととら えることができる。換言すれば,この力は,「聞くこと」,「話すこと」,「読むこと」,「書くこ と」の4技能をバランスよく習得することと同じ意味である。よって本研究では,英語によるコミュ ニケーション能力の基礎を,英語の4技能をバランスよく習得することと捉え,その指導のあり方に ついて考えていくこととする。 なお,中学校学習指導要領では,英語の目標については3年間をまとめた形で示し,各学年ごとに は示していない。これは,各学校が,生徒や地域の実態に応じて学年ごとの目標を適切に定めること ができるようにするためである。しかし,各学校において,どのように目標を段階付けしたとしても, 第3学年が中学校英語の目標を実現する最終学年であることに変わりはない。したがって,単元にお ける学習内容はもちろんのこと,第1学年,第2学年における学習内容の確実な習得も視野に入れな がら,総合的,統合的に指導していく必要があると考える。小学校の第5学年,第6学年で培った「コ ミュニケーション能力の素地」も含めた5年間の英語学習の集大成として,4技能の確実な習得を目 指すこととする。 2 4技能の確実な習得を図る授業展開とワークシートの工夫 中森誉之(2012)によれば,第二言語である英語を習得するためには,学習者に大量の理解可能な インプットを与えること,学習者に表出を促すこと,学習が学習者と教師や他の学習者との共同作業 で行われること,学習した英語を実際に使用する文脈・場面・状況を設定することの4つの要件が不 可欠であると述べている。英語と接触する量を確保し,英語を使用する機会を保証することが大切で あることから中森は,多聴や多読,日記や口頭作文など,継続的に英語を活性化させることを提案 している。ここでは,単元の中の1セクションごとに,基本の構文を使ったショートスキットを作る 学習活動を取り入れることとする。 中 森 は , 4 技 能 に 関 わ る 学 習 活 動 を 「 聴 解 」 , 「 発 話」,「読解」,「作文」とし,初級段階から上級段階に 至る過程で,カリキュラム上の全体的な時間に対する4つの 学習活動の比率を図1のように示している。これを見ると, 聴解・発話・読解・作文の分量は,段階に応じて変化させる べきであることがわかる。中学校第3学年は中級段階に位置 していると見ると,聴解と読解の分量がやや多く,次いで発 話,作文となっている。単元構成や授業展開においては,4 技能の学習活動を,中級段階に見合う分量で取り上げること とする。 林桂子(2011)は,脳の機能に即した外国語学習指導の大 切さについて述べる中で正確さと流暢さについて触れ,例 えば「書くこと」では文法の正確さに重点を置くよりも文章

(3)

- 43 - 図2 2種類の授業展開 図3 4技能の確実な習得を図る単元構成 構成を学習して,作文 の課題を繰り返し「書 くこと」に自然に慣れ 親しむ事が大切だとし ている。また,知覚さ れたばかりの情報を即 座に,あるいは 20 秒ほ どの短い間に利用した りする短期記憶が大切 であるとしている。そ こで,授業の中では, セクションの基本文を 理解し練習したらすぐ に短文作りで活用する 学習活動や,教材文の 要約や表現活動への感 想などを英語で書く学 習活動を取り入れるこ ととする。 中森は,聴解と読解を理解技能,発話と作文を表出技能とし,その際4技能のプロセスは,聴解と 読解の理解技能が先行し,発話と作文の表出技能へと続くとしている。運用可能な英語の力を培うた めには,これらを統合的に指導することが必要と述べている。そこで,授業では新出語句や基本文な どの理解や練習,それらを使った短文作りや口頭作文,教材文の読解や要約,日常生活の場面を想定 したスキット作り,英語による相互評価などの学習活動を,1セクションごとに展開していくことと する。学習活動が多くなるため,2時間で1セクションを構成し,最初の時間をセクションの基本的 な学習内容を習得する時間,次の時間をセクションの基本的な学習内容を活用する時間とする(図2)。 単元の学習を終了したら,交流活動に備えて既習事項を使った作文の学習活動を行い,最後に4技能 のより実際的な活用を図る場面として,海外の中学校との交流活動を行うこととする(図3)。また, セクションの学習内容を習得する授業展開に対応したワークシート(図4)とセクションの学習内容 を活用する授業展開に対応したワークシート(図5)の2種類作成し,生徒がスムーズに学習活動に 取り組めるようにする。 このように,1単位時間の授業の中に習得と活用の学習活動が往還し,1セクションの中でも習得 と活用が往還し,単元全体でも習得と活用が往還するような授業展開と単元構成にすることで,4技 図 5 セクションの学習内容を活用するワークシート 図 4 セクションの学習内容を習得するワークシート

