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真空圧密工法のサーチャージ効果に関する試験施工

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Academic year: 2022

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(1)

真空圧密工法のサーチャージ効果に関する試験施工

(独)土木研究所 寒地土木研究所 正員 ○西本 聡 同上 正員 林 宏親

1.まえがき

真空圧密工法は、真空ポンプや鉛直ドレーンを用いて軟弱地盤内に真空圧を作用させることにより短期間 で沈下の収束や地盤の強度増加を図る工法である。北海道や東北に広く分布する泥炭地盤は、著しい二次圧 密が生じるなど特異な沈下挙動を示すことが広く知られているが、本工法によって改良された泥炭地盤の長 期的な沈下挙動については、未だ不明確な点が多い。そこで、北海道江別市の泥炭地盤において真空圧密工 法の試験施工を実施し、真空ポンプの停止時期と地盤の沈下挙動の関係を詳細に計測したので報告する。

2.試験施工の概要

試験施工箇所の地盤は、泥炭層の下位に有機質粘土層、細粒砂質土層、

軟弱な沖積粘土層と続く泥炭性軟弱地盤である(図1)。泥炭層のダッチコ ーン貫入抵抗は100~300kN/m2であり、せん断強さが極めて低いことがわ かる。泥炭層の自然含水比は、400~800%の間にあった。有機質粘土層の 大部分は自然含水比50~80%程度だが、局所的に自然含水比200~400%の 泥炭が挟在している。

本試験施工では、気密シートの有するタイプの真空圧密工法が採用され た。表1に試験施工のケースを示す。真空ポンプの停止時期については、

従来経験的に施工されてきたケース(ケース1:盛土完成後40日で停止)、 盛土載荷によって上昇した正の間隙水圧が負の間隙水圧に転じるまで運転 を継続させるケース(ケース2:同145日)、さらに運転期間を105日間延 長させるケース(ケース3:同250日)の3ケース設

定した。いずれのケースにおいても、鉛直ドレーン材 は 80cm ピッチの正方配置で、粘土とその直下の洪積 砂質土層との境界(およそGL-20.3m)より1m程度浅 い深度まで打設された。ポンプの運転は、盛土施工の 約2週間前から開始された。

各ケースとも、10mを超える高盛土が、泥炭性軟弱 地盤上の盛土施工としては非常に急速な施工速度(13

~32cm/day)で築造できた(表1)。それにもかかわら ず、盛土天端でのクラックや周辺地盤の隆起など地盤 破壊を予見させる変形の発生はなかった。このことは、

真空圧密工法の地盤強度増加に関する改良効果の高さ を示すものである。

3.結果と考察

(1)ポンプ停止時期と間隙水圧挙動

ケース1において、ポンプ停止時点では盛土載荷に伴い発生した正の間隙水圧が残留した(ピーク水圧の 約70% が残留)状態であった(図2)。本報告では示していないが、このケースでは、ポンプ停止後も緩や

図1 試験施工箇所の地盤特性

0

5

10

15

20

25

30

0 1000 2000 3000 コーン抵抗qc(kN/m2)

WL=-1.1m 泥炭

有機質粘土

砂質土

粘土 5.0m

20.3m 14.0m 8.0m

表1 試験施工の条件

盛土厚(m) 施工速度 (cm/day)

1 10.3 13 従来の通常施工 40

2 10.7 24 初期静水圧まで 145

3 10.8 32 初期負圧まで 250

ケース ポンプ停止条件

盛土完成からポン プ停止までの日数

(days) 盛土

図2 泥炭層の真空圧ならびに過剰間隙水圧の経時変化 -60

-40 -20 0 20 40 60 80 100

0 100 200 300 400

ポンプ運転開始からの日数 (days) 炭層の負圧・過剰間隙水 (kN/m2 )

ケース1 ケース2 ケース3 ケース1のポンプ停止

ケース2のポンプ停止

ケース3のポンプ停止

泥炭地盤、真空圧密工法、試験施工、二次圧密、過圧密効果

土木研究所寒地土木研究所 寒地地盤チーム(〒062-8602札幌市豊平区平岸1-3 TEL: 011-841-1709)

