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ラット同種腎移植における術前ドナー樹状細胞および

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 原 田    浩

学 位 論 文 題 名

ラット同種腎移植における術前ドナー樹状細胞および CTLA41g 投与に よる移植 片生着延 長効果

学位論文内容の要旨

    I .目的

   同種 臓器移植 の抗原認 識機構と して,移 植臓器片中 に発現した主要組織適合抗原複合体 (MHC) 断片 をレシピ ェント抗 原提示細 胞 (APC) が processing し自 己MHC 上に発現 させ,これ を T cell が認識するindirect pathway および,移植臓器中に存在するドナーAPC を直接レシピ ェントT cell が認識する direct pathway が重要な役割を占めている,passenger leukocyte の本体 とされるprofessional APC である樹状細胞 (DC) は同種臓器移植では,血流再開後にレシピェ ン卜リンパ系組織へ遊走し,direct pathway を介して同種特異的 Tcell 応答を惹起する,また 近年 T cell の抗原認識の際, CD80/86 からTcell 上の CD28 への副刺激を欠いた場合,抗原特異 的免 疫学的寛 容状態が 誘導され ることが 判明してい る.本研究では,移植前のドナーDC お よび,高率にCD28 への副刺激をblock する recombinant protein CTLA4Ig の投与によって引き 続 く 同種 腎 移 植片 の 生着 延 長 が図 れ るか を MHC 完全 不 一致の ラット腎 移植モデ ルを用い て 検 討 し た . ま た 得 ら れ た 長 期 生 着 モ デ ル に 関 し て , そ の メ カ ニズ ム を検 討 し た,

    H .材料 と方法 1 .実験 動物

   近 交 系 ラ ッ ト 3 系 統 LEW/Hkm(RTll ) , WKAH/Hkm(RTl ` ) お よ び ACI/Hkm(RT1 ・) . 2 .ラッ ト脾樹状 細胞の調 整

   コ ラ ゲ ナー ゼ 融解 し た LEW ラッ ト脾細胞 を 1 晩培養し ,翌日脾 付着細胞 を回収. 14.5 %

Nycodenz 密度勾配上に重層後,遠心し中間層を回収した.さらに混在するマク口ファージ,

B cell を除去 するため , panning により非付着細胞を回収し脾DC として実験に用いた.なお FACS 解 析に て DC は MHC classII , CD80/86 , ICAM‑1 お よ び rat DC マ ーカーで ある OX‑62 抗 原 陽性 で あ った . また MLR に おい て DC は 添 加細 胞 数 がLNC や SPC の 1/10 に もかかわ らず,

それら よりも強 カな同種 抗原提示 能が確認さ れた.

3 .  MLR にお ける CTLA4Ig の抑 制効果

  LEW DC を stimulator WKAH LNC を responder と する one way MLR にて 共培養開 始時から CTLA4Ig を 添 加 し た (0‑500yg/ml). ま た CTLA4Ig を coating(O‑100yg/ml) し た LEWDC を stimulator とする MLR も行った .

4 .アロ 腎移植に おける CTLA4Ig お よび DC の投 与法

  MHC 完 全 不 一 致 の 組 み 合 わ せ で あ る LEW を ド ナ ー に , WKAH を レシ ピ ェ ント と する 同

種ラッ ト腎移植 において ,ドナー DC が急性拒絶反応を促進するか,また CTI ー A4Ig がこの現

象を回 避させ, さらにド ナ一特異 的免疫学的 無反応状 態が誘導されるか否かを確認するた

めに以 下の 9 群の 実験群を 設けた・すなわちGroupI :無処置コントール移植群,GroupH :移

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植0,2,4日 後 に500yg/ratのCTLA4Igを 腹 腔 内 投 与 (i.p. ) ,GroupIn:移 植0,2,4日 後 に 500 yg/ratのhIgGをi.p.,Group IV:移 植9,7,5日 前 に500yg/ratのCTLA4Igをi.p.,GroupV: 移 植9 日 前 に ド ナ ーDC(2x106/rat)を 尾 静 脈 か ら 静 脈 内 投 与 (iIVl) ,Group VI:移 植9日 前 に500l.tg/mlの 濃 度 の ( 汀IーA41gでcoatingさ れ た ド ナ ーDC(2x10 /mt) をi.v. ,QoupVII: 移 植9日 前 に500嵋/ml の 濃 度 のbIgGでcoatingさ れ た ド ナ ーDC(2x10 /rat) をi.v. ,GroupVm: 移 植9日 前 に ド ナ ーDC