(4)

- 44 - 能の確実な習得につながると考える。なお,多くの学習活動をテンポよく進めるために,デジタル教 科書,プレゼンテーションソフト,大型液晶ディスプレイなどのICT機器を活用することとする。 3 交流活動を取り入れた単元計画について (1) 小人数における学び合いの工夫 小規模校においては,1学級あたりの人数が少ないため,一人一人に目が届き,個々の生徒の個 性や能力に応じてきめ細かな指導ができるという利点がある。また,学級や学校の様々な役割が一 人一役となることが多く,学校行事などの場面などでは積極的に参加するなど,学校生活における 主体的な態度を育む上で効果がある。しかし,一方では,小さい頃から少人数で育っているために 人間関係が固定化し,より高い目標に向かって切磋琢磨したり,授業の中で異なる意見を出し合っ て,よりよい考えに高めていく経験は十分とは言えない。少人数の中でも,自分を表現する機会や 友達の考えに触れて,自分の考えを見つめ直す機会を適切に設定していく必要がある。 先にも述べたが,中森は,第二言語である英語を習得するためには,学習が学習者と教師や他の 学習者との協同学習で行われる必要があるとしている。そこで,人数が少ない中でも学習活動の基 本をグループ活動とし,単元の前半部分,すなわち,単元の基本的な学習内容の習得に関わる部分 では,2名と3名のグループを単位として学習活動に取り組ませることとする。その際,グループ の構成員は固定化せず,セクションごとにくじ引きでグループ編成を行う。グループで協力し合っ て短文作りやスキット作りをしたり,他のグループのスキットへの評価を一緒に考えたりする。作 成した短文をもとにしたライティングレースやスキットの発表は,グループ単位で楽しんでできる ようにする。 (2) 英語を第二言語とする海外の中学生との交流活動 中森は,また,第二言語を習得するためには,学習した英語を実際に使用する文脈,場面,状況 を設定することが不可欠であるとしている。普段の授業の中では,スキット作りをすることで,擬 似的に英語を使用する場面を,生徒自らが設定し活用することになる。その上で,より実際的で現 実的な状況を設定することも必要であると考える。そこで,テレビ電話を活用した海外の中学校と の交流活動により,単元で学習した内容やこれまでに学習した内容などを駆使して,英語によるコ ミュニケーションを図る場面を設定することとする。 交流する対象は,アメリカ合衆国,カナダやオーストラリアなど様々な国が考えられるが,ここ では,英語を母国語ではなく第二言語として学習している学校を選ぶこととする。英語を母国語 とする学校と交流すると,ネイティブイングリッシュに触れられるという利点はあるが,英語を運 用するという点において,対等な立場にはなりにくい。その点,英語を第二言語とする学校と交流 すると,英語を学習しているという点では対等な立場である。英語が世界の共通語と認識されてい ることを実感することにもつながり,獲得しなくてはならない言語として身近に感じることになる と考える。本研究では,交流する学校を前年度に1度交流活動を行った Batu kawan 校(マレー シア)とする。 坂本利子らは,IT機器により比較的簡単にリアルタイムで意見交換を行うことで,文化が違っ ても同じ人間同士,同じ世代として共有している特徴に改めて気づくことも,貴重な経験になると 述べている。交流の題材としては,生徒自身が伝えたいと考える身近な内容を,それぞれで選び, 作文にして伝えることとする。また,簡単な質問事項も用意させ,生徒同士で英語による対話がで きるようにする。 小規模校における学習の集団化を図る形態として,合同学習,集合学習,交流学習があり(表1), この交流活動は,一種の交流学習であると考える。日頃5名という少人数で学んでいる生徒たち が,500 名規模の Batu kawan 校と交流することは,大きな集団で学ぶ雰囲気を味わう上でも意義 があると考える。 表1 へき地・小規模校における学習の集団化の形態 合同学習 一つの学校内で学級の枠を超えて2学級以上の児童生徒が一緒に学習し,集団の中で考えを練り合 うことで思考力を伸ばしたり,多人数での活動を楽しんだりする集団形態。 集合学習 近隣の2校以上の同学級の児童生徒,または,各学校の全児童生徒を一カ所に集めて,各学校の教 師の協力によって学習指導を行う集団形態。全習(一か所で行われる学習)の前の分習(各学校での 事前と事後の学習)が重要である。 交流学習 学校規模や生活環境の異なる学校(へき地の小規模校と都市の大規模校等)同士が姉妹校的な関係 を結び,それぞれの学校独自では体験出来ない学習や生活をさせる集団形態。