III-1

土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度)

(2)

かな沈下の進行が計測された。これは、一次圧密による沈下の継続と考えられる。

一方、ケース2ならびに3とも、泥炭層および有機質粘土層において、ポンプ停止後もわずかではあるが 沈下の進行が見られた。ポンプ停止時点で過剰間隙水圧が消散していることから、この沈下は二次圧密によ るものと推測される。ケース2、3の間隙水圧挙動を見ると、ポンプ停止後に水圧が上昇しているのがわか る。これは、地盤に作用していた真空圧が除荷されたものと考えられ、真空圧によるサーチャージ効果が生 じていることを示している。

(2)ポンプ停止時期と二次圧密

図3は、泥炭層および有機質粘土層の経過日数100日以降の沈下について、日数を対数で表示したもので ある。ケース1における泥炭層の沈下を見ると、経過日

数200日を超えたあたりから時間の対数に直線的な挙動 を示し、二次圧密が発生していることがわかる。ケース 2および3では、ポンプ停止とほぼ同時点から二次圧密 が生じている。二次圧密係数Cを算出したところ、ケー

ス1(C= 6.6%)と比較して、ケース2と3では低い数

値(各々C= 2.0%, 3.2%)であった。有機質粘土層にお いても、ケース1の二次圧密係数(C= 4.6%)よりもケ ース2の方が小さな値(C= 2.2%)であり、ポンプ運転 の延長が二次圧密を低減させることがわかった。ケース 3では、ポンプ停止前から沈下が収束しているが、その 原因は不明である。なお、粘土層では、二次圧密は発生 していない。

各土層の自然含水比の平均値と二次圧密係数 Cの関 係を図4に整理した。能登 1)は、泥炭の自然含水比 Wn と二次圧密係数の関係をC(%) = 3.3+0.0043×Wn (%)で近 似している(以下、能登の予測式:図4中に実線表示)。

ケース1の結果は、正規圧密領域での二次圧密係数を扱っている能登の 予測式とほぼ一致している。ケース2および3では、真空圧の除荷が確 認されており(図2)、それによって地盤は過圧密になり、深沢ら2)が指 摘しているサーチャージ盛土による二次圧密の低減効果と同様な効果が 得られたため、二次圧密が低減したものと考えられる。

4.まとめ

真空圧密工法によって改良された泥炭地盤の二次圧密沈下は、真空圧 の除荷(過圧密効果)によって低減できることが明らかとなった。また、

このためには盛土載荷によって生じた正の間隙水圧が消散する程度まで 真空ポンプを運転することが適切と判断される。したがって、現場施工

管理として間隙水圧計が不可欠となる。なお、この二次圧密低減効果の定量的な評価については、別報 3)に おいて報告する。

【参考文献】

1)能登繁幸:「修正された泥炭地盤の沈下予測式」の簡略化、開発土木研究所月報 No.460、pp.37-41、1991. 2)深 沢栄造・山田清臣・栗原宏武:プレローディング工法で改良した高有機質土地盤の長期沈下挙動、土木学会論文 集No.493 Ⅲ-27、pp.59-68、1994. 3)林宏親・西本聡:真空圧密による泥炭地盤の二次圧密低減効果、平成22年 度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集(投稿中)、2011.

図4 自然含水比と二次圧密係数

1.0

1.5

2.0

2.5

100 1000

ポンプ運転開始からの経過日数(days)

炭層の沈下(m)

ケース1 ケース2

ケース3 ポンプ停止

ポンプ停止

ポンプ停止

= 6.6%

= 2.0%

= 3.2%

500

0.4

0.6

0.8

1.0

100 1000

有機質粘土層の沈下(m)

ケース1 ケース2 ケース3 ポンプ停止

ポンプ停止 ポンプ停止

= 2.2%

= 4.6%

500

図3 ポンプ停止後の残留沈下

0 2 4 6 8 10

0 200 400 600 800 1000 自然含水比(%)

二次圧密係数(%)

ケース1 ケース2 ケース3 能登

土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度)

参照

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