(2x10゜ /rat) をi.v. し , か つ 移 植9,7,5日 前 に500い飢atのCTLA41gをi.p.,Group以 : 移 植9日 前 に ド ナ ーDC(2x10 /rat) をi.V. し , か つ 移 植9,7,5日 前 に500斗 如atのhIgGをi.p. な お 腎 移 植 時 に 自己 腎は両 側とも 摘出し ,死 亡にて 拒絶と 判断し た.

5. 皮膚 移植手 技

  100日 以 上 の 長 期 生 着 が 得 ら れ た モ デ ル に お い て , 移 植 片 生 着 が ド ナ ー 特 異 的 か 否 か を 確 認 す る た め に 3種 類 の 純 系 ラ ッ ト ( LEW,WKAH, ACI) の 尾 部 か ら 直 径10mmの 全 層 皮 膚 組 織グ ラフト を切除 し長期 生着 ラット の背部 に皮膚 移植 を行っ た.

6. 血清 サイト カイン 測定

  GroupII,m,Vmお よ び 以 か ら 経 時 的 に 採 取 し た 血 清 中 のn1サ イ ト カ イ ン (IL−2,IFN‐Y) , およ びnセサイ トカイ ン(IL・4,IL‐10) の濃度 をELISAにて 測定し た.

    m.結果

1.MLRに お け る (mー A41gの 抑 制 効 果 :CTIA41gは 共 培 養 開 始 時 か ら 添 加 レ た 場 合 , 濃 度 依 存性 にMLRの抑制 効果を 示レ た,ま たCTLA41gをcoatingし たDCをsimulatorと レた場 合

coat血g時の 濃度依 存性 にMLR抑制効 果を示 した.

2. 各 実 験 群 に お け る 移 植 腎 生 着 日 数 :GroupI(n=6);8.2土1.6,GroupII(n=9) ;冫68.1土39.0, GroupIH(n=6);7.0土0.9,GroupIV(n=6);7.5土1.2,GroupV(n=8);5.0土2.2,GroupVI(n〓10);5.6 土1.7,GroupVn(n=6);4.0土1.1,GroupVnI(n〓13); 冫38.8土3813,GroupIX(n〓8);5.3土4.1(mean days土SD) . す な わ ち CTの 術 後 投 与 は 有 意 に 移 植 片 生 着 を 延 長 し た . ま たDC単 独 移 植 前 投 与 は 移 植 片 の 拒 絶 を 有 意 に 促 進 レ た .   し か しCnA41gを coa血gし たDCの 効 果 は み ら れ な かっ た.さ らに移 植前にDCおよ びCTを 投与し た群で は移植 片生着 は有 意に延 長した 。

3. 長 期 生 着 モ デ ル に お け る 皮 膚 移 植 : GroupHお よ びGroupVmに お い て 長 期 生 着 個 体 へ の 皮 膚 移 植 を 行 っ た . す べ て の レ シ ピ ェ ン ト で 移 植 腎 と 同 系 のLEWの 皮 膚 移 植 片 は50日 以 上 の生 着が得 られた .また 対照 同種のACIの 皮膚移 植片は15日以 内に拒 絶され た.

4. 長 期 生 着 モ デ ル に お け る 血 清 サ イ ト カ イ ン の 測 定 :IL−2は 有 意 な 変 化 を 示 さ な か っ た が 移 植 後 早 期 のIFN. ア はGroupIIはGroupmに 比 ベ 有 意 に 低 値 で あ っ た (4日 目 でp 0.025) . ま た 移 植 後 早 期 に はIL・4はGroupIIカ ヾ 有 意 に 高 値 で (4日 目p 0.006) 移 植 後30日 ま で 高 値 で 徐 々 に 下 降 し た . 一 方IL一10で は30日 目 ま で は2群 間 に 差 を 認 め な か っ た が ,GroupHで 徐々 に上昇 し100日を越 える と有意 に高値 を示レ た.ま た同 様の測 定をGroupVmお よび

Group伏 に お い て 行 っ た が 概 し て , 長 期 生 着 ラ ッ ト の1111価2サ イ ト カ イ ン 濃 度 はGroupIIJ mで みら れたの と同様 の傾向 を示し た.