(5)

- 45 -

Ⅲ 指導の実際

1 単元名 「The 5Rs to Save the Earth」(Sunshine English Course 3) 「About us」(テレビ電話によるマレーシアの中学校との交流活動) 2 単元の目標 (1) 書かれた内容について,大切な部分などを正確に読み取る。 (2) 辞書を活用するなどして,自分の考えや気持ちなどを書く。 (3) 口頭作文の発表や交流活動の場で,間違うことを恐れず話す。 (4) 自然な口調で話されたり読まれたりする英語を聞いて,情報を正確に聞き取る。 3 単元の評価規準 コミュニケーションへの 関心・意欲・態度 外国語表現の能力 外国語理解の能力 言語や文化に対する 知識・理解 ① 口頭作文の発表や交流活 動の場で,積極的に話し ている。 ② 辞書を活用するなどして 自分の考えや気持ちなど を書いている。 「It is ~for 人 to 動 詞の原形」,「know how to 動詞の原形」や「ask 人 to 動詞の原形」の基 本の構文を活用して正し く書いたり,話したりす ることができる。 ① 話された内容について正 しく聞き取ることができ る。 ② Batu Kawan 校の生徒が 話す英語を聞いて,理解 することができる。 to 不定詞を用いた文の構 造を理解している。 4 指導と評価の計画(全9時間) 時 学習活動 評価規準 評価方法 第1時 習得 「誰かが何かをすることが難しい」 と書いたり話したりする。 【表】「It is ~for 人 to 動詞の原形」の構文を使っ て正しく書いたり話したりすることができる。 ワークシート 活動の観察 第2時 活用 「It is ~for 人 to 動詞の原形」 の構文を使ってスキットを作り,発表 し合い,評価し合う。 【関】「It is ~for 人 to 動詞の原形」の構文を使っ てスキットを作り発表することができる。 【関】辞書を活用するなどして自分の考えや気持ちな どを書くことができる。 活動の観察 ワークシート 第3時 習得 「何かの仕方を知っている」と書い たり,話したりする。 【表】「know how to 動詞の原形」の構文を使って正 しく書いたり話したりすることができる。 ワークシート 活動の観察 第4時 活用 「know how to 動詞の原形」などの 構文を使ってスキットを作り,発表し 合い,評価し合う。 【関】「know how to 動詞の原形」などの構文を使っ てスキットを作り発表することができる。 【理】話された内容について,正しく聞き取ることが できる。 活動の観察 ワークシート 第5時 習得 「誰かに何かを頼む」ことを書いた り,話したりする。 【表】「ask 人 to 動詞の原形」の構文を使って正しく 書いたり話したりすることができる。 ワークシート 活動の観察 第6時 活用 「ask 人 to 動詞の原形」などの構 文を使ってスキットを作り,発表し合 い,評価し合う。 【関】「ask 人 to 動詞の原形」などの構文を使ってス キットを作り発表することができる。 【知】to 不定詞を用いた文の構造を理解している。 活動の観察 ワークシート 第7時 活用 自分の伝えたいことをまとめ,3つ の構文を使って 40 語程度の英作文を 書く。

【表】「It is ~for 人 to 動詞の原形」,「know how to 動詞の原形」や「ask 人 to 動詞の原形」の基本 の構文を活用して正しく書くことができる。 ワークシート 第8時 活用 Batu Kawan 校(マレーシア)との 交流活動 【理】Batu Kawan 校の生徒が話す英語を聞いて,理解 することができる。 活動の観察 第9時 単元テストによる総括評価 単元テスト 5 本時の学習指導(6/9時間) (1) 検証授業Ⅰ(第3セクションの学習内容を活用する時間) ① 本時の目標

(6)

- 46 - ア 「 ask 人 to 動詞の原形」などの構文を使ってスキットを作り,発表することができる。 イ to 不定詞を用いた文の構造を理解する。 ② 授業仮説 3つの構文を活用する場面において,学び合いによるスキット作りや発表,口頭作文による相互 評価の活動を取り入れることにより,to 不定詞を用いた文の構造を理解することとなり,英語によ るコミュニケーション能力の基礎が養われるであろう。 ③ 本時の展開 学習過程 ○学習活動 ◆指導上の留意点 【観点】評価規準(評価方法) 導 入 あいさつ 発話 Warm-up めあての確認 (3分) ◆授業はオールイングリッシュで行う。 ○当番の生徒が前に出て,皆と英語であいさつし合う。日付や 天気などの確認を英語で行う。 ○前時までに学習した構文をワークシートに書く。 ○本時のめあてを日本語で書く。 展 開 スキットの作成 と練習 作文 発話 (20 分) ○本単元で学習した次の構文を使って,スキットを作成する。 「It is ~for 人 to・・・」

(・・・することは人にとって~だ。) 「know how to~」

(~の仕方をしっている) 「ask 人 to~」 (~することを人に頼む) ○グループで相談しながら,基本 の構文を使う日常生活の場面を設定し,場面に合う会話を考え, ワークシートに書く。辞書を使ってスキット原稿を完成させる。 ○スキットができたらグループで練習する。 ◆大型液晶ディスプレイに3つの構文を表示しておく。 【関】口頭作文の発表の場で, 積極的に話している。 (活動の観察) 【関】辞書を活用するなどして 自分の考えや気持ちなど を書いている。 (活動の観察) 【表】「It is ~for 人 to 動 詞の原形」,「know how to 動詞の原形」や「ask 人 to 動詞の原形」の基本 の構文を活用して正しく 書いたり話したりすること ができる。 (ワークシート・活動の観察) 生徒同士による口頭評価の様子 スキットの発表 発話 聴解 (4分) ○他のグループの前で発表する。 ○発表の際は,出来るだけワークシートを見ずに発表できるよ うにする。 ○発表を聞いているグループは,英語でコメントが言えるよう にメモをとりながら聞く。 ◆日常生活の場面を想定した自然な表現になるように,ジェス チャーなども工夫させる。 スキットの相互 評価 作文 発話 聴解 (10 分) ○スキットを聞くグループは,ワークシートの評価欄に数値的 な評価を行う。 ○各個人の評価を合わせて,グループの平均をとる。 ○辞書を使って伝えたい感想を英語で書く。 ○各自の評価を発表グループに英語でフィードバックする。 ◆必要に応じて個別に指導する。 教材文の読解 (YY-time) 読解 作文 発話 (10 分) ○教科書の本文を読み筆者が伝えたいことに対して,自分の考 えを日本語でまとめる。 ○辞書を使って,自分の考えを正しい英語で書く。 ○英語で発表する。 ◆必要に応じて個別に指導する。 ま と め 次時の確認 聴解 自己評価 (3分) ○次時は,自分で決めたテーマについて,3つの構文を使って 作文することを知る。 ○自分がたてためあてが達成されたかどうか自己評価し,学習 感想を書く。

(7)

- 47 - ④ 評価 ア 「 ask 人 to 動詞の原形」などの構文を使ってスキットを作り,発表することができたか。 イ to 不定詞を用いた文の構造を理解することができたか。 (2) 検証授業Ⅱ( Batu kawan 校との交流活動) ① 本時の目標 ア 基本の構文を使って自分の伝えたいことを英語で話し,Batu Kawan 校の生徒に伝えることが できる。 イ マレーシアのことについて英語で質問し,その英語の回答を理解することができる。 ② 授業仮説 英語を第二言語とする海外の中学校と交流する活動において,質疑応答の基本になる疑問詞を 提示したり会話を進める慣用句などを運用させたりすることにより,習得した4技能を統合的に 活用することとなり,英語によるコミュニケーション能力の基礎が養われるであろう。 ③ 本時の展開(8/9時間) 学習過程 ○学習活動 ◆指導上の留意点 【観点】評価規準(評価方法) 導 入 発話 あいさつ Warm-up (5分) (◆朝から回線をつなげ,交流への意欲を喚起する。) ◆相手に顔がはっきり見えて声がしっかり届くように, カメラに近づいて発表させる。 ○英語とマレー語であいさつする。 ○司会者同士で自己紹介をする。 展 開 スピーチ 発話 聴解 (32 分) ○1人2分以内のスピーチをする。 生徒A「My school」(喜瀬武原中学校の紹介) 生徒B「My hobby」(読書の趣味について) 生徒C「Special skill」(バドミントン)