    IV. 考察

  DC はprofessional APC である.DC の同種抗原提示能は移植前に1 回投与された場合でも促 進型急性拒絶反応を惹起させることができることからも,非常に強カであることがわかる.

レ かし CTI ーA4Ig はこのDC をstimulator とする同種MLR を培養開始時に添加することで抑制

す るこ とが可 能で あっ た. また 予め CTLA4Ig を DC に 結合 させ てお いても,余剰のCTLA4Ig

な しで 濃度依 存性 にMLR を 抑制 でき ることが示されたが由vivo では無効であった.本研究

で はさ らに移 植前 のDC の静 脈内 投与 に加えCTLA4Ig を腹腔内投与しているが,この場合は

DC の強 カな同種抗原提示能が抑制され移植片は長期に生着することが観察された.皮膚移

植 の結 果から ドナ ー特 異的 免疫 学的 無反応状態が誘導されており,これはDC からTcell へ

の不完全な抗原提示の結果であると思われた,また血清Thlf rh2 サイトカインの推移は特徴

(3)

的で移植後早期にはIL‑4 は上昇し,長期的にはIL‑10 の上昇がみられた.これらTh2 夕イプの サイトカインが優位であることから,1112 細胞が免疫応答を負に制御している可能性が考 えられた.

    V . 結語

   ラッ ト同 種腎 移植 にお いてドナー樹状細胞からの副刺激をCTLA4Ig により抑制すること

で 術前 操作 によ る移 植片 生着延 長の 可能 性が 示さ れた .

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学位論文審査の要旨

主 査   教 授   小 柳 知 彦 副 査   教 授   吉 木   敬 副 査   教 授   上 出 利 光

学 位 論 文 題 名

ラット同種腎移植における術前ドナー樹状細胞および CTLA41g 投 与に よる移植片生着延長効果

  同 種 臓器 移 植 の抗 原 認 識機 構 と レ て,indirect pathwayおよびdirect pathwayが重要 な役割 を占 め て いる . professional APCで ある 樹 状 細胞(DC)は 同 種臓 器 移 植 では , 血 流再 開後に レ シピ ェ ン トリ ン パ 系組 織 ヘ 遊走 しdirect pathwayを介 し て 同種 特 異 的Tcell応 答 を 惹起す る.