生徒D「My favorite thing」(韓流アイドルについて) 生徒E「The world is one.」(世界は一つ)

○1人のスピーチが終わるごとに,Q&Aを行う。 ○スピーチに関する質問は,メモを取りながら聞く。 ○協力し合って質問に答える。

◆when, where, who, what, how などの疑問詞を提示し, 質疑応答がスムーズに行えるようにする。

◆「Pardon?」,「More slowly please.」,「Well・・・」 などの会話をつなぐ慣用表現を提示しておく。 【理】マレーシアのことにつ いて英語で質問し,その 英語の回答を理解するこ とができる。 (活動の観察) Q&Aタイム 発話 聴解 ○1人2分×5人=10 分のQ&Aタイムを行う。 ○協力し合って対応する。 ◆質問が難しいときは,支援する。 ま と め あいさつ 発話 聴解 (3分) ○英語で,交流のお礼とあいさつをする。 ○次回の交流活動について確認する。次回は Batu Kawan 校が,「伝えたいこと」「喜瀬武原中校生に聞きたいこ と」などについて発表することを伝え,会を終了する。 ④ 評価 ア 基本の構文を使って自分の伝えたいことを英語で話し,Batu Kawan 校の生徒に伝えることが できたか。 イ マレーシアのことについて英語で質問し,その英語の回答を理解することができたか。 6 仮説の検証 本研究では,英語科の単元において生徒同士の学び合いによって,4技能を習得させる授業展開と, それに対応したワークシートを工夫するとともに,習得した4技能の活用を図る場としての交流活動 を行うことにより,4技能がバランスよく確実に習得されることとなり,コミュニケーション能力の

(8)

- 48 - 写真2 ライティングレース 写真1 ワークシート(短文作り) 基礎が養われるであろうという仮説のもと,実践研究を進め てきた。以下,手立ての有効性について,授業の実際,活動 の観察,ワークシート,総括評価テストやアンケート結果か ら考察する。 (1) 授業展開,単元構成,ワークシートの工夫と4技能の習得 1セクション2時間の授業の中で習得を図る最初の時間に は,セクションの基本文を確認させ,構文を理解させたら, すぐに短文作りをさせるようにした。ワークシートには,短 文を一人5個作るように欄を設けさらに,作成した短文をグ ループごとに交互に黒板に書き合って,グループ対抗のライ ティングレースを行う。活用を図る次の時間には,基本の構 文を使ったスキット作りを行った。 短文作りでは,一人5個の短文を毎回全員が書くことがで きた(写真1)。ライティングレースでは2分間の制限時間 内に平均 4.7 個の短文を書くことができた(写真2)。ライ ティングレースは,自作短文を書く,人と同じ文を書いては いけない,自分のグループの書いた短文をチェックするとい う条件をクリアしながら行うため,ゲーム感覚の学習活動と なり楽しそうに取り組む姿が見られた。グループ対抗のため, スペルミスなどを見付けようと集中して取り組む姿も見られ た。第2セクションのライティングレースの内容と生徒が行 った相互評価は,表3の通りである。スペルミスや冠詞の付 け忘れなどを生徒同士で見付けている。小さなミスはあった が,構文の使い方が間違っているものはほとんど無かったの で,単元の基本的な構文の運用について習得できたと考える。 スキット作りでは,第1セクションでは,受け答えが1回 程度の短いものしか作れなかったが,第3セクションでは, 会話が続くスキットを作れるようになった(表4)。スキッ トは,日常生活の場面を想定して作るため,基本の構文はよ り実際的に運用されることとなる。スキット作りは生徒同士 の学び合いで行われたため,詳細については次項で述べる。 このように,理解,短文作り,練習(ライティングレース), スキット作り,練習,発表の流れで習得と活用を繰り返すこ とにより、基本の構文を確実に習得することにつながったと 考える。生徒たちは,単元の教材文や基本構文を聞いて読み 取ったり,書いて発話したり,読んで要約したりできるよう になったので,4技能の習得につながったと考える。 表4 第3セクションで生徒が作成したスキットと口頭評価 表3 ライティングレースの相互評価 グループ名〈3K〉 ○ ○ × ○ × ×

I don't know how to play tennis. I don't know how to play basketball. I don't know how to play scccer. (o か c かはっきり読み取れない) I know how to make soba. I know how tc make udon.

(o か c かはっきり読み取れない) I don't know how to play guitor.

(guitor の前に the が抜けている) グループで作成したスキット 他のグループからの口頭評価 A グ ル ー プ

Volcano team title: telphone M : Hello. this is M. May I speak to Ken, please?

S : Sorry, but he isn't back yet.

M : Could you ask him to repair my bike? S : He doesn't know how to repair it. M : It's hard for me to repair.

○ I think long story is wonderful. ○ It was good because they are not shy. ○ 2 easy to understand.

It was very good. Long story is wonderful.

B グ ル ー プ

2K team title: run T : It's hard for me to run so early. Y : I know how to run fast. T : Can I ask you to run together?

○ Machine team can memorize. Very good.

○It was good, because they are no shy. Easy to understand.

(9)

- 49 -

表6 交流活動のための発表原稿

第2学年までの既習構文, 本単元で学習した構文 “My school”

Kisenbaru is a good school because our school is surrounded by mountains. We are good friends likebrothers or sisters. We have small mumber of studentsin Kisenbaru. Teacher's are gentle. So, it's easy for usto study English.

生 徒 A

“Special skill”

I am good at badminton because I belong to the badminton club. I have practied badminton very hard for five years. I'm going to work more hard from now on. Because I want to win the championship in Okinawa prefecture.

生 徒 C

“My hobby”

My hobby is reading book. Book can tell me to know about world. It's fun for me to know about world because I like reading book. But it is difficult for me to read books now. because I'm busy for practicing badminton. I want toread book more. 生

徒 B

“My favorite thing”

I like watching Korean dramas. I sing BIG BANG, Touhousinki and syoujyozidai's songs when I watch theirconcert DVD. I like to go shapping for K-pop star good.

生 徒 D

“The world is one.”

I like social studies. I'm interested in cultures, religions and sightseeing in the world. Especially, I know Okinawan cultures and sightseeing. We have various cultures, sightseeings and races. We live in thesame earth. So I think the world is one. 生 徒 E (2) 生徒同士の学び合いによる4技能の習得 本研究においては,授業展開や単元構成,ワークシートの工夫によって4技能の確実な習得を目指 したが,学習活動の多くが生徒同士の学び合いによるものである。特に学び合いが重要になったのが, スキット作りであった。スキット作りは,まず,基本の構文を使う日常生活の場面を設定することか ら始まる。グループで相談しながら場面設定し,場面に合う会話を考え,ワークシートに書いていく。 スキットができたらグループで練習し,他のグループの前で発表する。スキットを聞くグループは, ワークシートの評価欄(表5)をもとに数値的な評価を行う。各自の評価をグループでまとめ,感想 と合わせて発表グループに英語でフィードバックする。このような活動を繰り返すことで第3セクシ ョンでは,because を使った複文や既習事項を使って口頭評価する生徒も出てきた。スキットの中に は,単元で学習した基本の構文がすべて含まれ,自然な形で運用されている(表4)。グループはセ クションごとに組み直すため,関係が固定化することもなく,活発に話し合っていた。以上のことか ら,生徒同士の学び合いが,4技能の確実な習得に効果があったと考える。 (3) 英語を第二言語とする海外の中学校との交流活動と4技能の習得 Batu Kawan 校は生徒数約 500 名の中規模校 で,マレー系,中国系,インド系など多様な 民族の生徒が学んでいる。テレビ電話のシス テムは回線状態を安定させるために,早朝か らつないでおく。生徒たちは,大型液晶テレ ビに映る Batu Kawan 校の様子を休み時間のた びに興味深そうに眺め交流活動を楽しみにし ている様子であった。同校との交流は2回目 であるが,前回は教師が仲介者となって自己 紹介をさせる程度であったため,本格的な交 流は今回が初めてとなる。 生徒たちの発表原稿全文は,表6の通りで ある。「私の学校」,「私の趣味」,「私の 特技」,「好きなこと」,「世界は一つ」な ど,自分で選んだテーマについて,辞書を引 いたり友達に聞いたりして仕上げた英作文を 繰り返し練習し,発表していた。しかし,発 表後,相手校の生徒からテレビ画面を通して 「Pardon?」「I don't understand.」などと 言われると動揺する様子が見られた。それで も,仲間の励ましやアドバイスを受けながら, 大きな声でゆっくり繰り返し話したりして伝 える努力をしていた。発表後のQ& Aでは, 生徒同士で「こういうことを言っているので はないかな」,「こう答えてみて」などと協 力し合いながら受け答えをしていた。読書の 趣味について発表し生徒は「How many books do you read?」と聞かれて,「Fifty.」と 答えていた。生徒Eは,人種や宗教が違って いても世界はつながっている,世界は一つで ある,ということを伝えていた。交流活動の 終盤では,エイサ-を紹介しようと「唐船ドー 表5 生徒同士によるスキットの相互評価の観点と規準(ワークシートより)