ま たT cellの 抗 原 認 識の 際 ,CD80/86か らTcell上 のCD28へ の副 刺 激 を欠 い た 場合 , 抗 原特 異 的 免 疫 学 的 寛 容 状 態 が 誘 導 さ れ る こ と が 判 明 し て い る . 本 研 究 は 移 植 前 の ド ナ ーDCお よ び CTLA4Igの 投 与 に よ っ て 同 種 腎 移 植 片 の 生 着 延 長 が 図 れ る か を ラ ッ ト 腎 移 植 モ デ ル を 用 い て 検 討 し た 研 究 で あ る . 脾 細 胞 の 抽 出 に はNycodenz密 度 勾 配 法 を 用 い た .FACS解 析 に てDC はMHC class II,CD80/86,ICAM‑1およ びrat DCマー カ ー であ るOX‑62抗原 陽 性 であ っ た . ま たMLRに お い てDCは 添 加 細 胞 数 が り ン パ 節 細 胞(LNC)や 脾 細 胞 よ り も 強 カ な 同 種 抗 原 提 示 能 を 有 す る こ と が 確 認 さ れ た . LEW DCをstimulator,WKAH LNCをresponderと す るone way MLRに て 共 培 養 開 始 時 か らCTLA4Igを 添 加 し , ま たCTLA4Igをcoatingレ たLEWDCを stimulatorと す るMLRも行 っ た とこ ろCTIーA4Igは 共 培養 開 始 時か ら 添 加し た 場 合, 濃 度 依存 性にMLRの 抑 制 効果 を 呈 し,CTIーA4Igをcoatingし たDCをstimulatorとし た場合coating時の 濃 度 依 存 性 に MLR抑 制 効 果 を 示 し た . よ っ てMHC完 全 不 一 致 の 組 み 合 わ せ で あ るLEWを ド ナ ー に ,WKAHを レ シ ピ ェ ン ト と す る 同 種 ラ ッ ト 腎 移 植 に お い て , 以 下 の9群 の 実 験 群 を 設 けた . GroupI: 無 処置 コ ン ト ール移植 群,Groupu: 移植0,2,4日 後に500pLg/ratのCTLA4Igを 腹腔内投与(i.p.),Group HI:移植0,2,4日後に500 Vg/ratのhIgGをi.p.,Group IV:移植9,7,5日前 に500vg/ratのCTLA4Igをi.p.,GroupV: 移 植9日 前 に ドナ ーDC(2x10゜/rat)を 尾静 脈 から静 脈 内 投 与 (ilVI) ,GroupVI:移 植9日 前 に500 yg/mlの 濃 度 のCTLA4Igでcoatingされ た ド ナ ー DC(2x106/rat)を1.V.,Group VII:移植9日 前に500yg/mlの 濃 度 のhIgGでcoatingさ れ たドナ ー DC(2x106/rat)を1.V.,Group VIII:移植9日前にドナーDC (2x10゜/rat)を1.V.し,かつ移植9,7,5日 前に500 pLg/ratのCTLA4Igをi.p.,Group IX:移植9日前にドナーDC (2x10゜/rat)を1.V.し,かつ移 植9,7,5日前 に 500 yg/ratのhIgGをi.p.した.結果はGroup I(n=6); 8.2土1.6,Group II(n=9);

>68.1土39.0,Group III(n=6); 7.0土0.9,Group IV(n=6); 7.5土1.2,Group V(n〓8);5.0土2.2,Group Vl(n=10); 5.6土1.7,Group VII(n=6); 4.0土1.1,Group VIII(n=13); >38.8土3813,Group IX(n=8);

5.3土4.1 (mean days土SD).ま た 移 植 片 生 着 が ド ナ ー特 異 的 か否 か を 確認 す る ため 長 期 生着 ラ ッ ト の 背 部 に 皮 膚 移 植 を 行 っ た が す べ て の レ シ ピ ェ ン ト で 移 植 腎 と 同 系 のLEWの 皮 膚 移植 片 は50日 以 上の 生 着 が得 ら れ た .さ ら にGroup II,ni,MIIお よびIXか ら経 時 的に 採取し

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た血清中のThl サイトカイン(IL‑2 ,IFN‑Y ),およびTh2 サイトカイン(IL‑4 ,IL‑10) の濃度を ELISA に て 測 定 し た と こ ろ IL‑2 は 有 意 な 変 化 を 示 さ な か った が 移 植 後 早 期 の IFN‑7 は Group II はGroupm に比べ有意に低値であった.また移植後早期にはIL‑4 はGroupII カヾ有意 に高 値で 移植 後30 日ま で高 値で 徐々 に下 降し た. 一方IL‑10 では 30 日 目ま では2 群間に差 を認めなかったが,Group II で徐々に上昇し100 日を越えると有意に高値を示した.また同様 の測定をGroup VIII およびGroup IX において行ったが概して,長期生着ラットのThlrrh2 サ イ ト カ イ ン 濃 度 は GroupH , m と同 様の 傾向 を示 した .本 実験 ではDC の単 離も 成功 し, 加 vitr 〇ではCTLA4Ig のcoating のみの有用性も示せた点で評価されるが,in vivo では無効であ り種々の点に関してより改良を重ねていく必要性があろう.

   この論文は,ラットからprofessional APC であるDC を純粋に単離できた点,また術後の免 疫抑 制療 法な しに ,術前操作のみで同種腎移植片の長期生着延長が可能であった点で高く 評価 され ,今 後ヒ トへの移植においても移植片の生着をより確実にする可能性もあり非常 に期待される.

   審査員一同は,これらの成果を高く評価し,大学院課程における研鑽や取得単位なども併

せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た .

参照

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