Condition1(3) Memorize(2) No shy(2) Understand(3) Total(10) Speaker

(10)

- 50 - イ」の動画を見せながら,カチャーシーを披露し,沖縄の文化を伝えようとする姿も見られた。以上 のことから,交流活動が実際のコミュニケーションを目的として英語を運用する機会となったと考え る。 作文の平均語数は 38.8 語で,十分とは言えないが,このような学習活動を継続することで,語数も 増えていくと考える。しかし,スピーチ原稿において既習事項は活用できたものの,単元の基本の構 文を使った生徒が2名,使わなかった生徒が3名であったため,英作文の条件の与え方や相互点検の させ方を工夫するべきであったと考える。司会進行の方法も含めて,今後の課題としたい。 交流活動後の感想では,「自分の伝えたいことが相手にわかってもらい,嬉しかった」,「この交流 会を通して,英語にちょっと自信が持てるようになった」,「ずっと交流会を続けてほしい」などが あった。交流活動が,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成する上でも効果がある ことがうかがえる。中学校の3年間を見通して,段階を踏んだ交流活動の年間計画を作成する必要が あると考える。 (4) 生徒のアンケートから 英語の学習に関する生徒の意識の変容について,事前・事後のアンケート結果から4技能に関わる 部分を見てみると,全ての領域で全員に肯定的な変容が見られた。特に「聞くこと」,「話すこと」 において,「当てはまる」と回答する生徒が増えた(図6)。このことから,授業展開やワークシー トを工夫し交流活動を取り入れることや生徒同士の学び合いが,積極的にコミュニケーションを図ろ うとする態度の育成にも有効であったと考える。 ア 英語を聞いて何を伝えようとしているのか理解しようとしている。(聞くこと) イ 自分の考えや気持ちや事実などを英語で聞き手に伝えようとしている。(話すこと) ウ 英語で書かれている物語や説明文の大まかな内容を読み取ろうとしている。(読むこと) エ 自分の考えや気持ちなどを英語で書こうとしている。(書くこと) 図6 4技能に関する生徒の意識の変化(事前事後のアンケートより)

Ⅳ 成果と課題

成果 (1) 単元の学習内容の習得と活用が往還する授業展開と,それに対応した2種類のワークシート を工夫することによって,4技能を統合的に学習することとなり,英語によるコミュニケーション 能力の基礎が養われた。 (2)生徒同士の学び合いによって,実際的な場面を想定した学習活動が充実し,英語によるコミュニ ケーション能力の基礎が養われた。 (3) 英語を第二言語とする Batu Kawan 校との交流活動が,実際のコミュニケーションを目的として 英語を運用する機会となり,既習事項を総合的に活用することで,4技能の習得につながった。 2 課題 (1) 学習活動の重点化と精選により多聴・多読を確保し,理解技能を向上させる指導の工夫。 (2) 段階を踏んだ交流活動に関する年間計画の作成。 〈主な参考文献〉 白井恭弘 2012 年 『英語教師のための第二言語習得論入門』 大修館書店 中森誉之 2010 年 『学びのための英語指導理論』 ひつじ書房 文部科学省 2008 年 『中学校学習指導要領解説外国語編』 東山書房

参照

関連したドキュメント

スキルに国境がないIT系の職種にお いては、英語力のある人材とない人 材の差が大きいので、一定レベル以

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

本学級の児童は,89%の児童が「外国 語活動が好きだ」と回答しており,多く

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

神戸市外国語大学 外国語学部 中国学科 北村 美月.

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学